JPH09186350A - 光起電力素子及びその製造方法 - Google Patents

光起電力素子及びその製造方法

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JPH09186350A
JPH09186350A JP8000360A JP36096A JPH09186350A JP H09186350 A JPH09186350 A JP H09186350A JP 8000360 A JP8000360 A JP 8000360A JP 36096 A JP36096 A JP 36096A JP H09186350 A JPH09186350 A JP H09186350A
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photovoltaic element
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JP8000360A
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Katsumi Nakagawa
克己 中川
Yukiko Iwasaki
由希子 岩崎
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、透明層に発生したピンホールを修
復することにより、光電変換効率が高く、しかも過酷な
環境下における信頼性の高い、光起電力素子及びその製
造方法を提供する。 【解決手段】 本発明の光起電力素子は、少なくとも、
銅を主成分とする金属層で表面が被覆された基板上に、
第1透明層、半導体からなる光起電力層、及び第2電極
が順次堆積されてなる光起電力素子において、前記第1
透明層の一部にピンホールが存在するため、前記第1透
明層で被覆されていない前記金属層の少なくとも表面部
分が、酸化銅で覆われていることを特徴とする。また、
本発明の光起電力素子の製造方法は、前記第1透明層を
堆積した後、前記光起電力素子を表面から酸化処理する
工程αを有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光起電力素子及び
その製造方法に係る。より詳細には、透明層に発生した
ピンホールを修復した光起電力素子及びその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】人類のこれからのエネルギー源として、
その使用の結果発生する二酸化炭素の為に地球の温暖化
をもたらすと言われる石油や石炭、不測の事故により、
さらには正常な運転時に於いてすら放射線の危険が皆無
とは言えない原子力に全面的に依存していく事は問題が
多い。一方、光起電力素子の一つである太陽電池は、太
陽光をエネルギー源としており地球環境に対する影響が
極めて少ないため、その普及が期待されている。しかし
現状に於いては、本格的な普及を妨げているいくつかの
問題点がある。
【0003】従来、太陽電池の半導体からなる光起電力
層を形成する材料としては、単結晶または多結晶のシリ
コンが多く用いられてきた。しかし、これらの太陽電池
では結晶の成長に多くのエネルギーと時間を要し、また
その後も複雑な工程が必要となるため量産効果があがり
にくく、低価格での提供が困難であった。この問題を解
決するために、アモルファスシリコン(以下a−Siと
記載)や、CdS、CuInSe2などの化合物を用い
た、いわゆる薄膜半導体太陽電池が盛んに研究、開発さ
れてきた。これらの太陽電池では、ガラスやステンレス
スティールなどの安価な基板上に必要なだけの半導体か
らなる光起電力層を形成すればよく、その製造工程も比
較的簡単であり、低価格化できる可能性を持っている。
しかしながら、薄膜太陽電池は、その変換効率が結晶シ
リコン太陽電池に比べて低く、しかも長期の使用に対す
る信頼性に不安があるという問題を有するため、これま
で本格的に使用されてこなかった。
【0004】このような薄膜太陽電池の問題を解消し、
その性能を改善するため、以下に示す変換効率を高める
ための工夫がなされている。
【0005】第1の工夫は、基板表面の光の反射率を高
めることにより、薄膜半導体からなる光起電力層で吸収
されなかった太陽光を、再び光起電力層に戻し、入射光
を有効に利用する役割を担う裏面反射層の採用である。
この裏面反射層が基板表面の電極を兼ねるためには、そ
の材料として、例えば銀(Ag)、アルミニウム(A
l)、銅(Cu)などの金属が好適に用いられる。
【0006】また、金属からなる裏面反射層と薄膜半導
体からなる光起電力層との間に、適当な光学的性質を持
った透明層を介在させると、多重干渉効果によりさらに
反射率を高めることができる。この様な透明層の採用
は、光起電力素子の信頼性を高める上でも効果がある。
特公昭60−41878号公報には、透明層を用いる事
により、半導体からなる光起電力層と金属層とが合金化
するのを防ぐことができるとの記載がある。また、米国
特許第4,532,372号明細書および米国特許第
4,598,306号明細書には、適度な抵抗を持った
透明層を用いることにより、例えば半導体層に短絡箇所
が発生した場合でも、電極間に過剰な電流が流れるのを
防止できるとの記載がある。
【0007】第2の工夫は、太陽電池の表面又は/及び
裏面反射層における光起電力層との界面を微細な凸凹構
造(テクスチャー構造)とする方法の採用である。この
ような構成とする事により、太陽電池の表面又は/及び
裏面反射層における光起電力層との界面で太陽光が散乱
され、半導体からなる光起電力層の内部に太陽光が閉じ
こめられる(光卜ラップ効果)ため、半導体からなる光
起電力層において太陽光がより有効に吸収される様にな
る。そのためには例えば、裏面反射層に用いる金属層の
表面をテクスチャー構造とすればよい。平坂らは、Al
を基板温度や堆積速度を調整して堆積することで、裏面
反射層として好ましいテクスチャー構造が得られる事を
報告している(M.Hirasaka, K.Suzuki, K.Nakatani, M.
