JPH09206066A - 分解菌および有機性廃棄物の分解方法 - Google Patents

分解菌および有機性廃棄物の分解方法

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JPH09206066A
JPH09206066A JP3733596A JP3733596A JPH09206066A JP H09206066 A JPH09206066 A JP H09206066A JP 3733596 A JP3733596 A JP 3733596A JP 3733596 A JP3733596 A JP 3733596A JP H09206066 A JPH09206066 A JP H09206066A
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JP
Japan
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organic waste
decomposition
decomposing
temperature
bacteria
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JP3733596A
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English (en)
Inventor
Tsutomu Kajino
勉 梶野
Masakata Hirai
正名 平井
Manabu Maeda
学 前田
Akira Yanagida
昭 柳田
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Denso Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Denso Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
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Publication date
Application filed by Denso Corp, Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Denso Corp
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    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/40Bio-organic fraction processing; Production of fertilisers from the organic fraction of waste or refuse

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  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機性廃棄物を高温域で効率良く分解できる
新規微生物およびそれを用いる方法の提供。 【解決手段】 雑菌や病害虫の繁殖温度以上の温度域
で、有機性廃棄物に対して高い分解能力を示すバチルス
(Bacillus)属あるいはバチルス・ブレビス
(Bacillus・brevis)種の新規微生物、
および、前記温度域で前記微生物を用いて有機性廃棄物
を分解する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機性廃棄物の小
型処理装置や公共の大型処理施設等で有利に利用し得
る、高温域で有機物あるいは有機性廃棄物に対する高い
分解活性を示すバチルス属の新規な分解菌と、この分解
菌を利用する有機性廃棄物の分解方法に関する。
【0002】
【従来の技術】家庭や飲食店等から排出される、生ゴミ
と呼ばれる有機性廃棄物には、各種食材の調理クズや食
べ残し等に由来する油脂類、蛋白質、炭水化物その他の
有機物が多量に含まれている。
【0003】近年、このような有機性廃棄物の公共処理
施設における処理能力の限界が指摘されているため、例
えば特開平4−4084号公報に開示されたような、各
家庭や飲食店毎に設置できる小型の有機性廃棄物処理装
置が提案されている。これらの処理装置は、比較的小容
量の処理槽と、この処理槽を有機性廃棄物の微生物分解
に適した環境に保持するための通気手段や温度制御手段
等を備え、処理槽に投入された有機性廃棄物を微生物分
解しようとするものである。
【0004】そして有機性廃棄物の微生物分解は、具体
的には微生物が分泌する蛋白質分解酵素、炭水化物分解
