JP2627698B2 - ビフィドバクテリウム・ブレーベの生菌体を含有する培養物及びその製造法 - Google Patents
ビフィドバクテリウム・ブレーベの生菌体を含有する培養物及びその製造法Info
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Description
ドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacteriumbreve) の
生菌体を含有する培養物及びそれを製造する方法に関す
る。
老人に至るまで人の健康と深く関わっているといわれて
いる。現在、ビフィズス菌を利用した医薬品や食品は大
変多く、特に発酵乳 (ヨーグルト) などの乳製品に多く
使われている。しかしながら、ビフィズス菌がその生存
に嫌気条件を必要とすることから、発酵乳中の溶存酸素
を減少するためにビタミンC 等の還元剤が必要になる。
さらに、栄養要求性が複雑なことから酵母エキス等の生
育促進物質の添加が必要となる。
キスを添加することは、製造コストの上昇と得られる培
養物の風味が悪くなるという欠点がある。そこで、ビフ
ィズス菌と酪農乳酸菌を混合して培養することで、生育
促進物質を含有しない好気的な牛乳培地での培養法が盛
んに研究されている。それらは、ビフィズス菌と遅酸性
乳酸菌を混合して培養する発酵乳の製造法 (特公昭57-3
5632号公報) 、ビフィズス菌と酸素吸収能の高いストレ
プトコッカス・サーモフィルスと乳酸桿菌を混合して培
養する発酵乳の製造法 (特公平1-53035 号公報) 、ビフ
ィズス菌とストレプトコッカス・ダイアセチラクティス
を混合して培養する発酵乳の製造法 (特公平2-9781号公
報) 、ビフィドバクテリウム・ロンガムとラクトバチル
ス・カゼイを混合して培養する発酵乳の製造法(特開昭
63-209542 号公報) が、現在までに知られている。ま
た、文献では、ラクトバチルス・カゼイ及びラクトバチ
ルス・アシドフィラスとビフィドバクテリウム・ブレー
ベ、インファンティスが、嫌気条件下で共生関係が認め
られることが報告されている。 (日畜会報,54(11):740-
747 頁、1983年)
ヨーグルト、乳飲料での生残性の高いビフィズス菌を得
るために種々研究を重ねてきた結果、ビフィズス菌とし
ては極めて特異な性質を持つ該菌の変異株、すなわちビ
フィドバクテリウム・ブレーベSBR3212(微工研
菌寄第11915号)を発見して、これを使用する発酵
乳製品等の製造法の発明についての特許出願を行った
(特開平4−320642号公報)。上記変異株は、好
気的条件下で純粋な牛乳培地中でも増殖が可能であり、
しかも優れた耐酸性を有するため保存中に死滅しにくい
という特徴を持っている。さらに、この菌株について研
究を進めたところ、ラクトバチルス・カゼイAST−8
とビフィドバクテリウム・ブレーベSBR3212の好
気的条件下での混合培養により、従来の公知のラクトバ
チルス・カゼイでは知られていない非常に強い共生関係
を示し、酸生成、生菌数の伸びが、非常に高くなるとい
う知見を得て本発明を完成するにいたった。すなわち、
本発明の課題は、ビフィドバクテリウム・ブレーベをラ
クトバチルス・カゼイと混合培養することによって、ビ
フィドバクテリウム・ブレーベの生菌体を多く含有する
培養物及びその製造法を提供することにある。
成分とする培地でビフィドバクテリウム・ブレーベSB
R3212(微工研菌寄第 11915号)とラクトバ
チルス・カゼイAST−8(微工研菌寄第12704
