JPH09203509A - 偏平ガス機器用バーナ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 騒音の小さい偏平ガス機器用バーナの提供。 【解決手段】 主炎を発生する主バーナと、主バーナの
両側の袖火バーナとからなる。主バーナは主火口１３と
第１混合気導入部とからなる。主火口１３を形成する一
対のスリット板２と、スリット板２を上部に挟むと共に
第１混合気導入部を形成する側壁板３とを備える。側壁
板３には、袖火バーナを形成する側壁板覆い５が被せら
れる。スリット板２は外側帯状金属板２０と内側帯状金
属板２４とからなる。内側帯状金属板２４間の距離Ｌ１
は、隣り合う外側帯状金属板２０と内側帯状金属板２４
との間の距離Ｌ２に対して０．７５×Ｌ２の大きさであ
り、スリット板２の下方の流路の厚さ方向の中央部を通
過する動圧および流量の大きい混合気は、狭い内側火口
内流路２００を通過するため上下方向に効率的に整流さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、給湯器等に使用さ
れるガス機器用バーナの低騒音化に関する。

【０００２】

【従来の技術】給湯器等に用いられるガス機器用バーナ
は、偏平な主バーナの主火口の両側に、該主火口を挟ん
だ偏平な袖火口を形成する袖火バーナを設けている。

【０００３】そして、主バーナと袖火バーナとに別個の
ノズルから燃料ガスを供給し、主火口で理論空燃比を有
する燃料空気混合気より燃料の希薄な燃料空気混合気
（以下エアリッチ混合気という）を燃焼させ、袖火口で
理論空燃比を有する燃料空気混合気より燃料の濃い燃料
空気混合気（以下ガスリッチ混合気という）を燃焼させ
る（いわゆる濃淡燃焼）ことにより、全体を均一な混合
気で燃焼させた場合に、１２０ｐｐｍ程排出されている
窒素酸化物（ＮＯｘ）を４０〜６０ｐｐｍに低減でき
る。

【０００４】また、主火口は燃焼速度の大きい淡火炎を
生ずるエアリッチ混合気を整流するための４枚以上のス
リット板を等間隔で互いに平行に配置することにより、
複数の偏平な流路に区画されている。さらに主バーナの
流路は、主火口から流出するエアーリッチ混合気の流速
が主バーナの幅方向に均一な分布となるように主火口の
直前部が主バーナの厚さ方向に主バーナの両側から絞ら
れた絞り部となっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記の構成のガス機器
用バーナでは、主火口の幅方向に直角である厚さ方向に
おけるエアリッチ混合気の流速分布が中央程大きいこと
が火炎の振動の要因となり騒音の原因となっていた。本
発明の目的は、騒音の小さい偏平ガス機器用バーナを提
供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、偏平な主バー
ナの主火口の両側に、該主火口を挟んだ偏平な袖火口を
形成する袖火バーナを設け、主バーナと袖火バーナとに
別個のノズルから燃料ガスを供給する偏平ガス機器用バ
ーナであって、前記主バーナは、該主バーナの一側から
燃焼用の混合気を吸入するための入口流路と、前記主バ
ーナの上端に設けられている前記主火口に前記混合気を
流出させる出口流路と、前記入口流路と前記出口流路と
を連絡する中間流路と、前記出口流路に設けられ、前記
主火口から噴出する前記混合気を前記主火口の全幅に沿
って均一化させるように、前記主バーナの両側壁を内側
に対称的に膨出させて形成した間隙からなる絞り部と、
前記絞り部の下流の前記出口流路に介装され、前記出口
流路を幅方向に区隔する４枚以上の整流板とを備える偏
平ガス機器用バーナにおいて、前記整流板間の間隔は、
前記主火口の内側のもの程狭いことを特徴とする偏平ガ
ス機器用バーナを技術的手段として採用する。

【０００７】

【発明の実施の形態】次に、本発明の偏平ガス機器用バ
ーナを、図に示す一実施形態に基づき説明する。本実施
形態では複数のガス機器用バーナを給湯器用加熱源に用
いる。

【０００８】〔ガス機器用バーナの構成〕複数の偏平ガ
ス機器用バーナ１が所定の間隔で枠体に列設され固定さ
れている。各偏平ガス機器用バーナ１は、主炎を発生す
る主バーナ１１と、主バーナ１１の両側に袖火の炎を発
生させる袖火バーナ１２とで構成される。主バーナ１１
は細長い主火口１３と主火口１３へ下方から混合気を導
入する偏平な第１混合気導入部１４とからなる。袖火バ
ーナ１２は、主火口１３の両側に帯状の空間を隔てて配
される偏平なスリット状の袖火口１５と袖火口１５へ下
方から混合気を導入する第２混合気導入部１６とからな
る。

