JPH09183862A - 磁性体含有ポリマー粒子 - Google Patents

磁性体含有ポリマー粒子

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JPH09183862A
JPH09183862A JP8226176A JP22617696A JPH09183862A JP H09183862 A JPH09183862 A JP H09183862A JP 8226176 A JP8226176 A JP 8226176A JP 22617696 A JP22617696 A JP 22617696A JP H09183862 A JPH09183862 A JP H09183862A
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Kiyoshi Kasai
澄 笠井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁性体成分の溶出を有効に抑制でき、診断薬
担体、細菌あるいは細胞分離担体、蛋白分離・精製担
体、ドラッグデリバリー担体等として、生化学および医
学関連を含む幅広い技術分野において好適に使用するこ
とができる磁性体含有ポリマー粒子を提供する。 【解決手段】 磁性体含有ポリマー粒子は、鉄系磁性体
を含有するポリマー粒子を鉄溶解剤で処理してなるか、
あるいは該処理後の粒子の存在下にビニル系モノマーを
重合して得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、診断薬担体、細菌
あるいは細胞分離担体、核酸あるいは蛋白分離・精製担
体、ドラッグデリバリー担体、酵素反応担体、細胞培養
担体等として、特に生化学分野において有用な改質され
た磁性体含有ポリマー粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】磁性体含有ポリマー粒子は、磁力により
容易に捕集される特性に着目し、主に生化学分野におい
て、診断薬担体、細菌あるいは細胞分離担体、核酸ある
いは蛋白分離・精製担体、ドラッグデリバリー担体、酵
素反応担体、細胞培養担体等としての優れた実効作用が
期待されている。磁性体含有ポリマー粒子の合成法とし
て、従来知られている代表的な方法を挙げると、次のよ
うなものがある。まず、磁性体が主にポリマー粒子内部
に存在するタイプについては、親油化処理した磁性体を
重合性モノマー中に分散し、これを懸濁重合する方法
(特開昭59−221302号公報参照)、同じく親油
化処理した磁性体を重合性モノマー中に分散し、ホモジ
ナイザーで水中に均質化して重合することにより、比較
的小粒子径の磁性粒子を得る方法(特公平4−3088
号公報参照)、あるいは特定の官能基を有する多孔ポリ
マー粒子の存在下で、鉄化合物を析出させたのち酸化す
ることにより、多孔ポリマー粒子内部に磁性体を入り込
ませ、大粒径かつ均一径の磁性粒子を得る方法(特公平
5−10808号公報参照)等が知られている。一方、
磁性体が主にポリマー粒子表面に存在するタイプについ
ては、ポリマー粒子エマルジョン中で鉄化合物を析出さ
せたのち、ポリマー粒子表面をフェライト化する方法
(特開平3−115862号公報あるいは特開平5−1
38009号公報参照)が知られている。しかしなが
ら、これら従来の合成法により得られた磁性体含有ポリ
マー粒子を診断薬担体等に用いると、磁性体が主にポリ
マー粒子内部に存在する場合でも、感度が大幅に低下し
たり、非特異的反応を示したりして、十分な実用性能が
得られない場合が多い。これは、磁性体含有ポリマー粒
子の表面に磁性体が部分的に露出し、あるいは粒子表面
と内部の磁性体の間にミクロパスが形成されるため、磁
性体成分が溶出し、実用性能を損なうものと考えられて
いる。しかも、多くの場合磁性体はポリマー粒子よりも
親水性が高く、水系重合では、磁性体が粒子の表面ある
いは表面近傍に多く存在する結果となることが、さらに
悪影響を与えていると考えられている。これに対して、
磁性体粒子をコアとし、疎水性の架橋性モノマーを水中
で重合することによる磁性体を内包したポリマー粒子
(特開平2−286729号公報参照)も提案されてい
るが、この粒子も前記問題点を十分解決できるとはいえ
ない。また、磁性体粒子の表面に非磁性のポリマー層を
形成させた粒子構造(特公平5−16164号公報参
照)も提案されているが、該構造を達成する具体的な方
法は、実質的に界面重縮合法とスプレードライ噴霧法に
限られ、適用範囲が狭いという問題がある。即ち、従来
の磁性体含有ポリマー粒子は、含まれる磁性体成分の溶
出が十分抑えられず、その溶出が問題とならない分野に
