JPH09191872A - 高活性能を有するアシドフィルス菌及びその利用 - Google Patents

高活性能を有するアシドフィルス菌及びその利用

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JPH09191872A
JPH09191872A JP8028458A JP2845896A JPH09191872A JP H09191872 A JPH09191872 A JP H09191872A JP 8028458 A JP8028458 A JP 8028458A JP 2845896 A JP2845896 A JP 2845896A JP H09191872 A JPH09191872 A JP H09191872A
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acidophilus
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孝 山本
Shuji Toyoda
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ペプトン、酵母エキス等の増殖促進物質を使
用しなくとも増殖性及び酸生成能に優れたラクトバチル
ス・アシドフィルス菌株及びその利用法の提供。 【解決手段】 健康な成人の糞便中から得られ、脱脂粉
乳含量11.5重量%の還元脱脂乳培地において39℃で8時
間培養したときに酸度が 1.0%以上であり、かつ生菌数
が 1.0×109(cfu/g)以上となるラクトバチルス・アシド
フィルス菌株。この菌株を使用した発酵乳スターター及
びこのスターターを用いて発酵乳を製造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ラクトバチルス・
アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)高活性能
株に関する。また、本発明は、このラクトバチルス・ア
シドフィルス(Lactobacillus acidophilus)高活性能株
を使用した発酵乳用スターターに関する。さらに、本発
明は、この発酵乳用スターターを使用して発酵乳を製造
する方法に関する。本発明のラクトバチルス・アシドフ
ィルス(Lactobacillus acidophilus)高活性能株は、増
殖促進物質を使用しなくとも増殖性が高く酸生成能も高
いという菌学的特性を有するので、この高活性能株を使
用することにより、発酵乳用スターターの調製や発酵乳
製造の時間を短縮することができる。
【0002】
【従来の技術】従来より、牛乳等を主成分とするヨーグ
ルトミックスにラクトバチルス・ブルガリクス(Lactoba
cillus bulgaricus) やストレプトコッカス・サーモフ
ィルス(Streptococcus thermophilus) 等の伝統的な酪
農乳酸菌を発酵乳用スターターとして接種し、発酵乳を
製造している。また、近年では、ヒト腸内に定着するラ
クトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidop
hilus)やビフィズス菌を発酵乳用スターターとして併用
し、発酵乳を製造している場合もある。このラクトバチ
ルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)
ビフィズス菌は、ヒトの常在細菌として腸内菌叢を改善
することや摂取による健康への寄与、コレステロール抑
制作用、老化防止等に効果を有することが知られてい
る。
【0003】ところが、このような種々の生理機能を有
し、ヒトにとって有用なラクトバチルス・アシドフィル
(Lactobacillus acidophilus)やビフィズス菌が生育
するには、栄養要求性や生育環境の面で条件が厳しく、
通常、これらの乳酸菌を発酵乳用スターターとして使用
した場合、乳酸菌の増殖性が悪いので発酵時間が長くな
るという問題がある。また、ラクトバチルス・アシドフ
ィルス(Lactobacillusacidophilus)やビフィズス菌を使
用して発酵乳用スターターを調製するに際しては、目的
とする酸度や生菌数を得るためにペプトンや酵母エキス
等の増殖物質を使用しなければならず、この発酵乳用ス
ターターを使用して発酵乳を製造した場合、風味等に影
響を及ぼすという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上述の
問題を解決するために鋭意研究を進めたところ、ペプト
ンや酵母エキス等の増殖促進物質を使用しなくても増殖
