JP3731933B2 - 高活性能を有するアシドフィルス菌及びその利用 - Google Patents

高活性能を有するアシドフィルス菌及びその利用 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)高活性能株に関する。また、本発明は、このラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)高活性能株を使用した発酵乳用スターターに関する。さらに、本発明は、この発酵乳用スターターを使用して発酵乳を製造する方法に関する。本発明のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)高活性能株は、増殖促進物質を使用しなくとも増殖性が高く酸生成能も高いという菌学的特性を有するので、この高活性能株を使用することにより、発酵乳用スターターの調製や発酵乳製造の時間を短縮することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、牛乳等を主成分とするヨーグルトミックスにラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus) やストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus) 等の伝統的な酪農乳酸菌を発酵乳用スターターとして接種し、発酵乳を製造している。また、近年では、ヒト腸内に定着するラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)やビフィズス菌を発酵乳用スターターとして併用し、発酵乳を製造している場合もある。このラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)やビフィズス菌は、ヒトの常在細菌として腸内菌叢を改善することや摂取による健康への寄与、コレステロール抑制作用、老化防止等に効果を有することが知られている。
【0003】
ところが、このような種々の生理機能を有し、ヒトにとって有用なラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)やビフィズス菌が生育するには、栄養要求性や生育環境の面で条件が厳しく、通常、これらの乳酸菌を発酵乳用スターターとして使用した場合、乳酸菌の増殖性が悪いので発酵時間が長くなるという問題がある。また、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)やビフィズス菌を使用して発酵乳用スターターを調製するに際しては、目的とする酸度や生菌数を得るためにペプトンや酵母エキス等の増殖物質を使用しなければならず、この発酵乳用スターターを使用して発酵乳を製造した場合、風味等に影響を及ぼすという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上述の問題を解決するために鋭意研究を進めたところ、ペプトンや酵母エキス等の増殖促進物質を使用しなくても増殖性に優れたラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)高活性能株を見出した。そして、このラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)高活性能株を発酵乳用スターターとして使用することにより、発酵乳の発酵時間を短縮することができることを見出し、本発明を完成するに至った。したがって、本発明は、増殖性及び酸生成能に優れており、ペプトンや酵母エキス等の増殖促進物質を使用しなくても風味の優れた発酵乳を製造することのできるラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)高活性能株を提供することを課題とする。また、本発明は、このラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)高活性能株を使用した発酵乳用スターターを提供することを課題とする。さらに、本発明は、この発酵乳用スターターを使用することにより発酵時間を短縮した発酵乳の製造法を提供することを課題とする。
【0005】
【発明を解決するための手段】
本発明は、ペプトンや酵母エキス等の増殖促進物質を使用しない還元脱脂乳培地中で培養しても、短時間で目的とする酸度や生菌数に到達するという性質を有するラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)高活性能株にある。また、本発明は、このラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)高活性能株を使用した発酵乳用スターターにある。さらに、本発明は、この発酵乳用スターターを牛乳等を主成分とするヨーグルトミックスに接種し、短時間で目的とする酸度や生菌数に到達させる発酵乳の製造法にある。
【0006】
本発明でいうラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)高活性能株は、脱脂粉乳11.5重量%を含有する還元脱脂乳培地中、39℃で8時間培養した時の酸度が 1.0%以上であり、かつ生菌数が 1.0×109(cfu/g)以上であるという性質を有するラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の菌株である。このラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)高活性能株は、ペプトンや酵母エキス等の増殖促進物質を使用しない還元脱脂乳培地中で培養しても、短時間で目的とする酸度や生菌数に到達するという性質を有する菌株を求めて、本発明者らがスクリーニングを行い、健康な成人の糞便中から分離した菌株中にこのような性質を有する菌株を見出したもので、特に、35℃〜42℃の温度域で高活性能を示す。
【0007】
次に、このラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)高活性能株の分離法について説明する。健康な成人の糞便を10倍の希釈水にとってホモジナイズし、順次10倍段階に希釈してBL平板寒天培地に塗抹した後、37℃で3日間嫌気培養し、生じたコロニーの中から円形で灰白色のコロニーを選択した。そして、このようにして選択したコロニーを脱脂粉乳11.5重量%を含有する還元脱脂乳培地中に接種し、37℃で6時間培養して、高活性能を有する菌株を選択した。
【0008】
このようにして得られた本発明のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)高活性能株の菌学的性質は、次の通りである。
1.分類学的性状
(1)BL寒天平板培地を用い、37℃で48〜72時間スチールウール法により嫌気培養した時の菌形(光学顕微鏡による観察)
大きさ: 0.3〜 1.0μm × 4.0〜12.0μm
形状:桿菌、連鎖状
(2)前記(1)と同一条件で培養した時のグラム染色性
陽性を示す。
(3)前記(1)と同一条件で培養した時のコロニー形態
形状:正円
隆起:半球形に隆起
周縁:円滑
大きさ:直径 1.5〜3.0mm
色調:灰白色
表面:偏平
【0009】