限定して使用せざるをえないのが実状であり、磁性体成
分の溶出量が実質上問題とならないレベルにまで低減さ
れた磁性体含有ポリマー粒子の開発が強く求められてい
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の問題点を解決すべき鋭意検討した結果なされたも
のであり、その課題は、使用時の磁性体成分の溶出を有
効に抑制でき、例えば、診断薬担体、細菌あるいは細胞
分離担体、蛋白分離・精製担体、副作用の少ないドラッ
グデリバリー担体等として、生化学および医学関連の幅
広い技術分野において好適に使用しうる磁性体含有ポリ
マー粒子を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、第一
に、鉄系磁性体を含有するポリマー粒子を鉄溶解剤で処
理してなる磁性体含有ポリマー粒子(以下、「改質磁性
粒子(1)」という。)、に関わる。ここで、「鉄系磁
性体を含有するポリマー粒子」(以下、「非改質磁性粒
子」という。)とは、当該磁性体を少なくともポリマー
粒子の内部に含有する粒子を意味する。
【0005】本発明の要旨は、第二に、前記改質磁性粒
子(1)の存在下にビニル系モノマーを重合して得られ
る磁性体含有ポリマー粒子(以下、「改質磁性粒子
(2)」という。)、に関わる。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。改質磁性粒子(1) 改質磁性粒子(1)に使用される鉄系磁性体としては、
粒子径が小さいほどポリマー粒子内部に均一に分散しや
すい点から好ましく、特に粒子径が20nm以下の超常
磁性鉄系磁性体、就中酸化鉄系磁性体が好ましい。この
場合、鉄系磁性体の代わりにコバルト系あるいはサマリ
ウム−コバルト系等の非鉄系磁性体を用いると、現段階
ではこれらの金属成分の溶解の制御が困難であり、良好
な磁性体含有ポリマー粒子が得られない。但し、本発明
は、鉄系磁性体が他の金属成分を含有することを妨げる
ものではない。前記鉄系磁性体としては、例えば、 Fe3
O4、γ−Fe2O3 、MnZnフェライト、NiZnフェライト、 Y
Feガーネット、GaFeガーネット、Baフェライト、Srフェ
ライト等を挙げることができる。これらの鉄系磁性体
は、単独でまたは2種以上を混合して使用することがで
きる。
【0007】また、改質磁性粒子(1)におけるポリマ
ー粒子は、改質磁性粒子(1)あるいは後述する改質磁
性粒子(2)の用途に応じて適宜選定され、その例とし
ては、ビニル系ポリマー、オレフイン系ポリマー、ポリ
エステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミ
ド、ポリシロキサン、ポリアセタール、ポリカーボネー
ト、ポリスルホン、ポルスルフィド等の粒子を挙げるこ
とができ、これらの粒子は官能性基含有ポリマーからな
ることもできる。特に好ましいポリマー粒子は、ビニル
系ポリマーあるいは官能性基含有ビニル系ポリマーの粒
子である。前記ビニル系ポリマーあるいは官能性基含有
ビニル系ポリマーの主成分をなすビニル系モノマーとし
ては、スチレン、α−メチルスチレン、o−ビニルトル
エン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、ジビ
ニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリ
ル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸類;メチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−
プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)
アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−
ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)ア
クリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、(ポリ)エ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プ
ロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチ
ロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の(メタ)
アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル、シアン化
