JPH09199241A - フレキシブル基板の中継用コネクタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 二枚のフレキシブル基板（３）（４）の端子
（５）とコンタクト（１１）がそれぞれ接触し中継する
中継用コネクタ（１）において、１つのスライドカバー
（２５）を設けるだけで、二枚のフレキシブル基板
（３）（４）をゼロインサーションフォースによって挿
入、接続する。 【解決手段】 中継用コネクタ（１）のハウジング
（９）の内部に、複数の略Ｈ形状のコンタクト（１１）
を設け、二枚のフレキシブル基板（３）、（４）の接続
部（５）をコンタクトの両端部（１７）（１９）に沿っ
て互いに反対方向から挿入する。フレキシブル基板
（３）（４）を挿入した後、スライドカバー（２５）を
ハウジング（９）内に挿入すると、第一のフレキシブル
基板（３）と一方の端部（１７）が弾性接触し、一方の
端部（１７）は、後退する。一方の端部（１７）が後退
すると、Ｈ形状の片（１１Ｃ）は中央の片（１１Ｂ）を
中心に回動し、他方の端部（１９）が、第二のフレキシ
ブル基板（３）の端子（５）に押圧接触する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、二枚のフレキシ
ブル基板の端子にそれぞれ電気接続し、フレキシブル基
板相互を中継する中継用コネクタの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】中継用コネクタは、フレキシブルプリン
ト配線基板（ＦＰＣ）やフレキシブルフラットケーブル
（ＦＦＣ）等のフレキシブル基板（以下、単にフレキシ
ブル基板という）相互若しくは、これらのフレキシブル
基板と他の電子部品などが搭載された回路基板とを、電
気接続する際に使用される。

【０００３】図７に、この従来の中継用コネクタの一例
を示す。

【０００４】この中継用コネクタ５１の内部には、互い
に絶縁された複数の板状コンタクト５５が配設され、そ
れぞれのコンタクト５５が図中上側から挿入されるフレ
キシブル基板５３と図中下側から挿入される回路基板６
０の対応する端子に接触することで、フレキシブル基板
５３とプリント配線基板６０間の中継が行われる。

【０００５】図中上側から挿入されるフレキシブル基板
５３との接触には、ゼロインサーションフォース構造
（ＺＩＦ）が採用されている。即ち、フレキシブル基板
５３を挿入する際には、できるだけコンタクト５５から
接触圧を受けずに、低挿入力で中継用コネクタ５１内に
挿入させ、挿入後は安定した電気接続のために、所定の
接触圧を持ってコンタクト５５と接触させるものであ
る。

【０００６】図示の中継用コネクタ５１においては、ス
ライドカバー５７を、フレキシブル基板５３の端子が挿
入される挿入方向に（即ち下方向に）スライドすると、
このスライドされたスライドカバー５７の先端部５９に
より、予め挿入されていたフレキシブル基板５３の端子
がコンタクト５５の接触部５５Ａ側に押し込まれ、コン
タクト５５と弾性接触しこれにより必要な接触圧が得ら
れる。

【０００７】一方、このようなＺＩＦ構造を中継用コネ
クタの上下二カ所に設けると、スライドカバーが２つ必
要となるなど構造が複雑で大型化し、また、スライド動
作を２度行なう必要があるため、操作性が悪いという問
題があるからである。そこで図７の従来の中継用コネク
タ５１は、一方にのみゼロインサーションフォース構造
を採用し、他方には回路基板の端子を押し込んで挿入す
る必要があるノンゼロインサーションフォース（Ｎ−Ｚ
ＩＦ）構造が採用されるものであった。