性に優れたラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobaci
llus acidophilus)高活性能株を見出した。そして、こ
のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus ac
idophilus)高活性能株を発酵乳用スターターとして使用
することにより、発酵乳の発酵時間を短縮することがで
きることを見出し、本発明を完成するに至った。したが
って、本発明は、増殖性及び酸生成能に優れており、ペ
プトンや酵母エキス等の増殖促進物質を使用しなくても
風味の優れた発酵乳を製造することのできるラクトバチ
ルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)
活性能株を提供することを課題とする。また、本発明
は、このラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacill
us acidophilus)高活性能株を使用した発酵乳用スター
ターを提供することを課題とする。さらに、本発明は、
この発酵乳用スターターを使用することにより発酵時間
を短縮した発酵乳の製造法を提供することを課題とす
る。
【0005】
【発明を解決するための手段】本発明は、ペプトンや酵
母エキス等の増殖促進物質を使用しない還元脱脂乳培地
中で培養しても、短時間で目的とする酸度や生菌数に到
達するという性質を有するラクトバチルス・アシドフィ
ルス(Lactobacillus acidophilus)高活性能株にある。
また、本発明は、このラクトバチルス・アシドフィルス
(Lactobacillusacidophilus)高活性能株を使用した発酵
乳用スターターにある。さらに、本発明は、この発酵乳
用スターターを牛乳等を主成分とするヨーグルトミック
スに接種し、短時間で目的とする酸度や生菌数に到達さ
せる発酵乳の製造法にある。
【0006】本発明でいうラクトバチルス・アシドフィ
ルス(Lactobacillus acidophilus)高活性能株は、脱脂
粉乳11.5重量%を含有する還元脱脂乳培地中、39℃で8
時間培養した時の酸度が 1.0%以上であり、かつ生菌数
が 1.0×109(cfu/g)以上であるという性質を有するラク
トバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophi
lus)の菌株である。このラクトバチルス・アシドフィル
(Lactobacillus acidophilus)高活性能株は、ペプト
ンや酵母エキス等の増殖促進物質を使用しない還元脱脂
乳培地中で培養しても、短時間で目的とする酸度や生菌
数に到達するという性質を有する菌株を求めて、本発明
者らがスクリーニングを行い、健康な成人の糞便中から
分離した菌株中にこのような性質を有する菌株を見出し
たもので、特に、35℃〜42℃の温度域で高活性能を示
す。
【0007】次に、このラクトバチルス・アシドフィル
(Lactobacillus acidophilus)高活性能株の分離法に
ついて説明する。健康な成人の糞便を10倍の希釈水にと
ってホモジナイズし、順次10倍段階に希釈してBL平板
寒天培地に塗抹した後、37℃で3日間嫌気培養し、生じ
たコロニーの中から円形で灰白色のコロニーを選択し
た。そして、このようにして選択したコロニーを脱脂粉
乳11.5重量%を含有する還元脱脂乳培地中に接種し、37
℃で6時間培養して、高活性能を有する菌株を選択し
た。
【0008】このようにして得られた本発明のラクトバ
チルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)
高活性能株の菌学的性質は、次の通りである。 1.分類学的性状 (1)BL寒天平板培地を用い、37℃で48〜72時間スチ
ールウール法により嫌気培養した時の菌形(光学顕微鏡
による観察) 大きさ: 0.3〜 1.0μm × 4.0〜12.0μm 形状:桿菌、連鎖状 (2)前記(1)と同一条件で培養した時のグラム染色
性 陽性を示す。 (3)前記(1)と同一条件で培養した時のコロニー形
態 形状:正円 隆起:半球形に隆起 周縁:円滑 大きさ:直径 1.5〜3.0mm 色調:灰白色 表面:偏平
【0009】(4)芽胞形成:陰性 (5)ブドウ糖からのガス産生:なし (6)運動性:なし (7)カタラーゼ活性:陰性 (8)リトマスミルクの凝固性:凝固 (9)インドール産生:なし (10)硫化水素産生:なし (11)乳酸の施光性:DL (12)15℃生育能:陰性 (13)好気性発育:あり (14)嫌気性発育:あり