ビニルデン等のシアン化ビニル化合物;塩化ビニル、塩
化ビニリデン、ふっ化ビニル、ふっ化ビニリデン、テト
ラフルオロエチレン等のハロゲン化ビニル化合物等を挙
げることができる。これらのビニル系モノマーのうち、
芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリレート類が好まし
い。前記ビニル系モノマーは、単独でまたは2種以上を
混合して使用することができる。また、官能性基含有ビ
ニル系ポリマーにおける官能性基としては、例えば、カ
ルボキシル基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、置換
アミノ基、エポキシ基等を挙げることができる。官能性
基含有ビニル系ポリマーは、前記不飽和カルボン酸類を
(共)重合する方法のほか、官能性基を含有しない前記
ビニル系モノマーを官能性基を含有する他のビニル系モ
ノマーと共重合する方法、不飽和カルボン酸類以外の前
記ビニル系モノマーの(共)重合体に官能性基を導入す
る方法等により製造することができる。
【0008】非改質磁性粒子の合成法は、鉄系磁性体が
少なくともポリマー粒子の内部に含有される限り特に制
約されるものではない。但し、非改質磁性粒子の表面に
は多少の鉄系磁性体が存在することが普通である。非改
質磁性粒子の合成法としては、例えば(a)鉄系磁性体
をビニル系モノマー中に分散させたのち、水系媒体中で
懸濁重合する方法、(b)鉄系磁性体をビニル系モノマ
ー中に分散させ、これをホモジナイザーにより水系媒体
中に均質化して重合し、比較的小粒子径の磁性粒子を得
る方法、(c)多孔性ポリマー粒子の存在下に鉄化合物
を析出させ、該ポリマー粒子の内部および表面に含有さ
れる鉄化合物を酸化して磁性体とする方法、(d)鉄系
磁性体を水系媒体中に分散した水分散体中で、ビニル系
モノマーを乳化重合する方法等を挙げることができる。
これらの合成法のうち、鉄系磁性体が粒子内部に多く含
有される前記(a)、(b)の方法が好ましい。非改質
磁性粒子中の鉄系磁性体の含有量は、鉄系磁性体の種
類、改質磁性粒子(1)あるいは改質磁性粒子(2)の
用途等に応じて適宜選定されるが、通常、5〜80重量
%、好ましくは10〜70重量%、特に好ましくは15
〜60重量%である。この場合、鉄系磁性体の含有量が
5重量%未満では、磁気性能が不足し、磁性体含有ポリ
マー粒子としての性能が不十分となるおそれがあり、ま
た80重量%を超えると、鉄系磁性体が多すぎるため、
ポリマー粒子本来の機能が損なわれ、実用性能の面で満
足できなくなるおそれがある。非改質磁性粒子の粒子径
は、改質磁性粒子(1)あるいは改質磁性粒子(2)の
用途等に応じて適宜選定されるが、通常、0.05〜1
00μm、好ましくは0.1〜20μmである。
【0009】改質磁性粒子(1)は、前記非改質磁性粒
子を鉄溶解剤で処理することにより得られる。本発明に
おける「鉄溶解剤」とは、非改質磁性粒子中に含有され
る鉄成分を溶解するが、該粒子を構成するポリマー粒子
を実質的に溶解しない化合物からなる。また、本発明に
おける「鉄溶解剤で処理する」とは、非改質磁性粒子を
直接に、または好ましくは水系媒体中で、鉄溶解剤と接
触させる処理を意味する。非改質磁性粒子は、一般に該
粒子の表面および/または表面近傍に鉄系磁性体が存在
することが避けられないが、非改質磁性粒子を鉄溶解剤
で処理することによって、該粒子の表面および/または
表面近傍に存在する鉄成分が優先的に溶解除去されるも
のと考えられる。それにより改質磁性粒子(1)からの
鉄系磁性体の溶出が実用上問題とならないレベルにまで
抑制され、磁性体含有ポリマー粒子としての性能を著し
く向上させることができるとともに、用途拡大にも資す
ることとなる。本発明において、非改質磁性粒子を鉄溶
解剤で処理する方法としては、非改質磁性粒子を水系媒
体中に分散した水分散体に鉄溶解剤の水溶液を添加する
方法が好ましい。本発明における鉄溶解剤としては、例
えば、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸;シュウ酸、クエン
酸、クロロ酢酸、メルカプト酢酸、スルホサリチル酸等
の有機酸のほか、鉄との錯形成剤として、チオシアン酸
カリウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸グア
ニジン等のチオシアン酸塩;2−メルカプトエタノー
ル、ジチオグリセリン、ジチオトリメチロールプロパ
ン、ジチオエリトリトール等のメルカプト化合物;o−
フェナントロリン、2,2’−ビピリジル、8−キノリ