(4)芽胞形成:陰性
(5)ブドウ糖からのガス産生:なし
(6)運動性:なし
(7)カタラーゼ活性:陰性
(8)リトマスミルクの凝固性:凝固
(9)インドール産生:なし
(10)硫化水素産生:なし
(11)乳酸の施光性:DL
(12)15℃生育能:陰性
(13)好気性発育:あり
(14)嫌気性発育:あり
【0010】
(15)糖発酵性(光岡の方法 [光岡知足:臨床検査, vol.18, pp.1163-1172, 1974] 、−;生育せず、+;生育を認める)
1.アラビノース −
2.キシロース −
3.ラムノース −
4.ソルボース −
5.リボース −
6.グルコース +
7.マンノース +
8.フラクトース +
9.ガラクトース +
10.サッカロース +
11.マルトース +
12.セロビオース +
13.ラクトース +
14.トレハロース −
15.メリビオース +
16.ラフィノース +
17.メリチトース −
18.デンプン −
19.マンニット −
20.ソルビット −
21.エスクリン +
22.サリシン +
23.アミグダリン +
【0011】
以上の菌学的性質を、Bergey's Manual of Systematic Bacteriology, vol.2, 1986 の分類基準に従って検索した結果、この菌株は、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)であると同定した。なお、このラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)高活性能株は、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) SBT0316 (FERM P-15299) として通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託した。
【0012】
以下に、このラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) SBT0316 (FERM P-15299) の特徴について、既知のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)菌株と比較した試験例を示す。
【試験例1】
ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) SBT0316 (FERM P-15299) と既知のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)菌株として、ATCC4356、 SBT2056 (FERM P-8744)、 SBT2062 (FERM P-10730) 及び SBT2064 (FERM P-9972)を用い、次のような比較試験を行った。すなわち、各菌株を脱脂粉乳11.5重量%及び酵母エキス 0.5重量%を含有する還元脱脂乳培地中に接種し、37℃で16時間培養した場合の各培養物の酸度及び生菌数を測定した。その結果を表1に示す。
【0013】
【表1】
Figure 0003731933
【0014】
SBT0136 (FERM P-15299)は、ATCC4356、 SBT2056 (FERM P-8744)、 SBT2062 (FERM P-10730) 及び SBT2064 (FERM P-9972)と比較して、酸度で0.77%以上(1.5〜1.8 倍)、生菌数で約2〜 100倍の高い値を示した。このように、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) SBT0136 (FERM P-15299) は高活性能を有することが判る。
【0015】
【試験例2】
また、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) SBT0316 (FERM P-15299) と既知のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillusacidophilus)菌株として、ATCC4356、 SBT2056 (FERM P-8744)、 SBT2062 (FERM P-10730) 及び SBT2064 (FERM P-9972)を用い、次のような比較試験を行った。すなわち、各菌株を脱脂粉乳11.5重量%を含有する還元脱脂乳培地中に接種し、39℃で2時間、4時間、6時間及び8時間培養した場合の各培養物の酸度及び生菌数を測定した。その結果を表2及び表3に示す。
【0016】
【表2】
Figure 0003731933
【0017】
【表3】
Figure 0003731933
【0018】
SBT0136 (FERM P-15299)の酸度は、ATCC4356、 SBT2056 (FERM P-8744)、 SBT2062 (FERM P-10730) 及び SBT2064 (FERM P-9972)と比較して2〜6倍の高い値を示し、また、生菌数は、4時間で9〜 100倍、8時間でも9〜 100倍と高い値を示した。このように、増殖促進物質を使用しなくても、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) SBT0136 (FERM P-15299) は高活性能を有することが判る。特に、この培養条件において本発明のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) SBT0136 (FERM P-15299) は他のラクトバチルス・アシドフィルスが培地の酸度が酸度 1.0%より著しく低い酸度にしか生成できないのに対し、酸度 1.0%以上とし、また他のラクトバチルス・アシドフィルスの生菌数が108(cfu/g)オーダーであるのに対し、 1.0×109(cfu/g)以上とし、これらの点において他のラクトバチルス・アシドフィルスと顕著に異なる菌学的特性を有する。
【0019】
【試験例3】
ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) SBT0316 (FERM P-15299) と既知のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)菌株として、ATCC4356、 SBT2056 (FERM P-8744)、 SBT2062 (FERM P-10730) 及び SBT2064 (FERM P-9972)を用い、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus) と併用して発酵乳用スターターを調製した。すなわち、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の各菌株の培養物 1.5重量%とストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcusthermophilus) SBT1021A (FERM P-10658) の培養物 1.5重量%とを次の培地に接種し、32℃又は37℃で16時間培養した場合の各培養物の酸度を測定した。培地としては、脱脂粉乳11.5重量%及び酵母エキス 0.5重量%を含有する還元脱脂乳培地を95℃で20分殺菌して使用した。その結果を表4に示す。
