JPH091802A - インク吐出記録装置 - Google Patents

インク吐出記録装置

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JPH091802A
JPH091802A JP15365395A JP15365395A JPH091802A JP H091802 A JPH091802 A JP H091802A JP 15365395 A JP15365395 A JP 15365395A JP 15365395 A JP15365395 A JP 15365395A JP H091802 A JPH091802 A JP H091802A
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JP
Japan
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ink
nozzle
recording
voltage
electrode
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JP15365395A
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English (en)
Inventor
Akihiro Yamashita
昭裕 山下
Koichi Ikeda
浩一 池田
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 コンパクトで長寿命なヘッドを有する通電方
式インクジェットプリンタを実現可能とする。 【構成】 インクを吐出するノズルから構成されるノズ
ル列N1〜N5と、このノズル列を構成する各々のノズ
ルに連通してインクを供給する液路と、この液路の両側
に設けられて、隣接するノズルに対して共通な一対の電
極EL1〜EL5から構成される記録ヘッドと、電極に
電圧を印加するドライバ回路DR1〜DR5と、ドライ
バ回路DR1〜DR5を制御して前記一対の電極間のイ
ンクに交流電流を通電させる複数の制御信号P1〜P5,
O1〜O5を出力する制御部2と、複数の制御信号P1〜
P5,O1〜O5間の論理をとる論理回路3と、制御部2
が誤動作した場合に前記複数の制御信号が前記ドライバ
回路に異常に供給されるのを、論理回路3の出力により
防止する回路系とを備えたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オフィス用コンピュー
タやパーソナルコンピュータ等の出力印字に用いられる
インクジェットプリンタに関するものであり、特に熱的
作用をインクに与えて、インク沸騰を発生させ、インク
飛翔を行うサーマル方式インクジェットプリンタ装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、インクジェットプリンタは、記録
時の静粛性、高速記録が可能、カラー化が容易といった
点から家庭用、オフィス用コンピュータの出力用プリン
タとして広く利用されるようになってきた。このような
インクジェットプリンタはインクを小滴化し飛翔させ、
記録紙に付着させて記録を行うもので、小滴の発生法や
飛翔方向の制御法によってコンティニアス方式とオンデ
マンド方式に大別される。
【0003】コンティニアス方式は、例えば米国特許第
3,060,429号明細書に開示されている方式であって、イ
ンクの小滴化を静電吸引的に行い、発生した小滴を記録
信号に応じて電界制御し、記録紙上に小滴を選択的に付
着させて記録を行うものであり、小滴の発生に高電圧を
要し、マルチノズル化が困難であるので高速記録には不
適である。
【0004】オンデマンド方式は、小滴を吐出するノズ
ル孔を有する記録ヘッドに付設されているピエゾ振動素
子に、電気的な記録信号を印加し、この電気記録信号を
ピエゾ振動素子の機械的振動に変え、機械的振動に従っ
て前記ノズル孔より小滴を吐出させて記録紙に付着させ
ることで記録を行うものである。すなわち、この方式は
デマンドに応じてインクをノズル孔より吐出して記録を
行うため、コンティニアス方式のように吐出飛翔する小
滴の中、画像の記録に寄与しなかった小滴を回収する必
要がないため、シンプルな構成にすることが可能であ
