JPH09196488A - 極低温冷凍機 - Google Patents

極低温冷凍機

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JPH09196488A
JPH09196488A JP846196A JP846196A JPH09196488A JP H09196488 A JPH09196488 A JP H09196488A JP 846196 A JP846196 A JP 846196A JP 846196 A JP846196 A JP 846196A JP H09196488 A JPH09196488 A JP H09196488A
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JP
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temperature side
high temperature
seal
low temperature
expansion space
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Withdrawn
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JP846196A
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Inventor
Toshiyuki Kurihara
利行 栗原
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Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷媒ガスの流通状態を改良することにより、
蓄冷器のピンチ状態の発生を回避して蓄冷器の有効利用
を図り、冷凍機の冷凍能力及び運転効率を向上させる。 【解決手段】 シリンダ(5) 内でのディスプレーサ(18)
の往復動により冷媒ガスを膨張空間(20,21) 内で膨張さ
せて温度降下させるようにした極低温冷凍機において、
膨張空間(20,21) の容積を縮小させる排気過程時、最低
温段の膨張空間(21)の冷媒ガスを高温側の膨張空間(20)
にバイパスするように、各膨張空間(20,21) 同士をバイ
パス管(41)によって連結する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリンダ内でディ
スプレーサ(置換器)の往復動により冷媒ガスを膨張さ
せて寒冷を発生させる極低温冷凍機に係り、特に、ディ
スプレーサ内に収容された蓄冷器の蓄冷効率の向上対策
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、高圧の冷媒ガスをシリンダ内
で膨張させて寒冷を発生させる膨張機を有する極低温冷
凍機として、例えば特開平7−4765号公報に開示さ
れているように、冷媒ガスとしてのヘリウムガスを圧縮
する圧縮機と、この圧縮されたガスを膨張させる膨張機
とを高圧配管及び低圧配管によって閉回路に接続し、G
−Mサイクル(ギフォード・マクマホンサイクル)を利
用してヘリウムガスを膨張させて寒冷を発生させるよう
にしたものが知られている。また、上記公報に開示され
ている膨張機は、シリンダに比較的大径の第1シリンダ
部及び比較的小径の第2シリンダ部が備えられ、各シリ
ンダ部内にディスプレーサの第1ボディ及び第2ボディ
が一体的に往復動可能に嵌装されている。これにより、
第1シリンダ部と第1ボディとの間に第1膨張室が、ま
た第2シリンダ部と第2ボディとの間に第2膨張室が夫
々形成されている。そして、膨張機に備えられた切換バ
ルブにより上記高圧及び低圧配管を膨張機のシリンダ内
に交互に連通させると共に、この切換バルブの切換動作
に応じてシリンダ内でスラックピストンを往復動させ、
このピストンによりディスプレーサを往復駆動してヘリ
ウムガスを膨張させるようにしている。つまり、シリン
ダ内に高圧ガスが導入されて各膨張室の容積が拡大され
る吸気過程では、ヘリウムガスが蓄冷器内部を通る際、
前の排気過程で冷却されている蓄冷器との間での熱交換
によってヘリウムガスが極低温レベル近くまで冷却され
る。一方、シリンダ内が低圧とされて各膨張室の容積が
縮小される排気過程では、ヘリウムガスが蓄冷器を通る
際に、該ヘリウムガスは蓄冷器を極低温レベルまで冷却
しながら自身が常温まで暖められる。このような動作を
繰り返すことで、第2シリンダ部の先端を極低温まで冷
却するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した吸
気過程と排気過程とでは、シリンダ内を流れるヘリウム
ガスの圧力が異なるために、各過程でのヘリウムガスの
熱容量が異なっている。つまり、吸気過程では、排気過
程に比べてヘリウムガスの圧力が高いためにその熱容量
が小さくなっている。図8は、各過程における第2ボデ
ィ内に収容された蓄冷器の往復動方向の位置とその各位
置における温度との関係を示している。この図からも解
るように、吸気過程では、蓄冷器の中央部でヘリウムガ
スがそれ以上の冷却が不可能である冷却限界温度に達し
てしまい、この蓄冷器の中央部から先端部にわたる領域
では蓄冷器とヘリウムガスとの間で熱交換が行えない状
態(一般に蓄冷器のピンチ状態と呼ばれる)となる。つ
まり、この部分では、蓄冷器の有効利用が行われておら
ず、冷凍機全体として高い効率で駆動させるには限界が
あった。
【0004】また、このような状況では、排気過程時に
蓄冷器が冷却され過ぎることになり、該蓄冷器内のヘリ
ウムガスの比体積が小さくなり、これに伴って蓄冷器内
のガス質量が大幅に増大し、吸気過程時におけるヘリウ
ムガスの必要流量の増大に伴い圧縮機の容量を増大せね
ばならなくなる。これでは、冷凍機の消費電力の増大を
招くことになり、冷凍機を高い効率で運転させるには限
界があった。
【0005】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもの
で、冷媒ガスの流通状態を改良することにより、蓄冷器
のピンチ状態の発生を回避して蓄冷器の有効利用を図
り、冷凍機の冷凍能力及び運転効率を向上させることを
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、排気過程時に、ヘリウムガスから蓄冷
