JP2002264796A - ブレーキ装置 - Google Patents

ブレーキ装置

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JP2002264796A
JP2002264796A JP2001068469A JP2001068469A JP2002264796A JP 2002264796 A JP2002264796 A JP 2002264796A JP 2001068469 A JP2001068469 A JP 2001068469A JP 2001068469 A JP2001068469 A JP 2001068469A JP 2002264796 A JP2002264796 A JP 2002264796A
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pressure
hydraulic
hydraulic pressure
pressurizing
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JP2001068469A
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Hiroshi Isono
宏 磯野
Kyoji Mizutani
恭司 水谷
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ブレーキ装置の信頼性の向上を図る。 【解決手段】電気系統の異常時に、電磁制御弁116が
閉状態に戻され、電磁制御弁118,120が開状態に
戻される。また、リニア液圧制御弁102は、電流が供
給されなくなることにより閉状態にされる。加圧室28
から中間環状室側への作動液の流出が阻止され、中間環
状室56,後方液圧室54からリザーバ92への作動液
の流出が阻止される。加圧室28の作動液が流出させら
れることを阻止することができるため、加圧室28に操
作力に応じた液圧を発生させることができる。また、加
圧室30にも同様の液圧を発生させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、ブレーキ装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】特開2000−203413号公報に
は、(a)動力の供給によって作動させられ、作動液を加
圧して供給する動力式液圧源と、(b)ブレーキシリンダ
の液圧により作動させられるブレーキと、(c)加圧ピス
トンを含み、前方の加圧室にブレーキシリンダが接続さ
れ、後方液圧室に動力式液圧源が接続された液圧シリン
ダと、(d)加圧室と後方液圧室との間に設けられ、動力
式液圧源に異常が生じた場合に、加圧室から後方液圧室
への作動液の流れを許容する弁装置とを含むブレーキ装
置が記載されている。このブレーキ装置においては、動
力式液圧源の異常時に、加圧室から後方液圧室に作動液
が供給されるため、加圧ピストンの小径化を図ることが
でき、加圧室から後方液圧室に作動液が供給されない場
合に比較して加圧ピストンに加えられるブレーキ操作力
が同じ場合の加圧室の液圧を高くすることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題、課題解決手段および効
果】本発明の課題は、ブレーキ装置の改良を図ることで
ある。例えば、信頼性を向上させたり、設計の自由度を
向上させたりすることにある。この課題は、ブレーキ装
置を下記各態様の構成のものとすることによって解決さ
れる。各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に
番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式
で記載する。これは、あくまで、本明細書に記載の技術
の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術
的特徴およびそれらの組み合わせが以下の各項に限定さ
れると解釈されるべきではない。また、1つの項に複数
の事項が記載されている場合、常に、すべての事項を一
緒に採用しなければならないものではなく、一部の事項
のみを取り出して採用することも可能である。
【0004】なお、以下の各項のうちの(1)項が請求項
1に相当し、(4)項が請求項2に相当し、(7)項が請求項
3に相当し、(8)項が請求項4に相当し、(18)項が請求
項5に相当し、(21)項が請求項6に相当し、(22)項が請
求項7に相当し、(24)項が請求項8に相当し、(25)項が
請求項9に相当する。
【0005】(1)動力の供給によって作動させられ、作
動液を加圧して供給する動力式液圧源と、ブレーキシリ
ンダの液圧により作動させられるブレーキと、ハウジン
グに液密かつ摺動可能に嵌合された加圧ピストンを含
み、その加圧ピストンが、大径部と小径部とを含む段付
き形状を成したものであり、前記小径部の前方が前記ブ
レーキシリンダに接続された第1加圧室とされる一方、
前記大径部の前方および後方がそれぞれが第2加圧室お
よび制御圧室とされ、これら制御圧室と第2加圧室と
に、それぞれ、前記動力式液圧源が接続された液圧シリ
ンダと、少なくとも、これら第1加圧室、第2加圧室、
制御圧室および動力式液圧源のうちの少なくとも2つの
間の連通状態を制御する弁装置とを含むことを特徴とす
るブレーキ装置。
【0006】本項に記載のブレーキ装置における液圧シ
リンダにおいては、ハウジングと加圧ピストンとによっ
て、第1加圧室、第2加圧室および制御圧室が形成さ
れ、制御圧室と第2加圧室とにはそれぞれ動力式液圧源
が接続される。動力式液圧源が第1加圧室に接続される
場合には、動力式液圧源の異常等、第1加圧室の液圧を
動力液圧源により加圧することができない異常が生じた
場合、何らかの対策を施さない限り、その第1加圧室に
接続されたブレーキシリンダにも液圧を発生させること
ができなくなる。それに対して、動力式液圧源が第2加
圧室や制御圧室に接続される場合には、異常の影響が第
1加圧室の液圧に直接及ぶことを回避することができ
る。弁装置によって、動力式液圧源、第1加圧室、第2
加圧室および制御圧室のうちの少なくとも2つの間の連
通状態が制御される。例えば、動力式液圧源の異常等が
生じた場合に、弁装置によって第1加圧室が第2加圧室
や制御圧室から遮断されるようにすれば、第1加圧室の
液圧の低下を抑制することができ、ブレーキ装置の信頼
性を向上させることができる。また、弁装置によって、
動力式液圧源が第2加圧室と制御圧室とのいずれかに選
択的に連通させられるようにすれば、常に制御圧室に連
通させられる場合に比較して、より多くの態様の制御が
可能となり、ブレーキ装置の設計の自由度を向上させる
ことができる。例えば、第2加圧室から第1加圧室への
作動液の流れが許容された状態において、動力式液圧源
の作動液が第2加圧室に供給される状態と制御圧室に供
給される状態とでは、第1加圧室の液圧を異なる高さに
制御することが可能になる。弁装置は、液圧シリンダの
内部に設けられたものであっても外部に設けられたもの
であってもよい。また、電流を供給することによって作
動させられる電磁制御弁を含むものであっても、前後の
差圧またはパイロット圧等によって作動させられる機械
式の制御弁を含むものであってもよい。弁装置は、さら
に、動力式液圧源、第1加圧室、第2加圧室および制御
圧室のうちの2つの間の作動液の一方向の流れを阻止
し、他方向の流れを制限する逆止弁やリリーフ弁を含む
ものであっても、双方向の流れを許容する状態と阻止す
る状態とに切り換え可能な開閉弁を含むものであって
も、動力式液圧源、第1加圧室、第2加圧室および制御
圧室のうちの3つの間において、作動液の流通方向を切
り換え可能な方向切換弁を含むものであってもよい。ま
た、自身の前後の差圧の大きさを制御する機能を備えた
液圧制御弁を含むものとすることもできる。
【0007】(2)前記弁装置が、前記動力式液圧源と制
御圧室との間、動力式液圧源と第2加圧室との間、前記
第1加圧室と第2加圧室との間、第1加圧室と制御圧室
との間、第2加圧室と制御圧室との間のうちの1つ以上
の連通状態を制御する(1)項に記載のブレーキ装置。な
お、弁装置が、例えば、動力式液圧源と制御圧室との
間、および動力式液圧源と第2加圧室との間の連通状態
をそれぞれ制御するものである場合に、動力式液圧源と
制御圧室との間の連通状態と、動力式液圧源と第2加圧
室との間の連通状態との制御によって、第2加圧室と制
御圧室との間の連通状態が決まる場合がある。この場合
には、弁装置は、動力式液圧源と制御圧室と第2加圧室
との3者間の連通状態を制御するものと考えることがで
きる。また、弁装置が、動力式液圧源と第2加圧室との
間、第1加圧室と第2加圧室との間の連通状態をそれぞ
れ制御するものである場合に、これらの制御によって、
第1加圧室と動力式液圧源との間の連通状態が決まる場
合もある。この場合には、動力式液圧源、第2加圧室お
よび第1加圧室の3者間の連通状態を制御するものと考
えることができる。 (3)前記弁装置が、前記動力式液圧源と制御圧室と第2
加圧室との3者間、第2加圧室と動力式液圧源と第1加
圧室との3者間、第2加圧室と第1加圧室と制御圧室と
の3者間、動力式液圧源と制御圧室と第1加圧室との3
者間のうちの1つ以上の連通状態を制御する(1)項また
は(2)項に記載のブレーキ装置。
【0008】(4)前記弁装置が、前記第1加圧室と前記
第2加圧室との間に設けられ、少なくとも前記制御圧室
と前記第2加圧室との少なくとも一方に適正な液圧を発
生させることができない異常が生じた場合に、前記第1
加圧室から前記第2加圧室への作動液の流れを阻止する
阻止弁を含む(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の
ブレーキ装置。
【0009】制御圧室と第2加圧室との少なくとも一方
に適正な液圧を発生させることができない異常は、例え
ば、加圧ピストンに動力式液圧源の液圧に基づく前進力
を加えることができない異常、第1加圧室に動力式液圧
源の液圧を利用した液圧を発生させることができない異
常であり、この異常は、例えば、電気系統の異常、動力
式液圧源の異常、加圧ピストンとハウジングとの間のシ
ール不良等に起因して生じる。これら異常は、異常検出
装置によって検出される。異常は当該車両の始動時に検
