JPH11299480A - 分解菌並びに該分解菌を利用した有機性廃棄物の分解方法及び装置 - Google Patents

分解菌並びに該分解菌を利用した有機性廃棄物の分解方法及び装置

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JPH11299480A
JPH11299480A JP10117154A JP11715498A JPH11299480A JP H11299480 A JPH11299480 A JP H11299480A JP 10117154 A JP10117154 A JP 10117154A JP 11715498 A JP11715498 A JP 11715498A JP H11299480 A JPH11299480 A JP H11299480A
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organic waste
organic
bacillus
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JP10117154A
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Akiko Ito
晶子 伊藤
Yoshimasa Suzuki
嘉正 鈴木
Takahiro Shibakawa
柴川  高広
Masahiro Iijima
正大 飯島
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Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低pH領域において高い有機性廃棄物分解活性
を有する分解菌並びに当該分解菌を利用した有機性廃棄
物の分解方法及び装置の提供。 【解決手段】 有機性廃棄物処理装置(生ゴミ処理機)
において、pH5.0未満、45℃以上及び好気的な条件
下で、繁殖可能であり且つ有機物又は有機性廃棄物に対
する分解活性を有する分解菌を利用することにより、低
pH領域における有機性廃棄物の分解不良を低減する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、家庭や飲食店な
どで用いられる小型の有機性廃棄物の処理装置や公共の
大型の処理施設等で有利に利用し得る、低pH領域におい
ても有機物又は有機性廃棄物に対する高い分解活性を示
すバチルス属の新規分解菌、並びに低pH領域でも有機物
又は有機性廃棄物に対する高い分解活性を示すバチルス
属の分解菌を利用する有機性廃棄物の分解方法及び分解
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】家庭や飲食店から出されるいわゆる生ゴ
ミを包含する有機性廃棄物には、各種食材の調理屑や食
べ残し等に由来する油脂類、タンパク質、炭水化物その
他の有機物が含まれている。近年、このような有機性廃
棄物の公共の処理施設における処理能力の限界が指摘さ
れているため、例えば、特開平8−309317号公報
に開示されているような各家庭や飲食店毎に設置するこ
とができる小型の有機性廃棄物処理装置が提案されてい
る。これらの処理装置は、比較的小容積の分解処理槽
と、この分解処理槽内を有機性廃棄物の微生物による分
解に適した環境に保持するための通気手段や温度制御手
段等を備え、当該分解処理槽内に投入された有機性廃棄
物を微生物により分解することを目的とするものであ
る。
【0003】有機性廃棄物の微生物分解は、直接的に
は、その微生物が分泌するタンパク質分解酵素、炭水化
