JPH09197539A - 写真フイルムへのデータ記録方法 - Google Patents

写真フイルムへのデータ記録方法

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JPH09197539A
JPH09197539A JP8007539A JP753996A JPH09197539A JP H09197539 A JPH09197539 A JP H09197539A JP 8007539 A JP8007539 A JP 8007539A JP 753996 A JP753996 A JP 753996A JP H09197539 A JPH09197539 A JP H09197539A
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JP
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data
film
photographic film
memory
cartridge
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Application number
JP8007539A
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English (en)
Inventor
Kuniharu Kitagawa
邦晴 北川
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気記録装置を内蔵しないカメラで撮影を行
った場合でも、写真フイルムに設けられた磁気記録層を
有効に活用する。 【解決手段】 フイルムカートリッジにICメモリを組
み込む。レンズ付きフイルムユニット用に分別したフイ
ルムカートリッジのICメモリに、メーカー段階で予め
基礎データとしてレンズ付きフイルムユニットで使用さ
れたことを表すユニット識別データと、製造年月日デー
タとを記録する。レンズ付きフイルムユニットで撮影が
行われるごとに、ICメモリに撮影データを記録する。
プリント依頼により現像所に集められたレンズ付きフイ
ルムユニットからフイルムカートリッジを取り出す。I
Cメモリから基礎データ及び撮影データを読み出し、こ
れらのデータを写真フイルムの磁気記録層に記録する。
プリント処理時を行うときにこれらの磁気記録データが
読み出され、プリント処理に活用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、写真撮影時に得ら
れた撮影データなどを写真フイルムに設けられた磁気記
録層に記録するデータ記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】当技術分野で提案され、雑誌「写真工
業」( (株) 写真工業出版社 1994年12月号 p.11)に
も紹介されたAPS(Advanced Photo System) では、国
際公開WO:90/04214号記載のような透明の磁
気記録層を設けた写真フイルムが使用される。この磁気
記録層は写真撮影時にカメラから得られた撮影データな
どを記録するために用いられ、そして現像所でこの撮影
情報を読み出してプリント処理その他に活用できるよう
にしてある。
【0003】磁気記録層に書き込まれる撮影データとし
ては、一般のカメラにあってはシャッタ秒時や絞り値、
あるいはストロボ撮影を行ったか否かなどの露出データ
の他、プリント写真のアスペクト比が標準プリント指
定,パノラマプリント指定,Cプリント指定のいずれで
あるか、または特開昭54−26721号公報記載のよ
うなトリミング指示機能をもったカメラではそのトリミ
ング範囲を示すためのプリントフォーマットデータ、さ
らに撮影年月日を表すデートデータ、またカメラに設け
られた入力手段からユーザーが任意に入力した文字デー
タ(例えば撮影シーンに応じたタイトルやコメント)な
どがある。
【0004】これらの撮影データはプリント処理を行う
際に現像所で読み出され、例えば露光データはプリント
時の露光制御に用いることができ、プリントフォーマッ
トデータはプリント倍率の自動設定やネガマスク,印画
紙マスクの切換え制御に用いることができ、カメラ側で
は一律の画面サイズで撮影してもユーザーが指定した形
態のプリント写真を作ることができる。また、磁気記録
層から読み出されたデートデータや文字データを、プリ
ント時に文字パターンに変換して焼き込み処理を行うこ
とによって、従来のカメラで用いられていた光学的なデ
ータ写し込み装置が不要になる利点がある。しかもこれ
らの文字データ中に、そのプリント位置,プリント姿
勢,プリントサイズ,プリントカラーに関するデータも
含ませておけば、これまでのデータ写し込み装置では得
られないデータ写し込みサービスを行うことも可能にな
る。
【0005】さらに、上記磁気記録層にカメラの種別デ
ータを記録してプリント処理時の露光補正の要否判定や
目安に利用したり、集合写真のようにプリント枚数が人
数分必要なことが撮影時に分るときにはそのプリント枚
数データを記録しておくことによって、同時プリントサ
ービスを行うときでも必要枚数のプリントを行うことが
できるようになる。また、この磁気記録層は、撮影時に
カメラから得られる撮影データ以外にも、現像所におい
て焼増しプリントを行うときのプリント枚数のデータ
や、プリント処理時の露光補正データ、あるいはプリン
トサービスの受付け日時や受付けナンバーなどのラボデ
ータの記録に用いたりすることも可能である。
【0006】一方、特開昭56−154720号公報や
特開平2−217829号公報により、フイルムカート
リッジにICメモリ(半導体メモリ)を組み込んでお
き、前述したような撮影データをこのICメモリに書き
込んで現像所やユーザーが利用できるようにするシステ
ムが提案されている。このシステムにおいても、磁気記
録層を利用した場合とほぼ同様の機能を得ることができ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】磁気記録層に撮影デー
タの記録を行うためには、カメラに磁気ヘッド及びその
駆動回路を含む磁気記録装置を内蔵させる必要がある。
ところが、写真フイルムは通常のオーディオテープなど