出されるようにしても、予め定められた条件が満たされ
た場合に適宜検出されるようにしてもよい。例えば、第
2加圧室に動力式液圧源が接続され、第1加圧室と第2
加圧室とが接続された場合において、第2加圧室に適正
な液圧を発生させることができない場合に、第1加圧室
から第2加圧室への作動液の流れが阻止されれば、第1
加圧室の液圧の低下を抑制することができる。なお、動
力式液圧源と制御圧室とが接続され、第1加圧室と制御
圧室とが接続された場合において制御圧室に適正な液圧
を発生させることができない異常が生じた場合には、第
1加圧室から制御圧室への作動液の流れが阻止されるよ
うにするのが望ましい。
【0010】(5)前記阻止弁が、前記第1加圧室と第2
加圧室との間に設けられ、これらを連通させる連通状態
と遮断する遮断状態とに切り換え可能な電磁制御弁であ
って、電流が供給されない場合に遮断状態にある常閉弁
を含む(4)項に記載のブレーキ装置。電磁制御弁が常閉
弁であれば、電気系統の異常時等に第1加圧室と第2加
圧室とを遮断することができ、第1加圧室から第2加圧
室への作動液の流出を阻止することができる。
【0011】(6)前記阻止弁が、前記第1加圧室と第2
加圧室との間に設けられ、前記第2加圧室から第1加圧
室への作動液の流れを許容し、逆向きの流れを阻止する
逆止弁を含む(4)項または(5)項に記載のブレーキ装置。
逆止弁によれば、第2加圧室の液圧が第1加圧室の液圧
より高い場合に第2加圧室から第1加圧室への作動液の
流れが許容される。そのため、例えば、第2加圧室に動
力式液圧源が連通させられ、第2加圧室に高圧の作動液
が供給された場合に、第1加圧室に高圧の作動液を供給
することができ、ブレーキシリンダの液圧を高くするこ
とができる。また、第1加圧室の液圧の方が高い場合
に、第1加圧室から第2加圧室への作動液の流出が阻止
されるため、異常時に第2加圧室の液圧が低下しても、
第1加圧室の液圧の低下を抑制することができる。通常
ブレーキ作動時に第1加圧室の液圧の方が高くなって
も、第1加圧室から第2加圧室への作動液の流出を阻止
することができる。これら逆止弁と常閉の電磁制御弁と
は、第1加圧室と第2加圧室との間に、並列に設けられ
るようにすることができる。
【0012】(7)作動液をほぼ大気圧で収容する低圧源
と、少なくとも前記異常が生じた場合に、前記第2加圧
室から前記低圧源への作動液の流出を阻止する流出阻止
装置とを含む(4)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の
ブレーキ装置。第1加圧室から第2加圧室への作動液の
流れが阻止弁によって阻止された状態において、さら
に、第2加圧室から低圧源への作動液の流出が阻止され
れば、第1加圧室の液圧の低下をより確実に阻止するこ
とができ、ブレーキ装置の信頼性を向上させることがで
きる。たとえ、(4)項ないし(6)項のいずれかに記載の阻
止弁に開故障が生じても、第1加圧室の作動液の低圧源
への流出を阻止することができる。
【0013】(8)少なくとも前記異常が生じた場合に、
前記低圧源から前記制御圧室への作動液の流れを許容す
る流入許容装置を含む(7)項に記載のブレーキ装置。本
項に記載のブレーキ装置においては、加圧ピストンの前
進に伴って制御圧室に低圧源から作動液が供給される。
加圧ピストンの前進が許容され、制御圧室が負圧になる
ことを回避することができる。
【0014】(9)前記動力式液圧源が、作動液をほぼ大
気圧で収容する低圧源の作動液を汲み上げて加圧するポ
ンプと、ポンプを駆動するポンプモータと、ポンプの吐
出側に設けられ、ポンプからの作動液の吐出を許容する
が逆向きの流れを阻止する逆止弁と、ポンプの吐出口と
前記低圧源との間に設けられ、ポンプから吐出される作
動液の液圧を制御する制御弁であって、電流が供給され
ない場合に吐出口側から低圧側への作動液の流れを阻止
する常閉の電磁液圧制御弁とを含む(1)項ないし(8)項の
いずれか1つに記載のブレーキ装置。
【0015】ポンプの吐出側に逆止弁が設けられている
ため、ポンプがギヤポンプであり、非作動状態であって
も、ポンプの吐出口側から低圧側へ作動液が流れること
を阻止することができる。また、ポンプから供給される
作動液の液圧は電磁液圧制御弁によって制御されるので
あるが、電磁液圧制御弁は常閉弁であるため、例えば、
電気系統の異常時に、電磁液圧制御弁を経て作動液が低
圧側に流出させられることを阻止することができる。電
磁液圧制御弁は、供給電流のON・OFF制御により開
閉させられる電磁開閉弁であっても、吐出側と低圧源と
の差圧を供給電流に応じた大きさに制御する差圧制御弁
(減圧制御弁)であってもよい。いずれにしても、電流
が供給されない場合にポンプの高圧側から低圧側への作
動液の流れを阻止するものである。後方液圧室や第2加
圧室から動力式液圧源を経て低圧源に作動液が流出させ
られることを阻止することができるため、この電磁液圧
制御弁は、前記流出阻止装置の一態様であると考えるこ
とができる。
【0016】(10)前記弁装置が、前記動力式液圧源の
作動液を前記第2加圧室に供給可能な状態と、前記動力
式液圧源の作動液を前記制御圧室に供給可能な状態と、
動力式液圧源の作動液が第2加圧室にも制御圧室にも供
給されない状態とのうちの少なくとも2つの状態に切り
換え可能な供給先切換装置を含む(1)項ないし(9)項のい
ずれか1つに記載のブレーキ装置。動力式液圧源の作動
液が第2加圧室にも制御圧室にも供給されない状態にお
いては、第2加圧室と制御圧室とが連通させられる状態
とすることができる。 (11)前記供給先切換装置が、前記動力式液圧源と前記
制御圧室とを接続する第1通路に設けられ、電流が供給
されない場合にこれらを連通させる常開の第1電磁制御
弁を含む(10)項に記載のブレーキ装置。第1電磁制御弁
が連通状態にされれば、動力式液圧源の作動液が制御圧
室に供給され、制御圧室の液圧が動力式液圧源の制御に
より制御される。第1電磁制御弁が遮断状態にされれ
ば、動力式液圧源から作動液が供給されないが、制御圧
室からの作動液の流出が阻止され、加圧ピストンの後退
が阻止される。第1加圧室や第2加圧室の液圧が高くな
ると、制御圧室の液圧が高くなり、動力式液圧源から供
給される作動液の液圧より高くなる場合がある。制御圧
室に動力式液圧源の作動液が供給される場合より、ブレ
ーキシリンダの液圧を高くできるのである。また、第1
電磁制御弁と並列に、動力式液圧源側から制御圧室側へ
の作動液の流れを許容し、逆向きの流れを阻止する第1
逆止弁を設けることができる。第1逆止弁によれば、第
1電磁制御弁に閉故障が生じても、動力式液圧源から制
御圧室への作動液の流れを許容することができ、制御圧
室に動力式液圧源の作動液を供給することができる。ま
た、加圧ピストンの前進に伴って動力式液圧源から作動
液が供給されるため、制御圧室が負圧になることが回避
される。 (12)前記供給先切換装置が、前記動力式液圧源と前記
第2加圧室とを接続する第2通路に設けられ、電流が供
給されない場合にこれらを連通させる常開の第2電磁制
御弁を含む(10)項または(11)項に記載のブレーキ装置。
第2電磁制御弁が開状態にされれば、動力式液圧源から
第2加圧室へ作動液が供給され、第2加圧室の液圧が動
力式液圧源の制御により制御される。第2加圧室から第
1加圧室への作動液の流れが許容されれば、第1加圧室
の液圧を動力式液圧源の制御により直接制御することが
できる。また、第2電磁制御弁と並列に、第2加圧室側
から動力式液圧源側への作動液の流れを許容し、逆向き
の流れを阻止する第2逆止弁を設けることができる。
【0017】(13)前記第1通路と第2通路とが動力式
液圧源の吐出側において接続された(12)項に記載のブレ
ーキ装置。第1通路と第2通路とが動力式液圧源の吐出
側において接続されている場合には、第1通路、第2通
路によって第2加圧室と制御圧室とが接続される。(11)
項、(12)項に記載の第1,第2電磁制御弁の制御によ
り、第2加圧室と制御圧室とを連通させることができ
る。この場合において、第1逆止弁、第2逆止弁が設け
られているため、第1、第2電磁制御弁に閉異常が生じ
ても、第2加圧室から制御圧室への作動液の流れが許容
される。
【0018】(14)前記第2通路に、前記第2加圧室側
の液圧が前記制御圧室側の液圧より設定圧以上大きくな
った場合に、第2加圧室側から制御圧室側への作動液の
流出を許容する流通制限装置を設けた(12)項または(13)
項に記載のブレーキ装置。流通制限装置は、例えば、第
2加圧室側の液圧が制御圧室側の液圧よりリリーフ圧以
上高い場合に第2加圧室からの作動液の流出を許容する
リリーフ弁を含むものとすることができる。本項に記載
のブレーキ装置は、第2加圧室から第1加圧室への作動
液の流れが許容される装置に適用するのが有効である。
前述の異常時に、第2加圧室と制御圧室とが連通させら
れた状態において、加圧ピストンの前進に伴って第2加
圧室の液圧が増加させられるが、第2加圧室の液圧が設
定圧以下である状態では第2加圧室の作動液が第1加圧
室に供給され、設定圧以上になると流通制限装置を経て
制御圧室に流出させられる。その結果、異常時であって
も、ファーストフィルを速やかに終了させることがで
き、踏力が増加した場合には、小径化を図ることができ
る。この意味において、流通制限装置をファーストフィ
ル装置と称し、第2加圧室をフィルアップ室と称するこ
とができる。
【0019】(15)前記液圧シリンダが、前記加圧ピス
トンにブレーキ操作部材が連携させられたマスタシリン
ダを含む(1)項ないし(14)項のいずれか1つに記載のブ
レーキ装置。 (16)前記ブレーキ操作部材に加えられる操作力を検出
する操作力検出装置と、前記第1加圧室の液圧が、前記
操作力検出装置によって検出された操作力が予め定めら
れたサーボ比で倍力された大きさに対応する液圧になる
ように前記動力式液圧源を制御する液圧制御装置とを含
む(15)項に記載のブレーキ装置。本項に記載のブレーキ
装置においては、液圧シリンダが液圧ブースタ付きマス
タシリンダとしての機能を有する。操作力の代わりに操
作ストロークを検出してもよい。操作ストロークが設定
倍された大きさに対応する液圧が発生させられることに
なる。動力式液圧源が、ポンプ装置を含む場合には、ポ
ンプモータを制御することによってポンプ装置から吐出
される作動液の液圧を制御することができる。また、前
述のように、ポンプ装置とポンプの吐出側の作動液の液
圧を制御可能な電磁液圧制御弁とを含む場合には、電磁
