JPH09203717A - 積層型酸素センサ及び積層型酸素センサ素子における溶射層の形成方法 - Google Patents

積層型酸素センサ及び積層型酸素センサ素子における溶射層の形成方法

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JPH09203717A
JPH09203717A JP8010241A JP1024196A JPH09203717A JP H09203717 A JPH09203717 A JP H09203717A JP 8010241 A JP8010241 A JP 8010241A JP 1024196 A JP1024196 A JP 1024196A JP H09203717 A JPH09203717 A JP H09203717A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】溶射層を有する積層型酸素センサ素子の損傷を
低減する。 【解決手段】センサ素子1の表面に溶射層12を形成す
る場合、センサ素子1の溶射面14とその非溶射面17
との間の温度差が所定値以下になる設定条件に基づき溶
射ガン15の駆動状態を制御し、又は、熱源によりセン
サ素子1の非溶射面17側を加熱し、又は、センサ素子
1の溶射面14側と非溶射面17側とを溶射熱により熱
媒体を介して同時に昇温して、溶射面14と非溶射面1
7との間の温度差を所定値以下(100℃以下)に維持
した状態で、溶射を行う。また、固体電解質シートと、
基底材シートと、それらの間で大気導入孔を形成する複
数の大気導入孔シートとを積層し、固体電解質シートの
両面に大気導入孔側の大気側電極と排気側電極を設け、
各大気導入孔シートの接着面積のうち、固体電解質シー
トから最も離れ且つ基底材シートに最も近い大気導入孔
シートの接着面積ほど、大きくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば内燃機関
の空燃比制御を行うために排気ガス中の酸素濃度を検出
する積層型酸素センサにおいて、センサ素子及びそのセ
ンサ素子に対する溶射層形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の酸素センサとしては、試験管型の
もの(例えば特開昭55ー57145号公報参照)や、
積層型のもの(例えば特開平2ー55943号公報参
照)が開発されている。いずれの酸素センサにおいて
も、排気側電極の保護やセンシングガスの保持等を目的
として、センサ素子の表面に溶射層が形成されている。
【0003】その場合、試験管型酸素センサ素子ではそ
の全周にスピネル(Al2 3 ーMgO)を溶射する
が、積層型酸素センサ素子では排気側電極を有する固体
電解質シートの表面にのみスピネルを溶射する。その溶
射時、センサ素子の表面に対し溶射ガンを左右方向へ移
動させながら上下方向へ繰り返し移動させる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記積層型酸素センサ
素子では、例えば、固体電解質シートと、基底材シート
と、それらの間で大気導入孔を形成する大気導入孔シー
トとが積層され、固体電解質シートの両面に大気導入孔
側の大気側電極と排気側電極とが設けられている。溶射
時、固体電解質シート側の溶射面と基底材シート側の非
溶射面で溶射による昇温レベルに差異が生じ、それらの
間に温度差が発生する。例えば、所定条件で溶射を行っ
た場合の温度履歴を図11に示す。その場合、溶射面で
はTmax(℃)まで昇温し、前記温度差ΔTmax
(℃)が約280℃にまで上がる。そのため、積層型酸
素センサ素子にクラックや剥がれが発生し易くなる。
【0005】本発明は、このクラックや剥がれ等の損傷
の発生を低減することを目的にしている。
【0006】
【課題を解決するための手段】第一発明にかかる積層型
酸素センサにおいては、積層型酸素センサ素子の溶射面
とその非溶射面との間の温度差を100℃以下に維持し
た状態で溶射を行って形成した溶射層を有している。
【0007】第二発明にかかる方法おいては、積層型酸
素センサの素子の表面に溶射層を形成する場合に、セン