器に与えられる冷熱量を低減するように、該ヘリウムガ
スの一部を高温側にバイパスさせるようにした。
【0007】具体的に請求項1記載の発明は、図1に示
すように、シリンダ部材(5b)と、該シリンダ部材(5b)の
内部を低温側と高温側とに区画するようにシリンダ部材
(5b)内に往復動可能に嵌装されたディスプレーサ部材(1
8b) と、該ディスプレーサ部材(18b) の内部に収容さ
れ、シリンダ部材(5b)の低温側と高温側との間を流通す
る冷媒ガスとの間で熱交換可能とされた蓄冷器(29)とを
備え、上記シリンダ部材(5b)内に高圧冷媒ガスを導入し
てシリンダ部材(5b)の高温側から低温側に向って流れる
冷媒ガスと蓄冷器(29)との間で熱交換を行う吸気過程
と、該冷媒ガスを膨張させて低温側の膨張空間(21)に冷
熱を発生させた後、シリンダ部材(5b)の低温側から高温
側に向って流れる冷媒ガスと蓄冷器(29)との間で熱交換
を行う排気過程とを行う極低温冷凍機を前提とする。そ
して、上記排気過程時、膨張空間(21)の冷媒ガスの一部
を、該膨張空間(21)より高温側にバイパスさせるバイパ
ス手段(40)を設けた構成としている。
【0008】このような構成により、冷媒ガスから蓄冷
器(29)に冷熱が与えられる排気過程時において、この冷
媒ガスの一部はバイパス手段(40)により高温側にバイパ
スされる。このため、このバイパス量だけ、蓄冷器(29)
に与えられる冷熱量は少なくなる。従って、排気過程時
に蓄冷器(29)が冷却され過ぎるといった状況が回避さ
れ、この蓄冷器(29)内部の冷媒ガスの比体積が小さくな
り過ぎることがないので、蓄冷器(29)内のガス質量が大
幅に増大することがなくなり、吸気過程時における冷媒
ガスの必要流量の増大が回避される。また、吸気過程時
に、冷媒ガスが蓄冷器(29)を流れる途中で冷却限界温度
に達してしまうといったことも抑制され、蓄冷器(29)の
全体に亘って該蓄冷器と冷媒ガスとの間で熱交換が行わ
れる。
【0009】請求項2記載の発明は、上記請求項1記載
の極低温冷凍機において、複数のシリンダ部材(5a,5b)
を軸方向に連続形成し、各シリンダ部材(5a,5b) に夫々
の低温側に膨張空間(20,21) を形成するディスプレーサ
部材(18a,18b) を往復動可能に嵌装する。また、バイパ
ス手段(40)が、最も低温側の膨張空間(21)の冷媒ガスの
一部を、該膨張空間(21)よりも高温側の膨張空間(20)に
バイパスする構成としている。
【0010】この構成により、最も低温側の膨張空間(2
1)の冷媒ガスの一部が極低温状態のまま高温側の膨張空
間(20)に導入されることになるので、この高温側の膨張
空間(20)を低温にすることができ、高温側のシリンダ部
(5a)での冷凍能力の向上を図ることができる。
【0011】請求項3記載の発明は、上記請求項2記載
の極低温冷凍機において、バイパス手段(40)に、最も低
温側のシリンダ部材(5b)の膨張空間(21)と、それよりも
高温側のシリンダ部材(5a)の膨張空間(20)との間に架設
されたバイパス管(41)を備えさせる構成としている。
【0012】この構成により、排気過程では、最も低温
側のシリンダ部材(5b)の膨張空間(21)の冷媒ガスの一部
が、バイパス管(41)を経て高温側のシリンダ部材(5a)の
膨張空間(20)にバイパスされることになる。
【0013】請求項4記載の発明は、上記請求項2記載
の極低温冷凍機において、バイパス手段(40)を、最も低
温側のシリンダ部材(5b)の内周面(5e)とディスプレーサ
部材(18b) の外周面(18f) との間隙(S) を、吸気過程時
に閉塞する一方、排気過程時に開放するシール手段(43)
とした構成としている。
【0014】この構成により、排気過程時には、最も低
温側のシリンダ部材(5b)の内周面(5e)とディスプレーサ
部材(18b) の外周面(18f) との間隙(S) をシール手段(4
3)が開放し、この間隙(S) を経て低温側から高温側へ冷
媒ガスがバイパスされることになる。このため、従来か
ら既存の間隙(S) を有効に利用してバイパス手段(40)を
実現できる。
【0015】請求項5記載の発明は、上記請求項4記載
の極低温冷凍機において、シール手段を、ディスプレー
サ部材(18b) の外周面に周方向に形成されたシール溝(4
2)に装着されたシール部材(43)で成す。そして、吸気過
程時、シリンダ部材(5b)の低温側と高温側との差圧によ
り、シール部材(43)がシール溝(42)の低温側内面(42c)
に押圧されてシリンダ部材(5b)とディスプレーサ部材(1
8b) の間隙(S) を閉塞する一方、排気過程時、シリンダ
部材(5b)の低温側と高温側との差圧により、シール部材
(43)がシール溝(42)の低温側内面(42c) から離されて上
記間隙(S) を開放するようにしている。
【0016】この構成により、排気過程時には、シリン
ダ部材(5b)の低温側と高温側との差圧により、シール部
材(43)がシール溝(42)の低温側内面(42c) から離され、
低温側の冷媒ガスは、このシール部材(43)とシール溝(4
2)との間を経て高温側へバイパスされることになる。こ
れにより、吸気過程と排気過程との圧力変動を有効に利
用して、排気過程時にのみ冷媒ガスをバイパスする構成
を得ることができる。
【0017】請求項6記載の発明は、上記請求項5記載
の極低温冷凍機において、シール部材(43)を、該シール
部材(43)とシール溝(42)の高温側内面(42a) との間に縮
装されたC型スプリング(44)によりシール溝(42)の低温
側内面(42c) に押圧した構成としている。
【0018】この構成により、吸気過程時には、シリン
ダ部材(5b)の低温側と高温側との差圧だけでなくC型ス
プリング(44)の付勢力によってもシール部材(43)がシー
ル溝(42)の低温側内面(42c) に押圧される。これによ
り、吸気過程時におけるシリンダ部材(5b)の内周面(5e)
とディスプレーサ部材(18b) の外周面(18f) との間隙
(S) のシール性が良好に確保される。一方、排気過程時
には、冷媒ガスが、シール部材(43)とシール溝(42)との
間及びC型スプリング(44)の切欠き部分を経て高温側へ
バイパスされることになる。
【0019】請求項7記載の発明は、上記請求項5記載
の極低温冷凍機において、シール溝(42)の高温側内面(4
2a) に、シール部材(43)がシール溝(42)の低温側内面(4
2c)から離されて高温側内面(42a) に当接した際、シー