液圧制御弁への供給電流を制御することによって、ポン
プ装置から吐出される作動液の液圧を制御することがで
きる。動力式液圧源の作動液が制御圧室に供給されるこ
とによって助勢力が加えられる場合には、制御圧室をサ
ーボ室と称することができる。
【0020】(17)前記液圧制御装置が、前記弁装置を
制御する弁装置制御部を含む(16)項に記載のブレーキ装
置。例えば、弁装置の制御により、第2加圧室から第1
加圧室への作動液の流れが許容される状態において、動
力式液圧源が制御圧室に連通させられる第1状態と、動
力式液圧源が第2加圧室に連通させられる第2状態とに
切り換えられるようにする。第1状態においては、加圧
ピストンが少なくとも制御圧室の液圧に応じて加えられ
る前進力によって前進させられ、それに応じて第1加圧
室、第2加圧室に液圧が発生させられる。第2加圧室の
作動液は第1加圧室に供給されて、ブレーキシリンダに
供給される。第1加圧室の液圧は、動力式液圧源の制御
によって制御圧室の液圧を制御することによって制御さ
れる。加圧ピストンに運転者によるブレーキ操作力が加
えられる場合には、加圧ピストンはブレーキ操作力と前
述の前進力としての助勢力との両方によって前進させら
れ、ブレーキシリンダの液圧は。ブレーキ操作力と助勢
力との両方に基づいた高さにされる。第2状態において
は、第2加圧室、第1加圧室の液圧が動力式液圧源の制
御によって直接制御される。この場合において、制御圧
室からの作動液の流出が阻止されるようにすれば、前述
のように、ブレーキシリンダの液圧を第1状態における
場合より高くすることができる。例えば、通常ブレーキ
作動時において、制御圧室、第1加圧室、第2加圧室の
液圧が設定圧以上になった場合、あるいは、ブレーキ操
作力が設定値以上になった場合に、第1状態から第2状
態に切り換えることが望ましい。また、運転者によって
ブレーキ操作部材が操作されていない場合にブレーキを
作動させる場合には、制御圧室の液圧が設定圧以上にな
った場合に第2状態に切り換えることが望ましい。設定
圧は、加圧ピストンが前進させられ、マスタシリンダの
ハウジングに設けられ、低圧源に接続されたポートが塞
がれる状態になったと推定し得る大きさに設定される。
第1加圧室と低圧源とが連通させられた状態で、動力式
液圧源の作動液を供給しても第1加圧室に高圧の液圧を
発生させることができないからである。
【0021】(18)前記液圧シリンダが加圧ピストンを
2つ含み、それぞれの前方の加圧室の間に、一方の加圧
室の液圧が、他方の加圧室の液圧とそれら一方および他
方の加圧室の液圧間の予め定められ関係とに基づいて決
まる液圧より低くなることを防止する液圧調節装置を含
む(1)項ないし(17)項のいずれか1つに記載のブレーキ
装置。本項に記載の液圧シリンダはダンデム式のマスタ
シリンダを含むものとすることができ、この場合には、
2つの加圧ピストンは互いに直列に設けられる。2つの
加圧ピストンのそれぞれの前方の加圧室の間には液圧調
節装置が設けられているため、一方の加圧室の液圧が予
め定められ関係と他方の加圧室の液圧とに基づいて決ま
る液圧より低くなることが防止される。
【0022】(19)前記他方の加圧室に対向する加圧ピ
ストンの受圧面積が、前記一方の加圧室に対向する加圧
ピストンの受圧面積より大きくされた(18)項に記載のブ
レーキ装置。
【0023】2つの加圧ピストンの最大ストロークが同
じであり、それぞれの加圧室からブレーキシリンダに供
給される作動液の流量が互いに同じである場合には、受
圧面積が小さい加圧ピストンの方がストロークが大きく
なるため、早期にボトミングを起こす。それに対して、
液圧調節装置によれば、一方の加圧室の液圧が、他方の
加圧室の液圧とそれら一方および他方の加圧室の液圧間
の予め定められた関係とに基づいて決まる液圧以下にな
ることが回避される。そのため、一方の加圧室に対向す
る加圧ピストンがボトミングを起こしても、その一方の
加圧室に接続されたブレーキシリンダの液圧と他方の加
圧室に接続されたブレーキシリンダの液圧との関係をボ
トミングが生じる以前と同じ関係に保つことができる。
【0024】(20)前記液圧調節装置が、(a)ハウジン
グと、(b)そのハウジングの内部に液密かつ摺動可能に
嵌合された差動ピストンと、(c)その差動ピストンによ
って仕切られた第1液圧室に前記一方の加圧室が接続さ
れ、第2液圧室に他方の加圧室が接続され、前記第2液
圧室の容積を減少させる方向に前記ピストンを付勢する
スプリングとを含む液圧伝達シリンダを含む(18)項また
は(19)項に記載のブレーキ装置。差動ピストンは第1液
圧室の液圧と第2液圧室の液圧とに基づいて移動させら
れ、これらの液圧が予め定められた関係を有する高さに
保たれる。差動ピストンの第1液圧室に対向する受圧面
積と第2液圧室に対向する受圧面積とは同じであって
も、異なっていてもよい。受圧面積が同じである場合に
は、第1液圧室の液圧と第2液圧室の液圧とが同じ高さ
に保たれる。
【0025】(21)前記弁装置が、前記第1加圧室から
第2加圧室への作動液の流れを阻止できない異常が生じ
た場合に、前記第2加圧室と前記制御圧室とを互いに連
通させる連通弁装置を含む(1)項ないし(20)項のいずれ
か1つに記載のブレーキ装置。本項に記載のブレーキ装
置においては、第1加圧室から第2加圧室への作動液の
流れを阻止すべき場合に阻止できない異常が生じた場合
に、第2加圧室と制御圧室とが連通させられる。第1加
圧室、第2加圧室、制御圧室の間で作動液の授受が行わ
れることになり、第1加圧室、第2加圧室、制御圧室の
液圧がほぼ同じになり、〔発明の実施の形態〕において
説明するように加圧ピストンの小径化を図ることがで
き、操作力が同じ場合における第1加圧室の液圧を高く
することができる。第1加圧室から第2加圧室への作動
液の流れが阻止できない異常には、例えば、前述の阻止
弁の開故障が該当する。阻止弁の開故障は、異常検出装
置によって検出することができる。なお、この異常は、
第2加圧室や制御圧室を適正な液圧を発生させ得る場
合、動力式液圧源が正常である場合に生じる場合もあ
る。
【0026】(22)前記加圧ピストンの第2加圧室に対
向する受圧面積が前記制御圧室に対向する受圧面積より
小さくされた(21)項に記載のブレーキ装置。例えば、加
圧ピストンが、第1加圧室に対向する小径部(出力側小
径部と称する)と、大径部と、第1加圧室とは反対側の
小径部(入力側小径部と称する)とを含む場合には、入
力側小径部の断面積が出力側小径部の断面積より小さく
される。前述のように、第1加圧室から第2加圧室への
作動液の流れを阻止できない異常が生じた場合には、第
1加圧室、第2加圧室、制御圧室が連通させられ、入力
側小径部で加圧されることになる。この場合において、
入力側小径部の断面積が出力側小径部の断面積より小さ
いため、ブレーキ操作力に対する第1加圧室の液圧を大
きくすることができる。
【0027】(23)前記弁装置が、当該ブレーキ装置の
異常時に、前記第2加圧室と制御圧室とを連通させる連
通装置と、第1加圧室から第2加圧室への作動液の流れ
を阻止する阻止装置との少なくとも一方を含む(1)項な
いし(3)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。 (24)動力の供給によって作動させられ、作動液を加圧
して供給する動力式液圧源と、ブレーキシリンダの液圧
によって作動させられるブレーキと、加圧ピストンを含
み、その加圧ピストンの前方の加圧室に前記ブレーキシ
リンダが接続された液圧シリンダとを含むブレーキ装置
であって、前記加圧ピストンの後方の後方液圧室に前記
動力式液圧源が接続され、前記加圧室と後方液圧室とを
接続する液通路に、少なくとも前記制御圧室に液圧を発
生させることができない異常が生じた場合に、前記加圧
室から後方液圧室への作動液の流れを阻止する弁装置を
設けたことを特徴とするブレーキ装置。後方液圧室に液
圧を発生させることができない場合に加圧室から後方液
圧室への作動液の流れが阻止されるため、加圧室の液圧
の低下を抑制することができる。本項に記載のブレーキ
装置には、(1)項ないし(23)項のいずれかに記載の技術
的特徴を採用することができる。
【0028】(25)ブレーキシリンダの液圧により作動
させられるブレーキと、2つの加圧ピストンを含み、そ
れぞれの前方の加圧室の作動液を、それぞれ前記ブレー
キシリンダに供給する液圧シリンダとを含むブレーキ装
置に、前記2つの加圧室の間に、一方の加圧室の液圧
が、他方の加圧室の液圧とそれら一方および他方の加圧
室の液圧間の予め定められ関係とに基づいて決まる液圧
より低くなることを防止する液圧調節装置を設けたこと
を特徴とするブレーキ装置。本項に記載のブレーキ装置
には、(1)項ないし(24)項のいずれかに記載の技術的特
徴を採用することができる。
【0029】(26)動力の供給によって作動させられ、
作動液を加圧して供給する動力式液圧源と、ブレーキシ
リンダの液圧により作動させられるブレーキと、ハウジ
ングに液密かつ摺動可能に嵌合された加圧ピストンを含
み、その加圧ピストンが、大径部と小径部とを含む段付
き形状を成したものであり、前記小径部の前方が前記ブ
レーキシリンダに接続された第1加圧室とされる一方、
前記大径部の前方および後方がそれぞれが第2加圧室お
よび制御圧室とされ、これら制御圧室と第2加圧室と
に、それぞれ、前記動力式液圧源が接続された液圧シリ
ンダと、少なくとも、これら第1加圧室、第2加圧室、
制御圧室、動力式液圧源およびブレーキシリンダのうち
の少なくとも2つの間の連通状態を制御する弁装置とを
含むことを特徴とするブレーキ装置。例えば、第2加圧
室と第1加圧室との間の連通状態を制御する態様と、第
2加圧室とブレーキシリンダとの間の連通状態を制御す
る態様(例えば、第1加圧室とブレーキシリンダとを接
続する液通路と第2加圧室との間の連通状態を制御する
態様)とは、ブレーキシリンダの液圧の制御に関しては
実質的に同じであると考え得る。本項に記載のブレーキ
装置には、(1)項ないし(25)項のいずれかに記載の技術
的特徴を採用することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態であるブレー
キ装置を図面に基づいて説明する。図1において、10
は液圧シリンダとしてのマスタシリンダであり、12は
動力式液圧源であり、14は弁装置である。マスタシリ
ンダ10は、図2に示すように、ハウジング20に液密