号)を混合培養して得られ、これらの菌の生菌体を含有
する培養物において、培養物の乳酸酸度が少なくとも
1.0%で、ビフィドバクテリウム・ブレーベの生菌数
が少なくとも2×109/mlであることよりなるビフ
ィドバクテリウム・ブレーベの生菌体を含有する培養物
に関する。また、本発明は、(2)培養物の乳酸酸度が
少なくとも1.0%で、ビフィドバクテリウム・ブレー
ベの生菌数が少なくとも2×109/mlである培養物
を製造するに際して、乳を主成分とする培地でビフィド
バクテリウム・ブレーベSBR3212(微工研菌寄第
11915号)とラクトバチルス・カゼイAST−8
(微工研菌寄第12704号)を好気的条件下に混合培
養することによってビフィドバクテリウム・ブレーベの
生菌体を含有する培養物を製造する方法に関する。
乳やチーズ等の製造におけると同様な好気的条件下で、
すなわち、培地に生育促進物質の添加、窒素ガス等によ
る気相置換等の特殊な培養条件を必要とせずに乳を主成
分とする培地でビフィドバクテリウム・ブレーベを培養
することができる。また、通常、無脂乳固形分16〜1
8%の発酵物を使用し、無脂乳固形分8%以上のさわや
かな風味と安定性のある発酵乳を作るには、発酵物の乳
酸酸度で少くとも1.0%、好ましくは1.4%以上を
必要とする。ところが、ビフィズス菌やラクトバチルス
・カゼイ単独では、培養時間18時間での乳酸酸度が
0.7%以下となる。それが、本発明のようにビフィド
バクテリウム・ブレーベSBR3212(微工研菌寄第
11915号)とラクトバチルス・カゼイAST−8
(微工研菌寄第12704号)とを混合培養すると培養
物の乳酸酸度は、少くとも1.0%でビフィドバクテリ
ウム・ブレーベの生菌数が少くとも2×109/mlで
ある培養物を得ることができる。
とラクトバチルス・カゼイAST-8 とを混合培養する場
合、もちいる培養組成に制限はなく、通常乳酸菌の培養
に用いられる乳を主成分とする培地、例えば通常乳酸菌
培養に使用される乳固形分濃度8〜20%程度の牛乳 (全
乳、脱脂乳、またはこれらの粉乳からの還元乳など) は
すべて使用可能であり、牛乳を含まない半合成培地を用
いることもできる。このような半合成培地には、乳糖、
グルコース、カゼイン等を混合し、水に溶解した培地が
ある。また、本発明では、本来必要ではないが、製品の
風味に影響がでない程度の酵母エキス等の生育促進物質
やL-アスコルビン酸等の還元剤の添加物を用いて菌の増
殖を促進することも可能である。
212とラクトバチルス・カゼイAST−8は、両者を
混合して通常スターターとして添加し混合培養する。あ
るいは、培地の中に両者を別々に添加し、培地の中で両
者を混合して培養する。ビフィドバクテリウム・ブレー
ベSBR3212とラクトバチルス・カゼイAST−8
の各スターターはこれらを1:0.1から1:4の比率
で混合し、これを培地に対して1〜3%接種することが
好ましい。培養は、酪農乳酸菌の培養に使用される装置
でおこなうことができる。培養条件は、温度として32
〜38℃まで培養可能であり、通常、37℃、18〜2
4時間培養し、ビフィズス菌入り培養物を得ることがで
きる。得られた培養物は、そのままビフィズス菌および
乳酸菌入り飲食品として使用してもよく、また、甘味
料、果汁、香料等を適時加え風味を調整して嗜好性の食
品、飲料としてもよい。さらに、培養物を濃縮あるいは
乾燥してビフィズス菌および乳酸菌を含有する濃縮物あ
るいは粉末、錠剤の食品ないしは経口栄養製剤としても
よい。
ーベが使用されるが、特にビフィドバクテリウム・ブレ
