JPH09205305A - アンテナ装置の同軸ケーブル接続構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 部品点数の削減を図り、シールド用蓋体に乗
った雑音を直接同軸ケーブルのシールド被覆部を介して
アースに落とすことができ、それによって電気的な動作
の信頼性を高め、且つ装置全体の実装面積を減少できる
ようにする。 【解決手段】 低雑音増幅回路を搭載した印刷配線基板
４２と、それを覆うシールド用蓋体４４と、パッチアン
テナ４０とを具備し、同軸ケーブル４６の芯線部４６ｂ
を低雑音増幅回路の出力端に接続すると共にシールド被
覆部４６ａを接地し、パッチアンテナの小信号出力を低
雑音増幅回路で増幅処理し、同軸ケーブルで伝送する構
造である。シールド用蓋体にアース端子５０を一体的に
形成し、印刷配線基板の裏面に直接パッチアンテナを取
り付けると共に、シールド用蓋体を印刷配線基板に直接
半田付けして固定し、同軸ケーブルのシールド被覆部を
アース端子に接続固定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、アンテナ装置とそ
の同軸ケーブル接続構造に関し、更に詳しく述べると、
パッチアンテナの小信号出力を増幅処理する低雑音増幅
回路に同軸ケーブルを接続する際の構造に関するもので
ある。本発明は、特にナビゲータ用ＧＰＳアンテナから
の信号を伝送するのに有用な技術である。

【０００２】

【従来の技術】ＧＰＳ（Global Positioning System ）
は、衛星の信号を利用して正確な位置測定を行うシステ
ムである。ユーザーは、最も受信し易い３個以上の衛星
の電波を受信し、その伝搬遅延時間を測定することによ
って、位置、移動方向、速度を計算することができる。
このシステムに用いられるＧＰＳアンテナ装置は、衛星
から送られてくる信号を受信するパッチアンテナと、そ
の小信号出力を増幅処理する低雑音増幅回路を搭載した
印刷配線基板と、前記低雑音増幅回路を覆うように設け
たシールド用蓋体とを具備し、同軸ケーブルの芯線部を
前記低雑音増幅回路の出力端に接続すると共にシールド
被覆部を接地する構造となっている。そして、パッチア
ンテナで受信した小信号出力を低雑音増幅回路で増幅処
理し、同軸ケーブルを介して伝送する構成である。

【０００３】従来技術の一例を図４及び図５に示す。表
面に低雑音増幅回路を搭載した印刷配線基板１０を金属
製のアース板１２上に密着固定する。アース板１２には
多数（ここでは５本）のアース接続用ピン１４が上向き
に一体的に突設されており、そのアース接続用ピン１４
を印刷配線基板１０のアース用スルーホール１６に挿入
し半田付けすることにより固定する。アース板１２の裏
面側にはパッチアンテナ１８を配置し、その接続端子１
８ａはアース板１２の貫通穴２０を通って印刷配線基板
１０に達し、そのアンテナ入力用ランド２２で半田付け
接続される。そして金属磁性材料からなるシールド用蓋
体２４を、印刷配線基板１０を覆うように被せ、前記蓋
体２４の側面がアース板１２から切り起した３箇所の固
定用突出片２６の内側に嵌合するようにし、半田付け接
続（半田付け箇所を図５において符号２８で示す）する
ことにより接続固定する。アース板１２の、低雑音増幅
回路の出力端１１の近傍位置には、相対向するような切
り起し片３０が設けられており、それで同軸ケーブル３
２のシールド被覆部３２ａをかしめ止めすると共に半田
付けにより接続固定し、また同軸ケーブル３２の芯線部
３２ｂは印刷配線基板１０の低雑音増幅回路の出力端１
１に半田付け固定する。