かつ摺動可能に嵌合された2つの加圧ピストン22,2
4を含む。一方の加圧ピストン22はブレーキペダル2
6(図1参照)に連携させられ、他方の加圧ピストン2
4は、加圧ピストン22の前進に伴って前進させられ
る。加圧ピストン22,24の前方がそれぞれ加圧室2
8,30とされる。加圧室28,30には、同じ高さの
液圧が発生させられる。加圧ピストン22は、中間部に
大径部を有する段付き形状を成したものであり、ピスト
ンロッドとしての入力側小径部40,中間大径部42,
出力側小径部44を有する。ハウジング20と出力側小
径部44との間にはシール部材としてのカップシール4
6,47が設けられ、中間大径部42との間にはシール
部材としてのOリング48が設けられる。また、入力側
小径部40とハウジング20の後端部の閉塞部材50と
の間にはシール部材としての一対のカップシール52が
設けられている。
【0031】加圧ピストン22の中間大径部42の後方
の閉塞部材50によって囲まれた液室が後方液圧室54
とされ、加圧ピストン22の中間大径部42の前方の出
力側小径部44の外周側の液室が中間環状室56とさ
れ、出力側小径部44の前方が前記加圧室28とされ
る。本実施形態においては、加圧室28が第1加圧室
で、中間環状室56が第2加圧室で、後方液圧室54が
制御圧室である。また、2つの加圧ピストン22,24
によって、加圧室28,30および後方液圧室54、中
間環状室56が、互いに独立に形成される。後述するよ
うに、後方液圧室54,中間環状室56にはそれぞれ動
力式液圧源12が接続されるのであり、動力式液圧源1
2の作動液が供給可能な液圧室が2つ設けられている。
【0032】加圧ピストン22の出力側小径部44に
は、中間環状室56と加圧室28とを接続する液通路6
0が形成され、液通路60の途中には中間環状室56か
ら加圧室28への作動液の流れを許容し、逆向きの流れ
を阻止する逆止弁62が設けられている。逆止弁62
は、図1には、便宜的にマスタシリンダ10のハウジン
グ20の外部に記載されているが、図2に示すように、
加圧ピストン22に設けても(ハウジング20の内部に
設けても)よい。逆止弁62は前記弁装置14の一構成
要素である。
【0033】ハウジング20には複数のポートが設けら
れている。ハウジング20の後方液圧室54に対応する
部分にはポート70が形成され、中間環状室56に対応
する部分にはポート72が形成され、加圧室28に対応
する部分にはポート74が形成され、加圧室30に対応
する部分にはポート78が形成される。ポート74,7
8は、図1には便宜的に2つずつ記載されているが、図
2に示すように、実質的に同じものである。また、ポー
ト82,84は、ハウジング20の、加圧ピストン2
2,24が後退端にある状態で、加圧ピストン22,2
4に設けられた連通路86,88に対向する位置に設け
られている。ポート82,84には、リザーバ通路9
0,91が接続され、リザーバ92に連通させられ、加
圧ピストン22,24の後退端位置において加圧室2
8,30からリザーバ92への作動液の流れが許容され
る。
【0034】加圧ピストン24とハウジング20の底部
との間、2つの加圧ピストン22,24の間には、それ
ぞれリターンスプリング93,94が設けられる。ま
た、加圧ピストン22、24の前端部にはそれぞれロッ
ド95a,95bが相対移動不能に設けられ、加圧ピス
トン24の後端部、ハウジング20の底部にそれぞれ設
けられたリテーナ96a,96bに相対移動可能に嵌合
されている。加圧ピストン22,24の移動により、ロ
ッド95a,bがそれぞれリテーナ96a,bに対して
相対移動させられる。加圧ピストン22の前進端はロッ
ド95aが加圧ピストン24の後端面に当接することに
よって規定され、後退端はロッド95aの頭部97がリ
テーナ96aに当接することによって規定される。加圧
ピストン24の前進端はロッド95bがハウジング20
の底部に当接することによって規定され、後退端は、リ
ターンスプリング93,94によって規定される。
【0035】前記動力式液圧源12は、ポンプ装置10
0とリニア液圧制御弁102とを含む。ポンプ装置10
0は,ポンプ103、ポンプ103を駆動するポンプモ
ータ104,ポンプ103の吐出側に設けられ、ポンプ
103の吐出口への作動液の逆流を阻止する逆止弁10
6等を含む。ポンプ103はリザーバ92の作動液を汲
み上げて加圧して吐出するものであり、本実施形態にお
いては、ギヤポンプとされている。また、リニア液圧制
御弁102(NCリニア弁)がポンプ103と並列に設
けられている。
【0036】リニア液圧制御弁102は、ポンプ103
の吐出側とリザーバ92との間に設けられる。リニア液
圧制御弁102は、図3に示すように、コイル108に
電流が供給されない間、スプリング110の付勢力によ
って弁子112が弁座114に着座させられる常閉弁で
ある。リニア液圧制御弁102には、前後の差圧に起因
し、弁子112を弁座114から離間させる方向に作用
する差圧作用力F1と、スプリング110の付勢力F2
と、コイル108への供給電流によって発生させられ、
弁子112を弁座114から離間させる方向に作用する
電磁駆動力F3とが加えられ、これらの力の関係によっ
て、弁子112の弁座114に対する相対位置が決ま
る。リニア液圧制御弁102の前後の差圧は、ポンプ1
03の吐出側の液圧とリザーバ92の液圧との差圧であ
るが、リザーバ92の液圧はほぼ大気圧であるため、ポ
ンプ103の吐出側の圧力の大きさに対応する。スプリ
ング110の付勢力がほぼ一定であると仮定すれば、電
磁駆動力F3が大きい場合は小さい場合より差圧作用力
F1が小さくなり、動力式液圧源12の吐出圧が低くな
る。
【0037】弁装置14は、前述の逆止弁62,電磁制
御弁116(NC弁A),電磁制御弁118(NO弁
B),電磁制御弁120(NO弁C)等を含む。電磁制
御弁120(NO弁C)は、後方液圧室54のポート7
0と動力式液圧源12とを接続する液通路122に設け
られる。電磁制御弁120は、コイルに電流が供給され
ない場合に開状態にある常開弁であり、供給電流のON
・OFFにより開状態と閉状態とに切り換えられる電磁
開閉弁である。また、電磁制御弁120と並列に動力式
液圧源側から後方液圧室側への作動液の流れを許容し、
逆向きの流れを阻止する逆止弁124が設けられてい
る。また、液通路122の電磁制御弁120より後方液
圧室54側の部分には、リザーバ92から伸び出させら
れた液通路126も接続されている。図2には、液通路
126がポート70とは別のポートに接続された状態が
記載されているが、いずれであってもよい。液通路12
6には、リザーバ92から後方液圧室54への作動液の
流れを許容し、逆向きの流れを阻止する逆止弁128が
設けられている。
【0038】電磁制御弁(NO弁B)118は、中間環
状室56のポート72と動力式液圧源12とを接続する
液通路130に設けられる。液通路130には、電磁制
御弁118と直列に流通制限装置132が設けられてい
る。液通路130は、前記後方液圧室54に接続された
液通路122の電磁制御弁120より動力式液圧源12
側の部分に接続されている。したがって、液通路12
2,130によって後方液圧室54と中間環状室56と
が接続されることになる。
【0039】電磁制御弁118は、コイルに電流が供給
されない状態で開状態にある常開弁であり、供給電流の
ON・OFFにより開閉させられる電磁開閉弁である。
電磁制御弁118と並列に、中間環状室56から流出す
る作動液の流れを許容し、逆向きの流れを阻止する逆止
弁136が設けられている。流通制限装置132は、互
いに並列に設けられた逆止弁140,リリーフ弁14
2,オリフィス144を含む。逆止弁140は中間環状
室56への作動液の流入を許容し、中間環状室56から
の作動液の流出を阻止するものであり、リリーフ弁14
2は、前後の液圧差が設定圧以上になると、中間環状室
56からの作動液の流出を許容するものである。
【0040】電磁制御弁116(NO弁A)は、中間環
状室56と加圧室28との間、本実施形態においては、
一端部が加圧室28のポート74に接続され、他端部が
液通路130の流通制限装置132より中間液圧室側の
部分に接続された液通路152に設けられている。電磁
制御弁116は、コイルに電流が供給されない場合に閉
状態にある常閉弁であり、供給電流のON・OFFによ
り開閉させられる電磁開閉弁である。電磁制御弁116
は、中間環状室56と加圧室28との間の、前述の逆止
弁62と並列に位置することになる。なお、各電磁制御
弁116,118,120は、供給電流のON・OFF
で開閉させられるものではなく、供給電流に応じた開度
で作動液の流れを許容するものとすることができる。
【0041】2つの加圧室28,30の間には液圧調節
装置160が設けられている。液圧調節装置160は、
ハウジングに液密かつ摺動可能に配設された差動ピスト
ン162と、スプリング164とを含む。ハウジングの
内部は、差動ピストン162によって、加圧室30側の
第1液圧室166と加圧室28側の第2液圧室168と
に仕切られ、スプリング164は差動ピストン162に
第1液圧室166の容積が減少する方向の付勢力を加え
る。差動ピストン162は、第1液圧室166と第2液
圧室168との差圧に応じて移動させられる。差動ピス
トン162には、一体的に移動可能にロッド167aが
設けられ、ハウジングに設けられたリテーナ167bに
摺動可能に嵌合されている。差動ピストン162が、ロ
ッド167aとリテーナ167bとによって案内されつ
つ移動させられる。液圧調節装置160により、加圧室
30,28の液圧が予め定められた関係を有する高さに
保たれる。本実施形態においては、差動ピストン162
の第1液圧室166に対向する受圧面積と第2液圧室1
68に対向する受圧面積とが同じであるため、スプリン
グ164の付勢力を無視すれば、第1液圧室166の液
圧と第2液圧室168の液圧とがほぼ同じ高さにされ
る。また、差動ピストン162とハウジングとの間には
軸方向に隔たって2カ所にシール部材としてのOリング
169,170(図1参照)が設けられ、これらの間が
リザーバ92に接続される。これらの間に液圧が発生し
て、ピストン162の摺動に影響が及ぼされることを回
避するためである。液圧調節装置160は、一端がポー
ト78に接続され、他端が前記液通路152に接続され
た液通路172に設けられる。
【0042】加圧室28,30に対応する前記ポート7
4,78には、それぞれ、ブレーキ通路180,182