ノール、エチレンジアミン4酢酸等の窒素系錯形成剤等
を挙げることができる。これらの鉄溶解剤のうち、無機
酸としては、特に硫酸が鉄成分の溶解速度が速く好まし
いが、溶解量を制御するために酸濃度と処理時間を調整
することが好ましい。また、塩酸単独では鉄成分の溶解
速度が速すぎる傾向があり、硝酸は酸化作用を有するた
め、処理条件の設定に十分な注意が必要である。次に、
有機酸としては、特にメルカプト酢酸とスルホサリチル
酸が好ましいが、一般に鉄成分の溶解速度が遅いため、
処理条件としては加温下で長めの処理時間を取ることが
好ましい。さらに、錯形成剤としては、チオシアン酸塩
の中では特にチオシアン酸カリウムとチオシアン酸グア
ニジンが好ましく、メルカプト化合物の中では特にメル
カプトエタノールとジチオエリトリトールが好ましく、
窒素系錯形成剤の中では特にo−フェナントロリンと
2,2’−ビピリジルが好ましい。本発明においては、
前記鉄溶解剤を2種以上を組み合せることにより、さら
に優れた効果が奏され、特に有機酸とチオシアン酸塩、
メルカプト化合物とチオシアン酸塩のように、タイプの
異なる鉄溶解剤を組み合わせることが好ましい。前記鉄
溶解剤による処理時の鉄成分の溶解除去量は、非改質磁
性粒子や改質磁性粒子(1)あるいは改質磁性粒子
(2)中の鉄系磁性体の含有量と用いる鉄溶解剤に応じ
て異なる。即ち、無機酸を鉄溶解剤として用いる場合
は、一般に鉄成分の溶解速度が大きく、粒子表面および
/または表面近傍だけでなく粒子内部の鉄成分の溶出が
避けられないため、非改質磁性粒子中に含有される鉄系
磁性体の5〜60重量%を溶解除去することが好まし
い。この場合、鉄成分の溶解除去量が5重量%未満で
は、改質磁性粒子の表面および/または表面近傍に残存
する鉄系磁性体が多くなり、使用時の鉄系磁性体の溶出
が無視できず、例えば生化学用途における実用性能の点
で満足できなくなるおそれがある。また、無機酸による
鉄成分の溶解除去量が60重量%を超えると、処理済粒
子中の鉄系磁性体の含有量が不足し、磁気沈降速度が低
下するなど、磁気特性の面で満足できなくなるおそれが
ある。また、有機酸または錯形成剤を鉄溶解剤として用
いる場合は、非改質磁性粒子表面および/または表面近
傍に存在する鉄成分が選択的に溶解除去される。そのた
め、これらの鉄処理剤による鉄成分の好ましい溶解除去
量は、処理前の該粒子表面および/または表面近傍に存
在する鉄系磁性体の量によって異なり、一概に定められ
ないが、表面および/または表面近傍に存在する鉄系磁
性体の量が少ないものでは、例えば1重量%程度の溶解
除去量でも十分な効果がある。鉄溶解剤による処理条件
は、鉄溶解剤として無機酸を用いる場合、鉄成分の前記
好ましい溶解除去量を目安として、これを確保できるよ
うに選定される。その好ましい処理条件は、鉄系磁性体
や無機酸の種類によって異なるが、溶解除去量の制御の
観点から、処理温度は0〜100℃の範囲、処理時間は
0.5〜20時間程度である。好ましい処理条件の具体
例を示すと、硫酸の場合、水系媒体の硫酸濃度が2規
定、水系媒体中の非改質磁性粒子の濃度が4g/リット
ル、処理温度が25℃、処理時間が2時間程度である。
このような無機酸による処理後の改質磁性粒子(1)
は、洗浄したのち、該磁性粒子の水分散体にアルカリ性
化合物を添加して、pH7程度に中和することが好まし
い。また、鉄溶解剤として有機酸または錯形成剤を用い
る場合は、非改質磁性粒子表面および/または表面近傍
に存在する鉄成分に対する選択的溶解性が高いため、処
理条件を無機酸の場合ほど厳密に制御する必要性が少な
い。好ましい処理条件の具体例を示すと、水系媒体中で
1モル/リットルのチオシアン酸グアニジンと1重量%
の2−メルカプトエタールとの組み合わせからなる鉄溶
解剤を用いる場合、処理温度が25℃、処理時間が12
時間程度である。本発明の改質磁性粒子(1)が、特に
生化学用途において優れた性能を示す理由の詳細は必ず
しも明確ではない。しかし、非改質磁性粒子の鉄溶解剤
による処理によって磁性体成分の一部が溶解除去される
こと、および該処理後に十分洗浄した改質磁性粒子
(1)を純水(蒸留水あるいはイオン交換水)で抽出し
た抽出液中の鉄濃度が処理前より大幅に減少すること
が、分析の結果確認されている。これらのことから、鉄
溶解剤による処理によって、非改質磁性粒子の表面およ
び/または表面近傍から優先して鉄成分が溶解除去され
るものと考えられる。さらに、鉄系磁性体には数種類の
酸化状態の異なる酸化鉄が混在するのが普通であるが、
鉄溶解剤による処理によって、溶解度の高い酸化第二鉄
が多く溶解除去され、比較的溶解度が低くかつ磁気性能
の大きい四三酸化鉄が残ることも、改質磁性粒子(1)
が磁気性能を確保しながら鉄系磁性体の悪影響を低減で
