JPH09201412A - 気泡除去装置と体外血液循環システム - Google Patents

気泡除去装置と体外血液循環システム

Info

Publication number
JPH09201412A
JPH09201412A JP8012306A JP1230696A JPH09201412A JP H09201412 A JPH09201412 A JP H09201412A JP 8012306 A JP8012306 A JP 8012306A JP 1230696 A JP1230696 A JP 1230696A JP H09201412 A JPH09201412 A JP H09201412A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid
removing device
bubble removing
extracorporeal blood
blood circulation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8012306A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Nishida
博 西田
Susumu Suzuki
進 鈴木
Hayao Nakatani
速男 中谷
Kenji Ihashi
健治 伊橋
Shinko Endo
真弘 遠藤
Hitoshi Koyanagi
仁 小柳
Hikari Nakanishi
光 中西
Katsuyuki Kuwana
克之 桑名
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SENKO IKA KOGYO KK
Senko Medical Instrument Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
SENKO IKA KOGYO KK
Senko Medical Instrument Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SENKO IKA KOGYO KK, Senko Medical Instrument Manufacturing Co Ltd filed Critical SENKO IKA KOGYO KK
Priority to JP8012306A priority Critical patent/JPH09201412A/ja
Publication of JPH09201412A publication Critical patent/JPH09201412A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 医療用の循環液流路などに付着し、または発
生する気泡を流路内で除去するための気泡除去装置、お
よびこれを用いた体外血液循環システムを得る。 【解決手段】 気泡除去装置10は、液体が流通する液
相部13と気泡が吸引される気相部14とを有し、この
液相部13と気相部14とが、気体を透過し液体を透過
しない隔膜9によって分画されてなる。この気泡除去装
置10と送液ポンプとを用いて体外血液循環システムを
構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体流路の気泡除
去装置と体外血液循環システムに関するものであり、特
に医療用の循環液流路などに流入付着し、または発生す
る気泡を流路内で除去するための気泡除去装置、および
これを用いた体外血液循環システムに関する。
【0002】
【従来の技術】医療分野などにおいて、液体流路に付着
し、または発生する気泡を除去しなければならない場合
がしばしば生じる。例えば、現在の開心術では、オープ
ンリザーバを用いた開放型体外血液循環システムが多く
用いられているが、システム全体をよりコンパクトにで
きること、システム内壁の生体適合性を更に向上させて
血液損傷の少ない血液循環系が得られるなどの点で、低
陰圧血液吸引システムと組み合わせた閉鎖型体外血液循
環システムの確立が求められている。このような閉鎖型
体外血液循環システムにおいては、一般に配管やコネク
タ、リザーバ、ポンプ、人工肺などに付着した空気が血
流に混入することが最大の問題となる。
【0003】体外血液循環システムにおける各種装置や
配管に付着する空気を除去するために、このシステムに
血液を流通させるに先立って、一般に「プライミング」
と呼ばれる操作が行われる。この操作は、体外血液流路
のみで閉回路を形成し、この閉回路中に気泡除去装置を
挿入するとともに、リンゲル液などの医学的に許容でき
る液体を充填後に循環させ、振動などによって器壁に付
着した気泡を循環液に浮遊させ、回路中に挿入された気
泡除去装置によって、この気泡を系外に除去する、とい
