JPH09192461A - 複合半透膜の製造方法及びその装置 - Google Patents

複合半透膜の製造方法及びその装置

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JPH09192461A
JPH09192461A JP495096A JP495096A JPH09192461A JP H09192461 A JPH09192461 A JP H09192461A JP 495096 A JP495096 A JP 495096A JP 495096 A JP495096 A JP 495096A JP H09192461 A JPH09192461 A JP H09192461A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 超薄膜を有する複合半透膜の製膜において、
多孔性支持膜の表面に水溶性多官能試薬の水溶液を塗布
し、水と非混和性の有機溶媒に溶解した該水溶性多官能
試薬と反応する多官能試薬の溶液を塗布した後、2段以
上のエアナイフを用いて、該複合半透膜から該有機溶媒
を除去することを特徴とする複合半透膜の製造方法。 【効果】 オゾン層を破壊することなく、安価で取り扱
いが容易な溶媒を用いて効果的な高分離性能の複合半透
膜の製造方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液状混合物の成分を選
択透過分離するための高性能な半透性複合膜の製造方法
およびその装置に関するものである。本発明によって得
られる半透性複合膜は特にカン水の脱塩、海水の淡水
化、また半導体の製造に利用される超純水の製造に用い
ることができる。さらには、染色排水、電着塗料排水な
どから、その中に含まれる汚染物質あるいは有用物質を
選択的に除去あるいは回収し、ひいては排水のクローズ
ド化に寄与することができる。
【0002】さらに詳しくは、超純水の製造、カン水や
海水の脱塩、有害物質の除去、有用物の回収、排水の処
理などに好適な架橋ポリアミド系複合膜の製造方法およ
びその装置に関する。
【0003】
【従来の技術】混合物の分離に関して、溶媒(例えば
水)に溶解した物質(例えば塩類)を除くための技術に
は様々なものがあるが、近年、省エネルギーおよび省資
源のためのプロセスとして膜分離法が利用されてきてい
る。膜分離法のなかには、精密濾過(MF;Micro
filtration)法、限外濾過(UF;Ultr
afiltration)法、逆浸透(RO;Reve
rse Osmosis)法がある。さらに近年になっ
て逆浸透と限外濾過の中間に位置する膜分離(ルースR
OあるいはNF;Nanofiltration)とい
う概念の膜分離法も現われ使用されるようになってき
た。例えば逆浸透法は海水または低濃度の塩水(カン
水)を脱塩して工業用、農業用または家庭用の水を提供
することに利用されている。逆浸透法によれば、塩分を
含んだ水を浸透圧以上の圧力をもって逆浸透膜を透過さ
せることで、脱塩された水を製造することができる。こ
の技術は例えば海水、カン水、有害物を含んだ水から飲
料水を得ることも可能であるし、また、工業用超純水の
製造、排水処理、有価物の回収などにも用いられてき
た。
【0004】従来、工業的に利用されている半透膜には
非対称膜型の酢酸セルロース膜があった(例えば、米国
特許第3,133,132号明細書、同第3,133,
137号明細書)。これは当初ロブ(Loeb)および
スリラジャン(Sourirajan)によって開発さ
れた膜である(”Sea Water Deminer
alization by means of an
Osmotic Membrane”, in Adv
ances in Chemistry Series
#38, American Chem. So
c., Washington D.C. (196
3))。この膜は当時としては優れた基本性能と製造が
簡便であるという長所を有していたが、より高い純度の
水をより多く、より低い圧力で得るためには、塩排除
率、造水量の面で充分ではなかった。しかも、膜面で微
生物が発生しやすく、微生物による膜の劣化が生じた
り、加水分解による膜の劣化が起きやすいなどの欠点を
有していた。このため、酢酸セルロース非対称膜は一部
の用途には使用されているが広範囲の用途に実用化され
るには至っていない。
【0005】この酢酸セルロース膜の欠点を補うために
合成高分子の新しい非対称型の逆浸透膜、例えば線状芳
香族ポリアミドの逆浸透膜も提案された(例えば米国特
許第3,567,632号明細書)。これら合成高分子
の非対称膜は、耐微生物性のなどの点では改善がなされ
たが、その逆浸透性能においては酢酸セルロースと同様
の問題があり、基本性能の飛躍的な改善が期待されてい
た。
【0006】これらの欠点を補うべく非対称型膜とは形
態を異にする半透膜として微多孔性支持膜上に異なる素
材で実質的に膜分離性能を司る超薄膜(活性層)を被覆
した半透性複合膜が考案された。半透性複合膜では、活
性層と微多孔性支持膜の各々に最適な素材を選択する事
が可能であり、製膜技術も種々の方法を選択できる。
【0007】現在市販されている半透性複合膜の大部分
は微多孔性支持膜上にゲル層とポリマーを架橋した活性
層を有するものと、微多孔性支持膜上でモノマーを界面
重縮合した活性層を有するものの2種類である。前者の
具体適例としては、特開昭49−13282号公報、特
公昭55−38164号公報、PBレポート80−18
2090、特公昭59−27202号公報、同61−2
7102号公報などがある。後者の具体例としては米国
特許第3,744,942号明細書、同第3,926,
798号明細書、同第4,277,344号明細書、特
開昭55−147106号公報、同58−24303号