る。記録ヘッドの加工の困難さや、ピエゾ振動素子の小
型化が極めて困難でマルチノズル化が難しく、ピエゾ素
子の機械振動という機械的エネルギーで小滴の飛翔を行
うので高速記録に向かないこと等の欠点を有する。
【0005】また特公昭61−59911号公報,特公昭62−1
1035号公報,特公昭61−59914号公報には発熱抵抗体に
より沸騰を生起させ液滴を飛翔させる方式の記録法が開
示されている。
【0006】オンデマンド方式の他の例としては米国特
許第3,179,042号明細書に開示されている方式があり、
これはピエゾ振動素子等の手段による機械的振動エネル
ギーを利用する代わりに熱エネルギーを利用するもので
ある。機械的振動エネルギーを利用する方式と比較し
て、エネルギー変換効率が高く、マルチノズル化が容易
であるといった特徴がある。
【0007】次にその吐出原理について説明する。図8
はそのインク吐出装置の断面図である。図8において、
17は導電性インク、18は導電性インク17で満たされたイ
ンク室、19は導電性インク17を収容するインクタンク、
20,21は導電性インク17の液面以下に配置された一対の
電極、22は電源、23は電源22のスイッチ、24は導電性イ
ンクを吐出するノズル、25は記録紙、26はノズル24から
吐出されるインク滴である。そこで一対の電極20,21に
電圧が印加されると、導電性インク17に電流が流れ、そ
のジュール熱で電極20,21の先端間の導電性インク17の
一部が気化する。さらにその気化された導電性インク17
はノズル24から記録紙25にインク滴26を吐出させるのに
十分な圧力を発生するまで膨張する。このようにスイッ
チ23により電圧を印加することで、導電性インク17を吐
出するノズル孔を選び記録紙25に所望の文字を形成でき
るようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の構成では、導電性インクを通じて電流を流すことに
よって生じる電極の電気分解等についての考慮が充分と
はいえない。またオフィスユース等のプリンタに用いる
場合、実用的には印字速度等の点から単一ノズルのヘッ
ドでなく複数ノズルヘッド構成をとらざるをえないが、
これらの構造や制御方法についての考慮も充分なされて
いなかった。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために、本発明は、インクを吐出するノズルから構成
されるノズル列と、このノズル列を構成する各々のノズ
ルに連通して前記インクを供給する液路と、この液路の
両側に設けられて、隣接する前記ノズルに対して共通な
一対の電極から構成される記録ヘッドと、前記電極に電
圧を印加する電圧印加手段とこの電圧印加手段を制御し
て前記一対の電極間の前記インクに交流電流を通電させ
る複数の制御信号を出力する制御手段と、前記複数の制
御信号間の論理をとる論理手段と、この論理手段の出力
により前記複数の制御信号が前記電圧印加手段に異常に
供給されるのを防止する保護手段とを設けた構成とす
る。
【0010】以下、本発明で実施できる好ましい態様に
ついて詳細に説明する。
【0011】(記録原理)記録方式としては、記録液を
抵抗加熱ヒータ等の熱発生源で加熱し、沸騰させてその
沸騰気泡の膨張力により記録液をノズル等の方向制御機
構から吐出させて紙面上に印字させる方式、記録液に高
電圧をかけ、静電場により記録液をノズル等の方向制御
機構から吐出させて紙面上に印字させる方式、圧電素子
の機械的運動により記録液に圧力を加え、その記録液を
ノズル等の方向制御機構から吐出させ、紙面上に印字さ
せる方式、記録液に磁性材料を加え、外部磁場により記
録液に運動エネルギーを与え、その記録液をノズル等の
方向制御機構から吐出させて紙面上に印字させる方式、
導電材料を添加した記録液に電気エネルギーを与え、記
録液の自己発熱により生じた沸騰気泡の膨張力により記
録液をノズル等の方向制御機構から吐出させて紙面上に
印字させる方式等のインクジェット記録ヘッドがある。
また、これらの記録方式を実現させるための記録ヘッド
の構造も種々あり、印字品質の向上に伴いより高解像度
の印字パターンが要求されるため、ほとんどは薄膜技術
により形成される。
【0012】(ヘッド構成材料)記録ヘッドの構成材料と