の磁気テープと比較して格段に剛性が強いため、記録時
にヘッドタッチを良好に維持するためには磁気ヘッドや
写真フイルムの支持機構に独特の工夫が必要になる。ま
た、磁気記録は撮影後のフイルム1コマ給送の間、すな
わち写真フイルムの給送速度が非常に変化しやすい状況
のもとで行われることから、その速度変化に追従させて
磁気記録を行わなければならず、磁気ヘッド駆動回路の
構成が複雑化してカメラのコストアップが避けられな
い。
【0008】こうした事情から、特に普及型のローコス
トカメラ、あるいは製造時に予め写真フイルムを装填し
て販売され、使用後には撮影機本体がメーカーに回収さ
れるレンズ付きフイルムユニットのような使い捨て型の
カメラの場合には、上記のような磁気記録装置を組み込
むことはできない。したがって、このようなカメラでは
使用する写真フイルムに磁気記録層が設けられていても
これを有効に利用することができず、APSの特長を活
かすことができない。
【0009】また、フイルムカートリッジに組み込まれ
たICメモリに撮影データを記録する場合でもカメラ側
にデータ記録装置を内蔵させなくてはならないが、磁気
記録装置と比較してコスト負担がわずかであり、ローコ
ストカメラやレンズ付きフイルムユニットでも採用可能
である。しかし、ICメモリに撮影データなどの種々の
記録を行ったとしても、フイルムカートリッジと写真フ
イルムとが分離された場合にはその対応をとることがで
きなくなる。
【0010】したがって、上記特開平2−217829
号公報に記載されているように、写真フイルムにフイル
ムカートリッジと共通の識別標識を別途記録しておく必
要がある。しかし、このような対応づけを行ったとして
も、識別標識を記録した部分で写真フイルムが損傷した
り切断されるようなことがあった場合には、その写真フ
イルム1本分の情報を的確に把握することが困難にな
る。
【0011】本発明は上記事情を考慮してなされたもの
で、特にローコスト化が要求され、高価な磁気記録装置
を内蔵させることができないようなカメラにおいて、磁
気記録層を効果的に利用することができるようにした写
真フイルムへのデータ記録方法を提供することを目的と
する。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、ICメモリへのデータ記録が比較的ローコ
ストで行い得ることに着目し、フイルムカートリッジに
ICメモリを組み込んでおき、カメラ側では各コマごと
に得られる撮影データをこのICメモリに順次に記録す
るようにし、そしてプリント処理のために使用済みの写
真フイルムカートリッジが集められるDPE取扱店や現
像所などの中間処理段階でICメモリから読み出された
データを写真フイルム上に設けられた磁気記録層に記録
し直すようにしたものである。これによれば、カメラで
のデータ記録はICメモリに電気的に行えば済むので、
そのための記録装置を内蔵させたとしてもカメラのコス
トアップはわずかであり、ローコストタイプのカメラで
も撮影情報の記録及び保存が可能となる。また、写真フ
イルムとフイルムカートリッジが現像処理の途中あるい
はユーザー側で分離するようなことがあったとしても、
ICメモリから読み出された撮影データは写真フイルム
上にも記録されているため、その対応を採ることが容易
であり、また写真フイルムからだけでも撮影コマごとの
撮影データを把握することが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、添付した図面にしたがい、
本発明方法をレンズ付きフイルムユニットに使用した写
真フイルムについて実施するときの一形態について説明
する。図1はその工程を概略的に表すもので、まずメー
カーにおいて磁気記録層付きの写真フイルムを使用した
ICメモリ付きカートリッジが製造される。図2はこの
写真フイルムカートリッジ2の外観を示すもので、プラ
スチック製の上ケース3と下ケース4とからなるカート
リッジ本体5内に、写真フイルム6を巻きつけたスプー
ルが回転自在に収納されている。
【0014】前記スプールの両端はカートリッジ本体5
の端面から露呈し、各々キー溝7が形成されている。上
下ケース3,4の合わせ目の一方にポート口8が設けら
れ、このポート口8を通して写真フイルム6が出入りす
る。このポート口8を開閉するために遮光蓋9が組み込
まれ、その両端はスプールと同様にカートリッジ本体5
の端面から露呈し、各々キー溝10を有している。
【0015】カートリッジ本体5内には特開平6−26
6053号公報で知られるようなフイルム送り出し機構
が内蔵されている。そして、キー溝10を介して遮光蓋
9を開くことによってスプールの回転ロックが解除さ
れ、キー溝7を介してスプールを図中時計方向に回転さ
せることによって、写真フイルム6がポート口8を通し
て頭出しされる。写真フイルム6の背面側全面に透明な
磁気記録層が設けられている。この磁気記録層は、カメ
ラやプリンターに設けられた磁気記録装置によって撮影
データやプリント処理に必要なラボデータ等の記録に用
いられる。また、メーカーが写真フイルムの種別やフイ
ルムIDナンバーの記録に利用することも可能である。
【0016】カートリッジ本体5に貼付されたバーコー
ドラベル12は、このカートリッジ本体5のIDナンバ
ーを表す。このIDナンバーは、カートリッジ本体5に
収納された写真フイルム6のIDナンバーと共通のもの
で、カートリッジ本体5と写真フイルム6とを一対一に
対応づける。写真フイルム6のIDナンバーは、写真フ
イルム6の製造時にサイドプリントにより潜像としてバ
ーコード記録されるが、これとともに上記のように磁気
記録しておいてもよい。符号13は写真フイルム6の種
別や撮影可能枚数がバーコードで記録されたディスクを
示す。このディスク13はスプールと一体に回転し、カ
メラあるいはプリンタに設けられたバーコードリーダに
よってデータ内容が読み取られる。
【0017】カートリッジ本体5には、ICメモリ15
を含むメモリ基板16が組み込まれている。ICメモリ
15には記憶保持用に電源を要しないEEPROMまた
はフラッシュメモリ等が用いられるが、メモリ基板13
あるいはカートリッジ本体5の適宜個所にバックアップ
電源の組み込みができれば、他のメモリを用いることも
可能である。ICメモリ15は周知のワイヤボンディン
グ手法によってメモリ基板16に電気的に接続された