物分解酵素、脂質分解酵素等の酵素群の働きによるもの
であるため、上記分解処理槽内のpHは、その酵素群の最
適pH付近に維持される必要があるが、上記分解処理槽内
のpHを調整することは容易ではない。また、従来知られ
た通常の分解菌の最適pHは、低いものでもpH5.0まで
は至らない。
【0004】一方、有機性廃棄物として果物や野菜類を
多く含む生ゴミを、上記分解処理槽内で分解処理する場
合、上記分解処理槽内に棲息する多種多様な微生物群の
働きにより、その分解処理槽内のpHが低下し、これによ
り有機性廃棄物の分解不良が発生するという問題があ
る。すなわち、上記のような低pH領域は、雑菌(有機性
廃棄物に対して有効な分解活性を有しない菌や腐敗菌
等)の繁殖のために好適であるため、微生物分解を行う
ことを意図される分解菌が、有機性廃棄物において支配
的に繁殖しているような微生物フローラを安定的に実現
することが困難になる。この結果、当該分解菌による有
機性廃棄物の分解が不十分となり、さらには雑菌による
悪臭発生のおそれもある。加えて、上記低pH領域は、ハ
エ等の病害虫の発生のためにも好適であるため、衛生上
好ましくない。さらに、雑菌や病害虫の繁殖を抑制する
ためには、45℃以上の分解処理温度が維持されること
が必要であり、また、有機性廃棄物の嫌気性分解がいわ
ゆる腐敗臭を呈し易いことから、上記分解処理は、好気
的条件下で行われる必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、その有機性廃
棄物の分解菌の分解力を損なわずに、雑菌や病害虫の繁
殖を抑制することができる、pH5.0未満、45℃以上
及び好気的条件下で、有機性廃棄物に対する高い分解活
性を示す分解菌、並びにこの分解菌を利用した有機性廃
棄物の分解方法及び分解装置の必要性が未だ存在する。
また、有機性廃棄物のうち特に油脂類の分解が問題とな
る場合もあることから、特に油脂に対する分解力の優れ
た分解菌の必要性がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】従って、本願発明の1の
態様においては、pH5.0未満、45℃以上及び好気的
な条件下で、繁殖可能であり且つ有機物又は有機性廃棄
物に対する分解活性を有する、バチルスSP.IS5
(FERM P−16778)が提供される。
【0007】本願発明の他の態様においては、pH5.0
未満、45℃以上及び好気的な条件下で、繁殖可能であ
り且つ有機物又は有機性廃棄物に対する分解活性を有す
るバチルス属の微生物を、有機性廃棄物と接触させ、pH
5.0未満、45℃以上及び好気的な条件下で、当該有
機性廃棄物を分解することを特徴とする、有機性廃棄物
の分解方法が提供される。上記バチルス属の微生物は、
バチルス (Bacillus)SP.IS5(FERM P−1
6778)であることができる。
【0008】本発明のさらに他の態様においては、その
上部に有機性廃棄物の投入口が設けられた分解処理槽
と、その分解処理槽内に設けられた攪拌手段とを有し、
かつ、その分解処理槽内に、pH5.0未満、45℃以上
及び好気的な条件下で、繁殖可能であり且つ有機物又は
有機性廃棄物に対する分解活性を有するバチルス属の微
生物を単独又は担体に担持されて有する、有機性廃棄物
の分解装置が提供される。上記分解処理槽の内壁は、pH
5.0未満において耐腐食性であることができる。ま
た、上記分解処理槽内の温度を制御する温度制御手段及
び/又は上記分解処理槽の内部と外部との間の通気を行
う通気手段をさらに有することができる。
【0009】本願発明に係る有機性廃棄物の分解方法及