しては、特性,寿命,信頼性,製造コスト等を考慮して
様々な材料が使用される。
【0013】基板 基板の材料としては、ガラス、セラミック等の絶縁材
料、半導体、表面を高抵抗材料で被覆した金属、金属合
金、絶縁物等が使用できる。ガラス基板としては、カリ
石灰ガラス、ソーダ石灰ガラス、硼珪酸ガラス、クラウ
ンガラス、亜鉛クラウンガラス、ソーダカリガラス、バ
リウム硼珪酸ガラス、96%珪酸ガラス、99.5%珪酸ガラ
ス、燐酸ガラス、低融点ガラス、リチウム珪酸ガラス、
亜鉛アルミ珪酸ガラス、珪酸ジルコニウムガラス等が使
用できる。セラミック基板としては、酸化アルミニウム
(アルミナ)、酸化チタン(チタニア)、MgO・SiO
2(ステアタイト)2MgO・SiO2(ホルステライト)、
BeO(ベリリア)、MgO・Al23(スピネル)等が使用
できる。半導体基板としては、シリコン、炭化シリコ
ン、ダイアモンド、ゲルマニウム等が使用できる。
【0014】電極 電極材料としては、Ti族金属(Ti,Zr,Hf),白金族
金属(Pt,Ru,Rh,Pd,Os,Ir)、高融点金属
(W,Ta,Mo)、その他V,Cr,Fe,Co,Ni,N
b,Au,Ag,Al等の単金属またはこれらの合金(Ni−
Fe,NiCr,TiCr等)が使用できる。またこれらの酸
化物(酸化チタン,酸化ハフニウム,酸化錫,酸化イン
ジウム等)、窒化物(窒化チタン,窒化クロム等)、炭化
物(炭化チタン,炭化タングステン等)、硼化物も使用で
きる。
【0015】絶縁層 絶縁層としては、絶縁性の有機物(耐熱性のポリイミド
樹脂,アクリル樹脂等のフォトレジスト等)または絶縁
層の無機物が使用できる。
【0016】流路・ノズル 流路、ノズル材料としては、ポリイミド、アクリルポリ
エチレンテレフタレートシート等のポリマー、ガラス、
セラミック等の絶縁材料、半導体、または表面を高抵抗
材料で被覆した金属、金属合金、絶縁物等が使用でき
る。
【0017】(フォトリソグラフィ等の構成)上記の材料
を用いてヘッドを作成する方法の例を述べる。ガラス、
あるいはシリコン等のセラミックスからなる非導電性の
基板上にTi,Au,Pt等の導電性金属膜を蒸着法やス
パッタ法などの物理成膜法あるいは鍍金法等により積層
する。この金属膜を積層した基板をフォトリソグラフィ
法により電極パターンを形成し、電極以外の部分をイオ
ントミリングまたはケミカルエッチングにより除去す
る。
【0018】インク室に露出していない電極と基板上に
有機高分子あるいはセラミクス等の絶縁膜を塗布または
蒸着法やスパッタ法により形成する。この絶縁膜と電極
を積層した基板上にエキシマレーザ加工機により形成さ
れたノズル孔を有する樹脂シートとノズル孔の中心が2
つの電極の中心と一致するように接着剤で接着する。絶
縁膜に使用する有機高分子材料としてはポリイミド、ポ
リアミドイミド、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ
樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、およびシリコン樹脂
等が挙げられるが、ポリイミド等の耐熱性高分子が特に
好ましい。また、ゾルゲル法に用いられる金属アルコキ
シドを使用しても良い。
【0019】さらにおよびまたは、SiO2、Al23
TiO2等の金属酸化物を蒸着法やスパッタ法にて形成す
る。樹脂シートの材料としては、ポリイミド、ポリアミ
ドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスル
フド、ポリエーテルエーテルケトン等の耐熱性プラスチ
ックが使用できるが、特に耐インク性、レーザ加工性を
考慮すると、ポリイミド、ポリエーテルスルホンが好ま
しい。接着剤としてはエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、
トリアジン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シ
リコン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化性樹脂が使用できる。
可撓性を付与するためにニトリルゴム、シリコンゴム、
