JPH09187777A - 飲料水改質装置 - Google Patents

飲料水改質装置

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JPH09187777A
JPH09187777A JP27970096A JP27970096A JPH09187777A JP H09187777 A JPH09187777 A JP H09187777A JP 27970096 A JP27970096 A JP 27970096A JP 27970096 A JP27970096 A JP 27970096A JP H09187777 A JPH09187777 A JP H09187777A
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JP
Japan
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water
drug
drinking water
release cartridge
sustained release
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Application number
JP27970096A
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English (en)
Inventor
Hironori Hatono
広典 鳩野
Takao Imasaka
卓男 今坂
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Toto Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間に亘って安定して飲料水を改質できる
飲料水改質装置を提供する。 【解決手段】 配水管と、水溶性の液状の薬剤又は水溶
性の薬剤と該薬剤の飽和水溶液とが充填された空気層を
含まない硬質材容器と、硬質材容器に形成された単一の
開口と、該開口を覆う多孔質膜とを有する薬剤徐放カー
トリッジとを備え、薬剤徐放カートリッジは前記開口を
前記配水管の流路に連通させ、且つ前記開口を前記流路
の上流側へ差し向けた状態で前記配水管に装着され、配
水管は給水栓よりも上流位置で給水管に接続される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は飲料水改質装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】活性炭と中空糸膜とを有し水道水の塩素
臭の除去と、水道水に混入した異物、細菌等の除去とを
行う飲料水浄化装置が広く利用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の飲料水浄化装置
は、単に飲料水を浄化するのみで、飲料水にミネラル成
分や電解質を添加して飲料水を改質することはできなか
った。本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであ
り、長期間に亘って安定して飲料水を改質することがで
きる飲料水改質装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明においては、配水管と、水溶性の液状の薬剤
又は水溶性の薬剤と該薬剤の飽和水溶液とが充填された
空気層を含まない硬質材容器と、硬質材容器に形成され
た単一の開口と、該開口を覆う多孔質膜とを有する薬剤
徐放カートリッジとを備え、薬剤徐放カートリッジは前
記開口を前記配水管の流路に連通させ、且つ前記開口を
前記流路の上流側へ差し向けた状態で前記配水管に装着
され、配水管は吐水栓の上流の水道配管に接続されるこ
とを特徴とする飲料水改質装置を提供する。
【0005】本発明に係る飲料水改質装置においては、
配水管から、薬剤徐放カートリッジに形成された単一の
開口を通って、薬剤徐放カートリッジ内に水道水、すな
わち飲料水が侵入し、薬剤徐放カートリッジ内の水溶性
の液状の薬剤又は水溶性の薬剤の飽和水溶液が、前記単
一の開口を通って、配水管を流れる飲料水中へ放出され
る。薬剤徐放カートリッジの開口は多孔質膜によって覆
われており、薬剤徐放カートリッジ内には圧力変動によ
って体積が変化する空気が存在せず、薬剤徐放カートリ
ッジは硬質材で形成され外圧を加えても変形しないの
で、薬剤徐放カートリッジ内の水溶性の液状の薬剤又は
水溶性の薬剤の飽和水溶液は、過剰放出されることなく
安定して配水管を流れる飲料水中に徐放される。徐放さ
れた薬剤によって飲料水が改質される。改質された飲料
水は、吐水栓を通って吐出しユーザーの利用に供され
る。薬剤徐放カートリッジ内の水溶性の液状の薬剤又は
水溶性の薬剤の飽和水溶液は安定して配水管を流れる飲
料水中に徐放されるので、本発明に係る飲料水改質装置
は長期間に亘って安定して飲料水を改質することができ
る。
【0006】本発明の好ましい態様においては、薬剤徐
放カートリッジは配水管の外側に装着され、薬剤徐放カ
ートリッジの開口近傍部は配水管内へ差し込まれてい
る。薬剤徐放カートリッジを配水管の外側に装着するこ
とにより、薬剤徐放カートリッジの交換が容易になる。
【0007】本発明の好ましい態様においては、薬剤徐
放カートリッジは一端が閉鎖され他端が開放された筒体
であり、薬剤徐放カートリッジは配水管内に配設されて
おり、薬剤徐放カートリッジと配水管の囲壁との間に隙
間がある。一端が閉鎖され他端が開放された筒体から成
る薬剤徐放カートリッジを配水管内に配設し、薬剤徐放
カートリッジと配水管の囲壁との間に隙間を形成するこ
とにより、薬剤徐放カートリッジが配水管によって保護
され、外力によって薬剤徐放カートリッジが破損する等
の事故の発生が防止される。
【0008】本発明の好ましい態様においては、飲料水
改質装置は配水管から薬剤徐放カートリッジへ流入する
水量を調節する水量調節装置を備える。配水管から薬剤
徐放カートリッジへ流入する水量を調節する水量調節装
置を配設することにより、薬剤の徐放量の調節が可能と
なる。
【0009】本発明の好ましい態様においては、飲料水
改質装置は飲料水改質装置の不使用時に薬剤徐放カート