ーベとして強い耐酸性、酸素耐性あるいは両方の性質を
示す菌株を用いる。このような性質を有する菌株を得る
ために種々の試料について検討したところ、健康な母乳
栄養児の糞便から分離した菌株のなかに耐酸性が高く、
好気的生育に優れたものを見出し、これを選び出し、さ
らに低pHの酢酸緩衝液で数回処理し、そのなかから最
も生産性に優れた菌株ビフィドバクテリウム・ブレーベ
SBR3212を分離した。この菌株は、ビフィドバク
テリウム・ブレーベの菌学的性質を示すが、さらに高い
耐酸性及び酸素耐性を有する点で新規であり、微工研に
微工研菌寄第11915号として寄託されている。
R3212の分類学的性状を示す。 1.分類学的性状 (1)菌 形(光学顕微鏡による観察) BL寒天平板培地を用い、37℃、48〜72時間スチ
ールウール法により嫌気培養したとき 大きさ:0.5±0.3×1.1±0.5μm 形 状:根棒状あるいは分岐状の菌形を示す (2)グラム染色性 前記(1)と同一条件で培養したとき陽性あるいは弱陽
性を示す (3)コロニー形態 前記(1)と同一条件で培養したときのコロニーの形態
は次のとおりである 形 状:円 形 隆 起:円錐状あるいは凸円状 周 縁:円 滑 大きさ:1〜3mm 色 調:白褐色あるいは赤褐色 表 面:円滑で光沢有り (4)芽胞形成:陰 性 (5)ガス産生:陰 性 (6)運動性 :陰 性 (7)カタラーゼ活性:陰 性 (8)ミルク凝固性 :陽 性 (9)ゼラチン液化性:陰 性 (10)硝酸塩還元性 :陰 性 (11)インドール産生:陰 性 (12)硫化水素産生 :陰 性 (13)酢酸/L(+)乳酸のモル比:1.7±0.3
974 年) 〕に従い実施した。また、ビフィドバクテリウ
ム・ブレーベに属する菌株ATCC15700 についても同様に
試験を行なった。結果を表1に示す。
rgey's Manual of Systematic bacteriology(Williams
& Wilkins 、1986年) 、「腸内細菌の世界」 (光岡知
足著、叢文社、1980年) の分類基準を参照して、ビフィ
ドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve) で
あると同定した。さらに、本発明のSBR3212 菌株につい
て従来のビフィドバクテリウム・ブレーベとの詳細な菌
学的性質の比較試験を行なった。すなわち、SBR3212 、
ATCC15700 、JCM7016 、市販商品からの分離株Aの4菌
株のビフィドバクテリウム・ブレーベを用いて、次の方
法により試験をした。
後、洗浄、集菌する。 集菌したものを滅菌生理食塩水 (L-システイン塩酸
塩0.1 %、チオグリコール酸Na 0.1%入り) にて原菌液
の4倍濃度にする。 この菌液を各pHの緩衝液 (17×100mm ファルコンチ
ューブに 5ml分注)に5%の割で添加、混合し、最終的
に3.8 、4.0 、4.3 、4.6 、5.0 の5 段階のpHになるよ
う調整し 5℃に保存し、生菌数を経時的に測定した。緩
衝液は、1/100モルの酢酸・酢酸Naの酢酸緩衝液を使用
した。また、生菌数は、光岡の方法〔臨床検査、18、11
63〜1172(1974)〕に従い血液を加えないBL平板寒天培地
を用いてスチールウール法で37℃、72時間の嫌気培養で
測定した。
いずれのpHにおいても他の3菌株より生残性が高く、特
にpH3.8 〜4.3 の低pH域においてその差が顕著であっ
た。即ち、SBR3212 を5℃で10日間保存した場合、pH4.