うものである。
【0004】このとき用いられる気泡除去装置として
は、種々な形式のものが知られているが、一般的には、
気泡を含んだ液体を疎水性膜と接触させ、この膜を通し
て気泡を除去するエア・ベンティング方式、気泡をスポ
ンジ状の多孔質体を通過させることによって凝集させ、
気塊として浮上させて液相から分離するコアレッサー方
式、あるいはこれらを組み合わせた方式などが多く用い
られている。
【0005】しかし、体外血液循環システムにはポンプ
や人工肺など複雑な構造の機器も多く接続され、これら
の機器の微細な凹部や疎水性材質部には微細な気泡が強
固に付着し、単なるリンゲル液の循環などによっては気
泡の除去が十分に行われない場合がある。
【0006】この問題を解決するために、例えば、特開
平4−53565号公報は、上記の体外閉回路中にリン
ゲル液などの循環液を間欠的に流して流路中の気泡を浮
上させ、回路中に挿入された気泡除去装置によってこの
気泡を除去する方法と装置とを提案している。この回路
中の気泡除去装置は、多孔質中空糸膜など、気体は通す
が液体は通さない膜壁を介して気体を系外に排出するも
のであり、例えば多孔質中空糸膜からなる人工肺などを
この気泡除去装置として利用することもできるとしてい
る。また、この装置による気泡除去を更に効率的に行う
ためには、気泡除去装置の下流の流路に小径流路部を設
け、気泡除去装置内の循環液を加圧することが好ましい
とされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来知ら
れている気泡除去手段は、振動や脈動などによって循環
液に浮遊した比較的大きい気泡を除去するものであっ
て、実際の複雑な流路の凹部などに付着した微細気泡
や、循環液に微分散した気泡まで十分に除去することは
困難であった。しかも、上記の気泡除去手段では、プラ
イミング時にのみ体外血液流路の気泡除去が行われ、実
際の血液循環に切り替えられる時や切り替えた後に発生
する気泡は、除去することができないという問題があっ
た。
【0008】また、上記のいずれの形式の気泡除去装置
を用いるとしても、液相にはある程度の圧力を加える必
要があり、このため送血側に臨床的に許容できる限度を
越えた血圧差が生じるので、実際上、体内外を一環する
血液循環系には使用できなかった。特に、気泡除去装置
の下流の流路に小径流路部を設けて気泡除去装置の効率
を高める上記の方法においては、血液循環に際して送血
側との血圧差が過大となるため、プライミング終了後、
気泡除去装置と小径流路部とを循環流路から除去しなけ
ればならない。このことは操作を煩雑にするばかりでな
く、この操作中に気泡が混入する可能性が増大するとい
う問題もあった。
【0009】本発明は上記の問題を解決するためになさ
れたものであって、従って本発明の目的は、プライミン
グ中だけでなく、血液循環に切り替えた後も引き続いて
使用することができる気泡除去装置、およびこの気泡除
去装置を用いた体外血液循環システムを提供することに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、液体中に
含まれる気泡を除去する装置であって、液体が流通する
液相部と気泡が吸引される気相部とを有し、この液相部
と気相部とが、気体を透過し液体を透過しない隔膜によ
って分画されてなる気泡除去装置を提供することによっ
て解決できる。上記の隔膜は中空糸膜であることが好ま
しい。この中空糸膜は、外側が液相部とされ、内側が気
相部とされてなることが好ましい。また上記の隔膜は、
液相部側に疎水性被膜が形成されてなることが好まし
い。
【0011】本発明はまた、体内から脱血した血液を体
内に送血する体外血液流路を有する血液循環システムで
あって、この体外血液流路に、少なくとも上記の気泡除
去装置と、送液ポンプとが配設された体外血液循環シス
テムを提供する。上記の気泡除去装置は、送液ポンプの
上流に配設されていることが好ましい。
【0012】上記の体外血液循環システムは、体外血液
流路の脱血側端末と送血側端末とを連結して体外で閉回
路を形成し得る流路切替手段を有してなることが好まし
い。上記の体外血液循環システムにおいて、気泡除去装
置の隔膜の膜面積は、0.1m2 ないし1.5m2 の範
囲内であることが好ましい。上記の体外血液循環システ
ムにおいて、気泡除去装置の気相部は、50mmHg以
下に吸引されるものであることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例により、図面を用いて説明する。 (実施例1)図1は、本発明の気泡除去装置の一実施例
を示すものである。この気泡除去装置10は、概略円筒
形の本体1が立設され、その頂部開口に、液体導入ノズ
ル2を有する蓋部材3が嵌合され、また、本体1の底部
近傍の側面には、液体導出ノズル4が設けられている。
