JPH09189135A - 耐震補強鋼板の継手及び施工方法 - Google Patents

耐震補強鋼板の継手及び施工方法

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JPH09189135A
JPH09189135A JP407496A JP407496A JPH09189135A JP H09189135 A JPH09189135 A JP H09189135A JP 407496 A JP407496 A JP 407496A JP 407496 A JP407496 A JP 407496A JP H09189135 A JPH09189135 A JP H09189135A
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JP
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steel plate
joint
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earthquake
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JP407496A
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Takeshi Oki
健 沖
Akihiro Konbu
明弘 昆布
Taro Shimodaira
太郎 下平
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JFE Steel Corp
Tekken Corp
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Kawasaki Steel Corp
Tekken Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、従来の溶接継手に代え、現場での施
工性に優れると共に、品質にばらつきが抑制でき、且つ
安価に工事が行える耐震補強鋼板の継手及びその施工方
法を提供することを目的としている。 【解決手段】既設柱体の周囲に空間を開けて囲む鋼板を
縦複数割りに形成し、その分割部に該鋼板のフープ引張
に抗し互いに係合する爪をそれぞれ設けたことを特徴と
する耐震補強鋼板の継手である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐震補強鋼板の継
手に関し、特に、橋脚及び構造物の柱等、既設柱体の補
強を現場で直接施工するに際し、溶接を行わずに迅速且
つ簡便に実施するための継手及び施工方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】鋼板材の端部を相互に突き合わせて係合
し鋼構造物を建造するには、特開昭63−140774
号公報等に開示されているように、溶接で継手部4を形
成することが多い。この技術は、既設柱体の補強工事に
も利用され、例えば、橋脚や柱の平断面が四角である場
合の耐震補強工事においては、図4に示すように、2枚
の耐震補強鋼板2(以下、補強鋼板という)を予めコの
字型に成形しておき、それらを施工現場において前記橋
脚1や柱1に巻き付け、各々の端部同士を高さ方向に沿
い溶接することで、接続係止される。この時の溶接作業
は、通常、手動、あるいは半自動で行われる。なお、通
常、該補強鋼板2と橋脚等1との間に形成される空間に
は、モルタル、コンクリート等の充填物3が流し込ま
れ、該橋脚等1の強化を一層促進するようになってい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記溶
接で継手部を形成させる方法は、現場施工に際して以下
のような不都合がある。すなわち、前記橋脚等1の場
合、補強鋼板2を橋脚1の周囲に設置した後、補強鋼板
2の端部同士を現場で溶接するが、該補強鋼板2の板厚
(通常6〜16mm)が厚くなるほど、そして継手部4
の範囲が橋脚1の軸方向(高さ方向)に長いほど、施工
時間が多大になる。例えば、橋脚1の高さが10m程度
であると、一本の橋脚1を手動溶接で補強鋼板2を取付
けるのにほぼ丸1日を要し、非常に工数が掛かる作業と
なる。また、該作業に時間がかかると、戸外作業である
ため、工程が天候に左右され、工程管理に支障を来すと
いった問題もある。さらに、多数の作業者を用いた人手
作業を長時間で行うので、作業者の溶接熟練度の違いと
か疲労等の影響を受け、完成後の品質面においてもばら
つきが大きいという問題もあり、別方式の新しい継手の
開発が熱望されていた。
【0004】本発明は、かかる事情を鑑み、従来の溶接
継手に代え、現場での施工性に優れると共に、品質にば
らつきが抑制でき、且つ安価に工事が行える耐震補強鋼
板の継手及びその施工方法を提供することを目的として
いる。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明者は、前記目的を達
成するためには、構造が簡単で、その強度が母材と同程
度になる機械的継手があれば、それが最も施工時間の短
縮ができると確信し、、この考えの具現化に鋭意努力し
て本発明をなすに至った。すなわち、本発明は、既設柱