公報、同62−121603号公報などがある。
【0008】これらの半透性複合膜では酢酸セルロース
非対称膜よりも高い脱塩性能が得られている。さらにこ
れらの膜は殺菌に用いられる塩素、過酸化水素に対する
耐久性も向上されつつあり用途が広がってきている段階
にある。
【0009】しかし、これらの半透性複合膜においても
その製造工程に重大な欠陥が存在した。すなわち、ポリ
マーの架橋剤の溶媒あるいは界面重縮合に使用する溶媒
として一般的に用いられているのはヘキサンまたはCF
C−113(トリクロロトリフロロエタン)の様な溶媒
である。ヘキサンは引火点および沸点が低く、その溶液
の取り扱い、保存に防爆などの十分な安全上の対策を取
らなければならず、工業的規模の製造プロセスとしては
経済性、安全性という観点から著しく不利である。一
方、CFC−113などのフロン(CFC、クロロフル
オロカーボン)系溶媒は安全性が高く、毒性もなく良好
な性能の膜を製造しやすいため最も多用されてきたと考
えられるが、最近、大気中に放出された特定のフロンは
オゾン層を破壊する地球的規模の環境破壊の原因物質と
してその使用が問題視されてきた。このため、UNEP
(国連環境計画)の呼びかけでオゾン層保護に関するウ
ィーン条約(1985年)、モントリオール議定書(1
987年)、ヘルシンキ宣言(1989年)が採択され
全世界的に使用・生産が規制され主要国では1995〜
2000年に特定フロンを全廃する政策を打ちだしてい
る。
【0010】このような状況下で、複合膜製造に関して
も特定フロンを使用しないプロセス及び装置を開発する
ことが急務となった。従来、複合膜の製造において、例
えば特公昭63−36803号公報および米国特許第
4,277,344号明細書にはポリスルホンの多孔質
支持膜の表面で、m−フェニレンジアミンまたはp−フ
ェニレンジアミンをトリメシン酸クロライドまたはトリ
メシン酸クロライドとイソフタル酸クロライドの混合物
と反応して架橋芳香族ポリアミド膜を得る方法が開示さ
れているが、上記酸クロライドの溶液にはCFC−11
3またはn−ヘキサンが用いられている。また、特表昭
56−500062号公報および米国特許第4,25
9,183号明細書、特開平1−130707号公報に
はアミン組成にピペラジンを用いて同様の反応を行なう
製造法が開示されているが、これも反応溶媒としてはC
FC−113またはn−ヘキサンを用いているため問題
である。
【0011】これら複合膜の製造に用いる溶媒にはオゾ
ン層破壊能がない、あるいは小さいことと同時に取り扱
い時の安全性についても考慮する必要がある。特開昭6
2−49909号公報にはポリスルホン多孔性支持膜表
面で、ポリビニルアルコールとピペラジンなどのアミノ
化合物をトリメシン酸クロライドと反応させて架橋、重
合する方法が開示されている。ここでは上述の技術と同
じくトリメシン酸クロライドの溶媒としてn−ヘキサ
ン、シクロヘキサンなどに代表される低沸点の炭化水素
系溶媒が用いられているが、これらの溶媒にはオゾン層
破壊能はないものの、多くは0℃以下の引火点をもって
おり、極めて引火しやすい取り扱い上非常に危険な溶媒
といえる。このことは前述の様に工業的な規模での生産
では特に問題となる。また、低沸点であるため溶媒の回
収が困難であり、回収されない溶媒の蒸気がそのまま大
気中に放出されるため、環境面でも問題のある溶媒とい
える。
【0012】多孔性支持膜上でのポリマーの架橋反応あ
るいは界面重縮合反応によって複合膜を製造するプロセ
スには架橋剤あるいは多官能酸ハライドをこれと反応す
るモノマーあるいはポリマーと接触させた後、溶媒を除
去する必要がある。従来は蒸発によって溶媒の除去を行
なっていた。特に従来の複合膜製造技術では低沸点のフ
ロン系溶媒を用いていたため溶媒は自然に蒸発し、特別
な除去方法は取る必要がなかった。特定フロンの代替溶
媒の探索検討においても従来の製膜プロセスを変えない
ことを考えて、複合膜の製造工程での溶媒の除去方法は
蒸発が前提となっており、その方法については特に検討
がなされていなかったのが現状である。自然の蒸発によ
る溶媒除去を前提とする限り、溶媒の沸点はある程度低
くなくてはならないものと考えられていた。しかしなが
ら、一般に低沸点〜中沸点の溶媒はそれに従って引火点
も低いのが通常であり、前記の様な安全上の要請とは両
立しにくい問題があった。
【0013】特開昭59−179103号公報、特公昭
63−36803号公報には酸クロライドの溶媒に適す
る物質としてCFC−113、n−ヘキサンなどの低沸
点溶媒の他にn−ノナン、n−デカンなどの高沸点の溶
媒も示されている。しかしながら実際にこれらの溶媒を
使用して製膜を行なってみると低沸点の溶媒では公知例
に開示された性能を得ることができるが、高沸点の溶媒
を用いると著しく低造水量の膜しか得られないという欠
点があった。
【0014】特開平5−329348号公報には、炭素
数7〜20の飽和炭化水素化合物を使用する複合半透膜
の製造方法が開示されているが、これらの化合物の沸点
は70〜400℃であるにもかかわらず、沸点の範囲が
蒸発に影響するとの記載があるのみでこれら化合物の特
別な除去方法についてはなんら開示されていない。しか
も、これらの実施例では、溶媒とする化合物の沸点が高
いほど造水量も低くなることが示されている。
【0015】また、特開平5−76740号公報には引
火点が10℃以上の炭化水素系溶媒を用いて製膜し、反
応終了後特定の温度、風速の気体を吹きつけて溶媒を除
去する方法が示されている。しかし、気体を吹きつける
方法では溶媒の除去に時間がかかる、溶媒が可燃性の液
体であるため温度などコントロールが厳しく装置が大掛
かりになる、除去した液体が蒸気となるため回収がしに
くいなどの問題があった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、オゾン層を