Asano, M.Yano, H.Okaniwa: Solar Cell Materials 20
(1990) pp99-110)。
【0008】さらに、第2の工夫(金属層と透明層の2
層からなる裏面反射層の考え方)と第1の工夫(テクス
チャー構造の考え方)を組み合わせる事もできる。米国
特許第4,419,533号明細書には、金属層の表面
がテクスチャー構造を持ち、且つその上に透明層が形成
された裏面反射層の考え方が開示されている。また、平
滑な金属層の上にテクスチャー構造の透明層を形成して
も構わない。この様な組み合わせにより、太陽電池の変
換効率はかなり改善されてきた。
【0009】光起電力素子の変換効率を左右する重要な
要因の一つとして、電極として用いる金属層の材料選択
が挙げられる。反射率の観点から、銀(Ag)、アルミ
ニウム(Al)及び銅(Cu)が好適である。特に、A
gは可視光の殆ど全波長領域で95〜98%の反射率を
示すことから、最も好ましい。しかしAgは貴金属であ
り、太陽電池のような大面積のデバイスに使用するには
コスト面からの制約がある。また、Alはコスト的には
使用し易い金属であるが、反射層として重要な600〜
1000nm程度の比較的長波長の領域では、反射率が
85〜90%程度であり、Agに比べるとかなり低い。
この差は、特に透明層による多重干渉効果を利用する場
合には光起電力素子の変換効率に大きな影響を与える。
すなわち金属の反射率が低いと、透明層の中を光が往復
する度に光が吸収されるので、光の損失が著しく大きく
なる。その点Cuは波長600nmより短い波長域では
反射率が60%程度とかなり低いが、600〜1000
nm程度の波長域ではAgと殆ど遜色のない高い反射率
を示す。また、半導体からなる光起電力層を透過する際
に、波長600nm以下の光は殆ど吸収されてしまうの
で、金属層はこの範囲の光に対して反射率が高ければ十
分である。さらに、CuはAgに比べコスト的に有利で
ある。この様な理由から、反射層としてCuは理想的な
材料と考えられる。
【0010】しかしながら、反射層としてCuを用いた
光起電力素子を高湿度環境で長期間使用すると、時とし
て特性の低下が見られることが分かった。太陽電池とし
て使用する光起電力素子の表面は透明度の高い材料でラ
ミネーションする必要があるが、樹脂フィルム等では水
分の透過を阻止する事は困難である。一方、強い光が当
たると材料の劣化が起こるばかりではなく、太陽電池が
起電力を発生するので、各部の間に電位の差が生じる。
この様な環境では、Cuはエレクトロケミカルマイグレ
ーション(以下マイグレーションと略記する)と呼ばれ
る現象を起こすことが知られており、太陽電池の場合も
マイグレーションによって生じた現象と考えられる。ガ
ラスでラミネーションすれば、水分の透過を抑えられる
ので、改善が図れるものの、モジュールの端の張り合せ
部分からの水分の侵入を抑えきれないので、効果は完全
でない。またガラスを使用すると、太陽電池の可撓性が
失われ、重量が増し、機械的な損傷を受け易くなる等、
太陽電池の使い勝手が著しく低下し、薄膜半導体の太陽
電池としての特徴が失われてしまう。
【0011】以下では、本発明者が、長期使用により発
電効率の低下した光起電力素子を調べた結果に関して述
べる。
【0012】遠赤外線を利用した表面温度画像化カメラ
(三菱電機製、サーマルイメージャIR−5120C)
により、短絡箇所を特定することができた。この短絡箇
所を光学顕微鏡で調べたところ、直径10〜30ミクロ
ン程度の金属光沢をもったスポットが見いだされた。こ
のスポットをさらにX線マイクロアナライザー(堀場製
作所製、EMAX−5770)で分析したところ、この
スポット部分では周囲に比べ著しく強いCuの信号が検
出された。すなわち、反射層のCuが表面にマイグレー
ションしたと考えられた。
【0013】図4は、その状態を推定し、模式的に示し
た断面図である。図4において、401は基板、402
はCuを主成分とする金属層であり、第1電極であると
同時に反射層として機能する。403は透明層、404
は半導体からなる光起電力層、405は第2電極であ
る。ここで、透明層403、光起電力層404、及び第
2電極405を貫くピンホール406があり、この内部
にCuのデンドライトが成長し、金属層402と第2電
極405の間を短絡するので、本来外部回路に取り出さ
れるべき出力電流の一部が失われる為、光起電力素子の
効率が低下するものと思われる。
【0014】ところで、一般には、マイグレーションは
まず正の電位が加わった側から金属が溶出し、対極側か
らデンドライトが成長して起こると言われいる。一方、
本発明者の調査した光起電力素子では、第2電極側40
5側が正の起電力を発生するので、電位の方向が逆であ
る。この矛盾は以下のように説明できる。
【0015】太陽電池を構成する単体の光起電力素子の
出力電圧は高々2V程度と低いため、実用的な12Vあ
るいは24V等の電圧を発生する工夫として、単体の光
起電力素子を10個以上直列に接続する方法が用いられ
る。もし何らかの理由で、直列接続された光起電力素子
の内の1個だけ入射光が遮られたとすると、この光起電
力素子には他の光起電力素子が発生する電圧が逆向きに
加わる。もしこの時、環境の湿度が高いと、マイグレー
ションが起こり得ることになる。直列接続された光起電
力素子の内、1個だけ入射光が遮られた状態はパーシャ
ルシェード状態と呼ばれ、太陽電池の上に落ち葉が不均
一につもったり、太陽電池の上に降雪があった後雪が部
分的に溶けたりした場合に起こり得る。このような現象
に対応するため、直列接続された各素子に並列にダイオ
ードを接続すると、逆バイアスをダイオードの立ち上が
り電圧に相当する値まで(0.7〜1V程度)下げるこ
とはできるが、完全な対策とは言えず、Cuの使用には
信頼性の観点から不安が残っていた。
【0016】また、光起電力素子は光センサーとして利
用することができるが、その場合外部から逆バイアスを
印加し、暗電流を抑えた状態で使用するのが普通であ
る。この場合には常時逆バイアス電圧が加わるので、や
はりマイグレーションが発生する可能性が高い。したが
って、センサーの感度を高めるため、Cuからなる裏面
反射層を採用するには不安があった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述したエ
レクトロケミカルマイグレーションによる光電変換効率