ル部材(43)の低温側と高温側とを連通する連通溝(46)を
形成した構成としている。
【0020】請求項8記載の発明は、上記請求項5記載
の極低温冷凍機において、シール部材(43)におけるシー
ル溝(42)の高温側内面(42a) との対向面(43a) に、シー
ル部材(43)がシール溝(42)の低温側内面(42c) から離さ
れて高温側内面(42a) に当接した際、シール部材(43)の
低温側と高温側とを連通する連通溝(46)を形成した構成
としている。
【0021】これら各構成により、排気過程時には、シ
ール部材(43)がシール溝(42)の高温側内面(42a) に当接
した状態となっても連通溝(46)がシール部材(43)の低温
側と高温側とを連通しているので、冷媒ガスは、シール
部材(43)とシール溝(42)との間及び連通溝(46)を経て高
温側へバイパスされることになる。
【0022】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)次に、本発明の第1実施形態を図面に
基いて説明する。また、本形態では、本発明に係る極低
温冷凍機をG−Mサイクルを持つヘリウム冷凍機に適用
した場合について説明する。図1は、本冷凍機の膨張機
(1) の内部構造を示している。該膨張機(1) は、図示し
ない圧縮機で圧縮された冷媒ガスとしてのヘリウムガス
を膨張可能とするように、圧縮機に対し高圧ガス配管及
び低圧ガス配管(いずれも図示せず)によって接続さ
れ、該圧縮機との間で閉回路を構成している。
【0023】以下、膨張機(1) の構造について説明す
る。該膨張機(1) は、上記高圧ガス配管が接続する高圧
側アダプタ(2) 及び低圧ガス配管が接続する低圧側アダ
プタ(3) を有するモータハウジング(4) と、該モータハ
ウジング(4) の下部に第1フランジ(5c)を介して一体的
に気密接合されたシリンダ(5) とを備えている。このシ
リンダ(5) は、上記第1フランジ(5c)に接合された比較
的大径のシリンダ部材としての第1シリンダ部(5a)と、
該第1シリンダ部(5a)の下側に第2フランジ(5d)を介し
て一体的に配置された小径の同じくシリンダ部材として
の第2シリンダ部(5b)とを備えている。そして、上記モ
ータハウジング(4) の内部には、上記高圧側アダプタ
(2) に連通するモータ室(6) と、該モータ室(6) に連通
して上下方向に延びる貫通孔(7) と、上記低圧側アダプ
タ(3) に補助オリフィス(8) を介して連通するサージボ
リューム(9) とが形成されている。
【0024】また、上記モータハウジング(4) の内部及
びシリンダ(5) の内部に亘り、該シリンダ(5) の上側閉
塞端部を構成するバルブステム(10)が嵌装されている。
このバルブステム(10)は、上記モータハウジング(4) の
貫通孔(7) に気密嵌合されたバルブシート部(10a) と、
第1シリンダ部(5a)の内径よりも小径に形成され、該第
1シリンダ部(5a)内上部において垂下する垂下部(10b)
とを備えており、バルブシート部(10a) の上面と貫通孔
(7) の壁面とで囲まれる空間により、上記高圧ガス配管
にモータ室(6) を介して連通するバルブ室(11)が形成さ
れている。
【0025】また、上記バルブステム(10)の内部には上
下方向に延びる第1ガス流路(12)及び第2ガス流路(13)
が形成されている。第1ガス流路(12)は、上記バルブス
テム(10)の上半部に形成されて上端がバルブシート部(1
0a) の上面に開放する小径の連通路(12a) を備えている
と共に下端部がシリンダ(5) 内に開放している。また、
第2ガス流路(13)は、上端が上記第1ガス流路(12)に後
述するロータリバルブ(24)の低圧ポート(27)を介して連
通可能となっていると共に、下端が上記低圧側アダプタ
(3) に、モータハウジング(4) に形成された水平方向に
延びる連通路(14)を介して連通している。そして、これ
ら両ガス流路(12,13) は、バルブステム(10)上面におい
てバルブ室(11)に対し、第2ガス流路(13)にあってはバ
ルブステム(10)中心部に、また第1ガス流路(12)の連通
路(12a) にあってはバルブステム(10)の外周囲に夫々開
口されている。
【0026】一方、シリンダ(5) における第1シリンダ
部(5a)内の上端部には、該第1シリンダ部(5a)内上端部
に駆動空間(15)を区画形成するカップ形状のスラックピ
ストン(16)が、その内側面を上記バルブステム(10)の垂
下部(10b) に気密状に摺接せしめた状態で往復動可能に
嵌合されている。また、上記駆動空間(15)は、モータハ
ウジング(4) 内のサージボリューム(9) に、バルブステ
ム(10)に形成されたオリフィス(17)を介して常時連通し
ている。上記スラックピストン(16)は底壁(16a) を有
し、該底壁(16a) には、その中央部に形成された中心孔
(16b) と、該中心孔(16b) の周囲に形成された図示しな
い圧力導入孔とが貫通形成されており、各孔によってス
ラックピストン(16)の内部空間(19a) と下側の中間空間
(19b) とが連通されている。
【0027】また、上記シリンダ(5) 内にはディスプレ
ーサ(18)が往復動可能に嵌合されている。該ディスプレ
ーサ(18)は、シリンダ(5) の第1シリンダ部(5a)の下半
部内を摺動する密閉円筒状のディスプレーサ部材として
の第1ボディ(18a) と、該第1ボディ(18a) 下端に一体
形成され、シリンダ(5) の第2シリンダ部(5b)内を摺動
する密閉円筒状の同じくディスプレーサ部材としての第
2ボディ(18b) とを備えて成り、このディスプレーサ(1
8)により、上記スラックピストン(16)下側のシリンダ
(5) 内空間が上側から順に中間空間(19b) 、第1段膨張
空間(20)及び第2段膨張空間(21)に区画されている。そ
して、図示しない連通孔により、上記ディスプレーサ(1
8)の第1ボディ(18a) 内の空間は上記第1段膨張空間(2
0)に、また第2ボディ(18b) 内の空間は上記第2段膨張
空間(21)に常時連通されている。尚、図1では各膨張空
間(20,21) の容積が最小となっている状態を示してい
る。
【0028】更に、上記ディスプレーサ(18)の第1ボデ
ィ(18a) 上端には、その第1ボディ(18a) 内の空間をス
ラックピストン(16)の内部空間(19a) に連通する管状の
スラックカップリング(22)がアダプタ(18c) を介して一
