JPH09190826A - 固体電解質型燃料電池およびその製造方法 - Google Patents
固体電解質型燃料電池およびその製造方法Info
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- JPH09190826A JPH09190826A JP7354331A JP35433195A JPH09190826A JP H09190826 A JPH09190826 A JP H09190826A JP 7354331 A JP7354331 A JP 7354331A JP 35433195 A JP35433195 A JP 35433195A JP H09190826 A JPH09190826 A JP H09190826A
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- powder
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P70/00—Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
- Y02P70/50—Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product
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- Fuel Cell (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】セルの大型化に対応できるプラズマ溶射法によ
って触媒活性に優れたアノード層が形成できるように
し、優れた特性の固体電解質型燃料電池の製造を可能と
する。 【解決手段】粒径が1μm以下のNiO と、粒径が1μm
以下と数十μm程度のYSZにバインダーを加えて混合
し、大気中室温で乾燥し、5〜6mmのメッシュでの目通
し、約108 Paでの仮成形、粉砕、106 μmのメッシュで
の目通しを行った後、大気中、1300℃において2時間の
仮焼きを行い、仮焼した粉末を粉砕して45〜106 μmに
分級し、NiO-YSZ粉末を作製する。次いで、作製した
NiO-YSZ粉末を、低流量の Ar と H2 をプラズマガス
とし低プラズマ入力により、基板あるいは電解質層の上
にプラズマ溶射して堆積させ、アノード層を形成するこ
ととする。
って触媒活性に優れたアノード層が形成できるように
し、優れた特性の固体電解質型燃料電池の製造を可能と
する。 【解決手段】粒径が1μm以下のNiO と、粒径が1μm
以下と数十μm程度のYSZにバインダーを加えて混合
し、大気中室温で乾燥し、5〜6mmのメッシュでの目通
し、約108 Paでの仮成形、粉砕、106 μmのメッシュで
の目通しを行った後、大気中、1300℃において2時間の
仮焼きを行い、仮焼した粉末を粉砕して45〜106 μmに
分級し、NiO-YSZ粉末を作製する。次いで、作製した
NiO-YSZ粉末を、低流量の Ar と H2 をプラズマガス
とし低プラズマ入力により、基板あるいは電解質層の上
にプラズマ溶射して堆積させ、アノード層を形成するこ
ととする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、固体電解質を用
いて電気化学反応によってそのギブスの自由エネルギー
を電気エネルギーに変換する固体電解質型燃料電池に係
わり、とくにセルを構成するアノードとその製造方法に
関する。
いて電気化学反応によってそのギブスの自由エネルギー
を電気エネルギーに変換する固体電解質型燃料電池に係
わり、とくにセルを構成するアノードとその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】イットリア安定化ジルコニア等の酸化物
固体電解質を用いる固体電解質型燃料電池(Solid Oxid
e Fuel Cell ,以下SOFCと略記する)は、作動温度
が 800〜1000℃という高温であるため発電効率が高く、
また燃料ガスの改質の簡素化が期待されるという利点を
持ち、さらに、電解質が固体であるため取扱いが容易
で、かつ長期間の安定性に優れるという利点をもつこと