後、エポキシ樹脂によりメモリ基板16と一体化され
る。メモリ基板16の一部には複数の接片を放射状に並
べた接点パターン17が形成され、この接点パターン1
7がスプールの端部を取り囲むようにカートリッジ本体
5の端面に露呈している。なお、ICメモリ15には、
例えばメモリ容量1〜2kbit程度のローコストのも
のが用いられているが、記録するデータの内容やコスト
との兼ね合いでさらにメモリ容量が大きなものを利用す
ることも可能である。
【0018】この写真フイルムカートリッジ2は、レン
ズ付きフイルムユニットだけでなく一般のカメラ用にも
出荷されることになるが、レンズ付きフイルムユニット
用に分けられたものについては、予めICメモリ15の
所定のアドレス域にユニット識別データと製造年月日デ
ータとが基礎データとして書き込まれる。ユニット識別
データは、この写真フイルムカートリッジ2がレンズ付
きフイルムユニットに装填して用いられたことを表し、
また製造年月日データは、詳しくは後で述べるように現
像所で撮影日時をプリント写真に書き込む際に利用され
る。
【0019】こうして準備されたレンズ付きフイルムユ
ニット用の写真フイルムカートリッジ2は、工場内でレ
ンズ付きフイルムユニットに装填される。この装填工程
では、カートリッジ本体5から写真フイルム6を引出
し、カートリッジ本体5とフイルムロールとをそれぞれ
レンズ付きフイルムユニットのカートリッジ室,フイル
ムロール室に装填する。そして、レンズ付きフイルムユ
ニットがメーカーから出荷される。
【0020】図3にレンズ付きフイルムユニットの構成
を概略的に示す。レンズ付きフイルムユニットは、ボデ
ィ基部20,露光ユニット21,ストロボユニット2
2,前カバー23,後カバー24と、ボディ基部20に
装填される写真フイルムカートリッジ2とからなる。ボ
ディ基部20には、暗箱部25の両側にカートリッシ室
26,フイルムロール室27が一体に形成され、メーカ
ー段階でそれぞれカートリッジ本体5とフイルムロール
6aとが装填される。
【0021】露光ユニット21は、従来のレンズ付きフ
イルムユニットと同様に、シャッタチャージ機構,フイ
ルム巻止め機構,カウンタ送り機構,シャッタ駆動機構
及びシャッタ羽根,撮影レンズを含む他、ファインダ系
を構成する対物レンズと接眼レンズとが組み込まれてい
る。図4に示すように、カートリッジ室26の上部には
巻上げダイヤル28が取り付けられ、その下面に一体に
設けた巻上げ軸28aの先端が写真フイルムカートリッ
ジ2のスプール上端のキー溝7に係合するようになって
いる。
【0022】巻上げダイヤル28を図中反時計方向に回
動操作すると、スプールの回転によって写真フイルム6
がカートリッジ本体5に巻き込まれる。写真フイルム6
にはフイルム1コマ間隔でパーフォレーション6bが2
個ずつ形成されており、露光ユニット21に組み込まれ
た2歯スプロケットがこれらに係合することに応答して
フイルム巻止め機構が作動して巻上げダイヤル28にロ
ックをかける。この間のフイルム給送に連動してシャッ
タチャージが行われる。そして、シャッタレリーズ操作
により撮影が行われ、以後これを繰り返すことによっ
て、写真フイルム6の後端側(スプールに係止された
側)から先端側に向かって順次に撮影が行われるように
なる。なお、短い間隔で並んだ2個のパーフォレーショ
ン6bをもとにしてフイルム1コマ送り制御が行われる
が、実際の撮影コマは図3に仮想線で示すように、パー
フォレーションの長い間隔に合わせた位置に露光される
ように決められている。
【0023】ストロボユニット22は、回路基板30に
発光部31を取り付けたもので、回路基板30にはスト
ロボ発光用のメインコンデンサ32,シンクロスイッチ
33,電源電池(単3乾電池)34が組み付けられてい
る。ボディ基部20の右端部に組み込まれたメインスイ
ッチ35が、前カバー23の操作ボタン36の押圧によ
って回路基板30のスイッチパターン部に接触するとメ
インコンデンサ32への充電が行われる。シンクロスイ
ッチ33は、露光ユニット21に組み込まれたシャッタ
羽根が開放した瞬間にオンする。シンクロスイッチ33
のオン信号はストロボを発光させるタイミング信号とし
て用いられるとともに、1回の撮影が行われたことの検
知信号としても用いられる。
【0024】上記回路基板30には、記録制御IC3
8,反射型のフォトセンサ39及びフレキブル配線板4
0が組み付けられている。記録制御IC38は、CPU
の他にプログラムメモリ,クロック発振器及びカウンタ
を内蔵しており、電源電池34が装填され、回路基板3
0に組み込まれた昇圧回路からの給電を受けた時点(I
Cメモリ15に記録された製造年月日と同日)からクロ
ックパルスの個数をカウンタで計数する。記録制御IC
38には、さらにシンクロスイッチ33のオン信号と、
ストロボ撮影を行ったか否かの信号とが入力される。フ
ォトセンサ39は発光部と受光部とを有しており、その
前面に高反射板が位置しているか否かを検知し、その検
知信号を記録制御IC38に入力する。
【0025】フレキシブル配線板40の先端には複数の
接続ピン41aを一列に並べたプラグ41が設けられて
いる。プラグ41は、図4に示すように、ボディ基部2
0のカートリッジ室26の上部に組み込まれたコネクタ
42に接続される。カートリッジ室26の上壁には、巻
上げダイヤル28の巻上げ軸28aを軸受するスリーブ
が設けられ、このスリーブの外周には弾性及び導電性を
もった複数の金属接片45が放射状に組み付けられてい
る。各々の金属接片45の一端はリード線を介してコネ
クタ42のピンにハンダ付けされている。
【0026】金属接片45の他端は、巻上げ軸28aを
取り囲むように配列された接続ピン46の頭部に圧接さ
れ、接続ピン46の各々をカートリッジ室内に押圧付勢
している。したがって、カートリッジ室26内に写真フ
イルムカートリッジ2を装填したとき、接続ピン46は
カートリッジ本体5の上面に露呈した接点パターン17
の所定位置に接触する。これにより、ICメモリ15と
記録制御IC38との間の電気的接続が行われる。
【0027】なお、写真フイルムカートリッジ2は、こ
れまでの135フイルムパトローネと異なり、スプール
の駆動の他に遮光蓋9も外部駆動する必要がある。した
がって、カメラやレンズ付きフイルムユニットに装填し