び分解装置において使用することができる微生物は、有
機性廃棄物の分解不良の原因の中の1である低pH領域、
すなわち、pH5.0未満の領域、45℃以上及び好気的
な条件下で、成長・増殖・繁殖可能であり且つ有機物又
は有機性廃棄物に対する高い分解活性を示すバチルス(B
acillus) 属の微生物である。かかる微生物として、以
下の実施例1に記載するように、1の菌株を自然界から
単離し、新菌株としてバチルスSP.IS5と命名し、
工業技術院生命工学工業技術研究所に1998年4月2
1日に寄託番号FERM P−16778として寄託し
た。この菌株の単離方法及び分類学性質を、実施例1に
記載する。
【0010】本発明に係る有機性廃棄物の分解方法は、
上記微生物を使用して有利に行うことができる。分解対
象である有機物又は有機性廃棄物の種類には制約がな
く、その有機性廃棄物の分解の程度についてもその分解
方法を行う目的に応じて、肥料その他の用途へのリサイ
クルを目的として不完全分解に止める場合や炭酸ガスと
水にまで完全分解する場合等、任意に選択することがで
きる。
【0011】本発明に係る有機性廃棄物の分解方法を行
うために使用されることができる分解処理装置又は分解
処理施設は、その種類には制約がない。本発明に係る有
機性廃棄物の分解方法は、例えば、各家庭や飲食店等で
使用される小型の処理装置でも、公共の大型の処理施設
においても使用されることができる。但し、その分解処
理装置(槽)内を最適温度に制御するための温度制御手
段、その分解処理槽内を好気的に維持するための手段、
例えば、内容物、すなわち、有機性廃棄物、分解菌等の
攪拌手段、その分解処理槽の内部と外部との間の通気を
行う通気手段等、を備えた分解処理装置であることが望
ましい。
【0012】上記通気手段(例えば、送風機と吸気・排
気孔)及び温度制御手段(例えば、温調器)により、分
解処理槽内の空気を循環・加熱して、その分解処理槽の
内部全体が均一な温度域に保たれるようにすると共に、
分解ガスの排出と新鮮空気の導入によりその分解処理槽
の好気的条件が維持される。また、低pHに耐えることが
できるように、上記分解処理槽の内壁は、pH5.0未満
において耐腐食性であることができる。
【0013】図1に生ゴミ処理機の例を示す。1は、分
解処理槽であり、有機性廃棄物(生ゴミ)が投入口4か
ら投入される。この分解処理槽1内には、担体3、例え
ば、杉チップに担持された微生物2があり、これにより
上記生ゴミが分解される。分解処理槽1の内壁は、pH
5.0未満でも耐腐食性の材料(樹脂、テフロン等)で
コーティングされるか又は耐腐食性材料(ステンレス
等)自体であることができる。5は、攪拌手段であり、
モーター等を用いて攪拌軸9と攪拌翼10を回転させ
て、担体3、微生物2と有機性廃棄物とを接触させ、混
合する。6は、通気手段であり、分解処理槽1内で発生
したCO2 等のガスを槽外部に放出する。7は、温度制
御手段であり、分解処理槽1の内部温度を、微生物2が
成長・繁殖することができる温度に調節・制御する。好
ましくは、その設定温度は、50℃+/−5℃である。
8は、排水口であり、分解処理槽1内で分解された有機
性廃棄物(生ゴミ)から生じた水分を槽外部に排水す
る。
【0014】本発明に係る分解方法においては、上記分
解処理槽内に、pH5.0未満、45℃以上及び好気的な
条件下で、繁殖可能であり且つ有機物又は有機性廃棄物
に対する分解活性を有するバチルス属の微生物を、好ま
しくは、微生物担体(例えば、2〜4mmサイズの杉チッ
プのような多孔質の小細片)に担持させて、一定量配置
し、ここに、微生物処理されるべき有機物又は有機性廃
