JPH0920228A - ブレーキ倍力システム - Google Patents

ブレーキ倍力システム

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JPH0920228A
JPH0920228A JP7173636A JP17363695A JPH0920228A JP H0920228 A JPH0920228 A JP H0920228A JP 7173636 A JP7173636 A JP 7173636A JP 17363695 A JP17363695 A JP 17363695A JP H0920228 A JPH0920228 A JP H0920228A
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JP
Japan
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brake
fluid pressure
hydraulic
chamber
increasing means
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JP7173636A
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English (en)
Inventor
Osamu Kanazawa
治 金沢
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Jidosha Kiki Co Ltd
Original Assignee
Jidosha Kiki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】圧力源の失陥時にマスタシリンダのブレーキ液
圧を増大するとともに、圧力源の正常時にこのブレーキ
液圧が不要に増大することを防止する。 【構成】ポンプ4正常でのブレーキ作動時、液圧倍力装
置3の倍力作用により、ブレーキがかけられる。倍力装
置3の作動液圧がアキュムレータ10に蓄圧され、かつ
作動液圧増圧バルブ11の作動によりアキュムレータ1
0の作動液圧が増圧されてブレーキ液圧増圧バルブ8の
室40に供給される。これにより、ブレーキ液圧増圧バ
ルブ8の増圧作用が不能となる。ポンプ4故障でのブレ
ーキ作動時に失陥検出バルブ12が作動してアキュムレ
ータ10の作動液圧が倍力装置3に供給され、倍力装置
3が倍力作用を行う。ポンプ4の故障かつアキュムレー
タ10の作動液圧の低下により倍力装置3の倍力作用が
行われないが、増圧バルブ11が非作動となるので、ブ
レーキ液圧増圧バルブ8の増圧作用が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液圧により大きなブレ
ーキ力を発生するブレーキ倍力システムに関し、特に圧
力源により液圧が失陥したときにも十分大きなブレーキ
液圧を発生させるブレーキ液圧増圧手段を有するととも
に、圧力源による液圧の正常時にこのブレーキ液圧増圧
手段が不要に作動するのを防止したブレーキ倍力システ
ムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車においては、運転者のブレ
ーキ踏力のみでは得ることのできない大きなブレーキ力
を必要とする場合や運転者のブレーキ踏力を軽減しよう
とする場合等のため、真空、圧縮空気あるいは液圧等の
圧力を用いることにより、大きなブレーキ力を得ること
ができるようにしたブレーキ倍力システムが用いられて
いる。
【0003】ところで、このようなブレーキ倍力システ
ムは、圧力源の流体圧が失陥すると、十分なブレーキ力
が得られなくなるおそれが生じる。このため、この圧力
源の失陥時には、ブレーキ操作部材の操作力を通常の場
合に比較して非常に大きくしなければならなくなる。そ
こで、圧力源の失陥時に、通常のブレーキ操作力でも比
較的大きなブレーキ力を得ることができるようにしたブ
レーキ倍力システムが特公平6ー29011号公報にお
いて提案されている。
【0004】図3は、この公報に開示されているブレー
キ倍力システムを示す図である。図中、131はブレー
キ倍力システム、132はブレーキペダル、133は液
圧ブースタ、134はマスタシリンダ、135はホイー
ルシリンダ、136はポンプ、137はアキュムレー
タ、138は増圧器、139は増圧ピストン、140は
開閉弁である。
【0005】図3に示すように、増圧ピストン139は
段付ピストンになっており、その左側大径部受圧面には
マスタシリンダ圧が作用するようになっているととも
に、右側段部受圧面には液圧ブースタ133の図示しな
い作動液圧室の液圧が作用するようになっている。
【0006】ブレーキ非作動時には、増圧ピストン13
9は図示の位置にあり、開閉弁140は開いている。圧
力源が正常であるとき、ブレーキペダル132を踏み込
むと、液圧ブースタ133の制御弁(不図示)が切り換
わって、液圧ブースタ133の作動液圧室(不図示)に
作動液が流入し、パワーピストン(不図示)が前進す
る。これによりマスタシリンダ134がブレーキ液圧を
発生し、このブレーキ液圧が増圧器138に送給され、
更に開いている開閉弁140を通ってホイールシリンダ
135に供給され、ホイールシリンダ135が作動して
ブレーキが作動する。このとき、増圧器138の増圧ピ
ストン139の左側大径部受圧面および右側小径部受圧
面にマスタシリンダ134のブレーキ液圧が作用すると
ともに、右側段部受圧面には液圧ブースタ133の作動
液圧室の液圧が作用するので、増圧ピストン139は移
動しない。したがって、開閉弁140が開いた状態に保
持され、マスタシリンダ134のブレーキ液圧は増圧器
138によって増圧されることなく、ホイールシリンダ
135にそのまま供給される。
【0007】圧力源が失陥すると、ブレーキペダル13