から、次世代の燃料電池として期待され、官民を問わず
様々な機関において開発が進められている。
固体電解質を用いる固体電解質型燃料電池(Solid Oxid
e Fuel Cell ,以下SOFCと略記する)は、作動温度
が 800〜1000℃という高温であるため発電効率が高く、
また燃料ガスの改質の簡素化が期待されるという利点を
持ち、さらに、電解質が固体であるため取扱いが容易
で、かつ長期間の安定性に優れるという利点をもつこと
から、次世代の燃料電池として期待され、官民を問わず
様々な機関において開発が進められている。
【0003】SOFCは、円筒状に形成する円筒型と平
板状に形成する平板型とに大別され、さらに平板型のS
OFCは、焼結法等により作製した自立した電解質層の
両側にアノード層とカソード層を形成してセルを構成す
る自立膜方式と、基板上にアノード層と電解質層とカソ
ード層を順次形成するか、あるいはアノード層(又はカ
ソード層)を基板としてその上に電解質層とカソード層
(又はアノード層)を形成してセルを構成する支持膜方
式との2種類に分類される。
板状に形成する平板型とに大別され、さらに平板型のS
OFCは、焼結法等により作製した自立した電解質層の
両側にアノード層とカソード層を形成してセルを構成す
る自立膜方式と、基板上にアノード層と電解質層とカソ
ード層を順次形成するか、あるいはアノード層(又はカ
ソード層)を基板としてその上に電解質層とカソード層
(又はアノード層)を形成してセルを構成する支持膜方
式との2種類に分類される。
【0004】図4は、支持膜方式のSOFCのセルの基
本構成を示す模式図である。セル基板を兼ねたアノード
層1の上に、電解質層2とカソード層3を形成して構成
されており、 800〜1000℃の温度条件下で、アノード層
1に水素あるいは燃料改質ガスを、またカソード層3に
酸素あるいは空気を供給することにより電気エネルギー
を得ることができる。
本構成を示す模式図である。セル基板を兼ねたアノード
層1の上に、電解質層2とカソード層3を形成して構成
されており、 800〜1000℃の温度条件下で、アノード層
1に水素あるいは燃料改質ガスを、またカソード層3に
酸素あるいは空気を供給することにより電気エネルギー
を得ることができる。
【0005】支持膜方式あるいは自立膜方式のSOFC
において、アノード層を基板上あるいは電解質層上に形
成する方法には種々の方法があるが、代表的な方法の一
つとしてプラズマ溶射法が用いられている。プラズマ溶
射法は、プラズマ中にアノード層の出発粉体となる酸化
ニッケル等の粉末を導入し、これを溶融し、基板上に堆
積して皮膜を形成する方法で、成膜速度が速く比較的簡
便に成膜できるという利点があり、かつ単セルの大型化
に対応できる成膜方法である。
において、アノード層を基板上あるいは電解質層上に形
成する方法には種々の方法があるが、代表的な方法の一
つとしてプラズマ溶射法が用いられている。プラズマ溶
射法は、プラズマ中にアノード層の出発粉体となる酸化
ニッケル等の粉末を導入し、これを溶融し、基板上に堆
積して皮膜を形成する方法で、成膜速度が速く比較的簡
便に成膜できるという利点があり、かつ単セルの大型化
に対応できる成膜方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】プラズマ溶射法でアノ
ード層を形成する場合、出発粉体として用いる酸化ニッ
ケルの粉末が細か過ぎると流動性が悪くフィードできな
くなるので、粒径の大きな粉末が用いられており、溶射
用粉末として市販されている酸化ニッケルの粒径は、お
およそ10〜45μmである。これに対して、アノード層で
は、酸化ニッケルがSOFCの運転条件下でニッケルに
還元された際、粒径が小さいほど総表面積、すなわち反
応面積が大きくなり、アノードとしての触媒活性が高く
なるので、使用する酸化ニッケルの粒径が小さいほど優
れたアノード特性をもつこととなる。したがって、従来
のプラズマ溶射法で形成したアノード層は、1μm以下
の微細な酸化ニッケルを用いるスラリーコーティング法
で形成したアノード層に比較して触媒活性が劣るという
難点がある。
ード層を形成する場合、出発粉体として用いる酸化ニッ
ケルの粉末が細か過ぎると流動性が悪くフィードできな
くなるので、粒径の大きな粉末が用いられており、溶射