が接続されている。ブレーキ通路180には後輪190
のブレーキ191のブレーキシリンダ192が接続さ
れ、ブレーキ通路182には前輪194のブレーキ19
5のブレーキシリンダ196が接続されている。ブレー
キシリンダ192,196に対応して、それぞれ、液圧
制御弁装置200,202が設けられている。液圧制御
弁装置200,202は、それぞれ、加圧室とブレーキ
シリンダとの間に設けられた保持弁210と、ブレーキ
シリンダとリザーバ212との間に設けられた減圧弁2
14とを含む。保持弁210,減圧弁214は、コイル
への供給電流に応じて開閉させられる電磁制御弁であ
り、保持弁210は常開弁であり、減圧弁214は常閉
弁である。ブレーキシリンダの液圧は、それぞれ別個
に、保持弁210,減圧弁214の開閉制御により制御
される。
【0043】ブレーキ通路180,182の保持弁21
0より加圧室側の部分にはリザーバ212から延び出さ
せられたポンプ通路216が接続されている。ポンプ通
路216には、ポンプ220,逆止弁222,224、
ダンパ226等が設けられ、ポンプ220から吐出され
た作動液はポンプ通路216を経て、ブレーキ通路18
0、182に戻される。ポンプ220はポンプモータ2
28によって作動させられる。
【0044】本ブレーキ装置には、図4に示すブレーキ
ECU300が設けられている。ブレーキECU300
は、コンピュータを主体とする制御部302と複数の駆
動回路304とを含む。制御部302は、CPU30
6,RAM308,ROM310,I/Oポート312
を含み、I/Oポート312には、ブレーキスイッチ3
20,踏力センサ322,マスタ圧センサ324,後方
液圧センサ326,車輪速センサ328、旋回状態検出
装置330等が接続される。ブレーキスイッチ320は
ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル26が操作状
態にあるか非操作状態にあるかを検出するものであり、
踏力センサ322は、ブレーキペダル26に加えられる
ブレーキ操作力としての踏力を検出するものである。マ
スタ圧センサ324は、加圧室28の液圧を検出するも
のであるが、液圧制御弁装置200,202が原位置に
ある状態ではブレーキシリンダ192,196の液圧を
検出する。後方液圧センサ326は後方液圧室54の液
圧を検出するものであるが、電磁制御弁120の開状態
においては、動力式液圧源12の出力液圧を検出する。
後方液圧室54の液圧はリニア液圧制御弁102による
制御圧に対応するため、後方液圧センサは制御圧センサ
と称することができる。車輪速センサ328は、後輪1
90、前輪194の回転速度をそれぞれ検出する。車輪
速センサ328による検出値に基づいて各車輪190,
194の制動スリップ状態、駆動スリップ状態が検出さ
れる。旋回状態検出装置330は、ヨーレイトセンサ、
横Gセンサ等を含み、これらの出力値に基づいて車両の
スピン傾向,ドリフトアウト傾向の強さが検出される。
旋回状態検出装置330は、姿勢検出装置と称すること
もできる。
【0045】I/Oポート312には、駆動回路304
を介して、保持弁210,減圧弁214,電磁制御弁1
16(NC弁A),電磁制御弁118(NO弁B),電
磁制御弁120(NO弁C)、リニア液圧制御弁102
のコイルが接続されるとともに、ポンプモータ228,
104等が接続されている。また、ROM310には、
通常ブレーキ作動時液圧制御プログラム、アンチロック
制御プログラム、トラクション制御プログラム、ビーク
ルスタビリティ制御プログラム、イニシャルチェックプ
ログラム等の複数のプログラムやテーブル等が格納され
ている。
【0046】以上のように構成されたブレーキ装置にお
ける作動について説明する。通常ブレーキ作動時には、
液圧制御弁装置200,202が図示する原位置に保た
れた状態で、ブレーキシリンダ192,196の液圧が
動力式液圧源12の制御により制御される。ブレーキペ
ダル26が操作されると、図5に示すように、電磁制御
弁(NC弁A)116、電磁制御弁120(NO弁C)
が開状態にされ、電磁制御弁(NO弁B)118が閉状
態にされる。動力式液圧源12から吐出された作動液は
後方液圧室54に供給されるのであり、後方液圧室54
の液圧がリニア液圧制御弁102によって制御される。
後方液圧室54の液圧の制御により、加圧室28,30
の液圧がブレーキペダル26の踏力に応じた高さに制御
されるのであり、ブレーキシリンダ192,196の液
圧が制御される。
【0047】図2に示すように、後方液圧室54の液圧
をPrsとし、中間環状室56の液圧をPfとし、加圧室
28の液圧をPmcとするとともに、入力側小径部40、
中間大径部42、出力側小径部44の横断面積を、それ
ぞれ、Ai、Am、Aoとした場合には、これらの間に
は、式 Pmc・Ao+Pf・(Am−Ao)=Prs・(Am−Ai)+
F が成立する。Fはブレーキペダル26に加えられる操作
力である。
【0048】また、中間環状室56と加圧室28との間
の電磁制御弁116(NC弁A)が開状態にあるため、
中間環状室56の液圧と加圧室28の液圧とは同じにな
り(Pmc=Pf)、加圧室28の液圧は、式 Pmc={Prs・(Am−Ai)+F}/Am で表される高さに制御される。加圧室28の液圧は後方
液圧室54の液圧Prsの制御によって制御されるのであ
り、操作力Fに後方液圧室54の液圧に応じた助勢力が
加えられた高さに制御される。本実施形態においては、
加圧室28の液圧が、操作力Fが予め定められたサーボ
比で倍力された大きさに対応する液圧になるように、リ
ニア液圧制御弁102への供給電流が制御される。
【0049】後方液圧室54には、逆止弁128を介し
てリザーバ92が接続されているため、加圧ピストン2
2の前進速度が早くても、後方液圧室54の液圧が負圧
になることが回避される。また、中間環状室56の液圧
が動力式液圧源12の液圧よりリリーフ弁142のリリ
ーフ圧以上になると、中間環状室56からリニア液圧制
御弁102を経てリザーバ92に作動液が流出させられ
ることになるが、中間環状室56の液圧が動力式液圧源
12の吐出側の液圧より高くなることは、当該ブレーキ
装置が正常である場合にはあり得ないことであり、中間
環状室56の作動液は、電磁制御弁116あるいは逆止
弁62を経て加圧室28に供給される。大径加圧(加圧
面積Am)が行われることになり、ブレーキシリンダ1
92,196に多量の作動液を供給することができる。
【0050】加圧室28の液圧が設定圧(例えば、10
MPa付近の値とすることができる)を越えると、電磁
制御弁116は開状態のままで、電磁制御弁118が開
状態にされ、電磁制御弁120が閉状態にされる。中間
環状室56には動力式液圧源12の作動液が供給され
る。前述の場合と同様に、中間環状室56と加圧室28
とは連通状態にあるため(Pmc=Pf)、加圧室28の
液圧がリニア液圧制御弁102によって直接制御される
ことになる。加圧室28の液圧が操作力が一定のサーボ
比で倍力された大きさに対応する高さに制御される。
【0051】この場合には、電磁制御弁120は閉状態
にされるため、加圧室28,中間環状室56の液圧が高
くなっても、後方液圧室54からの作動液の流出が阻止
され、加圧ピストン22の後退が阻止される。後方液圧
室54の液圧が動力式液圧源12から吐出される作動液
の液圧以上になり、加圧室28の液圧を、動力式液圧源
12から吐出された作動液が後方液圧室54に供給され
る場合より高くすることができる。この状態において
は、ブレーキペダル26が前進させられることは殆どな
いが、前進しなくても、運転者によるブレーキ操作力は
踏力センサ322によって検出することができる。この
状態からさらに、ブレーキペダル26が踏み込まれた場
合には、後方液圧室54には、逆止弁124を経て動力
式液圧源12から、あるいは逆止弁128を経てリザー
バ92から作動液が供給されるのであり、加圧ピストン
22の前進が許容される。
【0052】ブレーキペダル26の操作が解除される
と、各電磁制御弁116,118,120への供給電流
がOFFにされて図示する原位置に戻され、リニア液圧
制御弁102への供給電流が0にされて閉状態にされ
る。電磁制御弁116が閉状態とされ、電磁制御弁11
8、電磁制御弁120が開状態にされる。後方液圧室5
4の作動液は、開状態にある電磁制御弁120、電磁制
御弁118、逆止弁140,中間環状室56,逆止弁6
2を経て加圧室28に供給され、中間環状室56の作動
液は逆止弁62を経て加圧室28に供給される。加圧室
28の作動液は連通路86,ポート82,リザーバ通路
90を経てリザーバ92に戻される。
【0053】ブレーキ作動中に、車輪190,194の
少なくとも1つの制動スリップが過大になるとアンチロ
ック制御が行われる。この場合には、車輪190,19
4の制動スリップ状態が適正状態になるように、各ブレ
ーキシリンダ192,196の液圧が、液圧制御弁装置
200,202の制御により制御される。動力式液圧源
12の制御は、通常ブレーキ作動時と同様に行われるよ
うにしても、アンチロック制御が開始された時点の液圧
が保持されるようにしても、アンチロック制御が開始さ
れた時点の液圧より低い液圧に保持されるようにしても
よい。
【0054】運転者によってブレーキペダル26が操作
されていない状態でブレーキを作動させる必要が生じた
場合、例えば、トラクション制御、ビークルスタビリテ
ィ制御等が行われる場合等には、動力式液圧源12の作
動によってブレーキ191,195が作動させられる。
駆動輪としての前輪194の駆動スリップが過大になっ
た場合にはトラクション制御が行われる。動力式液圧源
12の作動によって加圧室28、30に液圧が発生させ
られ、ブレーキが作動させられるのであるが、駆動輪の
ブレーキシリンダ196の液圧は、駆動輪の駆動スリッ
プ状態が適正状態に保たれるように、液圧制御弁装置2
02の制御により制御される。後輪側の保持弁210が
閉じられた状態で、前輪側の保持弁210,減圧弁21
4が開閉制御されるのである。
【0055】ブレーキペダル26の非操作状態において
ブレーキを作動させる場合には、まず、電磁制御弁11
6、120が開状態とされ、電磁制御弁118が閉状態
にされる。動力式液圧源12の作動液が後方液圧室54
に供給され、加圧ピストン22が前進させられる。加圧
ピストン22の前進に伴ってポート86とポート82と
が遮断されると、電磁制御弁120が閉状態とされて、