【０００８】Ｎ−ＺＩＦ構造では、図中下側から挿入さ
れる回路基板６０は、コンタクト５５の接触部５５Ｂか
らの接触圧を受けながら中継用コネクタ５１へ挿入させ
るものであるが、この挿入の際には、回路基板の端子数
と同数のコンタクト５５全ての弾性によって、大きな挿
入力を要する。従って、回路基板６０には、中継用コネ
クタ５１へ挿入させる際に屈曲してしまうことから、フ
レキシブル基板５３の様な可撓性の基板を用いることが
できず、フェノール樹脂などの堅い性質を持つ樹脂から
なる硬質基板としている。しかし硬質な回路基板６０で
あっても、前述のように大きな挿入力を要するととも
に、挿入の際にコンタクト５５によって回路基板６０の
パターンが損傷し、接触不良となるおそれがある。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】従って、従来は、フレ
キシブル基板５３間相互を電気接続する為には、二カ所
にＺＩＦ構造を用いた中継用コネクタを採用せざるを得
ず、中継用コネクタの大型化と操作性に欠けるという問
題があった。

【００１０】また、一方をＮ−ＺＩＦ構造とした中継用
コネクタにあっては、フレキシブル基板を接続させるこ
とができず、機器内の配線の自由度に欠けることとなる
とともに、回路基板の挿入に大きな挿入力を要するとい
う問題があった。

【００１１】この発明は、以上の問題点を解決するため
に成されたもので、二枚のフレキシブル基板の端子の接
触に対してゼロインサーションフォース構造を採用で
き、しかも中継用コネクタの大型化が避けられ操作性の
悪化を防止できるフレキシブル基板の中継用コネクタを
提供することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
めに、請求項１のフレキシブル基板の中継用コネクタ
は、二枚のフレキシブル基板の端子を各々挿入して、内
部のコンタクトに接触させて中継する中継用コネクタに
おいて、第一のフレキシブル基板の端子が挿入された挿
入方向にスライドされることで該端子を前記コンタクト
の一方の端部に押圧接触させるスライドカバーと、略中
央で支えられて両端部を有し、前記一方の端部が押圧接
触された状態で他方の端部が、予め挿入された第二のフ
レキシブル基板の端子に押圧接触するコンタクトと、を
備えたことを特徴とする。

【００１３】スライドカバーをスライドさせる前の状態
では、二枚のフレキシブル基板は、コンタクトからの接
触圧を受けずにそれぞれ低挿入力で中継用コネクタに挿
入される。二枚のフレキシブル基板を挿入した後、スラ
イドカバーを該挿入方向にスライドさせると、スライド
カバーの先端部は、第一のフレキシブル基板の端子をコ
ンタクト方向に押し込み、コンタクトの一方の端部に接
触押圧させる。押圧されたコンタクトの一方の端部は自
らの弾性によりフレキシブル基板の端子に十分な接触圧
を与える。

【００１４】コンタクトは、中央で支えられているの
で、この一方の端部の移動によって、他方の端部も連動
し、第二のフレキシブル基板の端子に押圧接触する。

【００１５】従って、ＺＩＦ構造を一カ所に採用するだ
けで、二枚のフレキシブル基板のそれぞれの挿入に対し
てＺＩＦを採用することができ、フレキシブル基板を屈
曲させることなく挿入させコンタクトと電気接続でき
る。

【００１６】また、請求項２のフレキシブル基板の中継
用コネクタは、コンタクトは略Ｈ形状を有し、該Ｈ形状
の一方の片が中継用コネクタのハウジングに支持され、
他方の片の両端部がフレキシブル基板の端子に押圧接触
することを特徴とする。

【００１７】スライドカバーをスライドさせると、スラ
イドカバーの先端部は、第一のフレキシブル基板の端子
をコンタクト方向に押し込み、コンタクトの一方の端部
に接触押圧させる。押圧されたコンタクトの一方の端部
は自らの弾性によりフレキシブル基板の端子に十分な接
触圧を与える。

【００１８】コンタクトの一方の端部が押圧されると、
コンタクトの略Ｈ形状の一方の片は、略中央の部分を中
心に回動する。この回動により他方の端部が、第二のフ
レキシブル基板の端子に押圧接触する。この押圧された
他方の端部の弾性により、第二のフレキシブル基板の端
子に対しても十分な接触圧が与えられる。

