JPH09184031A - 金属基複合材料の製造方法 - Google Patents

金属基複合材料の製造方法

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JPH09184031A
JPH09184031A JP34346995A JP34346995A JPH09184031A JP H09184031 A JPH09184031 A JP H09184031A JP 34346995 A JP34346995 A JP 34346995A JP 34346995 A JP34346995 A JP 34346995A JP H09184031 A JPH09184031 A JP H09184031A
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preform
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sio
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tio
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JP34346995A
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English (en)
Inventor
Masayoshi Suzuoki
正義 鈴置
Hiromitsu Kaneda
裕光 金田
Yoshinobu Sano
嘉信 佐野
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Suzuki Motor Corp
Original Assignee
Suzuki Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無加圧で全体又は一部分を強化した鋳物を製
造することができ、設備及び工程上の負担が少なく、歩
留りが良く、しかも複雑な形状であっても対応できるM
g又はMg合金をマトリックスとする金属基複合材料の
製造方法を提供する。 【解決手段】 強化材をウイスカー、短繊維、長繊維の
うちのいずれか一つ又はそれらの混合物とし、浸透助材
を混入した上記強化材のプリフォームを成型、又は上記
強化材で成型したプリフォームの表面に浸透助材を塗布
し、該プリフォームをMg又はMg合金溶湯と接触さ
せ、浸透現象を生じさせることにより、上記プリフォー
ムに上記溶湯を含浸せしめるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Mg又はMg合金
をマトリックスとする金属基複合材料の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、ウイスカー、短繊維又は長繊維で
強化した金属基複合材の製造には、このような強化材を
プリフォーム(繊維集合体)として成型し、これに溶融
金属を加圧含浸させる加圧鋳造法(溶湯鍛造法)が主に
用いられていた。また、特に長繊維を強化材とする場合
には、金属板(又は金属箔)と長繊維(又は長繊維の織
布)を交互に積層させてこれを熱間で加圧するホットプ
レス法が用いられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、加圧鋳造法で
は、部分強化鋳物の製造は可能であるが、全体を強化し
た鋳物の製造が困難であった。また、加圧力を伝達する
ために、湯道、堰などを太くする必要があり、鋳造の歩
留りが悪かった。一方、ホットプレス法では、複雑な形
状の製品を製造することができなかった。また、設備が
高価で、工程が複雑なためにコスト高となる傾向があっ
た。したがって、本発明は、このような欠点を解消し、
無加圧で全体を強化した鋳物を製造することができ、設
備及び工程上の負担が少なく、歩留りが良く、しかも複
雑な形状であっても対応できるMg又はMg合金をマト
リックスとする金属基複合材料の製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載された発明は、Mg基複合材料の製