【０００４】衛星からの電波をパッチアンテナ１８で受
信し、その小出力信号は、印刷配線基板１０に搭載され
ている低雑音増幅回路で増幅処理され、同軸ケーブル３
２を介して伝送される。シールド用蓋体２４は、低雑音
増幅回路の発振信号の外部漏洩を防止する機能を果た
し、該シールド用蓋体２４に乗った雑音はアース板１２
を介して同軸ケーブル３２のシールド被覆部３２ａによ
って接地される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】図４及び図５に示すよ
うな従来技術では、シールド用蓋体２４を固定すると共
に同軸ケーブル３２を接続保持するための金属製アース
板１２を必要とする。そのため、印刷配線基板１０との
間で多数のアースポイントを必要とし、構造が複雑とな
り、半田付け箇所が多くなるばかりでなく、切り起し片
３０でのシールド被覆部３２ａとの半田付けに熟練を要
する。部品点数も多くなる。更に、低雑音増幅回路の動
作により生じた雑音は、まずシールド用蓋体２４に乗る
が、その雑音は固定用突出片２６でのアース板１２との
接続部を通ってアース板１２に伝わり、更に切り起し部
３０の部分でシールド被覆部３２ａに伝わるという長く
複雑な伝送経路となるために、動作の信頼性が必ずしも
十分とは言えない。

【０００６】そこで、印刷配線基板にランド形式のパタ
ーンターミナルを設け、それに同軸ケーブルのシールド
被覆部を直接半田付けすることが考えられるが、同軸ケ
ーブルに外力が加わった場合にパターン剥がれなどの欠
損が予測され、機械的強度は不十分となる。それを防止
するために、補助的に金属製のターミナルを用意し、該
ターミナルを印刷配線基板に取り付け、そのターミナル
を同軸ケーブルのシールド被覆部にかしめて半田付けす
ることも考えられるが、そうすると部品点数が増加する
し組立も面倒となる。またシールド用蓋体に乗った雑音
を同軸ケーブルのシールド用被覆部に伝達する機能が不
十分となりがちとなる。

【０００７】本発明の目的は、上記のような従来技術の
欠点を解消し、部品点数の削減を図り、シールド用蓋体
に乗った雑音を直接的に同軸ケーブルのシールド被覆部
を介してアースに落とせるようにして電気的な動作の信
頼性を高め、且つ装置全体の実装面積を減少できる構造
を提供することである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、表面に低雑音
増幅回路を搭載した印刷配線基板と、前記低雑音増幅回
路を覆うように設けたシールド用蓋体と、前記印刷配線
基板の裏面の側に設けたパッチアンテナとを具備し、同
軸ケーブルの芯線部を前記低雑音増幅回路の出力端に接
続すると共にシールド被覆部を接地し、パッチアンテナ
で受信した小信号出力を低雑音増幅回路で増幅処理し、
同軸ケーブルによって伝送する構造を前提としている。
ここで本発明の特徴は、シールド用蓋体にアース端子を
一体的に形成しておき、印刷配線基板の裏面に直接パッ
チアンテナを取り付けると共に、前記シールド用蓋体を
印刷配線基板に直接半田付けして固定し、同軸ケーブル
のシールド被覆部を前記シールド用蓋体のアース端子に
接続固定した点にある。

【０００９】より具体的には、シールド用蓋体は、全体
がほぼ箱型で、その低雑音増幅回路の出力端側の側面の
下端縁から外向き水平に舌片部を一体的に形成し、該舌
片部の外側部分の両側に引起し片を設けた構造をなし、
該引起し片をかしめることで同軸ケーブルのシールド被
覆部を固定すると共にその部分が半田付けされ、前記シ
ールド用蓋体の下端縁に設けた複数の固定用突起を印刷
配線基板のアースに半田付けすることで接続固定する構
造が好ましい。