2を踏み込んでも、作動液圧室に作動液は流入しなく、
作動液圧室に液圧は上昇しない。パワーピストンは作動
液によっては前進しない。更にブレーキペダル132を
踏み込むことにより、パワーピストンがペダル踏力で前
進する。これにより、マスタシリンダ134がブレーキ
液圧を発生し、このブレーキ液圧が増圧器138に送給
され、更に開いている開閉弁140を通ってホイールシ
リンダ135に供給される。このとき、増圧器138の
増圧ピストン139の左側大径部受圧面および右側小径
部受圧面に作用するマスタシリンダ134のブレーキ液
圧は高い圧力となっているが、右側段部受圧面に作用す
る液圧ブースタ133の作動液圧室の液圧は低いので、
増圧ピストン139は右方へ移動し、開閉弁140が閉
じる。このため、マスタシリンダ134とホイールシリ
ンダ135とが遮断される。開閉弁140が閉じた後
は、増圧器138によってマスタシリンダ134のブレ
ーキ液圧が増圧比{(大径部受圧面積)/(小径部受圧
面積)}だけ増圧され、この増圧されたブレーキ液圧が
ホイールシリンダ135に供給される。これにより、圧
力源の失陥時、比較的小さなペダル踏力でも比較的大き
なブレーキ液圧を発生することができるようになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この公報に
開示されている液圧ブースタ133は、制御弁が非作動
時に閉じているとともに作動時に開くクローズドセンタ
型液圧倍力装置であるが、液圧倍力装置としては制御弁
が非作動時に開いているとともに作動時に開弁量が小さ
くなるかまたは閉じるオープンセンタ型液圧倍力装置が
ある。このオープンセンタ型液圧倍力装置を有するブレ
ーキ倍力システム141の一例として、図4および図5
に示すようなブレーキ倍力システムがある。図中、14
2はオープンセンタ型液圧倍力装置、143は入力軸、
144はパワーピストン、145は作動液圧室、146
は制御弁、147はスプリング室、148は出力軸およ
び149はフロースイッチ、150は非常用ポンプであ
る。また、図3と同じ構成要素には同じ符号を付す。
【0009】ブレーキ非作動時、ポンプ136から吐出
された作動液が作動液圧室145、制御弁146の隙
間、スプリング室147、フロースイッチ149を通っ
てリザーバへ自由に流動し、作動液圧室145の圧力は
上昇しなくほぼ0となっている。
【0010】ブレーキ作動時、ブレーキペダル132の
踏込により、入力軸143が前進し、制御弁146の隙
間が小さくなる。このため、制御弁146を流れる作動
液が絞られるので、作動液圧室145の圧力が上昇す
る。この作動液圧室145の上昇圧により、パワーピス
トン144が前進し、出力軸148を介してマスタシリ
ンダ134に出力する。
【0011】ポンプ136の故障時には、フロースイッ
チ149を流れる作動液の流量が所定値以下になると、
このスイッチ149がオンする。これにより、非常用ポ
ンプ150が作動して作動液が液圧倍力装置142に供
給されるので、ブレーキ作動が可能となる。
【0012】しかし、更にこの非常用ポンプ150も故
障してしまうと、前述の図3に示すブレーキ倍力システ
ムと同様に十分なブレーキ力が得られなくなるため、ブ
レーキペダル132のペダル踏力を通常の場合に比較し
て非常に大きくしなければならなくなる。また、非常用
ポンプ150およびフロースイッチ149を必要とする
ため、構造が複雑となるばかりでなく、コストが高くな
るという問題がある。
【0013】そこで、このようなブレーキ倍力システム
141にも図3に示すマスタシリンダ134のブレーキ
液圧より液圧倍力装置133の作動液圧室の圧力が小さ
いときに作動する増圧器138を設けることが考えられ
る。しかしながら、このオープンセンタ型液圧倍力装置
142においては、ブレーキ作動時にポンプ136から
の作動液の流れを単に絞るだけであるので、一般に作動
液圧室145の圧力がマスタシリンダ134のブレーキ
液圧より小さい。このため、ポンプ136または非常用
ポンプ150が正常である場合でも、ブレーキ作動時に
増圧器138が作動してブレーキ液圧が不要に増大して
しまうおそれがある。また、図3に示すクローズドセン
タ型液圧倍力装置133においても、作動液圧室の圧力
がマスタシリンダ134のブレーキ液圧よりも小さい場
合もあり得るので、この場合にも圧力源の正常状態での
ブレーキ作動時に増圧器138が作動してしまうおそれ
がある。
【0014】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、その目的は、圧力源の失陥時にマスタ
シリンダのブレーキ液圧を増大することができるととも
に、圧力源の正常時にマスタシリンダのブレーキ液圧が
不要に増大することを防止することのできる簡単な構造
で安価なブレーキ倍力システムを提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに、請求項1の発明は、リザーバ内に貯留された作動
液を吸込み吐出するポンプと、ブレーキ操作を行うブレ
ーキ操作手段と、前記ブレーキ操作手段の操作により前
記ポンプから給送される作動液が絞られて作動液圧室に
作動液圧を発生することにより出力するオープンセンタ
型の液圧倍力装置と、この液圧倍力装置の出力により作
動してブレーキ液圧を発生するマスタシリンダと、この
マスタシリンダからのブレーキ液圧が供給されることに
よりブレーキ力を発生するブレーキシリンダとを備えて
いるブレーキ倍力システムにおいて、更に前記作動液圧
を蓄圧するアキュムレータと、このアキュムレータの作
動液圧により作動してこの作動液圧を前記マスタシリン
ダの前記ブレーキ液圧より大きくなるように増圧した液
圧を出力する作動液圧増圧手段と、前記マスタシリンダ
と前記ブレーキシリンダとの間の通路に設けられ、前記
作動液圧増圧手段の出力液圧が前記マスタシリンダのブ