造方法であって、強化材をウイスカー、短繊維、長繊維
のうちのいずれか一つ又はそれらの混合物とし、浸透助
材を混入した上記強化材のプリフォームを成型、又は上
記強化材で成型したプリフォームの表面に浸透助材を塗
布し、該プリフォームをMg又はMg合金溶湯と接触さ
せ、浸透現象を生じさせることにより、上記プリフォー
ムに上記溶湯を含浸せしめるようにしたことを特徴とす
る。
【0005】請求項2に記載された発明は、請求項1に
記載のMg基複合材料の製造方法であって、上記強化材
にMgと反応しない物質を用い、上記浸透助材にMg又
はMg合金溶湯と発熱を伴って反応する物質を用いるこ
とを特徴とする。
【0006】請求項3に記載された発明は、請求項1又
は2に記載のMg基複合材料の製造方法であって、芯材
の回りに浸透助材を混入したプリフォームを成型し、又
は芯材の回りに成型したプリフォームに浸透助材を塗布
し、該プリフォームを用い、表層部を部分的に強化する
ようにしたことを特徴とする。
【0007】請求項4に記載された発明は、請求項1又
は2に記載のMg基複合材料の製造方法であって、芯材
の回りに浸透助材を混入したプリフォームを成型し、又
は芯材の回りに成型したプリフォームに浸透助材を塗布
し、該プリフォームをMg又はMg合金溶湯と接触さ
せ、浸透現象を発現させた後に芯部を溶出させ、中空の
複合材料を形成するようにしたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明では、強化材をウイスカ
ー、短繊維、長繊維のうちのいずれか一つ又はそれらの
混合物として使用する。これに浸透助材を混入してプリ
フォームを成型するか、又は上記強化材で成型したプリ
フォームの表面に浸透助材を塗布しておく。この浸透助
材としては、Mg又はMg溶湯と発熱を伴って反応する
物質であれば、いかなるものでも使用することができ
る。特に好適なものは、SiO2 (シリカ)及びTiO
2 (酸化チタン)である。その混合量又は塗布量は、強
化材によって相違はあるが、プリフォーム中の強化材に
対して体積率で0.5%(1%)から90%の範囲が好
ましい。好ましい範囲より少ないと溶湯の自発的浸透が
起こらず、この範囲より多いと浸透助材と溶湯との反応
により生成する金属間化合物及び酸化物等が複合材の機
械的強度に悪影響を及ぼす。
【0009】また、プリフォーム中の強化材の量は、素
材によって異なるが一般的に、5〜70%が好適であ
る。好適な範囲より少ないとプリフォームの成型が困難
であり、多すぎても複合材の特性の向上を望むことがで
きない。強化材としては、通常金属基複合材料に用いら
れるものならば、いずれのものも使用することができ
る。具体的には、SiCウイスカー、ホウ酸アルミニウ
ムウイスカー[例えば、アルボレックス(商標名)]、
アルミナ短繊維[例えば、サフィール(商標名)]、炭
素繊維、チタン酸カリウムウイスカー、SiC繊維、炭
素ウイスカー等を挙げることができる。なお、本発明
で、ウイスカー、短繊維、長繊維とは、次のものをい
う。 (1)ウイスカー 単結晶で、直径が平均値を取った場合φ0.1〜1μm
の範囲のいずれかであり、長さが平均値を取った場合1
0〜100μmの範囲のいずれかであり、アスペクト比
が平均値を取った場合5〜1000の範囲のいずれかの
ものをいう。 (2)短繊維 多結晶で、直径が平均値を取った場合φ1〜10μmの
範囲のいずれかであり、長さが平均値を取った場合10
0〜1000μmの範囲のいずれかであり、アスペクト
比が平均値を取った場合5〜1000の範囲のいずれか
のものをいう。 (3)長繊維 単結晶又は多結晶で、直径が平均値を取った場合φ1〜
100μmの範囲のいずれかであり、長さが平均値を取
った場合1000μm以上の範囲のいずれかであり、ア
スペクト比が平均値を取った場合1000以上の範囲の
いずれかのものをいう。
【0010】上記の強化材及び浸透助材を使用して本発
明(請求項1ないし4のいずれか一)を実施する場合、
以下の形態を挙げることができる。 (1)上記強化材としてSiCウイスカーを使用し、浸