の低下のメカニズムをふまえて改良された裏面反射層を
用いることにより、入射する太陽光を有効に利用できる
ため光電変換効率が高く、しかも過酷な環境で使用して
も信頼性の高い、光起電力素子を提供することを目的と
する。
【0018】また、この光起電力素子を低いコストで作
製できる製造方法を提供することにより、太陽光発電の
本格的な普及に寄与することを他の目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の光起電力素子
は、少なくとも、銅を主成分とする金属層で表面が被覆
された基板上に、第1透明層、半導体からなる光起電力
層、及び第2電極が順次堆積されてなる光起電力素子に
おいて、前記第1透明層の一部にピンホールが存在する
ため、前記第1透明層で被覆されていない前記金属層の
少なくとも表面部分が、酸化銅で覆われていることを特
徴とする。
【0020】本発明の光起電力素子の製造方法は、少な
くとも、銅を主成分とする金属層で表面が被覆された基
板上に、第1透明層、半導体からなる光起電力層、及び
第2電極が順次堆積されてなる光起電力素子の製造方法
において、前記第1透明層を堆積した後、前記光起電力
素子を表面から酸化処理する工程αを有することを特徴
とする。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明は、上述した電極の機能を
有する金属層としてCuを用いる場合の問題点を解決し
たものである。Cuのマイグレーションを防止する最も
簡単な方法は、Cuの表面に積層する透明層のピンホー
ルを取り除くことである。しかし実際には、透明層とし
て用いられるZnO、SnO、ITO等の膜を、蒸着法
やスパッタ法により堆積する際には、表面の凹凸やダス
トの付着のため、ピンホールを根絶するのは困難であ
る。
【0022】本発明者は、酸化銅がマイグレーションに
対するバリアとして有効であるという、Giulio DiGiaco
mo の指摘(“METAL MIGRATION (Ag, Cu, Pb) IN ENCAP
SULATED MODULES AND TIME-TO-FAIL MODEL AS A FUNCTI
ON OF THE ENVIRONMENT ANDPACKAGE PROPERTIES” 20th
Ann. Proc. Reliability Physics, 27 (1982) p27-3
3)に注目した。
【0023】Cuは酸素雰囲気下で容易に酸化すること
ができる点に着目し、Giulio DiGiacomo の指摘を確認
するため、以下に示す実験を行った。
【0024】(実験1)本実験では、Cu電極がデンド
ライトを形成する条件に関して検討した。
【0025】以下では、実験手順にしたがって説明す
る。
【0026】(1)ガラス(コーニング社#7059)
基板上に、マスクをかけてスパッタリングを行い、20
0ミクロンの間隔で隔てられた一対のプラナー型のCu
の電極を堆積し、試料1とした。
【0027】(2)この上に純水を一滴たらし、さらに
光学顕微鏡で観察しながら電極に10Vの直流電圧を印
加した。電圧を加えて数秒後には電極間には一面にデン
ドライトが生成し電極間は完全に短絡した。
【0028】(3)試料1と同様なCu電極を400℃
の大気雰囲気中で1分間アニール処理し、試料2とし
た。表面は茶色に変色し酸化銅(Cu2O、又はCu
O)が形成された事が分かった。しかしガラス基板の裏
側から見るとアニール前と同様なCuの色が見られ、酸
化は表面だけにとどまっていた。この状態で、水滴をた
らし電圧を印加した。しかし3分間観察してもデンドラ
イトの形成は見られなかった。
【0029】したがって、Cuの表面を酸化しておくこ
とにより、仮にCuの上の透明層にピンホールが空いて
いてもピンホール内部のデンドライトの形成を防止でき
ることが分かった。
【0030】しかしながら、この構成には重大な欠点が
ある。すなわち酸化銅(Cu2O、又はCuO)は着色
が著しいため、上記試料2の光反射率は、波長600n
mで10%、700nmで30%、波長800nmで5
0%程度であり、せっかくのCuの高い反射率を著しく
損なっていた。
【0031】本発明者は、実験1に示した状態を踏ま
え、次に示す実験2以降を行った結果、図1に示す構造
の光起電力素子を作製し、従来の問題点を解決した。
【0032】(実験2)本実験では、基板上にCu膜と
ITO膜を順次積層した後に行う、アニール処理の有無
の影響に関して検討した。
【0033】以下では、実験手順にしたがって説明す
る。
【0034】(1)表面を研磨したステンレス基板10
1の上に、スパッタリング法により厚さ200nmのC
u膜102を堆積した。
【0035】(2)Cu膜102の上に、スパッタリン
グ法により厚さ100nmのITO膜103を堆積し
た。
【0036】(3)ITO膜103の表面をFE−SE
M(日立計測器製、S−4500)を用いて観察した。
その結果、ピンホール106が観察された。
【0037】(4)上記(3)の試料を400℃の大気
雰囲気中で5分間アニール処理した。
【0038】(5)アニール後の試料を光学顕微鏡で観
察した結果、茶褐色のスポットが見られ、その中心部に
はピンホールとおぼしき微小な欠陥があった。茶褐色の
スポットは、ピンホール106を通してCuが酸化銅に
変化した部分107と考えられる。
【0039】(6)上記(5)の観測を終えた試料のI
TO膜103の表面に、プラズマCVD法により、半導
体からなる光起電力層104を堆積した。光起電力層1
04は、pin型で、i層(真性層)としては厚さ20
0nmのアモルファスシリコンゲルマニウム(a−Si
Ge)を用いた。
【0040】(7)光起電力層104の上に、スパッタ
リング法により厚さ65nmのITOからなる第2電極
105を堆積し、試料3とした。
【0041】(8)工程(4)のアニール処理を省き、
他の点は上記試料3と同様とした、試料4を別途作製し
た。
【0042】(9)試料3と試料4を温度85℃、湿度
85%の雰囲気下に置き、基板101が負電位、第2電
極105が正電位となるように1.0Vの逆バイアス電
圧を加えた。表1は、各試料の中を流れる電流を測定
し、シャント抵抗(印加電圧0Vを中心に電圧を微小変
化させた時の抵抗)を逐次計測した結果である。
【0043】シャント抵抗の低下は主に第1電極と第2
電極の間の短絡によって起こると考えた。また、シャン