酵素、脂質分解酵素等の酵素群の働きによるものである
ため、処理槽の温度は前記酵素群の活性化に最適な温度
に維持される。それ自体が蛋白質である酵素は高い温度
域において失活し易いものであり、従来知られた通常の
分解菌において、上記の最適温度は高いものでも45°
Cまでは至らない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、45°C未満
の温度域において有機性廃棄物の微生物分解を行うと、
次のような問題を生ずる。
【0006】このような温度域は、雑菌(有機性廃棄
物に対して有効な分解活性を示さない菌や腐敗菌等)の
繁殖にも好適であるため、希望する分解菌が当該有機性
廃棄物において支配的に繁殖しているという微生物フロ
ーラを安定的に実現することが難しい。この結果、微生
物による有機性廃棄物の分解力が不十分となり、更には
雑菌による悪臭発生のおそれも出てくる。
【0007】上記の温度域は、ハエ等の病害虫の発生
にも好適であるため、衛生上好ましくない。
【0008】周知のように、化学反応はその反応温度
が高い程その反応速度も高くなる。一般的には、反応温
度が10°C上昇すると反応速度が2倍になる、とも言
われる。従って、有機性廃棄物の微生物分解のように酵
素が触媒する生化学反応においても、酵素の活性を損な
わない範囲においてなるべく高い温度で反応させること
が得策であるが、45°C未満の温度域はかかる点でも
十分に高い温度ではなく、相対的に分解速度が不十分な
ものとなる。
【0009】ところで、もし45°Cあるいはそれ以上
の温度域で有機性廃棄物に対する高い分解活性を示す分
解菌があれば、分解の環境をかかる高い温度域に設定す
ることによって、雑菌や病害虫の繁殖を抑制できるし、
その分解菌の分解力も損なわれない。しかも分解反応の
反応速度を高く維持できる。
【0010】そこで本発明は、有機性廃棄物に対する高
温分解菌の提供を目的とする。
【0011】また本発明は、有機性廃棄物の嫌気性分解
がいわゆる腐敗臭を呈し易いことから、有機性廃棄物に
対する好気性高温分解菌の提供を目的とする。
【0012】また本発明は、有機性廃棄物のうち特に油
脂類の分解が問題となる場合もあることから、有機性廃
棄物に対する高温分解菌であって、特に油脂に対する分
解力の優れたものの提供を目的とする。
【0013】更に本発明は、上記のいずれかの高温分解
菌を用いた有機性廃棄物の分解方法の提供を目的とす
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の第1発明(請求項1に記載の発明)の構成は、有機性
廃棄物中の雑菌または病害虫の繁殖温度よりも高い温度
域で繁殖可能であり、かつその温度域で有機物あるいは
有機性廃棄物に対する高い分解活性を示す、バチルス
(Bacillus)属の分解菌である。
【0015】上記課題を解決するための第2発明(請求
項2に記載の発明)の構成は、45°C以上の温度域で
繁殖可能であり、かつその温度域で有機物あるいは有機
性廃棄物に対する高い分解活性を示す、バチルス(Ba
cillus)属の分解菌である。
【0016】上記課題を解決するための第3発明(請求
項3に記載の発明)の構成は、前記第1発明または第2
発明の分解菌であって、かつ好気性の菌である。
【0017】上記課題を解決するための第4発明(請求
項4に記載の発明)の構成は、前記第1発明〜第3発明
のいずれかの分解菌であって、かつ油脂類に対して特に
高い分解活性を示す菌である。
【0018】上記課題を解決するための第5発明(請求
項5に記載の発明)の構成は、前記第1発明〜第4発明
のいずれかの分解菌であって、バチルス・ブレビス(B
acillus brevis)種に属する菌である。
【0019】上記課題を解決するための第6発明(請求
項6に記載の発明)の構成は、バチルス・ブレビスT1
(FERM BP−5355)である。
【0020】上記課題を解決するための第7発明(請求
項7に記載の発明)の構成は、前記第1発明〜第6発明
のいずれかの分解菌を有機性廃棄物に投入し、有機性廃
棄物中の雑菌または病害虫の繁殖温度よりも高い温度域
で、好気的条件下に、前記有機性廃棄物の分解を行う、
有機性廃棄物の分解方法である。
【0021】
【発明の作用・効果】
(第1・第2発明の作用・効果)第1発明または第2発
明の分解菌は、通常の分解菌が繁殖し難い高温域におい
て有機性廃棄物に投入しても、十分に繁殖する。従っ
て、その分解反応の反応温度が高いこととも相まって有
機性廃棄物に対する高い分解力を発揮することができ
る。
【0022】一方、上記の温度域においては雑菌または
病害虫の繁殖が抑制されるため、有機性廃棄物の微生物
分解における悪臭や病害虫の発生という弊害を回避する