破壊すること無く、安価で取り扱いが容易な溶媒を用い
て、安全で、効果的でかつ溶媒の回収が容易な、高分離
性能の複合半透膜の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は下記の構成を有
する。すなわち、「多孔性支持膜の表面に水溶性多官能
試薬の水溶液を塗布し、該水溶性多官能試薬と反応する
多官能試薬を水に対し非混和性の有機溶媒に溶解した溶
液を塗布した後、2段以上のエアナイフを用いて、該有
機溶媒を除去することを特徴とする複合半透膜の製造方
法。」である。
【0018】本発明において、多孔性支持膜とは実質的
には分離性能を有さない層であり、実質的に分離性能を
有する超薄膜層(活性層)に強度を与えるために用いら
れるものである。多孔性支持膜は均一な微細な孔あるい
は片面に緻密で微細な孔を持ち、もう一方の面まで徐々
に大きな微細な孔をもつ非対称構造で、その微細孔の大
きさはその緻密な片面の表面で100nm以下であるよ
うな構造が好ましい。また、多孔性支持膜の厚みは1μ
m〜数mmであり、膜強度の面から10μm以上、扱い
やすさモジュール加工のしやすさの面で数100μm以
下が好ましい。上記の多孔性支持膜は、例えばミリポア
社製“ミリポアフィルターVSWP”(商品名)や、東
洋ろ紙社製“ウルトラフィルターUK10”(商品名)
のような各種市販材料から選択することもできるが、通
常は、“オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リ
サーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レ
ポート”No.359(1968)に記載された方法に従
って製造できる。その多孔性支持膜の素材にはポリスル
ホン、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリ塩化ビニ
ル、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンスルフィ
ド、ポリフェニレンスルフィドスルホン等のホモポリマ
ーまたはコポリマーを単独であるいはこれらのポリマー
をブレンドしたものを使用することができる。これらの
素材の中では化学的、機械的、熱的に安定性が高く、成
型が容易であることからポリスルホンが一般的に使用さ
れる。例えば、ポリスルホンのジメチルホルムアミド
(DMF)溶液を密に織ったポリエステル布あるいは不
織布の上に一定の厚さに注型し、それをドデシル硫酸ソ
ーダ0.5重量%およびDMF2重量%を含む水溶液中
で湿式凝固させることによって、表面の大部分が直径数
十nm以下の微細な孔を有した多孔性支持膜が得られ
る。
【0019】この多孔性支持膜に超薄膜を被覆して、複
合半透膜が製造される。本発明における超薄膜の被覆
は、多孔性膜表面に一分子中に2個以上の反応性基を有
する水溶性多官能試薬の水溶液を被覆した後、該多孔性
膜を上記水溶性多官能試薬と反応しうる多官能試薬の溶
液で被覆する方法によって行われる。
【0020】ここで一分子中に2個以上の反応性基を有
する水溶性多官能試薬とは、2個以上の反応性基を有す
る脂肪族、芳香族、あるいは複素環の化合物であり、実
質的に水に可溶であり多官能試薬と反応し水不溶性の架
橋ポリマを形成するものであればいずれでもよく、反応
基はアミノ基、水酸基などであり2個以上の反応性基が
同一でもまた異なっていてもよい。一般的には例えばm
−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,
3,5−トリアミノベンゼン、パラキシリレンジアミン
などの芳香族アミン類、エチレンジアミン、プロピレン
ジアミン、ジメチルエチレンジアミン、ピペラジン、ア
ミノメチルピペリジン、1,3−ビス−4−ピペリジル
プロパンなどの脂肪族アミン類、ポリエチレンジアミ
ン、ポリアリルアミン、ポリエピハロヒドリンを上記モ
ノマーアミン類で変性したポリマーなどのアミノポリマ
ー類、エチレングリコール、グリセリン、プロピレング
リコールなどの脂肪族アルコール類、ジヒドロキシベン
ゼン、トリヒドロキシベンゼンなどの芳香族アルコー
ル、ポリビニルアルコールなどのポリオール型ポリマー
などが用いられる。これらの中では反応性、得られた膜
の性能の面から多官能アミノ化合物、特にm−フェニレ
ンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,3,5−ト
リアミノベンゼンなどの芳香族アミン類、エチレンジア
ミン、ピペラジン、アミノメチルピペリジンなどの脂肪
族アミン類、ポリエピハロヒドリンを上記モノマーアミ
ン類で変性したポリマーなどのアミノポリマー類が好ま
しい。これらの一分子中に2個以上の反応性基を有する
水溶性化合物は単独であるいは混合して用いることが出
来る。これら水溶性化合物は重量濃度で0.1〜20%
の水溶液として使用する。水溶液には必要に応じて他の
水溶性化合物を混合してもかまわない。
【0021】多孔質支持膜の表面への水溶性多官能試薬
の水溶液の塗布は、コ−ティングする方法あるいは多孔
性支持膜を水溶液中に浸漬する方法がある。水溶液を多
孔性支持膜に塗布した後、余分な水溶液を除去するため
に液切り工程を設けるのが一般的であり、液切りの方法
としては、例えば膜面を垂直方向に保持して自然流下さ
せる方法、膜面に気体を吹きつける方法、スポンジなど
で拭き取る方法などがある。
【0022】また、上記水溶性多官能試薬と反応しうる
多官能試薬としては多官能の酸ハロゲン化物、多官能の
イソシアネート化合物などを用いることが出来る。例え
ば多官能酸ハライドの例としては、トリメシン酸ハライ
ド、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ハライド、トリメ