サ素子の溶射面とその非溶射面との間の温度差を100
℃以下に維持した状態で、溶射を行う。
【0008】第三発明にかかる方法おいては、積層型酸
素センサの素子の表面に溶射層を形成する場合に、セン
サ素子の溶射面とその非溶射面との間の温度差が所定値
以下になる条件を設定し、その設定条件に基づき溶射ガ
ンの駆動状態を制御して溶射を行う。
【0009】第四発明にかかる方法おいては、積層型酸
素センサの素子の表面に溶射層を形成する場合に、熱源
によりセンサ素子の非溶射面側を加熱した状態で、溶射
を行う。
【0010】第五発明にかかる方法おいては、積層型酸
素センサの素子の表面に溶射層を形成する場合に、セン
サ素子の溶射面側と非溶射面側とを溶射熱により熱媒体
を介して同時に昇温する状態で、溶射を行う。
【0011】上記第一発明から第五発明は、溶射面と非
溶射面との間の温度差をできる限り小さくすることに着
目したものであるが、第六発明にかかる積層型酸素セン
サ素子は、その構造の改良に着目したものである。すな
わち、固体電解質シートと、基底材シートと、それらの
間で大気導入孔を形成する複数の大気導入孔シートとを
積層し、固体電解質シートの両面に大気導入孔側の大気
側電極と排気側電極を設けている。そして、前記各大気
導入孔シートの接着面積のうち、固体電解質シートから
最も離れ且つ基底材シートに最も近い大気導入孔シート
の接着面積ほど、大きくしている。
【0012】
【発明の実施形態】
〔請求項1,2,3に対応する第一実施形態〕まず、本
発明の第一実施形態にかかる積層型酸素センサ素子、並
びに、その溶射層を形成する方法を図1,2,3を参照
して説明する。
【0013】(図1に示す積層型酸素センサ素子1につ
いて)この積層型酸素センサ素子1は、固体電解質シー
ト2、大気導入孔シート3及び基底材シート4を互いに
積層して接着したものである。固体電解質シート2の大
気側面(裏面)において、大気側電極5が所定の電極パ
ターンで印刷により形成されている。この大気側電極5
は、一端部の検出部6と、これに接続して他端部まで延
設したリード部7とからなる。また、固体電解質シート
2の排気側面(表面)において、排気側電極8が所定の
電極パターンで印刷により形成されている。この排気側
電極8は、一端部の検出部9と、これに接続して他端部
まで延設したリード部10とからなる。基底材シート4
と固体電解質シート2との間で大気導入孔シート3の内
側空間には、排気ガス(燃焼ガス)と遮断する大気導入
孔11が形成されている。
【0014】前記積層型酸素センサ素子1においてその
固体電解質シート2の表面には排気側電極8の検出部9
を被覆する溶射層12(スピネル、Al2 3 ーMg
O)が形成されている。この溶射層12は、下記の各方
法により溶射を行って形成したものである。
【0015】(図2に示す溶射装置の概略について)一
枚の積層型酸素センサ素子1(溶射層12を形成する前
のもの)が、バイス13にセットされ、固体電解質シー
ト2の表面にある溶射面14が溶射ガン15に対向した
状態で、バイス13から上方へ突出している。固体電解
質シート2の表面のうちこの溶射面14以外の部分は、
マスク板16により溶射ガン15の溶射範囲から隠され
ている。基底材シート4の非溶射面17はこの溶射面1
4の反対側になる。
【0016】(上記図2の溶射装置を使用して行う溶射
方法について)図2(b)の一点鎖線で示すように、前
記溶射ガン15は、溶射面14の左縁14bの外方にあ
る反転位置Pと右縁14cの外方にある反転位置Pとの
間で水平方向へ所定移動距離(mm)だけ所定移動速度
(mm/sec)で往復移動しながら、溶射面14の上
縁14aの上方とマスク板16の上縁の下方との間で垂
直方向へ所定移動距離(mm)だけ所定移動速度(mm
/sec)で反復移動する。
【0017】下記表1は、NO.1〜7のサンプル(溶
射層12を形成する前の積層型酸素センサ素子1)につ
いて、被膜品質を悪化させないために、プラズマ電流5
00A、電圧80V、溶射距離150mm(溶射ガン1
5と溶射面14との間の距離)、溶射粉末供給量45g
r/minを一定溶射条件とし、前記溶射ガン水平移動
距離mm、前記溶射ガン移動速度mm/sec、前記溶
