JPH09205999A - 食品の香味の改良方法 - Google Patents

食品の香味の改良方法

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JPH09205999A
JPH09205999A JP8019163A JP1916396A JPH09205999A JP H09205999 A JPH09205999 A JP H09205999A JP 8019163 A JP8019163 A JP 8019163A JP 1916396 A JP1916396 A JP 1916396A JP H09205999 A JPH09205999 A JP H09205999A
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food
lactic acid
medium
acid bacterium
flavor
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JP8019163A
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Masaru Furuguchi
勝 古口
Tetsuya Fukaya
哲也 深谷
Hideki Sakamoto
秀樹 坂本
Yoshiya Furuta
義也 古田
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Kagome Co Ltd
Original Assignee
Kagome Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 食品中に含まれる不快臭の原因となる中鎖ア
ルデヒドを低減するとともに、食品自体の特有の香味を
新鮮に保つ食品の香味改良方法を提供することを目的と
する。 【解決手段】 中鎖アルデヒドを含む食品に、ラクトバ
チラス属、ストレプトコッカス属、ロイコノストック属
又はペディオコッカス属に属する乳酸菌を、増殖を伴わ
ないようにしつつ接触させることにより、前記食品中の
中鎖アルデヒドをアルコールに還元させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品の香味の改良
方法に関し、詳しくは、中鎖アルデヒドを含む食品が有
する香味を新鮮に保ちつつ不快臭を低減させる方法であ
る。
【0002】
【従来の技術】従来から食品の香味等を改良するために
さまざまな方法が採られている。特に不快臭の原因とな
る中鎖アルデヒドを含む食品から、中鎖アルデヒドを除
去する方法に関しては次のようなものがある。
【0003】例えば、牛肝臓中あるいは酢酸菌中のアル
デヒド脱水素酵素を利用する方法(日本農芸化学会誌 V
ol.54, No.6, P.446-448. 1980 )、酢酸菌の細胞膜に
局在する膜結合型アルデヒド脱水素酵素を利用する方法
(特公昭 57−24751:アセトバクター アセチ
ー IFO 3284菌株及びグルコノバクター サブ
オキシダンス IFO 12528菌株について開
示。)、豆乳中で酢酸菌を増殖させることを特徴とする
酸乳飲料の製造方法(特公昭59−55143)、酢酸
菌を利用した食品の不快臭の低減方法(特公平6−97
959)等の方法が知られている。これらの方法はいず
れも中鎖アルデヒドを酸化することにより不快臭の原因
を取り除こうとするものである。
【0004】しかし、上記の方法は、青臭み以外の不快
臭が低減しないため、また、中鎖アルデヒドの一つであ
るn−ヘキサナールの大部分を除去してしまうため、食
品自体がもつ独特な香味まで取り除いてしまい、新鮮さ
まで失われてしまう等の問題があった。すなわち、n−
ヘキサナール等の中鎖アルデヒドは、食品中の含有量が
多いと不快臭の原因となるが、一方では食品の新鮮さを
醸し出す成分としての作用も有するものであり、完全に
取り除けばよいというものではない。
【0005】また、上記中鎖アルデヒドを酸化すること
による香味の改良方法以外に、野菜類抽出エキス中の酸
化物を電解還元し、野菜特有の香気の増強をする野菜エ
キスの製造方法(特開昭60−87758)も知られて
いるが、電解還元による方法では、陽極側に酸素ガス又
は塩素ガス、陰極側に水素ガスが発生する危険性があ
り、実用的に好ましくない。また、γ−メチルメルカプ
トプロピルアルデヒドをナトリウムボロハイドライドに
より還元して醤油の香気の成分であるメチオノールを製