用粉末として市販されている酸化ニッケルの粒径は、お
およそ10〜45μmである。これに対して、アノード層で
は、酸化ニッケルがSOFCの運転条件下でニッケルに
還元された際、粒径が小さいほど総表面積、すなわち反
応面積が大きくなり、アノードとしての触媒活性が高く
なるので、使用する酸化ニッケルの粒径が小さいほど優
れたアノード特性をもつこととなる。したがって、従来
のプラズマ溶射法で形成したアノード層は、1μm以下
の微細な酸化ニッケルを用いるスラリーコーティング法
で形成したアノード層に比較して触媒活性が劣るという
難点がある。
【0007】また、実際にアノード層を形成する場合に
は、密接する電解質層との熱膨張率の差に起因する割れ
やクラックの発生を防止するために、ニッケルと安定化
ジルコニアの混合体であるニッケル−ジルコニアサーメ
ットによりアノード層を形成する方法がしばしば用いら
れる。プラズマ溶射法によってニッケル−ジルコニアサ
ーメットを形成する際には、出発原料である酸化ニッケ
ルと安定化ジルコニアの粉末を均一に混合し、これを導
入して溶射する方法が一般的に用いられることとなる
が、粉末を均一に混合しても、酸化ニッケルと安定化ジ
ルコニアの密度の差によって導入時に運動量の差が生
じ、このため分散状態の不均一を生じやすいという問題
点がある。
は、密接する電解質層との熱膨張率の差に起因する割れ
やクラックの発生を防止するために、ニッケルと安定化
ジルコニアの混合体であるニッケル−ジルコニアサーメ
ットによりアノード層を形成する方法がしばしば用いら
れる。プラズマ溶射法によってニッケル−ジルコニアサ
ーメットを形成する際には、出発原料である酸化ニッケ
ルと安定化ジルコニアの粉末を均一に混合し、これを導
入して溶射する方法が一般的に用いられることとなる
が、粉末を均一に混合しても、酸化ニッケルと安定化ジ
ルコニアの密度の差によって導入時に運動量の差が生
じ、このため分散状態の不均一を生じやすいという問題
点がある。
【0008】この発明は、上記のごとき従来技術の難点
を考慮してなされたもので、その目的は、セルの大型化
に対応可能なプラズマ溶射法による触媒活性に優れたア
ノード層の形成を可能とし、優れた電池特性を有する固
体電解質型燃料電池と、その製造方法を提供することに
ある。
を考慮してなされたもので、その目的は、セルの大型化
に対応可能なプラズマ溶射法による触媒活性に優れたア
ノード層の形成を可能とし、優れた電池特性を有する固
体電解質型燃料電池と、その製造方法を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明においては、固体電解質からなる電解質層
と、その両主面に配されるアノード層とカソード層とを
備える固体電解質型燃料電池において、粒径が1μm以
下の酸化ニッケルと、粒径が1μm以下の安定化ジルコ
ニアと、粒径が数十μmの安定化ジルコニアとを混合
し、仮焼したのち粉砕し、分級して酸化ニッケル−安定
化ジルコニア粉末を作製し、得られた酸化ニッケル−安
定化ジルコニア粉末を、プラズマ溶射法、例えばプラズ
マガスとして毎分10〜15リットルの流量のArと毎
分3〜10リットルの流量のN2 とを用い、13〜15
kWのプラズマ入力で溶射するプラズマ溶射法を用い
て、アノード層支持基板あるいは電解質層の上に堆積
し、アノード層を形成することとし、上記の製造方法に
より形成されたアノード層を用いて固体電解質型燃料電
池を構成することとする。
めに、本発明においては、固体電解質からなる電解質層
と、その両主面に配されるアノード層とカソード層とを
備える固体電解質型燃料電池において、粒径が1μm以
下の酸化ニッケルと、粒径が1μm以下の安定化ジルコ
ニアと、粒径が数十μmの安定化ジルコニアとを混合
し、仮焼したのち粉砕し、分級して酸化ニッケル−安定
化ジルコニア粉末を作製し、得られた酸化ニッケル−安
定化ジルコニア粉末を、プラズマ溶射法、例えばプラズ
マガスとして毎分10〜15リットルの流量のArと毎
分3〜10リットルの流量のN2 とを用い、13〜15
kWのプラズマ入力で溶射するプラズマ溶射法を用い
て、アノード層支持基板あるいは電解質層の上に堆積
し、アノード層を形成することとし、上記の製造方法に
より形成されたアノード層を用いて固体電解質型燃料電