【０００９】主バーナ１１は、主火口１３を形成する一
対の対接したスリット板２と、スリット板２を上部に挟
んで側壁をなし第１混合気導入部１４を形成し主火口１
３への混合気を吸入する側壁板３とを備える。そして側
壁板３には、側壁板３と共に袖火バーナ１２を形成する
側壁板覆い５が被せられている。側壁板３は金属板に膨
出加工を施し折り曲げて２重に重ね、折り曲げによって
生じた折り曲げ部３１が下端となり一対のスリット板２
を挟む細長い開口３２（図４参照）が上端となる面対称
な形状に成形されている。

【００１０】側壁板３の上部には一対のスリット板２を
挟むための水平方向の内側へ膨出した膨出条３３（図６
（ｄ）参照）が形成されている。また側壁板３の上部の
開口３２の幅方向の両端にはスリット板２の端部を差し
込むための第１緊縛間隙３４が設けられている。そして
膨出条３３の内側の上部とスリット板２の外側面２０２
と側壁板３の膨出条３３の上方の内側面３５とが帯状の
空間を囲む盲空隙としての区画部３６を形成する。側壁
板３の上下方向の端縁部３７は、それぞれ２つの平板状
の辺部が重ねられている。

【００１１】一方の端縁部３７は下方部分に取付け用の
切欠き３８が設けられ上方部分は一方の辺部の上方部に
張出し部３９が設けられ、この張出し部３９が折り曲げ
られて他方の辺部の上方部に重ねられて２つの辺部の上
方部を圧着している。また他方の端縁部３７は一方の辺
部の中央から下方に渡って張出し部３９が設けられ、張
出し部３９が折り曲げられて他方の辺部の中央から下方
にわたって重ねられて２つの辺部を圧着している。さら
に一方の端縁部３７の上方部分と他方の端縁部３７の中
央部分および下方部分とにはスポット溶接が施されてい
る。

【００１２】側壁板３は下部に第１混合気導入部１４
と、袖火口１５への混合気を吸入する袖火バーナ１２用
吸入部３００とが外側へ膨出して形成されている。第１
混合気導入部１４は、切欠き３８側の一方の端縁部３７
の下方に設けられた主バーナ用吸入口４と主バーナ用吸
入口４から水平に伸び他方の端縁部３７近傍において上
方へ湾曲する下方流路４０とを有する（主バーナ用吸入
口４、下方流路４０が本発明の入口流路に相当する）。
下方流路４０の上部には下方流路４０の上端と水平な水
平段４１１を介して連通する下方流路４０より厚さの薄
い中間流路４１が設けられている。

【００１３】中間流路４１の上部には、傾斜段４２１を
介して中間流路４１の上端に接続され、他方の端縁部３
７から一方の端縁部３７に至ると共に中間流路４１より
厚さの薄い上方流路４２が設けられている。この上方流
路４２の上部には、一方の端縁部３７側から他方の端縁
部３７側に向けて厚さが薄くなるテーパ付出口４３が形
成され（図８参照）主火口１３に接続している（上方流
路４２、テーパ付出口４３、側壁板３の上部が本発明の
出口流路に相当し、テーパ付出口４３が本発明の絞り部
に相当する）。

【００１４】袖火バーナ１２用吸入部３００は、主バー
ナ用吸入口４の上方に設けられた袖火バーナ１２用吸入
口３０１と、袖火バーナ１２用吸入口３０１から水平に
伸び筒状のスロートを形成するスロート部３１０とから
なる。スロート部３１０の端部の両側の外表面には、傾
斜した細長い平面部３１１がそれぞれ設けられており、
平面部３１１には混合気を排出する小穴３１２が３個ず
つ列設されている。

【００１５】側壁板覆い５は、金属板の中央部に全幅に
渡って一列に５つの矩形の打ち抜き部５０を連設しこの
打ち抜き部５０の列の両側に膨出加工を施して第１膨出
部５１をなし、打ち抜き部５０の列の両側を折り曲げて
略コ字状の面対称に形成される。打ち抜き部５０の列が
側壁板３の上部に重なり主火口１３、区画部３６、袖火
口１５が打ち抜き部５０から露出し、第１膨出部５１が
側壁板３の両側面を覆う。第１膨出部５１の上部には、
第１緊縛間隙３４に外接する第２緊縛間隙５６が形成さ
れている。そして側壁板３の端縁部３７に重なる側壁板
覆い５の端部の平板部５７が側壁板３にスポット溶接さ
れる。