体の周囲に空間を開けて囲む鋼板を縦複数割りに形成
し、その分割部に該鋼板のフープ引張に抗し互いに係合
する爪をそれぞれ設けたことを特徴とする耐震補強鋼板
の継手である。また、本発明は、上記爪が「レ」の字形
であったり、「レ」の夾角が80°以下であることを特
徴とする耐震補強鋼板の継手である。さらに、本発明
は、上記爪が「Γ」字形であったり、あるいは、両側に
「Γ」字形の爪を有する別体の継手片を備えたことを特
徴とする耐震補強鋼板の継手であり、上記分割部の突合
面に、該突合面の芯を合わせる凹凸ガイドを設けたこと
を特徴とする耐震補強鋼板の継手である。そして、上記
係合する爪に代えて、上記分割部の端部に「T]字形の
頭部をそれぞれ設け、該頭部の挿入溝を背中合わせに有
する形状の別体の継手片を備えたことを特徴とする耐震
補強鋼板の継手でもある。なお、上記継手に関し、上記
爪の鋼板面に沿う方向の厚みが、該鋼板肉厚の2〜3倍
とすることも本発明とする。
【0006】一方、施工に関する本発明は、縦複数割り
に形成され、その分割部にフープ引張に抗し互いに係合
する爪をそれぞれ設けた耐震補強鋼板を、既設柱体の周
囲に空間を開けて囲むように取付けるに際し、まず、建
設機械、例えばフォークリフト等に設けた電磁マグネッ
ト付き押板で、上記複数割りした耐震補強鋼板をそれぞ
れの端部が当接するまで押し、その後該押板を後退させ
爪を係合することを特徴とする耐震補強鋼板の施工方
法、あるいはこの施工方法で取付けた耐震補強鋼板と既
設柱体との間に形成された空間部に充填物を注入するこ
とを特徴とする耐震補強鋼板の施工方法。である。
【0007】かかる本発明の継手を、従来の溶接継手に
代え、耐震補強鋼板に採用するようにしたねで、現場で
の溶接が不要となり、施工性が一段と向上した。また、
補強鋼板の取付けにばらつきがなくなるので、優れた耐
震性を示し、且つ安価で、円滑な工程管理のもとで補強
工事が行えるようになる。なお、上記「レ」の字の夾角
が80°以下としたのは、それを超えると係合が外れ易
くなるからである。また、上記爪の鋼板面に沿う方向の
厚み(例えば、後述の図1にtで示す)が、該鋼板肉厚
の2〜3倍とするのが好ましい理由は、2倍より薄いと
係合部に発生する曲げモーメントに対抗できなくなる恐
れがあるからであり、一方、3倍を超えると、施工時に
障害が多発するからである。さらに、本発明に係る継手
の設計に際して注意すべき点は、相対する補強鋼板との
板厚の中心線が合致するようにしなければならない。そ
うでなければ、周方向に作用する引張により曲げモーメ
ントが発生し、継手が外れ易くなるなるからである。
【0008】
【発明の実施の形態】まず、図1に示す継手4は、本発
明に係る継手のうち、最も施工性に優れたものである。
それは、所謂「レ」の字形6の爪5を互いに引っ掛け合
う構造である。そのため、補強形態、つまり既設柱体1
の断面形状、長さ等によっては、係合性に若干劣るの
で、前記のように「レ」形6の夾角8を適切にする配慮
が必要となる場合がある。
【0009】図2(a)は、上記爪5が「Γ」形7をし
ているものである。この継手4は、施工が「レ」形6に
比べ若干難しいが、所謂「はぜ」になっているので、係
合性は良い。その点を一段と考慮したのが、図2(b)
に示すもので、分割された鋼板の両端に「Γ」形7の爪
5を設け、それらを補強鋼板2とは別体の継手片11で
係止するようにした。なお、施工性の難点は、図2
(c)に示すように、補強鋼板2の突き合わせ部に案内
ガイド12を雄雌が合致するように設け、施工時の接
触、位置合わせを助けるようにもできる。
【0010】また、本発明には、上記のような所謂引っ
掛けタイプの継手4の他、図3に示す「差し込み係止」
タイプのものもある。それは、上記爪5に代えて、補強
鋼板2の分割部の端部に「T]字形の頭部13をそれぞ
れ設け、別体にした継手片11の背中合わせになった溝
14に、その頭部13を挿入して補強鋼板2の端部同士
を係止するよう形成されている。
【0011】次に、該補強鋼板2の施工方法を、図5及
び6に基づき説明する。図5(a)〜(c)に手順を示
すように、両端部に前記本発明に係る継手4(図1〜2
の場合)を有し、その断面がコの字形に成形された2枚
の補強鋼板2を、既設柱体の周囲に配置し、突き合わ
せ、爪5のはめ合わせを行う。爪5のはめ合わせは、一
度突き合わせた補強鋼板2を逆方向に押し戻すことで行
われる。その後、該既設柱体1と補強鋼板2との間に形
成された空間15に、例えばモルタルを充填物3として
注入する。該モルタル3が凝固すると、図5(c)に示
すよう膨張し、該補強鋼板2には引張、曲げの力が発生
する。なお、この施工は、図6(a)〜(b)に示すよ
うに、補強鋼板2を支持する電磁マグネット付き押板1
6を有するフォークリフト17を用いて行われる。その
際、マグネットの電流をきると押板16と補強鋼板2は
分離するようになっている。また、図3に示した継手4
の場合には、補強鋼板2を突き合わせてから、その突き
合わせ部に上方から前記別体の継手片11を差し込むこ
とで係合させれば良い。
【0012】最後に、本発明に係る施工方法の成績を示
す。図2(b)の継手4を有する補強鋼板2を用いた場
合の施工時間と現地溶接による施工時間との比較を、図
7に示す。図7より明らかなように、現場溶接による施
工と比較して、本発明の施工時間が約1/10〜1/2