射ガン垂直移動距離mm、溶射ガン固定時間sec(前
記溶射ガン15の左右両反転位置Pでの停止時間)を変
更溶射条件として、溶射を行い、溶射面14と非溶射面
17との間の温度差ΔTmax(℃)を測定するととも
に、積層型酸素センサ素子1の損傷状況を判別したもの
である。
【0018】
【表1】 上記表1の検討結果により、前記温度差ΔTmaxを1
00℃以下に設定した場合にクラックや剥がれの損傷が
発生しないことを見い出すことができる。このΔTma
x≦100℃を達成するには、前記溶射ガン固定時間す
なわち積層型酸素センサ素子1の冷却時間を4sec以
上にする必要があることも合わせて判明した。
【0019】従って、積層型酸素センサ素子1の表面に
溶射層12を形成する場合において、溶射面14に対す
る非溶射時間すなわち積層型酸素センサ素子1の冷却時
間を所定時間(損傷が発生しない範囲での最小時間)以
上に設定できるように、溶射ガン15の駆動を制御すれ
ば、センサ素子1の溶射面14とその非溶射面17との
間の温度差ΔTmaxを100℃以下に維持した状態
で、溶射を行うことができる。この所定値100℃は各
種条件により異なるものと考えられる。
【0020】(図3に示す溶射装置の概略及びこれを使
用して行う溶射方法について)図3に示す溶射装置は、
図2に示す溶射装置と比較して、複数枚の積層型酸素セ
ンサ素子1を水平方向へ直線的に並設した点で異なり、
量産に適している。この場合、互いに隣接する両積層型
酸素センサ素子1において溶射面14の左右両縁14
b,14c間の間隔lは、両溶射層12のつながりを防
止するために、0.2mm以上に設定される。図3の一
点鎖線で示すように、溶射ガン15の移動パターンは、
図2の場合と同様である。図3の場合も、同一の積層型
酸素センサ素子1に対する溶射タイミング(溶射時間ピ
ッチ)すなわち溶射面14に対する非溶射時間(冷却時
間)を4sec以上に設定して、温度差ΔTmaxを1
00℃以下に維持した状態で、溶射を行う。
【0021】(図2,3に示すもの以外の溶射装置の概
略について)図示しないが、複数枚の積層型酸素センサ
素子を水平方向へ円周状に並設してその円周方向へ回転
可能にし、その円周方向の一側に面して溶射ガンを垂直
方向へのみ反復移動させる。
【0022】要するに、積層型酸素センサ素子と溶射ガ
ンとは、水平方向及び垂直方向へ互いに相対移動すれば
よく、各種構造の溶射装置を利用して溶射を行うことが
できる。
【0023】第一実施形態は下記(イ)〜(ロ)の特徴
を有する。 (イ) 損傷が発生しない範囲での所定最大温度差ΔT
max以下(例えば100℃以下)に維持した状態で溶
射を行うことにより、溶射層12を有する積層型酸素セ
ンサ素子1の損傷を有効に防止することができる。
【0024】(ロ) 積層型酸素センサ素子1の溶射面
14とその非溶射面17との間の温度差ΔTmaxが所
定値以下か否かを推定する。ここに推定とは、「溶射装
置の各種溶射条件や積層型酸素センサ素子1の構造条件
などを予め設定し、その条件で実際に溶射を行い、どの
条件で温度差ΔTmaxが所定値以下になるかを求め、
その条件では所定値以下になると予測する」ことを意味
する。例えば、前述したように、所定条件のもとで溶射
を行った場合、ΔTmax≦100℃を達成するには、
溶射ガン固定時間(非溶射時間、溶射タイミング、溶射
時間ピッチ、積層型酸素センサ素子1の冷却時間)を4
sec以上にする必要があることを意味し、この「4s
ec以上」が温度差管理上必要な設定条件になる。そし
て、この設定条件「4sec以上」に基づき、溶射ガン
15の駆動状態を前述したように制御して溶射を行う。
従って、ΔTmax≦100℃を必ず満たすか否かは不
明だが、温度差ΔTmaxが小さくなることは確実であ
り、溶射層12を有する積層型酸素センサ素子1の損傷
を低減することができる。
【0025】〔請求項1,2,4に対応する第二実施形
態〕次に、本発明の第二実施形態にかかる積層型酸素セ
ンサ素子、並びに、その溶射層を形成する方法を図4を
参照して説明する。
【0026】積層型酸素センサ素子1の非溶射面17側
に対向して熱源18(例えばヒータやガスバーナ)を配