造する方法(特開昭51−54506)が知られている
が、直接食品自体の香味を改良するものではない。
【0006】以上のように、食品に含まれる中鎖アルデ
ヒドを除去して香味を改善しようとする努力がなされて
いるが、特有な香味を新鮮に保つことができる実用的な
方法は知られていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記観点に基
づいてなされたものであり、食品中に含まれる不快臭の
原因となる中鎖アルデヒドを低減し、食品自体の特有の
香味を新鮮に保つ食品の香味の改良方法を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、酵素反応によ
り中鎖アルデヒドをアルコールに還元することで、食品
中に過度に含まれる中鎖アルデヒドが低減し、かつ、食
品中にアルコールが含まれるようになり、食品の香味が
改良されることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】すなわち、本発明は、中鎖アルデヒドを含
む食品の香味を改良する方法であって、酵素反応によ
り、食品中の中鎖アルデヒドをアルコールに還元させる
ことを特徴とする方法である。
【0010】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明において、中鎖アルデヒドをアルコールに還元する
方法は酵素反応によれば特に制限はなく、具体的には、
アルコールとアルデヒド間の酸化還元を触媒する酵素で
あるアルコールデヒドロゲナーゼを用いて中鎖アルデヒ
ドをアルコールに還元させればよい。本発明に用いるア
ルコールデヒドロゲナーゼとしては特に制限はなく、例
えばNAD+オキシドレダクターゼ、NADP+オキシド
レダクターゼ、NAD(P)+オキシドレダクターゼ等
が挙げられる。
【0011】また、アルコールデヒドロゲナーゼにより
中鎖アルデヒドを還元させるため、動物細胞や微生物等
から抽出又は分離したアルコールデヒドロゲナーゼをそ
のまま用いても、アルコールデヒドロゲナーゼを有する
微生物をそのまま利用してもよい。すなわち、アルコー
ルデヒドロゲナーゼが触媒として機能するように、アル
コールデヒドロゲナーゼ又はアルコールデヒドロゲナー
ゼを有する微生物を食品に添加、混合して接触させれば
よい。
【0012】上記の方法の中では、アルコールデヒドロ
ゲナーゼを有する微生物を食品に接触させる方法が好ま
しい。接触させる微生物は、アルコールデヒドロゲナー
ゼを有し、食品に添加してもよい微生物であれば制限は
なく、好ましい微生物としては、乳酸菌等が挙げられ
る。
【0013】例えば、本発明に用いることができる乳酸
菌として以下のような菌が挙げられる。 (ラクトバチラス属) ラクトバチラス カゼイ(Lactobacillus casei) ラクトバチラス デルブルッキ(Lactobacillus delbru
eckii) ラクトバチラス ブルガリカス(Lactobacillus bulgar
icus) ラクトバチラス ヘルベティカス(Lactobacillus helv
eticus) ラクトバチラス ブレビス(Lactobacillus brevis) ラクトバチラス プランタラム(Lactobacillus planta
rum) ラクトバチラス ラクティス(Lactobacillus lactis) ラクトバチラス アシドフィラス(Lactobacillus acid
ophilus) ラクトバチラス ファーメンタム(Lactobacillus ferm
entum) (ストレプトコッカス属) ストレプトコッカス サーモフィラス(Streptococcus
thermophilus) ストレプトコッカス ラクティス(Streptococcus lact
is) ストレプトコッカス クレモリス(Streptococcus crem
oris) ストレプトコッカス フェカリス (Streptococcus fae
calis) ストレプトコッカス フェシウム (Streptococcus fae
cium) (ロイコノストック属) ロイコノストック メセンテロイデス(Leuconostoc me
senteroides) ロイコノストック デキストラニカム(Leuconostoc de
xtranicum) ロイコノストック クレモリス(Leuconostoc cremori
s) ロイコノストック オエノス(Leuconostoc oenos) (ペディオコッカス属) ペディオコッカス セレビシェ(Pediococcus cerevisi