リッジから薬剤が漏出するのを防止する薬剤漏出防止装
置を備える。飲料水改質装置の不使用時に薬剤徐放カー
トリッジから薬剤が漏出するのを防止する薬剤漏出防止
装置を配設することにより、飲料水改質装置の不使用時
に配水管内の残留水中に薬剤が漏出し、早期に薬剤が用
尽される事態の発生が防止される。
【0010】本発明の好ましい態様においては、飲料水
改質装置は配水管に接続された飲料水浄化装置を備え、
薬剤徐放カートリッジは飲料水浄化装置の下流に配設さ
れている。配水管に飲料水浄化装置が接続されている場
合は、薬剤徐放カートリッジを飲料水浄化装置の下流に
配設することにより、薬剤徐放カートリッジの多孔質膜
の目詰まりを防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の第1実施例に係る飲料水
改質装置を図1、2に基づいて説明する。図1に示すよ
うに、飲料水改質装置Aは、配水管1を備えている。配
水管1の上流端部に止水弁2が取り付けられている。配
水管1の上流域に活性炭と中空糸膜とを有する飲料水浄
化装置3が接続されている。配水管1の中流域に、流量
比調整弁4a、4b、4cが取り付けられている。分岐
配水管5aの上流端が流量比調整弁4aに接続し下流端
が流量比調整弁4aよりも下流の配水管1に接続してい
る。分岐配水管5bの上流端が流量比調整弁4bに接続
し下流端が流量比調整弁4bよりも下流の配水管1に接
続している。分岐配水管5cの上流端が流量比調整弁4
cに接続し下流端が流量比調整弁4cよりも下流の配水
管1に接続している。分岐配水管5a、5b、5cに、
薬剤徐放カートリッジ6a、6b、6cが装着されてい
る。
【0012】薬剤徐放カートリッジ6aの装着状態を、
図2に基づいて詳述する。分岐配水管5aの上流端が流
量比調整弁4aに接続している。分岐配水管5aの中流
域が膨出部5a1 を形成している。分岐配水管5aの下
流域に逆止弁9が取り付けられている。分岐配水管5a
の下流端が流量比調整弁4aの下流側の配水管1に接続
している。膨出部5a1 に空気弁7と水抜弁8とが取り
付けられている。
【0013】硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化
カルシウム、塩化マグネシウム、グリセロリン酸カルシ
ウム、乳酸カルシウム等の易溶性ミネラル塩の粉末又は
粒状体と前記易溶性ミネラル塩の飽和水溶液とによって
満たされ、内部に圧縮性の空気が存在しない、アクリル
樹脂等の硬質材料から成り、一端が開放され、開放端が
多孔質膜6a1 で覆われた筒状の薬剤徐放カートリッジ
6aが、分岐配水管5aの膨出部5a1 の外側に装着さ
れている。薬剤徐放カートリッジ6aの開放端近傍部
は、膨出部5a1 内へ差し込まれている。薬剤徐放カー
トリッジ6aの開放端は、分岐配水管5aの上流域の下
流端に向かい合っている。薬剤徐放カートリッジ6b、
6cも、薬剤徐放カートリッジ6aと同様の構造を有
し、薬剤徐放カートリッジ6aと同様の態様で、分岐配
水管5b、5cに接続されている。薬剤徐放カートリッ
ジ6bには、薬剤徐放カートリッジ6aとは異なる易溶
性ミネラル塩の粉末又は粒状体と該易溶性ミネラル塩の
飽和水溶液とが充填され、薬剤徐放カートリッジ6cに
は、薬剤徐放カートリッジ6a、6bとは異なる易溶性
ミネラル塩の粉末又は粒状体と該易溶性ミネラル塩の飽
和水溶液とが充填されている。
【0014】図1に示すように、止水弁2、流量比調整
弁4a、4b、4cを制御するコントローラ10と、コ
ントローラ10を操作する操作パネル11とが配設され
ている。配水管1は、吐水栓Bの上流で、水道配管Cに
接続されている。
【0015】本実施例に係る飲料水改質装置Aの作動を
説明する。ユーザーは、操作パネル11を操作して、流
量比調整弁4a、4b、4cの開度を設定し、配水管1
を流れる飲料水と、分岐配水管5a、5b、5cを流れ
る飲料水の流量比を設定する。ユーザーが飲料水改質装
置Aの始動ボタンを押すと、止水弁2が開き、流量比調
整弁4a、4b、4cが設定された開度で開く。水道
水、すなわち飲料水が水道配管Cから配水管1ヘ流入
し、更に、飲料水浄化装置3へ流入し、飲料水中の塩素
臭、異物等が除去される。浄化された飲料水は、流量比
調整弁4aを通過する。飲料水が流量比調整弁4aを通
過する際に、飲料水の一部がユーザーが設定した流量比
で分岐配水管5aへ流入する。残余の飲料水は流量比調
整弁4aの下流側の配水管1へ流入する。分岐配水管5
aへ流入した飲料水は、図2で実線の矢印で示すよう
に、分岐配水管5aの上流域を通って、膨出部5a1
流入する。膨出部5a1 へ流入した飲料水の一部は、多
孔質膜6a1 の中央部を通って薬剤徐放カートリッジ6
aへ流入し、残余の部分は、薬剤徐放カートリッジ6a
の周囲を流れ、分岐配水管5aの下流域へ流入する。
【0016】薬剤徐放カートリッジ6a内へ流入した飲
料水は、図2で破線の矢印で示すように、薬剤徐放カー
トリッジ6aの中心部を閉鎖端へ向かって進みつつ径方
向へ拡散し、流れの方向を変え、薬剤徐放カートリッジ
6aの囲壁に沿う円筒状の流れとなって、薬剤徐放カー
トリッジ6aの開放端へ向かって進む。易溶性ミネラル
塩が飲料水中に溶解し、飲料水は易溶性ミネラル塩の飽
和水溶液となる。易溶性ミネラル塩の飽和水溶液は、薬
剤徐放カートリッジ6aの開放端を覆う多孔質膜6a1
の周縁から薬剤徐放カートリッジ6aの外部へ流出し、
薬剤徐放カートリッジ6aの周囲を流れる飲料水に混入
する。易溶性ミネラル塩の飽和水溶液が混入した飲料水
は、分岐配水管5aの下流域と逆止弁9とを通って、流
量比調整弁4aの下流側の配水管1へ流入する。
【0017】流量比調整弁4aの下流側の配水管1を流
れる飲料水は、流量比調整弁4bを通過する。飲料水が
流量比調整弁4bを通過する際に、飲料水の一部がユー
ザーが設定した流量比で分岐配水管5bへ流入する。残
余の飲料水は流量比調整弁4bの下流側の配水管1へ流
入する。分岐配水管5bへ流入した飲料水に、薬剤徐放
カートリッジ6b内の易溶性ミネラル塩の飽和水溶液が
混入し、該易溶性ミネラル塩の飽和水溶液が混入した飲
料水は、分岐配水管5bの下流域と逆止弁とを通って、
流量比調整弁4bの下流側の配水管1へ流入する。
【0018】流量比調整弁4bの下流側の配水管1を流
れる飲料水は、流量比調整弁4cを通過する。飲料水が