本体1の底部開口には、減圧用ノズル5が付設された底
部材6が嵌合されている。
【0014】本体1の頂部開口に嵌合された蓋部材3に
は、液体導入ノズル2から下方に向けて貫通する液通路
が形成され、この液通路は下方に向けて漸次拡径されて
いる。本体1の内部には、概略砲弾形の芯体の表面に放
射状に配置され芯体の軸心に沿って延びる8本のリブ7
aを有し、このリブ7aと芯体とで形成される流路の断
面積が下端に向けて漸次縮小するように成形された分配
器7が、本体1の内壁と間隔を隔てて挿入され、その下
端部は、本体1の底部内壁とこの分配器7の底部との間
隙を封止する樹脂部材8によって支持固定されている。
【0015】分配器7の上端部は、下方に向けて漸次拡
径する蓋部材3の液通路内に間隙を隔てて挿入され、こ
の蓋部材3と分配器7とが形成する間隙を液体が均等に
分配され、更に分配器7のリブ7aと芯体とで形成され
る流路を通過するようになっている。そして、この分配
器7と本体1との間の空隙が液相部13を形成してい
る。すなわち、この分配器7によって、液体が中空糸膜
9の面に均等に接触するようにされている。
【0016】この液相部13には、概略円筒形に交叉卷
きされた中空糸膜9が配設されている。この中空糸膜9
の端末9a,9bは、樹脂部材8を貫通して底部材6の
内部空間に開放されている。この中空糸膜9は、気体を
透過し液体を透過しない隔膜がチューブ状に形成された
ものであって、このチューブの外側を流れる液体を透過
することなく、液体に含まれる気泡のみを内側へ透過す
る機能を有するものである。このような機能を有する中
空糸膜は一般に知られている。
【0017】実施例1に用いた中空糸膜9の構造を図2
(A)(B)に示す。図2(A)において、この中空糸
膜9は、拡大詳細を図2(B)に示すように、薄膜の内
外壁を通じる多数のミクロポア11が形成された多孔質
ポリオレフィンからなるチューブの外壁に、シリコーン
樹脂からなる疎水性被膜12がコーティングされたもの
である。
【0018】この中空糸膜9の内径は240μm、外径
は300μm、膜厚は30μm、ポアサイズは幅が0.
05μm、長さが0.15μm、空孔率は30%であ
る。この中空糸膜9は、外側を液相部13とし、内側を
気相部14とし、この気相部14は減圧にされ、液相中
に含まれる気泡が中空糸膜9を透過して気相部14に吸
引されるようになっている。この中空糸膜9は、中空糸
膜どうしの間隔が110μm、充填率が60%となるよ
うにルーズに概略円筒形に交叉卷きされ、全体の膜面積
が0.24m2 とされている。
【0019】実施例1の気泡除去装置10は、液体導入
ノズル2から気泡を含んだ液体を導入すると、導入され
た液体は、分配器7によって振り分けられて液相部13
に均等に分流され、交叉卷きされた中空糸膜9どうしの
間隙を通過して液体導出ノズル4から導出される。この
間に、減圧用ノズル5から図示しない真空ポンプなどに
よって中空糸膜9の内側すなわち気相部14を陰圧にす
ると、流通する液体に含まれた気泡は中空糸膜9の隔膜
と接触し、中空糸膜の疎水性被膜12およびミクロポア
11を介して気相部14に吸引され、底部材6内の空間
から減圧用ノズル5を通って系外に排出される。この結
果、液体導出ノズル4からは気泡を含まない液体が導出
される。
【0020】この気泡除去装置10を用いると、液体導
入ノズル2から導入された液体中の気泡は、液体と気体
との比重差によって、その液中密度が液相部13の上方
で大となり、この部分では気泡どうしが合体して大形化
する。この大形気泡は、中空糸膜9の上方から気相部1
4に吸引され、液相部13の上方で合体しなかった微小
気泡は中空糸膜9の下方から気相部14に吸収されるよ
うになる。従って液体導出ノズル4から導出される液体
には、微小気泡も含まれることがない。中空糸膜9はル
ーズに交叉卷きされているので、この間隙を流通する液
体にはほとんど圧損が生じない。従って、例えば血液の
循環系にこの気泡除去装置1を用いても、気泡除去のた
めに循環回路に圧損が生じることはない。
【0021】実施例1の気泡除去装置においては、気体
を透過し液体を透過しない隔膜として中空糸膜を用い
た。中空糸膜は収納容積当りの表面積が大きくとれるの
で充填効率がよいばかりでなく、柔軟性と耐圧性が高い
ので好適な隔膜であるが、他の隔膜形態、例えばプレー
ンシート・フィルムやコルゲートシート・フィルムなど
を隔膜として用いることもできる。
【0022】隔膜として中空糸膜を用いる場合は、中空
糸膜の外側を液相部とし、内側を気相部とすることが好
ましい。これは、液相部の圧力損失を低くするために好
都合であり、また気相部が液相部に対して陰圧にされる
ので、チューブ状の中空糸膜の場合、外から内への押圧
に対する耐性が逆の場合より高いからである。
【0023】隔膜の材質は、実施例1の気泡除去装置に
おいてはポリオレフィンとした。ポリオレフィン、例え