きる理由の一つと考えられる。このようにして鉄溶解剤
で処理された改質磁性粒子(1)の表面および表面近傍
に残存する鉄系磁性体の量は、可及的に少ない方が好ま
しい。この量は、鉄溶解剤による処理後に十分洗浄した
改質磁性粒子(1)を一定量の純水で抽出した抽出液中
の鉄濃度を目安として制御することができる。本発明に
おいて、該抽出液中の鉄濃度は、抽出に使用した純水の
量を改質磁性粒子(1)0.1g当たり10ミリリット
ルとし、70℃で2時間抽出したとき、通常、10pp
m以下、好ましくは1ppm以下である。
【0010】改質磁性粒子(2) 改質磁性粒子(2)は、前記改質磁性粒子(1)の存在
下にビニル系モノマーを重合して得られるものである。
このように改質磁性粒子(1)の存在下にビニル系モノ
マーを重合することにより、鉄系磁性体の溶出をより確
実に抑え、磁性体含有ポリマー粒子としての性能上の信
頼性をさらに高め、また当該性能の経時変化も極めて少
なくすることができる。前記ビニル系モノマーは、改質
磁性粒子(2)の用途に応じて適宜選定され、その例と
しては、前記改質磁性粒子(1)について例示したビニ
ル系モノマーを挙げることができるが、中でも芳香族ビ
ニル化合物、(メタ)アクリレート類、不飽和カルボン
酸類等が好ましい。また、前記ビニル系モノマーとし
て、改質磁性粒子(1)を構成するポリマーに吸収され
難いモノマー、例えば水溶性ビニル系モノマーを使用す
ることにより、改質磁性粒子(1)表面に非磁性ポリマ
ー成分を多く存在させることが可能となる。改質磁性粒
子(1)の存在下にビニル系モノマーを重合する方法と
しては、特に限定されるものでないが、例えば、(イ)
改質磁性粒子(1)にビニル系モノマーを吸収させたの
ち重合するモノマー吸収重合法、(ロ)水中に分散した
改質磁性粒子(1)をシードとし、ビニル系モノマーを
連続的および/または間欠的に供給しつつ重合するシー
ド重合法のほか、(ハ)改質磁性粒子(1)の粒子表面
に吸着相を形成し、該吸着相中でビニル系モノマーを重
合するカプセル重合方等を挙げることができる。これら
の方法のうち、改質磁性粒子(1)が小粒子径である場
合でも確実に被覆できることから、特に(イ)および
(ロ)の方法が好ましい。改質磁性粒子(2)を製造す
る際のビニル系モノマーの使用量は、改質磁性粒子
(1)100重量部に対して、通常、10〜1000重
量部、好ましくは20〜500重量部である。この場
合、ビニル系モノマーの使用量が過剰であると、磁性を
もたない粒子が生成される場合があるが、このような非
磁性粒子は、必要に応じて、磁気沈降処理により容易に
除去することができる。
【0011】改質磁性粒子(1)および改質磁性粒子
(2)の特性および用途 改質磁性粒子(1)および改質磁性粒子(2)は、粒子
の表面および/または表面近傍に鉄系磁性体が実質的に
存在しないか、存在しても極めて少ないため、使用時の
鉄系磁性体の溶出による影響が実質上問題となることが
ない。したがって、改質磁性粒子(1)および改質磁性
粒子(2)は、鉄成分を嫌うことの多い生化学用途にお
いても従来の非磁性粒子と同様の目的に使用することが
でき、例えば一般の診断薬用担体および副作用の少ない
ドラッグデリバリー担体として、広範な抗原、抗体、蛋
白、核酸等の吸着あるいは化学結合に適用することが可
能である。また、酵素免疫法の診断薬用担体として、鉄
系磁性体の溶出による非特異的酵素発色が抑えられるな
ど、多様な検出手法に適用できるものであり、極めて実
用性能の高いものである。さらに、改質磁性粒子(1)
および改質磁性粒子(2)は、粒子表面に特定の核酸を
捕捉するための特異的吸着用核酸プローブを結合させる
ことができる。また、これらの粒子に特異的吸着用蛋白
を結合させ、核酸が結合した対応する蛋白を捕捉する作
用をもたせることにより、核酸捕捉担体として使用する
ことができる。これらの場合、従来の磁性体含有ポリマ
ー粒子では、鉄成分がPCR反応(ポリメラーゼ チェ
イン リアクション)を阻害するため、粒子をPCR法
に供することができなかった。これに対して、改質磁性
粒子(1)および改質磁性粒子(2)は、それらの表面
に露出した鉄系磁性体が実質上存在しないため、PCR
反応に対する阻害作用がなくなり、捕捉された核酸が結
合したままPCR法に供することが可能になった。この
ため、改質磁性粒子(1)および改質磁性粒子(2)
は、核酸を用いる研究分野、核酸による検査・診断・治
療分野、核酸を利用する産業分野等を含む幅広い技術分
野において、極めて好適に使用できるものである。しか
も、改質磁性粒子(1)および改質磁性粒子(2)は、
製造時に特別の装置や薬剤を必要とせず、製造が容易か