電磁制御弁118が開状態に切り換えられる。加圧室2
8の液圧は、動力式液圧源12により直接制御される。
加圧室28の液圧の増加によって加圧ピストン24が前
進させられ、加圧室30に液圧が発生させられる。トラ
クション制御中においては、加圧室28、30の液圧が
予め定められた設定圧になるように、すなわち、マスタ
センサ324による検出液圧が設定圧になるようにリニ
ア液圧制御弁102への供給電流が制御される。本実施
形態においては、後方液圧が予め定められた設定圧(例
えば、0.5MPa)になると、電磁制御弁118,1
20が切り換えられるのであるが、この設定圧は、後方
液圧室54の液圧に応じて加圧ピストンに加えられる力
によって加圧ピストン22が前進させられ、加圧室28
をリザーバ92から遮断する位置に至ったと推定し得る
高さである。加圧ピストン22の前進によって加圧室2
8からリザーバ92が遮断されたと推定された後に、動
力式液圧源12の作動液が加圧室28に供給される状態
に切り換えられるのである。
【0056】車両のスピン傾向、ドリフトアウト傾向が
設定レベル以上になると、ビークルスタビリティ制御が
行われる。スピン抑制制御、ドリフトアウト抑制制御が
行われるのであり、スピン状態あるいはドリフトアウト
状態を抑制し得るヨーモーメントが生じるように、前後
あるいは左右の制動力差が制御される。トラクション制
御が行われる場合と同様に、動力式液圧源12の制御に
より加圧室28、30の液圧が制御された状態で、各車
輪の液圧が液圧制御弁装置200,202の制御により
制御される。
【0057】なお、緊急時に自動ブレーキを作動させる
こともできる。例えば、レーザレーダ装置を設け、接近
状態が設定状態以上の物体が検出された場合に、動力式
液圧源12の作動によりブレーキを自動で作動させるの
である。この場合には、接近状態のレベルに応じた液圧
が得られるように動力式液圧源12が制御されるように
することができる。
【0058】当該ブレーキ装置に異常が検出された場合
には、ポンプ装置100が非作動状態とされ、リニア液
圧制御弁102が閉状態にされ、各電磁制御弁(NC弁
A)116、電磁制御弁(NO弁B)118、電磁制御
弁(NO弁C)120が図示する原位置に戻される。異
常は、例えば、後述するイニシャルチェックにおいて検
出される。また、断線等の電気系統の異常に起因して当
該ブレーキ装置に電流を供給できなくなった場合にも、
上述の場合と同様の状態にされる。電磁制御弁116が
閉状態にされるため、加圧室28から中間環状室側への
作動液の流出が阻止される。また、リニア液圧制御弁1
02が閉状態にされるため、中間環状室56,後方液圧
室54側からリザーバ92への作動液の流出が阻止され
る。さらに、電磁制御弁118,120が開状態にされ
るため、中間環状室56と後方液圧室54とが連通させ
られる。後方液圧室54から中間環状室56への作動液
の流れが電磁制御弁120,118および逆止弁140
を経て許容され、逆向きの大流量の流れがリリーフ弁1
42および電磁制御弁118,120を経て許容され、
小流量の流れがオリフィス144および電磁制御弁11
8,120を経て許容されるのである。
【0059】この状態においてブレーキペダル26が操
作されると、中間環状室56,加圧室28、30に液圧
が発生させられる。中間環状室56の液圧がリリーフ弁
142のリリーフ圧より低い間は加圧室28の液圧より
高くなるため、中間環状室56の作動液は逆止弁62を
経て加圧室28に供給される。また、後方液圧室54に
は、加圧ピストン22の前進に伴ってリザーバ92から
作動液が供給されるため、後方液圧室54の液圧は大気
圧になる。その結果、加圧室28の液圧Pmcは、式 Pmc=F/Am で表される高さになる。
【0060】ブレーキペダル26に加えられる操作力の
増加に伴って中間環状室56の液圧が増加し、リリーフ
圧以上になると、中間環状室56の作動液はリリーフ弁
142,開状態にある電磁制御弁118または逆止弁1
36,開状態にある電磁制御弁120または逆止弁12
4を経て後方液圧室54に供給される。また、定常状態
においては、中間環状室56と方向液圧室54との間に
はオリフィス144が設けられているため、中間環状室
56の液圧と後方液圧室54の液圧とは同じ高さにな
る。この場合には、中間環状室56の液圧も後方液圧室
54の液圧も大気圧になる。その結果、加圧室28の液
圧Pmcは、式 Pmc=F/Ao で表される高さになり、加圧面積はAoである。
【0061】このように、本実施形態においては、動力
式液圧源12の液圧によって加圧ピストン22に助勢力
が加えられなくなる異常が生じても、加圧室28に踏力
に応じた液圧を発生させることができる。また、前輪
側、後輪側の2系統において液圧を発生させることがで
きる。一方の系統が失陥することはないのである。さら
に、操作初期時に、ブレーキシリンダに多量の作動液を
供給することができるため、ファーストフィルを速やか
に終了させることができ、踏力が大きくなった場合には
小径化を図ることができるため(Ao<Am)、加圧室2
8に踏力が同じである場合により高い液圧を発生させる
ことができる。
【0062】異常時に小径加圧される場合には、加圧ピ
ストン22が前進端位置まで移動させられるおそれがあ
る。ブレーキシリンダに供給される作動液量が同じ場合
には大径加圧が行われる場合より小径加圧が行われる方
が加圧ピストン22のストロークが大きくなる。そのた
め、加圧ピストン22が前進端位置まで移動し、加圧室
28の液圧が低下するおそれがある。それに対して、本
実施形態においては、2つの加圧室28,30の間に液
圧調節装置160が設けられているため、加圧ピストン
22がボトミングを起こしても、加圧室28の液圧が加
圧室30の液圧より低くなることを回避することがで
き、加圧室28に接続されたブレーキシリンダ192の
液圧が低下することを回避することができる。
【0063】また、本実施形態によれば、電磁制御弁1
18に閉故障が生じた場合であっても、逆止弁136に
よって中間環状室56から後方液圧室54への作動液の
流れが許容される。そのため、中間環状室56の液圧が
過大になって、加圧ピストン22の前進が不能になるこ
とを良好に回避することができる。また、フィルアップ
効果を得ることができる。同様に、電磁制御弁120に
閉故障が生じても、逆止弁124によって中間環状室5
6からの作動液の流れが許容される。
【0064】さらに、電磁制御弁116に開故障が生じ
た場合、あるいは、逆止弁62に開故障が生じた場合に
も有効である。この場合には、加圧室28から中間環状
室側に作動液が流出するが、中間環状室56と後方液圧
室54とが連通させられ、かつ、中間環状室56,後方
液圧室54からリザーバ92への作動液の流出が阻止さ
れた状態にある。その結果、加圧室28,中間環状室5
6,後方液圧室54の液圧が同じになり、 Pmc=Pf=Prs 加圧室28の液圧Pmcは、式 Pmc=F/Ai で表される高さになる。この場合においても、加圧室2
8,30に、踏力に応じた液圧を発生させることができ
るのであり、前輪側および後輪側の2系統のブレーキを
作動させることができる。加圧面積はAiである。
【0065】本実施形態においては、出力側小径部44
の断面積Aoが入力側小径部40の断面積Aiより大きく
されている(Ao>Ai)。その結果、前述の加圧面積A
oである場合よりさらに小径化を図ることができ、踏力
が同じである場合の加圧室28の液圧を高くすることが
できる。また、中間環状室56、後方液圧室54、加圧
室28に同じ高さの液圧が発生させられる場合には、シ
ール部材46,47,52が高圧シール部材となる。正
常な場合には、シール部材46,52のみが高圧シール
部材なのであり、異常時には高圧シール部材の個数が増
える。高圧シール部材の個数が多くなると摩擦抵抗が増
加して加圧ピストン22の機械効率が低下する。それに
対して、本実施形態においては、加圧面積がAiとなる
ため、その分、必要な操作力の増加を抑制することがで
きる。なお、通常ブレーキ中において、電磁制御弁11
6が開状態、電磁制御弁120が開状態にある場合に、
電磁制御弁118に開故障が生じた場合にも同様の効果
を得ることができる。換言すれば、動力式液圧源12が
正常であり、制御圧室54や中間環状室56に適正な液
圧を発生させることができる場合であって、電磁制御弁
118に開故障が生じた場合にも同様な効果を得ること
ができるのである。
【0066】さらに、逆止弁106に開故障が検出され
た場合、リニア液圧制御弁102に開故障が検出された
場合にも有効である。この場合には、後方液圧室54、
中間環状室56からリザーバ92への作動液の流出が許
容されるため、液圧を発生させることができなくなり、
大気圧になるが、 Pf=Prs=0 この場合においても、電磁制御弁116が閉状態にある
ため、加圧室28から液通路152を経て作動液が流出
させられることが回避され、加圧室28には式 Pmc=F/Ao で表される高さの液圧を発生させることができる。加圧
室28には、踏力Fに応じた液圧が発生させられるので
あり、2系統のブレーキを作動させることができる。
【0067】シール部材52、47等の不良にも、同様
の効果を得ることができる。中間環状室56と後方液圧
室54とは連通状態にあるため、シール部材52,47
の少なくとも一方に不良が生ずれば、両方の液圧が大気
圧になる。この場合においても、電磁制御弁116が閉
状態にあるため、加圧室28には踏力に応じた液圧を発
生させることができる。また、上述のいずれの場合にお
いても、小径加圧(加圧面積Ao、Ai)が行われるた
め、大径加圧(加圧面積Am)が行われる場合に比較し
て、踏力が同じ場合の加圧室28の液圧を高くすること
ができる。
【0068】次に、イニシャルチェックについて説明す
る。イニシャルチェックにおいては、動力式液圧源12
の異常(ポンプ装置100の異常、リニア液圧制御弁1
02の異常),各電磁制御弁116,118,120,
逆止弁162の異常が点検される。イニシャルチェック
は、イニシャルチェックプログラムに従って行われる。
予め定められたパターンに従って、ポンプモータ10
4、リニア液圧制御弁102、各電磁制御弁116,1
18,120が作動させられ、それぞれの状態のマスタ
圧、後方液圧に基づいてチェックが行われる。また、イ
ニシャルチェック中においては保持弁210が閉状態に
される。イニシャルチェック中にブレーキ191、19