ばポリプロピレンやポリエチレンなどは、医療用気泡除
去装置の隔膜材質として好適であるが、一般に隔膜の材
質はこれに限定されるものではなく、ポリサルフォン、
ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、フッ素樹
脂、シリコーン樹脂などが使用目的と設計性能に応じて
選択可能である。また、隔膜の組織構成も、ミクロポア
以外に、例えば微粒子焼結体、織布、不織布、発泡体な
どが使用目的と設計性能に応じて任意に選択できる。
【0024】これらの隔膜は、それ自体の疎水性が十分
でない場合は、気相部の吸引時に液体が透過しないよう
に、液相部側を疎水性被膜でコーティングすることが好
ましい。この疎水性被膜は、例えばフッ素樹脂やシリコ
ーン樹脂などによって形成することができる。
【0025】実施例1に示した気泡除去装置は、体外血
液循環システムなどの医療分野で好適に用いられる構造
を有するものであるが、一般にはこの構造に限定される
ものではない。要は、気体を透過し液体を透過しない隔
膜によって、液相部から分画された気相部が吸引される
構造を有すればよいのであるから、この隔壁が、吸引に
よる陰圧に耐える範囲内で、液相部側の流通圧損をでき
るだけ小さくし、気泡除去装置の容積に対して隔壁面積
をできるだけ大きくする構造のものを任意に設計するこ
とができる。また、気泡除去装置の頂部近傍に蓄積され
た空気の大塊を隔壁を透過せずに、一時的または継続的
に排除するためのガス抜き孔を設けるなどの変形を行う
こともできる。
【0026】本発明の気泡除去装置は、人工肺、透析、
心筋保護液供給などの医療分野のシステムに組み込んで
用いることができるばかりでなく、他の、例えば各種実
験室、浄水器、農業分野などにおいても、液相中の気泡
を除去する目的で有効に使用することができる。
【0027】(実施例2)次に、実施例1の気泡除去装
置10を用いた体外血液循環システムの一実施例を示
す。図3において、この体外血液循環システム20は、
概略、脱血側クランプ21、気泡除去装置10、密閉式
リザーバ22、ローラーポンプ23、人工肺24、気泡
センサ25、および送血側クランプ26が順次チューブ
で連結され、更に送血側クランプ26と脱血側クランプ
21との回路側がバイパスチューブで連結され、バイパ
スチューブにはバイパス側クランプ29が配設されて体
外循環回路が形成されている。この脱血側クランプ21
と送血側クランプ26とは、いずれもチューブ鉗子であ
って、そのチューブ端はそれぞれ、検体から引き出され
た脱血側血管、送血側血管と連結されている。また、リ
ンゲル液槽27からコック28を経て、リンゲル液が循
環液と合流して気泡除去装置10の液体導入ノズル2に
供給されるようになっている。
【0028】気泡除去装置10の減圧用ノズル5は、図
示しない真空ポンプに連結され、気相部は絶対圧50m
mHg以下に吸引されている。人工肺24は、通常この
分野で用いられている方式のものであり、図示しない酸
素供給源から酸素が供給され、中空糸膜を介して血液に
この酸素が供給されるようになっている。
【0029】この体外血液循環システム20の運転操作
を以下に示す。まず以下のようにしてプライミングを行
う。脱血側クランプ21と送血側クランプ26とを閉
じ、検体血管との流路を遮断し、バイパス側クランプ2
9を開き、外部流路のみで閉回路を形成する。リンゲル
液槽27からリンゲル液を、コック28を経て、気泡除
去装置10の液体導入ノズル2に供給し、ローラーポン
プ23の運転を開始する。
【0030】これによって、リンゲル液が、気泡除去装
置10の液相部13、密閉式リザーバ22、ローラーポ
ンプ23、人工肺24の液相部、気泡センサ25、およ
びそれらを結ぶバイパスチューブを充たしたとき、コッ
ク28を閉じてリンゲル液の流入を止め、そのまま、閉
回路内でローラーポンプ23によるリンゲル液の循環を
続ける。コック28が開いているときの閉回路内のリン
ゲル液で押し出された空気は、気泡除去装置10によっ
て除去される。
【0031】リンゲル液の循環によって、各装置および
流路中に付着していた空気は押出され、循環経路を通っ
て気泡除去装置10に集められ、気相部14に吸引され
て中空糸膜を透過した空気は、減圧用ノズル5から除去
される。このとき、循環系の各装置および配管に振動を
与えるか、またはリンゲル液を脈動させるなどすると、
更に効果的に気泡を除去することができる。
【0032】次に、脱血側クランプ21と送血側クラン
プ26とをそれぞれ開き、バイパス側クランプ29を遮
断するとともに、脱血側クランプ21の付いたチューブ
端を検体の脱血側血管と、また送血側クランプ26の付
いたチューブ端を検体の送血側血管と接続する。これに
よって検体の内外を一環する血液循環系が形成される。
【0033】この検体の内外を一環する血液循環系にお