棄物を投入して、上記攪拌手段(例えば、回転式の攪拌
機)により、上記微生物と上記有機性廃棄物とを混合・
接触させる。杉チップのような多孔質・細片状の着床担
体を有機性廃棄物に混入すると、本発明に係る有機性廃
棄物の分解方法に使用する分解菌の繁殖に適当な湿度を
維持し易くなるため、分解処理効率を高めることができ
る。
【0015】本発明に係る有機性廃棄物の分解方法にお
いて好ましい分解条件又は本発明に係る分解装置の運転
条件は、処理されるべき有機性廃棄物の種類により変動
することができるけれども、一般には、pHは、pH3.0
〜8.0、好ましくはpH3.0〜7.0であり、温度
は、45〜60℃、好ましくは45〜55℃、そして相
対湿度は、10〜100%、好ましくは70〜90%で
あることができる。また、有機性廃棄物の分解が嫌気的
条件下で行われると、悪臭発生の原因となる有機酸等が
蓄積し易いので、好気的条件下での分解処理が望まし
い。
【0016】本発明に係る有機性廃棄物の分解方法及び
分解装置に使用することができる微生物は、以下の実施
例2に記載するように、有機性廃棄物の分解不良の原因
の中の1である低pH領域、すなわち、pH5.0未満の領
域、45℃以上及び好気的な条件下で、成長・増殖・繁
殖可能である。従って、通常の分解菌、例えば、バチル
ス・ブレビス(Bacillus brevis)(FERM BP−5
355)が成長・繁殖し難い低pH領域、すなわち、pH
5.0未満においても成長・繁殖可能である。そしてこ
れにより、有機性廃棄物において支配的に繁殖している
ような分解菌による微生物フローラを安定的に実現する
ことができるので、低pH領域において繁殖し易い雑菌
(有機性廃棄物に対して有効な分解活性を有しない菌や
腐敗菌等)及び/又はハエ等の害虫の繁殖を抑制して、
悪臭や病害虫の発生を回避することができる。
【0017】また、本発明に係る有機性廃棄物の分解方
法及び分解装置に使用することができる微生物は、以下
の実施例3及び4に記載するように、中性〜低pH領域、
すなわち、pH5.0未満の領域、45℃以上及び好気的
な条件下において、有機性廃棄物に対する高い分解活性
を保持することができる。かかる高温度域においては、
一般に雑菌又は病害虫の繁殖が抑制されるために、悪臭
や病害虫の発生を回避することができる。また、有機性
廃棄物を好気的に分解することにより、いわゆる、完全
分解(有機性廃棄物を炭酸ガスと水にまで分解してその
痕跡を残さないこと。)が可能となる。従って、任意の
選択により、例えば、有機性廃棄物の分解を意図的にあ
る程度に止めて、その分解物を肥料その他の用途にリサ
イクルすることもできる。嫌気性の分解菌によって有機
性廃棄物を完全分解することは不可能であることが知ら
れている。また、嫌気性分解に特有の嫌気性代謝産物を
原因とする悪臭発生を回避することができる。
【0018】さらに、本発明に係る有機性廃棄物の分解
方法及び分解装置に使用することができる微生物は、以
下の実施例5に記載するように、有機性廃棄物の中で特
に油脂類に対して高い分解活性を示すので、食肉の油脂
や調理油等を多く含む有機性廃棄物の分解処理に特に有
利である。油脂類は水に溶けないので、例えば、分解処
理槽の壁部等にこびりついて、その清掃に難儀する場合
もある。従って、上記微生物を利用することにより、こ
のような問題を回避することができる。さらに、バチル
ス属に属する本願発明に係る分解菌は、胞子を形成する
ことで、生育環境として不適当な場合にも生存し続ける
ことができる。
【0019】
【実施例】実施例1:微生物の単離及び同定 バチルスSP.IS5(FERM P−16778)