流量比調整弁4cを通過する際に、飲料水の一部がユー
ザーが設定した流量比で分岐配水管5cへ流入する。残
余の飲料水は流量比調整弁4cの下流側の配水管1へ流
入する。分岐配水管5cへ流入した飲料水に、薬剤徐放
カートリッジ6c内の易溶性ミネラル塩の飽和水溶液が
混入し、該易溶性ミネラル塩の飽和水溶液が混入した飲
料水は、分岐配水管5cの下流域と逆止弁とを通って、
流量比調整弁4cの下流側の配水管1へ流入する。
【0019】流量比調整弁4cの下流側の配水管1を流
れる、薬剤徐放カートリッジ6a、6b、6cに充填さ
れた易溶性ミネラル塩が溶け込んだ飲料水、すなわち改
質された飲料水は、水道配管Cを通り吐水栓から吐出
し、ユーザーの利用に供される。
【0020】薬剤徐放カートリッジ6aの開放端が多孔
質膜6a1 によって覆われており、薬剤徐放カートリッ
ジ6b、6cの開放端も多孔質膜6a1 と同様の多孔質
膜によって覆われているので、分岐配水管5a、5b、
5cを流れる飲料水の一部が徐々に薬剤徐放カートリッ
ジ6a、6b、6c内へ流入する。この結果、薬剤徐放
カートリッジ6a、6b、6c内の飲料水と易溶性ミネ
ラル塩飽和水溶液の流れが安定する。薬剤徐放カートリ
ッジ6a、6b、6c内には圧力変動によって体積が変
化する空気が存在しないので、薬剤徐放カートリッジ6
a、6b、6c内の飲料水と易溶性ミネラル塩飽和水溶
液の流れが安定する。薬剤徐放カートリッジ6a、6
b、6cが硬質材で形成され内外圧差による変形を生じ
ないので薬剤徐放カートリッジ6a、6b、6c内の飲
料水と易溶性ミネラル塩飽和水溶液の流れが安定する。
この結果、薬剤徐放カートリッジ6a、6b、6c内の
薬剤飽和水溶液は、分岐配水管5a、5b、5cを流れ
る飲料水中に過剰放出されることなく安定して徐放され
る。薬剤徐放カートリッジ6a、6b、6c内の易溶性
ミネラル塩は安定して分岐配水管5a、5b、5cを流
れる飲料水中に徐放されるので、飲料水改質装置Aは長
期間に亘って安定して飲料水を改質することができる。
【0021】流量比調整弁4aの開度を調節し、配水管
1を流れる飲料水と分岐配水管5aを流れる飲料水との
流量比を調節して、多孔質膜6a1 近傍の水圧分布を調
節し、薬剤徐放カートリッジ6a内へ流入する飲料水の
量を調節できる。これにより、易溶性ミネラル塩飽和水
溶液の徐放量を制御できる。流量比調整弁4aを閉じる
ことにより、分岐配水管5aへの飲料水の流入を停止
し、薬剤徐放カートリッジ6aからの易溶性ミネラル塩
飽和水溶液の徐放を停止することもできる。薬剤徐放カ
ートリッジ6b、6cについても、同様にして、易溶性
ミネラル塩飽和水溶液の徐放量を制御し、或いは易溶性
ミネラル塩飽和水溶液の徐放を停止することができる。
薬剤徐放カートリッジ6a、6b、6cのミネラル塩飽
和水溶液の徐放量を制御することにより、ユーザーは、
飲料水中のミネラルの種類と濃度とを好みに合わせて調
整することができる。流量比調整弁4a、4b、4c
が、分岐配水管5a、5b、5cへの入口を閉鎖する
と、飲料水改質装置Aは不使用状態となり、飲料水浄化
装置3によって浄化された飲料水が、易溶性ミネラル塩
飽和水溶液を添加されることなく、そのまま吐水栓Bか
ら吐出する。
【0022】飲料水改質装置Aが使用され、分岐配水管
5a、5b、5cを飲料水が流れている時は、分岐配水
管5a内の水圧により空気弁7、水抜弁8が閉鎖されて
おり、分岐配水管5b、5c内の水圧により、分岐配水
管5b、5c内の空気弁、水抜弁が閉鎖されている。流
量比調整弁4a、4b、4cによって分岐配水管5a、
5b、5cへの入口が閉鎖されて飲料水改質装置Aが不
使用状態となり、或いは吐水栓Bが閉じられ配水管1内
の水流が停止し飲料水改質装置Aが不使用状態となっ
て、分岐配水管5a、5b、5cの飲料水の流れか停止
すると、分岐配水管5a、5b、5c内の水圧が低下
し、分岐配水管5aの空気弁7、水抜弁8が開放され、
分岐配水管5b、5cの空気弁、水抜弁が開放される。
この結果、分岐配水管5a内の飲料水が水抜弁8を介し
て外部へ放出され、分岐配水管5b、5c内の飲料水が
分岐配水管5b、5cの水抜弁を介して外部へ放出され
る。この結果、飲料水改質装置Aが不使用状態にある時
に、分岐配水管5a、5b、5c内の残留水中に易溶性
ミネラル塩飽和水溶液が漏出し、薬剤徐放カートリッジ
6a、6b、6c内の易溶性ミネラル塩が早期に用尽さ
れる事態の発生が防止される。
【0023】薬剤徐放カートリッジ6a、6b、6c
は、飲料水浄化装置3の下流に配設されているので、飲
料水浄化装置3によって異物が除去された飲料水が、分
岐配水管5a、5b、5cへ流入する。従って、薬剤徐
放カートリッジ6aの多孔質膜6a1 が飲料水中の異物
によって目詰まりして易溶性ミネラル塩飽和水溶液の徐
放が妨げられ、薬剤徐放カートリッジ6b、6cの多孔
質膜が飲料水中の異物によって目詰まりして易溶性ミネ
ラル塩飽和水溶液の徐放が妨げらるおそれは無い。
【0024】薬剤徐放カートリッジ6a、6b、6c
は、分岐配水管5a、5b、5cの外側に装着されてい
るで、薬剤徐放カートリッジ6a、6b、6cの取り替
え作業が容易である。
【0025】本発明の第2実施例に係る飲料水改質装置
を図3、4に基づいて説明する。図3に示すように、飲
料水改質装置A′は配水管1′を備えている。配水管
1′の上流端部に止水弁2′が取り付けられている。配
水管1′の上流域に活性炭と中空糸膜とを有する飲料水
浄化装置3′が接続されている。配水管1′の中流域
に、膨出部5a′、5b′、5c′が形成されている。
膨出部5a′、5b′、5c′に、薬剤徐放カートリッ
ジ6a′、6b′、6c′が装着されている。
【0026】薬剤徐放カートリッジ6a′の装着状態
を、図4に基づいて詳述する。接続金具4a′が、膨出
部5a′と、膨出部5a′の上流側の配水管1′の下流
端とに螺合している。接続金具4a′は、図示しないサ
ーボモータにより所定角度範囲で両方向に回転駆動さ
れ、軸方向に移動することができる。膨出部5a′か
ら、膨出部5a′の下流側の配水管1′が延びている。
膨出部5a′に、空気弁7′と水抜弁8′とが取り付け
られている。硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化