【００１０】

【発明の実施の形態】シールド用蓋体にアース端子を一
体的に形成し、該アース端子に同軸ケーブルのシールド
被覆部を接続することで、機械的に強固に結合できると
共に、シールド用蓋体に乗った雑音が直接同軸ケーブル
に伝達されるため、電気的な動作の信頼性が高まる。こ
の結果、構造が簡素化され、必要な部品点数も削減で
き、装置の小型化を図ることができる。

【００１１】

【実施例】図１は本発明に係るＧＰＳアンテナ装置及び
その同軸ケーブル接続構造を示す分解斜視図であり、図
２はその組立後の斜視図、図３は接続構造の部分拡大断
面図である。このアンテナ装置は、衛星の電波を受信す
るパッチアンテナ４０と、その小信号出力を増幅処理す
る低雑音増幅回路を搭載した印刷配線基板４２と、該低
雑音増幅回路を覆うように設けたシールド用蓋体４４を
具備している。基本的には、従来同様、パッチアンテナ
４０の小信号出力を、低雑音増幅回路により増幅処理
し、同軸ケーブル４６によって増幅信号を伝送する構成
である。本発明では、印刷配線基板４２の裏面に直接
（金属性アース板などを介在させず）パッチアンテナ４
０を取り付ける。また本発明では、シールド用蓋体４４
にアース端子５０を一体的に形成しておき、シールド用
蓋体４４を印刷配線基板４２に直接半田付けすることで
固定し、同軸ケーブル４６のシールド被覆部４６ａを前
記アース端子５０に接続固定すると共に、芯線部４６ｂ
を低雑音増幅回路の出力端５２に接続している。

【００１２】シールド用蓋体４４は、全体がほぼ箱型で
四隅部分を落としたような形状をなし、下端縁に複数
（ここでは３箇所）の位置決め用突起４４ａが下向きに
突設され、各隅部分の下端縁にはコの字状の半田付け用
突起４４ｄが水平外向きに突設されている。その他、２
箇所（図１の仮想線で示すブロック状部品に近接する位
置）に、水平に張り出すように小さなフランジ部４４ｅ
も形成されている。前記位置決め用突起４４ａを印刷配
線基板４２に形成した位置決め用穴４２ａに挿入し、各
半田付け用突起４４ｄとフランジ部分４４ｅを印刷配線
基板４２のアースパターンに半田付けすることで機械的
な固定と電気的接続（印刷配線基板４２のアースパター
ンへの接続）が同時に行われるようにしてある。なお、
シールド用蓋体４４として、四隅部分を落とした箱型形
状としたのは、各隅部分に固定に必要な大きさと形状を
もつ半田付け用突起４２ｄを形成するためである。

【００１３】アース端子５０は、シールド用蓋体４４
の、低雑音増幅回路の出力端側の側面の下端縁から外向
き水平に舌片部４４ｂを一体的に形成し、該舌片部４４
ｂの外側部分の両端に引起し片４４ｃを設けた構造であ
る。シールド用蓋体４４は、金属磁性材料からなり、ア
ース端子５０も含めて一体的に板金加工で製作されてい
る。そして図２及び図３からも分かるように、同軸ケー
ブル４６をシールド被覆部４６ａの位置で前記引起し片
４４ｃをかしめることで機械的に接続固定すると共に、
半田付けを施して電気的接続を確実にしている。

【００１４】パッチアンテナ４０の接続端子４０ａを印
刷配線基板４２のアンテナ入力用ランド４２ｂに挿入し
半田付けすることで、パッチアンテナ４０と印刷配線基
板４２は接続固定される。なお、印刷配線基板４２の裏
面は全てアース面となっている。パッチアンテナ４０
は、平板状の誘電体ブロックの両面に電極を形成したマ
イクロストリップアンテナであり、前記印刷配線基板４
２の裏面に密着するように取り付けられる。