【0010】(15)糖発酵性(光岡の方法 [光岡知
足:臨床検査, vol.18, pp.1163-1172,1974] 、−;生
育せず、+;生育を認める) 1.アラビノース − 2.キシロース − 3.ラムノース − 4.ソルボース − 5.リボース − 6.グルコース + 7.マンノース + 8.フラクトース + 9.ガラクトース + 10.サッカロース + 11.マルトース + 12.セロビオース + 13.ラクトース + 14.トレハロース − 15.メリビオース + 16.ラフィノース + 17.メリチトース − 18.デンプン − 19.マンニット − 20.ソルビット − 21.エスクリン + 22.サリシン + 23.アミグダリン +
【0011】以上の菌学的性質を、Bergey's Manual of
Systematic Bacteriology, vol.2,1986 の分類基準に
従って検索した結果、この菌株は、ラクトバチルス・ア
シドフィルス(Lactobacillus acidophilus)であると同
定した。なお、このラクトバチルス・アシドフィルス(L
actobacillus acidophilus)高活性能株は、ラクトバチ
ルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) S
BT0316 (FERM P-15299) として通商産業省工業技術院生
命工学工業技術研究所に寄託した。
【0012】以下に、このラクトバチルス・アシドフィ
ルス(Lactobacillus acidophilus)SBT0316 (FERM P-15
299) の特徴について、既知のラクトバチルス・アシド
フィルス(Lactobacillus acidophilus)菌株と比較した
試験例を示す。
【試験例1】ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactoba
cillus acidophilus) SBT0316 (FERM P-15299) と既知
のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus ac
idophilus)菌株として、ATCC4356、 SBT2056 (FERM P-8
744)、 SBT2062 (FERM P-10730) 及び SBT2064 (FERM P
-9972)を用い、次のような比較試験を行った。すなわ
ち、各菌株を脱脂粉乳11.5重量%及び酵母エキス 0.5重
量%を含有する還元脱脂乳培地中に接種し、37℃で16時
間培養した場合の各培養物の酸度及び生菌数を測定し
た。その結果を表1に示す。
【0013】
【表1】 ─────────────────────── 菌株名 酸度(%) 生菌数(cfu/g) ─────────────────────── SBT0316 2.19 1.8×109 ATCC4356 1.42 3.0×108 SBT2056 1.20 1.1×107 SBT2062 1.26 5.8×108 SBT2064 1.25 5.0×107 ───────────────────────
【0014】SBT0136 (FERM P-15299)は、ATCC4356、 S
BT2056 (FERM P-8744)、 SBT2062 (FERM P-10730) 及び
SBT2064 (FERM P-9972)と比較して、酸度で0.77%以上
(1.5〜1.8 倍)、生菌数で約2〜 100倍の高い値を示し
た。このように、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lac
tobacillus acidophilus) SBT0136 (FERM P-15299)は
高活性能を有することが判る。
【0015】
【試験例2】また、ラクトバチルス・アシドフィルス(L
actobacillus acidophilus) SBT0316 (FERM P-15299)
と既知のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacill
usacidophilus)菌株として、ATCC4356、 SBT2056 (FERM
P-8744)、 SBT2062 (FERMP-10730) 及び SBT2064 (FER
M P-9972)を用い、次のような比較試験を行った。すな
わち、各菌株を脱脂粉乳11.5重量%を含有する還元脱脂
乳培地中に接種し、39℃で2時間、4時間、6時間及び
8時間培養した場合の各培養物の酸度及び生菌数を測定
した。その結果を表2及び表3に示す。
【0016】