いて、検体の脱血側血管から導出された血液は、脱血側
クランプ21、気泡除去装置10、密閉式リザーバ2
2、ローラーポンプ23、人工肺24、気泡センサ2
5、および送血側クランプ26からなる外部血液流路を
順次経由して送血側血管に返流される。この間に、たと
え気泡除去装置10の上流の血液に気泡が含まれていた
としても、気泡除去装置10を通過することによって除
去されるので、気泡が送血に混入することはない。ま
た、この血液はローラーポンプ23によって流量調整さ
れ、人工肺24によって酸素を補給され、気泡センサ2
5によって、気泡の有無が確認されたうえで、検体に送
血されることになる。
【0034】上記の体外血液循環システム20において
は、系が閉鎖型体外循環方式とされているので、開放型
システムのように多大のリンゲル液量を必要とせず、ま
た、ローラーポンプ23の上流に気泡除去装置10が配
設されているので、ローラーポンプ23が空気を巻き込
んで送液不能に陥るということもない。
【0035】また、検体の内外を一環する血液循環系が
形成された時にも、引き続いて気泡の除去を行うことが
できるので、脱血経路などに気泡が混入してもこれを除
去して送血することができ、しかも気泡除去装置10に
おける圧損が僅少であるので、検体の脱血側回路での使
用が臨床においても可能となる。
【0036】実施例2において、体外血液流路に挿入す
る送液ポンプとしてローラーポンプ23を用いたが、送
液ポンプはこれに限定されるものではなく、例えばロー
タリーポンプ、遠心ポンプ、ギアポンプなどが使用目的
と要求性能に応じて任意に使用できることはいうまでも
ない。また、密閉式リザーバ22、人工肺24、気泡セ
ンサ25などの挿入も任意であり、省略、または他の装
置や器具との置き換えも可能である。
【0037】本発明の体外血液循環システムにおいて
は、気泡除去装置が送液ポンプの上流に配設されている
ことが好ましい。これは、一般に送液ポンプは液体と気
体が混合した状態で作動すると気体が細かくなり、その
気泡がチューブ内壁に付着して除去しにくくなるためで
ある。また遠心ポンプでは、始動に際して入力側に気泡
があると空転して送液できなくなり呼び水が必要になる
が、入力側で気泡が除去されていれば、送液ポンプの始
動直後から円滑な送液が行えるからである。
【0038】体外血液循環システムにおいて、気泡除去
装置の隔膜の膜面積は0.1m2 ないし1.5m2 の範
囲内とすることが好ましい。0.1m2 未満では循環系
のワンパス当りの気泡の除去率が不十分となる。一方、
1.5m2 を越えても脱泡効果は特に向上しないので、
装置が過大となる点で不利である。
【0039】気泡除去装置の気相部は、絶対気圧で50
mmHg以下に吸引されることが好ましい。吸引の程度
が50mmHgに至らない場合は、隔膜を通しての気泡
の透過速度が遅くなり、循環系のワンパス当りの気泡の
除去率が不十分となる。
【0040】(試験例)実施例1に記載した気泡除去装
置10の性能を以下に示す方法で試験した。図4は、こ
の試験のための流路を示している。図4において、試験
のための循環流路は、気泡除去装置10、ローラーポン
プ23、気泡確認のためのフィルタ31、および気泡混
合器32によって構成されている。気泡除去装置10の
液体導入ノズル2と液体導出ノズル4との間には差圧計
ΔPが装着され、減圧用ノズル5には陰圧計Gが装着さ
れている。
【0041】気泡混合器32は、水槽27からコック2
8を経て水が、またフィルタ31から循環水が、更に、
ローラーポンプ33から定量の空気が導入され、この中
で水と空気が混合され、気泡を含む水が気泡除去装置1
0に供給されるようになっている。フィルタ31は、孔
径40μmの空気フィルタであって、これを通過する水
に気泡が含まれている場合はこれに捕捉されるので、捕
捉された空気量を測定することによって気泡除去装置1
0の除泡能力が測定できる。このフィルタ31は、捕捉
された気泡の有無が目視により確認できるので、気泡モ
ニターとしても使用できるようになっている。
【0042】最初に水槽27から30℃の水を供給して
循環系を充たし、ローラーポンプ23と空気流量100
ml/分のローラーポンプ33とを作動して定量の気泡
を含む水を0.24m2 の気泡除去装置10に供給し、
図示しない真空ポンプを作動して気泡除去装置10の気
相部を50mmHgに減圧し、この状態で水を定量速度
で循環させ、気泡除去装置10の圧損ΔPおよびフィル
タ31に捕捉される空気量を測定した。結果を表1に示
す。
【0043】
【表1】
【0044】上記の結果から、気泡除去装置10は、測
定した水流量1l/分〜6l/分の範囲内で除泡効果が
認められ、このときの差圧ΔPは3mmHg〜18mm
Hgの範囲内にあって、これは臨床上許容できる上限の
目安である20mmHgより相当に低いレベルであり、
十分に実用可能であることを示している。
【0045】