つ安価である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、実施例を挙げて、本発明の
実施の形態をさらに具体的に説明する。 合成例1(非改質磁性粒子の合成) 非改質磁性粒子を、下記懸濁重合法により合成した。超
常磁性フェライト粒子(平均粒径10nm)20gを、
攪拌しつつ、濃度0.005モル/リットルの塩化第二
鉄水溶液60g中に分散させて、フェライト粒子の表面
に正荷電を付与した。次いで、該分散液に、濃度10重
量%のオレイン酸ナトリウム水溶液40gを加え、30
℃で60分間攪拌したのち、スチレン20gを加え、希
塩酸を用いて反応液のpHを6〜7に調整した。このと
き、フェライト粒子の表面にオレイン酸が吸着されて親
油化され、フェライト粒子が水相からスチレン相に移動
した。そこで水相を除去したのち、スチレン相を充分水
洗して、親油化されたフェライト粒子がスチレン中に均
一に分散した分散液を得た。次いで、前記フェライト粒
子のスチレン分散液(フェライト固形分で10g)に、
該分散液中のスチレンとの合計が18gとなる量のスチ
レン、ジビニルベンゼン1g、メタクリル酸1g、ベン
ゾイルペルオキシド1gを加えて混合した。得られたモ
ノマー相を、ポリビニルアルコール(商品名ゴーセノー
ルGH17、日本合成化学(株)製)の濃度2重量%水
溶液200g中に加えて、ホモミキサーで10分間攪拌
し、液滴の粒子径が0.1〜3μmの懸濁液を調製し
た。その後、前記懸濁液を容量500ミリリットルのセ
パラブルフラスコに移し、窒素雰囲気下、80℃、攪拌
速度120rpmで、6時間重合を行って、非改質磁性
粒子を得た。得られた非改質磁性粒子は、平均粒子径が
1.2μm、粒子径の分布範囲が約0.2〜5μm、熱
天秤測定によるフェライト含量が31.0重量%であっ
た。この磁性粒子を、非改質磁性粒子(A)とする。
【0013】合成例2(非改質磁性粒子の合成) スチレンの代わりにシクロヘキシルメタクリレートを用
いた以外は、合成例1と同様にして、非改質磁性粒子を
得た。得られた非改質磁性粒子は、平均粒子径が2.1
μm、粒子径の分布範囲が約0.2〜7μm、熱天秤測
定によるフェライト含量が30.8重量%であった。こ
の磁性粒子を、非改質磁性粒子(B)とする。
【0014】
【実施例】
実施例1(改質磁性粒子(1)の製造) 非改質磁性粒子(A)を水中に分散させた分散液10g
(固形分で1g)に、2N硫酸250ミリリットルを加
え、25℃で3時間緩く攪拌して、酸処理を行った。そ
の後直ちに磁気沈降処理を行って、該磁性粒子を処理液
から分離し、さらに濃度0.01重量%のポリオキシエ
チレンノニルフェニルエーテル(商品名エマルゲン91
0、花王(株)製)水溶液200ミリリットルで2回洗
浄したのち、10ミリリットルの蒸留水中に分散し、濃
度0.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調
整して、0.75gの改質磁性粒子(1)を含有する分
散液を得た。この改質磁性粒子(1)を、改質磁性粒子
(1-1) とする。改質磁性粒子(1-1) は、熱天秤測定によ
るフェライト含量が26.4重量%であり、非改質磁性
粒子(A)中に含有されたフェライトの20重量%が溶
解除去されていた。また、改質磁性粒子(1-1) の平均粒
子径は1.2μm、粒子径の分布範囲は0.1〜5μm
であり、酸処理前と大差なかった。さらに、改質磁性粒
子(1-1) の分散液と非改質磁性粒子(A)の分散液(と
もに固形分で0.1g)にイオン交換水を加えて磁気沈
降処理を2回行って各磁性粒子を回収したのち、十分水
洗した。次いで、各磁性粒子をイオン交換水10ミリリ
ットル中、70℃で24時間攪拌したのち、上澄み液の
原子吸光分析を行って、鉄濃度を測定した。その結果、
非改質磁性粒子(A)では、73ppmの鉄が検出され
たのに対し、改質磁性粒子(1-1) では、鉄濃度が1pp
m以下であった。
【0015】実施例2〜5(改質磁性粒子(1)の製
造) 酸処理の時間を0.3時間(実施例2)、1時間(実施
例3)、7時間(実施例4)あるいは10時間(実施例
5)に変更した以外は、実施例1と同様にして、それぞ
れ0.85g(実施例2)、0.80g(実施例3)、
0.60g(実施例4)、0.55g(実施例5)の改
質磁性粒子(1)を含有する分散液を得た。但し、実施
例5の改質磁性粒子(1)は、磁気沈降速度が遅いた
め、酸処理後、遠心分離処理により回収した。これらの
改質磁性粒子(1)を、それぞれ改質磁性粒子(1-2) 、
改質磁性粒子(1-3) 、改質磁性粒子(1-4) 、改質磁性粒
子 (1-5)とする。改質磁性粒子(1-2) 〜 (1-5)は、熱天