【表2】 ────────────────────────────── 酸度(%) 菌株名 ─────────────────────── 2時間 4時間 6時間 8時間 ────────────────────────────── SBT0316 0.27 0.55 1.05 1.37 ATCC4356 0.19 0.23 0.28 0.35 SBT2056 0.17 0.17 0.18 0.20 SBT2062 0.20 0.23 0.29 0.37 SBT2064 0.18 0.20 0.24 0.27 ──────────────────────────────
【0017】
【表3】 ────────────────────────────── 生菌数(cfu/ml) 菌株名 ─────────────────────── 2時間 4時間 6時間 8時間 ────────────────────────────── SBT0316 2.2×107 1.6×108 5.4×108 1.1×109 ATCC4356 1.4×107 2.6×107 1.5×108 2.4×108 SBT2056 1.0×106 4.0×106 8.4×106 1.4×107 SBT2062 3.2×107 6.2×107 1.6×108 2.8×108 SBT2064 1.8×106 1.8×107 6.2×107 8.6×107 ──────────────────────────────
【0018】SBT0136 (FERM P-15299)の酸度は、ATCC43
56、 SBT2056 (FERM P-8744)、 SBT2062 (FERM P-1073
0) 及び SBT2064 (FERM P-9972)と比較して2〜6倍の
高い値を示し、また、生菌数は、4時間で9〜 100倍、
8時間でも9〜 100倍と高い値を示した。このように、
増殖促進物質を使用しなくても、ラクトバチルス・アシ
ドフィルス(Lactobacillus acidophilus) SBT0136 (FE
RM P-15299) は高活性能を有することが判る。特に、こ
の培養条件において本発明のラクトバチルス・アシドフ
ィルス(Lactobacillus acidophilus) SBT0136 (FERM P
-15299) は他のラクトバチルス・アシドフィルスが培地
の酸度が酸度 1.0%より著しく低い酸度にしか生成でき
ないのに対し、酸度 1.0%以上とし、また他のラクトバ
チルス・アシドフィルスの生菌数が108(cfu/g)オーダー
であるのに対し、 1.0×109(cfu/g)以上とし、これらの
点において他のラクトバチルス・アシドフィルスと顕著
に異なる菌学的特性を有する。
【0019】
【試験例3】ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactoba
cillus acidophilus) SBT0316 (FERM P-15299) と既知
のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus ac
idophilus)菌株として、ATCC4356、 SBT2056 (FERM P-8
744)、 SBT2062 (FERM P-10730) 及び SBT2064 (FERM P
-9972)を用い、ストレプトコッカス・サーモフィルス(S
treptococcus thermophilus) と併用して発酵乳用スタ
ーターを調製した。すなわち、ラクトバチルス・アシド
フィルス(Lactobacillus acidophilus)の各菌株の培養
物 1.5重量%とストレプトコッカス・サーモフィルス(S
treptococcusthermophilus) SBT1021A (FERM P-10658)
の培養物 1.5重量%とを次の培地に接種し、32℃又は37
℃で16時間培養した場合の各培養物の酸度を測定した。
培地としては、脱脂粉乳11.5重量%及び酵母エキス 0.5
重量%を含有する還元脱脂乳培地を95℃で20分殺菌して
使用した。その結果を表4に示す。
【0020】
【表4】
【0021】ATCC4356、 SBT2056 (FERM P-8744)、 SBT
2062 (FERM P-10730) 及び SBT2064(FERM P-9972)と比
較してSBT0136 (FERM P-15299)をストレプトコッカス・
サーモフィルス(Streptococcus thermophilus) SBT102
1A (FERM P-10658) と併用した場合、32℃の培養温度で
は0.22〜0.33%(1.2〜1.3 倍)、37℃の培養温度では0.