カルシウム、塩化マグネシウム、グリセロリン酸カルシ
ウム、乳酸カルシウム等の易溶性ミネラル塩の粉末又は
粒状体と前記易溶性ミネラル塩の飽和水溶液とによって
満たされ、内部に圧縮性の空気が存在しない、アクリル
樹脂等の硬質材料から成り、一端が開放され、開放端が
多孔質膜6a1 ′で覆われた筒状の薬剤徐放カートリッ
ジ6a′が、膨出部5a′の外側に装着されている。薬
剤徐放カートリッジ6a′の開放端近傍部は、膨出部に
取り付けられた揺動蓋9′を押し開いて、膨出部5a′
内へ差し込まれている。薬剤徐放カートリッジ6a′の
開放端は、接続金具4a′の下流端に向かい合ってい
る。
【0027】薬剤徐放カートリッジ6b′、6c′も、
薬剤徐放カートリッジ6a′と同様の構造を有し、薬剤
徐放カートリッジ6a′と同様の態様で、膨出部5
b′、5c′に接続されている。薬剤徐放カートリッジ
6b′には、薬剤徐放カートリッジ6a′とは異なる易
溶性ミネラル塩の粉末又は粒状体と該易溶性ミネラル塩
の飽和水溶液とが充填され、薬剤徐放カートリッジ6
c′には、薬剤徐放カートリッジ6a′、6b′とは異
なる易溶性ミネラル塩の粉末又は粒状体と該易溶性ミネ
ラル塩の飽和水溶液とが充填されている。
【0028】図3に示すように、止水弁2′、接続金具
4a′を回転駆動する図示しないモータ、膨出部5b′
に螺合する接続金具4b′を回転駆動する図示しないモ
ータ、及び膨出部5c′に螺合する接続金具4c′を回
転駆動する図示しないモータを制御するコントローラ1
0′と、コントローラ10′を操作する操作パネル1
1′とが配設されている。配水管1′は、吐水栓B′の
上流で、水道配管C′に接続されている。
【0029】本実施例に係る飲料水改質装置A′の作動
を説明する。ユーザーは、操作パネル11′を操作し
て、接続金具4a′、4b′、4c′を駆動する図示し
ないモータを所望の角度回転させ、接続金具4a′、4
b′、4c′を、軸線方向に移動させ、薬剤徐放カート
リッジ6a′、6b′、6c′の開放端と接続金具4
a′、4b′、4c′の下流端との間の距離を所望の値
に設定する。次いで、操作パネル11′を操作して止水
弁2′を開放する。飲料水が水道配管C′から配水管
1′ヘ流入し、更に、飲料水浄化装置3′へ流入し、飲
料水中の塩素臭、異物等が除去される。浄化された飲料
水は、接続金具4a′を通って膨出部5a′へ流入す
る。膨出部5a′へ流入した飲料水の一部は、多孔質膜
6a1 ′の中央部を通って薬剤徐放カートリッジ6a′
へ流入し、残余の部分は、薬剤徐放カートリッジ6a′
の周囲を流れ、膨出部5a′の下流側の配水管1′へ流
入する。
【0030】薬剤徐放カートリッジ6a′内へ流入した
飲料水は、図4で破線の矢印で示すように、薬剤徐放カ
ートリッジ6a′の中心部を閉鎖端へ向かって進みつつ
径方向へ拡散し、流れの方向を変え、薬剤徐放カートリ
ッジ6a′の囲壁に沿う円筒状の流れとなって、薬剤徐
放カートリッジ6a′の開放端へ向かって進む。易溶性
ミネラル塩が飲料水中に溶解し、飲料水は易溶性ミネラ
ル塩の飽和水溶液となる。易溶性ミネラル塩の飽和水溶
液は、薬剤徐放カートリッジ6a′の開放端を覆う多孔
質膜6a1 ′の周縁から薬剤徐放カートリッジ6a′の
外部へ流出し、薬剤徐放カートリッジ6a′の周囲を流
れる飲料水に混入する。易溶性ミネラル塩の飽和水溶液
が混入した飲料水は、膨出部5a′の下流側の配水管
1′へ流入する。
【0031】膨出部5a′の下流側の配水管1′を流れ
る飲料水は、接続金具4b′を通って膨出部5b′へ流
入する。膨出部5b′へ流入した飲料水に、薬剤徐放カ
ートリッジ6b′内の易溶性ミネラル塩の飽和水溶液が
混入し、該易溶性ミネラル塩の飽和水溶液が混入した飲
料水は、膨出部5b′の下流側の配水管1′へ流入す
る。
【0032】膨出部5b′の下流側の配水管1′を流れ
る飲料水は、接続金具4c′を通って膨出部5c′へ流
入する。膨出部5c′へ流入した飲料水に、薬剤徐放カ
ートリッジ6c′内の易溶性ミネラル塩の飽和水溶液が
混入し、該易溶性ミネラル塩の飽和水溶液が混入した飲
料水は、膨出部5c′の下流側の配水管1′へ流入す
る。
【0033】膨出部5c′の下流側の配水管1′を流れ
る、薬剤徐放カートリッジ6a′、6b′、6c′に充
填された易溶性ミネラル塩が溶け込んだ飲料水、すなわ
ち改質された飲料水は、水道配管C′を通り吐水栓B′
から吐出し、ユーザーの利用に供される。
【0034】薬剤徐放カートリッジ6a′、6b′、6
c′内の易溶性ミネラル塩は安定して膨出部5a′、5
b′、5c′を流れる飲料水中に徐放されるので、飲料
水改質装置A′は長期間に亘って安定して飲料水を改質
することができる。
【0035】薬剤徐放カートリッジ6a′の開放端と接
続金具4a′の下流端との間の距離を調節し、多孔質膜
6a1 ′近傍の水圧分布を調節して、薬剤徐放カートリ
ッジ6a′内へ流入する飲料水の量を調節できる。これ
により、易溶性ミネラル塩飽和水溶液の徐放量を制御で
きる。薬剤徐放カートリッジ6a′を、膨出部5a′か
ら所定距離引き出すと、薬剤徐放カートリッジ6a′に
よって押し開かれていた揺動蓋9′が図4で一点鎖線で
示す位置まで揺動し、薬剤徐放カートリッジ6a′の開
放端を閉鎖する。従って、薬剤徐放カートリッジ6a′
を、膨出部5a′から所定距離引き出すことにより、薬
剤徐放カートリッジ6a′からの易溶性ミネラル塩飽和
水溶液の徐放を停止することができる。薬剤徐放カート
リッジ6b′、6c′についても、同様にして、易溶性
ミネラル塩飽和水溶液の徐放量を制御し、或いは易溶性
ミネラル塩飽和水溶液の徐放を停止することができる。
薬剤徐放カートリッジ6a′、6b′、6c′のミネラ
ル塩飽和水溶液の徐放量を制御することにより、ユーザ
ーは、飲料水中のミネラルの種類と濃度とを好みに合わ
せて調整することができる。
【0036】薬剤徐放カートリッジ6a′、6b′、6
c′を膨出部5a′、5b′、5c′から所定距離引き
出して、揺動蓋で薬剤徐放カートリッジ6a′、6
b′、6c′の開放端を閉鎖すると、飲料水浄化装置
3′によって浄化された飲料水が、易溶性ミネラル塩飽
和水溶液を添加されることなく、そのまま給水栓B′か
ら吐出する。
【0037】飲料水改質装置A′が使用され、膨出部5
a′、5b′、5c′を飲料水が流れている時は、膨出
部5a′内の水圧により空気弁7′、水抜弁8′が閉鎖