3 において37.69 %、pH4.0 において7.10%、pH3.8 に
おいて0.31%の生残率を示すのに対して、他の3菌株は
pH4.3 以下において生残率がいずれも1%未満だった。
2 、ATCC15700 、JCM7016 の3菌株のビフィドバクテリ
ウム・ブレーベを用いて、次の方法により試験をした。
115 ℃、20分間滅菌後、2%接種し、37℃、18時間培養
し、スターターとした。 次に、0.3 %酵母エキス入り10%還元脱脂乳 (18×
180mm 試験管に10ml分注) を115 ℃、20分間滅菌後、上
記スターターを2%接種し、37℃で培養した。 培養物がpH4.6 及び4.1 に達したら急冷し、5℃に
保存し、生菌数を経時的に測定した。
て7日目で他の2菌株とほぼ同じ生残率を示した。しか
し、pH4.1 においては、7 日目で8.21%と高い生残率を
示したのに対して他の2菌株は0.001 %未満だった。
クテリウム・ブレーベを用いて、次の方法により試験を
行った。
り12%還元脱脂乳(115℃、20分間滅菌) 培地にて37℃、
18時間培養した。 16%還元脱脂乳150ml を300ml 容量の三角フラスコ
に入れ、綿栓を施し115 ℃、20分間滅菌後、37℃まで撹
拌冷却した。その後、上記スターターを2 %接種し撹拌
分散後、37℃で培養を行い生菌数、乳酸酸度、pHを経時
的に測定した。また、増殖率 (%) =各時間生菌数/初
期生菌数×100 を算出した。
は、培養時間24時間後に増殖率1000%以上となり、48時
間後にも 500%を維持していた。一方、他の2 菌株は24
時間後に増殖率 400%程度で48時間後には50%以下と増
殖性を示さなかった。
で特に、ラクトバチルス・カゼイAST−8を使用す
る。この菌は、微工研に微工研菌寄第12704号とし
て寄託されている。このラクトバチルス・カゼイAST
−8の分類学的性状性を示すと次のとおりである。
間スチールウール法により嫌気培養したとき 大きさ:0.5 ±0.3 ×3.2 ±1.5 μm 形 状:短桿菌で、長連鎖を形成する傾向にある。 (2) グラム染色性 前記(1) と同一条件で培養したとき陽性を示す (3) コロニー形態 前記(1) と同一条件で培養したときのコロニーの形態は
次のとおりである 形 状 :円形 隆 起 :中凸状 周 縁 :波状 大きさ :2〜4mm 色 調 :茶褐色 表 面 :ラフ (4) 芽胞形成:陰 性 (5) ガス産生:陰 性 (6) 運動性 :陰 性 (7) カタラーゼ活性:陰 性 (8) ミルク凝固性 :陽 性 (9) ゼラチン液化性:陰 性 (10) 硝酸塩還元性 :陰 性 (11) インドール産生:陰 性 (12) 硫化水素産生 :陰 性 (13) 15℃発育性 :発育する (14) 45℃発育性 :発育しない (15) 乳酸の旋光性 :L(+)
頁、1974年) に従い実施した。結果を表5に示す。
ual of Systematic bacteriology(Williams & Wilkins
、1986年) 、「腸内細菌の世界」 (光岡知足著、叢文
社、1980年) に従い、ラクトバチルス・カゼイ(Lactoba
cillus casei) であると同定した。
に先立ち、本発明の範囲内で使用されるビフィズス菌の
特別の計数法をまず記載する。
地 (日水製薬製) 等を使用し、希釈試料を塗抹或いは混
釈し嫌気培養により37℃、72時間程度の培養後、培地に
形成されたコロニー数を計測する。しかし、発酵乳等で
は、ビフィズス菌以外に乳酸桿菌、乳酸球菌が混在して
いる。この乳酸菌もまた、これらの寒天培地には、コロ
ニーを形成する。ただ、ビフィズス菌と乳酸菌が同程度
のコロニー数ならば、菌種の間によるコロニー形状の違
いで計測できる場合もある。しかし、乳酸菌のコロニー
数がビフィズス菌の102 〜103 倍以上になるとビフィズ
ス菌のコロニー数を計測することは、不可能になってく
る。そのため、以前からビフィズス菌選択培地としてBS