透助材にSiO2 もしくはTiO2 のどちらか一方又は
それらの混合物を用い、SiO2 及びTiO2の総量を
SiCウイスカープリフォーム中のSiCに対して体積
率で0.5〜90%とし、プリフォーム中のSiCウイ
スカーの体積率を10〜40%としたMg基複合材料の
製造方法として実施することができる。 (2)上記強化材として炭素繊維を使用し、浸透助材に
SiO2 もしくはTiO2 のどちらか一方又はそれらの
混合物を用い、SiO2 及びTiO2 の総量を炭素繊維
プリフォーム中の炭素に対して体積率で1〜90%と
し、プリフォーム中の炭素繊維の体積率を5〜70%と
したMg基複合材料の製造方法として実施することがで
きる。 (3)上記強化材としてホウ酸アルミニウムウイスカー
を使用し、浸透助材にSiO2 もしくはTiO2 のどち
らか一方又はそれらの混合物を用い、SiO2及びTi
2 の総量をプリフォーム中のホウ酸アルミニウムに対
して体積率で1〜90%とし、プリフォーム中のホウ酸
アルミニウムウイスカーの体積率を10〜40%とした
Mg基複合材料の製造方法として実施することができ
る。 (4)上記強化材としてチタン酸カリウムウイスカーを
使用し、浸透助材にSiO2 もしくはTiO2 のどちら
か一方又はそれらの混合物を用い、SiO2 及びTiO
2 の総量をプリフォーム中のチタン酸カリウムに対して
体積率で1〜90%とし、プリフォーム中のチタン酸カ
リウムウイスカーの体積率を10〜40%としたMg基
複合材料の製造方法として実施することができる。 (5)上記強化材としてアルミナ短繊維を使用し、浸透
助材にSiO2 もしくはTiO2 のどちらか一方又はそ
れらの混合物を用い、SiO2 及びTiO2 の総量をプ
リフォーム中のアルミナに対して体積率で1〜90%と
し、プリフォーム中のアルミナ短繊維の体積率を5〜3
0%としたMg基複合材料の製造方法として実施するこ
とができる。
【0011】本発明では、浸透助材を混入した上記強化
材のプリフォームを成型、又は上記強化材で成型したプ
リフォームの表面に浸透助材を塗布し、該プリフォーム
をMg又はMg合金溶湯と接触させる。これによって、
溶湯と浸透助材とが発熱を伴って反応し、Mg又はMg
合金溶湯がプリフォーム中に自発的に浸透する。これに
よって、ウイスカー、短繊維、又は長繊維のうちの少な
くとも一つによって強化されたMg基複合材料を得るこ
とができる。請求項1ないし4で、プリフォームをMg
又はMg合金溶湯と接触させ、浸透現象を生じさせるた
めの方法としては、以下のような方法を挙げることがで
きる。 (1)浸透助材を混入したプリフォーム又は浸透助材を
塗布したプリフォームの上方で、Mg又はMg合金を溶
解することによって浸透現象を発現させる方法。 (2)透助材を混入したプリフォーム又は浸透助材を塗
布したプリフォームの上方にMg又はMg合金溶湯を注
湯することによって浸透現象を発現させる方法。 (3)浸透助材を混入したプリフォーム又は浸透助材を
塗布したプリフォームをMg又はMg合金溶湯の上に載
置することによって浸透現象を発現させる方法。 (4)透助材を混入したプリフォーム又は浸透助材を塗
布したプリフォームをMg又はMg合金溶湯に浸漬する
ことによって浸透現象を発現させる方法。
【0012】図1ないし図2に、浸透助材を混入したプ
リフォーム又は浸透助材を塗布したプリフォーム上方
で、Mg又はMg合金を溶解することによって浸透現象
を発現させる方法を実施する装置の一実施形態を示す。
この装置を使用する場合、まず、図1に示すように、黒
鉛ルツボ1の中間部にプリフォーム2を固定する。そし
て、Mg又はMg合金のインゴット3をプリフォームの
上方に載置する。図2は、上記黒鉛ルツボ1を用いた製
造要領を示す。高周波誘導加熱コイル4で囲まれたルツ
ボ台5に黒鉛ルツボ1を配置する。誘導加熱コイル4
は、雰囲気置換チャンバー6に囲まれており、このチャ
ンバー6にはチャンバー6内に雰囲気ガスを送入ための
入口7と、置換雰囲気を外部へ排出する出口8とが設け
られている。雰囲気ガスとしては、Arガス、CO2
SF6 混合ガス等、通常Mgの加熱雰囲気として使用さ