置する。そのほか、図示しないが、溶射粉末を供給する
前記溶射ガン15と同一の溶射ガン(溶射粉末供給な
し)を素子1を挟んで互いに対向させて熱源として配置
し、これらの溶射ガンを対向状態で同期させて移動させ
てもよい。
【0027】第二実施形態は下記(イ)〜(ロ)の特徴
を有する。 (イ) 溶射ガン15からの溶射熱とは別に、この熱源
18により非溶射面17側が加熱される。従って、積層
型酸素センサ素子1の溶射面14とその非溶射面17と
の間の温度差ΔTmaxが確実に小さくなり、溶射層1
2を有する積層型酸素センサ素子1の損傷を低減するこ
とができる。
【0028】(ロ) この熱源18を含めた溶射装置の
各種溶射条件や積層型酸素センサ素子1の構造条件など
を予め設定し、その条件で実際に溶射を行い、どの条件
で温度差ΔTmaxが所定値以下(例えば100℃以
下)になるかを求め、その条件では所定値以下になると
予測する。従って、この設定条件のもとでは、損傷が発
生しない範囲での所定最大温度差ΔTmax以下(例え
ば100℃以下)に維持した状態で溶射を行うことがで
き、溶射層12を有する積層型酸素センサ素子1の損傷
を有効に防止することができる。
【0029】〔請求項1,2,3に対応する第三実施形
態〕次に、本発明の第三実施形態にかかる積層型酸素セ
ンサ素子、並びに、その溶射層を形成する方法を図5,
6を参照して説明する。
【0030】図5(a)または図6(b)の一点鎖線で
示すように、溶射ガン15の移動パターンは、図2
(b)または図3の場合とほぼ同様である。そして、損
傷が発生しない範囲での所定最大温度差ΔTmax(各
種条件により異なるが、例えば100℃)以下で溶射を
行うと、溶射部12を有する積層型酸素センサ素子1の
損傷を有効に防止することができる点は、第一実施形態
で述べた通りである。下記の点で、第一実施形態または
第二実施形態と異なる。
【0031】(図5に示す溶射装置の概略及びこれを使
用して行う溶射方法について)図4に示す溶射装置(第
二実施形態)では、図2に示す溶射装置と同様に、溶射
面14の左右両縁14b,14cの外方が開放されてい
るため、この外方空間を通って溶射粒子が非溶射面17
側に至る。この非溶射面17側に面してヒータ等の熱源
18があると、この熱源18が溶射粒子の付着により悪
影響を受ける。
【0032】そこで、図2に示すマスク板16の上縁の
左右両側からマスク板19を溶射面14の左右両縁14
b,14cに沿って溶射面14の上縁14aの上方へ延
設した。この場合、溶射面14の上縁14aの真上は、
図示するように空間であっても、図示しないが同様なマ
スク板で閉塞してもよい。従って、このマスク板19に
より、熱源18に対する溶射粒子の付着を防止すること
ができる。溶射面14の左右両縁14b,14cと左右
両マスク板19との間の間隔lについては、溶射層12
のつながりを防止するために0.2mm以上に設定し、
溶射粒子付着防止効果を高めるために1mm以下に設定
する。
【0033】(図6に示す溶射装置の概略及びこれを使
用して行う溶射方法について)図3に示す溶射装置を一
対組み合わせて上下逆に設置し、上下両積層型酸素セン
サ素子1にあってそれらの溶射面14の上縁14aを互
いに対向させる。両上縁14a間の間隔lや、左右両縁
14b,14c間の間隔lについては、前述した理由に
より、0.2mm以上1mm以下に設定する。互いに隣
接する溶射面14が前記マスク板19の機能を果たす。
【0034】〔請求項1,2,5に対応する第四実施形
態〕次に、本発明の第四実施形態にかかる積層型酸素セ
ンサ素子、並びに、その溶射層を形成する方法を図7を
参照して説明する。
【0035】図4に示す第二実施形態においては溶射ガ
ン15からの溶射熱とは別の熱源18(ヒータ等)を利
用しているが、第四実施形態では溶射ガン15からの溶
射熱を直接利用する熱媒体としての反射板20をこの熱
源18に代えて配置する。そして、プラズマ炎15a
(溶射熱)は、積層型酸素センサ素子1の溶射面14側
から空気層を通ってこの反射板20で跳ね返り、さらに
空気層を通って同素子1の非溶射面17側に伝導され
る。従って、センサ素子1の溶射面14側と非溶射面1
7側とを溶射熱により同時に昇温させながら、非溶射面