ae) ペディオコッカス アシディラクティシ(Pediococcus
acidilactici) ペディオコッカス ハロフィラス(Pediococcus haloph
ilus)
【0014】本発明に好適に用いられる乳酸菌として、
より具体的な菌株としては、ラクトバチラス ブレビス
JCM 1059株、ロイコノストック メセンテロ
イデス IFO 12060株等が挙げられる。
【0015】なお、アルコールデヒドロゲナーゼを有す
る微生物は、単独で用いても、2種又はそれ以上を混合
して用いてもよい。乳酸菌の食品への接触は、乳酸菌の
増殖を伴わないようにしつつ接触させることが好まし
い。乳酸菌が食品中で増殖するとかえって食品の香味の
改良につながらない場合があるからである。ここで、
「増殖を伴わない」とは、乳酸菌が実質的に増殖しない
ことをいい、食品の香味に悪影響を及ぼさない程度に増
殖が抑制されていることを含む。
【0016】また、本発明において、「食品に、乳酸菌
を増殖を伴わないようにしつつ接触させる」とは、乳酸
菌を死滅させずに、その生育を抑制しつつ食品に接触さ
せること、菌体を加熱、破砕等により死滅させてから食
品に接触させること、さらには、乳酸菌を食品に添加し
た後に滅菌することのいずれをも含む。乳酸菌の生育を
抑制するには、菌体を食品に接触させるときのpH、温
度、時間等を調整すればよい。また、本発明において食
品に接触させる「乳酸菌」には、菌体そのものの他、乳
酸菌の破砕物、菌体からのアルコールデヒドロゲナーゼ
の粗精製物あるいは精製物などの分画物も含まれる。
【0017】乳酸菌を食品に接触させる具体的方法とし
ては、例えば、菌体を水等に添加して菌液を作製し、食
品に混合、散布、噴霧する等の方法が挙げられる。乳酸
菌を食品に接触させる際の条件は、乳酸菌に由来するア
ルコールデヒドロゲナーゼが食品に含まれる中鎖アルデ
ヒドをアルコールに還元し得る条件であればよく、香味
を改良しようとする食品の種類又は量等により菌液の添
加量、pH、温度、時間等を調整すればよい。
【0018】本発明に用いられる酵素反応に好ましいp
Hの範囲は、一般的にはpH3〜9であり、特に好まし
くは、pH5〜7である。従来の酢酸菌を用いた香味改
良法では、中鎖アルデヒド除去効果は反応pHの影響を
受けやすいのに対し、本発明においては、比較的広いp
H範囲でほぼ一定の高い効果が得られる。
【0019】また、本発明の酵素反応に好ましい温度は
5〜80℃であり、特に好ましくは30〜60℃であ
る。乳酸菌を食品に接触させる時間は、温度や食品に対
する乳酸菌の量によっても異なるが、通常10〜60
分、好ましくは15〜30分である。
【0020】本発明が適用される食品は、中鎖アルデヒ
ド、例えば、n−ヘキサナール、n−ヘプタナール、n
−オクタナール、n−ノナナール、n−デカナール等を
含有する食品であれば特に制限されない。例えば、野
菜、果実、穀類若しくはこれらの加工品(ジュース
等)、各種レトルト食品(カレー、シチュー等)、水産
加工品(ちくわ、蒲鉾、魚のすりみ等)、畜肉加工品
(ハム、ソーセージ等)等が挙げられる。このうち本発
明が好ましく適用されるものとしては、野菜、果実、穀
類又はこれらの加工品等であり、特に好ましくは、ニン
ジン、トマト、大豆又はこれらの加工品等が挙げられ
る。
【0021】上記のような本発明が適用される食品は、
乳酸菌を接触させること等により酵素反応を行う際に
は、細断物又は搾汁液としておくことが望ましい。ここ
にいう細断物又は搾汁液は、破砕物、磨砕物、粉砕物等
も含む意味であり、細断機、ミキサー、ジュサー等を利
用することにより得ることができる。細断又は搾汁の程
度は特に問題とならず、固形、固形状から液状、液体に
至るまで広く本発明は適用できるが、酵素又は乳酸菌等
を均一に分散させ得る状態にすることが望ましい。な
お、細断又は搾汁等の後に、細断物や搾汁液をろ過、加
熱処理等してもよい。
【0022】酵素反応によって中鎖アルデヒドをアルコ
ールに還元することにより、中鎖アルデヒドを含む食品
の香味が改良される。中鎖アルデヒドは、食品中に含有
量が多いと青臭さ等の不快臭の原因となるが、その一方
低濃度では食品の新鮮な香味のもととなる。従来法で
は、中鎖アルデヒドは低減されるが、場合によっては、
中鎖アルデヒドによる不快臭を低減するばかりでなく、
新鮮な香味として感じられる閾値以下まで低減される。
本発明の方法においても、中鎖アルデヒドを前記閾値以