【００１９】コンタクトは、略Ｈ形状の単純な形状であ
るため成形が容易であり、また、回動しない他方の片
は、中継用コネクタのハウジング内に支持されるので、
回動の際にもコンタクトをがたつきなく支持できる。

【００２０】

【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施形態を図
１乃至図６において説明する。

【００２１】まず、この実施形態に係る中継用コネクタ
１によって中継されるフレキシブル基板３、４の接続部
５の部分を図６に示す。このフレキシブル基板３は幅が
例えば数センチ程度であり、厚さが例えば０．３ｍｍ程
度である。そして、接続部５には多数の端子７が互いに
絶縁されて露出している。

【００２２】図１乃至図５に示すように、中継用コネク
タ１のハウジング９の内部には、前記多数の端子７に対
応する多数の金属製のコンタクト１１が互いに平行に配
置されている。各コンタクト１１は、図５（Ｂ）に示す
ように略Ｈ形状の平面を有し、中継用コネクタ１のハウ
ジング９の上方から圧入される。この圧入の際に、Ｈ形
状の一方の片１１Ａの側面に形成された楔状の係止爪１
３が、ハウジング９のコンタクト収容孔の内側面１５に
係止し、抜け止めが図られる。このようにして各コンタ
クト１１は、互いに絶縁されてハウジング９に支持され
る。

【００２３】コンタクト１１の一方の片１１Ａの中央か
ら図中横方向に伸びる支持片１１Ｂによって、他方の片
１１Ｃの略中央が支えられる。この他方の片１１Ｃの両
端部１７、１９には、接触用の突起２１が内方向に設け
られている。両端部１７、１９のうち、図中下側の端部
１９は、ハンジング９の内部に形成される支持面２３と
略平行に片持ち支持される。この支持面２３と下側の端
部１９との間に、図中下側から第二のフレキシブル基板
４の接続部５が挿入されるが、コンタクト１１に外力が
加わらない図５（Ｂ）に示す状態では、突起２１と支持
面２３との間に、第二のフレキシブル基板４の厚さ以上
の充分な間隙が形成されるようになっている。

【００２４】同図に示すように、コンタクト１１の上側
の端部１７は、スライドカバー２５がハウジング９に被
された状態で、スライドカバー２５の先端部の側面２７
と平行になるように片持ち支持されている。そして、こ
の側面２７と上側の端部１７との間に第一のフレキシブ
ル基板３の接続部５が挿入される。

【００２５】スライドカバー２５は、コンタクト１１が
圧入された後のハウジング９の上方を覆う蓋部２５Ａ
と、この蓋部２５Ａから下方に向かって伸び、スライド
動作と共にハウジング７内部に挿入される先端部２５Ｂ
とを有する。先端部２５Ｂの最先端部には、テーパー状
の切り欠き２９が設けられ、図１（Ａ）に示すように、
スライドカバー２５でハウジング９の上方を覆う前の状
態で、第一のフレキシブル基板３の接続部５が挿入しや
すい形状となっている。

【００２６】蓋部２５Ａの左右端には、図３及び図５
（Ａ）に示すようにスライドアーム３１が設けられてい
る。このスライドアーム３１の先端には、ハウジング９
に対しスライドアーム３１を位置決めするためのロック
爪３３が設けられている。このロック爪３３がスライド
する対応位置において、ハウジング９の両側面には、係
止段部３５と位置決め凸部３７が形成されている。

【００２７】係止段部３５は、スライドカバー２５をハ
ウジング９の上方に対して抜け止めするためのものであ
り、ロック爪３３をこの係止段部３５を乗り越えるよう
に上方から組み付けることによって、スライドカバー２
５をハウジング９に取り付ける。