池を構成することとする。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の固体電解質型燃
料電池の製造方法におけるアノード層形成用の粉末の製
造法を示すフロー図である。図に見られるように、本製
造法では、まず、粒径が1μm以下の酸化ニッケル(Ni
O )と、粒径が1μm以下と数十μm程度の安定化ジル
コニア(YSZ)にバインダーを加えて混合したのち、
大気中室温にて乾燥する。次いで、5〜6mmのメッシュ
を用いて目通しを行い、1[t/cm2] すなわち約 108 Pa
の圧力を加えて仮成形する。仮成形した粉末を粉砕し、
106 μmのメッシュを通過させたのち、大気中、1300℃
において2時間の仮焼きを行う。この後、仮焼した粉末
を粉砕し、45〜106 μmに分級し、アノード層形成用の
NiO−YSZ粉末を得る。
料電池の製造方法におけるアノード層形成用の粉末の製
造法を示すフロー図である。図に見られるように、本製
造法では、まず、粒径が1μm以下の酸化ニッケル(Ni
O )と、粒径が1μm以下と数十μm程度の安定化ジル
コニア(YSZ)にバインダーを加えて混合したのち、
大気中室温にて乾燥する。次いで、5〜6mmのメッシュ
を用いて目通しを行い、1[t/cm2] すなわち約 108 Pa
の圧力を加えて仮成形する。仮成形した粉末を粉砕し、
106 μmのメッシュを通過させたのち、大気中、1300℃
において2時間の仮焼きを行う。この後、仮焼した粉末
を粉砕し、45〜106 μmに分級し、アノード層形成用の
NiO−YSZ粉末を得る。
【0011】このようにして得られた NiO−YSZ粉末
は、粒径が1μm以下の NiOおよびYSZを備えて形成
されているので高い触媒活性を有し、かつ45〜106 μm
に分級した粒径の大きなものとして形成されているの
で、粉末の流動性に優れ、プラズマ溶射法による層形成
に好適となる。上記の製造法により作製された NiO−Y
SZ粉末を、Ni−Cr系耐熱合金からなる支持基板上に大
気圧プラズマ溶射法により溶射しアノード層を形成し
た。表1は、用いた大気圧プラズマ溶射法の溶射条件と
形成された皮膜の還元後のガス透過係数を、永田等によ
る従来例(日本溶射協会第60回全国講演大会講演論文
集,1994-10, P.50 )と比較して示したものである。
は、粒径が1μm以下の NiOおよびYSZを備えて形成
されているので高い触媒活性を有し、かつ45〜106 μm
に分級した粒径の大きなものとして形成されているの
で、粉末の流動性に優れ、プラズマ溶射法による層形成
に好適となる。上記の製造法により作製された NiO−Y
SZ粉末を、Ni−Cr系耐熱合金からなる支持基板上に大
気圧プラズマ溶射法により溶射しアノード層を形成し
た。表1は、用いた大気圧プラズマ溶射法の溶射条件と
形成された皮膜の還元後のガス透過係数を、永田等によ
る従来例(日本溶射協会第60回全国講演大会講演論文
集,1994-10, P.50 )と比較して示したものである。
【0012】
【表1】 NiO−YSZ粉末は高融点(2700℃)のYSZを含んで
いるので、従来の溶射法においては、熱伝導率の高いH
2 をプラズマガスとして使用し、高プラズマ入力を投入
していた。これに対して、本発明の実施例では、プラズ
マガスとして、熱伝導率がH2 より劣るN2 を使用し、
プラズマ入力を13〜15 kW と低く抑えていることが特徴
である。従来例ではArを40〜50リットル/min、H2 を
数〜十数リットル/minとして大流量のプラズマガスを用
いていたのに対して、本実施例では、Arを10〜15リッ
トル/min、N2 を 3〜10リットル/minと少流量にするこ
とにより、プラズマ流速を低下させ、プラズマ中での粉
末の滞留時間を長くすることにより溶射を可能としてい
る。また、上記の工程により作製された NiO−YSZ粉
末は、微細な NiOとYSZが高分散して形成されている
ので、 NiOの融点(1950℃)に達すれば、YSZが溶融
しなくても NiO−YSZ粉末を溶射できることとなり、
上記のごとく低プラズマ入力での成膜が可能となる。こ
れらの条件下で支持基板上に溶射し成膜した皮膜は多孔
質で、還元した後のガス透過係数は、表中に示したよう
に良好な値を示した。本 NiO−YSZ粉末をもちいれ
