JPH09184081A - 銅又は銅合金の表面処理液 - Google Patents

銅又は銅合金の表面処理液

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 処理能力が大きく、かつ良好な表面状態が得
られる、特定の溶解速度抑制剤を含んだ銅又は銅合金の
表面処理液を提供する。また、この溶解速度抑制剤と組
み合わせた時に効力を発揮する、溶解速度経時変化防止
剤を含む銅又は銅合金の表面処理液を提供する。また更
に、良好な表面光沢を得ることのできる銅又は銅合金の
表面処理液を提供する。 【解決手段】 過酸化水素、鉱酸、及び安定化剤からな
る酸性溶液と、アミノフェノールスルホン酸及び/又は
ベンズアミドとを含有してなる銅又は銅合金の表面処理
液である。また、この処理液とスルファニル酸とを含有
してなる銅又は銅合金の表面処理液である。更にまた、
これらの処理液とフッ化水素アンモニウムとを含有して
なる銅又は銅合金の表面処理液である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銅又は銅合金の表
面を化学研磨、或いは清浄化する表面処理液に関する。
【0002】
【従来の技術】銅又は銅合金は、その優れた導電性、経
済性から電子部品の材料として広く利用されている。し
かし、素材から製品への加工の段階において、圧延、パ
ンチング処理等が行われるため、バリが発生したり、銅
又は銅合金の表面が変色することが多い。これらは、そ
の後のメッキ工程等に悪影響を与えるため、一般的には
種々の表面処理液で処理される。銅又は銅合金の表面処
理液としては、キリンス液やクロム酸系の溶液等が用い
られてきたが、キリンス液には、処理中に有毒なNOX
ガスを発生するという問題があり、又、クロム酸系の溶
液には、6価クロムを含む廃水の処理を行わなければな
らない等の問題があり、何れも環境上、好ましいもので
はなかった。近年は、環境上、問題のない過酸化水素
と、硫酸等の鉱酸とを含む表面処理液が用いられるよう
になっている。
【0003】過酸化水素と鉱酸からなる表面処理液にお
いて、表面の仕上がりの良し悪しは、その処理液の銅又
は銅合金を溶解する速度と密接に関連し、溶解速度が速
すぎると表面の仕上がり状態は、粗悪になる傾向があ
る。また、処理液の処理能力は、有効成分の濃度に左右
され、処理能力を高めるためには、有効成分の濃度を上
げる必要がある。しかし、有効成分の濃度を上げると、
それに見合って溶解速度が速くなるため、表面の仕上が
り状態にあまり良い影響は与えない。このように、過酸
化水素と鉱酸からなる表面処理液には、処理能力を大き
くした場合には、良好な仕上がりの表面状態が得にくい
という欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、処理能
力を大きくするために、有効成分の濃度を上げても、特
定の化合物を添加すると、溶解速度を抑制することがで
き、かつ表面の仕上がり状態も良好であることを見出
し、本発明を完成した。銅又は銅合金の表面処理液は、
それが使用されるまでに、長期間に亘って貯蔵された
り、また、流通過程で、或いは貯蔵中において、過酷な
条件(例えば、高温)に曝されることで、添加した溶解
速度抑制剤が変質するおそれがあるが、本発明は、この
ような問題も解消した。
【0005】本発明の目的の一つは、処理能力が大き
く、かつ良好な表面状態が得られる、特定の溶解速度抑
制剤を含んだ銅又は銅合金の表面処理液を提供すること
であり、もう一つの目的は、この溶解速度抑制剤と組み
合わせた時に効力を発揮する、溶解速度経時変化防止剤
を含む銅又は銅合金の表面処理液を提供することであ
り、更にもう一つの目的は、これらの性能に加えて、良
好な表面光沢を得ることのできる銅又は銅合金の表面処
理液を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、過酸化
水素、鉱酸、及び安定化剤からなる酸性溶液に、溶解速
度抑制剤として、アミノフェノールスルホン酸及び/又
はベンズアミドを含有させた銅又は銅合金の表面処理液
であり、更に本発明は、この処理液に溶解速度経時変化
防止剤としてスルファニル酸を含有させた表面処理液で
あり、また更に本発明は、これらの処理液にフッ化水素
アンモニウムを含有させた表面処理液である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の表面処理液は、過酸化水
素、鉱酸、及び安定化剤からなる酸性溶液に、溶解速度
を調整するために、アミノフェノールスルホン酸及び/
又はベンズアミドを添加することにより、又、更に溶解
速度の経時変化を防止するために、スルファニル酸を添
加することにより、さらに又、良好な表面光沢を得るた
めに、フッ化水素アンモニウムを添加することによって
製造することができる。
【0008】本発明の表面処理液は、銅又は銅合金の処
理に好適であり、銅合金としては、銅−錫合金、銅−錫
−クロム合金、銅−錫−ケイ素−ニッケル合金、銅−ニ
ッケル−ケイ素−マグネシウム合金等を挙げることがで
きるが、これらに限定されるものではない。
【0009】本発明の表面処理液において、過酸化水
素、及び鉱酸の濃度はそれぞれ、所望する溶解速度、及
び溶解処理量等によって決まるが、過酸化水素の濃度
は、一般的には10〜150g/L(リットル)、好ま
しくは、20〜50g/Lであり、鉱酸の濃度は、一般
的には10〜300g/L、好ましくは、50〜200
g/Lである。また、鉱酸としては、硫酸、硝酸、燐酸
等を挙げることができるが、硫酸が好ましい。
【0010】本発明の表面処理液において、安定化剤の
添加により、溶解金属濃度が増加しても過酸化水素の無
効分解を抑制することができ、より均一な表面状態を得