下まで低減させる場合があることには変わりはないが、
中鎖アルデヒドが還元されて生じるアルコールが新鮮な
香味として寄与するため、良好な香味が維持される。他
方、従来法では、中鎖アルデヒドが酸化されて生じるカ
ルボン酸は無味無臭なため、良好な香味の維持には寄与
しない。特に、n−ヘキサナールは還元されてn−ヘキ
サノールが生成し、残存するn−ヘキサナールとともに
新鮮さを醸し出す成分となる。また、アルデヒドに比べ
n−ヘキサノール等のアルコールは、不快臭と感じる濃
度の閾値が高いため、高濃度でも不快臭の原因になりに
くい。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態とし
て、乳酸菌を食品に接触させることにより中鎖アルデヒ
ドをアルコールに還元させる方法について説明する。
【0024】乳酸菌を食品に接触させるには、直接菌体
を食品に接触させてもよいが、菌体を含む菌液を作製
し、菌液を食品と混合させて接触させてもよい。菌体を
食品に接触させるための菌液を作製する場合は、食品の
種類や量にもよるが、例えば、乳酸菌を一般的な方法で
培養して生菌体とし、生菌体5〜10グラムを水20ミ
リリットルの割合で添加して菌液とする。また、水は、
特に制限はないが、精製水、イオン交換水等を用いても
よい。
【0025】一方、食品は、菌液を均一に混合すること
ができるように細断物又は搾汁液にすることが望まし
い。上記のようにして得られた菌液と食品を混合し、菌
体が食品中で均一に分散するように必要に応じて撹拌
し、菌体と食品とを接触させる。又は、食品に菌液を均
一に散布又は噴霧することにより菌体と食品とを接触さ
せる。
【0026】食品に対する菌液の添加量は、食品の種
類、量等により調整してよい。例えば、野菜や果実の搾
汁液、又は豆乳等の穀類の搾汁液であれば、1000ミ
リリットルに対し菌液を10ミリリットルの割合で添加
するのが好ましい。
【0027】菌液中の乳酸菌の生育を抑制するには、菌
液と食品の混合物のpH、温度、接触時間等を調整すれ
ばよい。例えば、野菜や果実の搾汁液、豆乳等の穀類の
搾汁液ではpH3〜4、温度5〜20℃、接触時間を1
5分以下とすることにより、乳酸菌の生育を抑制するこ
とができる。
【0028】また、乳酸菌の生育を抑制するために、菌
液中の乳酸菌を加熱又は機械的に破砕する等して死滅さ
せ、これを食品に添加してもよい。乳酸菌を加熱により
死滅させるには、例えば、菌液を50〜60℃で、30
〜60分間熱処理すればよい。なお、乳酸菌を死滅させ
るのは、食品へ添加後でもよい。
【0029】乳酸菌の食品への接触は、静置したままで
もよく、撹拌しながら行ってもよい。なお、菌体を所定
時間、食品に接触させた後は、菌体を食品中に残存させ
ても、食品を滅菌処理してもよく、また食品から菌体を
分離除去してもよい。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明する。
【0031】
【実施例1】 豆乳の香味改良 乳酸菌ロイコノストック メセンテロイデス IFO
12060株をMRS培地にて、30℃で12時間培養
した後、生菌体を集菌した。生菌体5グラムに水20ミ
リリットルを加え、菌体を均一に分散させて菌液を作製
した。
【0032】一方、酢酸菌アセトバクター アセチー
IFO 3284株を酵母エキス−グルコース培地に
て、28℃で48時間培養し、生菌体5gに水20ミリ
リットルを加え、菌体を均一に分散させて菌液を作製し
た。
【0033】脱脂大豆100グラムに水600ミリリッ
トルを加え、ミキサーで1分間磨砕し、ろ過した後、1
00℃、10分間の条件で加熱処理を施し、豆乳(サン
プルA)を得た。サンプルAの豆乳は、青臭み等の特有
の臭いを有するものであった。
【0034】得られた豆乳のうち200ミリリットル
に、上記乳酸菌液2.5ミリリットルを添加した後、3
0℃で30分間接触させた(サンプルB)。また、比較
例として、乳酸菌液の場合と同様の条件で、酢酸菌液を
豆乳に添加し、菌体を接触させた(サンプルC)。
【0035】上記の処理により、サンプルB及びサンプ
ルCは、サンプルAの持つ青臭みが低減された。特に、
本発明によるサンプルBは、他のサンプルに比べ、フル
ーティー感(芳醇感)が高いものであった。一方、豆乳
の食感、呈味はどのサンプルも同一であった。
【0036】本発明により得られたサンプルBと比較例
の方法により得られたサンプルCの嗜好性について20
名の官能評価者(パネラー)によって2点評価法による