ば、このように低ガス流量、低プラズマ入力の溶射条件
においても多孔質のアノード層が作製できるので、作製
コストも低く抑えられることとなる。
いるので、従来の溶射法においては、熱伝導率の高いH
2 をプラズマガスとして使用し、高プラズマ入力を投入
していた。これに対して、本発明の実施例では、プラズ
マガスとして、熱伝導率がH2 より劣るN2 を使用し、
プラズマ入力を13〜15 kW と低く抑えていることが特徴
である。従来例ではArを40〜50リットル/min、H2 を
数〜十数リットル/minとして大流量のプラズマガスを用
いていたのに対して、本実施例では、Arを10〜15リッ
トル/min、N2 を 3〜10リットル/minと少流量にするこ
とにより、プラズマ流速を低下させ、プラズマ中での粉
末の滞留時間を長くすることにより溶射を可能としてい
る。また、上記の工程により作製された NiO−YSZ粉
末は、微細な NiOとYSZが高分散して形成されている
ので、 NiOの融点(1950℃)に達すれば、YSZが溶融
しなくても NiO−YSZ粉末を溶射できることとなり、
上記のごとく低プラズマ入力での成膜が可能となる。こ
れらの条件下で支持基板上に溶射し成膜した皮膜は多孔
質で、還元した後のガス透過係数は、表中に示したよう
に良好な値を示した。本 NiO−YSZ粉末をもちいれ
ば、このように低ガス流量、低プラズマ入力の溶射条件
においても多孔質のアノード層が作製できるので、作製
コストも低く抑えられることとなる。
【0013】次に、図1に示した工程により作製された
NiO−YSZ粉末を用い、大気圧プラズマ溶射法で表1
の条件により溶射して形成したアノード層の電池性能の
評価を行うために、Ni−Cr系耐熱合金からなる支持基板
上に大気圧プラズマ溶射法により平均膜厚 80 μmのア
ノード層を形成し、さらにその上に電解質層を形成して
アノード分極を測定した。
NiO−YSZ粉末を用い、大気圧プラズマ溶射法で表1
の条件により溶射して形成したアノード層の電池性能の
評価を行うために、Ni−Cr系耐熱合金からなる支持基板
上に大気圧プラズマ溶射法により平均膜厚 80 μmのア
ノード層を形成し、さらにその上に電解質層を形成して
アノード分極を測定した。
【0014】図2は、試作した試料のアノード分極の測
定値を従来品と比較して示した特性図である。比較対象
として示した従来品は、粒径が10〜44μmのNiO と粒径
が同じく10〜44μmのYSZを、プラズマガスにArと
H2 を用い、プラズマ入力を25kW としてプラズマ溶射
して形成したアノード層によるもので、電流密度が 0.3
[A/cm2]におけるアノード分極は約 130 mV であった。
これに対して、上記のように作製した本発明の実施例の
試料では、約 70 mVに低下している。アノード分極は、
アノード自身、および電解質とアノードとの界面におけ
る抵抗性損失を除いた電圧降下に相当するものであり、
この値の低下は電極性能の向上を示すものである。すな
わち、本発明の製造法により作製されたアノード粉末を
用い、上記のごとき条件下でプラズマ溶射してアノード
層を形成すれば、電極性能が向上し、優れた特性を備え
たSOFCが得られることとなる。
定値を従来品と比較して示した特性図である。比較対象
として示した従来品は、粒径が10〜44μmのNiO と粒径
が同じく10〜44μmのYSZを、プラズマガスにArと
H2 を用い、プラズマ入力を25kW としてプラズマ溶射
して形成したアノード層によるもので、電流密度が 0.3
[A/cm2]におけるアノード分極は約 130 mV であった。
これに対して、上記のように作製した本発明の実施例の
試料では、約 70 mVに低下している。アノード分極は、
アノード自身、および電解質とアノードとの界面におけ
る抵抗性損失を除いた電圧降下に相当するものであり、
この値の低下は電極性能の向上を示すものである。すな
わち、本発明の製造法により作製されたアノード粉末を
用い、上記のごとき条件下でプラズマ溶射してアノード
層を形成すれば、電極性能が向上し、優れた特性を備え
たSOFCが得られることとなる。
【0015】図3は、本発明の製造方法によりアノード
層を形成したセルについて、1000時間にわたり耐久試験
を行い、その組織を観察したSEM写真である。Ni−Cr