レーキ液圧より所定値小さくなったとき作動して前記ブ
レーキ液圧を増圧し前記ブレーキシリンダに供給するブ
レーキ液圧増圧手段と、前記アキュムレータと前記液圧
倍力装置の前記作動液圧室との間の通路に設けられ、前
記ポンプの正常時には閉じてこの通路を遮断していると
ともに前記ポンプの故障を検出したとき開いてこの通路
を連通する失陥検出バルブとを備えていることを特徴と
している。
【0016】また請求項2の発明は、前記ブレーキ液圧
増圧手段が、ブレーキ液圧増圧手段のハウジングと、こ
のブレーキ液圧増圧手段のハウジングに穿設された段付
孔に摺動可能に嵌合されて、この段付孔内に前記マスタ
シリンダに接続されたマスタシリンダ接続室と前記ブレ
ーキシリンダに接続されたブレーキシリンダ接続室と前
記作動液圧増圧手段に接続された作動液圧増圧手段接続
室とを区画形成するとともに前記マスタシリンダ接続室
に面する端部の有効受圧面積が前記ブレーキシリンダ接
続室に面する端部の有効受圧面積より小さく設定され、
更に前記作動液圧増圧手段接続室に前記作動液圧増圧手
段の出力液圧が供給されたときに作動不能となるブレー
キ液圧増圧手段の段付ピストンと、このブレーキ液圧増
圧手段の段付ピストンに穿設された前記マスタシリンダ
接続室と前記ブレーキシリンダ接続室とを連通するブレ
ーキ液圧増圧手段の通路と、このブレーキ液圧増圧手段
の通路に設けられ前記ブレーキ液圧増圧手段の段付ピス
トンの非作動時開いて前記ブレーキ液圧増圧手段の通路
を連通するとともに前記ブレーキ液圧増圧手段の段付ピ
ストンの作動時閉じて前記ブレーキ液圧増圧手段の通路
を遮断する遮断弁とを備え、前記作動液圧増圧手段が、
作動液圧増圧手段のハウジングと、この作動液圧増圧手
段のハウジングに穿設された段付孔に液密にかつ摺動可
能に配設された作動液圧増圧手段の段付ピストンと、こ
の作動液圧増圧手段の段付ピストンの大径側により区画
形成されかつ前記アキュムレータの作動液圧が導入され
るアキュムレータ接続室と、前記作動液圧増圧手段の段
付ピストンの小径側により区画形成されかつ前記ブレー
キ液圧増圧手段に接続されるとともに前記作動液圧増圧
手段の段付ピストンの非作動時に前記リザーバに接続さ
れまた前記作動液圧増圧手段の段付ピストンの作動時に
前記リザーバから遮断されるブレーキ液圧増圧手段接続
室とを備え、前記失陥検出バルブが、失陥検出バルブの
ハウジングと、この失陥検出バルブのハウジングに穿設
された段付孔に液密にかつ摺動可能に配設された失陥検
出バルブの段付ピストンと、この失陥検出バルブの段付
ピストンの大径側により区画形成されかつ前記液圧倍力
装置の前記作動液圧室に常時接続されるとともに前記失
陥検出バルブの段付ピストンの作動時に前記アキュムレ
ータに接続される液圧倍力装置接続室と、前記失陥検出
バルブの段付ピストンの小径側により区画形成されかつ
前記マスタシリンダに常時接続されるマスタシリンダ接
続室とを備えていることを特徴としている。
【0017】更に請求項3の発明は、前記アキュムレー
タの作動液圧が第1所定値以下に低下したとき作動して
出力する圧力検知手段と、この圧力検知手段の作動によ
り警報を発する警報装置とを備えていることを特徴とし
ている。
【0018】更に請求項4の発明は、前記作動液圧増圧
手段が、前記アキュムレータの作動液圧が前記第1所定
値より小さい第2所定値以下に低下したとき非作動とな
るように設定されていることを特徴としている。
【0019】
【作用】このように構成された本発明にかかるブレーキ
倍力システムにおいては、ポンプの正常時には、作動液
圧増圧手段によりアキュムレータの作動液圧がマスタシ
リンダのブレーキ液圧より大きくなるように増圧されて
ブレーキ液圧増圧手段に作用される。これにより、ブレ
ーキ液圧増圧手段の増圧作用が不能となる。したがっ
て、オープンセンタ型液圧倍力装置において、ポンプの
正常状態でのブレーキ作動時にブレーキ液圧増圧手段の
増圧作用が不要に行われることが確実に防止される。
【0020】また、ポンプの故障時にはブレーキ操作手
段の操作力のみによりマスタシリンダがブレーキ液圧を
発生し、このブレーキ液圧により、失陥検出バルブが作
動する。これにより、アキュムレータの作動液圧が液圧
倍力装置に供給され、この作動液圧により液圧倍力装置
が倍力作用を行うようになる。したがって、マスタシリ
ンダのブレーキ液圧が増大され、ポンプの故障時にも必
要なブレーキ力が比較的軽い操作力で確実に得られるよ
うになる。
【0021】特に請求項3の発明においては、ポンプの
故障状態でアキュムレータの作動液圧が第1所定値以下
になったとき圧力スイッチがこれを検出して警報装置を
作動する。これにより警報装置が警報が発せられるよう
になる。
【0022】また請求項4の発明においては、ポンプの
故障状態でアキュムレータの作動液圧が第1所定値以下
になって警報が発せられているにもかかわらずそのまま
の状態で運転者が更にブレーキ作動を行うことにより、
アキュムレータの作動液圧が第1所定値より更に低下す
る。そして、アキュムレータの作動液圧が第1所定値よ
り小さい第2所定値以下になると、アキュムレータの作
動液圧による液圧倍力装置の倍力作用が行われなくな
る。しかし、アキュムレータの作動液圧が第2所定値以
下になったときには作動液圧増圧手段が非作動となり、
アキュムレータの作動液圧が増圧されなくマスタシリン
ダのブレーキ液圧より小さくなる。これにより、ブレー
キ液圧増圧手段が増圧作用を行うようになり、マスタシ
リンダのブレーキ液圧が増大される。したがって、ポン
プ故障時でアキュムレータの作動液圧が第2所定値以下
である場合でも、必要なブレーキ力が比較的軽い操作力
で確実に得られるようになる。
【0023】更に本発明においては、非常用ポンプ等の
構造が複雑でコストの高い部品を不要となり、ブレーキ
倍力システムの構造が簡単になるとともに、コストが低
減する。
【0024】
【実施例】以下、図面を用いて本発明の実施例について