ット酸ハライド、ピロメット酸ハライド、イソフタル酸
ハライド、テレフタル酸ハライド、ナフタレンジカルボ
ン酸ハライド、ジフェニルジカルボン酸ハライド、ピリ
ジンジカルボン酸ハライド、ベンゼンジスルホン酸ハラ
イド、クロロスルホニルイソフタル酸ハライドなどの芳
香族系多官能酸ハロゲン化物、イソシアネート化合物と
してはトルエンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシ
アネート化合物が用いられる。これらの化合物の中では
反応のしやすさ、得られた膜の分離性能の面から芳香族
酸クロライド、特にイソフタル酸クロライド、テレフタ
ル酸クロライド、トリメシン酸クロライド、及びこれら
の混合物が好ましい。
【0023】多官能試薬を溶解する有機溶媒は水と非混
和性であり、かつ多官能反応性試薬を溶解し多孔性支持
膜を破壊しないことが必要であり、界面重縮合あるいは
界面反応により架橋ポリマを形成し得るものであればい
ずれであっても良い。オゾン層を破壊しない物質を考慮
すると該有機溶媒としては入手のしやすさなどを考慮す
ると炭化水素系溶媒が好ましい。また、取り扱いの容易
さ常温、常圧で比較的蒸発しにくい溶媒としては炭素数
6以上の炭化水素系化合物が好ましい。さらに、取り扱
い上の安全性を考慮すると炭素数8以上あるいは引火点
が10℃以上の炭化水素系化合物が好ましい。より好ま
しくは、炭素数8〜20あるいは引火点が10〜300
℃の炭化水素化合物である。炭素数が8以下あるいは引
火点が10℃以下になると爆発あるいは引火の危険性が
あり取り扱いが困難である。また、炭素数が20以上あ
るいは引火点が300℃以上になると粘度が高くなる、
凝固点が高く固化しやすいなどの問題で取り扱いが困難
である。具体的には直鎖状あるいは分枝状の飽和あるい
は不飽和の脂肪族が好ましく、オクタン、ノナン、デカ
ン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカ
ン、ヘプタデカン、ヘキサデカンなど、シクロオクタ
ン、エチルシクロヘキサン、1−オクテン、1−デセン
などの単体あるいはこれらの混合物が好ましく用いられ
る。
【0024】多官能試薬の濃度は特に限定されるもので
はないが、少なすぎると活性層である超薄膜の形成が不
十分となり欠点になる可能性があり、多いとコスト面か
ら不利になるため、0.01〜1.0重量%程度が好ま
しい。多官能試薬の溶液には必要に応じて該溶媒と混合
する他の化合物を混合してもかまわない。混合する物質
としては例えばジメチルホルムアミド、ジメチルスルホ
キシド、n−メチルピロリドン、ジエチルホルムアミド
などの極性化合物、界面活性剤などが挙げられる。
【0025】水溶性多官能試薬の溶液を塗布した多孔質
支持膜の表面への多官能試薬の溶液の塗布は、コ−ティ
ングする方法、塗布ロールを用いる方法あるいは該多孔
性支持膜を溶液中に浸漬する方法などがある。
【0026】水溶性多官能試薬の水溶液を塗布した多孔
性支持膜の表面に多官能試薬の溶液を塗布することによ
って、多孔性支持膜表面で架橋反応あるいは重縮合反応
が起こり、架橋した超薄膜層が形成する。一般には反応
は短時間で終了するが、場合によっては反応時間を長く
したりなど反応時間を変化させて反応率、得られる超薄
膜の膜厚、緻密性をコントロールすることができる。反
応時間は多官能試薬が接触してから官能基が失活するま
での時間であり、好ましくは1秒から10分である。反
応時間が短すぎると反応が十分に進行せず欠点の多い膜
となる。また反応時間が長すぎると、反応が進行しすぎ
て低造水量化してしまう可能性がある。得られた超薄膜
の厚みは5nmから10μmであるが、半透性複合膜の
水透過性の面から、1μm以下が好ましい、これより厚
くなると水透過性が低くなる恐れがあり好ましくない。
【0027】溶液を該多孔性支持膜に塗布した後、余分
な多官能試薬の溶液や有機溶媒を除去することが必要で
ある。通常、架橋反応や界面重縮合反応を十分に行なう
ために、過剰に多官能試薬の溶液を塗布する。従って反
応終了後あるいは反応の途中に、膜面に残っている該多
官能試薬は、欠点の原因となったり、副反応を起こして
膜の表面状態を変化させる可能性がある。また、膜面に
残った有機溶媒類は膜表面を疎水化させて膜性能を低下
させる原因となる。さらに、これら残存する試薬や有機
溶媒が膜使用時に溶出して透過水質を悪化させたり濃縮
水を汚染したりする可能性がある。従って、高い膜性能
を得るため、あるいは使用時の透過水、濃縮水への溶出
をなくすためには複合膜から該有機溶媒、該多官能試薬
を取り除く必要がある。
【0028】本発明の方法では反応終了後、過剰の該有
機溶媒、該多官能試薬を除去するに際して、2段以上の
エアーナイフを用いて、該複合半透膜から該有機溶媒、
該多官能試薬を除去することが特徴である。
【0029】上記のエアーナイフはスリット状のノズル
から空気、または不活性ガスを吹き出し、膜面の該溶液
を下方に移動するようにスリットの方向を設定する必要
がある。このスリットの方向について、その角度は、膜
の進行方向を0度とした場合、エアーナイフと膜のなす
角度が5〜90度であることが好ましく、10〜85度
がより好ましい。エアーナイフの風吹き出し方向および
膜面上での風の流れの方向を膜の進行方向に向けると、
有機溶媒を後の工程に運ぶことになり、溶媒除去という
観点から好ましくない。
【0030】また、各段の角度を上記範囲内で自由に設
定することが可能である。特に限定されるものではない
が、例えば1段目より2段目をより鋭角に、2段目より
も3段目をより鋭角に設定することができ、工程に応じ
て適宜選択することができる。
【0031】この際の多孔性支持膜乃至は複合半透膜の
水平方向に対する角度であるが、水平もしくは登り勾配
であることが好ましく、90度以上のオーバーハングの