体に突設されている。このスラックカップリング(22)
は、上記スラックピストン(16)の底壁(16a) の中心孔(1
6b) を貫通してスラックピストン(16)の内部空間(19a)
に所定寸法だけ延び、その上端部にピストン底壁(16a)
に係合可能なフランジ状の係止部(22a) が一体形成され
ている。このため、スラックピストン(16)の上昇移動
時、該ピストン(16)が所定ストロークだけ上昇した時点
でその底壁(16a) とスラックカップリング(22)の係止部
(22a) との係合により、ディスプレーサ(18)をピストン
(16)によって駆動して上昇開始させるように,つまりデ
ィスプレーサ(18)を所定ストロークの遅れをもってスラ
ックピストン(16)に追従移動させるように構成されてい
る。また、上記アダプタ(18c) の中央部にはスラックカ
ップリング(22)の中心孔(22b)に連通する貫通孔(18d)
が上下方向に貫通形成されており、これによって第1ボ
ディ(18a) 内の空間がスラックピストン(16)の内部空間
(19a) に連通している。
【0029】また、第1ボディ(18a) の内部空間と第2
ボディ(18b) の内部空間とは、この両者の接続部分に配
置されたカップリング(25)及び第2ボディ(18b) の上端
部に形成された上下方向に貫通する貫通孔(18e) によっ
て互いに連通している。
【0030】また、上記モータハウジング(4) のバルブ
室(11)内にはモータ室(6) に配置されたバルブモータ(2
3)によって回転駆動する切換バルブとしてのロータリバ
ルブ(24)が配設され、該ロータリバルブ(24)の切換動作
により、高圧ガス配管に連通するバルブ室(11)と、低圧
ガス配管に連通する連通路(14)とをスラックピストン(1
6)の内部空間(19a) 、第1及び第2段膨張空間(20),(2
1) に対し交互に連通する構成となっている。
【0031】すなわち、上記ロータリバルブ(24)はバル
ブモータ(23)の出力軸(23a) に回転不能にかつ摺動可能
に連結されている。また、バルブ室(11)に導入された高
圧ヘリウムガスの圧力によりロータリバルブ(24)下面が
バルブステム(10)上面に対し一定の押圧力で押し付けら
れるようになされている。
【0032】一方、上記ロータリバルブ(24)の下面に
は、その半径方向に対向する外周縁から中心方向に所定
長さだけ切り込んでなる1対の高圧ポート(26,26) と、
該高圧ポート(26,26) に対しロータリバルブ(24)の回転
方向に略90°の角度間隔を存して配置され、バルブ(2
4)下面の中心から外周縁近傍に向かって直径方向に切り
欠いてなる低圧ポート(27)とが形成されている。そし
て、バルブモータ(23)の駆動によりロータリバルブ(24)
がその下面をバルブステム(10)上面に圧接しながら回転
して切換動作する際、このロータリバルブ(24)の切換動
作に応じてスラックピストン(16)及びディスプレーサ(1
8)をシリンダ(5) 内で往復動させ、バルブ(24)下面の高
圧ポート(26)の内端がそれぞれバルブステム(10)上面に
開口する第1ガス流路(12)に合致したときには、バルブ
室(11)を高圧ポート(26)及び第1ガス流路(12)を介して
スラックピストン(16)の内部空間(19a) 、第1及び第2
段膨張空間(20,21) に連通させて、これら各空間(19a)
〜(21)に高圧ヘリウムガスを導入充填することにより、
スラックピストン(16)及び該ピストン(16)によって駆動
されるディスプレーサ(18)を上昇させる。一方、バルブ
ステム(10)上面に開口する第2ガス流路(13)に中央部に
て常時連通する低圧ポート(27)の外端が上記第1ガス流
路(12)に合致したときには、上記シリンダ(5) 内の各空
間(19a) 〜(21)を第1ガス流路(12)、低圧ポート(27)、
第2ガス流路(13)及び連通路(14)を介して低圧ガス出口
(3) に連通させて、各空間(19a) 〜(21)に充填されてい
るヘリウムガスを低圧ガス配管に排出することにより、
スラックピストン(16)及びディスプレーサ(18)を下降さ
せるように構成されている。
【0033】また、各シリンダ部(5a,5b) の下端外周部
には各膨張空間(20,21) において発生した冷熱を効率良
く図示しない被冷却物への伝熱が行えるように、熱伝導
率が高い銅製のヒートステーション(30)が取付けられて
いる。
【0034】更に、上記ディスプレーサ(18)の第1ボデ
ィ(18a) 内の空間には第1段蓄冷器(28)が、また第2ボ
ディ(18b) 内の空間には第2段蓄冷器(29)が夫々収容さ
れている。この各蓄冷器(28,29) は、第1ボディ(18a)
及び第2ボディ(18b) の空間内に例えば略真球状の銅等
の粒子で成る蓄冷材(31,32) がマトリックス状に充填さ
れて成っており、これら粒子間の空間がガス通路とさ
れ、このガス通路を流れるヘリウムガスの冷熱を各蓄冷
材(31,32) に蓄えるようにしている。また、このような
粒子状の蓄冷材(31,32) の他に銅等の金属製メッシュを
積層したものとしてもよい。この場合には、これら蓄冷
材(31,32) のメッシュの網目がガス通路とされる。
【0035】そして、ディスプレーサ(18)がシリンダ
(5) 内を上昇する吸気過程にあるときには、前の排気過
程で極低温レベルに温度降下した各蓄冷器(28,29) 内部
にスラックピストン(16)の内部空間(19a) から第1又は
第2段膨張空間(20,21) に向かう常温のヘリウムガスが
流入して、両者の熱交換によりそのガスを極低温レベル
近くまで冷却する。一方、ディスプレーサ(18)が下降す
る排気過程にあるときには、各膨張空間(20,21) での膨
張により極低温レベルに温度降下したヘリウムガスがシ
リンダ(5) 外に排出する途中で各蓄冷器(28,29) 内部に
流入して、両者の熱交換によりその蓄冷器(28,29) を極
低温レベル近くまで再度冷却するような構成となってい
る。
【0036】そして、本形態の特徴とする構成として、
第1シリンダ部(5a)の内部と第2シリンダ部(5b)の内部
とを連通するバイパス管(41)が設けられていることにあ
る。このバイパス管(41)は一端が第1シリンダ部(5a)内
の第1膨張空間(20)に、また他端が第2シリンダ部(5b)
内の第2膨張空間(21)に夫々接続されており、この両膨
張空間(20,21) が互いに連通されるようにしている。ま