を、兵庫県内で採取した土壌から以下の方法で単離・同
定した。約1gの上記土壌を、オリーブ油を炭素源とす
る選択培地(2%オリーブ油、0.3% NH4 Cl、
0.1% K2 HPO4 、0.025% MgSO4
0.025% KCl、0.0002% FeSO4
7H2 O、0.03%酵母エキス/pH3.0)5mlに植
菌し、そして50℃で7日間集積培養した。この培養液
0.05mlを、再度選択培地5mlに植菌し、そして50
℃で7日間集積培養した。その後、この培養液0.1ml
を、トリブチリン(脂質)を乳化状態で含有する寒天培
地(2%トリブチリン、0.3% NH4 Cl、0.1
% K2 HPO4 、0.025% MgSO4 、0.0
25% KCl、0.0002%FeSO4 ・7H
2 O、0.03%酵母エキス、3.5%寒天/pH3.
0)上に塗布し、そして50℃で一晩培養した。
【0020】培養により上記培地上にクリア・ゾーンを
形成したコロニーを、釣菌操作を繰り返すことにより、
単一分離した。得られた菌株が成長・繁殖することがで
きるpH領域を、以下の実施例2に記載する方法により測
定して、成長・繁殖可能なpH領域が低くて広い菌株を選
別した。こうして得られた菌株から、実施例3及び4に
記載する方法と同一の方法により、有機性廃棄物に対す
る分解活性の特に高い菌株を選別した。
【0021】以上のようにして、有機性廃棄物に対し
て、高温(50℃+/−5℃)下で高い分解活性を有す
る分解菌を選別し、その中で最優秀の菌株について菌学
的性質を調べ、新種として単離・同定した。以下にかか
る新種の形態学的性質及び生理学的性質を示す。
【0022】(1)形態学的性質 普通寒天培地上、50℃の温度で一晩培養したとき、以
下の形態学的特徴が観察された: (2)生理学的性質 酸素に対する態度 好気的 カタラーゼ 陽性
【0023】上記の菌学的性質を有する低pH環境下で有
機性廃棄物の優れた分解活性を有する菌株を、バチルス
(Bacillus)SP.IS5と命名し、そして工業技術院
生命工学工業技術研究所に1998年4月21日に寄託
番号FERM P−16778として寄託した。
【0024】実施例2:上記菌株の低pH領域における成
長・繁殖 バチルスSP.IS5が成長・繁殖することができるpH
領域を以下のように測定した。バチルスSP.IS5
と、好気的高温菌バチルス・ブレビス(Bacillus brevi
s)(FERM BP−5355)を、それぞれ、1白金
耳ずつ、pH3.0、pH4.0、pH5.0、pH6.0及び
pH7.0に調整した普通寒天培地上に植菌した。これら
寒天培地のそれぞれを、50℃で一晩培養してコロニー
が形成されるかどうかを観察することにより、成長・繁
殖可能なpH領域を判定した。その結果を以下の表1に示
す。
【0025】
【表1】
【0026】表1より、本願発明に係るバチルスSP.
IS5は、通常の分解菌であるバチルス・ブレビスより
も低pH領域において成長・繁殖可能であり(すなわち、
バチルスSP.IS5は、pH5.0未満においても成長
・繁殖可能である。)、かつ、広いpH領域(pH3.0〜
7.0)において成長・繁殖可能であることが判明し
た。
【0027】実施例3:中性pH領域(pH5.0〜8.
0)における有機性廃棄物の分解活性 バチルスSP.IS5と前記バチルス・ブレビスについ
て、試作した有機性廃棄物(以下、標準生ゴミとい
う。)に対する中性pH領域(pH5.0〜8.0)におけ
る分解活性を調べた。分解処理槽の通気手段の排気孔か
ら排出された気体中の炭酸ガスの濃度を流量測定器及び
CO2 ガス濃度測定装置を用いて測定した。分解処理の
開始から24時間にわたり、各分解処理槽から発生する
CO2 の濃度を経時的に測定することによりCO2 の発
生量を求める。このCO2 の発生量を、有機性廃棄物の
分解活性の指標とする。
【0028】上記標準生ゴミは、それぞれ、滅菌してい
ない、キャベツ160g、ゴボウ170g、タマネギ1
20g、グレープ・フルーツの皮40g、バナナの皮4
0g、イワシ100g、卵の殻20g、マカロニ・サラ
ダ120g、中華丼35g、カレー75g、茶ガラ40
g、及びフライド・チキン80gから成っていた。実験
に供したバチルスSP.IS5と前記バチルス・ブレビ
スを、それぞれ、予めNB (Nutrient Broth) 培地で培
養し、そして、2〜4mmサイズの杉チップから成る担体
に、担体1g当たり106 個体になるように添加した。