秤測定によるフェライト含量が、それぞれ30.3重量
%、29.7重量%、20.7重量%、13.6重量%
であり、非改質磁性粒子(A)中に含有されたフェライ
トのそれぞれ3重量%、6重量%、56重量%、65重
量%が溶解除去されていた。また、改質磁性粒子(1-2)
〜(1-5)の平均粒子径はいずれも1.5μmであり、粒
径の分布範囲は非改質磁性粒子(A)とほぼ同等であっ
た。さらに、改質磁性粒子(1-2) 〜 (1-5)について、実
施例1と同様にして上澄み液の原子吸光分析を行ったと
ころ、鉄濃度はいずれも1ppm以下であった。
【0016】実施例6(改質磁性粒子(2)の製造) 実施例1で得た改質磁性粒子(1-1) の乾燥粉体10gを
アセトン50ミリリットル中に分散させ、チタンカップ
リング剤(商品名プレンアクトKR−TTS)0.2g
を加えて、アセトンを蒸発させたのち、一夜乾燥した。
次いで、得られた乾燥粉体をよくほぐしたのち、スチレ
ン4g、ジビニルベンゼン0.5g、メチルメタクリレ
ート0.5g、ベンゾイルペルオキシド0.1gおよび
アセトン10gの混合物を加えて、十分混合し、この混
合液を室温で一夜放置して、アセトンを蒸発させるとと
もに改質磁性粒子(1-1) に前記モノマーを吸収させた。
次いで、得られた磁性粒子を再度ほぐし、ポリオキシエ
チレンノニルフェニルエーテルの0.2重量%水溶液1
リットル中に加え、十分攪拌して、磁性粒子を均一に分
散させた。その後、この分散液を窒素置換し、攪拌速度
120rpmで緩く攪拌しつつ、80℃で8時間重合
し、改質磁性粒子(1-1) の表面をポリマー層で被覆し
て、改質磁性粒子(2)を得た。この改質磁性粒子
(2)を、改質磁性粒子(2-1) とする。重合後、重合液
をガスクロマトグラフィー法で分析したところ、残存モ
ノマーは100ppm以下であった。また、改質磁性粒
子(2-1) を光学顕微鏡および電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、凝集粒子および融合粒子の生成は認められなかっ
た。また、改質磁性粒子(2-1) の平均粒子径は1.5μ
mであり、粒径の分布範囲は改質磁性粒子(1-1) とほぼ
同等であった。さらに、改質磁性粒子(2-1) について、
実施例1と同様にして上澄み液の原子吸光分析を行った
ところ、鉄濃度が1ppm以下であった。
【0017】実施例7〜14(改質磁性粒子(1)の製
造) 合成例1で得た非改質磁性粒子(B)を水中に分散させ
た分散液10g(固形分で1g)に、表1に示す鉄溶解
剤各10gを添加したのち、25℃で12時間攪拌し
た。その後、各磁性粒子を磁石で回収し、0.01重量
%のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル水溶液
50ミリリットル中に分散させて回収する操作を4回繰
り返して洗浄した。得られた各磁性粒子をそれぞれ改質
磁性粒子(1-6) 〜(1-13)とする。改質磁性粒子(1-6)
〜(1-13)について、実施例1と同様にして上澄み液の
鉄濃度を測定したところ、いずれも非改質磁性粒子
(B)に比べて磁性体成分の溶出量が大幅に減少してい
た。測定結果を表1に示す。
【0018】応用例1(免疫診断薬担体粒子としての評
価) 実施例1〜14で得た改質磁性粒子(1-1) 〜 (1-13) と
改質磁性粒子(2-1) および非改質磁性粒子(A)と非改
質磁性粒子(B)について、免疫診断薬担体粒子として
の特性を評価するために、各磁性粒子の抗体吸着量お
よび酵素発色値を、下記のようにして測定した。 抗体吸着量の測定 各磁性粒子の分散液を固形分でそれぞれ1mgとり、各
磁性粒子の磁気分離処理とpH7.5のリン酸生理食塩
水緩衝液1ミリリットル中に分散させる処理とを2回繰
り返して、各磁性粒子の洗浄を行った。次いで、各磁性
粒子に、ウサギIgG抗体を10μg、25μg、50
μgあるいは100μgづつ添加し、37℃で30分間
緩く振とうした。その後、各磁性粒子を磁気分離した上
澄み液について、波長280nmにおける吸光度を測定
し、残存IgG抗体量を測定して、各磁性粒子に吸着し
たIgGの量を求めた。測定結果を表2に示す。表2か
ら明らかなように、本発明の改質磁性粒子(1-1) 〜 (1-
13) および改質磁性粒子(2-1) は、いずれも高い抗体吸
着量を示した。これに対して、非改質磁性粒子(A)お
よび非改質磁性粒子(B)は抗体吸着量が低く、診断薬
担体として満足できないものであった。
【0019】酵素発色値の測定 各磁性粒子の分散液を固形分でそれぞれ10mgとり、
各磁性粒子を磁気分離したのち、pH7.5のリン酸生
理食塩水緩衝液1ミリリットル中に再分散させて、分散