されており、膨出部5b′、5c′内の水圧により、膨
出部5b′、5c′内の空気弁、水抜弁が閉鎖されてい
る。吐水栓B′が閉じられ配水管1′内の水流が停止し
飲料水改質装置A′が不使用状態となって、膨出部5
a′、5b′、5c′内の飲料水の流れか停止すると、
膨出部5a′、5b′、5c′内の水圧が低下し、膨出
部5a′の空気弁7′、水抜弁8′が開放され、膨出部
5b′、5c′の空気弁、水抜弁が開放される。この結
果、膨出部5a′内の飲料水が水抜弁8′を介して外部
へ放出され、膨出部5b′、5c′内の飲料水が膨出部
5b′、5c′の水抜弁を介して外部へ放出される。こ
の結果、飲料水改質装置A′が不使用状態にある時に、
膨出部5a′、5b′、5c′内の残留水中に易溶性ミ
ネラル塩飽和水溶液が漏出し、薬剤徐放カートリッジ6
a′、6b′、6c′内の易溶性ミネラル塩が早期に用
尽される事態の発生が防止される。
【0038】図5に示す薬剤徐放カートリッジ付シャワ
ーヘッドを対象として、本発明で用いた薬剤徐放カート
リッジの薬剤徐放性能試験を行った。図5に示す薬剤徐
放カートリッジ付シャワーヘッドの構造を説明する。薬
剤徐放カートリッジ付シャワーヘッド21は、下流端に
多孔板から成る吐出口22aが形成され、上流端にねじ
部22bが形成され、内部に上流端から下流端に至る流
路22cが形成された筒体によって構成される第1部分
22と、下流端にねじ部23aが形成され、内部に上流
端から下流端に至る流路23bが形成された筒体によっ
て構成される第2部分23とを備えている。第2部分2
3の流路23bは、上流端から延びる小径部23b
1 と、小径部23b1 に接続し、下流端へ向かって漏斗
状に広がる拡径部23b2 とにより構成されている。第
2部分23には水抜弁24が取り付けられている。第2
部分23は、ねじ部23aが第1部分22のねじ部22
bに螺合した状態で、第1部分22に連結されている。
第2部分23の上流端は、給水ホース100に接続され
ている。
【0039】第1部分22の流路22c内に、薬剤徐放
カートリッジ25が挿入されている。薬剤徐放カートリ
ッジ25は、アクリル樹脂等の硬質材料から成る容器、
より詳しくは一端が閉鎖され他端が完全開放された直円
筒体25aと、直円筒体25aの開放端を覆う多孔質膜
25bとにより構成されている。直円筒体25aの外面
には、複数の突起25cが形成されている。薬剤徐放カ
ートリッジ25は、残留塩素除去機能を有するアスコル
ビン酸の粉末とアスコルビン酸飽和水溶液とによって満
たされており、薬剤徐放カートリッジ25内には圧縮性
の空気は存在しない。薬剤徐放カートリッジ25の製造
工程において、脱気した純水を用い、且つ、空気の混入
を防止しつつ直円筒体25aの開放端を多孔質膜25b
で覆うことにより、薬剤徐放カートリッジ25から空気
を完全に排除することができる。薬剤徐放カートリッジ
25は、多孔質膜25bによって覆われた開放端を上流
側へ向けて第2部分23の流路の拡径部23b2 内に位
置させ、突起25cを第1部分22を構成する筒体の内
面に当接させた状態で、第1部分22の流路22c内に
挿入されている。薬剤徐放カートリッジ25の周囲に、
環状流路22dが形成されている。
【0040】薬剤徐放カートリッジ付シャワーヘッド2
1の作動を説明する。給水ホース100から薬剤徐放カ
ートリッジ付シャワーヘッド21に水道水が供給され
る。図5で実線の矢印で示すように、第2部分23の流
路の拡径部23b2 を流れる水道水の一部は環状流路2
2dへ流入し、他の一部は、直円筒体25aの開放端の
中央部を通って薬剤徐放カートリッジ25内へ流入す
る。薬剤徐放カートリッジ25内へ流入した水道水は、
図5で破線の矢印で示すように、直円筒体25aの中心
部を閉鎖端へ向かって進みつつ径方向へ拡散し、流れの
方向を変え、直円筒体25aの囲壁に沿う円筒状の流れ
となって、直円筒体25aの開放端へ向かって進む。ア
スコルビン酸が水道水中に溶解し、水道水はアスコルビ
ン酸飽和水溶液となる。アスコルビン酸飽和水溶液は、
直円筒体25aの開放端の周縁から薬剤徐放カートリッ
ジ25の外部へ流出し、環状流路22dへ流入する水道
水に混入する。水道水に混入したアスコルビン酸によ
り、水道水中の残留塩素が除去される。塩素臭が除去さ
れた水道水が、シャワーヘッド21から吐出されること
により、シャワー利用者の快適感が増大する。
【0041】薬剤徐放カートリッジ付シャワーヘッド2
1においては、薬剤徐放カートリッジ25の開放端が多
孔質膜25bによって覆われているので、第2部分23
の流路の拡径部23b2 を流れる水道水の一部が徐々に
薬剤徐放カートリッジ25内へ流入する。この結果、薬
剤徐放カートリッジ25内の水道水とアスコルビン酸飽
和水溶液の流れが安定する。薬剤徐放カートリッジ25
内には圧力変動によって体積が変化する空気が存在しな
いので、薬剤徐放カートリッジ25内の水道水とアスコ
ルビン酸飽和水溶液の流れが安定する。薬剤徐放カート
リッジ25が硬質材で形成され内外圧差による変形を生
じないので薬剤徐放カートリッジ25内の水道水とアス
コルビン酸飽和水溶液の流れが安定する。この結果、薬
剤徐放カートリッジ25内のアスコルビン酸飽和水溶液
は、シャワーの使用中に過剰放出されることなく、環状
流路22dへ流入する水道水中に安定して徐放される。
【0042】薬剤徐放カートリッジ25は一端が閉鎖さ
れ他端が開放された筒体なので、薬剤徐放カートリッジ
付シャワーヘッド21の流路22c内に容易に挿入でき
る。薬剤徐放カートリッジ付シャワーヘッド21におい
ては、薬剤徐放カートリッジ25がシャワーヘッド21
の流路22c内に配設されているので、薬剤徐放カート
リッジ25がシャワーヘッド21によって保護され、外
力によって薬剤徐放カートリッジ25が破損する等の事
故の発生が防止される。
【0043】薬剤徐放カートリッジ付シャワーヘッド2
1においては、薬剤徐放カートリッジ25の開放端の開
口面積が十分に大きいので、前記開口中の流路23b2
から薬剤徐放カートリッジ25内へ流入する水が通過す
る部分と、薬剤徐放カートリッジ25から流路23b2
へ放出されるアスコルビン酸飽和水溶液が通過する部分
とが、重ならない。この結果、薬剤徐放カートリッジ2
5内の液体の流れが安定し、薬剤徐放カートリッジ25