となった状態でもかまわない。下り勾配となった状態で
は膜の進行方向に溶媒が流下して除去が困難となるため
好ましくない。
【0032】ノズルから吹き出す空気、または不活性ガ
スの速度は使用する溶媒の粘度により、好ましい値を選
択する必要があり、ノズルの出口で5〜50m/秒が好
ましい。これより低い速度では膜面の該溶液を除去する
効果が低下する。またこれより速い速度では該溶液がミ
スト状になり、溶媒の引火点以下の温度でも危険であ
る。
【0033】ノズルから吹き出す空気、または不活性ガ
スの温度は10〜50℃が好ましく更に、使用する溶媒
の引火点以下の温度が安全上好ましい。
【0034】エアーナイフの設置方法は膜面に沿って連
続して設置し、吹き出し速度は1段目より2段目の速度
を早く、さらに2段目の速度より3段目の速度を速くし
て、多段にエアーナイフを設置する方法により効果的に
膜面の該溶液を除去することが可能である。特に限定さ
れるものではないが、例えば前段より後段が0.01〜
50m/秒程度速いことが好ましく、0.5〜20m/
秒程度速いことがより好ましい。また、エアーナイフは
膜の形態が平膜の場合は両面に設置しても同様の効果が
得られ、中空糸膜の場合はリング状のスリットを持つエ
アーナイフを多段に設置すれば同様の効果が得られる。
なお、塗布面の裏面は、かかるエアーナイフによる溶媒
除去を行っても良いが、分離性能にあまり関係しないの
で、かかる除去をしなくても良いし、また、超薄膜が傷
つき恐れはないのでスポンジロール等で除去しても良
い。
【0035】反応終了後の過剰の該有機溶媒、該多官能
試薬はエアーナイフで下方へ集め、受け皿を設置して回
収する。また一部の蒸発した溶媒は吸引回収する。
【0036】エアーナイフの前に除去の第1段階として
液切り工程を設けてもよい。液切り工程を設けることに
よって除去する該溶液の全体量が減少し、エアーナイフ
で除去に要する時間を短くしたり、風速を減らすことな
どが可能となり本発明に於ける有機溶媒あるいは多官能
試薬の除去効果が増大する。液切りの方法としては、例
えば膜面を垂直方向に保持して自然流下させる方法、膜
面に気体を吹きつける方法、スポンジなどで拭き取る方
法などがある。また、エアーナイフで該溶液を除去した
後に残存する微量の有機溶媒、多官能試薬および多官能
試薬が反応した副生成物を除去するため水溶性有機物の
水溶液で抽出し、その後、抽出液の洗浄を行なうために
水洗を行なうのが好ましい。さらに、目的に応じて複合
膜の性能をコントロールするために種々の後処理を行な
ってもよい。
【0037】製膜に通常の有機溶媒を用いた場合には通
常溶媒は常温、常圧の製膜雰囲気下で蒸発する。従来の
フロン系溶媒を用いた複合膜の製膜では蒸発による除去
を行なっていた。しかし、蒸発による有機溶媒の除去
は、溶媒の回収が困難であり、特に引火性や有害性のあ
る有機溶媒の場合は安全性の面で問題があった。また、
引火性の低い溶媒を用いた場合には、一般的に引火点が
高いと沸点も高くなって蒸発しにくくなるという問題も
あった。引火点の高い溶媒を蒸発させるためには加熱を
行なえばよいが、これも引火の危険性が高くなり問題で
ある。本発明の方法は複合膜の製膜に使用する全ての有
機溶媒に使用することが出来る。
【0038】さらに、本発明の複合膜の形態は平膜で
も、中空糸でも構わない。また、得られた複合膜は平膜
は、スパイラル、チューブラー、プレート・アンド・フ
レームのモジュールに組み込んで、また中空糸は束ねた
上でモジュールに組み込んで使用することができるが、
本発明はこれらの膜の使用形態に左右されるものではな
い。
【0039】本発明の複合半透膜の製造装置とは、多孔
性支持膜の表面に水溶性多官能試薬の水溶液を塗布する
装置(1)と、水と非混和性の有機溶媒の多官能試薬の
溶液の塗布装置(2)および2段以上のエアーナイフを
用いて、該複合半透膜から該有機溶媒、該多官能試薬を
除去する部分(3)を直列に置いた複合半透膜の製造装
置である。水溶性多官能試薬の水溶液を塗布する装置
(1)は、溶液の多孔性支持膜への滴下、シャワーリン
グ、口金あるいはそれに準ずるものによるコーティン
グ、水溶液への多孔性支持膜の含浸などの装置が挙げら
れるが、本発明の装置はこれらのいずれであってもよ
い。また、水と非混和性の有機溶媒の多官能試薬の溶液
の塗布装置(2)も、該有機溶液の滴下、シャワーリン
グ、口金あるいはそれに準ずるものによるコーティン
グ、該有機溶液への含浸などの装置が挙げられるが、本
発明の装置はこれらのいずれであってもよい。さらに、
該複合半透膜から該有機溶媒、該多官能試薬を除去する
部分はエアーナイフを2段以上連続して設置するか、ま
たは膜の両面に2段以上のエアーナイフを設置した除去
装置などが挙げられるが、本発明の装置はこれらのいず
れであってもよい。
【0040】なお、本発明の製造装置に於いては、多孔
性支持膜の表面に水溶性多官能試薬の水溶液を塗布する
装置(1)と、水と非混和性の有機溶媒の多官能試薬の
溶液の塗布装置(2)および2段以上のエアーナイフを
用いて、該複合半透膜から該有機溶媒、該多官能試薬を
除去する部分(3)をこの順に直列に配置することが重
要であるが、必要に応じて先頭に多孔性支持膜の洗浄装
置、多孔性支持膜の表面に水溶性多官能試薬の水溶液を
塗布する装置(1)の後に該水溶液を液切りする装置、
水と非混和性の有機溶媒の多官能試薬の溶液の塗布装置
(2)の後に該有機溶媒を液切りする装置を設けてもか
まわない。さらに、2段以上のエアーナイフを用いて、
該複合半透膜から該有機溶媒、該多官能試薬を除去する
部分(3)の後に残存する微量の有機溶媒、多官能試薬
および多官能試薬が反応した副生成物を除去するため水
溶性有機物の水溶液で抽出し、その後、抽出液の洗浄を
行なうために水洗装置や、該複合膜の後処理のための装
置を直列に付属してもかまわない。