【発明の効果】本発明の気泡除去装置は、気体を通し液
体を通さない隔膜によって分画された液相部と気相部と
を有し、この隔膜の液相部に液体が流通し、気相部が気
泡を吸引するものであるので、この液相部に気泡を含む
液体を流通させたとき、気泡のみがこの隔膜を透過して
気相部側に吸引除去され、液体側にはほとんど圧損なし
に、気泡を含まない液体を得ることができる。
【0046】本発明の体外血液循環システムは、体外血
液流路に、上記の気泡除去装置と送液ポンプとが挿入さ
れたものであるので、脱血から送血までの体外血液流路
における圧損を臨床上許容できる上限である20mmH
g以下に保ちながら、プライミング時ばかりでなく血液
循環時にも有効に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の気泡除去装置の一実施例を示す
(a)縦断面図と(b)線A−Aで切った横断面図。
【図2】 上記の気泡除去装置に用いられた中空糸膜を
示す(A)断面図と(B)部分拡大断面図。
【図3】 本発明の体外血液循環システムの一実施例を
示す系統図。
【図4】 本発明の気泡除去装置の一試験例を示す系統
図。
【符号の説明】
2……液体導入ノズル 4……液体導出ノズル 5……減圧用ノズル 9……中空糸膜(隔膜) 10……気泡除去装置 20……体外血液循環システム 23……ローラーポンプ(送液ポンプ)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊橋 健治 東京都新宿区河田町8−1 東京女子医科 大学 日本心臓血圧研究所内 (72)発明者 遠藤 真弘 東京都新宿区河田町8−1 東京女子医科 大学 日本心臓血圧研究所内 (72)発明者 小柳 仁 東京都新宿区河田町8−1 東京女子医科 大学 日本心臓血圧研究所内 (72)発明者 中西 光 東京都文京区本郷3丁目23番13号 泉工医 科工業株式会社内 (72)発明者 桑名 克之 東京都文京区本郷3丁目23番13号 泉工医 科工業株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体中に含まれる気泡を除去する装置で
    あって、液体が流通する液相部と気泡が吸引される気相
    部とを有し、この液相部と気相部とが、気体を透過し液
    体を透過しない隔膜によって分画されてなる気泡除去装
    置。
  2. 【請求項2】 気体を透過し液体を透過しない隔膜が中
    空糸膜である請求項1に記載の気泡除去装置。
  3. 【請求項3】 中空糸膜の外側が液相部とされ、内側が
    気相部とされた請求項2に記載の気泡除去装置。
  4. 【請求項4】 気体を透過し液体を透過しない隔膜の液
    相部側に疎水性被膜が形成された請求項1に記載の気泡
    除去装置。
  5. 【請求項5】 体内から脱血した血液を体内に送血する
    体外血液流路を有する血液循環システムであって、この
    体外血液流路に、少なくとも請求項1に記載の気泡除去
    装置と、送液ポンプとが配設された体外血液循環システ
    ム。
  6. 【請求項6】 気泡除去装置が、送液ポンプの上流に配
    設された請求項5に記載の体外血液循環システム。
  7. 【請求項7】 体外血液流路の脱血側端末と送血側端末
    とを連結して体外で閉回路を形成し得る流路切替手段を
    有してなる請求項5に記載の体外血液循環システム。
  8. 【請求項8】 気泡除去装置の隔膜の膜面積が0.1m
    2 ないし1.5m2の範囲内にある請求項5に記載の体
    外血液循環システム。
  9. 【請求項9】 気泡除去装置の気相部が、50mmHg
    以下に吸引されるものである請求項5に記載の体外血液
    循環システム。
JP8012306A 1996-01-26 1996-01-26 気泡除去装置と体外血液循環システム Pending JPH09201412A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8012306A JPH09201412A (ja) 1996-01-26 1996-01-26 気泡除去装置と体外血液循環システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8012306A JPH09201412A (ja) 1996-01-26 1996-01-26 気泡除去装置と体外血液循環システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09201412A true JPH09201412A (ja) 1997-08-05

Family

ID=11801643