たときに、キー溝7及びキー溝10の双方に外部からの
駆動部材を正しく係合させなくてはならない。このた
め、カートリッジ本体5自体はカートリッジ室26内で
浮かせておき、スプールの両端でカートリッジ本体5の
位置決めを行い、スプールを中心にした回転方向ではカ
ートリッジ本体5に自由度を与えるシェルフロートと称
される形で保持するようにしてある。このように、シェ
ルフロートによりカートリッジ本体5をカートリッジ室
26内に保持することによって、さらに遮光蓋9のキー
溝10に遮光蓋9の開閉部材を係合させることが容易と
なる。
【0028】シェルフロート方式でカートリッジ本体5
の装填位置を決めた場合、上記のようにメモリ基板13
の接点パターン17をスプールのキー7を取り囲む位置
に設けておくと、接続ピン46の各々と接点パターン1
7との接触を良好に保つことが可能となり、しかもキー
溝10と遮光蓋9の開閉部材との係合時にカートリッジ
本体5を自由に回動させることができる。もちろん、こ
のときの回動量は誤差範囲内のわずかなものであるか
ら、接続ピン46が接点パターン17の他の個所に誤接
続されるようなことはない。
【0029】前カバー23はボディ基部20の前面を覆
うように組み付けられる。前カバー23の前面には、撮
影レンズ,ストロボ発光部を前面に露呈させる開口の
他、ファインダ系の視野範囲を規定対物窓48が形成さ
れている。対物窓48のアスペクト比はハイビジョンT
V画面と同じ9:16になっており、このアスペクト比
が写真フイルム6の標準アスペクト比となっている。
【0030】対物窓48の背後にマスク板49がスライ
ド自在に組み込まれている。つまみ50を操作してこの
マスク板49を対物窓48の背後に挿入すると、ファイ
ンダ視野範囲がアスペクト比が約1:2.8のパノラマ
範囲に制限される。マスク板49をこの位置に移動させ
ると、これと一体の信号板51がフォトセンサ39の前
面に位置する。信号板51の裏面には高反射材が設けら
れているため、シンクロスイッチ33がオンした瞬間に
フォトセンサ39の出力を監視することによって、マス
ク板49を標準位置,パノラマ位置のいずれにセットし
て撮影を行ったかを識別することができる。なお、マス
ク板49に代えて他の視野範囲切換え機構を用いれば、
標準視野範囲,パノラマ視野範囲の他に、従来のLプリ
ントサイズのアスペクト比に対応した視野範囲を加えて
もよく、この場合にも撮影時にその切換え操作部材のセ
ット位置を電気的あるいは光電的に検知し、選択された
視野範囲を識別することが可能である。
【0031】前カバー23の上面にシャッタボタン53
が一体に設けられている。シャッタチャージの完了後に
シャッタボタン53を押圧すると、露光ユニット21に
組み込まれたシャッタ機構が作動して撮影が行われる。
後カバー24は、ボディ基部20の背面及び底面を光密
に覆う。カートリッジ室26の底面を覆う底蓋54には
ボス55が突設され、図4に示すようにスプールの下端
を支持してカートリッジ本体5をシェルフロート方式で
保持する。
【0032】こうして製造されたレンズ付きフイルムユ
ニットは一般ユーザーが購入して撮影に利用される。撮
影操作が行われると、ストロボ撮影の有無にかかわらず
1回の撮影ごとにシンクロスイッチ33が1回オンす
る。このオン信号が記録制御IC38に入力されると、
記録制御IC38はストロボ撮影が行われたか否か、フ
ァインダ系が標準視野範囲とパノラマ視野範囲のいずれ
に設定されていたかを識別する。ストロボ撮影の有無
は、メインコンデンサ32が放電されたか否かにより電
気的に識別することができ、また視野範囲のセット位置
はフォトセンサ39の出力により識別することができ
る。
【0033】記録制御IC38は、ストロボ撮影を行っ
たか否かを表すストロボデータは露光データとして、ま
たファインダ視野範囲の識別情報はプリントフォーマッ
トデータとして各撮影コマごとにICメモリ15に記録
し、また記録制御IC38内のカウンタで計数されてい
るクロックパルスの個数データについても各撮影コマご
とにICメモリ15に記録する。
【0034】使用済みになったレンズ付きフイルムユニ
ットは、そのままの状態でユーザーからDPE取扱店に
出される。DPE取扱店では、プリント依頼を受けたレ
ンズ付きフイルムユニットごとにバーコードシールを貼
付する。このバーコードシールにはDPE取扱店ごとの
DPEコードと受付けナンバーが表されており、現像所
ではこれを目安にして現像,プリント処理を行い、また
その後の後の納品処理に利用することができる。DPE
取扱店及び現像所には、撮影済みの写真フイルムカート
リッジ2が集積されることになるが、この中間処理段階
で後述するようにデータ転記処理が行われる。
【0035】現像所では、DPE取扱店から送られてき
たレンズ付きフイルムユニットから写真フイルムカート
リッジ2を取り出すが、その前に巻上げダイヤル28を
回転させて全ての写真フイルム6をカートリッジ本体5
内に巻き込み、その後、専用の治具を用いて遮光蓋9を
閉じる。なお、遮光蓋9の閉じ作業を効率化するため
に、写真フイルムカートリッジ2をレンズ付きフイルム
ユニットから取り出す際の底蓋54(図3参照)の開放
操作に連動して、自動的に遮光蓋9を閉じるような機構
をレンズ付きフイルムユニットに組み込んでおくことも
可能である。
【0036】こうして取り出された写真フイルムカート
リッジ2は、図5に示す磁気記録装置にセットされる。
この磁気記録装置は、カートリッジ本体5に組み込まれ
たICメモリ15に記録されたデータを電気的に読み取
り、これを写真フイルム6に設けられた磁気記録層に記
録するために用いられる。この磁気記録に際してのデー
タフォーマットは、例えば特開平7−219021号公
報に記載されたような2値化記録方式によるもので、A
PS用のカメラに内蔵された磁気記録装置と同一のフォ
ーマットとなっている。
【0037】図5に示すように、磁気記録装置にはカー
トリッジ装填室60とフイルム巻取り室61とが設けら
れ、各々カバー60a,61aを閉じることによってそ
の内部は遮光状態となる。カバー60a,61aが完全
に閉じ状態になったことを検知する安全スイッチが設け
られ、これらのスイッチにより各カバーが閉じられてい
ることが確認されない限り、この磁気記録装置は作動し
ない。
【0038】カートリッジ装填室60にはスプール駆動