ことが可能となる。
【0023】(第3発明の作用・効果)第3発明の分解
菌は、前記第1・第2発明の作用・効果に加え、有機性
廃棄物を好気的に分解するため、いわゆる完全分解(有
機性廃棄物を炭酸ガスと水にまで分解し、その痕跡をの
こさないこと)が可能である。
【0024】従って、任意の選択により、例えば有機性
廃棄物の分解を意図的にある程度にとどめて、その分解
物を肥料その他の用途にリサイクルすることもできる
し、あるいは有機性廃棄物の完全分解を行うこともでき
る。周知のように、嫌気性分解菌では有機性廃棄物の完
全分解は不可能である。
【0025】更に第3発明の分解菌は、嫌気性分解に特
有の嫌気性代謝産物による悪臭発生を回避することがで
きる。
【0026】(第4発明の作用・効果)第4発明の分解
菌は、前記第1〜第3発明の作用・効果に加え、油脂類
に対して特に高い分解活性を示すため、食肉の脂質や調
理油等を多く含む有機性廃棄物の分解処理に特に有効で
ある。油脂類は水に溶けないため、例えば分解処理槽の
壁部等にこびりついて、その清掃に難儀する場合もある
が、第4発明の分解菌を用いることにより、そのような
問題を回避できる。
【0027】(第5発明の作用・効果)第5発明のバチ
ルス・ブレビス種に属する分解菌を用いることにより、
前記第1〜第4発明のいずれの作用・効果をも発現させ
ることができる。
【0028】(第6発明の作用・効果)第6発明の分解
菌であるバチルス・ブレビスT1を用いることにより、
前記第1〜第4発明のいずれの作用・効果をも発現させ
ることができる。
【0029】(第7発明の作用・効果)第7発明によれ
ば、分解菌の分解力を低減させることなく、高い温度域
で、有機性廃棄物の迅速な分解処理を行うことができ
る。その際、雑菌の繁殖を抑制できるため、および、有
機性廃棄物を好気的に分解するため、悪臭の発生を回避
できる。また、病害虫の発生を抑制できるため衛生的で
ある。更に、食肉の脂質や調理油等を多く含む有機性廃
棄物の分解処理に特に有効である。
【0030】また、この分解方法による場合、有機性廃
棄物を不完全分解して分解物を肥料その他の用途にリサ
イクルできることはもちろんであるが、有機性廃棄物の
完全分解を無臭かつ衛生的に迅速に行う、という非常に
有利な作用・効果を得ることができる。
【0031】
【第1発明〜第7発明の実施の形態】本願発明の微生物
としては、バチルス(Bacillus)属のブレビス
(brevis)種あるいは同属の他種の分解菌であっ
て、有機性廃棄物中の雑菌または病害虫の繁殖温度より
も高い温度域で繁殖可能であり、かつその温度域で有機
物あるいは有機性廃棄物に対する高い分解活性を示すも
のであれば良いが、その好ましい例として、上記の温度
域が45°C以上であるもの、好気性の分解菌であるも
の、油脂類に対して特に高い分解活性を示すもの、増殖
速度が速いもの、等を挙げることができる。
【0032】上記のうち、特に好ましいものの一例とし
て、バチルス・ブレビスT1株を挙げることができる。
この微生物はBacillus brevisT1とし
て、工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM B
P−5355として平成7年12月26日に特許寄託さ
れた。この菌株の単離方法および分類学的特性は実施例
1に具体的に記載する。
【0033】本発明の分解菌を利用して、有機性廃棄物
の分解方法を有利に行うことができる。分解対象である
有機性廃棄物の種類には制約がなく、その有機性廃棄物
の分解の程度についても、その分解方法を行う目的に応
じて、肥料その他の用途へのリサイクルを目的として不
完全分解に止める場合や、炭酸ガスと水にまで完全分解
する場合等、任意に選択することができる。
【0034】本発明の分解方法を行うために用いる分解
処理装置あるいは分解処理施設は、少なくとも温度制御
手段を備える限りにおいて、その種類には制約がない。
例えば、家庭や飲食店等で用いるための小型の処理装置
でも、公共の大型処理施設でも利用することができる。
但し、その分解処理槽中を好気的条件に維持するための
手段、例えば内容物の攪拌手段あるいは換気手段等を備
えたものが更に望ましい。
【0035】本発明の分解方法において、有機性廃棄物
に例えば杉チップのような多孔質・細片状の着床担体を
混入すると、本発明の分解菌の繁殖に適当な湿度を維持
し易くなるため、処理効率が高まる。
【0036】その他、本発明の分解方法においては、こ
の種の分解処理に常套的に施される各種の手段を採用し
ても良い。
【0037】上記の分解処理装置の一般的なあるいは好
ましい一例として、次のような装置を挙げることができ
る。
【0038】即ち、生ゴミ分解装置の分解処理槽に、予
め分解菌を担持ないしは付着させた微生物媒地(例えば