た、このバイパス管(41)には、第2膨張空間(21)から第
1膨張空間(20)へのヘリウムガスの流通のみを許容する
逆止弁(41a) 及び流量調整弁(41b) が設けられている。
このため、ディスプレーサ(18)が下降する排気過程時に
のみバイパス管(41)により第2膨張空間(21)から第1膨
張空間(20)にヘリウムガスが流れるようになっている。
また、このヘリウムガスの流量は上記流量調整弁(41b)
によって調整される。このようにしてバイパス手段(40)
が構成されている。
【0037】次に、上述の如く構成された膨張機(1) の
動作について説明する。冷凍機の作動は基本的に通常の
ものと同様に行われる。すなわち、先ず、膨張機(1) に
おけるシリンダ(5) 内の圧力が低圧であって、スラック
ピストン(16)とディスプレーサ(18)とが下降端位置にあ
る状態において、バルブモータ(23)の駆動によるロータ
リバルブ(24)の回転により、その高圧ポート(26)がバル
ブステム(10)上面の第1ガス流路(12)に合致してロータ
リバルブ(24)が高圧側に開く。これに伴い、圧縮機から
高圧ガス配管及び膨張機(1) のモータ室(6) を介してバ
ルブ室(11)に供給されている常温の高圧ヘリウムガスが
ロータリバルブ(24)の高圧ポート(26)及び第1ガス流路
(12)を介してスラックピストン(16)下側の中間空間(19
b) に導入される。また、スラックピストン(16)の内部
空間(19a) のガスはディスプレーサ(18)内の各蓄冷器(2
8,29) を通って順次各膨張空間(20,21) に充填され、こ
の蓄冷器(28,29) 内部の蓄冷材(31,32) の周囲を通る
際、前の排気過程で蓄冷材(31,32) が冷却されているこ
とにより、この蓄冷材(31,32) との間での熱交換によっ
て極低温レベル近くまで冷却される。また、上記ピスト
ン(16)上側の駆動空間(15)と下側の中間空間(19b) との
圧力差によってピストン(16)が上昇する。そして、この
ピストン(16)の上昇ストロークが所定値に達すると、該
ピストン(16)の底壁(16a) とディスプレーサ(18)上端の
スラックカップリング(22)とが係合して、ディスプレー
サ(18)は圧力変化に対し遅れをもってスラックピストン
(16)により引き上げられ、このディスプレーサ(18)の上
昇移動によりその下方の膨張空間(20,21) にさらに高圧
ガスが充填される(吸気過程)。
【0038】この後、上記ロータリバルブ(24)が閉じる
と、その後もディスプレーサ(18)は慣性力によって上昇
し、これに伴い、スラックピストン(16)の内部空間(19
a) 内のヘリウムガスが第1及び第2段膨張空間(20,21)
に移動する。
【0039】そして、ディスプレーサ(18)が上昇端位置
に達した後、ロータリバルブ(24)の低圧ポート(27)が上
記バルブステム(10)上面の第1ガス流路(12)に合致して
バルブ(24)が低圧側に開き、この開弁に伴い、上記ディ
スプレーサ(18)下方の各膨張空間(20,21) 内のヘリウム
ガスがサイモン膨張し、このヘリウムガスの膨張によっ
て寒冷が発生する(膨張過程)。
【0040】この極低温状態となったヘリウムガスは、
上記ガス導入時とは逆に、各蓄冷器(28,29) 内の蓄冷材
(31,32) 周囲を通って上記内部空間(19a) に戻り、その
間に各蓄冷材(31,32) を極低温レベルまで冷却しながら
自身が常温まで暖められる。そして、この常温のヘリウ
ムガスは、さらに内部空間(19a) 内のガスと共に第1ガ
ス流路(12)、バルブ(24)の低圧ポート(27)、連通路(14)
を介して低圧側アダプタ(3) より膨張機(1) 外に排出さ
れ、低圧ガス配管を通って圧縮機に流れて該圧縮機に吸
入される。このガス排出に伴い上記中間空間(19b) 内の
ガス圧が低下して、その駆動空間(15)との圧力差により
スラックピストン(16)が下降し、このピストン(16)の底
壁(16a) がディスプレーサ(18)の上面に当接した後は該
ディスプレーサ(18)が押圧されて下降し、このディスプ
レーサ(18)の下降移動により膨張空間(20,21) 内のガス
が膨張機(1) 外にさらに排出される(排気過程)。
【0041】次いで、ロータリバルブ(24)が閉じるが、
この後もディスプレーサ(18)は下降端位置まで下降し、
膨張空間(20,21) 内のガスが排出されて最初の状態に戻
る。以上により膨張機(1) の動作の1サイクルが終了
し、以後は上記と同様な動作が繰り返される。
【0042】そして、本形態の特徴とする動作は上記排
気過程にある。この排気過程において、ディスプレーサ
(18)の下降に伴い第2膨張空間(21)のヘリウムガスは、
大部分が、上述したように、第2段蓄冷器(29)内を通り
蓄冷材(32)との間で熱交換を行いながら第1シリンダ(5
a)の内部に向って流れるが、他の一部のヘリウムガス
は、バイパス管(41)に導入され、該バイパス管(41)の流
量調整弁(41b) 及び逆止弁(41a) を経て第1シリンダ(5
a)の第1膨張空間(20)に導入される。つまり、この一部
のヘリウムガスは、第2段蓄冷器(29)をバイパスし、極
低温状態のまま第1膨張空間(20)に導入される。このた
め、このヘリウムガスのバイパス量だけ排気過程時にお
ける該ヘリウムガスと第2段蓄冷器(29)との熱交換量は
少なくなる。
【0043】このような排気過程であるために、この排
気過程時に第2段蓄冷器(29)が冷却され過ぎるといった
状況が回避され、これによって、第2段蓄冷器(29)内の
ヘリウムガスの比体積が小さくなり過ぎることがないの
で、次過程としての吸気過程時にヘリウムガスの必要流
量を減少させることができる。つまり、従来の構成で
は、排気過程時に第2段蓄冷器(29)が冷却され過ぎて第
2段蓄冷器(29)内のヘリウムガスの比体積が小さくなり
過ぎてしまい、これに伴って第2段蓄冷器(29)内のガス
質量が大幅に増大し、吸気過程時におけるヘリウムガス
の必要流量の増大に伴い圧縮機の容量を増大せねばなら
ず冷凍機の消費電力の増大を招くことになっていた。と
ころが、本形態では、このような状況の発生が回避で
き、ヘリウムガスの必要流量の減少により冷凍機の消費
電力の削減を図ることができる。
【0044】また、このように、排気過程時に第2段蓄
冷器(29)が冷却され過ぎるといった状況が回避されてい
るので、吸気過程時に、ヘリウムガスが第2段蓄冷器(2
9)を流れる途中で冷却限界温度に達してしまうといった