ることができるようになる。安定化剤としては、種々の
アルコール類、アミン類、エーテル類、カルボン酸類等
を用いることができるが、特にはアルコール類が好まし
い。アルコール類としては、エタノール、プロパノー
ル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール等の脂肪族アルコールが好ましい。
安定化剤の添加量は、特に制限はないが、好ましくは、
0.1〜30g/L、更に好ましくは、1〜10g/L
である。
【0011】溶解速度抑制剤であるアミノフェノールス
ルホン酸及び/又はベンズアミドの添加量は、過酸化水
素、或いは鉱酸等の初期濃度、或いは所望の溶解速度等
によって異なるが、好ましくは、0.1〜10g/L、
更に好ましくは、1〜5g/Lである。
【0012】溶解速度経時変化防止剤であるスルファニ
ル酸の添加量は、過酸化水素、或いは鉱酸等の初期濃
度、或いは所望の溶解速度等によって異なるが、好まし
くは、0.1〜20g/L、更に好ましくは、1〜10
g/Lである。これらの特定化合物を添加することによ
り、溶解速度が抑制されるだけでなく、処理全体を通し
ての溶解速度の変動が小さくなる(図1参照)ため、表
面の仕上がり状態は、より一定したものになる。
【0013】また、本発明の表面処理液にフッ化水素ア
ンモニウムを添加すると、より良好な光沢表面を得るこ
とができる。その添加量は、特に制限はないが、好まし
くは、0.1〜100g/L、更に好ましくは、1〜5
0g/Lである。
【0014】本発明の表面処理液で銅又は銅合金を処理
する温度は、通常は10〜60℃、好ましくは、20〜
50℃であり、処理時間は、通常は10秒〜10分、好
ましくは、20秒〜5分である。
【0015】
【実施例】以下に、実施例をもって本発明を更に詳細に
説明する。 実施例1〜7、及び比較例1 過酸化水素30g/L、硫酸150g/L及びエチレン
グリコール1g/Lの組成を有する水溶液に、表1及び
表2に示す各種化合物を、表1及び表2に示す所定量添
加してそれぞれの表面処理液を調製した。これらの処理
液を用いて、銅合金(Cu/Sn合金)リードフレーム
を40℃で1分間処理し、下記のA−〜A−の各時
点の銅合金の溶解速度と銅合金表面の仕上がり状態を測
定した。尚、銅合金の溶解速度は次の式によって求め、
銅合金表面の仕上がり状態は、目視により観察した。 溶解速度(%)=(処理前の銅合金の重量−1分間処理
後の銅合金の重量)÷処理前の銅合金の重量×100 更に、貯蔵中の表面処理液による溶解速度の経時変化を
検討するために、下記に示した期間保存した後(B−
〜B−)、それぞれの表面処理液の40℃における銅
合金の溶解速度と銅合金表面の仕上がり状態を測定し
た。得られた結果のすべてを表1及び表2に示す。ま
た、実施例3と比較例1について、銅合金の溶解量と溶
解速度との関係をグラフにして図1に示す。
【0016】[測定時点] A−:建浴時(銅合金 0g/L) A−:銅合金を10g/L溶解した時点 A−:銅合金を20g/L溶解した時点 B−:新液を50℃で14日間保存した後 B−:新液を50℃で30日間保存した後 B−:新液を50℃で60日間保存した後
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】比較例2 溶解速度抑制剤を添加しないで、実施例3の初期溶解速
度とほぼ同じ溶解速度になるように、過酸化水素7g/
L、硫酸150g/L、及びエチレングリコール1g/
Lの組成を有する水溶液を調製して、溶解速度1.3%
の表面処理液を得た。この処理液を用いて、前記実施例
と同様にして銅合金リードフレームの処理を行ったとこ
ろ、処理液中の銅合金の濃度が7g/Lになった時点
で、銅合金の溶解が進行しなくなった。すなわち、この
表面処理液の初期溶解速度は、実施例3と同等であった
が、実施例3の表面処理液に比べて、その処理能力は約
三分の一程度であった。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、溶解速度の変動を小さ
く抑えることができるため、良好な仕上がりの表面を安
定して得ることができ、且つ、高い処理能力を持つ、銅
又は銅合金の表面処理液を提供することができる。更
に、このような性質に加えて、溶解速度経時変化の極め
て少ない銅又は銅合金の表面処理液を提供することが可
能となり、また更に、良好な表面光沢を得ることのでき
る銅又は銅合金の表面処理液を提供することも可能とな
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】銅合金の溶解量と溶解速度との関係を示すグラ
フである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 保夫 千葉県松戸市高塚新田512−8

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 過酸化水素、鉱酸、及び安定化剤からな
    る酸性溶液と、アミノフェノールスルホン酸及び/又は
    ベンズアミドとを含有してなる銅又は銅合金の表面処理
    液。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の銅又は銅合金の表面処理
    液と、スルファニル酸とを含有してなる銅又は銅合金の
    表面処理液。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の銅又は銅合金の表
    面処理液と、フッ化水素アンモニウムとを含有してなる
    銅又は銅合金の表面処理液。
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