ナイロン、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂を添加す
ることもできる。さらに、SiO2,Al23,TiO2
の金属酸化物の微粉を充填材として添加しても良く、ま
た接着性を向上するためにカップリング剤を適量添加し
てもよい。耐インク性、耐熱性を考慮するとエポキシ樹
脂、およびまたはポリイミド樹脂が好ましい。接着剤は
所定の膜厚を得る濃度に有機溶剤で希釈し、あらかじめ
樹脂シードに塗布した後、加熱により溶剤を揮発させ接
着剤層を形成する。
【0020】エキシマレーザを接着剤面側から入射さ
せ、樹脂シートにノズル孔を形成する。エキシマレーザ
加工時に接着剤表面にポリイミド等の耐熱性プラスチッ
クフィルムを保護シートとして貼り付けて加工すると、
高温の加工くずが接着剤に直接接触しないので接着性が
低下しない。ノズル孔を有する樹脂シートと基板の接着
はラバー加圧法等により行う。接着温度は接着剤の硬化
温度に応じて適宜その選択を行う。加圧力は接着剤が浮
いたり、しみださないように最適荷重で与える。
【0021】(インク)本発明で使用できる記録液は、
水溶性、油溶性のどちらでも良いが、臭気や安全性を考
慮すると、水溶性の方が好ましい。インクについては、
染料、湿潤材としてのアルコール類、グリコール類等の
水可溶性有機溶媒、界面活性剤、あるいはこれらの混合
物を添加することは、乾燥速度、沸騰状態の調節、電極
寿命、ノズル目詰り等にとって好ましい。さらに防腐剤
も使用される。具体的にはトリケップス社「インクジェ
ット記録技術」p177に記載のもの、および太田徳
也,日経エレクトロニクス,No.303,1982.11.8、太田
徳也,電子写真学会誌,vol24,354(1985)、大渡章夫,
「第4回ノンインパクトプリンティング技術シンポジウ
ム論文集」電子写真学会,93(1987)、平沢伸一,「第4回
ノンインパクトプリンティング技術シンポジウム論文
集」電子写真学会,89(1987)、沢木健二,繊維と工業,v
ol.47,212,(1991)、特開昭63−1579号公報等に記載のあ
る素材を使用することができる。
【0022】次に、本発明に使用できる記録液の構成の
具体例を述べる。例えば、それは色材(染料;アゾ染
料、酸性染料、塩基性染料、直接染料、顔料;カーボン
ブラック、アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ
顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ベリレ
ン顔料、ベリノン顔料、アトラキノン顔料、キナクリド
ン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジコ顔料、イソイ
ンドリノン顔料、キノフタロン顔料、塩基性染料型レー
キ、酸性染料型レーキ、ニトロ顔料、アニリンブラッ
ク、蛍光顔料、酸化チタン、酸化鉄等)、溶媒(水等)、
溶剤(エチルアルコール、メチルアルコール、n−プロ
ピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチル
アルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルア
ルコール、イソブチルアルコール、n−ペンタノール、
ジエチレングリコール等の多価アルコールの低級ジアル
キルエーテル類等)、乾燥防止剤(グリセリン、尿素、ソ
ルビタン、ソルビトール、イノシトール、キレート剤
等)、粘度調整剤(グリセリン等)、表面張力調整剤(ジエ
アノールアミン、トリエタノールアミン、アニオン系界
面活性剤、ノニオン系界面活性剤)、pH調整剤(水酸化
カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、ジエ
タノールアミン等)、分散剤(蛋白質類、天然ゴム類、セ
ルロース誘導体、天然高分子、非イオン性高分子、陰イ
オン界面活性剤、非イオン界面活性剤等)、発泡剤(イソ
プロピルアルコール、多価アルコール)、酸化防止剤(ビ
タミンC、亜硫酸ナトリウム、ハイドロキノン、ピラゾ
リドン、ヒドラジン等)、防腐剤(アルコール、ホルマリ
ン、オマシンナトリウム等)を含んでいる。
【0023】本発明には、導電性のインクを使用するこ
とが特に好ましい。導電性インクについては米国特許第