ことも抑制される。図2は、本形態の各過程における第
2段蓄冷器(29)の往復動方向の位置とその各位置におけ
る温度との関係を示している。この図からも解るよう
に、吸気過程では、第2段蓄冷器(29)の全体に亘って温
度勾配がついており、該第2段蓄冷器(29)の全体に亘っ
て蓄冷材(32)とヘリウムガスとの間で熱交換が行われて
いる。このように、本形態の構成によれば、第2段蓄冷
器(29)のピンチ状態の発生が回避でき、蓄冷器(29)全体
の有効利用を図ることで冷凍機の冷凍能力が向上でき
る。
【0045】更に、第2膨張空間(21)のヘリウムガスの
一部を極低温状態のまま第1膨張空間(20)に導入してい
るので、この第1膨張空間(20)を冷却して低温にするこ
とができ、第1シリンダ部(5a)での冷凍能力の向上も図
ることができ、これによって冷凍機全体としての冷凍能
力が向上する。
【0046】尚、本形態の変形例として、バイパス管(4
1)に設けられた逆止弁(41a) に代えて電磁弁を設け、該
電磁弁を吸気過程時に閉鎖し、排気過程時に開放するよ
うにしても同様の効果を得ることができる。
【0047】また、他の変形例として、バイパス管(41)
をキャピラリチューブで形成するようにすれば、流量調
整弁等を使用することなしにヘリウムガスのバイパス量
を必要以上に大きくすることなしに所定量だけバイパス
して流すことができ、簡単な構成で上記と同様の効果を
得ることができる。
【0048】(第2実施形態)次に、本発明の第2実施
形態について説明する。本形態は、バイパス手段(40)
を、上述したバイパス管(41)に代えてディスプレーサ(1
8)の第2ボディ(18b) と第2シリンダ部(5b)との間のシ
ール構造により構成したものであって、その他の構成
は、上述した第1実施形態のものと同様であるので、こ
こでは、このシール構造についてのみ説明する。
【0049】図3に示すように、ディスプレーサ(18)の
第2ボディ(18b) の外周面(18f) と、第2シリンダ部(5
b)の内周面(5e)との間には、ディスプレーサ(18)の往復
移動を円滑に行うために僅かな間隙(S) が形成されてい
る。そして、第2ボディ(18b) の外周面(18f) の一部に
は周方向に亘って凹陥されたシール溝(42)が形成されて
おり、このシール溝(42)にはリング状のシール手段とし
てのシール部材(43)が嵌め込まれている。このシール部
材(43)は、その高さ寸法がシール溝(42)の高さ寸法より
も僅かに小さく設定されていると共に、内径寸法がシー
ル溝(42)の凹陥された底部である外周面の径寸法よりも
僅かに大きく設定されている。そして、このシール部材
(43)の上面(43a) とシール溝(42)の高温側内面としての
上面(42a) との間及びシール部材(43)の内周面(43b) と
シール溝(42)の外周面(42b) との間には夫々第1及び第
2のC型スプリング(44,45) が縮装されている。これに
よって、シール部材(43)は、その下面(43c) がシール溝
(42)の低温側内面としての下面(42c) に、外周面(43d)
が第2シリンダ部(5b)の内周面(5e)に夫々押圧されてい
る。つまり、第1C型スプリング(44)は上下方向に捻ら
れたものでシール部材(43)を下方に押圧し、第2C型ス
プリング(45)はシール部材(43)を外周側に押圧してい
る。
【0050】次に、このような構成による膨張機(1) の
駆動時のヘリウムガスのバイパス動作について説明す
る。先ず、吸気過程では、シール部材(43)よりも下側
(低温側)が低圧に、上側(高温側)が高圧になってい
る。このため、図3に示すように、この圧力差及び第1
C型スプリング(44)の付勢力により、シール部材(43)
は、その下面(43c) がシール溝(42)の下面(42c) に当接
した状態で押圧される。また、第2C型スプリング(45)
の付勢力により、シール部材(43)の外周面(43d) は、第
2シリンダ部(5b)の内周面(5e)に当接した状態で押圧さ
れる。従って、上記間隙(S) におけるシール部材(43)の
下側と上側とはシール部材(43)によって気密状態に仕切
られ、この両者間でのヘリウムガスの流通はない。
【0051】一方、排気過程では、シール部材(43)より
も下側が高圧に、上側が低圧になっている。このため、
この圧力差により、図4に示すように、シール部材(43)
は、第1C型スプリング(44)の付勢力に抗して上側に移
動し、その下面(43c) がシール溝(42)の下面(42c) から
離れることになる。従って、上記間隙(S) におけるシー
ル部材(43)の下側と上側とは、このシール部材(43)の下
面(43c) とシール溝(42)の下面(42c) との間に形成され
た漏れ通路(S1)及び各C型スプリング(44,45)の図示し
ない切欠き部分を介して互いに連通される。このため、
第2膨張空間(21)のヘリウムガスの一部は、この漏れ通
路(S1)等を経て第1膨張空間(20)に導入されることにな
る。つまり、第2膨張空間(21)のヘリウムガスの一部は
第2段蓄冷器(29)をバイパスして高温側に導入される。
【0052】このように、本例の構成にあってもヘリウ
ムガスのバイパス量だけ排気過程時における該ヘリウム
ガスと第2段蓄冷器(29)との熱交換量を少なくすること
ができ、この排気過程時に第2段蓄冷器(29)が冷却され
過ぎるといった状況が回避されて、上述した第1実施形
態と同様の効果を発揮することができる。
【0053】(第3実施形態)次に、本発明の第3実施
形態について説明する。本形態も、バイパス手段(40)
を、ディスプレーサ(18)の第2ボディ(18b) と第2シリ
ンダ部(5b)との間のシール構造により構成したものであ
って、その他の構成は、上述した第1実施形態のものと
同様であるので、ここでも、このシール構造についての
み説明する。
【0054】図5に示すように、本形態に係るシール部
材(43)は、上述した第2実施形態と同様の第2C型スプ
リング(45)の付勢力によって、その外周面(43d) が第2
シリンダ部(5b)の内周面(5e)に当接した状態で押圧され
ている。
【0055】そして、本形態におけるシール溝(42)の上
面(42a) の一部には半径方向に延びる連通溝としてのバ
イパス溝(46)が形成されている。このバイパス溝(46)は
ディスプレーサ(18)の半径方向の内側端の位置が、シー
ル部材(43)の内側端よりも内周側に設定されており、図
6に示すようにシール部材(43)の上面(43a) がシール溝