液を調製した。その後、各分散液にそれぞれ20μgの
抗ヒトIgM抗体を加え、室温で1時間緩く振とうし
て、各磁性粒子に抗体を吸着させる感作操作を行った。
感作操作後、各磁性粒子(感作粒子)を磁気沈降処理し
た上澄み液について、波長280nmにおける吸光度を
測定し、吸着されない残存抗体量を測定したところ、い
ずれも残存抗体がなく、すべての抗体が吸着されてい
た。次に、前記のようにして感作操作を行ったのち磁気
沈降処理した各磁性粒子に、0.5重量%の牛血清アル
ブミンと0.1重量%のポリエチレングリコールを含む
pH7.5のリン酸生理食塩水緩衝液溶液1ミリリット
ルを加え、バイブレーターでよく分散させたのち、室温
で30分間緩く振とうし、各磁性粒子の抗ヒトIgM抗
体が吸着されていない表面をアルブミンでブロッキング
処理して、酵素免疫法(EIA法)の診断薬担体の分散
液を調製した。別に、ヒトIgM抗原を0ng/ミリリ
ットル、50ng/ミリリットル、100ng/ミリリ
ットルあるいは500ng/ミリリットルの濃度で含む
リン酸生理食塩水緩衝液を、それぞれ100μリットル
調製したのち、各緩衝液に、前記ブロッキング処理した
診断薬担体を含む各分散液20μリットルを加え、室温
で30分間静置した。その後、磁気分離した各診断薬担
体に、アセチルコリンエステラーゼを結合した抗ヒトI
gM抗体100μgを含む溶液200μリットルを添加
し、バイブレータで振動分散させたのち、25℃で1時
間静置した。次いで、アセチルコリンエステラーゼの基
質であるエルマン(Ellman's)試薬(Cayman社製)
を100μリットルづつ加え、室温で10分間緩く振と
うして酵素発色反応させたのち、反応停止液として2N
硫酸を50μリットル加えて、波長412nmにおける
吸光度を測定した。また比較のため、感作操作を行って
いない各磁性粒子(未感作粒子)についても、同様に吸
光度を測定した。測定結果を表3に示す。表3から明ら
かなように、本発明の改質磁性粒子(1-1) 〜 (1-13)お
よび改質磁性粒子(2-1) は、いずれも抗ヒトIgM抗体
による感作操作を行っていない状態では発色が低く、ま
た抗ヒトIgM抗体による感作操作を行った状態では、
抗原量にほぼ比例した酵素発色を呈し、良好な酵素免疫
法の診断薬担体であった。なお、実施例2の改質磁性粒
子(1-2) では、未感作粒子の発色はやや大きいが、これ
を差し引いて計算すれば実用可能なレベルであった。こ
れに対して、非改質磁性粒子(A)および非改質磁性粒
子(B)では、未感作粒子の酵素発色が高く、非特異的
発色性が著しいため、診断薬担体としては不適当であっ
た。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【発明の効果】本発明の改質磁性粒子(1)および改質
磁性粒子(2)は、表面および/または表面近傍に残存
する鉄系磁性体が実用上問題のないレベルまで低減され
ているため、吸着性能が著しく優れ、特に酵素免疫法の
診断薬担体として非特異的酵素発色が抑えられ、検出反
応である酵素反応に有害な影響を与えることがなく、例
えば、診断薬担体、細菌あるいは細胞分離担体、蛋白分
離・精製担体、副作用の少ないドラッグデリバリー担
体、酵素反応担体、細胞培養担体等として極めて有用で
あり、しかもPCR反応を阻害することがなく、核酸分
離・濃縮用粒子としても有用である。したがって、当該
改質磁性粒子は、生化学および医学関連を含む幅広い技
術分野において極めて好適に使用することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄系磁性体を含有するポリマー粒子を鉄
    溶解剤で処理してなる磁性体含有ポリマー粒子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の磁性体含有ポリマー粒子
    の存在下にビニル系モノマーを重合して得られる磁性体
    含有ポリマー粒子。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005017013A (ja) * 2003-06-24 2005-01-20 Hitachi Maxell Ltd 生体物質結合用磁性担体
JP2006328309A (ja) * 2005-05-30 2006-12-07 Canon Inc 磁性ポリマー粒子及びその製造方法
CN107551271A (zh) * 2017-08-28 2018-01-09 上海长海医院 一种磁性‑ros双重智能靶向纳米粒及其制备方法

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