【００１６】第１膨出部５１は、側壁板３を包んでスリ
ット状の袖火口１５を主火口１３の両側に形成する。ま
た第１膨出部５１はテーパ付出口４３、上方流路４２、
袖火バーナ１２用吸入部３００を包んで袖火バーナ１２
用吸入口３０１から小穴３１２を経て袖火口１５に至る
袖火口用流路５２を主バーナ１１の両側に形成して第２
混合気導入部１６を形成する。第１膨出部５１は中央部
に略切欠き円状の下方に凸な輪郭をなし側壁板３の上方
流路４２の部分に接触する第１凹所５３が設けられ、上
部には側壁板３に接触すると共に袖火口１５を幅方向に
５分割する４つの縦方向に長い第２凹所５４が設けられ
ている。

【００１７】第１膨出部５１の上部の両端には、側壁板
３に接触する横長の第３凹所５５がそれぞれ設けられて
いる。そして第１膨出部５１は中間流路４１側の下端部
が水平段４１１に当接して下方流路４０より薄い中間流
路４１に重なり、側壁板覆い５の厚さによる側方への突
出を軽減している。主バーナ１１のスリット板２は、金
属板に打ち抜きと膨出成形を施し２重に折り曲げること
により、図５（ａ）の正面図、（ｂ）の背面図、（ｃ）
の上面図に示すように形成される。

【００１８】これによりスリット板２は、主火口１３の
外側を形成する外側帯状金属板２０（本発明の整流板）
と、主火口１３の内側を形成する内側帯状金属板２４
（本発明の整流板）とで構成され、外側帯状金属板２０
と内側帯状金属板２４の各２枚共同一の形状と大きさに
製作される。外側帯状金属板２０は、下縁に内側帯状金
属板２４の下縁と連結する４つの連結部分２１を有す
る。また各連結部分２１の上部には内側へ膨出する上下
方向に長い第２膨出部２２が形成され、各第２膨出部２
２の上部には第２膨出部２２と分離した内側へ膨出する
上下方向に長い第３膨出部２３が第２膨出部２２と同じ
高さに形成され上縁に達している。

【００１９】内側帯状金属板２４は、外側帯状金属板２
０よりも高さが高く、上縁が外側帯状金属板２０の上縁
と揃い下縁は外側帯状金属板２０の下縁よりも下方に延
長した位置にある。そして内側帯状金属板２４は、各連
結部分２１の上部に内側へ膨出する円形の輪郭の第４膨
出部２５が形成されている。また、各第４膨出部２５の
上部には第４膨出部２５と分離した内側へ膨出する上下
方向に長い第５膨出部２６が第４膨出部２５と同じ高さ
に形成され上縁に達している。また、各連結部分２１の
間の上下方向の中央よりやや下方よりの位置には上下方
向に細長い輪郭の第６膨出部２７が第４、第５膨出部２
５、２６より低い高さで形成される。さらに内側帯状金
属板２４の主火口１３の幅方向の両端には、第１緊縛間
隙３４に差し込むための突出板２８が設けられている。

【００２０】そして、図６および図７に示すように第２
膨出部２２の内側面が第４膨出部２５の外側面に当接
し、第３膨出部２３の内側面が第５膨出部２６の外側面
に当接することにより外側帯状金属板２０と内側帯状金
属板２４との間に中央で水平方向に連通した５つの上下
方向の外側火口内流路２９が形成される。

【００２１】さらにそれぞれのスリット板２の内側帯状
金属板２４が対接することにより、第４膨出部２５同士
と第５膨出部２６同士とがそれぞれ当接し下縁と中央部
で連通した５つの上下方向の内側火口内流路２００が形
成される。内側火口内流路２００は対向した第６膨出部
２７により２つの上下方向流路２０１からなる。また、
対接した内側帯状金属板２４間の距離Ｌ１は、隣り合う
外側帯状金属板２０と内側帯状金属板２４との間の距離
Ｌ２に対して０．７５×Ｌ２の大きさであり、内側火口
内流路２００は外側火口内流路２９に比べて偏平な狭い
流路となっている。

【００２２】〔実施形態の作動および効果〕本実施形態
の偏平ガス機器用バーナ１は、主バーナ１１の上方流路
４２とテーパ付出口４３とが主火口１３へ混合気をバー
ナ１の長手方向（幅方向）に流量が均一的になるように
導く。そして主火口１３内の流路は長手方向に連通して
いるため、主火口１３に流入する混合気の流量はさらに
偏りが少なくなるよう均一化される。また主火口１３は
５分割され、第６膨出部２７が付加されているため主火
口１３内の混合気の流路が上下方向に細長くなり混合気
の流れが上下方向に整流される。