れるガスならばいずれのものも使用することができる。
この装置において、誘導加熱コイル4を作動させること
により、Mgインゴット3が溶湯となり、プリフォーム
2を浸透しながら滴下9し、ルツボ1の底に溶湯10が
溜ることとなる。このようにして、後述する実施例1か
ら了解されるように複合材料が形成される。
【0013】図4は、浸透助材を混入したプリフォーム
又は浸透助材を塗布したプリフォームをMg又はMg合
金溶湯の上に載置して浸透現象を発現させる方法を実施
する装置の一実施形態を示す。この装置では、電気抵抗
炉41を使用している。CO2 +0.3%SF6 混合ガ
ス雰囲気下で、予め鋼製ルツボ42中のMg又はMg合
金を溶解して溶湯43とする。この溶湯43の上にプリ
フォーム44を載置して浸透現象を発現させる。なお、
CO2 +SF6 混合ガスは、送入口45から導入され、
ルツボ42はルツボ台42の上に載置され、電気抵抗ヒ
ーター47によって加熱を行う。
【0014】本発明ではさらに、Mg基複合材料の製造
方法であって、芯材(Mg,アルミニウム,チタン鋼
等)の回りに浸透助材を混入したプリフォームを成型
(巻き付け)し、又は芯材の回りに成型(巻き付け)し
たプリフォームに浸透助材を塗布し、該プリフォームを
用い、表層部を部分的に強化するようにした形態も含
む。この形態に対応するのが後述する実施例3又は実施
例5である。
【0015】また、本発明はMg基複合材料の製造方法
であって、芯材の回りに浸透助材を混入したプリフォー
ムを成型し(巻き付け)又は芯材の回りに成型(巻き付
け)したプリフォームに浸透助材を塗布し、該プリフォ
ームをMg又はMg合金溶湯と接触させ、浸透現象を発
現させた後に芯部を溶出させ、中空の複合材料を形成す
るようにした形態を含む。この形態に対応するのが後述
する実施例4である。
【0016】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明するが、本発明
はこれらの実施例によって制限されるものではない。
【0017】実施例1 SiCウィスカー(東海カーボン製)とSiCウィスカ
ーに対し体積率で15%のSiO2 粒子(粒径1μm)
とSiCィスカーとSiO2 粒子の全量に対して重量率
で2%のケイ酸ナトリウム粉末を混練機で均一に混合し
た。ちなみに、このSiCウィスカーには、製造時に体
積率で1.8%のSiO2 が含有されておりNaとSi
2 の複合酸化物であるケイ酸ナトリウム中には重量率
で65%のSiO2 が含有されているため、実質上のS
iO2 の総量はSiCに対して体積率で18.5%であ
った。
【0018】ここで、SiO2 粒子は浸透助材であり、
ケイ酸ナトリウムはプリフォームを固めるための無機バ
インダーが主な役割である。上記のSiCウィスカーと
SiO2 粒子とケイ酸ナトリウムの混合物を直径φ50
mm、厚さ10mmの円盤状にプレスし、その後750
℃で30分間焼成し、プリフォームとした。プリフォー
ム中のSiCウィスカーの量は体積率で20%であっ
た。このプリフォームを図1に示すように黒鉛ルツボ1
の中間部に固定し、この上に純Mgのインゴット3を載
置し、図2に示すようにAr(アルゴン)雰囲気中で誘
導加熱により純Mgを溶解したところ、純Mg溶湯はプ
リフォーム2中に自発的に浸透し、さらには、プリフォ
ーム2を透過し黒鉛ルツボ1のルツボ底部より満たされ
ていった。
【0019】浸透現象の終了後加熱を中止し溶湯を凝固
させてルツボ1から取り出したところ、図3に示すよう
な部分的にSiCウィスカー2により複合化された鋳物
が得られた。複合化部11を光学顕微鏡で観察したとこ
ろ、マトリックスである純MgがSiCウィスカーによ
り複合化されていることが確認できた。また、マトリッ
クス中にはMgと浸透助材であるSiO2 との反応生成
物であるMgO(マグネシア)とMg2 Si(ケイ化マ
グネシウム)が確認された。
【0020】実施例2 SiCウィスカーとSiCウィスカーに対し体積率で2
0%のTiO2 粒子(アナターゼ型 粒径0.4μm)
とSiCウィスカーとTiO2 粒子の全量に対して重量