説明する。図1は、本発明によるブレーキ倍力システム
の一実施例を模式的に示す図である。
【0025】図1に示すように、この実施例のブレーキ
倍力システム1は、ブレーキペダル2と、このブレーキ
ペダル2によって制御されてペダル踏力を倍力して出力
するオープンセンタ型の液圧倍力装置3と、この液圧倍
力装置3に作動液を給送するポンプ4と、液圧倍力装置
3によって作動されるマスタシリンダ5と、マスタシリ
ンダ5からのブレーキ液が供給されるブレーキシリンダ
6と、マスタシリンダ5およびブレーキシリンダ6間の
通路7に配設されたブレーキ液圧増圧バルブ8と、ポン
プ4の吐出側にチェックバルブ9を介して接続されてポ
ンプ4の吐出圧である後述する液圧倍力装置3の作動液
圧室の作動液圧を蓄圧するアキュムレータ10と、アキ
ュムレータ10に蓄圧された作動液圧を増圧してブレー
キ液圧増圧バルブ8に伝達する作動液圧増圧バルブ11
と、ポンプ4の故障を検出してアキュムレータ10に蓄
圧された作動液圧を液圧倍力装置3の作動液圧室に供給
する常閉の失陥検出バルブ12と、アキュムレータ10
に蓄圧されている作動液圧が所定値以下になったときオ
ンして警報装置13を作動する圧力スイッチ14とを備
えている。なお、15はポンプ4の故障時に失陥検出バ
ルブ12を通して液圧倍力装置3の作動液圧室に供給さ
れるアキュムレータ10の作動液圧がポンプ4の方へ漏
出するのを阻止するためのチェックバルブである。
【0026】図2に示すように液圧倍力装置3は、ブレ
ーキペダル2に連結される入力軸16と、ハウジング1
7内の孔に液密にかつ摺動自在に嵌合され、作動液圧室
18とスプリング室19とに区画形成するパワーピスト
ン20と、入力軸16に摺動可能に嵌挿された弁体21
と、パワーピストン20に形成された弁体21が着座可
能な弁座22と、弁体21および弁座22からなる制御
弁23と、パワーピストン20に一体に設けられパワー
ピストン20の出力をマスタシリンダ5のピストンに伝
達する出力軸24と、スプリング室20に配設されパワ
ーピストン20を常時ブレーキ非作動方向に付勢するリ
ターンスプリング25と、作動液圧室18に連通すると
ともにポンプ4および失陥検出バルブ12に接続される
ポンプ接続口26と、スプリング室19に連通するとと
もにリザーバ27に接続されるリザーバ接続口28と、
パワーピストン20に穿設され作動液圧室18と弁体2
1および弁座22間の弁隙間aとを連通する通路29
と、パワーピストン20に穿設され弁隙間aとスプリン
グ室19とを連通する通路30と、入力軸16に摺動可
能にかつ弁体21と対向して嵌挿されスプリング31に
よって常時弁体21方向に付勢されているスプリングリ
テーナ32と、弁体21を弁座22から常時離れる方向
に付勢しかつスプリング31よりばね力の小さいスプリ
ング33とを備えている。なお、34は入力軸16に形
成されたスプリングリテーナ32の軸方向移動を規制す
るストッパ、35はポンプ接続口26に設けられポンプ
4または失陥検出バルブ12から作動液圧室18に向か
う作動液の流れのみを許容するチェックバルブである。
そして、液圧倍力装置3は、その非作動時は図示の弁体
21と弁座22との間の隙間aが最大となる状態にされ
ている。
【0027】図1に示すようにブレーキ液圧増圧バルブ
8は、ハウジング36の段付孔に摺動可能に嵌合され、
マスタシリンダ5に接続されたマスタシリンダ接続室3
7とブレーキシリンダ6に接続されたブレーキシリンダ
接続室38と作動液圧増圧バルブ11に通路39を介し
て接続された作動液圧増圧バルブ接続室40とに区画形
成する段付ピストン41と、段付ピストン41に穿設さ
れマスタシリンダ接続室37とブレーキシリンダ接続室
38との間を連通する通路42と、この通路42に配設
された弁体43と段付ピストン41に固設された弁座4
4とからなり、通常時開いて両室37,38間の両方向
のブレーキ液の流れを許容しかつ段付ピストン41の移
動時に弁体43が弁座弁44に着座することにより閉じ
て室37と室38との連通を遮断する遮断弁45と、段
付ピストン41を常時非作動方向(図1において左方
向)に付勢するスプリング46とを備えている。段付ピ
ストン41の室37側の端部の有効受圧面積は段付ピス
トン41の室38側の端部の有効受圧面積より大きく設
定されている。
【0028】なお、段付ピストン41に設けられたカッ
プシールにより、室37から室40におよび室38から
室40にそれぞれ向かうブレーキ液の流れが阻止されて
いる。そして、ブレーキ液圧増圧バルブ8はその非作動
時は図示のように段付ピストン41が最も左方に位置し
弁体43がストッパ47に当接して遮断弁45が開いた
状態にされている。このブレーキ液圧増圧バルブ8は、
本発明のブレーキ液圧増圧手段を構成している。
【0029】作動液圧増圧バルブ11は、図1に示すよ
うにハウジング48と、ハウジング48内の段付孔を摺
動可能に嵌合され、アキュムレータ10に接続されたア
キュムレータ接続室49と通路39を介してブレーキ液
圧増圧バルブ8の室40に接続されたブレーキ液圧増圧
バルブ接続室50とを区画形成する段付ピストン51
と、段付ピストン51を常時非作動方向に付勢するスプ
リング52と、室50をリザーバ27へ接続する通路5
3と、段付ピストン51に設けられ室50と通路53と
の間の連通、遮断を制御するカップシール54とを備え
ている。
【0030】段付ピストン51は大径側の端面が室49
に面しているとともに、小径側の端面が室50に面する
ように配設されている。この段付ピストン51の大径側
の有効受圧面積と小径側の有効受圧面積との比は、ポン
プ4の正常状態のブレーキ作動時で作動液圧が室49に
供給されたとき室50に発生する液圧すなわちブレーキ
液圧増圧バルブ8の室40の液圧およびマスタシリンダ
のブレーキ液圧がともにブレーキ液圧増圧バルブ8の段
付ピストン41に作用したときに、この段付ピストン4
1が前進移動することのない値に設定されている。ま