ト抵抗が10kΩ・cm2以下になると、光電変換効率
が0.1%以上低下することは別途分かっていた。
【0044】
【表1】 表1から、試料4では電圧印加後、1時間あまりでシャ
ント抵抗は10kΩ・cm2程度まで低下し、2時間後
には10kΩ・cm2を割ってしまった。一方、試料3
は、その変化が10%以下であり、かつ2時間後には変
化がほぼ飽和状態であった。この試験終了後、試料3の
光電変換効率を調べたところ、全く低下していないこと
が分かった。
【0045】透明層103のピンホールは、信頼性の観
点からは好ましいものでないが、次のような観点からは
メリットがあると考えられる。
【0046】透明層103は一般には、透明であるとと
もに導電性を持つ必要がある。しかし、透明でかつ導電
性を持つような材料は限られており、透明層103の光
学的特性を最適化する上での制約となっていた。もし絶
縁性の材料でも良ければ、材料選択の範囲が広がり、例
えば様々な屈折率の材料、例えばフッ化マグネシウムの
ような、屈折率1.5以下の低屈折率材料を用いること
が可能となり、光閉じ込め効果がより一層高められる場
合がある。
【0047】絶縁性の材料でも、その内部にある程度の
ピンホールを含んでいれば第1電極102との間に電流
が流れ、かつ光学的には一様な層とほぼ同等の機能を果
たすことが期待できる。しかしこの場合も、金属層10
2にCuを使用するとマイグレーションの問題を避ける
ことができない。しかし、本実験で示したとおり、酸化
銅の部分107−1、107−2、107−3は半導体
であるため、導電性の性質を有し、かつ、マイグレーシ
ョン防止も可能なことから、従来の導電性を有する透明
層を置換することができると判断した。
【0048】(実験3)本実験では、透明層103とし
て、ITOの代わりに、EB蒸着法による厚さ100n
mのフッ化マグネシウムを用いた点が実験2の試料3と
異なる。本実験で作製した試料は、試料5と呼称する。
他の点は、実験2の試料3と同様とした。
【0049】実験2と同様に、試料5の透明層103の
表面を、FE−SEMを用いて調べた。その結果、ピン
ホール106と、Cuが酸化銅に変化した部分107が
見られた。
【0050】試料5と試料3の光電変換特性を、M1.
5のソーラーシミュレーターの下で評価した。その結
果、試料3に比べて試料5の方が0.5%高い変換効率
を示した。この変換効率の差は、主に短絡電流(Jsc
の差によるものであった。
【0051】また、試料5に対して、実験2と同様に高
温高湿下で、逆バイアス試験を行った。その結果、1時
間後におけるシャント抵抗の低下は5%程度であり、2
時間経過後も殆ど変化がなく、変換効率も全く低下しな
いことが分かった。
【0052】(実験4)本実験では、図2に示した膜厚
の大きな透明層を、異なる形成方法で作製し、光起電力
素子の特性を調べた。
【0053】多重干渉や光閉じ込めの効果という観点か
ら、透明層103はある程度の厚さがあった方が好まし
い。また、透明層が厚いとピンホールの数は減少する
が、発生した穴は深くなるため、表面からの酸化しにく
くなる傾向があった。
【0054】そこで、試料6では、基板201の上に、
Cuからなる金属層202と、第1透明層203−1
(厚さ100nmのITO膜)を順次堆積した後、第1
透明層203−1の表面をアニール処理(試料3と同様
に、大気雰囲気で400℃、5分間処理)し、さらに第
2透明層203−2(厚さ900nmのITO膜)を堆
積することにより、膜厚の大きな透明層を有する光起電
力素子を作製した。
【0055】一方、試料7では、単層膜として膜厚の大
きな透明層(厚さ1000nmのITO膜)を堆積した
後、その表面をアニール処理(試料3と同様に、大気雰
囲気で400℃、5分間処理)した点が試料6と異な
る。
【0056】試料6と試料7の透明層の上には、同様
に、pin接合を2回重ねた構造の光起電力層204を
形成した後、第2電極205を設けた。
【0057】以下では、実験3と同様にして、試料6と
試料7の光電変換効率を測定した結果について述べる。
【0058】試料6と試料7はともに試料3より変換効
率が0.9%高かった。この差は主に短絡電流(Jsc
の差によるものであり、透明層が厚くなったため、光閉
じ込めの効果が高まったためと思われる。
【0059】また、実験2と同様に、試料6と試料7に
対して高温高湿下で逆バイアス試験を行った。その結
果、試料6は、1時間経過後のシャント抵抗の低下が7
%程度で、2時間経過後も殆ど変化がなかった。一方、
試料7は、1時間経過後においてシャント抵抗が半減し
ており、Cuの酸化が不十分であることが分かった。
【0060】(実験5)本実験では、図3に示すとお
り、第2電極305を堆積した後、Cuからなる金属層
302のアニール処理をした場合を検討した。
【0061】実験2の試料4と同様に、第2電極305
まで堆積した後、大気雰囲気で400℃、30分間アニ
ール処理を行い、試料8とした。
【0062】試料8の光電変換特性を、AM1.5のソ
ーラーシミュレーターの下で評価した。その結果、試料
3と差は認められなかった。
【0063】引き続き実験2と同様に、高温高湿下で逆
バイアス試験を行った。その結果、1時間経過後のシャ
ント抵抗の低下は2%程度であり、2時間経過後も殆ど
変化がなかった。
【0064】これは図3に示すように、ピンホール30
6を通してCuからなる金属層302が酸化されるのと
同時に、半導体層304のピンホール306の内面が酸
化され酸化層308が形成され、ピンホール内表面の吸
湿による表面リークが抑えられた為と推定される。
【0065】上述した実験1〜5で説明したとおり、本
発明では半導体からなる光起電力層を透過してきた光に
対して反射の高いCuからなる金属層の表面を透明層で
覆い、覆い切れないピンホールの部分を酸化することに
より、ピンホールを通してのCuの電気化学マイグレー
ションが防止可能であることが分かった。
【0066】また、電気絶縁性ではあるが、屈折率が低
く多重干渉効果が強い透明材料を用いたり、酸化の処理
を行った後さらに別の透明層の堆積を行ってから半導体
層を堆積したりすることにより、さらに半導体を透過し
た光を効果的に利用できることが分かった。この場合、
第1透明層と第2透明層には異なる材料を用いても構わ
ない。また、第2電極まで堆積が終わってから酸化処理
を行うことにより、処理に要する時間は長くなるが、高