【００１５】前述のように、シールド用蓋体４４の下端
縁から垂設した複数の位置決め用突起４４ａを印刷配線
基板４２の位置決め用穴４２ａに挿入することでシール
ド用蓋体４４の位置決めがなされ、半田付け用突起４４
ｄとフランジ部４４ｅを印刷配線基板４２のアースパタ
ーンに半田付けすることで接続固定がなされる。なおフ
ランジ部４４ｅは、仮想線で示されているブロック状部
品を強固に支持するために設けられている。そして同軸
ケーブル４６の芯線部４６ｂを低雑音増幅回路の出力端
５２に半田付け５４により接続し、シールド被覆部４６
ａをシールド用蓋体４４の引起し片４４ｃでかしめ止め
すると共に半田付け５５を行うことにより機械的並びに
電気的に確実に接続する。

【００１６】シールド用蓋体４４は、低雑音増幅回路の
発振信号が外部に漏洩するのを防止する機能を果たし、
前記のように金属磁性材料により製作されている。動作
中、シールド用蓋体４４に乗った雑音は、直接同軸ケー
ブル４６のシールド被覆部４６ａを介して確実に且つ最
短距離でアースされることになる。

【００１７】なお、上記の実施例はＧＰＳアンテナ装置
の場合であるが、本発明はそれに限らず、パッチアンテ
ナと低雑音増幅回路を組み合わせた各種のアンテナ装置
に適用できることは言うまでもない。

【００１８】

【発明の効果】本発明は上記のようにシールド用蓋体に
一体的にアース端子を形成したことにより、従来必要と
していた金属製アース板が不要となり、その分だけ小型
化できると共に、部品点数を少なくできる。またシール
ド用蓋体に乗った雑音は、直接且つ最短経路で同軸ケー
ブルのシールド被覆部に伝わるために、電気的な動作の
信頼性が高まる。更に、同軸ケーブルはシールド用蓋体
と一体的なアース端子で保持されるため、同軸ケーブル
に大きな引っ張り力が作用しても外れる虞れはなく、ケ
ーブル取り付けの機械的強度並びに信頼度は十分確保で
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す分解斜視図。

【図２】その組立斜視図。

【図３】その同軸ケーブル接続構造の要部の拡大断面
図。

【図４】従来技術の一例を示す分解斜視図。

【図５】その組立斜視図。

【符号の説明】

４０ パッチアンテナ ４２ 印刷配線基板 ４４ シールド用蓋体 ４６ 同軸ケーブル ５０ アース端子 ５２ 低雑音増幅回路の出力端

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 表面に低雑音増幅回路を搭載した印刷配
   線基板と、前記低雑音増幅回路を覆うように設けたシー
   ルド用蓋体と、前記印刷配線基板の裏面の側に設けたパ
   ッチアンテナとを具備し、同軸ケーブルの芯線部を前記
   低雑音増幅回路の出力端に接続すると共にシールド被覆
   部を接地し、パッチアンテナで受信した小信号出力を低
   雑音増幅回路で増幅処理し、同軸ケーブルによって伝送
   する構造において、 シールド用蓋体にアース端子を一体的に形成しておき、
   印刷配線基板の裏面に直接パッチアンテナを取り付ける
   と共に、前記シールド用蓋体を印刷配線基板に直接半田
   付けして固定し、同軸ケーブルのシールド被覆部を前記
   シールド用蓋体のアース端子に接続固定したことを特徴
   とするアンテナ装置の同軸ケーブル接続構造。
2. 【請求項２】 シールド用蓋体は、全体がほぼ箱型で、
   その低雑音増幅回路の出力端側の側面の下端縁から外向
   き水平に舌片部を一体的に突設し、該舌片部の外側部分
   の両側に引起し片を設けた構造をなし、該引起し片をか
   しめることで同軸ケーブルのシールド被覆部を固定する
   と共にその部分が半田付けされ、前記シールド用蓋体の
   下端縁に設けた固定用突起を印刷配線基板のアースに半
   田付けすることで固定接続されている請求項１記載のア
   ンテナ装置の同軸ケーブル接続構造。