率で2%のケイ酸ナトリウムを混練機で均一に混合し
た。ちなみに、このSiCウィスカーには製造時に体積
率で1.8%のSiO2 が含有されており、ケイ酸ナト
リウム中には重量率で65%のSiO2 が含有されてい
るため、実質上のTiO2 とSiO2 の総量はSiCに
対して体積率で23.5%となる。上記の混合物を直径
φ50mm、厚さ10mmの円盤状にプレスし、その後
750℃で30分間焼成しプリフォームとした。プリフ
ォーム中のSiCウィスカーの量は体積率で17%であ
った。
【0021】一方、図4に示すように、CO2 +0.3
%SF6 雰囲気下で、電気抵抗炉4でAZ91合金(J
IS MC2B合金)を700℃で鋼製ルツボ42中で
溶解しておき、上記プリフォームを700℃で予熱し、
これをAZ91合金溶湯上に載置したところ、溶湯43
とプリフォーム44中の浸透助材とが発熱反応を起し、
同時に溶湯43はプリフォーム44中に浸透しはじめ、
やがてプリフォーム44は溶湯43中に沈降していっ
た。
【0022】この溶湯43の浸透したプリフォームを溶
湯43中から掬い上げ冷却したところ、直径φ50m
m、厚さ10mmの全体がSiCウィスカーにより強化
されたMg基複合材料が得られた。
【0023】実施例3 内径φ10mm、外径φ13mm、長さ50mmのAZ
91合金製の管51を作製し、この回りにカーボンファ
イバー(炭素繊維)52を外径φ16となるまで巻き付
けた(図5)。これを水1L中にSiO2 粒子(粒径1
μm)150gを懸濁させたものに浸漬した後に乾燥し
た。重量の増加分から、カーボンファイバー52の体積
率は30%、カーボンファイバー52に対するSiO2
の体積率は20%であることがわかった。実施例2の図
4に示したのと同様の方法でAZ91合金を700℃で
溶解しておき、上記のAZ91合金管51にカーボンフ
ァイバー52を巻きつけたプリフォームを、550℃で
予熱し、AZ91合金管に巻きつけた状態のままで70
0℃のAZ91溶湯に浸漬した。
【0024】溶湯と浸透助材の反応が起り、溶湯がプリ
フォーム中に浸透した。浸透は数秒で終了し、浸透終了
後すぐにプリフォームを溶湯から引き上げ冷却したとこ
ろ、図6に示すように内径φ10、外径φ16、長さ5
0mmで外周面の厚さ1.5mmだけカーボンファイバ
ーにより複合化された部分53を有する強化Mg管が得
られた。
【0025】実施例4 内径φ10、外径φ13、長さ50mmの純Mg製の管
を作製し、この回りにカーボンファイバー(炭素繊維)
を外径φ16となるまで巻きつけた。これを、水1L中
にSiO2 粒子(粒径1μm)150gを懸濁させ、さ
らに、ケイ酸ナトリウム30gを溶解させたものの中に
浸漬した後に乾燥した。これを、600℃で5時間焼成
した。
【0026】実施例2の図4に示したのと同様の方法で
純Mgを730℃で溶解しておき、上記の純Mg管にカ
ーボンファイバーを巻きつけたプリフォームを630℃
で予熱し、純Mg管に巻き付けた状態のままで730℃
の純Mg溶湯に浸漬した。
【0027】溶湯と浸透助材の反応が起り溶湯がプリフ
ォーム中に浸透した。浸透は数秒で終了したが、そのま
ま20分間浸漬させた後にプリフォームを溶湯から引き
上げ冷却したところ純Mgの管はすでに溶解しており、
図7に示すように内径φ13、外径φ16、長さ50m
mの全体がカーボンファイバーにより複合化されたMg
管が得られた。
【0028】実施例5 SiCウィスカーとSiCウィスカーに対し、体積率で
10%のSiO2 粒子(粒径1μm)とSiCウィスカ
ーとSiO2 の全量に対して重量率で2%のケイ酸ナト
リウム粉末を混練機で均一で混合した。ちなみに、この
SiCウィスカーには、製造時に体積率で1.8%のS
iO2 が含有されており、ケイ酸ナトリウム中には重量
率で65%のSiO2 が含有されているため、実質上の
SiO2の総量はSiCに対して体積率で13.5%と
なる。この混合物を図8に示すような形81にプレス成
型した。この凹部に直径10mm、長さ46mmの純M
gの円柱82を嵌め込み、さらに別の型にこれをセット
し前述の混合物をのせてプレス成型し、芯部にφ10×