軸62が設けられ、その先端に設けた係合爪がスプール
のキー溝7に係合する。スプール駆動軸62を取り囲む
ようにデータ読み取り器63が設けられ、その接続ピン
63aが前述した接続ピン46と同様、バネ付勢により
カートリッジ装填室60内に軸方向に突出している。カ
ートリッジ装填室60の出口付近には遮光蓋9の開閉器
64が設けられており、カートリッジ装填室60内に写
真フイルムカートリッジ2を装填すると、スプール駆動
軸62の先端がキー溝7に係合し、また遮光蓋9のキー
溝10に開閉器64の先端が係合する。また、接続ピン
3aは、カートリッジ本体5に組み込まれたメモリ基板
13の接点パターン17の所定位置に接続される。
【0039】フイルム巻取り室61には、表面に摩擦が
大きいゴムシート65aを被せた巻取り軸65と、圧着
ローラ66とが設けられている。フイルム巻取り室61
の内壁及びカバー61aの内壁は断面が滑らかな円弧状
に形成され、写真フイルム6が送られてきたときに、そ
の先端を巻取り軸65側に向けて案内する。カートリッ
ジ装填室60とフイルム巻取り室61との間のフイルム
通路の上方にはガイドプレート66が設けられている。
ガイドプレート66には反射型フォトセンサからなるパ
ーフォレーションセンサ67と、磁気ヘッド68と、エ
ンコードローラ69とが設けられ、ガイドプレート66
に各々対応して形成した開口を通してフイルム通路に対
峙している。
【0040】パーフォレーションセンサ67は、写真フ
イルム6のパーフォレーション6bが移動してきたこと
を検知する。磁気ヘッド68は、磁気ヘッドドライバ7
2からの記録信号を受けて、写真フイルム6の背面に設
けられた磁気記録層に磁気記録を行う。エンコードロー
ラ69は、対面して設けられたニップローラ73との間
に写真フイルム6を挟持し、写真フイルム6の給送に従
動して回転する。エンコードローラ69の外周には、そ
の回転方向に一定ピッチで白黒の線条パターンが印刷さ
れており、その線条パターンの移動を反射型のフォトセ
ンサ70で監視することにより写真フイルム6の給送速
度を知ることができる。
【0041】フイルム通路の下側には揺動アーム75が
設けられ、この揺動アーム75には前述のニップローラ
73と、磁気ヘッド68と対面する圧着ローラ74とが
回転自在に支持されている。揺動アーム75はバネ77
によって図示位置に付勢されているが、ソレノイド79
がオフした状態ではバネ77の付勢に抗して図示位置よ
りも時計方向に揺動した退避位置に保持されており、ロ
ーラ73,74をフイルム通路から退避させている。そ
して、ソレノイド79が駆動されたときには揺動アーム
75のロックが解除され、バネ77の付勢により反時計
方向に揺動してローラ73,74をフイルム通路内に臨
出させる。
【0042】上記磁気記録装置に写真フイルムカートリ
ッジ2を装填し、カバー60a,60bが閉じ位置にあ
ることを確認してオペレータがキーボード80を操作す
る。このとき、DPE取扱店で貼付されたバーコードラ
ベルをバーコードリーダー81で読み取り、DPEコー
ドと受付けナンバーとをシステムコントローラ82に入
力する。システムコントローラ82は、こうして入力さ
れたラボデータをメモリ83に記録するとともにCRT
84に表示する。
【0043】キーボード80からデータ転記入力がシス
テムコントローラ82に入力されると、システムコント
ローラ82から給送制御回路85にスタート信号が送ら
れる。給送制御回路85は、まずロータリーソレノイド
86を駆動して開閉器64を遮光蓋9の開き方向に回動
させ、これにより遮光蓋9が開く。ロータリーソレノイ
ド86が適正に駆動されたことが検知され、これがシス
テムコントローラ82にフィードバックされると、シス
テムコントローラ82はデータ読み取り器63を介して
ICメモリ15に記録されたデータを読み込む。ここで
読み取られるデータは、メーカー段階で基礎データとし
て記録されたユニット識別データ及び製造年月日データ
と、ユーザー段階で各撮影コマごとに記録されたストロ
ボデータ,プリントフォーマットデータ及び、カウンタ
で計数されたクロックパルスの個数データである。
【0044】システムコントローラ82は、メーカー段
階で記録されたユニット識別データをメモリ83の所定
アドレス域に格納し、ストロボデータ及びプリントフォ
ーマットデータは撮影コマごとに割り当てられたアドレ
ス域に格納する。また、メーカー段階で記録された製造
年月日データと、各撮影コマごとに読み取られたクロッ
クパルスの個数データとから、各撮影コマごとに撮影年
月日を表すデートデータが算出され、このデートデータ
も各撮影コマごとに割り当てられた所定のアドレス域に
記録される。
【0045】こうしてICメモリ15からデータの読み
出しが行われ、各データの形式に不備がないことが確認
されると、システムコントローラ82から給送制御回路
85に給送コマンドを送出する。これを受けて、給送制
御回路85は給送モータ87を正転させる。給送モータ
87の正転により、クラッチ機構88を介してスプール
駆動軸62と巻取り軸65とがそれぞれ反時計方向に回
転する。このとき、クラッチ機構88により巻取り軸6
5の回転速度の方がスプール駆動軸62の回転速度より
も速くなっている。
【0046】スプール駆動軸62の駆動によりスプール
がフイルム送り出し方向に回転すると写真フイルム6の
頭出しが行われ、その先端がフイルム通路内に通され
る。ニップローラ73及び圧着ローラ74はいずれもフ
イルム通路から退避しているので、写真フイルム6の先
端は抵抗なくフイルム巻取り室61に向かって送り込ま
れる。先端がフイルム巻取り室61に達すると、フイル
ム巻取り室61の内壁及び圧着ローラ66を支持してい
るアームのガイドの作用により、巻取り軸65外周のゴ
ムシート65aと圧着ローラ65aとの間に挟持され
る。そして、引続き送られてくる写真フイルム6が巻取
り軸65に1巻き分巻きついた後は、巻取り軸65の回
転速度にしたがって巻き取られる。
【0047】巻取り軸65の回転速度にしたがって写真
フイルム6が巻き取られるようになると、スプール駆動
軸62は写真フイルム6の給送によって、それ自身の回
転速度よりも速く回転されるようになる。すると、クラ
ッチ機構88の作用によりスプール駆動軸62はモータ
87の駆動に対してフリーな状態になり、スプール駆動