【0020】
【表4】
Figure 0003731933
【0021】
ATCC4356、 SBT2056 (FERM P-8744)、 SBT2062 (FERM P-10730) 及び SBT2064 (FERM P-9972)と比較してSBT0136 (FERM P-15299)をストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus) SBT1021A (FERM P-10658) と併用した場合、32℃の培養温度では0.22〜0.33%(1.2〜1.3 倍)、37℃の培養温度では0.74〜0.82%(1.5〜1.6 倍)高い酸度を示した。このように、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) SBT0316 (FERM P-15299) は、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus) SBT1021A (FERM P-10658) と併用して培養しても高活性能を有することが判る。
【0022】
本発明のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)高活性能株を使用して発酵乳を製造するに際しては、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)高活性能株を単独で発酵乳用スターターとして使用しても良いが、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus) やビフィズス菌と併用しても良い。ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)高活性能株とストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus) を併用して発酵乳を製造する場合には、脱脂粉乳8〜12重量%を含有する還元脱脂乳培地や生乳等を使用した培地に各菌株を1〜8重量%接種し、30〜45℃で培養して2菌種混合状態で発酵乳用スターターを調製すると良く、この発酵乳用スターターをヨーグルトミックスに1〜10重量%接種し、35〜45℃で発酵させることにより発酵乳を製造すると良い。また、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)高活性能株、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus) 及びビフィズス菌を併用して発酵乳を製造する場合には、酵母エキスやペプトン等の増殖促進物質を0.25〜1重量%添加した脱脂粉乳8〜12重量%を含有する還元脱脂乳培地や生乳等を使用した培地に各菌株を1〜8重量%接種し、32〜39℃で培養して各菌株単独で発酵乳用スターターを調製すると良く、この発酵乳用スターターをヨーグルトミックスに3〜10重量%接種し、37〜43℃で発酵させることにより発酵乳を製造すると良い。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、実施例を示し、本発明を詳しく説明する。
【実施例1】
ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)高活性能株を取得する目的で、健康な成人の糞便からラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)を分離した。すなわち、各試料を10倍の希釈水にとってホモジナイズし、順次、10倍段階に希釈してBL平板寒天培地に塗沫した後、37℃で3日間嫌気培養し、生じたコロニーの中から円形で灰白色のコロニーを選択し、さらに、分類学的性状を観察して、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の菌株 120株を得た。
【0024】
次に、酵母エキス 0.5重量%及び脱脂粉乳10重量%を含有する還元脱脂乳培地を 115℃で20分間滅菌した後、上記のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の各菌株を3重量%接種し、37℃で16〜24時間、培地が凝固するまで培養した。この同様の条件で培養を3回繰り返し、安定した状態にした。
【0025】
そして、第1次スクリーニングとして、10重量%脱脂粉乳を含有する還元脱脂乳培地を90〜95℃で30分間殺菌した後、安定化したラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の各菌株を3重量%接種し、37℃で6時間培養して、培地が凝固し、かつ酸度が0.80%以上の菌株17株を選択した。
【0026】
次に、第2次スクリーニングを次の方法で実施した。
酵母エキス 0.5重量%及び脱脂粉乳10重量%を含有する還元脱脂培地を90〜95℃で30分間加熱殺菌し、この培地に、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus) SBT1021A (FERM P-10658) を接種し、上記のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)と同様の条件で培養を3回繰り返して、安定した状態にしたストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus) SBT 1021A (FERM P-10658)を得た。一方、上記の第1次スクリーニングで選択されたラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)を上記と同様の条件で3回培養して、安定した状態にしたラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の各菌株を得た。
この安定な状態のストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus) SBT1021A (FERM P-10658) とラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の各菌株とを、それぞれ 1.5重量%、合計 3.0重量%を脱脂粉乳を10重量%含有する還元脱脂粉乳培地に接種して32℃で16時間培養して、酸度が1.14%以上で、かつラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillusacidophilus)の生菌数が108cfu/g以上となった菌株7株を得た。
【0027】
最後に第3次スクリーニングを次の方法で行なった。