【0029】分解処理槽を2個用意し、うち1個には、
バチルスSP.IS5を添加した上記担体1.1リッタ
ーを投入し、他の1個には、バチルス・ブレビスを添加
した上記担体1.1リッターを投入した。その後、上記
各分解処理槽内に、上記標準生ゴミを、1kg単位で投入
して、備え付けの攪拌翼を常時回転させることにより上
記内容物を攪拌・混合した。上記分解処理槽は、排気孔
が1つ設けられており、吸気孔は特に設けられていない
が外気が取り込めるように構成されていた。吸気ポンプ
を用いて上記排気孔から排気することにより、分解処理
槽内の好気的条件を確保した。また、各分解処理槽の温
度を、50℃+/−5℃となるように温度制御装置を用
いて調節した。
【0030】図2に、各分解処理槽から発生したCO2
の濃度の経時的変化を示す。縦軸は、発生したCO2
濃度を%で示し、そして横軸は、分解処理の開始からの
時間を示す。図中、1の折れ線グラフは、バチルスS
P.IS5についての、そして2の折れ線グラフは、バ
チルス・ブレビスについてのCO2 発生量を示す。図2
の結果から、中性pH領域(pH5.0〜8.0)におい
て、有機性廃棄物を分解する場合、本願発明に係るバチ
ルスSP.IS5は、中性pH領域において成長・繁殖す
る上記バチルス・ブレビスと同等以上の分解活性を有す
ることが判明した。さらに、分解が開始するのに要する
時間も同等レベルであることが判明した。このことか
ら、本願発明に係るバチルスSP.IS5は、中性pH領
域において、通常用いられる分解菌、すなわち、上記バ
チルス・ブレビスと同等の有機性廃棄物の分解活性を有
することが判明した。
【0031】実施例4:低pH領域(pH4.5)における
有機性廃棄物の分解活性 バチルスSP.IS5の前記バチルス・ブレビスについ
て、試作した標準生ゴミに対する低pH領域(pH4.5)
における分解活性を調べた。分解処理槽を2個用意し、
このうち1個にバチルスSP.IS5を添加した後pHを
4.5に調整した上記担体1.1リッターを投入し、そ
して他の1個にバチルス・ブレビスを添加した後pHを
4.5に調整した上記担体1.1リッターを投入したこ
とを除き、実施例3と同様の攪拌、混合、換気及び温度
調節を行った。上記標準生ゴミの分解活性の評価も、実
施例3に記載する評価方法と同様の方法で行った。
【0032】図3に、各分解処理槽から発生したCO2
の濃度の経時的変化を示す。縦軸は、発生したCO2
濃度を%で示し、そして横軸は、分解処理の開始からの
時間を示す。図中、1の折れ線グラフは、バチルスS
P.IS5についての、そして2の折れ線グラフは、バ
チルス・ブレビスについてのCO2 発生量を示す。図3
の結果から、通常用いられる分解菌であるバチルス・ブ
レビスは、低pH領域(pH4.5)において有機性廃棄物
をほとんど分解しないが、これに反し、本願発明に係る
バチルスSP.IS5は、低pH領域(pH4.5)におい
ても、極めて高い分解活性を有することが判明した。
【0033】実施例5:低pH領域(pH4.5)における
有機性廃棄物の各成分についての分解活性に対する温度
の影響 バチルスSP.IS5と前記バチルス・ブレビスについ
ての、低pH領域(pH4.5)におけるタンパク質(スキ
ムミルク)、炭水化物(デンプン)及び油脂(トリブチ
リン)の分解に対する、培養温度の変化(37℃と50
℃)の影響を調べた。タンパク質分解活性、炭水化物分
解活性及び油脂分解活性の評価を、以下のように行っ
た。
【0034】(1)タンパク質分解活性 バチルスSP.IS5とバチルス・ブレビス(FERM
BP−5355)を、それぞれ、1白金耳ずつ、スキ
ムミルクを含有する培地(0.05%ポリペプトン、
0.025%酵母エキス、1%スキムミルク、1.5%
寒天/pH4.5)に植菌したものを、各2例用意した。
上記各2例の中の1を37℃で、そして他の1を50℃
で、それぞれ、3日間培養して、スキムミルクが分解し
てコロニーの周囲に形成されたクリア・ゾーンの大きさ
を指標として、タンパク質分解活性を評価した。結果
を、以下の表2に示すが、表中、クリア・ゾーンを生じ
なかったものを「−」で、クリア・ゾーンの幅が0.5
cm未満であったものを「+」で、クリア・ゾーンの幅が
0.5cm以上1.0cm未満であったものを、「++」
で、そしてクリア・ゾーンの幅が1.0cm以上であった
ものを「+++」で、表示してある。表2中の他の分解
活性項目についてもこの表示方法が使用される。
【0035】(2)炭水化物分解活性 バチルスSP.IS5とバチルス・ブレビス(FERM