た、カップシール54は段付ピストン51が図示の非作
動位置にあるとき図において通路53より上方に位置し
て、室50と通路53との間の相互の作動液の流れを許
容するとともに、段付ピストン51が作動したとき通路
53より下方に位置して室50から通路53に向かう作
動液の流れを阻止するようにされている。なお、55は
段付ピストン51の段部によって区画形成された環状
室、56は室49から環状室55に向かう作動液の流れ
を阻止するカップシール55と、57は環状室55をリ
ザーバ27に接続する通路である。
【0031】失陥検出バルブ12は、図1に示すように
ハウジング58と、ハウジング58内の段付孔を液密に
かつ摺動可能に嵌合され、マスタシリンダ5に接続され
たマスタシリンダ接続室59と液圧倍力装置3の作動液
圧室18に接続された失陥検出バルブ接続室60とを区
画形成する段付ピストン61と、段付ピストン61を常
時非作動方向に付勢するスプリング62と、アキュムレ
ータ10に接続されるハウジング58のアキュムレータ
接続口63と、段付ピストン61に穿設され一端側が室
60に常時開口するとともに他端側がアキュムレータ接
続口63に接続可能である通路64とを備えている。
【0032】段付ピストン61は小径側の端面が室59
に面しているとともに、大径側の端面が室60に面する
ように配設されている。その場合、段付ピストン61の
大小径側の各有効受圧面積は、ポンプ4の正常状態での
ブレーキ作動時に液圧倍力装置3に発生する作動液圧が
室60に導入されて大径側端面に作用しかつこの作動液
圧で作動し出力する液圧倍力装置3の倍力作用によりマ
スタシリンダ5が発生するブレーキ液圧が室59に導入
されて小径側端面に作用したときに段付ピストン61が
移動しない大きさに設定されているとともに、更に小径
側の有効受圧面積は、ポンプ4の故障状態でのブレーキ
作動時にブレーキペダル2の踏力のみにより発生するマ
スタシリンダ5のブレーキ液圧が室59に導入されて小
径側端面に作用しかつスプリング62のばね力に打ち勝
つ大きさになったときに段付ピストン61がスプリング
62のばね力に抗して移動する大きさに設定されてい
る。
【0033】また、通路64は段付ピストン61が図示
の非作動位置にあるときその他端側が図においてアキュ
ムレータ接続口63より左方に位置して、アキュムレー
タ接続口63と通路64との間が遮断されいるととも
に、段付ピストン61が右方へ移動したときその他端側
がアキュムレータ接続口63と整合してアキュムレータ
接続口63と通路64との間が連通するようにされてい
る。なお、65は段付ピストン61の段部によって区画
形成された環状室、66は環状室65を大気に連通する
通路である。
【0034】次に、このように構成された本実施例の作
用について説明する。図1および図2に示すブレーキ非
作動時には、液圧倍力装置3の制御弁23の弁隙間aが
最大となっている。したがって、ポンプ4から吐出され
る作動液は、ポンプ接続口26、作動液圧室18、通路
29、弁隙間a、通路30、スプリング室19およびリ
ザーバ接続口28を経てリザーバ27に流れる。すなわ
ち、ポンプ4の駆動により、リザーバ27の作動液は液
圧倍力装置3を通って再びリザーバ27に戻るという循
環流動している。また、液圧倍力装置3の作動液圧室1
8の作動液圧は上昇しないので、アキュムレータ10に
は作動液圧が蓄圧されない。したがって、作動液圧増圧
バルブ11の段付ピストン51は図示の非作動位置にあ
り、室50およびブレーキ液圧増圧バルブ8の室40が
リザーバ27に連通している。更に、マスタシリンダ5
がブレーキ液圧を発生していないので、失陥検出バルブ
12の段付ピストン61は図示の非作動位置にあり、ア
キュムレータ接続口63と通路64とは遮断している。
【0035】ブレーキペダル2を踏み込んでブレーキ作
動を行うと、入力軸16が前進するので、弁体21が弁
座22に接近し、弁隙間aがペダル踏力に応じて小さく
なる。このため、弁隙間aが小さくなり、弁隙間aを流
れる作動液が絞られる。これにより、作動液圧室18の
作動液圧が上昇し、パワーピストン20が前進する。こ
のパワーピストン20の前進により、出力軸24が前進
してマスタシリンダ5のピストンを前進させる。マスタ
シリンダ5はブレーキ液圧を発生し、このブレーキ液圧
が通路7、室37、ブレーキ液圧増圧バルブ8の通路4
2、開いている遮断弁45および室38を通ってブレー
キシリンダ6に供給され、ブレーキが作動する。
【0036】このとき、作動液圧室18の上昇した作動
液圧はチェックバルブ9を通ってアキュムレータ10に
蓄圧されるとともに、作動液圧増圧バルブ11の室49
に供給される。室49に供給される作動液圧により段付
ピストン51が下方へ移動して、カップシール54が通
路53より下方に位置するようになる。このため、室5
0が通路53すなわちリザーバ27と遮断するととも
に、室49の作動液圧の上昇にともない室50の液圧が
上昇する。この室50の液圧は、室50の作動液圧が
{(段付ピストン51の大径側の有効受圧面積)/(段
付ピストン51の小径側の有効受圧面積)}倍に増圧さ
れた圧力となる。この室50の液圧が通路39を通して
ブレーキ液圧増圧バルブ8の室40に供給され、ブレー
キ液圧増圧バルブ8の段付ピストン41の大径部と小径
ブレーキとの段部に左向きに作用するようになる。一
方、ブレーキ液圧増圧バルブ8の段付ピストン41に
は、室37におけるマスタシリンダ5のブレーキ液圧が
右向きに作用するとともに室38におけるマスタシリン
ダ5のブレーキ液圧が左向きに作用して、受圧面積の差
の分だけ室33のブレーキ液圧による力が段付ピストン
41に右向きに加えられる。
【0037】ところで、オープンセンタ型の液圧倍力装
置3の作動液圧はマスタシリンダ5のブレーキ液圧より
小さくなっているが、前述のように室40の液圧が液圧
倍力装置3の作動液圧が作動液圧増圧バルブ11によっ