17側を溶射熱により加熱して、溶射面14と非溶射面
17との間の温度差ΔTmaxを所定値以下に維持した
状態で、溶射を行うことができる。
【0036】第四実施形態は、第二実施形態の特徴
(イ)〜(ロ)と同様な特徴を有する。さらに、溶射時
に必然的に発生する溶射熱を有効に利用するので、溶射
熱とは別の熱源18を利用する場合と比較して、設備費
を削減することができる。
【0037】〔請求項1,2,5に対応する第五実施形
態〕次に、本発明の第五実施形態にかかる積層型酸素セ
ンサ素子、並びに、その溶射層を形成する方法を図8,
9を参照して説明する。
【0038】溶射時に必然的に発生する溶射熱を有効に
利用する点は、第四実施形態と同様であるが、第四実施
形態の反射板20に該当する熱媒体を下記のように変更
している。この第五実施形態も、第二実施形態の特徴
(イ)〜(ロ)と同様な特徴を有する。
【0039】(図8に示す熱媒体について)積層型酸素
センサ素子1の大気導入孔11は空気層であるため、そ
の熱伝導率は比較的低い。そのため、この空気層よりも
熱伝導率の高い熱伝導体21(例えば純銅)をこの大気
導入孔11(特に溶射面14及び非溶射面17に対応す
る部分)に治具として充填する。そして、溶射面14側
の熱は、この熱伝導体21を通って非溶射面17側に伝
導される。従って、センサ素子1の溶射面14側と非溶
射面17側とを溶射熱により同時に昇温させながら、非
溶射面17側をこの伝導熱により加熱して、溶射面14
と非溶射面17との間の温度差ΔTmaxを所定値以下
に維持した状態で、溶射を行うことができる。
【0040】(図9に示す熱媒体について)図8に示す
熱伝導体21に加え、積層型酸素センサ素子1の外側
に、溶射面14側の熱を非溶射面17側に伝導する熱伝
導体22(例えば純銅)を治具として追加する。この熱
伝導体22は、非溶射面17に当てがわれる部分と、溶
射面14と非溶射面17との間で基底材シート4及び大
気導入孔シート3の外側面に当てがわれて溶射面14の
左右両縁14b,14cに対向する部分とからなる。そ
して、溶射面14側の熱は、この熱伝導体22も通って
非溶射面17側に伝導される。
【0041】なお、前記大気導入孔11内の熱伝導体2
1を省略し、積層型酸素センサ素子1の外側にこの熱伝
導体22のみを設けてもよい。 〔請求項6に対応する第六実施形態〕次に、本発明の第
六実施形態にかかる積層型酸素センサ素子を図10を参
照して説明する。
【0042】前記第一実施形態から第五実施形態におい
ては、溶射面14と非溶射面17との間の温度差ΔTm
axを、損傷が発生しない範囲での所定値以下に維持す
るか、またはできるだけ小さくした状態で、溶射を行う
ことにより、溶射層12を有する積層型酸素センサ素子
1の損傷を低減することができる。
【0043】この第六実施形態では、例えば溶射時に固
体電解質シート2側と基底材シート4側との間で温度差
が生じた場合、同じく積層型酸素センサ素子1の損傷を
低減することを目的にして、下記に詳述するように大気
導入孔シート3の構造を改良している。
【0044】(図12に示す従来の積層型酸素センサ素
子1について)この積層型酸素センサ素子1は、大気導
入孔シート3の枚数及び溶射層12の形成方法を除いて
図1に示す積層型酸素センサ素子1と同様である。この
各シート3の接着面積はいずれも同一になっている。
【0045】溶射時に生じる溶射面14と非溶射面17
との間の温度差により、固体電解質シート2から最も離
れ且つ基底材シート4に最も近いシート3において、図
示する角部Sから亀裂が発生し易い。
【0046】(図10に示す第六実施形態の積層型酸素
センサ素子1について)第六実施形態の積層型酸素セン
サ素子1は、大気導入孔シート3の枚数及び形状を除い
て図1に示す積層型酸素センサ素子1と同様である。
【0047】大気導入孔シート3は、基底材シート4か
ら最も離れ且つ固体電解質シート2に最も近い電極側シ
ート23と、基底材シート4に最も近い底側シート25
と、これらのシート23,25間の中間シート24とを
互いに積層したものである。この電極側シート23、中
間シート24及び底側シート25は、それぞれ、断面コ
字形状の枠体であり、前記溶射面14の上縁14aに沿