【００２８】位置決め凸部３７は、スライドカバー２５
の先端部２５Ｂがハウジング９内部に完全に挿入された
位置（図１（Ｂ）に示す位置）で、ロック爪３３と係合
し、スライドカバー２５をハウジング９に対して位置決
めするものである。この係合によって、スライドカバー
２５とハウジング９は、完全に一体化し固定される。

【００２９】従って、スライドカバー２５は、ロック爪
３３が位置決め凸部３７との係合位置と係止段部３５と
の当接位置間で上下にスライド自在で、このスライド移
動は、スライドアーム３１の両側にハウジング９から突
設されたガイド突起３２、３２（図５（Ａ）参照）によ
って案内される。

【００３０】以下、この実施形態の動作について説明す
る。

【００３１】まず、スライドカバー２５がスライドされ
ておらず、従ってスライドカバー２５のロック爪３３が
係止段部３５に当接する状態で準備する。この準備状態
で、スライドカバー２５の先端部２５Ｂは、まだハウジ
ング９内部に挿入されていないので、コンタクト１１の
上側の端部１７の突起２１との間には、第一のフレキシ
ブル基板３の厚さ以上の充分な間隙が形成されている。
また、前述のように、コンタクト１１の下側の端部１９
の突起２１と支持面２３の間も、第二のフレキシブル基
板４の厚さ以上の充分な間隙が形成されている。従っ
て、この準備状態で、ハウジング９の挿入口９Ａ、９Ｂ
に対して図１中上下からそれぞれフレキシブル基板３、
４の接続部５を挿入するが、いずれもコンタクト１１か
らの接触圧を受けずに極めて低挿入力で挿入することが
できる。

【００３２】次に、スライドカバー２５をスライドし
て、ハウジング９に被せる。スライドカバー２５の先端
部２５Ｂをハウジング９内部に完全に挿入するまで、ス
ライドすると、スライドカバー２５のロック爪３３は、
位置決め凸部３７に係合する。

【００３３】このとき、スライドカバー２５の先端部２
５Ｂは、上側から挿入された第一のフレキシブル基板３
の接続部５を図１中右方向に押しやり、コンタクト１１
の一方の端部１７に接触押圧させる。押圧されたコンタ
クト１１の端部１７は、コンタクト自身の弾性により接
触用の突起２１が十分な接触圧をもって端子７と接触す
る。

【００３４】この押圧により、コンタクト１１の略Ｈ形
状の一方の片１１Ｃは略中央の部分を中心に回動する。
この回動により他方の端部１９の接触用の突起２１は、
支持面２３に接近する方向に移動し、支持面２３との間
で第二のフレキシブル基板４の接続部５を挟持する。こ
の押圧された他方の端部１９の弾性により、コンタクト
１１と端子７は、十分な接触圧で接触する。

【００３５】以上のように、この実施形態によれば、ス
ライドカバー２５がスライドして蓋をする前の状態で
は、二枚のフレキシブル基板３、４の接続部５を挿入す
るために挿入力を必要とせず、しかもスライドカバー２
５をスライド後は、所定の接触圧を持ってコンタクトと
接触する。従って、二枚のフレキシブル基板３、４のい
ずれも、ゼロインサーションフォースによる接続ができ
る。

【００３６】また、１つのスライドカバー２５をスライ
ドし、第一フレキシブル基板３の接続部５を介してコン
タクト１１の一方の端部１７を押圧することで、コンタ
クト１１の略Ｈ形状の一方の片１１Ｃが回動し、この片
１１Ｃの他方の端部１９が第二のフレキシブル基板４の
接続部５に押圧される。このようにして、１つのスライ
ドカバー２５のスライド動作により、二枚のフレキシブ
ル基板３、４の接続部５への押圧が行われ、従って十分
な接触圧が得られることとなる。

【００３７】なお、以上の実施形態においてはコンタク
ト１１は略Ｈ形状を有し、Ｈ形状の支持片１１Ｂと、実
際に接触を行う他方の片１１ＣとでＴ字形状を形成する
ものであったが、他の実施形態においてはこのＴ字形状
のかわりにＹ字形状あるいはＶ字形状とすることも可能
である。