5が作動させられることは望ましくないからである。
【0069】イニシャルチェックが図6のパターン従っ
て行われる場合について説明する。これは、通常ブレー
キ作動を想定して行われるチェックである。時点T0に
おいて、電磁制御弁116,118,120がブレーキ
ペダル26が操作された場合の状態と同様な状態にされ
るとともに、ポンプ103が作動させられる。また、リ
ニア液圧制御弁102のコイル108への供給電流が、
後方液圧Prsが予め定められたパターンに従って変化す
るように制御される。予め定められた設定時間Ts1が経
過すると、ポンプモータ104の作動が停止させられ、
設定時間Ts2が経過すると、電磁制御弁116が閉状態
に切り換えられ、電磁制御弁118が開状態に、電磁制
御弁120が閉状態に切り換えられる。その後、設定時
間Ts3が経過すると、リニア液圧制御弁102への供給
電流が0にされ、設定時間Ts4が経過すると、電磁制御
弁120が開状態に戻される。イニシャルチェックが終
了し、後方液圧室54,中間環状室56,加圧室28,
30の作動液がリザーバ92に戻されたと推定される時
間が経過した後に、保持弁210が開状態に戻される。
【0070】ブレーキ装置が正常な場合には、マスタ圧
Pmc、後方液圧Prsは、実線に沿って変化する。動力式
液圧源12の作動によって後方液圧Prsが増圧させられ
る。加圧ピストン22が前進させられ、それに伴ってマ
スタ圧Pmcも増圧させられる。マスタ圧Pmc はリター
ンスプリング93,94のセット荷重、加圧ピストン2
2,24のハウジング20に対する摺動抵抗等に起因し
て、後方液圧Prsに遅れて増加するが、マスタ圧Pmcの
変化量に比較して、遅れの程度は非常に小さいため、こ
の図においては表されていない。また、後方液圧室5
4,中間環状室56の作動液は、加圧室28に戻された
後にリザーバ92に戻されるため、マスタ圧Pmcは後方
液圧Prsに遅れて低下する。この遅れもこの図において
は表されていない。
【0071】設定時間Ts1経過後にポンプモータ104
の作動が停止させられるが、その後、本実施形態におい
ては、後方液圧rsが一定に保たれるようにリニア液圧制
御弁102が制御される(閉状態)。設定時間Ts2経過
後に、電磁制御弁116,120が閉状態にされれば、
後方液圧Prs、マスタ圧Pmcは保持される。また、設定
時間Ts3が経過するまでの間、電磁制御弁118は開状
態にあるため、中間環状室56の液圧がリニア液圧制御
弁102の制御によって制御される。ここでは、減圧さ
せられることになる。設定時間Ts4の経過後に、電磁制
御弁120が開状態にされると、後方液圧室54の作動
液が中間環状室56、逆止弁62,加圧室28を経てリ
ザーバ92に流出させられ、液圧が低下させられる。
【0072】時点T1のマスタ圧Pm1が設定圧より低い
場合には、動力式液圧源12の異常であると判定され
る。高圧の作動液が後方液圧室54に供給されないた
め、マスタ圧が十分に高くならないのである。例えば、
ポンプ103の作動異常、ポンプモータ104の作動異
常、リニア液圧制御弁102の開故障等が該当する。こ
の異常は、後方液圧Prsに基づいて直接検出することも
可能である。また、マスタ圧Pm1と後方液圧Pr1との比
率(Pm1/Pr1)が設定値以上の場合、すなわち、マス
タ圧Pm1が後方液圧Pr1に対して過大である場合には、
電磁制御弁118の開故障であると判定される。閉状態
にあるはずの電磁制御弁118が開状態にあり、動力式
液圧源12から吐出された作動液が電磁制御弁118、
逆止弁140、電磁開閉弁116を経て加圧室28に供
給されると考えられる。
【0073】時点T2、すなわち、ポンプモータ104
の作動が停止させられてから予め定められた設定時間T
saが経過した時点に、後方液圧Pr2が設定圧以下の場
合、または、後方液圧Pr2が設定勾配以上で減圧した場
合には、ポンプ103の吐出側に設けられた逆止弁10
6の開故障であると判定される。リニア液圧制御弁10
2はほぼ閉状態あるため、後方液圧室54の作動液が開
状態にある電磁制御弁120,逆止弁106,非作動状
態にあるギヤポンプ103を経てリザーバ92に戻され
ると考えられる。
【0074】時点T3、すなわち、リニア液圧制御弁1
02が閉状態に切り換えられてから設定時間Tsb経過し
た時点の後方液圧Pr3が設定圧以下、あるいはマスタ圧
Pm3が設定圧以下である場合には、電磁制御弁116の
開故障あるいは電磁制御弁120の開故障であると判定
される。中間環状室56の液圧が低くされているため、
電磁制御弁116や120が開状態にある場合には、加
圧室28や後方液圧室54から中間環状室56に作動液
が流出させられると考えられる。以上のように、図6の
パターンに従ってイニシャルチェックが行われれば、動
力式液圧源12、電磁制御弁116,118,120の
異常をチェックすることができる。なお、保持弁210
はイニシャルチェックに要する時間に対して長めに閉状
態に保たれるため、イニシャルチェックに起因してブレ
ーキ191,195が作動させられることを確実に阻止
することができる。
【0075】イニシャルチェックは、図7に示すパター
ンに従って行うこともできる。このチェックは、簡略的
に行われるチェックであるが、この場合においても、時
点T1´におけるマスタ圧Pm1、後方液圧Pr1、時点T
2´における後方液圧Pr2に基づいて動力式液圧源12
の異常を検出することができる。
【0076】また、自動ブレーキ(トラクション制御、
ビークルスタビリティ制御等運転者がブレーキペダル2
6を操作していない状態でブレーキを作動させる場合)
を想定したイニシャルチェックが図8のパターンに従っ
て行われる。まず、動力式液圧源12が作動させられ、
電磁制御弁116,118,120が上述の場合と同様
の状態に切り換えられる。その後、後方液圧Prsが設定
圧(加圧ピストン22の前進によってポート86とポー
ト82とが遮断されたと推定し得る高さ)以上になる
と、電磁制御弁118が開状態、電磁制御弁120が閉
状態に切り換えられる。加圧室28の液圧はリニア液圧
制御弁102の制御により直接制御され、後方液圧室5
4の液圧はそれに応じて変化する。
【0077】後方液圧Prsが設定圧以上になった時点T
0から設定時間Ts5が経過すると、電磁制御弁116
、118、120が図示する原位置に戻され、設定時
間Ts6が経過すると、動力式液圧源12が非作動状態に
される。ブレーキ装置が正常な場合には、マスタ圧Pm
c、後方液圧Prsは実線に沿って変化するはずである。
この図においては、マスタ圧Pmcが後方液圧Prsの変化
に遅れて増圧、減圧する状態が表されている。電磁制御
弁118,120を切り換える以前にマスタ圧が僅かに
増加するのであり、加圧室28がリザーバ92から遮断
された状態にあることがわかる。
【0078】時点T4(時点T0から設定時間Tsc経過し
た時点)におけるマスタ圧Pm1が設定圧以下である場合
には、上述の場合と同様に、ポンプ装置100の作動異
常、リニア液圧制御弁102の開故障であると判定さ
れ、設定圧以上である場合には、リニア液圧制御弁10
2の閉故障であると判定される。また、動力式液圧源1
2が非作動状態に切り換えられてから設定時間Tsd経過
した時点T5における後方液圧Pr1が設定圧以上である
場合には、電磁制御弁120の閉故障であると判定され
る。後方液圧室54の液圧の方が加圧室28の液圧より
高いのが普通であるため、電磁制御弁120が開状態に
あれば、動力式液圧源12の作動が停止させられた後に
後方液圧室54から作動液が加圧室側へ流出させられる
はずである。
【0079】さらに、イニシャルチェックは図9のパタ
ーンに従って行うこともできる。図8のパターンとの比
較において、電磁制御弁116が開状態にある場合にお
いてポンプモータ104が停止させられること、リニア
液圧制御弁102の制御がポンプモータ104が停止し
てから設定時間Tseの間続けられることとが異なる。こ
の場合には、電磁開閉弁116、118が開状態にある
ため、リニア液圧制御弁102の減圧制御に伴って、加
圧室28の液圧、中間環状室56の液圧が減圧される。
したがって、時点T5´におけるマスタ圧Pmcが設定圧
以上である場合には、電磁制御弁116の閉故障である
と判定される。
【0080】以上のように、本実施形態においては、リ
ニア液圧制御弁102,逆止弁106等によって流出阻
止装置が構成され、液通路126,逆止弁128等によ
って流入許容装置が構成され、電磁制御弁118,12
0等によって第2加圧室である中間環状室56と制御圧
室である後方液圧室54とを連通させる連通弁装置が構
成される。
【0081】なお、ブレーキ装置の構造は、上記実施形
態におけるそれに限らず、図10に示す構造のものとす
ることができる。本実施形態におけるブレーキ装置にお
いては、400はマスタシリンダであり、402は動力
式液圧源であり、404は弁装置である。マスタシリン
ダ400は、ハウジング405に液密かつ摺動可能に嵌
合された2つの加圧ピストン406,408を含む。加
圧ピストン406には図示しないブレーキペダル26が
連携させられる。加圧ピストン406は、大径部410
と小径部(ピストンロッド)412とを含む段付き形状
を成したものであり、大径部410の前方に加圧室41
4が形成され、後方に後方液圧室416が形成される。
上記加圧ピストン408の前方の加圧室418には、加
圧室414と同じ高さの液圧が発生させられる。本マス
タシリンダ400には中間環状室が設けられていない。
加圧室414,418には、それぞれ、ブレーキシリン
ダが接続される。
【0082】後方液圧室416には動力式液圧源402
が接続されている。動力式液圧源402は、ポンプ42
0およびポンプモータ422を含むポンプ装置423、
電磁制御弁424,426等を含む。ポンプ420はリ
ザーバ92の作動液を汲み上げて加圧するものであり、
ポンプモータ422によって作動させられる。ポンプ4
20から吐出される作動液の液圧は電磁制御弁426の
開閉制御により制御され、後方液圧室416の液圧Prs
が制御される。後方液圧室416には、逆止弁428を
介してリザーバ92に接続される。加圧ピストン406
の前進速度が大きくても、後方液圧室416が負圧にな
ることが回避される。電磁制御弁424は、ポンプ42
0の吐出側と後方液圧室416との間に設けられ、電流
が供給されない場合に閉状態にされる常閉弁であり、供
給電流のON・OFFにより開状態と閉状態とに切り換