2〜4mmサイズの杉チップのような多孔質の小細片)
を一定量配置し、ここに有機性廃棄物を投入して、攪拌
手段(例えば回転式の攪拌翼)により微生物媒地と有機
性廃棄物とを混合する。また、換気手段(例えば送風機
と吸・排気孔)および温度制御手段(例えば温調器)に
より分解処理槽の内部の空気を循環、加熱して、分解処
理槽の内部全体が所定の均一な温度域に保たれるように
すると共に、分解ガスの排出と新鮮外気の導入により分
解処理槽の好気的条件を維持する。
【0039】本発明の分解方法において最も望ましい分
解条件、あるいは分解装置の運転条件は、有機性廃棄物
の内容によっても異なるが、一般的には温度が45〜6
0°C、特に望ましくは50〜60°C、pH6〜1
0、特に望ましくはpH7〜9、相対湿度が10〜10
0%、特に望ましくは70〜90%である。
【0040】有機性廃棄物の分解が嫌気的条件で行われ
ると、悪臭の原因になる有機酸等が蓄積し易いので、好
気的条件下での分解処理が望ましい。
【0041】
【実施例】
(実施例1−微生物の単離および同定)バチルス・ブレ
ビスT1は、愛知県内で採取した土壌より以下の方法で
単離した。
【0042】1gの上記土壌を25mlの生理食塩水に
懸濁・攪拌し、その上澄液0.1mlをオリーブ油を炭
素源とする選択培地(1%オリーブ油、0.1%NaN
3、0.05%MgSO4 、0.05%酵母エキス/
pH6.5)5mlに植菌し、55°Cで3日間集積培
養した。前記培養液0.1mlを普通寒天培地(日水製
薬製)上に塗沫し、55°Cで一晩培養した。
【0043】培養により生じたコロニーを釣菌操作を繰
り返すことにより単一分離した。得られた菌株の脂質分
解活性を実施例2の「脂質分解活性」の項に示すものと
同じ方法により測定し、脂質分解活性の高い菌株を選別
した。
【0044】更に、こうして得られた菌株から、実施例
3に示すものと同じ方法により有機性廃棄物に対する分
解能力の特に優れた菌株を選別した。
【0045】以上のようにして、有機性廃棄物に対して
高温環境下に優れた分解能力を有する分解菌を選別し、
そのうち最優秀の菌株について形態学的および生理学的
な性質を調べたところ、以下に示すような結果が得られ
た。
【0046】(1)形態的特徴 普通寒天培地上、50°Cの温度で一晩培養したとき以
下の形態的特徴が観察される。 細胞の形 桿菌 大きさ 0.9〜1.2×2.9〜4.2μm 運動性 あり 胞子 あり 形 楕円形 位置 中立〜亜端立 胞子嚢 膨出 グラム染色 陽性
【0047】 (2)普通寒天培地上での培養的性質 色調 白色 形状 円形、周囲はギザギザ 光沢 不透明 隆起状態 平板状
【0048】(3)生理学的性質 酸素に対する態度 好気性 カタラーゼ 陽性 嫌気下での成育 陰性 VPテスト 陰性 VPブロスのpH 8.1 グルコースからの酸の生成 陽性 グルコースからのガスの生成 陰性 ゼラチンの液化 陽性 クエン酸塩の利用 陰性 プロピオン酸塩の利用 陰性 卵黄反応 陰性 硝酸塩の還元 陰性 塩化ナトリウム耐性(5%) 陰性 GC含量 45%
【0049】以上の結果から、文献(J.G. HOH, N.R. K
rieg, P.H.A. Senath, J.T. Staleyand S.T. Williams,
" Bergay's Manual of Determinative Bacteriology "
9th ed. (1994) Williams and Wilkins、および、長谷
川武治著「微生物の分類と同定」学会出版センター)を
参考に同定を行った結果、有機性廃棄物に対して高温環
境下に優れた分解能力を有するものとして単離された前
記の菌株を、バチルス・ブレビス(Bacillus
brevis)と同定し、T1株と命名した。
【0050】公知のバチルス属、あるいはバチルス・ブ
レビス種の菌についてこのような分解能力を示すものが
報告されていないので、T1株を新規微生物と認定し
た。
【0051】本菌株は、成育温度および高温における蛋
白質分解活性、炭水化物分解活性、脂質分解活性におい
てバチルス・ブレビスのタイプストレインとは全く異な
った性質を有している。本菌株の有する分解酵素群の詳
細については未だ不明な点もあるが、本菌株が高温、好
気条件下において有機性廃棄物に対する高い分解能力を
有することが確認された。
【0052】(実施例2−所定温度域における有機物の
分解活性)バチルス・ブレビスT1につき、その蛋白
質、炭水化物および脂質のそれぞれに対する分解活性を
以下のように測定した。
【0053】蛋白質分解活性 バチルス・ブレビスT1と、好気性の常温菌バチルス・
ズブチリス(Bacillus subtilis:I
FO3307)とを、それぞれ一白金耳づつ、スキムミ