(42)の上面(42a) に当接した状態であってもバイパス溝
(46)の内側端がシール部材(43)の内側の空間に連通する
ようになっている。
【0056】次に、このような構成による膨張機(1) の
駆動時のヘリウムガスのバイパス動作について説明す
る。先ず、吸気過程では、シール部材(43)よりも下側が
低圧に、上側が高圧になっているため、上述した第2実
施形態の場合と同様に、図5の如くこの圧力差により、
シール部材(43)は、その下面(43c) がシール溝(42)の下
面(42c) に当接した状態で押圧され、上記間隙(S) にお
けるシール部材(43)の下側と上側とはシール部材(43)に
よって気密状態で仕切られる。このため、この両者間で
のヘリウムガスの流通はない。
【0057】一方、排気過程では、シール部材(43)より
も下側が高圧に、上側が低圧になっているので、この圧
力差により、シール部材(43)は、その下面(43c) がシー
ル溝(42)の下面(42c) から離れ、上面(43a) がシール溝
(42)の上面(42a) に当接した状態で押圧される。そし
て、この状態となっても、バイパス溝(46)はシール部材
(43)の内側の空間に連通しているので、シール部材(43)
の下側と上側とは、このシール部材(43)の下面(43c) と
シール溝(42)の下面(42c) との間に形成された漏れ通路
(S1)、C型スプリング(45)の切欠き部分及びバイパス溝
(46)を介して互いに連通される。このため、上述した第
2実施形態の場合と同様に、第2膨張空間(21)のヘリウ
ムガスの一部は、この漏れ通路(S1)及びバイパス溝(46)
等を経て第1膨張空間(20)に導入され、第2膨張空間(2
1)のヘリウムガスの一部は第2段蓄冷器(29)をバイパス
して高温側に導入される。
【0058】このように、本例の構成にあってもヘリウ
ムガスのバイパス量だけ排気過程時における該ヘリウム
ガスと第2段蓄冷器(29)との熱交換量を少なくすること
ができ、この排気過程時に第2段蓄冷器(29)が冷却され
過ぎるといった状況が回避されて、上述した第1実施形
態と同様の効果を発揮することができる。
【0059】尚、本形態の変形例として、バイパス溝(4
6)をシール溝(42)の上面(42a) に形成するのに代えて、
図7(図7(b) は7(a) のB-B 線断面図)に示すよう
に、シール部材(43)の上面(43a) において半径方向に延
びるように形成するようにしても同様の効果を得ること
ができる。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
以下に述べるような効果が発揮される。請求項1記載の
発明によれば、排気過程時、膨張空間の冷媒ガスの一部
を、該膨張空間より高温側にバイパスさせるバイパス手
段を設け、排気過程時に、冷媒ガスから蓄冷器に与えら
れる冷熱量を少なくするようにしたために、排気過程時
に蓄冷器が冷却され過ぎるといった状況が回避され、こ
れによって、蓄冷器内の冷媒ガスの比体積が小さくなり
過ぎることがないので、次過程としての吸気過程時に冷
媒ガスの必要流量を減少させることができる。つまり、
従来の構成では、排気過程時に蓄冷器が冷却され過ぎて
蓄冷器内の冷媒ガスの比体積が小さくなり過ぎてしま
い、これに伴って蓄冷器内に流入する冷媒ガスの質量が
大幅に増大し、吸気過程時における冷媒ガスの必要流量
の増大に伴い圧縮機の容量を増大せねばならず冷凍機の
消費電力の増大を招くことになっていたが、本発明によ
れば、このような状況の発生が回避でき、冷媒ガスの必
要流量の減少により冷凍機の消費電力の削減を図ること
ができ、冷凍機の運転効率が向上できる。
【0061】また、このように、排気過程時に蓄冷器が
冷却され過ぎるといった状況が回避されているので、吸
気過程時に、冷媒ガスが蓄冷器を流れる途中で冷却限界
温度に達してしまうといったことも抑制されるので、こ
の吸気過程では、蓄冷器の全体に亘って蓄冷器と冷媒ガ
スとの間で熱交換を行わせることができる。このよう
に、本発明によれば、蓄冷器のピンチ状態の発生が回避
でき、蓄冷器全体の有効利用を図ることで冷凍機の冷凍
能力が向上できる。
【0062】請求項2記載の発明によれば、複数段の膨
張空間を備えた冷凍機に対し、バイパス手段により、最
も低温側の膨張空間の冷媒ガスの一部を、該膨張空間よ
りも高温側の膨張空間にバイパスするようにしたため
に、このバイパスした冷媒ガスにより高温側の膨張空間
を低温にすることができ、高温側のシリンダ部での冷凍
能力の向上を図ることができる。これにより、冷凍機全
体としての冷凍能力の向上を図ることができる。
【0063】請求項3記載の発明によれば、最も低温側
のシリンダ部材の膨張空間と、それよりも高温側のシリ
ンダ部材の膨張空間との間にバイパス管を架設したこと
で、バイパス手段の構成を具体的に得ることができ、排
気過程時に一部の冷媒ガスをバイパスすることにより冷
凍能力及び運転効率の向上を図ることができる冷凍機の
実用性を確保できる。
【0064】請求項4記載の発明によれば、最も低温側
のシリンダ部材の内周面とディスプレーサ部材の外周面
との間隙を排気過程時に開放することで冷媒ガスをバイ
パスするようにしたために、従来から既存の間隙を有効
に利用してバイパス手段を実現でき、比較的簡単な構成
でもって冷凍機の冷凍能力及び運転効率の向上を図るこ
とができる。
【0065】請求項5記載の発明によれば、吸気過程
時、シリンダ部材の低温側と高温側との差圧により、シ
ール部材をシール溝の低温側内面に押圧してシリンダ部
材とディスプレーサ部材の間隙を閉塞する一方、排気過
程時、シリンダ部材の低温側と高温側との差圧により、
シール部材をシール溝の低温側内面から離して上記間隙
を開放するようにしたために、吸気過程と排気過程との
圧力変動を有効に利用して、排気過程時にのみ冷媒ガス
をバイパスする構成を得ることができ、冷媒ガスのバイ
パス動作の信頼性を確保することができる。
【0066】請求項6記載の発明によれば、シール部材
を、該シール部材とシール溝の高温側内面との間に縮装
されたC型スプリングによりシール溝の低温側内面に押
圧したために、吸気過程時に、C型スプリングの付勢力
によってもシール部材がシール溝の低温側内面に押圧さ
れて間隙のシール性が良好に確保される。一方、排気過
程時には、冷媒ガスが、シール部材とシール溝との間及
びC型スプリングの切欠き部分を経て高温側へバイパス
されることになるので、このC型スプリングに上記間隙