温高湿下での微小なリークをさらに効果的に抑えれるこ
とも別途確認された。
【0067】以下では本発明を実施する際に好適な各部
の構成について詳細に説明する。
【0068】(基板及び金属層)本発明に係る基板とし
ては、各種の金属板が用いられる。中でもステンレスス
チール板、亜鉛鋼板、アルミニウム板、銅板等は、価格
が比較的低く好適である。これらの金属板は、一定の形
状に切断して用いても良いし、板厚によっては長尺のシ
ート状の形態で用いても良い。この場合にはコイル状に
巻く事ができるので連続生産に適合性がよく、保管や輸
送も容易になる。又用途によってはシリコン等の結晶基
板、ガラスやセラミックスの板を用いる事もできる。基
板の表面は研磨しても良いが、例えばブライトアニール
処理されたステンレス板の様にの仕上がりの良い場合に
はそのまま用いても良い。
【0069】本発明を実施する際には、基板として銅板
を用いる場合以外は、Cuからなる金属層を堆積する必
要がある。Cuからなる金属層の堆積には、抵抗加熱や
電子ビームによる真空蒸着法、スパッタリング法、イオ
ンプレーティング法、CVD法、メッキ法等が用いられ
る。この中でスパッタリング法は、スループットが高
く、大面積への堆積が容易で、また堆積された膜の基板
への付着も良いので使い易い方法であり、実施例の中で
詳述する。また、カソードの内部に磁石を設けプラズマ
の強度を高めたマグネトロンスパッタリング装置では、
堆積速度を高めることができる。どの方法を用いる場合
でも、概ね基板温度(Ts)を高めるにつれ堆積された
Cuからなる金属層の表面には凹凸が発達する傾向がみ
られ、光の閉じ込めに有効なテクスチャー構造を得るこ
とができる。また、Cuは純粋な状態で用いても良い
が、TiやAl等との合金として用いても構わない。
【0070】Cuは、酸素を含む雰囲気でのアニール処
理や、酸素を含む雰囲気でのプラズマ処理により、容易
に酸化することができる。また、酸化剤を含む溶液に浸
漬することによっても酸化できる。プラズマや酸化剤の
利用については、実施例の中で説明する。Cuの酸化物
としては、一般に1価のCu2Oと2価のCuOが知ら
れている。CuOの方が着色の程度が強いが、目視では
違いは分かりにくい。アニール処理やプラズマ処理によ
る酸化では、主にCuOが形成されている様であるが、
明確ではない。
【0071】(透明層及び第2電極)本発明に係る透明
層における光の透過率は一般的には高いほど良いが、こ
の条件は薄膜半導体からなる光起電力層で充分吸収され
る波長域の光に対しては成り立つ必要はない。一方、光
起電力層ではまったく吸収されない波長域の光に対して
成り立つ必要もない。すなわち、光起電力層を構成する
半導体材料が、例えばa−Siの場合には600〜85
0nmの波長域の光に対して、a−SiGeの場合には
650〜1000nmの波長域の光に対して、透過率が
高ければ充分である。
【0072】本発明に係る透明層は、半導体からなる光
起電力層のリークによる電流を抑制するため、ある程度
の抵抗があった方がよい。一方、透明層の直列抵抗損失
は太陽電池の変換効率に与える影響が無視できる程度に
低抵抗であることが望ましい。しかし、透明層の膜厚が
薄い場合には、かなりのピンホールが存在するので、絶
縁性であっても使用可能な場合がある。したがって、I
TO、ZnO、ZnS、TiO2の様な導電性の透明膜
の他に、例えばSiO2、MgF2、SiN、ノンドープ
のSnO2のように、高抵抗な透明膜も使用可能であ
る。
【0073】透明層の堆積方法としては、例えば、抵抗
加熱や電子ビームによる真空蒸着法、スパッタリング
法、イオンプレーティング法、CVD法、スプレーコー
ト法等が用いられる。
【0074】スパッタリング法では、ターゲットとして
はITOやZnOの様な透明層の材料そのものを用いる
場合と、InやZnの様な単体元素のターゲットを用い
る場合がある。後者では、堆積室にArと同時に、例え
ばO2またはOを成分として含むガスを流し、活性な酸
素を発生し、InやZnを酸化する。またSiのターゲ
ットを用いてN2やNH3を流しSiを窒化することもで
きる(これらの方法は反応性スパッタリング法と呼ばれ
る)。
【0075】透明層の抵抗を調整するためにドーパント
を導入する方法としては、例えば、あらかじめドーパン
ト元素を含むターゲットを用いる方法が挙げられる。ま
た、Cuからなる金属層の場合と同様に、透明層におい
ても概ね基板温度(Ts)を高めるにつれて、透明層の
表面の凹凸が発達する傾向がみられ、光の閉じ込めに有
効なテクスチャー構造を得ることができる。
【0076】また、上述した材料のうち、導電性の高い
ものは、本発明に係る第2電極105として用いること
ができる。第2電極の堆積方法としては、第2電極の下
に配置してある半導体からなる光起電力層へのダメージ
を軽減する目的から、例えば、真空蒸着法、スパッタリ
ング法、CVD法が好適に用いられる。
【0077】(半導体からなる光起電力層)本発明に係
る半導体からなる光起電力層としては、a−Si:H、
a−SiGe:H、a−SiC:H等のa−Si系の薄
膜材料が好適に用いられる。
【0078】以下では、a−Si系の材料を用いて説明
するが、本発明の趣旨は、薄膜の結晶Si、CdS/C
dTe系の材料、CuInSe2等のカルコパイライト
系の材料などにも適用可能である。
【0079】図1において、104−1はPやAsがド
ープされたa−Si等からなるn型半導体層であり、通
常10〜50nm程度の厚さとする。104−2はa−
Si、a−SiGe、a−SiC等からなるi型半導体
層であり、通常50〜1000nm程度の厚さとする。
104−3はB、Ga、Inがドープされたa−Si、
a−SiC、微結晶(μc)−Si、μc−SiC等か
らなるp型半導体層であり、通常5〜50nm程度の厚
さとする。nip接合を構成する3層(104−1、1
04−2、104−3)は、一体となって起電力を発生
する1組のセル構造をなし、光起電力層104として機
能する。
【0080】図2では、2組のpin接合、すなわち、
ボトムセル(204−1、204−2、204−3)と
トップセル(204−4、204−5、204−6)が
積層されている。ボトムセルのi型半導体層204−2
には光の吸収の強いa−SiGeを、卜ップセルのi型
半導体層204−5には光の吸収は少ないが出力電圧の
高いa−Si又はa−SiCを用いることにより高い変