4,536,776号明細書(対応特許:特開昭59−129274号公
報)に「染料の水性混合物からなる選択的なインクジェ
ット印刷機のためのインクにおいて、この混合物が、1
cmあたり15〜50Ωの比抵抗をインクに与えるような量の
加水分解塩からなることを特徴とするインク」が開示さ
れている。特開平5−179182号公報(DIC)も「水と着
色剤を含有するインクジェット記録用水性インク組成物
において、アルカノールアミンまたはエチレンオキシド
付加物およびまたはプロピレンオキシド付加物と、ハロ
ゲン化水素からなる塩を含有することを特徴とするイン
ク」が開示されている。また特公平2−5785号公報には
無機塩類について具体的な記載がある。本発明にて用い
られる導電性付与剤としてはリチウム(Li)等からなる
アルカリ金属化合物塩、硫酸アンモニウム、塩化リチウ
ム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩類、およ
び有機塩類のどちらでも良いが、4級有機アンモニウム
塩の誘導体が好ましく使用できる。化合物の具体的な例
としては、モノエタノールアミン硫酸塩、ジエタノール
アミン硫酸塩、トリエタノールアミン硫酸塩、モノエタ
ノールアミン硝酸塩、ジエタノールアミン硝酸塩、トリ
エタノールアミン硝酸塩、モノエタノールアミンリン酸
塩、ジエタノールアミンリン酸塩、トリエタノールアミ
ンリン酸塩、ジメタノールアミン硫酸塩、トリメタノー
ルアミン硫酸塩、ジエチルアミン硫酸塩、トリエチルア
ミン硫酸塩、ジメチルアミン硫酸塩、トリメチルアミン
硫酸塩、モノプロピルアミン硫酸塩、ジプロピルアミン
硫酸塩、トリプロピルアミン硫酸塩、フェニルアミン硫
酸塩、ジフェニルアミン硫酸塩、ジメチレンアミン硫酸
塩、トリメチレンアミン硫酸塩、ジエチレンアミン硫酸
塩、トリエチレンアミン硫酸塩、ジプロピレンアミン硫
酸塩、トリプロピレンアミン硫酸塩、ピリジン硫酸塩、
ピロール硫酸塩等を挙げることができる。
【0024】湿潤剤は、水より沸点の高いものであり、
ノズル先端の乾燥を防止するために用いられる。湿潤剤
としては、具体的には、ポリエチレングリコール,ポリ
プロピレングリコール,ブチレングリコール、ヘキシレ
ングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を
含むアルキレングリコール、例えばエチレングリコール
エチルエーテル,ジエチレングリコールメチルエーテ
ル,ジエチレングリコールエチルエーテル等のジエチレ
ングリコールの低級アルキルエーテル,グリセリン等が
挙げられる。多価アルコールは0.1〜10重量%、好まし
くは0.5〜3.0重量%含有される。多価アルコールが0.5
重量%未満になるにつれ、インク乾燥によるノズル先端
が目詰まり傾向となるのが認められ、多価アルコールが
3.0重量%を越えるにつれ、インク比抵抗が上昇する傾
向となるのが認められ、それぞれ好ましくないことが判
った。
【0025】溶剤は、水、および水と混合し得る有機溶
剤が挙げられる。有機溶剤としては、メチルアルコー
ル、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソ
プロピルアルコール等のアルキルアルコール、アセト
ン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトアルコ
ール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等
のアミド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエー
テル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチ
レングリコールモノエチルエーテル等のエーテルアルコ
ール類、水溶性高分子化合物等が挙げられる。溶剤とし
て用いられている水は、30〜80重量%、好ましくは50〜
70重量%含有される。水が50重量%未満になるにつれ、
紙への浸透性が向上する傾向が認められ、水が70重量%
を越えるにつれ、紙への浸透性が低下する傾向が認めら
れ、それぞれ好ましくないことが判った。
【0026】インクジェット用インクには、さらに、液