培地 (光岡知足:臨床検査、18巻、1163〜1172頁、1974
年) 、TOS 培地 (食衛誌、vol. 27, 238〜244 頁,1986
年) 等が色々検討されている。これらの培地は、ビフィ
ズス菌の菌種によって発育を抑制したり、培地の調製が
煩雑なものがある。そこで、ビフィズス菌の菌種による
発育抑制を無くし、培地の調製の簡易なものを見つける
べく試験を行った結果、次に示す培地を開発した。この
計数方法は、GAM 寒天培地にゲンタマイシン10μg/mlと
塩化リチウム1.5mg/ml添加したものと希釈試料を混釈
し、37℃、72時間嫌気培養することでビフィズス菌のコ
ロニーを選択的に形成させることである。本培地1ml に
つきゲンタマイシン5 〜20μg と塩化リチウム 0〜3mg
の濃度で、ラクトバチルス・カゼイの生育を阻止する
が、ビフィズス菌、すなわちビフィドバクテリウム・ブ
レーベの生育に対してほとんど抑制なく、容易に計測で
きた。
-8 、同IF03533 、同IFO12004、同ATCC4352とビフィド
バクテリウム・ブレーベSBR3212 、同ATCC15700それぞ
れの2菌種混合培養による増菌効果を調べた。 (ii) 内 容: 18%還元脱脂乳100ml を200ml 三角
フラスコに分注し、綿栓を施してから95℃、30分間殺菌
した。 その後、37℃まで冷却しビフィズス菌、乳酸菌の各
スターターを単独に 1%接種し、強く撹拌後、37℃で静
置培養を行い、生菌数と乳酸酸度の変化を測定した。 同時に、上記と同じ方法で調整した培地にビフィズ
ス菌と乳酸菌を同等量で混合したスターターを 2%接種
後、よく撹拌して37℃で静置培養を行い、生菌数と乳酸
酸度の変化を測定した。
8 とIFO3533 が増殖を示したが、他の2菌株については
弱い増殖を示した。また、ビフィドバクテリウム・ブレ
ーベは、耐酸性株のSBR3212 がゆるやかな増殖を示す
が、標準株のATCC15700 では増殖を示さなかった。表7
からラクトバチルス・カゼイは、AST-8 が増殖を示した
が、他の3菌株は、ほとんど増殖を示さなかった。ま
た、ビフィドバクテリウム・ブレーベは、耐酸性株SBR3
212 でやや増殖を示すが、標準株では増殖性をほとんど
示さなかった。
示した。
みると、ビフィドバクテリウム・ブレーベSBR3212 は、
いずれのラクトバチルス・カゼイと混合培養においても
生菌数が109/ml以上となっているが、特にラクトバチル
ス・カゼイAST-8 では、生菌数が他の菌株の生菌数の 2
倍になった。次に、乳酸酸度では、ビフィドバクテリウ
ム・ブレーベSBR3212 とラクトバチルス・カゼイAST-8
との混合培養で乳酸酸度1.60%と非常に高い値がえられ
た。
クテリウム・ブレーベとラクトバチルス・カゼイそれぞ
れ単独培養では、培養時間18時間で乳酸酸度で0.7 %以
下、生菌数でもビフィドバクテリウム・ブレーベが108/
ml程度と低い値を示したが、ビフィドバクテリウム・ブ
レーベSBR3212 とラクトバチルス・カゼイAST-8 との混
合培養では、培養時間18時間で乳酸酸度1.6 %、ビフィ
ドバクテリウム・ブレーベの生菌数が5.8 ×109/mlと最
も高い値を示した。これにより、ビフィドバクテリウム
・ブレーベSBR3212 とラクトバチルス・カゼイAST-8 の
間には、共生関係があると考える。
地にあらかじめ培養しておいたビフィドバクテリウム・
ブレーベSBR3212 スターターとラクトバチルス・カゼイ
AST-8 スターターをそれぞれ 1%づつ接種し、37℃で18
時間、好気的条件下で培養した。この時の培養物は、乳
酸酸度1.60%でpH4.62、ビフィドバクテリウム・ブレー
ベSBR3212 の生菌数 5.3×109/ml、ラクトバチルス・カ
ゼイAST-8 の生菌数1.3 ×109/mlであった。この培養物
5000mlと蔗糖800gを含むシロップ5000mlとを混合し、均
質機で均質化して発酵乳を得た。製造直後の製品の乳酸