軸62は写真フイルム6の給送に従動して回転する。結
果的に、写真フイルム6の頭出しから巻取り軸65への
巻きつきまでの間は写真フイルム6はスプール駆動軸6
2で送られ、巻取り軸65に巻きついた後は巻取り軸6
5の駆動により給送されるようになる。
【0048】写真フイルム6が巻取り軸65に巻きつい
たことが例えばクラッチ機構88の切換わり動作によっ
て検知されると、ソレノイド79が駆動され揺動アーム
75のロックが解除される。これにより揺動アーム75
がバネ77の付勢により反時計方向に揺動し、ニップロ
ーラ73及び圧着ローラ74がフイルム通路に突出し、
それぞれエンコードローラ69,磁気ヘッド68との間
に写真フイルム6を挟み込む。そして、エンコードロー
ラ69は写真フイルム6の給送速度に一致した周速度で
回転し、磁気ヘッド68は写真フイルム6の背面に設け
られた磁気記録層に適正な圧力で接するようになる。
【0049】ソレノイド73の駆動信号を受け、システ
ムコントローラ82はメモリ83に記録されていたデー
タを読み出し、記録・再生制御回路90内を介してバッ
ファメモリ91に転送する。なお、写真フイルム6のリ
ーダー部には、これまでの135フイルムよりも長めの
余裕分(写真フイルム先端から第1コマ位置に対応する
パーフォレーション6bまでの長さ)が確保されている
ため、この時点では未だ第1撮影コマはカートリッジ本
体5内にある。
【0050】写真フイルム6の給送速度は、フォトセン
サ70によりエンコードローラ69の回転速度として監
視され、この回転速度信号とパーフォレーションセンサ
67から得られるパーフォ信号との両者によって記録・
再生制御回路90は磁気記録のタイミング信号を得、こ
のタイミング信号にしたがって磁気ヘッドドライバ92
を駆動してバッファメモリ91に転送されているデータ
の記録を行う。
【0051】写真フイルム6の給送速度が、巻取り軸6
5の回転速度に対応した所定範囲内の給送速度に安定す
ると、記録・再生制御回路90はバッファメモリ91内
に転送された情報のうち、まずDPEコードと受付けナ
ンバーに対応した記録信号を磁気ヘッドドライバ92に
送る。これにより磁気ヘッド68が駆動され、図6(写
真フイルムを背面側から図示してある)に示すように、
写真フイルム6の最も先端側に形成されたパーフォレー
ション6bで規定された第1コマ位置95aよりもさら
に先端側に、DPEコードと受付けナンバーとが記録さ
れた磁気トラック96が形成される。
【0052】なお、この第1コマ位置95aには、レン
ズ付きフイルムユニットによって最後に撮影された撮影
コマが潜像として記録されている。また、上記データは
第1コマ位置95aよりも先端側であれば図中破線で示
す領域97に記録することも可能であるが、磁気ヘッド
との摺接により写真フイルム6の背面側に傷が入りやす
くなることを考慮すると、やはり写真フイルム6の幅方
向において撮影コマ位置から外れた領域にデータ記録す
るのが好ましい。
【0053】こうしてラボデータの磁気記録の終了の
後、引続き写真フイルム6の給送が行われる間に、パー
フォレーションセンサ67によって第1コマ位置95a
に対応して設けられた最も先端側の2個のパーフォレー
ション6bが検知される。これに応答し、記録・再生制
御回路90はレンズ付きフイルムユニットの最後の撮影
時に得られたストロボデータ,プリントフォマットデー
タ,デートデータに加え、ユニット識別データをバッフ
ァメモリ91から読み出し、これに対応した記録信号を
磁気ヘッドドライバ92に供給する。
【0054】この結果、最終撮影コマに対応した撮影デ
ータの記録が行われ、第1コマ位置95aの下縁に沿っ
て磁気トラック98aが形成される。この間、フォトセ
ンサ70によって写真フイルム6の給送速度が監視さ
れ、これに対応した記録タイミング信号のもとで記録が
行われるため、適切なデータフォーマットのもとで磁気
記録を行うことができる。同様に、第2コマ位置95b
に対応した2個並びのパーフォレーション6bがパーフ
ォレーションセンサ67で検知されると、記録・再生制
御回路90は最終撮影コマの前の撮影コマに対応して得
られた撮影データに加え、ユニット識別データをバッフ
ァメモリ91から読み出される。これらのデータは第2
コマ位置95bの下縁に沿って磁気記録され、磁気トラ
ック98bが形成される。
【0055】こうして写真フイルム6が第1コマ位置9
5aから最終コマ位置に向かって給送される間に、レン
ズ付きフイルムユニットでの撮影の順番とは逆順に各撮
影コマごとの撮影データが読み出されてゆき、それぞれ
磁気ヘッドドライバ92,磁気ヘッド68により磁気記
録が行われる。そして、写真フイルム6後端側の最終コ
マ位置には、レンズ付きフイルムユニットで最初に撮影
された撮影コマが潜像記録されているが、そのコマ位置
の下縁に最初の撮影データを磁気記録して記録動作が終
了する。なお、プリント処理は写真フイルム6の先端側
から順次に行われてゆくが、プリント処理の最終コマ位
置であることを明示するために、最後の撮影データに加
えて最終コマであることを表すコードデータを記録して
おくことも効果的である。もちろん、このコードデータ
を最終コマ位置よりもさらに後端側に記録することもで
きる。
【0056】なお、ユニット識別データは各撮影コマに
共通のものであるから、例えばこれを先頭の磁気トラッ
ク96に書き込み、各撮影コマごとの記録データから省
くようにしてもよい。ただし、一般のカメラでこの写真
フイルムカートリッジ2を用いる場合には、必ずしも全
ての撮影コマが同一のカメラで撮影されるものとは限ら
ず、撮影途中で他のカメラに入れ換えて撮影が行われる
こともあり得る。
【0057】このような利用形態を考慮し、またレンズ
付きフイルムユニットで使用された写真フイルムカート
リッジ2と一般カメラで使用された写真フイルムカート
リッジとが混在することを勘案し、各撮影コマごとにカ
メラ種別データを磁気記録することを前提とするときに
は、やはりユニット識別データについても各撮影コマご
とに記録しておくのがよい。さらに、上記利用形態に関
連し、一般カメラでの利用時に撮影途中で写真フイルム
カートリッジ2をカメラから取り出したか否かの履歴フ
ラグを磁気記録することを前提にした場合には、レンズ
付きフイルムユニットで使用されたものについては、途
中取り出しがないことを表すフラグデータをメーカー段