酵母エキス 0.5重量%及び脱脂粉乳10重量%を含有する還元脱脂培地を90〜95℃で30分間加熱殺菌し、この培地に、第2次スクリーニングで選択したラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の各菌株を接種し、上記と同様の条件で培養を3回繰り返して安定した状態にしたラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の菌株を得た。ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus) SBT 1021A (FERM P-10658)とビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum) SBT2928 (FERM P-10657)とを同様に別々に上記の培地に接種し、同様に培養し、これを3回繰り返してそれぞれ安定した状態にした菌株を得た。
このようにして安定した状態にしたラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の各菌株及び、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus) SBT 1021A (FERM P-10658)をそれぞれ 1.5重量%とビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum) SBT2928 (FERM P-10657)を3重量%との合計6重量%を、90〜95℃で30分間加熱殺菌した牛乳を主成分とするヨーグルトミックスの培地に接種し、39℃で酸度が0.80%に達するまで発酵させて、短時間で発酵が完了したラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) 高活性能株であるラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) SBT 0316 (FERM P-15299)を得た。
【0028】
【実施例2】
実施例1で得られたラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) 高活性能株のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) SBT0316 (FERM P-15299) を使用してシードスターターを調製した。すなわち、脱脂粉乳11.5重量%を含有する還元脱脂乳培地200gを 115℃で20分間滅菌した後、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) SBT0316 (FERM P-15299) を3重量%接種し、37℃で16時間培養してシードスターター206gを得た。次に、発酵乳の製造をスケールアップする為に、シードスターターを調製するのと同様の方法でバルクスターターに接種するマザースターターを調製した。すなわち、脱脂粉乳11.5重量%を含有する還元脱脂乳培地 5.0kgを 115℃で20分間滅菌した後、上記のシードスターターを3重量%接種し、37℃で16時間培養してマザースターター5.15kgを得た。そして、ヨーグルトミックスに接種するバルクスターターを調製した。すなわち、脱脂粉乳11.5重量%を含有する還元脱脂乳培地 100kgを95℃で30分間殺菌した後、上記のマザースターターを3重量%接種し、42℃で6時間培養してバルクスターター 103kgを得た。このバルクスターターの酸度は1.26%であり、生菌数は 1.2×109cfu/gであった。
【0029】
【実施例3】
ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) SBT0316 (FERM P-15299) と既知のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)菌株として、ATCC4356、 SBT 2056(FERM P-8744)、 SBT 2062(FERM P-10730) 及び SBT 2064(FERM P-9972)を使用し、それぞれの菌株について実施例2に示したと同様の方法により、シードスターター、マザースターター及びバルクスターターを得た。
そして、牛乳を主成分とするヨーグルトミックスを95℃で30分間殺菌した後、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の各々のバルクスターター 1.5重量%と、同様にして調製したストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus) SBT 1021A (FERM P-10658)のバルクスターター 1.5重量%及びビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum) SBT 2928 (FERM P-10657) の培養物3重量%の計6重量%を接種し、39℃で発酵後の到達目標酸度を0.80%として発酵を行ない、10℃まで急冷却をして発酵乳製品を得た。表5に到達目標酸度までに要した発酵時間と生菌数を示した。
【0030】
【表5】
Figure 0003731933
【0031】
ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus) 及びビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum) の3菌種を混合培養した時の発酵時間は、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) SBT0316 (FERM P-15299) を使用した場合、 180分で目標酸度に到達するが、他のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の菌株を使用した場合、目標酸度まで 260〜325 分を要する。また、発酵後の生菌数は、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus) 及びビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum) 共に108cfu/ml のオーダーであった。
【0032】
【発明の効果】
高活性能のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)を発酵乳用スターターとして使用することにより、発酵温度が低温で、かつ通常の発酵に要する時間よりも2〜4時間短い時間で発酵乳を製造することができる。また、スターター調製の際は、酵母エキスやペプトン等の増殖促進物質が不要であり、きめ細かく滑らかな組織とマイルドな風味を呈する良好な発酵乳製品を製造することができる。

Claims (3)

  1. 増殖促進物質を使用しなくとも還元脱脂乳培地中で高い酸生成能及び増殖性を示すラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) SBT 0316 (FERM P-15299)菌株。
  2. 請求項1記載のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) SBT 0316 (FERM P-15299)菌株を使用したことを特徴とする発酵乳用スターター。
  3. 請求項記載の発酵乳用スターターを使用して発酵乳を製造することを特徴とする発酵乳の製造法。
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