物性を調整するため、表面張力調整剤、pH調整剤、粘
度調整剤等を添加する場合がある。
【0027】表面張力調整剤はインクジェット用インク
の速乾性を上げるために添加すると同時にインクジェッ
ト用インクの蒸発も防止し、調整剤としては、水溶性有
機溶媒、界面活性剤を用いるのが好ましい。水溶性有機
溶媒は、上記溶剤の中より選択されても良い。また界面
活性剤の具体例としては、脂肪酸塩類、高級アルコール
硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩類、脂肪
アルコールリン酸エステル塩類、二塩基性脂肪酸エステ
ルのスルホン塩類、脂肪酸アミドスルホン酸塩類、アル
キルアリルスルホン酸塩類、ホルマリン縮合のナフタリ
ンスルホン酸塩類、アルキルピリジウム塩、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアル
キルフェニールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキ
ルエステル類,ソルビタンアルキルエステル類,ポリオ
キシエチレンソルビタンアルキルエステル類を挙げるこ
とができる。
【0028】pH調整剤としては、調合されるインクジ
ェット用インクに悪影響を及ぼさずに、所望のpH値に
調整できるものであれば良いが、具体的には、低級アル
カノールアミン,アルカリ金属水酸化物の1価の水酸化
物,水酸化アンモニウム等が挙げられる。
【0029】粘度調整剤は、インクジェット用インクの
粘度を調整するものであり、具体的には、ポリビニルア
ルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシ
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチ
ルセルロース、水溶性アクリル樹脂、ポリビニルピロリ
ドン、アラビアゴムスターチ等が挙げられる。
【0030】さらに、印刷用紙に付着する場合のインク
の被膜の強度を補強するために、アルキッド樹脂,アク
リル樹脂,アクリルアミド樹脂,ポリビニルアルコー
ル,ポリビニルピロリドン等の樹脂重合体が添加されて
も良い。また、カビ防止剤を添加するのが長期保存時の
信頼性確保の点で有利である。
【0031】(インク物性)本発明において用いられるイ
ンクジェット用インクの比抵抗は25℃において、8〜50
Ω・cm、好ましくは15〜25Ω・cmである。比抵抗が8Ω
・cm未満では、この数値より小さくなるにつれてインク
ジェット用インクの導電性付与剤の含有量が多くなるの
で、染料の溶解安定性が低下し、ノズルの目詰り性が悪
化する傾向が認められ、また比抵抗が50Ω・cm以上で
は、この数値を越えるにつれて導電性化合物の含有量が
少なくなるので、電極に印加する電圧の交流周波数を低
くすると、基板上の化学反応を防止することができなく
なり、電極が溶解されたり吐出安定性が悪化する傾向が
認められ、それぞれ好ましくないことが判った。粘度は
10cp以下、好ましくは5cp以下である。粘度が5cpを越
えるにつれてインク滴のノズル孔からの吐出に不都合が
生じる傾向にあるのが認められ、好ましくないことがわ
かった。表面張力は28〜55dyne/cm、好ましくは30〜45
dyne/cmである。表面張力が30dyne/cm未満になるにつ
れて印字の細線にじみが悪化し、印字濃度が低下する傾
向があることが認められ、表面張力が、45dyne/cmを越
えるにつれて色重ね印字の色にじみ性が低下する傾向に
あることが認められ、それぞれ好ましくないことが判っ
た。pHは6〜10、好ましくは7〜9である。pHが6
未満になるにつれて染料の溶解安定性が低下する傾向に
あるのが認められ、pHが10を越えるにつれて染料の退
色が発生する傾向にあるのが認められ、それぞれ好まし
くないことがわかった。
【0032】(目詰り防止機構)インクジェット記録装置
におけるインクは、一般的に揮発性が高い水やアルコー
ルを成分として構成されているため、記録ヘッドの吐出
口(ノズル)内にインクが溜ったまま該吐出口が大気に曝
されると、該吐出口から水分等が蒸発してインクが乾燥
し、インクの固着が発生して吐出不能になることがあ
る。また、吐出可能な場合でも、上記水分等の蒸発によ