【0041】
【実施例】以下に実施例によって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定
されるものではない。
【0042】なお、実施例において排除(脱塩)率は次
式により求めた。
【0043】排除率(%) ={1−(透過液中の溶質濃
度)/(供給液中の溶質濃度)}X100 また、造水量は単位時間に単位面積当たりの膜を透過す
る透過水量で求めた。
【0044】参考例1 タテ30c m、ヨコ20c mの大きさのポリエステル繊
維からなるタフタ(タテ糸、ヨコ糸友150デニ−ルの
マルチフィラメント糸、織密度タテ90本/インチ、ヨ
コ67本/インチ、厚さ160μm)をガラス板上に固
定し、その上にポリスルホン(アモコ社製のUdel
P−3500)の15重量%ジメチルホルムアミド(D
MF)溶液を200μmの厚みで室温(20℃)でキャ
ストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置すること
によって繊維補強ポリスルホン支持膜(以下FR−PS
支持膜と略す)を作製する。このようにして得られたF
R−PS支持膜(厚さ210〜215μm)の純水透過
係数は圧力1kg/cm2 、温度25℃で測定して0.0
05〜0.01g/cm2 ・sec・atmであつた。
【0045】実施例1 参考例1で得られたFR−PS支持膜をピペラジン変性
ポリエピヨードヒドリン反応物の1.5重量%水溶液に
2分間浸漬した。FR−PS支持膜表面から余分な該水
溶液を取り除いた後、120℃で1分乾燥し、n−オク
タンに溶解したトリメシン酸クロライドの0.1重量%
溶液を表面が完全に濡れるようにコ−ティングして1分
間静置した。次に膜を垂直にして余分な該溶液を液切り
して除去した後、1段目エアーナイフで25℃の空気を
15m/秒、2段目エアーナイフで25℃の空気を25
m/秒で膜表面に吹き付け該溶液を除去した。さらに1
20℃で5分間熱処理した。得られた膜を10重量%の
イソプロパノール水溶液に2分間浸漬して残存する溶
媒、未反応物を除去し、水洗した。このようにして得ら
れた複合膜を500ppmの硫酸ナトリウム水溶液を用
いてpH6.5、25℃、735KPaの条件下で逆浸
透評価を行なった結果、排除率99.0%、造水量2.
2m3 /m2 ・日の性能が得られた。
【0046】実施例2 参考例1で得られたFR−PS支持膜をピペラジンの5
重量%水溶液に2分間浸漬した。FR−PS支持膜表面
から余分な該水溶液を取り除いた後、n−デカンに溶解
したトリメシン酸クロライドの0.5重量%溶液を表面
が完全に濡れるようにコ−ティングして1分間静置し
た。次に膜を垂直にして余分な該溶液を液切りして除去
した後、1段目エアーナイフで25℃の空気を15m/
秒、2段目エアーナイフで25℃の空気を25m/秒で
膜表面に吹き付け該溶液を除去した。得られた膜を1重
量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液に
2分間浸漬し、その後水洗した。このようにして得られ
た複合膜を1500ppmの塩化ナトリウム水溶液を用
いてpH6.5、25℃、1.47MPaの条件下で逆
浸透評価を行なった結果、排除率74.0%、造水量
1.10m3 /m2 ・日の性能が得られた。
【0047】実施例3 参考例1で得られたFR−PS支持膜をピペラジン/エ
チレンジアミンの重量比20/1混合物の5重量%水溶
液に2分間浸漬した。FR−PS支持膜表面から余分な
該水溶液を取り除いた後、n−デカンにトリメシン酸ク
ロライド/テレフタル酸クロライドの1/1混合物の
0.5重量%溶液を表面が完全に濡れるようにコ−ティ
ングして1分間静置した。次に膜を垂直にして余分な該
溶液を液切りして除去した後、1段目エアーナイフで2
5℃の空気を15m/秒、2段目エアーナイフで25℃
の空気を25m/秒で膜表面に吹き付け該溶液を除去し
た。得られた膜を1重量%のドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウム水溶液に2分間浸漬し、その後水洗した。
このようにして得られた複合膜を500ppmの塩化ナ
トリウム水溶液を用いてpH6.5、25℃、1.47
MPaで1ppmの次亜塩素酸ナトリウムを混合した条
件下で逆浸透評価を行なった結果、排除率95.2%、
造水量0.63m3 /m2 ・日の性能が得られた。
【0048】実施例4 参考例1で得られたFR−PS支持膜をピペラジン/
1,3ビス(4−ピペリジル)プロパンの重量比5/1
混合物の3重量%水溶液に2分間浸漬した。FR−PS
支持膜表面から余分な該水溶液を取り除いた後、トリメ
シン酸クロライドの0.3重量%n−デカン溶液を表面
が完全に濡れるようにコ−ティングして1分間静置し
た。次に膜を垂直にして余分な該溶液を液切りして除去
した後、1段目エアーナイフで25℃の空気を15m/
秒、2段目エアーナイフで25℃の空気を25m/秒で
膜表面に吹き付け該溶液を除去した。得られた膜を1重
量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液に
2分間浸漬し、その後水洗した。このようにして得られ
た複合膜を500ppmの塩化ナトリウム水溶液を用い
てpH6.5、25℃、368KPaで1ppmの次亜
塩素酸ナトリウムを混合した条件下で逆浸透評価を行な
った結果、排除率83.3%、造水量0. 60m3 /m
2 ・日の性能が得られた。
【0049】実施例5 参考例1で得られたFR−PS支持膜をN,N’ジメチ
ルエチレンジアミンの3重量%水溶液に2分間浸漬し
た。FR−PS支持膜表面から余分な該水溶液を取り除
いた後、トリメシン酸クロライドの0.3重量%n−デ
カン溶液を表面が完全に濡れるようにコ−ティングして