のシール性を十分に確保する機能と冷媒のバイパス通路
を構成する機能とを兼ね備えさせることができ、極めて
簡単な構成で冷媒ガスのバイパス動作の信頼性を確保す
ることができる。
【0067】請求項7記載の発明では、シール溝の高温
側内面にシール部材の低温側と高温側とを連通する連通
溝を形成し、また、請求項8記載の発明では、シール部
材におけるシール溝の高温側内面との対向面にシール部
材の低温側と高温側とを連通する連通溝を形成したこと
で、バイパス手段の構成を具体的に得ることができ、排
気過程時に一部の冷媒ガスをバイパスすることにより冷
凍能力及び運転効率の向上を図ることができる冷凍機の
実用性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る冷凍機における膨張機の断
面図である。
【図2】各過程における第2段蓄冷器の位置とその温度
との関係を示す図である。
【図3】第2実施形態における吸気過程でのシール部材
の状態を示す断面図である。
【図4】第2実施形態における排気過程でのシール部材
の状態を示す断面図である。
【図5】第3実施形態における図3相当図である。
【図6】第3実施形態における図4相当図である。
【図7】第3実施形態の変形例におけるシール部材を示
す図である。
【図8】従来例における図2相当図である。
【符号の説明】
(5a) 第1シリンダ部(シリンダ部材) (5b) 第2シリンダ部(シリンダ部材) (5e) 内周面 (18a) 第1ボディ(ディスプレーサ部材) (18b) 第2ボディ(ディスプレーサ部材) (18f) 外周面 (20) 第1段膨張空間 (21) 第2段膨張空間 (29) 第2段蓄冷器 (40) バイパス手段 (41) バイパス管 (42) シール溝 (42a) 上面(高温側内面) (42c) 下面(低温側内面) (43) シール部材 (43a) 上面(対向面) (44) 第1C型スプリング (46) バイパス溝(連通溝) (S) 間隙

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダ部材(5b)と、 該シリンダ部材(5b)の内部を低温側と高温側とに区画す
    るようにシリンダ部材(5b)内に往復動可能に嵌装された
    ディスプレーサ部材(18b) と、 該ディスプレーサ部材(18b) の内部に収容され、シリン
    ダ部材(5b)の低温側と高温側との間を流通する冷媒ガス
    との間で熱交換可能とされた蓄冷器(29)とを備え、 上記シリンダ部材(5b)内に高圧冷媒ガスを導入してシリ
    ンダ部材(5b)の高温側から低温側に向って流れる冷媒ガ
    スと蓄冷器(29)との間で熱交換を行う吸気過程と、該冷
    媒ガスを膨張させて低温側の膨張空間(21)に冷熱を発生
    させた後、シリンダ部材(5b)の低温側から高温側に向っ
    て流れる冷媒ガスと蓄冷器(29)との間で熱交換を行う排
    気過程とを行う極低温冷凍機において、 上記排気過程時、膨張空間(21)の冷媒ガスの一部を、該
    膨張空間(21)より高温側にバイパスさせるバイパス手段
    (40)が設けられていることを特徴とする極低温冷凍機。
  2. 【請求項2】 複数のシリンダ部材(5a,5b) が軸方向に
    連続形成され、各シリンダ部材(5a,5b) には夫々の低温
    側に膨張空間(20,21) を形成するディスプレーサ部材(1
    8a,18b) が往復動可能に嵌装されており、 バイパス手段(40)は、最も低温側の膨張空間(21)の冷媒
    ガスの一部を、該膨張空間(21)よりも高温側の膨張空間
    (20)にバイパスすることを特徴とする請求項1記載の極
    低温冷凍機。
  3. 【請求項3】 バイパス手段(40)は、最も低温側のシリ
    ンダ部材(5b)の膨張空間(21)と、それよりも高温側のシ
    リンダ部材(5a)の膨張空間(20)との間に架設されたバイ
    パス管(41)を備えていることを特徴とする請求項2記載
    の極低温冷凍機。
  4. 【請求項4】 バイパス手段(40)は、最も低温側のシリ
    ンダ部材(5b)の内周面(5e)とディスプレーサ部材(18b)
    の外周面(18f) との間隙(S) を、吸気過程時に閉塞する
    一方、排気過程時に開放するシール手段(43)であること
    を特徴とする請求項2記載の極低温冷凍機。
  5. 【請求項5】 シール手段は、ディスプレーサ部材(18
    b) の外周面に周方向に形成されたシール溝(42)に装着
    されたシール部材(43)で成っており、 吸気過程時、シリンダ部材(5b)の低温側と高温側との差
    圧により、シール部材(43)がシール溝(42)の低温側内面
    (42c) に押圧されてシリンダ部材(5b)とディスプレーサ
    部材(18b) の間隙(S) を閉塞する一方、 排気過程時、シリンダ部材(5b)の低温側と高温側との差
    圧により、シール部材(43)がシール溝(42)の低温側内面
    (42c) から離されて上記間隙(S) を開放することを特徴
    とする請求項4記載の極低温冷凍機。
  6. 【請求項6】 シール部材(43)は、該シール部材(43)と
    シール溝(42)の高温側内面(42a) との間に縮装されたC
    型スプリング(44)によりシール溝(42)の低温側内面(42
    c) に押圧されていることを特徴とする請求項5記載の
    極低温冷凍機。
  7. 【請求項7】 シール溝(42)の高温側内面(42a) には、
    シール部材(43)がシール溝(42)の低温側内面(42c) から
    離されて高温側内面(42a) に当接した際、シール部材(4
    3)の低温側と高温側とを連通する連通溝(46)が形成され
    ていることを特徴とする請求項5記載の極低温冷凍機。
  8. 【請求項8】 シール部材(43)におけるシール溝(42)の
    高温側内面(42a) との対向面(43a) には、シール部材(4
    3)がシール溝(42)の低温側内面(42c) から離されて高温
    側内面(42a) に当接した際、シール部材(43)の低温側と
    高温側とを連通する連通溝(46)が形成されていることを
    特徴とする請求項5記載の極低温冷凍機。
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