換効率が得られる。
【0081】半導体からなる光起電力層の堆積には、実
施例1で説明する様なプラズマCVD法が多用されてい
る。また、米国特許第4,492,181号明細書に
は、生産性をあげるために、ロール・ツー・ロール法を
用いたCVD法が記載されている。また、特開平3−3
0419号公報には、光起電力層(104、204)を
高速度で堆積するのに有効なマイクロウエーブ成膜法を
ロール・ツー・ロール法に適用した例が報告されてい
る。
【0082】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説
明するが、本発明がこれら実施例に限定されることはな
い。
【0083】(実施例1)本例では、図5に示したスパ
ッタリング装置を用いて、図1に示した光起電力素子を
作製した。
【0084】以下では、図5に示したスパッタリング装
置に関して詳細に説明する。
【0085】真空排気可能なチャンバー501には、A
rガスを供給する配管502−1と、O2ガスを供給す
る配管502−2とを接続した。また、チャンバー50
1の中は、不図示の真空ポンプにより配管503を介し
て排気可能とした。基板505は基板支持台504に固
定され、必要に応じてヒーター506で加熱可能とし
た。
【0086】基板505と対向して設けてあるターゲッ
ト支持台507には、バッキングプレート508に張り
合わされたターゲット509を固定した。ターゲット5
09の表面以外がスパッタリングされないように、チャ
ンバー501と同電位にあるガード電極510を設け
た。ターゲット509は、必要に応じてターゲット支持
台507の内側に設けた不図示の水冷配管により、冷却
可能とした。また、ターゲット支持台510には電源5
11が接続され、直流(DC)や高周波(RF)の電圧
が印加されるようにした。同様に、基板支持台504に
も電源512が接続され、DCやRFの電圧が印加でき
るようにした。
【0087】チャンバー501内にArまたはO2を流
しながら排気し、チャンバー501の内圧を所定の値に
保ちつつ、ターゲット支持台507又は/及び基板支持
台504に電圧を印加することで、タ−ゲット509と
基板支持台504との間に、プラズマ513を生起し
た。
【0088】基板505上に薄膜を堆積するには、電源
511より負のDC電圧又はRF電圧を印加することに
より、ターゲット509の表面がプラズマ中の正に帯電
したArイオンによってボンバードされるようにする。
【0089】また、基板505上の酸化処理はO2ガス
を流した状態で電源512より基板支持台504に負の
DC電圧又はRF電圧を印加することにより可能とな
る。
【0090】以下では、作製手順にしたがって説明す
る。
【0091】(1)純度99.99%のCuからなるタ
ーゲット509と、表面を研磨した10cm×10cm
のステンレス基板505(図1の101)とが配設され
たチャンバー501の中に、50sccm(毎分標準状
態で50cc)のArを流した。
【0092】(2)チャンバ−501の中を配管503
を介して排気し、排気速度を調整するして圧力を10m
Torrに保持した。ここで電源511より−500V
を印加したところプラズマ513が生起された。この状
態で50秒間放電を維持した後、電圧の印加を終え、基
板側の表面に150nmのCu膜(図1の102)を堆
積した。
【0093】(3)Cuターゲットを純度99.9%の
酸化錫(SnO2)のターゲットに交換した。ヒーター
506を用いて基板温度を300℃に保持した他はCu
と同じ条件で放電を50秒維持し、Cuの表面に100
nmのSnO2膜(図1の103)を堆積した。
【0094】(4)SnO2膜をSEMで観察した所、
所々にピンホール(第1図の106)が見られた。また
この状態での分光反射率を波長300〜1000nmの
範囲で測定した。
【0095】(5)工程(4)を終えた基板505を再
び基板支持台504にセットし、今度はAr25scc
mとO225sccmを流して圧力を10mTorrに
保持し、基板支持台504に電源512から−500V
を60秒間印加した。
【0096】(6)工程(5)の処理を終えた基板の表
面を観察したところ、所々に茶色のスポット(図1の1
07)が観測された。ピンホールのためSnO2によっ
て被覆されなかった所が酸化銅に変化したものと考えら
れる。また再び分光反射率を測定したが、有意の変化は
認められなかった。
【0097】(7)工程(6)を終えた基板を、市販の
容量結合型高周波CVD装置にセットした。反応容器の
中を、排気ポンプにて排気管を介して荒引き後、高真空
引き操作を行った。この時、不図示の温度制御機構によ
り基板の表面温度は250℃に制御した。
【0098】(8)十分に排気をした後、ガス導入管か
ら、SiH450sccm、PH3/H2(1%H2希釈)
10sccm、H240sccmを導入し、スロットル
バルブの開度を調整して、反応容器の内圧を1Torr
に保持した。
【0099】(9)高周波電源より50Wの電力を投入
してプラズマを生起し、2分間持続させて、a−Siか
らなるn型半導体層104−1を透明層103上に堆積
した。
【0100】(10)再び排気をした後に、今度はガス
導入管よりSiH450sccm、GeH25scc
m、H2100sccmを導入し、スロットルバルブの
開度を調整して、反応容器の内圧を1Torrに保持し
た。
【0101】(11)高周波電源より50Wの電力を投
入してプラズマを生起し、40分間持続させて、a−S
iGeからなるi型半導体層104−2をn型半導体層
104−1の上に堆積した。
【0102】(12)再び排気をした後に、今度はガス
導入管よりSiH410sccm、BF3/H2(1%H2
希釈)20sccm、H2100sccmを導入し、ス
ロットルバルブの開度を調整して、反応容器の内圧を1
Torrに保持した。
【0103】(13)高周波電源より100Wの電力を
投入してプラズマを生起し、2分間持続させて、μc−
Siからなるp型半導体層104−3をi型半導体層1
04−2の上に堆積した。
【0104】(14)工程(13)を終えた試料を高周
波CVD装置から取り出し、抵抗加熱真空蒸着装置にセ
ットして、p型半導体層104−3の上にITO膜を堆
積した。
【0105】(15)工程(14)を終えた試料の上
に、塩化鉄水溶液を含むペーストを印刷し、所望の透明
な第2電極105のパターンを形成した。