内のアスコルビン酸飽和水溶液が安定して徐放される。
【0044】薬剤徐放カートリッジ付シャワーヘッド2
1においては、第1部分22と第2部分23との螺合角
度を調節することにより、小径流路23b1 の下流端と
薬剤徐放カートリッジ25の開放端との間の距離を調節
し、多孔質膜25b近傍の水圧分布を調節し、薬剤徐放
カートリッジ25内へ流入する水道水の量を調節でき
る。これにより、アスコルビン酸飽和水溶液の徐放量を
制御できる。環状流路22dへ流入する水道水は、拡径
流路23b2 の囲壁に沿ってスムーズに流れるので、薬
剤徐放カートリッジ25の開放端近傍で、水道水の流れ
が乱れるおそれは無い。この結果、薬剤徐放カートリッ
ジ25内のアスコルビン酸飽和水溶液が安定して徐放さ
れる。
【0045】薬剤徐放カートリッジ付シャワーヘッド2
1においては、シャワー使用中はシャワーヘッド内の水
圧により閉鎖される構造の水抜き弁24がシャワー使用
後に開放され、水抜き弁24を介して、流路22c、2
2d、23b2 、23b1 内の水を、外部へ放出するこ
とができる。この結果、シャワー不使用中にシャワーヘ
ッド21内の残留水中にアスコルビン酸が溶出し、薬剤
徐放カートリッジ25内のアスコルビン酸が早期に用尽
される事態の発生が防止される。
【0046】差分法による汎用流体解析プログラムを用
い、下記の条件で、シャワーヘッド内の流体の流動解析
を行った。 流体 : H2O (密度ρ=992.3 Kg/m3、動粘性係数ν=
0.667×10-6 m2/sec) 流量 : 0.167 ×10 -3 m3/sec 多孔質膜による抵抗 : 5.5 ×10 -3 m/sec (at △
p=9.8×102 Pa) 解析条件 : No slip 条件 薬剤徐放カートリッジ外径 : 18mm 薬剤徐放カートリッジ内径 : 16mm 薬剤徐放カートリッジ長 : 100mm シャワーヘッド内径 : 22mm シャワーヘッド長 : 300mm 薬剤徐放カートリッジの配設位置 : シャワーヘッド
の長さ方向の中央部に、シャワーヘッドに同軸に、開放
端を上流側ヘ向けて配置した。
【0047】解析によって得られた、通水開始20秒後
の薬剤徐放カートリッジの開放端近傍の流体の水圧分布
の等高線と速度ベクトルの分布とを図6に示す。図6か
ら、薬剤徐放カートリッジの開放端の中央部では多孔質
膜の外面に加わる水圧が多孔質膜の内面に加わる水圧、
すなわち薬剤徐放カートリッジ内部の水圧よりも大き
く、他方、薬剤徐放カートリッジの開放端の周縁部では
多孔質膜の外面に加わる水圧が多孔質膜の内面に加わる
水圧よりも小さく、この結果、薬剤徐放カートリッジの
開放端の中央部ではシャワーヘッドの流路から薬剤徐放
カートリッジ内へ水が流入し、薬剤徐放カートリッジの
開放端の周縁部では薬剤徐放カートリッジからシャワー
ヘッドの流路ヘ水が流出する事が確認される。
【0048】薬剤徐放カートリッジの多孔質膜の内表面
から薬剤徐放カートリッジ内部へ2mm離れた位置で、
且つ薬剤徐放カートリッジの中心線から径方向に0.2
5mm離れた位置(A)、2.75mm離れた位置
(B)、5.25mm離れた位置(C)、7.75mm
離れた位置(D)における、流体の軸方向の速度成分
(下流へ向かう方向を正、上流へ向かう方向を負とす
る)の経時変化を図7に示す。図7から、薬剤徐放カー
トリッジ内へ流入する水の流れと薬剤徐放カートリッジ
から流出する水の流れとが、流水開始後短時間内に定常
状態に達すること、すなわち、薬剤徐放カートリッジか
ら薬剤が安定して徐放されることが確認される。
【0049】図5に示す薬剤徐放カートリッジ付シャワ
ーヘッド21を用いて、水道水中の残留塩素除去能力の
測定実験を行った。薬剤徐放カートリッジ付シャワーヘ
ッド21の把持部の内径、すなわち環状流路22dの外
径を24mmとし、薬剤徐放カートリッジ25を構成す
る直円筒体25aの外径×内径×長さを20mm×16
mm×120mmとした。直円筒体25aの開放端を覆
う多孔質膜25bとして、ポリエステル繊維をセルロー
スアセテート樹脂で被覆した細孔径が10μmの多孔質
膜を、公称繊維径2μm、公称細孔径4.3〜4.7μ
mの極細ポリエステル繊維の織布でサンドイッチしたも
のを用いた。薬剤徐放カートリッジ25内に、アスコル
ビン酸粉末20gを充填し、更に脱気した純水を満たし
て、薬剤徐放カートリッジ25から空気を完全に排除し
た。薬剤徐放カートリッジ付シャワーヘッド21に、残
留塩素を1.5mg/dm3 以上の濃度で含有する40
℃の水道水を、通水流量10dm3 /分、通水時の水圧
0.4kgf/cm2 で、1日に付き20分すなわち2
00dm3 通水した。通水停止後、水抜き弁4を介して
シャワーヘッド21内の残留水を放出し、24時間以上
放置した。以後、上記の通水と、残留水の放出と、放置
とを繰り返した。20分の通水中、通水開始後1分、5
分、10分、20分の時点で、薬剤徐放カートリッジ付
シャワーヘッド21の残留塩素除去能力(薬剤徐放カー
トリッジ付シャワーヘッド21に供給される水道水の残
留塩素濃度と、薬剤徐放カートリッジ付シャワーヘッド
21から吐出される水の残留塩素濃度との差)を測定し
た。計測結果を、図8に示す。図8から、略1mg/d
3 の残留塩素除去能力が各通水中に安定して維持さ
れ、且つ、長期に亘って安定して維持されていることが
分かる。
【0050】流入口と流出口とを有するアスコルビン酸
が充填された薬剤徐放カートリッジが、シャワーヘッド
に装着され、薬剤徐放カートリッジの流入口と流出口と
が、シャワーヘッド内部の流路に連通している、特開平
6−296902号の図2に相当する市販の薬剤徐放機
能付シャワーヘッドを用いて、水道水中の残留塩素除去
能力の測定実験を行った。薬剤徐放機能付シャワーヘッ
ドに、残留塩素を1.5mg/dm3 以上の濃度で含有
する40℃の水道水を、通水流量10dm3 /分、通水
時の水圧0.4kgf/cm2 で、1日に付き20分す
なわち200dm3 通水した。通水停止後、24時間以
上放置した。以後、上記の通水と、放置とを繰り返し
た。20分の通水中、通水開始後5分、10分、20分
の時点で、薬剤徐放機能付シャワーヘッドの残留塩素除
去能力を測定した。計測結果を、図9に示す。図9か
ら、特開平6−296902号の図2に相当する市販の