官能評価を行った。その結果を第1表に示す。
【0037】
【表1】
【0038】又、乳酸菌液を豆乳に添加し反応させる前
(サンプルA)と反応させた後(サンプルB)の揮発性
成分の分析をガスクロマトグラフィーにて分析を行っ
た。その結果を図1、2に示す。図1は反応前、図2が
反応後である。
【0039】ガスクロマトグラム上のn−ヘキサナール
のピークの面積は、反応前(図1)が5100であるの
に対し、反応後は230であった(図2)。また、n−
ヘキサノールのピーク面積は713から1500へ増加
した(図1、図2)。
【0040】これに対し、酢酸菌を豆乳に添加し反応さ
せた後の揮発性成分の分析を同様にして行ったところ、
反応後のn−ヘキサナールのピーク面積は230であっ
たが、n−ヘキサノールの増加はなかった。
【0041】
【実施例2】 ニンジン汁の香味改良 乳酸菌ラクトバチラス ブレビス JCM 1059株
を実施例1と同様の条件で培養し、生菌体を得た。生菌
体4グラムに水20ミリリットルを加えて撹拌し、60
℃、30分間放置して菌体を死滅させ、これを菌液とし
た。
【0042】一方、ニンジン300グラムを細断し、ジ
ューサーにて搾汁し、ニンジン搾汁液を得た。得られた
ニンジン搾汁液は、特有のニンジン臭を有するものであ
った。 このニンジン搾汁液に上記の菌液10ミリリッ
トルを加え30℃で30分間接触させた。このようにし
て得られたニンジン搾汁液は、ニンジン臭の低減された
ものであった。
【0043】菌液添加前と添加後とで搾汁液中の揮発成
分をガスクロマトグラフィーにて分析した。菌液無添加
の場合、クロマトグラム上のn−ヘキサナール成分のピ
ーク面積は1500、n−ヘキサノールのピーク面積が
340であるのに対して、菌液添加後には、n−ヘキサ
ナールのピーク面積は85、n−ヘキサノールのピーク
面積は600であった。
【0044】すなわち、乳酸菌の死菌体を用いることに
よっても、食品中のn−ヘキサナールを減少させ、n−
ヘキサノールを増加させることが可能である。
【0045】
【実施例3】 人参フレークの香味改良 乳酸菌ラクトバチラス ブレビス JCM 1059株
を実施例1と同様の条件で培養し、生菌体を得た。生菌
体5グラムに水20ミリリットルを加えて撹拌し、60
℃、30分間放置して菌体を死滅させ、これを菌液とし
た。
【0046】一方、ニンジン300グラムを家庭用フー
ドプロセッサーにより細断し、人参フレークを得た。得
られた人参フレークは、特有のニンジン臭を有するもの
であった。
【0047】この人参フレークに上記の菌液3ミリリッ
トルを均一に噴霧し、30℃で30分間接触させた。こ
のようにして得られた人参フレークは人参臭が低減され
たものであった。
【0048】菌液添加前と添加後とで人参フレーク中の
揮発成分をガスクロマトグラフィーにて分析した。菌液
無添加の場合、クロマトグラム上のn−ヘキサナール成
分のピーク面積は750、n−ヘキサノールのピーク面
積が150であるのに対して、菌体添加後の場合、n−
ヘキサナールのピーク面積は35、n−ヘキサノールの
ピーク面積が280であった。
【0049】以上のことから、本発明は上記人参フレー
クのような固形状食品を対象とした場合においても、n
−ヘキサナールを減少させ、n−ヘキサノールを増加さ
せることが可能である。
【0050】
【実施例4】 トマトジュースの香味改良 乳酸菌ロイコノストック メセンテロイデス IFO
12060株を実施例1と同様の条件で培養し、生菌体
を得た。生菌体5グラムに水20ミリリットルを加えて
撹拌し、均一に分散させて菌液を作製した。更に、得ら
れた菌液に超音波処理((株)トミー精工の超音波発生
機を使用)を施して菌体を死滅させた菌体破壊液を得
た。
【0051】一方、トマト果実600グラムを家庭用ジ
ューサーにて搾汁し、トマトジュースを得た。得られた
トマトジュースはトマト特有の香味を有するものであっ
た。得られたトマトジュースのうち200ミリリットル
に上記菌体破壊液2ミリリットルを添加した後、30℃
で30分間接触させた。このようにして得られたトマト
ジュースは、トマトの青臭みが低減され、クセが無くフ
ルーティーな香味のジュースであった。
【0052】菌体破壊液添加前と添加後とでトマトジュ
ース中の揮発成分をガスクロマトグラフィーにて分析し
た。菌体破壊液無添加の場合、クロマトグラム上のn−
ヘキサナール成分のピーク面積は4800、n−ヘキサ
ノールのピーク面積が550であるのに対して、菌体破
壊液添加後の場合、n−ヘキサナールのピーク面積は8