【００３８】また、以上の実施形態においては二枚のフ
レキシブル基板３の接続部５は互いに反対方向、即ち１
８０度異なる方向から挿入されるものであったが、他の
実施形態においては１８０度ではなく、９０度異なる方
向から挿入されるものとすることも可能である。この場
合には、コンタクトのＨ形状のうち実際に接触を行う他
方の片１１Ｃは前記実施形態のように直線ではなく、略
中央で９０度屈曲した形状となる。

【００３９】

【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、第一のフレキシブル基板の端子と第二のフレキシブ
ル基板の端子をそれぞれ挿入した後に、スライドカバー
をスライドすると、このスライドカバーにより第一のフ
レキシブル基板の端子が内部のコンタクトの一方の端部
に押圧接触し、同時に、コンタクトの他方の端部が第二
のフレキシブル基板の端子に押圧接触するので、両フレ
キシブル基板の端子の挿入力が軽微であるにも拘らず１
つのスライドカバーをスライドさせるというワンタッチ
で接続作業が完了し、良好な操作性が得られる。

【００４０】また、スライドカバーは１つ設ければ良い
ので、中継用コネクタ全体を大型化せずに済む。

【００４１】また請求項２の発明によれば、コンタクト
は略Ｈ形状というシンプルな形状を採用することで、中
継用コネクタに対し互いに反対方向から挿入される二枚
のフレキシブル基板の端子に対する中継が容易に行え
る。

【００４２】

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施形態に係るフレキシブル基板
の中継用コネクタ１の要部断面を示すものであり、
（Ａ）は、中継接続が行われる前の状態を示す図、
（Ｂ）は、中継接続完了後の図である。

【図２】図１の中継用コネクタ１の平面図である。

【図３】図１の中継用コネクタ１の一部破断正面図であ
る。

【図４】図１の中継用コネクタ１の底面図である。

【図５】（Ａ）は、中継用コネクタ１の側面図、（Ｂ）
は、図３のＢ−Ｂ断面図である。

【図６】中継されるフレキシブル基板３、４の接続部５
を示す平面図である。

【図７】従来の中継用コネクタ５１を示すもので、
（Ａ）は中継が行われる前の状態を示す図、（Ｂ）は中
継完了後の状態を示す図である。

【符号の説明】

１ 中継用コネクタ ３ 第一のフレキシブル基板 ４ 第二のフレキシブル基板 ７ 端子 ９ ハウジング １１ コンタクト １１Ａ Ｈ形状の一方の片 １１Ｃ Ｈ形状の他方の片 １７ コンタクトの一方の端部 １９ コンタクトの他方の端部 ２５ スライドカバー

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 二枚のフレキシブル基板（３）（４）の
   端子（７）を各々挿入して、内部のコンタクト（１１）
   に接触させて中継する中継用コネクタにおいて、 第一のフレキシブル基板（３）の端子（７）が挿入され
   た挿入方向にスライドされることで該端子（７）を前記
   コンタクト（１１）の一方の端部（１７）に押圧接触さ
   せるスライドカバー（２５）と、 略中央で支えられて両端部（１７）（１９）を有し、前
   記一方の端部（１７）が押圧接触された状態で他方の端
   部（１９）が、予め挿入された第二のフレキシブル基板
   （４）の端子（７）に押圧接触するコンタクト（１１）
   と、 を備えたことを特徴とするフレキシブル基板の中継用コ
   ネクタ。
2. 【請求項２】 コンタクト（１１）は略Ｈ形状を有し、
   該Ｈ形状の一方の片（１１Ａ）が中継用コネクタのハウ
   ジング（９）に支持され、他方の片（１１Ｃ）の両端部
   （１７）（１９）がフレキシブル基板（３）（４）の端
   子（７）に押圧接触することを特徴とする請求項１記載
   のフレキシブル基板の中継用コネクタ。