えられる電磁開閉弁である。電磁制御弁426は、後方
液圧室416とリザーバ92との間に設けられ、電流が
供給されない場合に開状態に保たれる常開弁であり、供
給電流のON・OFFにより開状態と閉状態とに切り換
えられる電磁開閉弁である。
【0083】また、加圧室414と後方液圧室416と
の間には流通制限装置430と電磁制御弁432とが直
列に設けられている。電磁制御弁432は常閉の電磁開
閉弁であり、流通制限装置430は、加圧室414の液
圧が後方液圧室416の液圧よりリリーフ圧以上高い場
合に、加圧室414から後方液圧室416への作動液の
流れを許容するリリーフ弁434と、そのリリーフ弁4
34と並列に設けられ、後方液圧室416から加圧室4
14への作動液の流れを許容し、逆向きの流れを阻止す
る逆止弁436とを含む。さらに、加圧室414には逆
止弁440を介してリザーバ92に接続されている。逆
止弁440はリザーバ92から加圧室414への作動液
の流れを許容し、逆向きの流れを阻止するものである。
ブレーキ操作解除時等加圧室414の容積の増大に伴っ
てリザーバ92から作動液が供給され、加圧室414が
負圧になることが回避される。また、図示を省略する
が、加圧ピストン406,408が後退端にに位置する
場合には、加圧室414,418は液通路を経てリザー
バ92に連通させられ、加圧室414,418の液圧が
リザーバ92に戻される。
【0084】通常ブレーキ作動時においては、電磁制御
弁432は閉状態に保たれ、電磁制御弁424は開状態
に保たれた状態で、後方液圧室416の液圧が電磁制御
弁426の制御により制御される。加圧室414の液圧
は後方液圧Prsの制御により制御されるのであり、式 Pmc={F+Prs(Am−Ai)}/Am で表される高さにされる。
【0085】ポンプ装置423の作動異常等により、高
圧の作動液を供給できない場合には、電磁制御弁42
4、426が閉状態とされ、電磁制御弁432が連通状
態に切り換えられる。加圧ピストン406の前進に伴っ
て、後方液圧室416にはリザーバ92の作動液が逆止
弁428を経て供給され、加圧室414には、踏力に応
じた液圧が発生させられる。 Pmc=F/Am 加圧室414の液圧がリリーフ圧以上になると、加圧室
414の作動液がリリーフ弁434,電磁制御弁432
を経て後方液圧室54に供給される。その結果、加圧室
414の液圧は、式 Pmc=F/Ai で表される高さになる。このように、加圧室414の液
圧がリリーフ圧以下である場合には、ブレーキシリンダ
に多量の作動液を供給することができるため、ファース
トフィルを速やかに終了させることができる。また、リ
リーフ圧以上になると小径化により、踏力Fが同じ場合
の加圧室414の液圧を高くすることができる。
【0086】電気系統等に異常が生じた場合には、電磁
制御弁424,426,432は図示する原位置に戻さ
れる。後方液圧室416には、加圧ピストンの前進に伴
って電磁制御弁426または逆止弁428を経て作動液
がリザーバ92から供給される。また、電磁制御弁43
2が閉状態にされるため、加圧室414から後方液圧室
側へ作動液が流出させられることを防止することがで
き、加圧室414には、踏力Fに応じた液圧を発生させ
ることができる。また、加圧室418にも同じ高さの液
圧を発生させることができる。この状態においては、小
径部412とハウジング405との間のシール部材44
2に不良が生じて後方液圧室416が大気圧まで低下し
ても、加圧室414、418に液圧を発生させることが
できる。以上のように、本実施形態においても、電気系
統の異常、シール不良等が生じても、加圧室414の液
圧の低下が抑制され、踏力に応じた液圧を発生させるこ
とができる。なお、弁装置404は、流通制限装置43
0、電磁制御弁432等によって構成されると考えるこ
とができるが、電磁制御弁424も弁装置の構成要素と
考えることができる。
【0087】その他、本発明は、〔発明が解決しようと
する課題、課題解決手段および効果〕に記載の態様を始
めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を
施した態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるブレーキ装置を表す
回路図である。
【図2】上記ブレーキ装置に含まれるマスタシリンダの
断面図である。
【図3】上記ブレーキ装置に含まれるリニア液圧制御弁
を表す概念図である。
【図4】上記ブレーキ装置に含まれるブレーキECUの
構造を概念的に表す図である。
【図5】上記ブレーキECUのROMに格納されたブレ
ーキ液圧制御プログラムの実行に従って切り換えられる
電磁制御弁の状態を示す図である。
【図6】上記ブレーキECUのROMに格納されたイニ
シャルチェックプログラムの実行に従ってブレーキ装置
が制御された場合の各電磁弁等の作動状態を表す図であ
る。
【図7】上記ブレーキECUのROMに格納されたイニ
シャルチェックプログラムの実行に従ってブレーキ装置
が制御された場合の各電磁弁等の作動状態を表す図であ
る。
【図8】上記ブレーキECUのROMに格納されたイニ
シャルチェックプログラムの実行に従ってブレーキ装置
が制御された場合の各電磁弁等の作動状態を表す図であ
る。
【図9】上記ブレーキECUのROMに格納されたイニ
シャルチェックプログラムの実行に従ってブレーキ装置
が制御された場合の各電磁弁等の作動状態を表す図であ
る。
【図10】本発明の別の一実施形態であるブレーキ装置
を表す回路図である。
【符号の説明】
10マスタシリンダ 12ポンプ装置 14弁装置 22,24加圧ピストン 106リニア液圧制御弁 116,118,120電磁制御弁 160液圧調節装置 324マスタ圧センサ 326後方液圧センサ
フロントページの続き Fターム(参考) 3D046 BB01 BB28 BB29 CC02 DD03 EE01 FF04 HH02 HH16 HH25 HH36 KK12 LL05 LL23 LL29 LL30 LL37 LL46 MM05 MM16 3D048 BB03 BB23 CC09 GG01 GG05 GG09 GG16 HH15 3D049 BB03 CC02 HH12 HH25

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】動力の供給によって作動させられ、作動液
    を加圧して供給する動力式液圧源と、 ブレーキシリンダの液圧により作動させられるブレーキ
    と、 ハウジングに液密かつ摺動可能に嵌合された加圧ピスト
    ンを含み、その加圧ピストンが、大径部と小径部とを含
    む段付き形状を成したものであり、前記小径部の前方が
    前記ブレーキシリンダに接続された第1加圧室とされる
    一方、前記大径部の前方および後方がそれぞれが第2加
    圧室および制御圧室とされ、これら制御圧室と第2加圧
    室とに、それぞれ、前記動力式液圧源が接続された液圧
    シリンダと、 少なくとも、これら第1加圧室、第2加圧室、制御圧室
    および動力式液圧源のうちの少なくとも2つの間の連通
    状態を制御する弁装置とを含むことを特徴とするブレー
    キ装置。
  2. 【請求項2】前記弁装置が、前記第1加圧室と前記第2
    加圧室との間に設けられ、少なくとも前記制御圧室と前
    記第2加圧室との少なくとも一方に適正な液圧を発生さ
    せることができない異常が生じた場合に、前記第1加圧
    室から前記第2加圧室への作動液の流れを阻止する阻止
    弁を含む請求項1に記載のブレーキ装置。
  3. 【請求項3】作動液をほぼ大気圧で収容する低圧源と、 少なくとも前記異常が生じた場合に、前記第2加圧室か
    ら前記低圧源への作動液の流出を阻止する流出阻止装置
    とを含む請求項2に記載のブレーキ装置。
  4. 【請求項4】少なくとも前記異常が生じた場合に、前記
    低圧源から前記制御圧室への作動液の流れを許容する流
    入許容装置を含む請求項3に記載のブレーキ装置。
  5. 【請求項5】前記液圧シリンダが加圧ピストンを2つ含
    み、それぞれの前方の加圧室の間に、一方の加圧室の液
    圧が、他方の加圧室の液圧とそれら一方および他方の加
    圧室の液圧間の予め定められ関係とに基づいて決まる液
    圧より低くなることを防止する液圧調節装置を含む請求
    項1ないし4のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
  6. 【請求項6】前記弁装置が、前記第1加圧室から第2加
    圧室への作動液の流れを阻止できない異常が生じた場合
    に、前記第2加圧室と前記制御圧室とを互いに連通させ
    る連通弁装置を含む請求項1ないし5のいずれか1つに
    記載のブレーキ装置。
  7. 【請求項7】前記加圧ピストンの第2加圧室に対向する
    受圧面積が前記制御圧室に対向する受圧面積より小さく
    された請求項6に記載のブレーキ装置。
  8. 【請求項8】動力の供給によって作動させられ、作動液
    を加圧して供給する動力式液圧源と、 ブレーキシリンダの液圧によって作動させられるブレー
    キと、 加圧ピストンを含み、その加圧ピストンの前方の加圧室
    に前記ブレーキシリンダが接続された液圧シリンダとを
    含むブレーキ装置であって、 前記加圧ピストンの後方の後方液圧室に前記動力式液圧
    源が接続され、前記加圧室と後方液圧室とを接続する液
    通路に、少なくとも前記制御圧室に適正な液圧を発生さ
    せることができない異常が生じた場合に、前記加圧室か
    ら後方液圧室への作動液の流れを阻止する弁装置を設け
    たことを特徴とするブレーキ装置。
  9. 【請求項9】ブレーキシリンダの液圧により作動させら
    れるブレーキと、 2つの加圧ピストンを含み、それぞれの前方の加圧室の
    作動液を、それぞれ前記ブレーキシリンダに供給する液
    圧シリンダとを含むブレーキ装置に、 前記2つの加圧室の間に、一方の加圧室の液圧が、他方
    の加圧室の液圧とそれら一方および他方の加圧室の液圧
    間の予め定められ関係とに基づいて決まる液圧より低く
    なることを防止する液圧調節装置を設けたことを特徴と
    するブレーキ装置。
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