薬剤徐放機能付シャワーヘッドでは、各通水において、
通水開始直後にはアスコルビン酸が過剰に溶出し、通水
時間の経過と共に、アスコルビン酸の溶出量が急激に減
少していること、すなわち、安定したアスコルビン酸の
徐放が期待できないことが分かる。上記市販の薬剤徐放
機能付シャワーヘッドでは、アスコルビン酸が過剰に溶
出するので、薬剤徐放カートリッジ内のアスコルビン酸
の消耗が激しく、薬剤徐放カートリッジの寿命が短い。
【0051】図5の薬剤徐放カートリッジ付シャワーヘ
ッド21を用い、水道水中の残留塩素除去能力の測定実
験を行った。薬剤徐放カートリッジ付シャワーヘッド2
1の把持部の内径、すなわち環状流路22dの外径を2
4mmとし、薬剤徐放カートリッジ25を構成する直円
筒体5aの外径×内径×長さを20mm×16mm×1
20mmとした。図10(a)、(c)、(d)に示す
ように、直円筒体25aの開放端の、直円筒体25aの
軸線に対する角度を種々に変えて、該角度が薬剤徐放カ
ートリッジ付シャワーヘッド21の残留塩素除去能力に
及ぼす影響を調べた。また、図10(b)に示すよう
に、直円筒体25aの開放端を下流側へ向けた場合、図
10(e)に示すように、直円筒体25aの両端を閉鎖
し、延在方向の中央部に開口を設けた場合についても、
水道水中の残留塩素除去能力の測定実験を行った。図1
0(a)〜(d)において、直円筒体25aの開放端を
覆う多孔質膜25bとして、公称繊維径2μm、公称細
孔径4.3〜4.7μmの極細ポリエステル繊維の織布
を用いた。図10(e)の開口も、公称繊維径2μm、
公称細孔径4.3〜4.7μmの極細ポリエステル繊維
の織布で覆った。薬剤徐放カートリッジ付シャワーヘッ
ド21に、残留塩素を1.5mg/dm3 以上の濃度で
含有する10℃〜14℃の水道水を、通水時の水圧0.
4kgf/cm2 で、通水流量を種々に変えて通水し、
薬剤徐放カートリッジ付シャワーヘッド21の残留塩素
除去能力を測定した。
【0052】計測結果を、図11に示す。図11から、
直円筒体25aの開放端の、直円筒体25aの軸線に対
する角度が45°の場合、60°の場合、90°の場合
には、吐水流量の増大に伴って、薬剤徐放カートリッジ
付シャワーヘッド21の残留塩素除去能力が増大するこ
と、すなわち、吐出水中のアスコルビン酸濃度が増大す
ることが分かる。他方、直円筒体25aの開放端を下流
側へ向けた場合には、アスコルビン酸が吐水中に殆ど溶
出しないことが分かる。また、直円筒体25aの両端を
閉鎖し、延在方向の中央部に開口を設けた場合には、吐
水流量の増大に伴って吐出水中のアスコルビン酸濃度が
増大するが、吐水流量が8dm3 /分を越えると、吐水
流量の増大に伴って吐出水中のアスコルビン酸濃度が減
少することが分かる。図11から判断して、直円筒体2
5aの開放端が上流側へ差し向けられ、直円筒体25a
の開放端の、直円筒体25aの軸線に対する角度が30
°〜90°であれば、シャワーの吐出流量の増大に伴っ
て、直円筒体25aからのアスコルビン酸の徐放量は増
大し、吐出水中のアスコルビン酸濃度は増大するものと
考えられる。すなわち、直円筒体25aの開放端を上流
側へ差し向け、直円筒体25aの開放端の、直円筒体2
5aの軸線に対する角度を30°〜90°に設定するこ
とにより、一般に快適な吐出流量とされる8dm3 /分
〜12dm3 /分の範囲で、吐出水中のアスコルビン酸
濃度が低下し、塩素臭のある水がシャワーヘッドから吐
出する事態の発生が防止されると考えられる。
【0053】以上本発明の実施例を説明したが、本発明
は上記実施例に限定されない。第1実施例において、分
岐配水管5a、5b、5cの外側に薬剤徐放カートリッ
ジ6a、6b、6cを装着するのに代えて、図5の薬剤
徐放カートリッジ付シャワーヘッド21と同様に、分岐
配水管5a、5b、5c内に薬剤徐放カートリッジ6
a、6b、6cを配設しても良い。分岐配水管5a、5
b、5cによって薬剤徐放カートリッジ6a、6b、6
cが保護され、薬剤徐放カートリッジ6a、6b、6c
の外力による破損のおそれが無くなる。なお、薬剤徐放
カートリッジ6a、6b、6cの取り替え作業を容易に
するために、分岐配水管5a、5b、5cに蓋部材を取
付るのが望ましい。
【0054】第2実施例において、膨出部5a′、5
b′、5c′の外側に薬剤徐放カートリッジ6a′、6
b′、6c′を装着するのに代えて、図5の薬剤徐放カ
ートリッジ付シャワーヘッド21と同様に、膨出部5
a′、5b′、5c′内に薬剤徐放カートリッジ6
a′、6b′、6c′を配設しても良い。膨出部5
a′、5b′、5c′によって薬剤徐放カートリッジ6
a′、6b′、6c′が保護され、薬剤徐放カートリッ
ジ6a′、6b′、6c′の外力による破損のおそれが
無くなる。なお、薬剤徐放カートリッジ6a′、6
b′、6c′の取り替え作業を容易にするために、膨出
部5a′、5b′、5c′に蓋部材を取付るのが望まし
い。
【0055】第2実施例において、空気弁7′と水抜弁
8′とを廃止し、飲料水改質装置A′の不使用時に、薬
剤徐放カートリッジ6a′を膨出部5a′から所定距離
引き出し、揺動蓋9′で薬剤徐放カートリッジ6a′の
開放端を閉鎖して、易溶性ミネラル塩飽和水溶液の漏出
を防止しても良い。
【0056】易溶性ミネラル塩に代えて、食塩等の電解
質、炭酸塩、ビタミンB1、B2、B12、C、パント
テン酸等の各種水溶性ビタミンを薬剤徐放カートリッジ
6a、6b、6c、6a′、6b′、6c′に充填して
も良い。充填される薬剤は水溶性の液体でも、水溶性の
固体でも良い。
【0057】第1実施例において飲料水浄化装置3を廃
止し、第2実施例において飲料水浄化装置3′を廃止し
ても良い。
【0058】多孔質膜6a1 、6a1 ′、25bの膜面
積、孔径、膜厚、材質、孔密度等を適宜選択することに
より、薬剤の種類、配水管内の飲料水の流量等に応じ
て、薬剤徐放量を所望の値に調整し、飲料水中の薬剤濃
度を所望の値に調整できる。
【0059】
【発明の効果】本発明に係る飲料水改質装置において
は、配水管から、薬剤徐放カートリッジに形成された単
一の開口を通って、薬剤徐放カートリッジ内に飲料水が
侵入し、薬剤徐放カートリッジ内の水溶性の液状の薬剤
又は水溶性の薬剤の飽和水溶液が、前記単一の開口を通
って、配水管を流れる飲料水中へ放出される。薬剤徐放