【0106】(16)工程(15)を終えた試料の上
に、更にAgペーストをスクリーン印刷して不図示の集
電電極を形成し、光起電力素子を完成した。
【0107】上記工程(1)〜(16)により作製した
光起電力素子を、AM1.5(100mW/cm2)光
照射下に置き、光電変換特性を測定した。その結果、
8.5%と優れた光電変換効率が再現性良く得られた。
【0108】また、85℃、85%の環境で、この光起
電力素子に1.0Vの逆バイアス電圧を加えて放置した
が、100時間経過後もシャント抵抗は初期値の80%
を維持し、光電変換効率にも全く変化が認められなかっ
た。
【0109】(実施例2)本例では、図6に示したロー
ル・ツー・ロール方式のスパッタリング装置を用いて、
図2に示した光起電力素子を作製した。
【0110】以下では、図6に示したスパッタリング装
置に関して詳細に説明する。
【0111】図6において、ロード室601、第1堆積
室602、酸素プラズマ室603、第2堆積室604、
及びアンロード室605は相互に連通しており、各室の
内部は不図示の排気手段により真空排気可能とした。
【0112】ロード室601には基板として用いたステ
ンレスシート607からなるロール606をセットし
た。ステンレスシート607は、ロード室601から、
第1堆積室602、酸素プラズマ室603、第2堆積室
604を経由して、アンロード室605で巻き取られる
ように配設した。
【0113】各堆積室には、不図示のガス供給管や排気
管が接続されている。第1堆積室602には、純度9
9.99%のCuターゲット609と、ITOターゲッ
ト610をセットした。
【0114】611はステンレスからなる電極、61
2、613は純度99.9%のZnOターゲットであ
る。ステンレスシート607の裏面側には、必要に応じ
ヒーター614を配置した。また、各ターゲットにはD
C電源615を接続した。
【0115】ロール606の殆ど全ての部分に膜が堆積
された時点で、ウエブゲート616、617によりウエ
ブを挟み、各室(602、603、604)の内部を真
空とした状態のまま、堆積処理を終えたウエブのコイル
608を取り出し、また新しいロール606の取り付け
を行った(但し、図6に示したウエブゲート617は開
いた状態である)。本装置では、堆積室の内部を大気暴
露しないため、成膜に不要な不純物による汚染や堆積室
各部からの膜剥れを避けることができるため、生産性を
高めることが可能となった。
【0116】以下では、作製手順にしたがって説明す
る。
【0117】(1)幅350mm、厚さ0.2mmのス
テンレスシート607のコイル606をセットした。こ
こで新しいウエブの先端を、堆積が終了しウエブゲート
616で挟まれているコイル608の終端と熔接した。
【0118】(2)ロード室601及びアンロード室6
05を排気した後、ウエブゲート616、617を開
き、毎分25cmのスピードでステンレスシート607
の搬送を開始した。第1堆積室602と第2堆積室60
4には、各々Arを100sccm流した。酸素プラズ
マ室603には、Ar(10sccm)とO2(50s
ccm)を流した(酸素プラズマ室603と第1堆積室
602及び第2堆積室604の間にあるゲート618、
619のギャップは、ステンレスシー卜607に接触し
ない範囲でなるべく狭く設計されており、酸素プラズマ
室603に導入されたO2ガスは両室へは流れ出ない構
造とした)。
【0119】(3)工程(2)を終えた状態で、ヒータ
ー614を用いてステンレスシート507を加熱した。
【0120】(4)電源615により各ターゲットにD
C電圧を印加し、ステンレスシート607の上に、金属
層202としてCu膜(100nm)を室温で堆積後、
第1透明層203−1としてITO膜(100nm)を
200℃で堆積した。
【0121】(5)酸素プラズマ室603において、堆
積したITO膜の表面を酸素プラズマで酸化した。ここ
で、620は基板の裏側に設けた磁石である。磁石62
0の構造は、通常のマグネトロンスパッタリングに用い
るものと同様に、一極性の中心磁極の回りを反対極性の
環状磁極が取り囲む構造とした。この磁石の作用によ
り、プラズマを基板表面近傍に集中させ、Tiの酸化を
効果的に行う一方、電極611の表面がスパッタリング
されるの防止した。
【0122】(6)引き続き第2堆積室604にて、第
2透明層203−2としてZnO膜(900nm)を3
00℃で堆積した。ZnO膜まで堆積したシートの表面
を光学顕微鏡で観察したところ、所々に茶色のスポット
が観察されピンホールが発生した箇所に酸化銅が形成さ
れていることが分かった。
【0123】(7)米国特許第4,492,181号明
細書に記載されているようなロール・ツー・ロール方式
のCVD装置を用いて、ZnO膜の上に、図2に示した
半導体からなる光起電力層204を堆積した。
【0124】(8)図6の装置に類似したロール・ツー
・ロール型のスパッタリング装置で、光起電力層の上に
透明な第2電極205を形成した。
【0125】(9)透明な第2電極205のパターンニ
ング、及び集電電極(不図示)の形成を行った後、ステ
ンレスシート507を切断した。
【0126】このように全工程を連続的に処理すること
で、量産効果を上げることができた。
【0127】上記工程(1)〜(9)により、10枚の
光起電力素子を作製した。これらの光起電力素子を、A
M1.5(100mW/cm2)光照射下に置き、光電
変換特性を測定した。その結果、10.1±0.1%と
優れた光電変換効率が再現性良く得られた。
【0128】また、85℃、85%の環境で、これらの
光起電力素子に0.85Vの逆バイアス電圧を加えて放
置したが、100時間経過後もシャント抵抗は初期値の
60%を維持し、光電変換効率にも全く変化が認められ
なかった。
【0129】(実施例3)本例では、ピンホールにより
透明層103で被覆されていないCu膜を酸化する装置
として、図7に示した装置を検討した。
【0130】以下では、作製手順にしたがって説明す
る。
【0131】(1)硝酸銅の飽和水溶液702が入って
いるガラス製ビーカー701の中に、実施例1で作製し
た、ステンレス基板上にCu膜(150nm)102と
SnO2膜(100nm)103の順次堆積した試料7
03を浸漬した。また、基板と同じ大きさの白金の対向
電極704も飽和水溶液702の中に浸漬した。