て増圧されてこの作動液圧より大きい液圧となっている
ので、段付ピストン41は前進することはない。したが
って、ブレーキ液圧増圧バルブ8は増圧作用を行わな
く、マスタシリンダ5のブレーキ液圧がそのままブレー
キシリンダ6に供給される。このように本実施例におい
ては、ポンプ4の正常時にブレーキ液圧増圧バルブ8が
不要に増圧作用を行うことが阻止されるようになる。
【0038】更に、作動液圧室18の作動液圧は失陥検
知バルブ12の室60に導入されて段付ピストン61の
大径側端面に作用するとともに、マスタシリンダ5のブ
レーキ液圧が室59に導入されて段付ピストン61の小
径側端面に作用するが、前述のようにこの圧力状態では
段付ピストン61は移動しなく、アキュムレータ接続口
63と通路64とが遮断された状態に保持される。
【0039】ブレーキ作動状態で、作動液圧室18の作
動液圧が所定値以上に大きく上昇すると、弁体18およ
びスプリングリテーナ32がともにスプリング31のば
ね力に抗して右方へ移動する。このため、制御弁23の
弁隙間aが大きくなって弁隙間aを流れる作動液の絞り
が小さくなり、作動液圧室18の作動液圧が所定値以下
に低下する。このように、弁体21、スプリングリテー
ナ32およびスプリング31は作動液圧が所定値以上に
大きく上昇したときにこの作動液圧を所定値以下に低下
させるリリーフ作用を行う。
【0040】ブレーキペダル2を解放すると、入力軸1
6および弁体21が後退して制御弁23の弁隙間aが大
きくなる。このため、弁隙間aを流れる作動液は絞られ
なくなるので、作動液圧室18の作動液圧は低下する。
これにより、パワーピストン20および出力軸24が後
退するとともにマスタシリンダ5のピストンが後退する
ので、ブレーキが解除される。
【0041】また、液圧倍力装置3の作動液圧室18の
作動液圧が低下しても、アキュムレータ10に蓄圧され
た作動液圧はチェックバルブ9により低下することはな
く、したがって作動液圧増圧バルブ11の段付ピストン
51も作動した状態の保持される。したがって、ブレー
キ液圧増圧バルブ8の室40には、アキュムレータ10
の作動液圧が増圧された液圧が供給された状態に保持さ
れ、以後ブレーキ作動時にブレーキ液圧増圧バルブ8が
不要に増圧作用を行うことが阻止される。
【0042】ポンプ4が故障すると、作動液が液圧倍力
装置3に流れなくなる。このため、ブレーキペダル2を
踏み込んで制御弁23の弁隙間aが小さくなっても、作
動液圧室18の作動液圧は上昇しなく、液圧倍力装置3
はペダル踏力を倍力して出力しない。更にブレーキペダ
ル2を踏み込むと、入力軸16の前端が出力軸24の後
端に当接し、これ以後はペダル踏力のみで出力軸24が
前進し、マスタシリンダ5のピストンを作動する。した
がって、マスタシリンダ5はペダル踏力のみによるブレ
ーキ液圧を発生し、このブレーキ液圧がブレーキシリン
ダ6に供給される。このときのブレーキ液圧は、ポンプ
4の正常時に液圧倍力装置3の出力によってマスタシリ
ンダ5が作動されたときのブレーキ液圧より小さい。
【0043】また、マスタシリンダ5のブレーキ液圧は
失陥検出バルブ12の室59にも供給され、この室59
の液圧がスプリング62のばね力に打ち勝つ大きさにな
ると、段付ピストン61が右方へ移動する。この段付ピ
ストン61の移動により、通路64がアキュムレータ接
続口63に連通するので、アキュムレータ13の作動液
圧がアキュムレータ接続口63、通路64および室60
を通って液圧倍力装置3の作動液圧室18に供給され
る。これにより、液圧倍力装置3のパワーピストン20
に作動してマスタシリンダ5のブレーキ液圧が増圧さ
れ、増圧されたブレーキ液圧がブレーキシリンダ6に供
給されるので、ブレーキ力が増大する。
【0044】その場合、制御弁23が閉じているので作
動液圧室18の作動液圧がスプリング室19の方へ漏出
するのが阻止されるとともにアキュムレータ10からの
作動液圧がチェックバルブ15によってポンプ4の方へ
漏出するのが阻止されるので、この作動液圧は効果的に
パワーピストン20に作用するようになる。また、ブレ
ーキ液圧増圧バルブ8の室40には作動液圧増圧バルブ
11によってアキュムレータ10の作動液圧が増圧され
た液圧が導入されているので、前述のポンプ4の正常の
場合と同様にブレーキ液圧増圧バルブ8は増圧作用を行
わない。したがって、マスタシリンダ5のブレーキ液圧
が不要に増圧されることなく、そのままブレーキシリン
ダ6に供給される。
【0045】一方、室60内の液圧がアキュムレータ1
0の作動液圧の大きさに上昇すると、段付ピストン61
が左方へ移動し、アキュムレータ接続口63と通路64
とが遮断する。このため、アキュムレータ10の作動液
圧の液圧倍力装置3への供給が停止する。
【0046】このように、ポンプ4の故障により液圧倍
力装置3がポンプ4からの直接の作動液圧により倍力作
用を行わなくなっても、アキュムレータ10の作動液圧
により液圧倍力装置3が倍力作用を行うので、ポンプ4
の故障時にも大きなブレーキ力を得ることができるよう
になる。
【0047】ブレーキペダル2を解放すると、制御弁2
3が開いて作動液圧室18の作動液がリザーバ27に排
出され、液圧倍力装置3およびマスタシリンダ5が非作
動となりブレーキ液圧が消滅して、ブレーキが解除され
る。
【0048】アキュムレータ10の作動液圧によるブレ
ーキ作動により、アキュムレータ10の作動液圧が低下
する。そして、ポンプ4の故障状態でブレーキ作動が数
回行われることにより、アキュムレータ10の作動液圧
が第1所定値以下に低下すると、圧力スイッチ14がオ
ンするので、警報装置13が作動して警報が発せられ、
運転者はアキュムレータ10の作動液圧が第1所定値以
下に低下していることを知ることができる。
【0049】警報が発せられているにもかかわらず、運
転者はそのままの状態で更にブレーキ作動を行うことに
より、アキュムレータ10の作動液圧が更に作動液圧増