5、n−ヘキサノールのピーク面積が950であった。
【0053】すなわち、乳酸菌の死菌体を用いることに
よっても、食品中のn−ヘキサナールを減少させ、n−
ヘキサノールを増加させることが可能である。
【0054】
【実施例5】 ヘキサナールの消去に及ぼすpHの影響 ロイコノストック メセンテロイデス IFO 120
60株を、実施例1と同様に培養し、生菌体を得た。生
菌体5グラムに水20ミリリットルを加え、菌を均一に
分散させて菌液を作製した。
【0055】また、アセトバクター アセチー IFO
3284株も実施例1と同様にして菌液を作製した。
一方、豆乳に食品添加物用の酸あるいはアルカリを加え
ることによって、pHを3、4、5、6、7、8あるい
は9に調整した。
【0056】このようにして得られた各豆乳に上記の乳
酸菌液を加え30℃、30分間接触させた。各pHごと
に、菌液添加前と添加後とで、豆乳中の揮発成分をガス
クロマトグラフィーにて分析した。pH6の場合に還元
されるn−ヘキサナール量を100%として、各pHに
おける相対的なヘキサノール消去活性を求めた。
【0057】酢酸菌液についても乳酸菌液を用いたとき
と同様の条件で各豆乳に接触させ、各pHにおける相対
的なヘキサノール消去活性を求めた。結果を図3に示
す。図3より、酢酸菌では、pH6をピークとしてそれ
よりも低pH又は高pHの条件下においては急激にヘキ
サノール消去活性が低下するのに対し、乳酸菌の場合に
は、広いpH範囲(pH3〜8)で安定したヘキサノー
ル消去活性を得られることが明らかとなった。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、食品中に含まれる不快
臭の原因となる中鎖アルデヒドを低減するとともに、そ
の食品の特有の新鮮な香味を保つことが可能となる。
【0059】また、本発明は、広いpH範囲で食品の香
味改良を効率よく行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 豆乳(サンプルA)の揮発成分のガスクロマ
トグラム。
【図2】 乳酸菌を接触させた豆乳(サンプルB)の揮
発成分のガスクロマトグラム。
【図3】 還元又は酸化によるヘキサナール消去に及ぼ
すpHの影響を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A23L 2/02 A23L 2/02 E F 2/84 2/34 (72)発明者 古田 義也 栃木県那須郡西那須野町大字西富山17番地 カゴメ株式会社総合研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中鎖アルデヒドを含む食品の香味を改良
    する方法であって、酵素反応により、前記食品中の中鎖
    アルデヒドをアルコールに還元させることを特徴とする
    方法。
  2. 【請求項2】 中鎖アルデヒドを含む食品に、乳酸菌を
    増殖を伴わないようにしつつ接触させることにより、前
    記酵素反応を行う請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 死滅させた乳酸菌又はその分画物を前記
    食品に接触させることを特徴とする請求項2記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 乳酸菌が、ラクトバチラス属、ストレプ
    トコッカス属、ロイコノストック属又はペディオコッカ
    ス属に属する請求項2又は3記載の方法。
  5. 【請求項5】 乳酸菌が、ラクトバチラス ブレビス又
    はロイコノストックメセンテロイデスである請求項4記
    載の方法。
  6. 【請求項6】 乳酸菌と中鎖アルデヒド含有食品との接
    触を、pH3〜8で行う請求項2〜5のいずれか1項に
    記載の方法。
  7. 【請求項7】 乳酸菌と中鎖アルデヒド含有食品との接
    触を、5〜80℃で行う請求項2〜6のいずれか1項に
    記載の方法。
  8. 【請求項8】 食品が野菜、果実若しくは穀類又はこれ
    らの細断物若しくは搾汁液である請求項1〜7のいずれ
    か1項に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記野菜がニンジン若しくはトマト又は
    前記穀類が大豆である請求項8記載の方法。
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