酸度0.80%、pH4.30でビフィドバクテリウム・ブレーベ
SBR3212 の生菌数2.0 ×109/ml、ラクトバチルス・カゼ
イAST-8 の生菌数 6.5×108/mlであり、保存7日目でビ
フィドバクテリウム・ブレーベSBR3212 の生菌数 5.3×
107/ml、ラクトバチルス・カゼイAST-8 の生菌数 5.8×
108/mlであった。ここでのビフィズス菌の生菌数測定
は、前述のゲンタマイシン10μg/mlと塩化リチウム1.5m
g/ml添加のGAM 寒天培地 (日水製薬製) を使用し、希釈
菌体液を混釈平板化し、スチールウール法により37℃、
72時間の嫌気培養を行い計測した。また、ラクトバチル
ス・カゼイの生菌数は、常法に従いBCP 加プレートカウ
ント寒天培地 (栄研) を使用し混釈平板化し、37℃、72
時間の好気培養を行い計測した。
後、ビフィドバクテリウム・ブレーベSBR3212 スタータ
ーとラクトバチルス・カゼイAST-8 スターターをそれぞ
れ1%づつ接種し、37℃で18時間培養し、接種用スター
ターとした。次に、18%還元脱脂乳を滅菌後、攪拌冷却
した培地に先に用意しておいたスターターを2%接種
し、37℃で18時間、好気的条件下で培養した。この時の
培養物は、乳酸酸度1.74%でpH4.56、ビフィドバクテリ
ウム・ブレーベSBR3212 の生菌数 9.1×109/ml、ラクト
バチルス・カゼイAST-8 の生菌数 2.5×109/mlであっ
た。この培養物 500kgと蔗糖80kgを含むシロップ 500kg
とを混合し、均質機で均質化して発酵乳を得た。製造直
後の製品の乳酸酸度0.87%、pH4.21でビフィドバクテリ
ウム・ブレーベSBR3212 の生菌数 5.0×109/ml、ラクト
バチルス・カゼイAST-8 の生菌数 1.2×109/mlであり、
保存7日目でビフィドバクテリウム・ブレーベSBR3212
の生菌数 3.2×107/ml、ラクトバチルス・カゼイAST-8
の生菌数 1.8×109/mlであった。
Claims (2)
- 【請求項1】 乳を主成分とする培地でビフィドバクテ
リウム・ブレーベ(Bifidobacterium
breve) SBR3212(微工研菌寄第1191
5号)とラクトバチルス・カゼイ(Lactobaci
llus casei)AST−8(微工研菌寄第12
704号)を混合培養して得られ、これらの菌の生菌体
を含有する培養物において、培養物の乳酸酸度が少なく
とも1.0%で、ビフィドバクテリウム・ブレーベの生
菌数が少なくとも2×109/mlであることを特徴と
するビフィドバクテリウム・ブレーベの生菌体を含有す
る培養物。 - 【請求項2】 培養物の乳酸酸度が少なくとも1.0%
で、ビフィドバクテリウム・ブレーベの生菌数が少なく
とも2×109/mlである培養物を製造するに際し
て、乳を主成分とする培地でビフィドバクテリウム・ブ
レーベSBR3212(微工研菌寄第11915号)と
ラクトバチルス・カゼイAST−8(微工研菌寄第12
704号)を好気的条件下に混合培養することを特徴と
するビフィドバクテリウム・ブレーベの生菌体を含有す
る培養物の製造法。
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Title |
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JAPANESE J.ZOOTECH.SCI.,54(11)(1983(RECD.1984))P.740−747 |
JAPANESE J.ZOOTECH.SCI.,55(5)(1984)P.339−349 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH05227946A (ja) | 1993-09-07 |
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