ルクを含有する培地(0.05%ポリペプトン、0.0
25%酵母エキス、1%スキムミルク、1.5%寒天/
pH7.0)に植菌したものを各2例準備した。
【0054】前記各2例のうち各1例は37°Cにおい
て、他の各1例は50°Cにおいて、それぞれ3日間培
養し、スキムミルクが分解してコロニーの周囲に形成さ
れたクリアゾーンの大きさにより蛋白質分解活性を測定
した。その結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】表1において、クリアゾーンを生じなかっ
たものは「−」、クリアゾーンの幅が0.5cm未満で
あったものは「+」、クリアゾーンの幅が0.5cm以
上で1cm未満であったものは「++」、クリアゾーン
の幅が1cm以上であったものは「+++」で表示して
ある。表1中の他の項目についても同様である。
【0057】表1より、バチルス・ブレビスT1の蛋白
質分解活性は、37°Cにおいてはバチルス・ズブチリ
スより優れているとは言えないが、50°Cにおいては
顕著に優れている。また、バチルス・ズブチリスは37
°Cにおける場合に比較して50°Cにおける場合の蛋
白質分解活性が著しく低下しているが、バチルス・ブレ
ビスT1では逆にかなり向上している。
【0058】炭水化物分解活性 バチルス・ブレビスT1と、前記バチルス・ズブチリス
とを、それぞれ一白金耳づつ、デンプン(炭水化物)を
含有する培地(1.5%デンプン、0.1%NaN
3 、0.05%MgSO4 、0.05%酵母エキス、
1.5%寒天/pH7.0)に植菌したものを各2例準
備した。
【0059】前記各2例のうち各1例は37°Cにおい
て、他の各1例は50°Cにおいて、それぞれ3日間培
養し、このプレートにデンプンを特異的に染色するヨー
ド液(0.01%I2 、0.1%KI)を重層して培地
中に残存するデンプンを染めた。デンプンが分解してコ
ロニーの周囲に形成されたクリアゾーンの大きさにより
炭水化物分解活性を測定した。その結果を表1に示す。
【0060】表1より、バチルス・ブレビスT1の炭水
化物分解活性は、37°Cにおいてはバチルス・ズブチ
リスより優れているとは言えないが、50°Cにおいて
は顕著に優れている。また、バチルス・ズブチリスは3
7°Cにおける場合に比較して50°Cにおける場合の
蛋白質分解活性が著しく低下しているが、バチルス・ブ
レビスT1では逆にかなり向上している。
【0061】脂質分解活性 バチルス・ブレビスT1と、前記バチルス・ズブチリス
とを、それぞれ一白金耳づつ、トリブチリン(脂質)を
乳化状態で含有する培地(1%トリブチリン、10mM
トリス−塩酸/pH8.0)に植菌したものを各2例
準備した。
【0062】前記各2例のうち各1例は37°Cにおい
て、他の各1例は50°Cにおいて、それぞれ3日間培
養し、トリブチリンが分解してコロニーの周囲に形成さ
れたクリアゾーンの大きさにより脂質分解活性を測定し
た。その結果を表1に示す。
【0063】表1より、バチルス・ブレビスT1の脂質
分解活性は、37°Cにおいてはバチルス・ズブチリス
より優れているとは言えないが、50°Cにおいては顕
著に優れている。また、バチルス・ズブチリスは37°
Cにおける場合に比較して50°Cにおける場合の蛋白
質分解活性がかなり低下しているが、バチルス・ブレビ
スT1では逆に顕著に向上している。
【0064】更に、50°Cにおけるバチルス・ブレビ
スT1の蛋白質、炭水化物および脂質に対する分解活性
を相対評価すると、脂質に対する分解活性が特に優れて
いることが分かった。
【0065】また、本菌株の増殖における特徴として、
普通寒天培地で1日培養後に形成されるコロニーの大き
さが5mm以上にも達することを挙げることができる。
この性質は、本菌株の増殖が既知菌に比べて著しく速い
ことを意味しており、有機性廃棄物の分解において有利
に作用するものと考えられる。
【0066】(実施例3−所定温度域における有機性排
気物の分解活性)バチルス・ブレビスT1と、前記バチ
ルス・ズブチリスとについて、試作した有機性廃棄物
(以下、「標準生ゴミ」と言う)に対する分解活性を実
験した。標準生ゴミは、それぞれ滅菌処理していない、
キャベツ600g、うどん200g、オレンジの皮10
0g、鳥肉100gの組成の粉砕混合物からなってい
る。
【0067】実験に供したバチルス・ブレビスT1と、
前記バチルス・ズブチリスとは、それぞれ、予めブイヨ
ン培地で培養して菌体を収集・乾燥し、2〜4mmサイ
ズの杉チップからなる担体に対して、担体1gあたり1
6 個体になるように添加した。
【0068】分解処理槽を2個準備し、うち1個にはバ
チルス・ブレビスT1を添加した前記担体11リッター
を投入し、他の1個にはバチルス・ズブチリスを添加し