階でICメモリ15に記録しておき、これを読み出して
写真フイルム6上に磁気記録しておけばよい。
【0058】また、写真フイルムカートリッジ2に収納
された写真フイルム6が例えば40枚撮りのものである
のにもかかわらず、ユーザーが例えば30回の撮影を終
えた段階でDPE取扱店にプリント依頼を行った場合に
は、ICメモリ15には30ショット分の撮影データし
か記録されていない。このことは、システムコントロー
ラ82によって撮影データの読み出しを行った時点で確
認することができる。この場合の磁気記録に際しては、
磁気トラック96にラボデータの磁気記録を終えた後、
パーフォレーションセンサ67によって10撮影コマ分
のパーフォレーション6bの読み飛ばしを行い、その後
に最終撮影コマの撮影データから磁気記録を行うように
すればよい。なお、30コマ分の撮影しか行われていな
いことを先頭の磁気トラック96に記録しておいてもよ
い。
【0059】以上のようにしてスプールに係止された側
の最終コマ位置までの磁気記録が完了すると、システム
コントローラ82から給送制御回路85に巻戻しコマン
ドが入力される。これに応答して給送モータ87の逆転
が開始され、スプール駆動軸62がフイルム巻込み方向
に回転してフイルム巻戻しが行われる。このとき、クラ
ッチ機構88は巻取り軸65についてはフリーの状態に
し、巻取り軸65はフイルム巻戻しに従動して回転する
ようになる。
【0060】フイルム巻戻し時には、システムコントロ
ーラ82が記録・再生制御回路90を再生モードで作動
させる。磁気ヘッド68は、各撮影コマごとに記録した
撮影データ及びユニット識別データを再生し、その再生
信号は磁気ヘッドドライバ92を介して記録・再生制御
回路90に入力される。記録・再生制御回路90はパー
フォレーションセンサ67からのパーフォ信号を参照し
ながら、再生されたデータがバッファメモリ91に格納
されたデータと一致するか否かを照合する。もちろん、
この再生時には記録時とは逆向きにデータ読み出しが行
われるため、これを反転させた上でデータの照合が行わ
れる。
【0061】データの一致が確認され、巻取り軸65の
従動回転が停止した後、一定時間が経過すると給送モー
タ87の逆転が停止し、この時点では写真フイルム6の
先端がカートリッジ本体5内に巻き込まれている。続い
てロータリーソレノイド86が開閉器64を逆転させて
遮光蓋9を閉じ、またソレノイド79がオフして揺動ア
ーム75が退避位置に下降してデータ転記処理が完了す
る。なお、データ照合の結果、不一致が検出された場合
には該当撮影コマについて再記録処理が行われ、必要に
応じて全データの再記録処理が行われる。
【0062】こうしてデータ転記処理を終えた写真フイ
ルムカートリッジ2はフイルム現像処理に回され、また
プリント処理に回される。フイルム現像を行うときに、
カートリッジ本体5と写真フイルム6とが分離される
が、写真フイルム6に潜像記録されたIDナンバーが顕
在化されるから、これをカートリッジ本体5に貼付され
たバーコードラベル12のIDナンバーと照合すれば、
その対応関係が紛れることはない。したがって、現像済
みの写真フイルム6をこのカートリッジ本体5に装填し
直してユーザーに返却するシステムを採る場合、フイル
ム現像を行う時点で写真フイルム6をカートリッジ本体
5から分離し、その後はDPE取扱店に納品するまでの
間、写真フイルム6だけの取り扱いでプリント処理を行
ってゆくことができるようになる。
【0063】プリント処理に際しては、写真フイルム6
の磁気記録層に必要なデータが記録済みになっているか
ら、ICメモリ15が組み込まれたカートリッジ本体5
を必要としない。カートリッジ本体5から分離された写
真フイルム6は順次にプリンタにかけられ、写真フイル
ム6の先端側から各撮影コマごとにプリント処理が実行
される。各撮影コマには、そのコマに対応した撮影デー
タが磁気記録されているから、プリンタでこれを読み取
って露光補正の必要の有無を判断したり、あるいは適切
な露光補正を行って適正プリントを行うことができる。
【0064】例えばレンズ付きフイルムユニットに使用
された写真フイルム6であっても、磁気記録層からユニ
ット識別データが読み取られたときにはプリント露光時
の露光補正幅を広めに設定したり、またストロボ撮影を
行った旨のストロボデータが読み取られたときには、画
面中央部の被写体(多くの場合、人物被写体)が適正露
光となるような補正を行ったりすることによって、レン
ズ付きフイルムユニットの撮影特性を考慮したプリント
を行うことができる。
【0065】また、読み取られたプリントフォーマット
データがパノラマ指定であることを表しているときに
は、プリント倍率,ネガマスク,印画紙マスクが自動的
にパノラマプリント用に切り換えられ、プリント処理が
効率化される。そして、これにより写真フイルム6に対
する露光範囲を規制するたのマスク機構をレンズ付きフ
イルムユニットに組み込む必要がなくなり、レンズ付き
フイルムユニットのローコスト化にも寄与する。さら
に、磁気記録層から読み取られたデートデータに応じて
プリンタに併設されたデート写し込み装置を作動させる
ことによって、適宜の位置,姿勢,サイズ,カラーで撮
影年月日をプリント写真に重ね焼きすることができる。
その他にも、磁気トラック96から読み出されたラボデ
ータをプリント写真の裏面に印字しておくことによっ
て、現像所からDPE取扱店への納品管理に利用するこ
とができる。
【0066】現像所での処理が完了すると、現像済みの
写真フイルム6は元のカートリッジ本体5に長尺のまま
再装填され、プリント写真とともにDPE取扱店を経由
してユーザーに戻される。カートリッジ本体5にはIC
メモリ15が組み込まれたままであり、またICメモリ
15にはEEPROMまたはフラッシュメモリ等が用い
られているため、焼増しプリントを行う場合にも全く同
様にしてICメモリ15に記録されたデータを利用する
ことができる。なお、最初の同時プリントを行う時点で
行った露光補正データなどを写真フイルム6の磁気記録
層の他の部分、例えばパーフォレーション6bが形成さ
れた側のフイルムエッジに記録しておけば、焼増しプリ
ント時にこのデータを読み出して利用することもでき
る。
【0067】以上、本発明の一実施形態について説明し
てきたが、例えばICメモリ12から読み出したデータ