り増粘したインクが吐出口付近に付着することにより、
インクの吐出方向が乱され、印字品質が劣化することが
ある。
【0033】その対策として、非印字時にホームポジシ
ョン等のある固定された位置に記録ヘッドを移動させ、
ゴム等の弾性部材により吐出口を大気と遮断するキャッ
ピング手段や、インク吐出素子を駆動させて所定のイン
ク受容体に記録に直接関わらないインクの吐出を行わせ
る予備吐出、インク吐出口面と接触するゴム等の弾性部
材を設け、両者を相対移動させてインク吐出口近傍に付
着したインク、塵等の異物を拭きとるワイピング手段、
インク供給系を加圧したり、あるいはインク吐出口から
吸引するなどの方法でインクに所定の圧力を作用させて
インクを強制的に排出するパージ手段を設けることが望
ましい。
【0034】(カートリッジ)本発明に使用されるインク
カートリッジは、インクを吐出する記録ヘッドと、記録
ヘッドに供給するインクを貯留するインクタンクが一体
に構成された一体型でも、前記記録ヘッドと前記インク
タンクが着脱自在に構成された分離型でも良い。インク
タンクから記録ヘッドまでのインク流路間には、吐出に
悪影響を与えるインク内の異物や気泡をトラップするた
めにフィルターを設けることが望ましい。
【0035】フィルターとしては10ミクロン程度のろ過
粒度を有するようにステンレス等の金属を立体的に編ん
だものが高信頼性を確保する上で有利である。
【0036】印字品質を向上させるための条件として、
インク吐出口に静的な負圧をかけておくことの重要性が
かねてから知られている。負圧をかけることによってイ
ンク吐出口部分の液面が負メニスカスとなり、インクを
内部に引き込むので、着弾精度を向上させるとともに、
余分液滴(エキストラドット)の減少等を防ぐことが可能
となる。インク吐出口の負圧を発生させるために、イン
クタンク内にポリウレタンフォームで構成されたスポン
ジを充填させたり、インクタンク内外にバネ部材を設け
る等の負圧発生手段を配設することが望ましい。
【0037】(装置)本発明で使用される記録装置として
は、1個または複数の記録ヘッドをキャリッジに搭載
し、被記録材の前面を主走査方向に往復移動しながら記
録ヘッドよりインクを吐出し、被記録材は副走査方向に
所定の量だけ送られることで記録を行う所謂シリアル型
記録装置、あるいは記録ヘッドが被記録材の主走査方向
全幅にわたって設けられ、被記録材が副走査方向に所定
の量だけ送られることで記録を行う所謂、ライン型記録
装置のどちらでも良い。
【0038】また、1個または複数の記録ヘッドをキャ
リッジに搭載し、被記録材の前面を主走査方向、および
副走査方向に移動しながら記録ヘッドよりインクを吐出
し、記録する所謂プロッタ型記録装置でも良い。
【0039】
【作用】本発明は、隣接する液路の壁に共通の電極を設
けたことにより、マルチノズルヘッドの液路距離を短く
とることができ、また電極構成・電極配線引き回しも非
常に単純な構成となり、高密度コンパクトなインク吐出
装置を実現できる。また、電極に交流電流を通電するこ
とにより電極の電気分解を防止することができる。さら
に、交流信号印加制御信号の異常を検知する論理回路
と、異常の際、制御信号を遮断するゲート回路を設ける
ことによりヘッドの破壊を防止することができる。
【0040】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照
しながら説明する。
【0041】図1は本発明の一実施例におけるインク吐
出装置の構成図である。図1において、1はインクジェ
ットヘッド、N1〜N4はノズル、EL1〜EL5は電
極、DR1〜DR5はインクジェットヘッド1に交流電圧
を印加するドライバ回路、V1〜V5は印加電圧、2はド
ライバ回路DR1〜DR5を制御する制御部、P1〜P5、
O1〜O5は制御信号、3は制御信号P1〜P5の論理をと
る論理回路、Lは論理回路3の出力、4はフリップフロ
ップ回路、AND1〜AND5は制御信号P1〜P5を遮断
するゲート回路、D1〜D4は印字イネーブル信号でD1
がノズルN1、D2がノズルN2、D3がノズルN3、D4が
ノズルN4にそれぞれ対応しており、PSTは印字タイ
ミング信号である。なお、本実施例においてはインクジ
ェットヘッドのノズルは5個であるが実際は何個であっ
ても良い。