0になった。また、本発明に係る継手4の引張や曲げ強
度を、試験供試材を作成して測定した。引張試験の結果
を図8に示すが、継手4の耐力は、溶接を施したものと
比しても遜色のないことがわかった。曲げ試験は、図9
のように補強鋼板2が究極に膨張することを想定した時
の膨らみ量δ(=0.21L:Lは橋脚柱の辺長)を目
標値として実施した。その結果を図10に示すが、補強
鋼板2が究極に膨張したと想定される状態まで載荷して
も、継手4の損傷は確認できなかった。
【0013】
【発明の効果】以上述べたように、本発明により、補強
鋼板の端部に機械的な継手を設置することにより、従来
の溶接継手と遜色ない補強状態を維持して、橋脚や柱
等、既設柱体の補強工事が迅速且つ容易に行えるように
なった。また、工事の工程管理も円滑になり、工事全体
での費用も低減できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る耐震補強鋼板の「レ」の字形の爪
を有する継手を示す縦断面図である。
【図2】本発明に係る耐震補強鋼板の「Γ」字形の爪を
有する継手を示す縦断面図であり、(a)は該爪同士を
係合させるもの ,(b)は別体の継手片を介して係合
させるもの、(c)は(b)に案内ガイドを設けたも
の、(d)は(c)の係合状態を示す。
【図3】本発明に係る耐震補強鋼板の所謂「差し込みタ
イプ」継手を示す縦断面図である。
【図4】耐震補強鋼板の取付けを溶接で行うことを示す
図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
【図5】本発明に係る継手を有する補強鋼板の施工状況
を示す平面図であり、(a)は該補強鋼板を既設柱体の
周囲に配置した状況,(b)は継手を係合した状況,
(c)は充填物を注入した後の状況を示す。
【図6】本発明に係る継手を有する補強鋼板の施工状況
を示す図であり、(a)は側面図,(b)は平面図であ
る。
【図7】補強鋼板を本発明及び従来の施工方法で既設柱
体に取付ける場合の時間を比較した図である。
【図8】本発明に係る継手の引張試験結果を示す図であ
る。
【図9】モルタルの膨張により、補強鋼板が究極的に膨
らんだ状態を示す図である。
【図10】本発明に係る継手の曲げ試験結果を示す図で
ある。
【符号の説明】
1 既設柱体(橋脚、柱等) 2 耐震補強鋼板(補強鋼板) 3 充填物(モルタル) 4 継手(部) 5 爪 6 「レ」形 7 「Γ」形 8 夾角 11 別体の継手片 12 案内ガイド 13 頭部 14 溝 15 空間 16 押板 17 建設機械(フォークリフト等) 18 溶接継手 19 曲げモーメントの方向 20 引張り力の方向
フロントページの続き (72)発明者 昆布 明弘 東京都千代田区三崎町2丁目5番3号 鉄 建建設株式会社内 (72)発明者 下平 太郎 東京都千代田区三崎町2丁目5番3号 鉄 建建設株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 既設柱体の周囲に空間を開けて囲む鋼板
    を縦複数割りに形成し、その分割部に該鋼板のフープ引
    張に抗し互いに係合する爪をそれぞれ設けたことを特徴
    とする耐震補強鋼板の継手。
  2. 【請求項2】 上記爪が「レ」の字形であることを特徴
    とする請求項1記載の耐震補強鋼板の継手。
  3. 【請求項3】 上記「レ」の夾角が80°以下であるこ
    とを特徴とする請求項2記載の耐震補強鋼板の継手。
  4. 【請求項4】 上記爪が「Γ」字形であることを特徴と
    する請求項1記載の耐震補強鋼板の継手。
  5. 【請求項5】 両側に「Γ」字形の爪を有する別体の継
    手片を備えたことを特徴とする請求項4記載の耐震補強
    鋼板の継手。
  6. 【請求項6】 上記分割部の突合面に、該突合面の芯を
    合わせる凹凸ガイドを設けたことを特徴とする請求項5
    記載の耐震補強鋼板の継手。
  7. 【請求項7】上記係合する爪に代えて、上記分割部の端
    部に「T]字形の頭部をそれぞれ設け、該頭部の挿入溝
    を背中合わせに有する形状の別体の継手片を備えたこと
    を特徴とする請求項1記載の耐震補強鋼板の継手。
  8. 【請求項8】 上記爪の鋼板面に沿う方向の厚みが、該
    鋼板肉厚の2〜3倍であることを特徴とする請求項1〜
    6いずれか記載の耐震補強鋼板の継手。
  9. 【請求項9】 縦複数割りに形成され、その分割部にフ
    ープ引張に抗し互いに係合する爪をそれぞれ設けた耐震
    補強鋼板を、既設柱体の周囲に空間を開けて囲むように
    取付けるに際し、 まず、建設機械に設けた電磁マグネット付き押板で、上
    記複数割りした耐震補強鋼板をそれぞれの端部が当接す
    るまで押し、その後該押板を後退させ上記爪を係合する
    ことを特徴とする耐震補強鋼板の施工方法。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の施工方法で取付けた耐
    震補強鋼板と既設柱体との間に形成された空間部に充填
    物を注入することを特徴とする耐震補強鋼板の施工方
    法。
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