74〜0.82%(1.5〜1.6 倍)高い酸度を示した。このよう
に、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus
acidophilus) SBT0316 (FERM P-15299) は、ストレプト
コッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophil
us) SBT1021A (FERM P-10658) と併用して培養しても高
活性能を有することが判る。
【0022】本発明のラクトバチルス・アシドフィルス
(Lactobacillus acidophilus)高活性能株を使用して発
酵乳を製造するに際しては、ラクトバチルス・アシドフ
ィルス(Lactobacillus acidophilus)高活性能株を単独
で発酵乳用スターターとして使用しても良いが、ストレ
プトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermo
philus) やビフィズス菌と併用しても良い。ラクトバチ
ルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)
活性能株とストレプトコッカス・サーモフィルス(Strep
tococcus thermophilus) を併用して発酵乳を製造する
場合には、脱脂粉乳8〜12重量%を含有する還元脱脂乳
培地や生乳等を使用した培地に各菌株を1〜8重量%接
種し、30〜45℃で培養して2菌種混合状態で発酵乳用ス
ターターを調製すると良く、この発酵乳用スターターを
ヨーグルトミックスに1〜10重量%接種し、35〜45℃で
発酵させることにより発酵乳を製造すると良い。また、
ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acid
ophilus)高活性能株、ストレプトコッカス・サーモフィ
ルス(Streptococcus thermophilus) 及びビフィズス菌
を併用して発酵乳を製造する場合には、酵母エキスやペ
プトン等の増殖促進物質を0.25〜1重量%添加した脱脂
粉乳8〜12重量%を含有する還元脱脂乳培地や生乳等を
使用した培地に各菌株を1〜8重量%接種し、32〜39℃
で培養して各菌株単独で発酵乳用スターターを調製する
と良く、この発酵乳用スターターをヨーグルトミックス
に3〜10重量%接種し、37〜43℃で発酵させることによ
り発酵乳を製造すると良い。
【0023】
【発明の実施の形態】次に、実施例を示し、本発明を詳
しく説明する。
【実施例1】ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactoba
cillus acidophilus)高活性能株を取得する目的で、健
康な成人の糞便からラクトバチルス・アシドフィルス(L
actobacillus acidophilus)を分離した。すなわち、各
試料を10倍の希釈水にとってホモジナイズし、順次、10
倍段階に希釈してBL平板寒天培地に塗沫した後、37℃
で3日間嫌気培養し、生じたコロニーの中から円形で灰
白色のコロニーを選択し、さらに、分類学的性状を観察
して、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus
acidophilus)の菌株 120株を得た。
【0024】次に、酵母エキス 0.5重量%及び脱脂粉乳
10重量%を含有する還元脱脂乳培地を 115℃で20分間滅
菌した後、上記のラクトバチルス・アシドフィルス(Lac
tobacillus acidophilus)の各菌株を3重量%接種し、
37℃で16〜24時間、培地が凝固するまで培養した。この
同様の条件で培養を3回繰り返し、安定した状態にし
た。
【0025】そして、第1次スクリーニングとして、10
重量%脱脂粉乳を含有する還元脱脂乳培地を90〜95℃で
30分間殺菌した後、安定化したラクトバチルス・アシド
フィルス(Lactobacillus acidophilus)の各菌株を3重
量%接種し、37℃で6時間培養して、培地が凝固し、か
つ酸度が0.80%以上の菌株17株を選択した。
【0026】次に、第2次スクリーニングを次の方法で
実施した。酵母エキス 0.5重量%及び脱脂粉乳10重量%
を含有する還元脱脂培地を90〜95℃で30分間加熱殺菌
し、この培地に、ストレプトコッカス・サーモフィルス
(Streptococcus thermophilus) SBT1021A (FERM P-106
58) を接種し、上記のラクトバチルス・アシドフィルス
(Lactobacillus acidophilus)と同様の条件で培養を3
回繰り返して、安定した状態にしたストレプトコッカス
・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus) SBT
1021A (FERM P-10658)を得た。一方、上記の第1次スク
リーニングで選択されたラクトバチルス・アシドフィル
(Lactobacillus acidophilus)を上記と同様の条件で
3回培養して、安定した状態にしたラクトバチルス・ア
シドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の各菌株を
得た。この安定な状態のストレプトコッカス・サーモフ
ィルス(Streptococcus thermophilus) SBT1021A (FERM
P-10658) とラクトバチルス・アシドフィルス(Lactoba
cillus acidophilus)の各菌株とを、それぞれ 1.5重量