【００２３】さらに、スリット板２の下方の流路の厚さ
方向の中央部を通過する動圧および流量の大きい（図６
（ｅ）の動圧分布ｐ参照）混合気は、狭い内側火口内流
路２００を通過するため上下方向に効率的に整流され
る。以上より主火口１３の火炎は上下方向の真っ直ぐな
ものとなる。このため主火口１３の火炎はリフトの発
生、消滅や横振れによる振動を抑制され安定化する。こ
のため主火口１３における騒音発生が極めて少ない。

【００２４】また、側壁板覆い５に第１凹所５３が設け
られているため袖火口用流路５２から袖火口１５に至る
混合気が均一になり、袖火口１５が５分割されているた
め袖火口１５の火炎も振動が抑制される。そして袖火口
１５の火炎は区画部３６により主火口１３の火炎に対し
保炎効果を生じる。この保炎効果により主火口１３の火
炎はさらに安定化し騒音発生が極めて少ない。

【００２５】偏平ガス機器用バーナ１の周波数に対する
騒音の大きさを従来の偏平ガス機器用バーナと比較した
結果を図９に示す。偏平ガス機器用バーナ１の騒音は、
図９の（ア）に示すように従来の偏平ガス機器用バーナ
の騒音（イ）に比べて、特に６００Ｈｚから１．５ｋＨ
ｚの範囲で低下（６ｄＢ）している。

【００２６】〔変形例〕外側帯状金属板および内側帯状
金属板の上下方向の長さは同じでもよい。主火口内に３
枚以上のスリット板を配したり、さらに単独の帯状金属
板を適宜組み合わせて主火口の仕切り間隔を主火口の内
側程狭くしてもよい。第４膨出部２５或いは第５膨出部
２６の数は４つに限らず任意の複数個でもよい。

【００２７】第６膨出部２７は第４膨出部２５の間或い
は第５膨出部２６の間に複数設けてもよい。第６膨出部
２７は第４、第５膨出部２５、２６と同じ高さに形成
し、対向する第６膨出部同士を当接させてもよい。第１
凹所５３の形状、位置、個数は混合気の袖火口１５への
均一な供給を促すよう適宜変更してもよい。

【００２８】

【発明の効果】本発明の偏平ガス機器用バーナでは、絞
り部の厚さ方向の中央部は動圧が大きく比較的流量の大
きい混合気は間隔の狭い整流板の間で間隔の広い整流板
の間よりも整流される度合が大きいため、主火口の厚さ
方向における流速分布が均一となって火炎は安定し、騒
音が生じない。

【図面の簡単な説明】

【図１】偏平ガス機器用バーナの斜視図である。

【図２】側壁板および側壁板覆いの正面図である。

【図３】偏平ガス機器用バーナの正面図である。

【図４】偏平ガス機器用バーナの平面図である。

【図５】スリット板の３面図である。

【図６】図３のＡ−Ａ断面および混合気の動圧分布を示
す図である。

【図７】図３のＢ−ＢおよびＣ−Ｃ断面図である。

【図８】図３のＤ−Ｄ断面図である。

【図９】騒音特性を示す図である。

【符号の説明】

１ 偏平ガス機器用バーナ ４ 主バーナ用吸入口（入口流路） １１ 主バーナ １２ 袖火バーナ １３ 主火口 １５ 袖火口 ２０ 外側帯状金属板（整流板） ２４ 内側帯状金属板（整流板） ３３ 膨出条（絞り部） ４０ 下方流路（入口流路） ４１ 中間流路 ４２ 上方流路（出口流路） ４３ テーパ付出口（絞り部） Ｌ１、Ｌ２ 距離（間隔）

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】偏平な主バーナの主火口の両側に、該主火
   口を挟んだ偏平な袖火口を形成する袖火バーナを設け、
   主バーナと袖火バーナとに別個のノズルから燃料ガスを
   供給する偏平ガス機器用バーナであって、 前記主バーナは、該主バーナの一側から燃焼用の混合気
   を吸入するための入口流路と、 前記主バーナの上端に設けられている前記主火口に前記
   混合気を流出させる出口流路と、 前記入口流路と前記出口流路とを連絡する中間流路と、 前記出口流路に設けられ、前記主火口から噴出する前記
   混合気を前記主火口の全幅に沿って均一化させるよう
   に、前記主バーナの両側壁を内側に対称的に膨出させて
   形成した間隙からなる絞り部と、 前記絞り部の下流の前記出口流路に介装され、前記出口
   流路を幅方向に区隔する４枚以上の整流板とを備える偏
   平ガス機器用バーナにおいて、 前記整流板間の間隔は、前記主火口の内側のもの程狭い
   ことを特徴とする偏平ガス機器用バーナ。