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8012306A Pending JPH09201412A (ja) 1996-01-26 1996-01-26 気泡除去装置と体外血液循環システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09201412A (ja)

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001526098A (ja) * 1997-12-22 2001-12-18 セルガード,インコーポレイティド 液体中のガス泡と溶解されたガスとを除去する装置
WO2006126497A1 (ja) * 2005-05-23 2006-11-30 Asahi Kasei Medical Co., Ltd. 体液処理フィルター装置
JP2007190218A (ja) * 2006-01-19 2007-08-02 Terumo Corp 人工肺
JP2008534240A (ja) * 2005-03-24 2008-08-28 エスアイエフアール・2000・アクツイエボラーグ 体外循環における気泡形成の抑制
JP2008246141A (ja) * 2007-03-30 2008-10-16 Jms Co Ltd 熱交換器及び人工心肺装置
JP2008246142A (ja) * 2007-03-30 2008-10-16 Jms Co Ltd 熱交換器及び人工心肺装置
JP2010012330A (ja) * 2002-06-04 2010-01-21 Fresenius Medical Care Deutsche Gmbh 医療用の液体を取り扱う装置
JP2010227154A (ja) * 2009-03-25 2010-10-14 Terumo Corp 人工肺ホルダ
JP2015009239A (ja) * 2013-06-26 2015-01-19 アイデックス ヘルス アンド サイエンス エルエルシー 螺旋膜を備える流体脱気モジュール
JP2015012839A (ja) * 2013-07-05 2015-01-22 日立化成株式会社 細胞捕捉システム及び細胞捕捉システムの運転方法
JP2017136199A (ja) * 2016-02-03 2017-08-10 株式会社ジェイ・エム・エス 血液中のマイクロバブル除去装置および心肺システム
JP2019072489A (ja) * 2017-10-16 2019-05-16 テルモ カーディオバスキュラー システムズ コーポレイション 一体型空気除去システムを備えた体外酸素供給器
CN112135648A (zh) * 2018-05-17 2020-12-25 甘布罗伦迪亚股份公司 具有气体分离装置液位控制的处理设备和方法
US11478578B2 (en) 2012-06-08 2022-10-25 Fresenius Medical Care Holdings, Inc. Medical fluid cassettes and related systems and methods
US11707559B2 (en) 2017-10-16 2023-07-25 Terumo Cardiovascular Systems Corporation Extracorporeal oxygenator with integrated air removal system

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001526098A (ja) * 1997-12-22 2001-12-18 セルガード,インコーポレイティド 液体中のガス泡と溶解されたガスとを除去する装置
JP2010012330A (ja) * 2002-06-04 2010-01-21 Fresenius Medical Care Deutsche Gmbh 医療用の液体を取り扱う装置
JP2008534240A (ja) * 2005-03-24 2008-08-28 エスアイエフアール・2000・アクツイエボラーグ 体外循環における気泡形成の抑制
JP5189360B2 (ja) * 2005-05-23 2013-04-24 旭化成メディカル株式会社 体液処理フィルター装置
WO2006126497A1 (ja) * 2005-05-23 2006-11-30 Asahi Kasei Medical Co., Ltd. 体液処理フィルター装置
US7597806B2 (en) 2005-05-23 2009-10-06 Asahi Kasei Kuraray Medical Co., Ltd. Body fluid treating filter device
JP2007190218A (ja) * 2006-01-19 2007-08-02 Terumo Corp 人工肺