%、合計 3.0重量%を脱脂粉乳を10重量%含有する還元
脱脂粉乳培地に接種して32℃で16時間培養して、酸度が
1.14%以上で、かつラクトバチルス・アシドフィルス(L
actobacillusacidophilus)の生菌数が108cfu/g以上とな
った菌株7株を得た。
【0027】最後に第3次スクリーニングを次の方法で
行なった。酵母エキス 0.5重量%及び脱脂粉乳10重量%
を含有する還元脱脂培地を90〜95℃で30分間加熱殺菌
し、この培地に、第2次スクリーニングで選択したラク
トバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophi
lus)の各菌株を接種し、上記と同様の条件で培養を3回
繰り返して安定した状態にしたラクトバチルス・アシド
フィルス(Lactobacillus acidophilus)の菌株を得た。
ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus
thermophilus) SBT 1021A (FERM P-10658)とビフィドバ
クテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum) SBT2
928 (FERM P-10657)とを同様に別々に上記の培地に接種
し、同様に培養し、これを3回繰り返してそれぞれ安定
した状態にした菌株を得た。このようにして安定した状
態にしたラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacill
us acidophilus)の各菌株及び、ストレプトコッカス・
サーモフィルス(Streptococcus thermophilus) SBT 10
21A (FERM P-10658)をそれぞれ 1.5重量%とビフィドバ
クテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum) SBT2
928 (FERM P-10657)を3重量%との合計6重量%を、90
〜95℃で30分間加熱殺菌した牛乳を主成分とするヨーグ
ルトミックスの培地に接種し、39℃で酸度が0.80%に達
するまで発酵させて、短時間で発酵が完了したラクトバ
チルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)
高活性能株であるラクトバチルス・アシドフィルス(L
actobacillus acidophilus) SBT 0316 (FERM P-15299)
を得た。
【0028】
【実施例2】実施例1で得られたラクトバチルス・アシ
ドフィルス(Lactobacillus acidophilus) 高活性能株
のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus ac
idophilus) SBT0316 (FERM P-15299) を使用してシード
スターターを調製した。すなわち、脱脂粉乳11.5重量%
を含有する還元脱脂乳培地200gを 115℃で20分間滅菌し
た後、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus
acidophilus) SBT0316 (FERM P-15299) を3重量%接
種し、37℃で16時間培養してシードスターター206gを得
た。次に、発酵乳の製造をスケールアップする為に、シ
ードスターターを調製するのと同様の方法でバルクスタ
ーターに接種するマザースターターを調製した。すなわ
ち、脱脂粉乳11.5重量%を含有する還元脱脂乳培地 5.0
kgを 115℃で20分間滅菌した後、上記のシードスタータ
ーを3重量%接種し、37℃で16時間培養してマザースタ
ーター5.15kgを得た。そして、ヨーグルトミックスに接
種するバルクスターターを調製した。すなわち、脱脂粉
乳11.5重量%を含有する還元脱脂乳培地 100kgを95℃で
30分間殺菌した後、上記のマザースターターを3重量%
接種し、42℃で6時間培養してバルクスターター 103kg
を得た。このバルクスターターの酸度は1.26%であり、
生菌数は 1.2×109cfu/gであった。
【0029】
【実施例3】ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactoba
cillus acidophilus) SBT0316 (FERM P-15299) と既知
のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus ac
idophilus)菌株として、ATCC4356、 SBT 2056(FERM P-8
744)、 SBT 2062(FERM P-10730) 及び SBT 2064(FERM P
-9972)を使用し、それぞれの菌株について実施例2に示
したと同様の方法により、シードスターター、マザース
ターター及びバルクスターターを得た。そして、牛乳を
主成分とするヨーグルトミックスを95℃で30分間殺菌し
た後、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus
acidophilus)の各々のバルクスターター 1.5重量%
と、同様にして調製したストレプトコッカス・サーモフ
ィルス(Streptococcus thermophilus) SBT 1021A (FER
M P-10658)のバルクスターター 1.5重量%及びビフィド
バクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum) SB
T 2928 (FERM P-10657) の培養物3重量%の計6重量%
を接種し、39℃で発酵後の到達目標酸度を0.80%として
発酵を行ない、10℃まで急冷却をして発酵乳製品を得
た。表5に到達目標酸度までに要した発酵時間と生菌数
を示した。
【0030】
【表5】 ──────────────────────────────────── 生菌数(cfu/g) 菌株名 発酵時間 ──────────────────────── アシドフィルス菌 サーモフィルス菌 ビフィズス菌 ──────────────────────────────────── SBT 0316 180分 2.6×108 1.2×108 4.6×10 ATCC 4356 280分 2.2×108 1.0×108 4.8×10 SBT 2056 325分 1.4×108 1.2×108 5.2×10 SBT 2062 260分 3.0×108 1.0×108 4.5×10 SBT 2064 275分 1.4×108 1.0×108 3.2×10 ────────────────────────────────────
【0031】ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactoba
cillus acidophilus)、ストレプトコッカス・サーモフ
ィルス(Streptococcus thermophilus) 及びビフィドバ
クテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum) の3
菌種を混合培養した時の発酵時間は、ラクトバチルス・
アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) SBT0316
(FERM P-15299) を使用した場合、 180分で目標酸度に
到達するが、他のラクトバチルス・アシドフィルス(Lac
tobacillus acidophilus)の菌株を使用した場合、目標
酸度まで 260〜325 分を要する。また、発酵後の生菌数
は、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus
acidophilus)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(S
treptococcus thermophilus) 及びビフィドバクテリウ
ム・ロンガム(Bifidobacterium longum) 共に108cfu/m
l のオーダーであった。
【0032】
【発明の効果】高活性能のラクトバチルス・アシドフィ
ルス(Lactobacillus acidophilus)を発酵乳用スタータ
ーとして使用することにより、発酵温度が低温で、かつ
通常の発酵に要する時間よりも2〜4時間短い時間で発
酵乳を製造することができる。また、スターター調製の
際は、酵母エキスやペプトン等の増殖促進物質が不要で
あり、きめ細かく滑らかな組織とマイルドな風味を呈す
る良好な発酵乳製品を製造することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脱脂粉乳の含有量が11.5重量%の還元脱
    脂乳培地中において、39℃で8時間培養した時に、酸度
    が 1.0%以上であり、かつ生菌数が 1.0×109(cfu/g)以
    上であり、増殖促進物質を使用しなくとも還元脱脂乳培
    地中で高い酸生成能及び増殖性を示すラクトバチルス・
    アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)高活性菌
    株。
  2. 【請求項2】 ラクトバチルス・アシドフィルス(Lacto
    bacillus acidophilus) SBT 0316 (FERM P-15299)であ
    る請求項1記載の高活性菌株。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のラクトバチルス
    ・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)高活性
    菌株を使用したことを特徴とする発酵乳用スターター。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の発酵乳用スターターを使
    用して発酵乳を製造することを特徴とする発酵乳の製造
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013209396A (ja) * 2003-09-30 2013-10-10 Kibow Biotech Inc 腎臓機能を増大させるための組成物および方法
CN106509102A (zh) * 2016-10-11 2017-03-22 内蒙古蒙牛乳业(集团)股份有限公司 含乳饮料及其制备方法
EP4005394A4 (en) * 2019-07-24 2023-08-16 Megmilk Snow Brand Co. Ltd. COMPOSITION FOR PRESERVING AND/OR IMPROVING MEMORY/LEARNING AS WELL AS FOOD, MEDICATION AND FOOD EACH CONTAINING SUCH COMPOSITION

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