圧バルブ11のスプリング52のばね力に負ける第2所
定値(第1所定値より小さい)以下に低下すると、段付
ピストン51がこのスプリング52のばね力により非作
動位置に上昇し、カップシール54が通路53より上方
位置となる。このため、室50と通路53とが連通し、
両室50,40の作動液がリザーバ27へ排出されて両
室50,40の液圧が0となる。この状態で、再びブレ
ーキペダル2が踏み込まれると、前述と同様に液圧倍力
装置3が倍力作用を行わなく、マスタシリンダ5はペダ
ル踏力のみによるブレーキ液圧を発生し、このブレーキ
液圧がブレーキシリンダ6に供給されてブレーキが作動
する。
【0050】マスタシリンダ5のブレーキ液圧が失陥検
出バルブ12にも供給されて前述と同様に段付ピストン
61が右方へ移動してアキュムレータ接続口63と通路
64とが連通し、アキュムレータ10の前述の第2所定
値以下の作動液圧が液圧倍力装置3に供給される。作動
液圧が第2所定値以下と低いので、液圧倍力装置3は出
力しないか、出力してもその出力はきわめて小さい。こ
のため、マスタシリンダ5のブレーキ液圧もほとんど増
圧されない。
【0051】しかしながら、ブレーキ液圧増圧バルブ8
の室40がリザーバ27に連通していてその液圧が0と
なっているので、マスタシリンダ5のブレーキ液圧を受
ける段付ピストン41の両端の有効受圧面積の差によ
り、段付ピストン41が前進する。この段付ピストン4
1の前進により弁体43が弁座44に着座して遮断弁4
5が閉じ、これ以後遮断弁45は室38から室37に向
かうブレーキ液の流れを阻止する逆止作用を行う。遮断
弁45が閉じている間は段付ピストン41の両端の有効
受圧面積差により、室37のマスタシリンダ5からのブ
レーキ液圧が増圧された液圧が室38に発生する。すな
わちブレーキ液圧増圧バルブ8はブレーキ液圧を増圧す
る増圧作用を行う。この増圧された室38の液圧がブレ
ーキシリンダ6に供給されるので、ブレーキシリンダ6
は大きなブレーキ力を発生する。このように、ポンプ4
が故障でしかもアキュムレータ10の蓄圧が第1所定値
以下の状態のため液圧倍力装置3が倍力作用を行わない
かまたは行っても出力が小さい場合でも、ブレーキ液圧
増圧バルブ8がブレーキ液圧の増圧作用を行うので、ペ
ダル踏力のみによるブレーキ作動でも、大きなブレーキ
力を得ることができるようになる。
【0052】この状態でブレーキペダル2を解放する
と、前述と同様に入力軸16、弁体21および出力軸2
4が後退して液圧倍力装置3は図2に示す非作動状態と
なるとともに、マスタシリンダ5も非作動となりそのブ
レーキ液圧が0となる。これにより、ブレーキ液圧増圧
バルブ8の段付ピストン41も後退して非作動位置とな
るとともに遮断弁45が開いてマスタシリンダ5とブレ
ーキシリンダ6とが連通する。したがって、ブレーキシ
リンダ7のブレーキ液圧が0となり、ブレーキが解除さ
れる。
【0053】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のブレーキ倍力システムによれば、ポンプの正常時に
は、作動液圧増圧手段により液圧倍力装置の作動液圧を
マスタシリンダのブレーキ液圧より大きくなるように増
圧してブレーキ液圧増圧手段に作用させ、このブレーキ
液圧増圧手段の増圧作用を不能としているので、ポンプ
の正常状態でのブレーキ作動時にブレーキ液圧増圧手段
の増圧作用が不要に行われることを確実に防止できる。
【0054】また、ポンプの故障時にはこの故障を失陥
検出バルブが検出して、アキュムレータの作動液圧を液
圧倍力装置に供給しこの作動液圧により液圧倍力装置が
倍力作用を行うようにしているので、マスタシリンダの
ブレーキ液圧を増大することができ、ポンプの故障時に
も必要なブレーキ力を比較的軽い操作力で確実に得るこ
とができる。
【0055】特に請求項3の発明によれば、ポンプの故
障状態でアキュムレータの作動液圧が第1所定値以下に
なったとき警報を発するようにしているので、運転者は
ポンプが故障しているとともにアキュムレータの作動液
圧が低下していることを確実に知ることができる。
【0056】更に請求項4の発明によれば、警報が発せ
られているにもかかわらず、換言するとポンプの故障状
態でアキュムレータの作動液圧が第1所定値以下になっ
ているにもかかわらずそのままの状態で運転者が更にブ
レーキ作動を行う等により、アキュムレータの作動液圧
が第1所定値より小さい第2所定値以下になってアキュ
ムレータの作動液圧による液圧倍力装置の倍力作用が行
われなくなったときにも、ブレーキ液圧増圧手段の増圧
作用によりマスタシリンダのブレーキ液圧を増大するこ
とができ、必要なブレーキ力を比較的軽い操作力で確実
に得ることができる。
【0057】更に本発明によれば、非常用ポンプ等の構
造が複雑でコストの高い部品を不要とするので、ブレー
キ倍力システムの構造を簡単にできるとともに、コスト
を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるブレーキ倍力システムの一実
施例を模式的に示す図である。
【図2】 図1に示す実施例に用いられるオープンセン
タ型の液圧倍力装置を示す断面図である。
【図3】 従来のブレーキ倍力システムの一例を示す図
である。
【図4】 従来のオープンセンタ型の液圧倍力装置を備
えるブレーキ倍力システムの一例を示す図である。
【図5】 従来のオープンセンタ型の液圧倍力装置の一
例を示す断面図である。
【符号の説明】
1…ブレーキ倍力システム、2…ブレーキペダル、3…
オープンセンタ型液圧倍力装置、4…ポンプ、5…マス
タシリンダ、6…ブレーキシリンダ、7…通路、8…ブ
レーキ液圧増圧バルブ、10…アキュムレータ、11…
作動液圧増圧バルブ、12…失陥検知バルブ、13…警
報装置、14…圧力スイッチ、16…入力軸、18…作
動液圧室、20…パワーピストン、21…弁体、22…
弁座、23…制御弁、24…出力軸、27…リザーバ、