を写真フイルム6に磁気記録するデータ転記処理を行う
時期をフイルム現像処理の後に行うことも可能である。
この場合には、図5に示す磁気記録装置に遮光機能が必
要なくなり、その構成を簡略化することができる。ま
た、図5に示すような磁気記録装置を用いることによっ
て、データ転記処理を行うために特別な技能は要求され
ないから、使用済みの写真フイルムカートリッジを現像
所に送る前の中間処理段階であるDPE取扱店でデータ
転記処理を行うことも可能である。また、磁気記録装置
を内蔵していない簡易型カメラで撮影した写真フイルム
についても、全く同様の処理を適用することが可能であ
り、磁気記録装置を内蔵したカメラについても、本発明
方法の併用によって、より高密度のデータ記録を行うこ
とができる。
【0068】
【発明の効果】上述したとおり、本発明方法によればカ
メラに磁気記録装置を内蔵させておかなくても、写真フ
イルムに設けられた磁気記録層に撮影データを記録して
おくことが可能となり、APSの特長を有効に活用しな
がらもカメラのコストアップを避けることができる。し
たがって、簡易型カメラやレンズ付きフイルムユニット
で撮影した場合でも、様々なプリントサービスを効率的
に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す流れ図である。
【図2】本発明に用いられる写真フイルムカートリッジ
の外観図である。
【図3】本発明に用いられるレンズ付きフイルムユニッ
トの一例を示す分解斜視図である。
【図4】図3に示すレンズ付きフイルムユニットの要部
断面図である。
【図5】本発明に用いられる磁気記録装置の一例を示す
要部断面図である。
【図6】磁気記録後の写真フイルムを示す説明図であ
る。
【符号の説明】
5 カートリッジ本体 6 写真フイルム 15 ICメモリ 17 接点パターン 22 ストロボユニット 30 回路基板 33 シンクロスイッチ 38 記録制御IC 39 フォトセンサ 40 フレキシブル配線板 46 接続ピン 49 マスク板 62 スプール駆動軸 65 フイルム巻取り軸 68 磁気ヘッド 96,98a,98b 磁気トラック

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 写真フイルム上に設けられた磁気記録層
    にデータ記録を行う方法において、 前記写真フイルムを光密に収納したカートリッジ本体に
    ICメモリを設け、撮影ごとにカメラ本体から得られる
    撮影データを前記ICメモリに書き込んでおき、カメラ
    から取り出されプリント処理のためにフイルムカートリ
    ッジが集められる中間処理段階で前記ICカートリッジ
    から撮影コマごとに前記撮影データを読み出し、読み出
    された撮影データを写真フイルム上の前記磁気記録層に
    書き込むことを特徴とする写真フイルムへのデータ記録
    方法。
  2. 【請求項2】 前記ICメモリをカートリッジ本体に組
    み込む前に、予め基礎データを記録しておくことを特徴
    とする請求項1記載の写真フイルムへのデータ記録方
    法。
JP8007539A 1996-01-19 1996-01-19 写真フイルムへのデータ記録方法 Pending JPH09197539A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8007539A JPH09197539A (ja) 1996-01-19 1996-01-19 写真フイルムへのデータ記録方法
US08/784,259 US5819126A (en) 1996-01-19 1997-01-15 Lens-fitted photo film unit and data recording method therefor
US09/085,005 US5995768A (en) 1996-01-19 1998-05-28 Lens-fitted photo film unit and data recording method therefor

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1435543A2 (en) * 1998-06-09 2004-07-07 Fuji Photo Film Co., Ltd. Method of controlling production and recycle of photo film cartridge or lens-fitted photo film unit

Cited By (4)

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EP1435543A2 (en) * 1998-06-09 2004-07-07 Fuji Photo Film Co., Ltd. Method of controlling production and recycle of photo film cartridge or lens-fitted photo film unit
EP1475662A2 (en) * 1998-06-09 2004-11-10 Fuji Photo Film Co., Ltd. Method of controlling production and recycle of photo film cartridge or lens-fitted photo film unit
EP1435543A3 (en) * 1998-06-09 2007-11-28 FUJIFILM Corporation Method of controlling production and recycle of photo film cartridge or lens-fitted photo film unit
EP1475662A3 (en) * 1998-06-09 2007-11-28 FUJIFILM Corporation Method of controlling production and recycle of photo film cartridge or lens-fitted photo film unit

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