系耐熱合金からなるアノード層基板4の上に形成されて
いるアノード層1は、1000時間経過後も明らかに多孔質
に維持されている。また、アノード層基板4のNi−Cr系
耐熱合金の熱膨張係数が15×10-6〔K-1〕であるのに対
して電解質層2の熱膨張係数は10.5×10-6〔K-1〕と大
幅な差異があるにも係わらず、いずれの層にもクラック
や割れを認められず良好な断面を示しており、本発明に
よる多孔質のアノード層がアノード層基板4と電解質層
2との緩衝層の役割を果たし、セルの信頼性が向上して
いることがわかる。
層を形成したセルについて、1000時間にわたり耐久試験
を行い、その組織を観察したSEM写真である。Ni−Cr
系耐熱合金からなるアノード層基板4の上に形成されて
いるアノード層1は、1000時間経過後も明らかに多孔質
に維持されている。また、アノード層基板4のNi−Cr系
耐熱合金の熱膨張係数が15×10-6〔K-1〕であるのに対
して電解質層2の熱膨張係数は10.5×10-6〔K-1〕と大
幅な差異があるにも係わらず、いずれの層にもクラック
や割れを認められず良好な断面を示しており、本発明に
よる多孔質のアノード層がアノード層基板4と電解質層
2との緩衝層の役割を果たし、セルの信頼性が向上して
いることがわかる。
【0016】
【発明の効果】上述のように、本発明によれば、固体電
解質からなる電解質層と、その両主面に配されるアノー
ド層とカソード層とを備える固体電解質型燃料電池にお
いて、粒径が1μm以下の酸化ニッケルと、粒径が1μ
m以下の安定化ジルコニアと、粒径が数十μmの安定化
ジルコニアとを混合し、仮焼したのち粉砕し、分級して
酸化ニッケル−安定化ジルコニア粉末を作製し、得られ
た酸化ニッケル−安定化ジルコニア粉末を、プラズマ溶
射法、例えばプラズマガスとして毎分10〜15リット
ルの流量のArと毎分3〜10リットルの流量のN2 と
を用い、13〜15kWのプラズマ入力で溶射するプラ
ズマ溶射法を用いて、アノード層支持基板あるいは電解
質層の上に堆積し、アノード層を形成することとしたの
で、大型セルの製作に対応できるプラズマ溶射法を用い
て触媒活性の優れたアノード層が形成できることとな
り、優れた電池特性を有する固体電解質型燃料電池が得
られることとなった。
解質からなる電解質層と、その両主面に配されるアノー
ド層とカソード層とを備える固体電解質型燃料電池にお
いて、粒径が1μm以下の酸化ニッケルと、粒径が1μ
m以下の安定化ジルコニアと、粒径が数十μmの安定化
ジルコニアとを混合し、仮焼したのち粉砕し、分級して
酸化ニッケル−安定化ジルコニア粉末を作製し、得られ
た酸化ニッケル−安定化ジルコニア粉末を、プラズマ溶
射法、例えばプラズマガスとして毎分10〜15リット
ルの流量のArと毎分3〜10リットルの流量のN2 と
を用い、13〜15kWのプラズマ入力で溶射するプラ
ズマ溶射法を用いて、アノード層支持基板あるいは電解
質層の上に堆積し、アノード層を形成することとしたの
で、大型セルの製作に対応できるプラズマ溶射法を用い
て触媒活性の優れたアノード層が形成できることとな
り、優れた電池特性を有する固体電解質型燃料電池が得
られることとなった。
【図1】本発明の固体電解質型燃料電池の製造方法にお
けるアノード層形成用の粉末の製造法を示すフロー図
けるアノード層形成用の粉末の製造法を示すフロー図
【図2】本発明の固体電解質型燃料電池の製造方法によ
り試作した試料のアノード分極の特性図
り試作した試料のアノード分極の特性図
【図3】本発明の製造方法によりアノード層を形成した
セルの1000時間耐久試験後の結晶の構造のSEM写真
セルの1000時間耐久試験後の結晶の構造のSEM写真
【図4】支持膜方式のSOFCのセルの基本構成を示す
模式図
模式図
1 アノード層 2 電解質層 3 カソード層 4 アノード層基板
Claims (3)
- 【請求項1】固体電解質からなる電解質層と、その両主
面に配されるアノード層とカソード層とを備える固体電
解質型燃料電池において、 粒径が1μm以下の酸化ニッケルと、粒径が1μm以下
の安定化ジルコニアと、粒径が数十μmの安定化ジルコ
ニアとを混合し、仮焼したのち粉砕し、分級して酸化ニ
ッケル−安定化ジルコニア粉末を作製し、 得られた酸化ニッケル−安定化ジルコニア粉末を、プラ