1分間静置した。次に膜を垂直にして余分な該溶液を液
切りして除去した後、1段目エアーナイフで25℃の空
気を15m/秒、2段目エアーナイフで25℃の空気を
25m/秒で膜表面に吹き付け該溶液を除去した。得ら
れた膜を1重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム水溶液に2分間浸漬し、その後水洗した。このよう
にして得られた複合膜を1500ppmの塩化ナトリウ
ム水溶液を用いてpH6.5、25℃、1.47MPa
の条件下で逆浸透評価を行なった結果、排除率69.7
%、造水量1.1m3/m2 ・日の性能が得られた。
【0050】実施例6 参考例1で得られたFR−PS支持膜をm−フェニレン
ジアミンの2重量%水溶液に1分間浸漬した。FR−P
S支持膜表面から余分な該水溶液を取り除いた後、トリ
メシン酸クロライドの0.1重量%n−デカン溶液を表
面が完全に濡れるようにコ−ティングして1分間静置し
た。次に膜を垂直にして余分な該溶液を液切りして除去
した後、1段目エアーナイフで25℃の空気を15m/
秒、2段目エアーナイフで25℃の空気を25m/秒で
膜表面に吹き付け該溶液を除去した。得られた膜を1重
量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液に
2分間浸漬し、その後水洗した。このようにして得られ
た複合膜を1500ppmの塩化ナトリウム水溶液を用
いてpH6.5、25℃、1.47MPaの条件下で逆
浸透評価を行なった結果、排除率99.3%、造水量
0.80m3 /m2 ・日の性能が得られた。
【0051】実施例7 実施例6のm−フェニレンジアミンをp−フェニレンジ
アミンに変えた以外は実施例6と同様にして複合膜を得
た。さらに、実施例6と同様の方法で膜評価を行なった
ところ、排除率99.0%、造水量0.77m3 /m2
・日の性能が得られた。
【0052】実施例8 実施例6のm−フェニレンジアミンの2%水溶液をトリ
アミノベンゼンの3%水溶液、トリメシン酸クロライド
をテレフタル酸クロライドに変えた以外は実施例6と同
様にして複合膜を得た。さらに、実施例6と同様の方法
で膜評価を行なったところ、排除率99.6%、造水量
0.66m3 /m2 ・日の性能が得られた。
【0053】実施例9 参考例1で得られたFR−PS支持膜をm−フェニレン
ジアミン/トリアミノベンゼンの混合水溶液(混合比率
50/50、総アミン濃度2重量%)に1分間浸漬し
た。FR−PS支持膜表面から余分な該水溶液を取り除
いた後、トリメシン酸クロライド/テフタル酸クロライ
ド混合液(混合比率50/50、溶媒n−デカン、トー
タル濃度0.1重量%)を表面が完全に濡れるようにコ
−ティングして1分間静置した。次に膜を垂直にして余
分な該溶液を液切りして除去した後、1段目エアーナイ
フで25℃の空気を15m/秒、2段目エアーナイフで
25℃の空気を25m/秒で膜表面に吹き付け該溶液を
除去した。得られた膜を1重量%のドデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム水溶液に2分間浸漬し、その後水洗
した。このようにして得られた複合膜を1500ppm
の塩化ナトリウム水溶液を用いてpH6.5、25℃、
1.47MPaの条件下で逆浸透評価を行なった結果、
排除率99.6%、造水量1.2m3 /m2 ・日の性能
が得られた。
【0054】実施例10 タテ30c m、ヨコ20c mの大きさのポリエステル繊
維からなるタフタ(タテ糸、ヨコ糸友150デニ−ルの
マルチフィラメント糸、織密度タテ90本/インチ、ヨ
コ67本/インチ、厚さ160μm)をガラス板上に固
定し、その上にポリエーテルスルホンの18重量%ジメ
チルホルムアミド(DMF)溶液を100μmの厚みで
室温(20℃)でキャストし、ただちに純水中に浸漬し
て5分間放置することによって繊維補強ポリエーテルス
ルホン支持膜を作製した。
【0055】このようにして得られた多孔質支持膜を用
いて、実施例6と同様の方法で複合膜を得た。
【0056】さらに、実施例6と同様の方法で膜評価を
行なったところ、排除率99.0%、造水量1. 23m
3 /m2 ・日の性能が得られた。
【0057】実施例11 タテ30c m、ヨコ20c mの大きさのポリエステル繊
維からなるタフタ(タテ糸、ヨコ糸友150デニ−ルの
マルチフィラメント糸、織密度タテ90本/インチ、ヨ
コ67本/インチ、厚さ160μm)をガラス板上に固
定し、その上にポリフェニレンスルフィドスルホンの2
0重量%3−ジメチル−2−イミダゾシジノン(DM
I)溶液を100μmの厚みで室温(20℃)でキャス
トし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置することに
よって繊維補強ポリフェニレンスルフィドスルホン支持
膜を作製した。
【0058】このようにして得られた多孔質支持膜を用
いて、実施例6と同様の方法で複合膜を得た。さらに、
実施例6と同様の方法で膜評価を行なったところ、排除
率99.0%、造水量0.74m3 /m2 ・日の性能が
得られた。
【0059】実施例12 実施例11で得られた繊維補強ポリフェニレンスルフィ
ドスルホン支持膜を過酢酸水溶液で酸化して繊維補強ポ
リフェニレンスルホン支持膜を得た。
【0060】このようにして得られた多孔質支持膜を用
いて、実施例6と同様の方法で複合膜を得た。
【0061】さらに、実施例6と同様の方法で膜評価を
行なったところ、排除率98.7%、造水量0. 75m
3 /m2 ・日の性能が得られた。
【0062】実施例13 実施例6の1段目エアーナイフ単独で25℃の空気を1
5m/秒で膜表面に吹き付けた以外は実施例6と同様に
して複合膜を得た。さらに、実施例6と同様の方法で膜
評価を行なったところ、排除率99.2%、造水量0.