【0132】(2)試料703と対向電極704を、試
料703が負になるようにポテンショスタット705と
接続した。この状態で1Vの電圧を2分間印加した。
【0133】(3)工程(2)を終えた試料703の表
面を観察したところ、所々に茶色のスポット(図1の1
07)が観測された。ピンホールのためSnO2によっ
て被覆されなかった所に酸化銅が形成されたと考えられ
る。
【0134】しかし、分光反射率には有意の変化がみら
れず、ピンホール以外の箇所には影響がなかった。Sn
2膜は比較的高抵抗なため、通電する事によってピン
ホールの部分に集中して電流が流れ、ここでCuからな
る金属層102は強力な酸化剤である硝酸イオンによっ
て選択的に酸化を受けたと考えられる。
【0135】(4)工程(3)を終えた試料703の上
に、実施例1と同様にして、半導体層104と第2電極
105を順次堆積し、その後集電電極の形成まで行っ
た。
【0136】上記工程(1)〜(4)により得られた光
起電力素子を、AM1.5(100mW/cm2)光照
射下に置き、光電変換特性を測定した。その結果、8.
4%と優れた光電変換効率が再現性良く得られた。
【0137】また、85℃、85%の環境で、これらの
光起電力素子に1.0Vの逆バイアス電圧を加えて放置
したが、100時間経過後もシャント抵抗は初期値の8
0%を維持し、光電変換効率にも全く変化が認められな
かった。
【0138】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
反射率の高いCuを用いて入射光を有効に利用し、かつ
高湿度中で逆バイアス電圧がかかってもデンドライトの
成長が防止できるので、高効率で信頼性の高い光起電力
素子がえられる。
【0139】また、本発明の方法によれば、簡単な方法
で本発明の構造の光起電力素子を製造できる。
【0140】したがって、本発明は太陽光発電の普及に
大いに寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る光起電力素子の断面図
である。
【図2】本発明の実施例2に係る光起電力素子の断面図
である。
【図3】本発明の実験5に係る光起電力素子の断面図で
ある。
【図4】従来の光起電力素子で生じた欠陥個所を示した
断面図である。
【図5】本発明に係るスパッタリング装置の構造を示し
た断面図である。
【図6】本発明に係るロール・ツー・ロール方式のスパ
ッタリング装置の構造を示した断面図である。
【図7】本発明の実施例3に係る、酸化処理装置の断面
図である。
【符号の説明】
101、201、301、401 基板、 102、202、302、402 金属層、 103、203、303、403 透明層、 104、204、304、404 半導体からなる光起
電力層、 105、205、305、405 第2電極、 106、206、306 ピンホール、 406 ピンホールに析出したCuのデンドライト、 107、207、307 酸化銅、 308 Siの酸化物、 501、601、602、603、604、605 真
空排気可能なチャンバー、 505、607 基板(シート)、 606、608 基板のコイル、 506、614 ヒーター、 509、609、610、611、612、613 タ
ーゲット、 511、512、615 電源、 620 磁石、 702 硝酸銅水溶液、 703 透明層まで堆積された基板、 704 対向電極、 705 ポテンショスタット。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、銅を主成分とする金属層で
    表面が被覆された基板上に、第1透明層、半導体からな
    る光起電力層、及び第2電極が順次堆積されてなる光起
    電力素子において、 前記第1透明層の一部にピンホールが存在するため、前
    記第1透明層で被覆されていない前記金属層の少なくと
    も表面部分が、酸化銅で覆われていることを特徴とする
    光起電力素子。
  2. 【請求項2】 前記第1透明層が電気的に絶縁性である
    ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力素子。
  3. 【請求項3】 少なくとも、銅を主成分とする金属層で
    表面が被覆された基板上に、第1透明層、半導体からな
    る光起電力層、及び第2電極が順次堆積されてなる光起
    電力素子の製造方法において、 前記第1透明層を堆積した後、前記光起電力素子を表面
    から酸化処理する工程αを有することを特徴とする光起
    電力素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記工程αの後に、前記第1透明層の上
    に第2透明層を堆積する工程βを有することを特徴とす
    る請求項3に記載の光起電力素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記工程βの後に、前記光起電力素子を
    表面から酸化処理する工程γを有することを特徴とする
    請求項3又は4に記載の光起電力素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記酸化処理が酸素を含む雰囲気中での
    熱処理であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれ
    か1項に記載の光起電力素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記酸化処理が酸素を含む雰囲気中での
    プラズマ処理であることを特徴とする請求項3乃至5の
    いずれか1項に記載の光起電力素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記酸化処理が酸化剤を含む溶液中での
    化学処理であることを特徴とする請求項3乃至5のいず
    れか1項に記載の光起電力素子の製造方法。
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JP2020004597A (ja) * 2018-06-28 2020-01-09 トヨタ自動車株式会社 燃料電池用セパレータ及び燃料電池

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