46mmの純Mgの円柱を内蔵した外径寸法φ14×5
0mmの円柱状のプリフォームを成型した(図9)。こ
れを600℃で5時間焼成した。
【0029】実施例2の図4に示したのと同様の方法で
AZ91合金を700℃で溶解しておき、上記のプリフ
ォームを630℃で予熱した後、AZ91合金溶湯に浸
漬した。溶湯と浸透助材の反応が起り溶湯がプリフォー
ム中に浸透した。浸透終了後3分経過してプリフォーム
を溶湯から引き上げ冷却したところ、芯部が純Mgで表
層部がAZ91をマトリックスとしSiCウィスカーに
より強化された表面強化Mg基複合材料が得られた。
【0030】実施例6 SiCウィスカーとSiCウィスカーに対して重量率で
1%のケイ酸ナトリウム粉末を混練機で均一に混合し
た。上記混合物15gを直径φ50mm、厚さ10mm
の円盤上にプレスしその後750℃で30分間焼成し
た。プリフォーム中のSiCウィスカーの体積率は24
%である。
【0031】水1L中にSiO2 粒子150g(粒径1
μm)を懸濁させたものを刷毛でプリフォームの一方の
平面に塗布した。これを90℃で5時間乾燥させた後に
計量したところ15.2gであった。すなわち、0.2
gのSiO2 粒子がプリフォームに塗布されたことにな
る。ちなみに、上記SiCウィスカーには製造時に体積
率で1.8%のSiO2 が含有されており、ケイ酸ナト
リウム中には重量率で65%のSiO2 が含有されてい
るため実質上のSiO2 の総量はSiCに対して体積率
で4.6%となる。
【0032】このSiO2 を塗布したプリフォームを実
施例1の図1に示したのと同様の方法でSiO2 の塗布
面を上方にして黒鉛ルツボ1内に保持し図2に示したの
と同様の方法でプリフォーム2の上方で純Mg3を溶解
したところ、純Mg溶湯はプリフォーム2中に自発的に
浸透し、さらにはプリフォーム2を透過し黒鉛ルツボ1
の底部より満たされていった。浸透現象の終了後加熱を
中止し溶湯を凝固させてルツボから取り出したところ、
溶湯の量をプリフォーム下方のルツボの容積より少なく
したため、図10に示すように複合材101と純Mg1
02が分離して得られた。
【0033】
【発明の効果】上記したところから明かなように、本発
明によれば、加圧せずに金属基複合材料を得ることがで
きるので、プリフォームの変形を全く生じることがな
い。なお、本発明では、強化材をウイスカー、短繊維と
した場合、強化材同士が錯綜し、プリフォームの成型が
容易である。また、長繊維では、織布、フィラメントワ
インデイングにより、容易にプリフォームとすることが
できる。このため、強化材の取扱は容易である。かつ、
バインダーの量も少なくて済む。すなわち、強度を向上
させることは容易である。さらに、本発明では、加圧装
置等の設備が不要であり、安価にMg基複合材料を製造
することができる。一方、実施例1で示したように溶湯
がプリフォームを通過することも可能であり、プリフォ
ームの下方を所望の形状の鋳型としておけば、注湯作業
なしで部分複合化鋳物を製造することができる。そし
て、複合化部を鋳物の中や中間部等任意の箇所に設ける
ことができる。またさらに、実施例2〜5に示したよう
に、プリフォーム自体が鋳型と成り得るため、新たな造
形法としての意義も備えている。加えて、本発明では、
ムダになるMgが少なく100%の歩留りを期待するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる方法を説明する黒鉛ルツボの断
面図である。
【図2】本発明にかかる方法を誘導加熱コイルを用いて
実施する装置を説明する断面図である。
【図3】本発明によって得られたMg基複合材料を説明
する断面図である。
【図4】本発明にかかる方法を電気抵抗炉をもちいて実
施する装置を説明する断面図である。
【図5】本発明にかかる方法の一実施例を説明するため
の斜視図である。
【図6】本発明によって製造されたMg基複合材料を説
明する斜視図である。
【図7】本発明によって製造されたMg基複合材料を説
明する斜視図である。
【図8】本発明にかかる方法の一実施例を説明するため
の斜視図である。
【図9】本発明によって製造されたMg基複合材料を説