70m3 /mQ・日の性能が得られた。
【0063】実施例14 実施例6に3段目エアーナイフを追加し、25℃の空気
を35m/秒で膜表面に吹き付けた以外は実施例6と同
様にして複合膜を得た。さらに、実施例6と同様の方法
で膜評価を行なったところ、排除率99.5%、造水量
0.85m3 /m2 ・日の性能が得られた。
【0064】実施例15 実施例6の2段目エアーナイフで25℃の空気を35℃
に変更した以外は実施例6と同様にして複合膜を得た。
さらに、実施例6と同様の方法で膜評価を行なったとこ
ろ、排除率99.6%、造水量0.95m3 /m2 ・日
の性能が得られた。
【0065】実施例16 実施例6のトリメシン酸クロライドの溶媒のn−デカン
をエチルシクロヘキサンに変えた以外は実施例6と同様
にして複合膜を得た。さらに、実施例6と同様の方法で
膜評価を行なったところ、排除率99.3%、造水量
0.77m3 /m2 ・日の性能が得られた。
【0066】実施例17 実施例6のトリメシン酸クロライドの溶媒のn−デカン
を1−デセンに変えた以外は実施例6と同様にして複合
膜を得た。さらに、実施例6と同様の方法で膜評価を行
なったところ、排除率99.3%、造水量0.74m3
/m2 ・日の性能が得られた。
【0067】実施例18 実施例6のトリメシン酸クロライドの溶媒のn−デカン
をドデカンに変えた以外は実施例6と同様にして複合膜
を得た。さらに、実施例6と同様の方法で膜評価を行な
ったところ、排除率99.2%、造水量0.72m3
2 ・日の性能が得られた。
【0068】実施例19 実施例6のトリメシン酸クロライドの溶媒のn−デカン
を炭素数9〜12のn−パラフィンの混合物に変えた以
外は実施例6と同様にして複合膜を得た。さらに、実施
例6と同様の方法で膜評価を行なったところ、排除率9
9.2%、造水量0.72m3 /m2 ・日の性能が得ら
れた。
【0069】比較例1 実施例6において、エアーナイフによる該溶液を除去せ
ず行なわず、そのまま実施例6と同様の方法で評価した
ところ、排除率85.3%、造水量0.55m3 /m2
・日の性能であった。
【0070】
【発明の効果】本発明の方法及び装置によって、オゾン
破壊係数のない炭化水素系溶媒でかつ、取り扱い上の安
全性の高い高引火点の溶媒を用いても、分離性能の高い
複合半透膜を得ることができる。さらに、本発明の方法
及び装置によって、製膜に用いた溶媒を安全に、かつ効
果的に除去、回収することができる。また、得られた複
合半透膜の性能も向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における複合半透膜の装置を示したも
のである。
【符号の説明】
1:多孔性支持膜の表面に水溶性多官能試薬の水溶液を
塗布する装置 2:水と非混和性の有機溶媒の多官能試薬の溶液の塗布
装置 3:エアーナイフ 4:多孔性支持膜乃至は複合半透膜

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔性支持膜の表面に水溶性多官能試薬
    の水溶液を塗布し、該水溶性多官能試薬と反応する多官
    能試薬を水に対し非混和性の有機溶媒に溶解した溶液を
    塗布した後、2段以上のエアナイフを用いて、該有機溶
    媒を除去することを特徴とする複合半透膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 超薄膜が架橋ポリアミド系の超薄膜であ
    ることを特徴とする請求項1記載の複合半透膜の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 水溶性多官能試薬が多官能アミンである
    ことを特徴とする請求項1記載の複合半透膜の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 多官能試薬が多官能酸ハライドであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の複合半透膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 水と非混和性の有機溶媒が炭化水素系の
    溶媒であることを特徴とする請求項1記載の複合半透膜
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 炭化水素系の溶媒が炭素数6以上の炭化
    水素であることを特徴とする請求項5記載の複合半透膜
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 炭化水素系の溶媒が引火点10℃以上の
    溶媒であることを特徴とする請求項6記載の複合半透膜
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 水溶性多官能試薬の水溶液の塗布装置
    と、水と非混和性の溶媒の多官能試薬の溶液の塗布装置
    の後に2段以上のエアナイフを設けたことを特徴とする
    複合半透膜の製造装置。
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KR20200058804A (ko) * 2018-11-20 2020-05-28 주식회사 엘지화학 분리막의 제조 방법 및 이에 의하여 제조된 분리막

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