って延びる上枠部23a,24a,25aと、この上枠
部23a,24a,25aの左右両端から溶射面14の
左右両縁14b,14cに沿って延びる左右両側枠部2
3b,24b,25bとにより形成されている。
【0048】ちなみに、前記上枠部23a,24a,2
5aにおいて溶射面14の上縁14aに沿って延びる方
向の幅の半分をm4 、前記左右両側枠部23b,24
b,25bにおいて溶射面14の上縁14aに沿って延
びる方向の幅をそれぞれm23,m24,m25、前記上枠部
23a,24a,25aにおいて溶射面14の左右両縁
14b,14cに沿って延びる方向の幅をそれぞれ
23,n24,n25とした場合、下記の関係を満足するよ
うになっている。
【0049】 m4 >m25≧(3/4)m4 、m4 >n25≧(3/4)m4 25>m24≧(3/4)m25、n25>n24≧(3/4)n2524>m23≧(3/4)m24、n24>n23≧(3/4)n24 すなわち、各シート23,24,25を段差状に積層
し、各シート23,24,25の接着面積のうち、固体
電解質シート2から最も離れ且つ基底材シート4に最も
近いものの接着面積ほど、大きくなっている。換言すれ
ば、基底材シート4から最も離れ且つ固体電解質シート
2に最も近いものの接着面積ほど、小さくなっている。
【0050】第六実施形態は下記(イ)〜(ロ)の特徴
を有する。 (イ) 溶射時に生じる溶射面14と非溶射面17との
間の温度差により、固体電解質シート2から最も離れ且
つ基底材シート4に最も近い底側シート25において、
亀裂が発生し易いことに鑑み、この底側シート25の接
着面積を最も大きくした。従って、積層型酸素センサ素
子1の剛性や接着強度を向上させることができる。ま
た、各シート23,24,25の各角部Sにアールを形
成すれば、応力集中を防止して、積層型酸素センサ素子
1の損傷をより一層低減することができる。さらに、固
体電解質シート2に最も近い電極側シート23におい
て、固体電解質シート2に対する大気側電極5の印刷面
積や、大気導入孔11の容積を大きくすることができ
る。
【0051】(ロ) 上記(イ)の効果を確認するため
に、前記条件(m25/m4 )の異なるNO.1〜10の
サンプル(溶射層12を形成する前の積層型酸素センサ
素子1)について、プラズマ電流500A、電圧80
V、溶射距離150mm(溶射ガン15と溶射面14と
の間の距離)、溶射粉末供給量40gr/min(溶射
粉末;スピネル、Al2 3 ーMgO)、溶射ガン垂直
移動距離2mm、溶射ガン水平移動距離140mm、溶
射ガン移動速度3600mm/secで、溶射を行い、
厚み100μmの溶射層12を形成した。そして、積層
型酸素センサ素子1に発生する損傷(剥がれ、割れ、ク
ラックなど)を下記のように判別した。
【0052】 m25/m4 =1/4の場合; NO.1〜10のサンプルすべてに発生 m25/m4 =2/4の場合; 上記サンプル中の5個に発生 m25/m4 =3/4の場合; 発生せず m25/m4 =4/4の場合; 発生せず なお、第六実施形態において、大気導入孔シート3の枚
数を適宜変更してもよい。
【0053】〔他の技術的思想〕各実施形態から把握で
きる技術的思想(請求項以外)を効果と共に記載する。 (イ) 請求項6にかかる積層型酸素センサ素子の溶射
面に対し、請求項2〜5にかかる溶射層形成方法によ
り、溶射を行う。従って、溶射層を有する積層型酸素セ
ンサ素子の損傷をより一層低減することができる。
【0054】
【発明の効果】各発明によれば、溶射層を有する積層型
酸素センサ素子の損傷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は第一実施形態から第五実施形態にか
かる積層型酸素センサ素子を示す斜視図であり、(b)
は同じく断面図である。
【図2】 第一実施形態の積層型酸素センサ素子におい
て溶射層の形成方法を示す説明図である。
【図3】 第一実施形態の積層型酸素センサ素子におい
て溶射層の形成方法を示す説明図である。
【図4】 第二実施形態の積層型酸素センサ素子におい
て溶射層の形成方法を示す説明図である。
【図5】 (a)は第三実施形態の積層型酸素センサ素