ズマ溶射法を用いて、アノード層支持基板あるいは電解
質層の上に堆積し、前記アノード層を形成することを特
徴とする固体電解質型燃料電池の製造方法。 - 【請求項2】プラズマ溶射法が、プラズマガスとして毎
分10〜15リットルの流量のArと毎分3〜10リッ
トルの流量のN2 とを用い、13〜15kWのプラズマ
入力で溶射するプラズマ溶射法であることを特徴とする
請求項1に記載の固体電解質型燃料電池の製造方法。 - 【請求項3】固体電解質からなる電解質層と、その両主
面に配されるアノード層とカソード層とを備える固体電
解質型燃料電池において、アノード層が、請求項1また
は2に記載の固体電解質型燃料電池の製造方法を用いて
形成されてなることを特徴とする固体電解質型燃料電
池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7354331A JPH09190826A (ja) | 1995-12-28 | 1995-12-28 | 固体電解質型燃料電池およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7354331A JPH09190826A (ja) | 1995-12-28 | 1995-12-28 | 固体電解質型燃料電池およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09190826A true JPH09190826A (ja) | 1997-07-22 |
Family
ID=18436834
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7354331A Pending JPH09190826A (ja) | 1995-12-28 | 1995-12-28 | 固体電解質型燃料電池およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09190826A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004503054A (ja) * | 2000-06-30 | 2004-01-29 | フオルシュングスツェントルム ユーリッヒ ゲーエムベーハー | 温度安定な導電性を有する電極を製造する方法 |
JP2007087950A (ja) * | 2005-09-21 | 2007-04-05 | Elringklinger Ag | 燃料電池スタック用のシール構造の製造方法、及び燃料電池スタック用のシール構造 |
JP2009518810A (ja) * | 2005-12-08 | 2009-05-07 | シーメンス パワー ジェネレイション インコーポレイテッド | 多段濃度勾配の燃料電極及びその製作方法 |
JP2012520394A (ja) * | 2009-03-12 | 2012-09-06 | サン−ゴバン サントル ド レシェルシュ エ デテュド ユーロペアン | 融解サーメット製品 |
JP2013069521A (ja) * | 2011-09-22 | 2013-04-18 | Nissan Motor Co Ltd | 燃料電池、燃料電池スタック、及び燃料電池又は燃料電池スタックの製造方法 |
-
1995
- 1995-12-28 JP JP7354331A patent/JPH09190826A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2007087950A (ja) * | 2005-09-21 | 2007-04-05 | Elringklinger Ag | 燃料電池スタック用のシール構造の製造方法、及び燃料電池スタック用のシール構造 |
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JP2013069521A (ja) * | 2011-09-22 | 2013-04-18 | Nissan Motor Co Ltd | 燃料電池、燃料電池スタック、及び燃料電池又は燃料電池スタックの製造方法 |
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