明する斜視図である。
【図10】本発明にかかる方法の実施例を説明するため
の黒鉛ルツボの断面図である。
【符号の説明】
1 黒鉛ルツボ 2 プリフォーム 3 インゴット 4 誘導加熱コイル 5 ルツボ台 6 チャンバー 10 溶湯 41 電気抵抗炉 42 鋼製ルツボ 43 溶湯 44 プリフォーム 47 電気抵抗ヒーター

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強化材をウイスカー、短繊維、長繊維の
    うちのいずれか一つ又はそれらの混合物とし、浸透助材
    を混入した上記強化材のプリフォームを成型、又は上記
    強化材で成型したプリフォームの表面に浸透助材を塗布
    し、該プリフォームをMg又はMg合金溶湯と接触さ
    せ、浸透現象を生じさせることにより、上記プリフォー
    ムに上記溶湯を含浸せしめるようにしたことを特徴とす
    るMg基複合材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記強化材にMgと反応しない物質を用
    い、上記浸透助材にMg又はMg合金溶湯と発熱を伴っ
    て反応する物質を用いることを特徴とする請求項1に記
    載のMg基複合材料の製造方法。
  3. 【請求項3】芯材の回りに浸透助材を混入したプリフォ
    ームを成型し、又は芯材の回りに成型したプリフォーム
    に浸透助材を塗布し、該プリフォームを用い、表層部を
    部分的に強化するようにしたことを特徴とする請求項1
    又は2に記載のMg基複合材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 芯材の回りに浸透助材を混入したプリフ
    ォームを成型し、又は芯材の回りに成型したプリフォー
    ムに浸透助材を塗布し、該プリフォームをMg又はMg
    合金溶湯と接触させ、浸透現象を発現させた後に芯部を
    溶出させ、中空の複合材料を形成するようにしたことを
    特徴とする請求項1又は2に記載のMg基複合材料の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 上記強化材としてSiCウイスカーを使
    用し、浸透助材にSiO2 もしくはTiO2 のどちらか
    一方又はそれらの混合物を用い、SiO2 及びTiO2
    の総量をSiCウイスカープリフォーム中のSiCに対
    して体積率で0.5〜90%とし、プリフォーム中のS
    iCウイスカーの体積率を10〜40%としたことを特
    徴とする請求項1ないし4のいずれか一つのMg基複合
    材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記強化材として炭素繊維を使用し、浸
    透助材にSiO2 もしくはTiO2 のどちらか一方又は
    それらの混合物を用い、SiO2 及びTiO 2 の総量を
    炭素繊維プリフォーム中の炭素に対して体積率で1〜9
    0%とし、プリフォーム中の炭素繊維の体積率を5〜7
    0%としたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれ
    か一つのMg基複合材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記強化材としてホウ酸アルミニウムウ
    イスカーを使用し、浸透助材にSiO2 もしくはTiO
    2 のどちらか一方又はそれらの混合物を用い、SiO2
    及びTiO2 の総量をプリフォーム中のホウ酸アルミニ
    ウムに対して体積率で1〜90%とし、プリフォーム中
    のホウ酸アルミニウムウイスカーの体積率を10〜40
    %としたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか
    一つのMg基複合材料の製造方法。
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