JP2008246141A (ja) * 2007-03-30 2008-10-16 Jms Co Ltd 熱交換器及び人工心肺装置
JP2008246142A (ja) * 2007-03-30 2008-10-16 Jms Co Ltd 熱交換器及び人工心肺装置
JP2010227154A (ja) * 2009-03-25 2010-10-14 Terumo Corp 人工肺ホルダ
US11478578B2 (en) 2012-06-08 2022-10-25 Fresenius Medical Care Holdings, Inc. Medical fluid cassettes and related systems and methods
JP2015009239A (ja) * 2013-06-26 2015-01-19 アイデックス ヘルス アンド サイエンス エルエルシー 螺旋膜を備える流体脱気モジュール
JP2015012839A (ja) * 2013-07-05 2015-01-22 日立化成株式会社 細胞捕捉システム及び細胞捕捉システムの運転方法
JP2017136199A (ja) * 2016-02-03 2017-08-10 株式会社ジェイ・エム・エス 血液中のマイクロバブル除去装置および心肺システム
JP2019072489A (ja) * 2017-10-16 2019-05-16 テルモ カーディオバスキュラー システムズ コーポレイション 一体型空気除去システムを備えた体外酸素供給器
US11707559B2 (en) 2017-10-16 2023-07-25 Terumo Cardiovascular Systems Corporation Extracorporeal oxygenator with integrated air removal system
CN112135648A (zh) * 2018-05-17 2020-12-25 甘布罗伦迪亚股份公司 具有气体分离装置液位控制的处理设备和方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH09201412A (ja) 気泡除去装置と体外血液循環システム
CA1340585C (en) Medical instrument and method for fabricating same
US5695717A (en) Gas exchange apparatus
US4054523A (en) Cardiotomy reservoir with integral filter
US3891416A (en) Cardiotomy reservoir
JPS6410230B2 (ja)
EP0132210A1 (fr) Appareillage utilisable notamment en plasmaphérèse
WO2010041604A1 (ja) 貯血槽
JPH048064B2 (ja)
JP6397781B2 (ja) 濃縮器
US20210106745A1 (en) Blood-degassing apparatus and blood-treatment system
JP2018518241A5 (ja)
EP0041692B1 (en) Blood oxygenator
JPH1015059A (ja) 中空繊維膜モジュールのリーク試験方法及び試験装置
NL8000200A (nl) Zuurstofgenerator.
JP2003111837A (ja) 中空糸膜型人工肺
JP2002370006A (ja) 液体の処理装置及び処理方法
JPH1133111A (ja) プライミング容易な血液処理器、および該血液処理器のプライミング方法
JP6320080B2 (ja) 腹水又は胸水の濾過液濃縮方法及び濾過液濃縮システム
JP3373252B2 (ja) 貯血槽
JP6745027B2 (ja) 血液中のマイクロバブル除去装置および心肺システム
JP2008302055A (ja) 医療用排液消泡装置及び排液バッグ
JP7458605B1 (ja) 血漿交換システム、及び血漿交換システムの制御方法
JP3025973B2 (ja) 液体処理装置
JP3373250B2 (ja) 貯血槽

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050628

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050705

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050831

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051011

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060228