36…ハウジング、37…マスタシリンダ接続室、38
…ブレーキシリンダ接続室、40…作動液圧増圧バルブ
接続室、41…段付ピストン、42…通路、43…弁
体、44…弁座、45…遮断弁、46…スプリング、4
8…ハウジング、49…アキュムレータ接続室、50…
ブレーキ液圧増圧室、51…段付ピストン、52…スプ
リング、53…通路、54…カップシール、58…ハウ
ジング、59…マスタシリンダ接続室、60…液圧倍力
装置接続室、61…段付ピストン、62…スプリング、
63…アキュムレータ接続口、64…通路

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リザーバ内に貯留された作動液を吸込み
    吐出するポンプと、ブレーキ操作を行うブレーキ操作手
    段と、前記ブレーキ操作手段の操作により前記ポンプか
    ら給送される作動液が絞られて作動液圧室に作動液圧を
    発生することにより出力するオープンセンタ型の液圧倍
    力装置と、この液圧倍力装置の出力により作動してブレ
    ーキ液圧を発生するマスタシリンダと、このマスタシリ
    ンダからのブレーキ液圧が供給されることによりブレー
    キ力を発生するブレーキシリンダとを備えているブレー
    キ倍力システムにおいて、 更に前記作動液圧を蓄圧するアキュムレータと、 このアキュムレータの作動液圧により作動してこの作動
    液圧を前記マスタシリンダの前記ブレーキ液圧より大き
    くなるように増圧した液圧を出力する作動液圧増圧手段
    と、 前記マスタシリンダと前記ブレーキシリンダとの間の通
    路に設けられ、前記作動液圧増圧手段の出力液圧が前記
    マスタシリンダのブレーキ液圧より所定値小さくなった
    とき作動して前記ブレーキ液圧を増圧し前記ブレーキシ
    リンダに供給するブレーキ液圧増圧手段と、 前記アキュムレータと前記液圧倍力装置の前記作動液圧
    室との間の通路に設けられ、前記ポンプの正常時には閉
    じてこの通路を遮断しているとともに前記ポンプの故障
    を検出したとき開いてこの通路を連通する失陥検出バル
    ブと、を備えていることを特徴とするブレーキ倍力シス
    テム。
  2. 【請求項2】 前記ブレーキ液圧増圧手段は、ブレーキ
    液圧増圧手段のハウジングと、このブレーキ液圧増圧手
    段のハウジングに穿設された段付孔に摺動可能に嵌合さ
    れて、この段付孔内に前記マスタシリンダに接続された
    マスタシリンダ接続室と前記ブレーキシリンダに接続さ
    れたブレーキシリンダ接続室と前記作動液圧増圧手段に
    接続された作動液圧増圧手段接続室とを区画形成すると
    ともに前記マスタシリンダ接続室に面する端部の有効受
    圧面積が前記ブレーキシリンダ接続室に面する端部の有
    効受圧面積より小さく設定され、更に前記作動液圧増圧
    手段接続室に前記作動液圧増圧手段の出力液圧が供給さ
    れたときに作動不能となるブレーキ液圧増圧手段の段付
    ピストンと、このブレーキ液圧増圧手段の段付ピストン
    に穿設された前記マスタシリンダ接続室と前記ブレーキ
    シリンダ接続室とを連通するブレーキ液圧増圧手段の通
    路と、このブレーキ液圧増圧手段の通路に設けられ前記
    ブレーキ液圧増圧手段の段付ピストンの非作動時開いて
    前記ブレーキ液圧増圧手段の通路を連通するとともに前
    記ブレーキ液圧増圧手段の段付ピストンの作動時閉じて
    前記ブレーキ液圧増圧手段の通路を遮断する遮断弁とを
    備え、 前記作動液圧増圧手段は、作動液圧増圧手段のハウジン
    グと、この作動液圧増圧手段のハウジングに穿設された
    段付孔に液密にかつ摺動可能に配設された作動液圧増圧
    手段の段付ピストンと、この作動液圧増圧手段の段付ピ
    ストンの大径側により区画形成されかつ前記アキュムレ
    ータの作動液圧が導入されるアキュムレータ接続室と、
    前記作動液圧増圧手段の段付ピストンの小径側により区
    画形成されかつ前記ブレーキ液圧増圧手段に接続される
    とともに前記作動液圧増圧手段の段付ピストンの非作動
    時に前記リザーバに接続されまた前記作動液圧増圧手段
    の段付ピストンの作動時に前記リザーバから遮断される
    ブレーキ液圧増圧手段接続室とを備え、 前記失陥検出バルブは、失陥検出バルブのハウジング
    と、この失陥検出バルブのハウジングに穿設された段付
    孔に液密にかつ摺動可能に配設された失陥検出バルブの
    段付ピストンと、この失陥検出バルブの段付ピストンの
    大径側により区画形成されかつ前記液圧倍力装置の前記
    作動液圧室に常時接続されるとともに前記失陥検出バル
    ブの段付ピストンの作動時に前記アキュムレータに接続
    される液圧倍力装置接続室と、前記失陥検出バルブの段
    付ピストンの小径側により区画形成されかつ前記マスタ
    シリンダに常時接続されるマスタシリンダ接続室とを備
    えていることを特徴とする請求項1記載のブレーキ倍力
    システム。
  3. 【請求項3】 前記アキュムレータの作動液圧が第1所
    定値以下に低下したとき作動して出力する圧力検知手段
    と、この圧力検知手段の作動により警報を発する警報装
    置とを備えていることを特徴とする請求項1または2記
    載のブレーキ倍力システム。
  4. 【請求項4】 前記作動液圧増圧手段は、前記アキュム
    レータの作動液圧が前記第1所定値より小さい第2所定
    値以下に低下したとき非作動となるように設定されてい
    ることを特徴とする請求項3記載のブレーキ倍力システ
    ム。
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