子において溶射層の形成方法を示す説明図であり、
(b)は同じく溶射層形成方法を示す(a)のAーA線
断面図である。
【図6】 第三実施形態の積層型酸素センサ素子におい
て溶射層の形成方法を示す説明図である。
【図7】 (a)は第四実施形態の積層型酸素センサ素
子において溶射層の形成方法を示す説明図であり、
(b)は同じく溶射層形成方法を示す(a)のBーB線
断面図である。
【図8】 (a)は第五実施形態の積層型酸素センサ素
子において溶射層の形成方法を示す説明図であり、
(b)は同じく溶射層形成方法を示す(a)のCーC線
断面図である。
【図9】 (a)は第五実施形態の積層型酸素センサ素
子において溶射層の形成方法を示す説明図であり、
(b)は同じく溶射層形成方法を示す(a)のDーD線
断面図である。
【図10】 (a)は第六実施形態の積層型酸素センサ
素子を示す部分断面図であり、(b)は(a)のEーE
線断面図であり、(c)は(a)のFーF線断面図であ
る。
【図11】 従来の方法により積層型酸素センサ素子の
溶射層を形成する場合に溶射面及び非溶射面の温度履歴
を示すグラフである。
【図12】 (a)は従来の積層型酸素センサ素子を示
す部分断面図であり、(b)は(a)のGーG線断面図
であり、(c)は(a)のHーH線断面図である。
【符号の説明】
1…積層型酸素センサ素子、2…固体電解質シート、3
…大気導入孔シート、4…基底材シート、5…大気側電
極、6…排気側電極、11…大気導入孔、12…溶射
層、14…溶射面、15…溶射ガン、17…非溶射面、
18…熱源、20…熱媒体としての反射板、21,22
…熱媒体としての熱伝導体。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 積層型酸素センサ素子の溶射面とその非
    溶射面との間の温度差を100℃以下に維持した状態で
    溶射を行って形成した溶射層を有することを特徴とする
    積層型酸素センサ。
  2. 【請求項2】 積層型酸素センサの素子の表面に溶射層
    を形成する方法において、センサ素子の溶射面とその非
    溶射面との間の温度差を100℃以下に維持した状態
    で、溶射を行うことを特徴とする積層型酸素センサ素子
    における溶射層の形成方法。
  3. 【請求項3】 積層型酸素センサの素子の表面に溶射層
    を形成する方法において、センサ素子の溶射面とその非
    溶射面との間の温度差が所定値以下になる条件を設定
    し、その設定条件に基づき溶射ガンの駆動状態を制御し
    て溶射を行うことを特徴とする積層型酸素センサ素子に
    おける溶射層の形成方法。
  4. 【請求項4】 積層型酸素センサの素子の表面に溶射層
    を形成する方法において、熱源によりセンサ素子の非溶
    射面側を加熱した状態で、溶射を行うことを特徴とする
    積層型酸素センサ素子における溶射層の形成方法。
  5. 【請求項5】 積層型酸素センサの素子の表面に溶射層
    を形成する方法において、センサ素子の溶射面側と非溶
    射面側とを溶射熱により熱媒体を介して同時に昇温する
    状態で、溶射を行うことを特徴とする積層型酸素センサ
    素子における溶射層の形成方法。
  6. 【請求項6】 固体電解質シートと、基底材シートと、
    それらの間で大気導入孔を形成する複数の大気導入孔シ
    ートとを積層し、固体電解質シートの両面に大気導入孔
    側の大気側電極と排気側電極を設けた積層型酸素センサ
    素子において、 前記各大気導入孔シートの接着面積のうち、固体電解質
    シートから最も離れ且つ基底材シートに最も近い大気導
    入孔シートの接着面積ほど、大きくしたことを特徴とす
    る積層型酸素センサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002323473A (ja) * 2001-04-24 2002-11-08 Denso Corp ガスセンサ素子の製造方法及び溶射装置
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