た前記担体11リッターを投入した。
【0069】そして各分解処理槽には、前記の標準生ゴ
ミを1kg単位で投入して、備付けの攪拌翼を常時回転
駆動させることにより内容物を攪拌・混合した。分解処
理槽は1対の吸気孔および排気孔を除いては外気に対し
て気密に構成されており、送気ポンプを用いて前記吸気
孔および排気孔により換気することにより、分解処理槽
内の好気的条件を確保した。また、バチルス・ブレビス
T1用分解処理槽およびバチルス・ズブチリス用分解処
理槽は常に50°C±5°Cであるように、温度調節装
置で温度制御した。
【0070】標準生ゴミの分解活性は、前記排気孔より
排出される気体中の炭酸ガスの全量を流量測定器および
CO2 ガス濃度測定装置を用いて定量することにより、
炭素量の換算から標準生ゴミの分解量を算出して評価し
た。評価は、分解処理の開始から14日間にわたって行
い、その間の各分解処理槽への標準生ゴミの投入量、バ
チルス・ブレビスT1用分解処理槽における標準生ゴミ
の分解量、バチルス・ズブチリス用分解処理槽における
標準生ゴミの分解量を経時的に累計で図1に示した。
【0071】図1において、縦軸は標準生ゴミの投入量
あるいは分解量をkg単位で示し、横軸は分解処理の開
始からの経過日数を示している。図中1〜3の折れ線グ
ラフは、それぞれ順に、標準生ごみの投入量、バチルス
・ブレビスT1用分解処理槽における標準生ゴミの分解
量、バチルス・ズブチリス用分解処理槽における標準生
ゴミの分解量を示すグラフである。
【0072】なお、担体に微生物を担持させなかった点
以外は上記各例と全く同様に実施した例、即ち標準生ゴ
ミの土着微生物による分解活性の実験例を比較例として
行い、この例における標準生ゴミの分解量も、図1中に
4の折れ線グラフとして示した。
【0073】図1の結果によれば、バチルス・ブレビス
T1を添加した例では、2日目より標準生ゴミに対する
高い分解能力を示し、分解量は1日あたり約1kgに達
している。従って、図1に示すペースで投入された標準
生ゴミが、ほぼ完全分解されていることが分かる。この
ことはまた、バチルス・ブレビスT1が油脂類、蛋白
質、炭水化物のいずれに対しても十分な分解能力を発揮
したことを意味する。
【0074】一方、バチルス・ズブチリスを添加した例
および土着微生物により分解させた例では、有効な分解
が開始するまでに10日間を要しており、その後の1日
あたりの分解量も約0.5kgあるいはそれ以下であ
る。従って、14日目経過時点において大量の標準生ゴ
ミが残留している。このような残留状況は、実使用にお
いて極度の腐敗を招くのに十分であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】標準生ゴミの微生物分解実験の結果を示すグラ
フである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 1/20 C12R 1:07) (72)発明者 前田 学 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地日本電装 株式会社内 (72)発明者 柳田 昭 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地日本電装 株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機性廃棄物中の雑菌または病害虫の繁
    殖温度よりも高い温度域で繁殖可能であり、かつその温
    度域で有機物あるいは有機性廃棄物に対する高い分解活
    性を示す、バチルス(Bacillus)属の分解菌。
  2. 【請求項2】 前記温度域が45°C以上である、請求
    項1に記載の分解菌。
  3. 【請求項3】 好気性菌である、請求項1または2に記
    載の分解菌。
  4. 【請求項4】 油脂類に対して特に高い分解活性を示
    す、請求項1〜3のいずれかに記載の分解菌。
  5. 【請求項5】 バチルス・ブレビス(Bacillus
    brevis)種に属する、請求項1〜4のいずれか
    に記載の分解菌。
  6. 【請求項6】 バチルス・ブレビスT1(FERM B
    P−5355)である、請求項1〜5のいずれかに記載
    の分解菌。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の分解菌
    を有機性廃棄物に投入し、有機性廃棄物中の雑菌または
    病害虫の繁殖温度よりも高い温度域で、好気的条件下
    に、前記有機性廃棄物の分解を行う、有機性廃棄物の分
    解方法。
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