BP−5355)を、それぞれ、1白金耳ずつ、デン
プンを含有する培地(1.5%デンプン、0.1% N
aNO3 、0.05% MgSO4 、0.05%酵母エ
キス、1.5%寒天/pH4.5)に植菌したものを、各
2例用意した。上記各2例の中の1を37℃で、そして
他の1を50℃で、それぞれ、3日間培養して、これら
のプレートにデンプンを特異的に染色するヨード液
(0.01% I2 、0.1% KI)を重層して培地
中に残存するデンプンを染色した。デンプンが分解して
コロニーの周囲に形成されたクリア・ゾーンの大きさに
より、炭水化物分解活性を評価した。結果を、以下の表
2に示す。
【0036】(3)油脂分解活性 バチルスSP.IS5とバチルス・ブレビス(FERM
BP−5355)を、それぞれ、1白金耳ずつ、トリ
ブチリン(油脂・脂質)を乳化状態で含有する培地(2
%トリブチリン、0.3% NH4 Cl、0.1% K
2 HPO4 、0.025% MgSO4 、0.025%
KCl、0.0002% FeSO4・7H2 O、
0.03%酵母エキス、3.5%寒天/pH4.5)に植
菌したものを、各2例用意した。上記各2例の中の1を
37℃で、そして他の1を50℃で、それぞれ、3日間
培養して、トリブチリンが分解してコロニーの周囲に形
成されたクリア・ゾーンの大きさにより、油脂分解活性
を評価した。結果を、以下の表2に示す。
【0037】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本願発明に係る分解装置である生ゴミ
処理機の概略構造図である。
【図2】図2は、中性pH領域(pH5.0〜8.0)にお
ける標準生ゴミの分解活性を示すグラフである。
【図3】図3は、低pH領域(pH4.5)における標準生
ゴミの分解活性を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯島 正大 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 pH5.0未満、45℃以上及び好気的な
    条件下で、繁殖可能であり且つ有機物又は有機性廃棄物
    に対する分解活性を有する、バチルスSP.IS5(F
    ERM P−16778)。
  2. 【請求項2】 pH5.0未満、45℃以上及び好気的な
    条件下で、繁殖可能であり且つ有機物又は有機性廃棄物
    に対する分解活性を有するバチルス属の微生物を、有機
    性廃棄物と接触させ、pH5.0未満、45℃以上及び好
    気的な条件下で、当該有機性廃棄物を分解することを特
    徴とする、有機性廃棄物の分解方法。
  3. 【請求項3】 前記バチルス属の微生物が、バチルスS
    P.IS5(FERM P−16778)である、請求
    項2に記載の有機性微生物の分解方法。
  4. 【請求項4】 その上部に有機性廃棄物の投入口が設け
    られた分解処理槽と、その分解処理槽内に設けられた攪
    拌手段とを有し、かつ、その分解処理槽内に請求項1又
    は2に記載された微生物を単独又は担体に担持されて有
    する、有機性廃棄物の分解装置。
  5. 【請求項5】 前記分解処理槽の内壁が、pH5.0未満
    において耐腐食性である、請求項4に記載の分解装置。
  6. 【請求項6】 前記分解処理槽内の温度を制御する温度
    制御手段をさらに有する、請求項4又は5に記載の分解
    装置。
  7. 【請求項7】 前記分解処理槽の内部と外部との間の通
    気を行う通気手段をさらに有する、請求項4〜6のいず
    れか1項に記載の分解装置。
JP10117154A 1998-04-27 1998-04-27 分解菌並びに該分解菌を利用した有機性廃棄物の分解方法及び装置 Pending JPH11299480A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005130832A (ja) * 2003-10-31 2005-05-26 Nobuaki Kumazawa 生ゴミの分解菌、微生物製剤、分解処理方法及び装置
CN107308586A (zh) * 2017-05-10 2017-11-03 贵州欧瑞信环保科技有限责任公司 一种分解垃圾有机物的微生物菌剂的制备方法

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