カートリッジの開口は多孔質膜によって覆われており、
薬剤徐放カートリッジ内には圧力変動によって体積が変
化する空気が存在せず、薬剤徐放カートリッジは硬質材
で形成され外圧を加えても変形しないので、薬剤徐放カ
ートリッジ内の水溶性の液状の薬剤又は水溶性の薬剤の
飽和水溶液は、過剰放出されることなく安定して配水管
を流れる飲料水中に徐放される。徐放された薬剤によっ
て飲料水が改質される。改質された飲料水は、吐水栓を
通って吐出しユーザーの利用に供される。薬剤徐放カー
トリッジ内の水溶性の液状の薬剤又は水溶性の薬剤の飽
和水溶液は安定して配水管を流れる飲料水中に徐放され
るので、本発明に係る飲料水改質装置は長期間に亘って
安定して飲料水を改質することができる。
【0060】薬剤徐放カートリッジを配水管の外側に装
着することにより、薬剤徐放カートリッジの交換が容易
になる。
【0061】一端が閉鎖され他端が開放された筒体から
成る薬剤徐放カートリッジを配水管内に配設し、薬剤徐
放カートリッジと配水管の囲壁との間に隙間を形成する
ことにより、薬剤徐放カートリッジが配水管によって保
護され、外力によって薬剤徐放カートリッジが破損する
等の事故の発生が防止される。
【0062】配水管から薬剤徐放カートリッジへ流入す
る水量を調節する水量調節装置を配設することにより、
薬剤の徐放量の調節が可能となる。
【0063】飲料水改質装置の不使用時に薬剤徐放カー
トリッジから薬剤が漏出するのを防止する薬剤漏出防止
装置を配設することにより、飲料水改質装置の不使用時
に配水管内の残留水中に薬剤が漏出し、早期に薬剤が用
尽される事態の発生が防止される。
【0064】配水管に飲料水浄化装置が接続されている
場合は、薬剤徐放カートリッジを飲料水浄化装置の下流
に配設することにより、薬剤徐放カートリッジの多孔質
膜の目詰まりを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る飲料水改質装置の構
成図である。
【図2】本発明の第1実施例に係る飲料水改質装置の薬
剤徐放カートリッジの取付状態を示す、前記取付部近傍
の断面図である。
【図3】本発明の第2実施例に係る飲料水改質装置の構
成図である。
【図4】本発明の第2実施例に係る飲料水改質装置の薬
剤徐放カートリッジの取付状態を示す、前記取付部近傍
の断面図である。
【図5】薬剤徐放カートリッジの性能試験の対象とした
薬剤徐放カートリッジ付シャワーヘッドの断面図であ
る。
【図6】差分法による汎用流体解析プログラムを用いた
シャワーヘッド内の流体の流動解析によって得られた、
薬剤徐放カートリッジの開放端近傍の流体の圧力分布と
流速分布とを示す図である。
【図7】差分法による汎用流体解析プログラムを用いた
シャワーヘッド内の流体の流動解析によって得られた、
薬剤徐放カートリッジの開放端での複数の径方向位置に
おける流体の速度の経時変化を示す図である。
【図8】図5の薬剤徐放カートリッジ付シャワーヘッド
の残留塩素除去能力を示す図である。
【図9】従来技術に係る薬剤徐放カートリッジ付シャワ
ーヘッドの残留塩素除去能力を示す図である。
【図10】図5の薬剤徐放カートリッジ付シャワーヘッ
ドが備える薬剤徐放カートリッジの種々の形態を示す、
薬剤徐放カートリッジの縦断面図である。
【図11】薬剤徐放カートリッジの形態の相違が、図5
の薬剤徐放カートリッジ付シャワーヘッドの残留塩素除
去能力に与える影響を示す図である。
【符号の説明】
A、A′ 飲料水改質装置 B、B′ 吐水栓 C、C′ 水道配管 1、1′ 配水管 2、2′ 止水弁 3、3′ 飲料水浄化装置 4a、4b、4c 流量比調整弁 4a′、4b′、4c′ 接続金具 5a、5b、5c 分岐配水管 5a′、5b′、5c′ 膨出部 6a、6b、6c、6a′、6b′、6c′ 薬剤徐放
カートリッジ 6a1 、6a1 ′ 多孔質膜 7、7′ 空気弁 8、8′ 水抜弁 9 逆止弁 9′ 揺動蓋 10、10′ コントローラー 11、11′ 操作パネル 21 薬剤徐放カートリッジ付シャワーヘッド 22 第1部分 23 第2部分 24 水抜弁 25 薬剤徐放カートリッジ 25b 多孔質膜

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配水管と、水溶性の液状の薬剤又は水溶
    性の薬剤と該薬剤の飽和水溶液とが充填された空気層を
    含まない硬質材容器と、硬質材容器に形成された単一の
    開口と、該開口を覆う多孔質膜とを有する薬剤徐放カー
    トリッジとを備え、薬剤徐放カートリッジは前記開口を
    前記配水管の流路に連通させ、且つ前記開口を前記流路
    の上流側へ差し向けた状態で前記配水管に装着され、配
    水管は吐水栓の上流の水道配管に接続されることを特徴
    とする飲料水改質装置。
  2. 【請求項2】 薬剤徐放カートリッジは配水管の外側に
    装着され、薬剤徐放カートリッジの開口近傍部は配水管
    内へ差し込まれていることを特徴とする請求項1に記載
    の飲料水改質装置。
  3. 【請求項3】 薬剤徐放カートリッジは一端が閉鎖され
    他端が開放された筒体であり、薬剤徐放カートリッジは
    配水管内に配設されており、薬剤徐放カートリッジと配
    水管の囲壁との間に隙間があることを特徴とする請求項
    1に記載の飲料水改質装置。
  4. 【請求項4】 配水管から薬剤徐放カートリッジへ流入
    する水量を調節する水量調節装置を備えることを特徴と
    する請求項1乃至3の何れか1項に飲料水改質装置。
  5. 【請求項5】 飲料水改質装置の不使用時に薬剤徐放カ
    ートリッジから薬剤が漏出するのを防止する薬剤漏出防
    止装置を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れ
    か1項に記載の飲料水改質装置。
  6. 【請求項6】 配水管に接続された飲料水浄化装置を備
    え、薬剤徐放カートリッジは飲料水浄化装置の下流に配
    設されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか
    1項に記載の飲料水改質装置。
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