【0042】次に図1の各構成要素について図面を用い
て説明する。
【0043】図2は本発明の一実施例におけるインクジ
ェットヘッドを構成するノズルの横断面図、図3は図2
のA−A線断面図である。図2,図3において、5は導
電性のインク、6はインク5の噴射口であるノズル孔、
7はノズル孔6を有するノズルプレート、8は基板、9
a,9bは、同一の形状を有し、基板8上にパターン形成
された信号電極、10はノズルプレート7と基板8との間
に設けられた絶縁部材、11はノズルプレート7,基板8
および絶縁部材10によって構成された圧力室、Vn,Vn
+1(n:1〜4)は信号電極9a,9bにドライバ回路DR
n,DRn+1(n:1〜4)から印加される印加電圧、12は
印字が行われる用紙である記録紙、15は圧力室11にイン
ク5を補給するインク流路である。
【0044】まず、ノズル孔6からインク滴を噴射する
動作について説明する。図2および図3に示すようにイ
ンク5の充満した圧力室11内部において、基板8に設け
られた一対の信号電極9a,9bに印加電圧Vn,Vn+1
(本実施例では20〜30V)が印加されると、ある抵抗率
(本実施例では20〜50Ω・cm)を有するインク5を介して
信号電極9a,9b間に電気力線13が発生する。この電気
力線13に沿って電流が流れ、I2×R(I:電流値、R:
インク5の抵抗値)で表される電流のジュール損失によ
って、電気力線13の電流集中部14におけるインク5が自
己発熱し10〜20μs後についには沸騰が始まり、バブル
(図示せず)が発生する。さらに、発生したバブルが膨張
することによって、圧力室11内の圧力が急激に高まり、
この圧力を解放しようとする力によってインク5はノズ
ル孔6からインク滴となって噴射され、記録紙12に付着
してドットを形成する。
【0045】記録紙12に付着するドット径を100〜150μ
mにするためには30〜100plのインク滴が8〜16m/sで噴
射される必要がある。そのためノズル孔6の口径を20〜
60μm、ノズル孔6の長さを30〜60μm、ノズル孔6のテ
ーパーを0〜30°、圧力室11の容積を100〜250pl、圧力
室11内で発生するバブルの体積を80〜200plに設定する
ことが適当である。
【0046】印加電圧Vn,Vn+1の印加は、インク5の
沸騰が開始した時点で停止される。ノズル孔6からのイ
ンク5の噴射によって消費されたインク5は、電圧印加
部が次の電圧の印加を開始する前に、インク流路15から
インクの毛細管現象により圧力室11に補給される。
【0047】図4は図1に示すドライバ回路の回路図で
あり、FET1,3はNチャネルFETトランジスタ、
FET2はPチャネルFETトランジスタ、R1,R2
は抵抗、16a,16bはゲート回路、OnおよびPnは図1に
おける制御部2より出力される制御信号に対応する制御
信号、Vnはインクジェットヘッドに印加する印加電気
信号出力、Vcchは電源、GNDは回路グランドであ
る。以下、制御信号On、Pnの状態ごとに電圧印加部の
動作を説明する。
【0048】(1)OnがLレベルの場合 ゲート回路16a,16bの出力はPnのレベルによらず“L
(Low)”レベルとなりFET1,3がオフし、FET1
がオフするとFET2のゲート電位は電源Vcchと同電
位となるためFET2もオフ状態となり、出力Vnはハ
イ・インピーダンス出力となる。
【0049】(2)OnおよびPnがそれぞれ“H(Hig
h)”,“H”レベルの場合 ゲート回路16a,16bの出力はそれぞれ“H”,“L”レ
ベルとなりFET1はオン、FET3はオフ状態とな
る。FET1がオンすると電源Vcchから回路グランド
GNDへ電流が流れるため、FET2のゲート電位は抵
抗R1,R2によって決定される所定の値となり、FE
T2はオン状態となり、出力Vnに電源電位が出力され
る。
【0050】(3)OnおよびPnがそれぞれ“H”,“L”
レベルの場合 ゲート回路16a,16bの出力はそれぞれ“H”,“L”レ
ベルとなりFET1はオフ、FET3はオン状態とな
る。FET1がオフ状態の場合の動作は(1)の場合と同
様であるのでFET1,2,3それぞれ“オフ”,“オ
フ”,“オン”の状態となり、出力Vnにグランド電位
が出力される。
【0051】図5は図1における論理回路3の構成図で
ある。図5においてXNR1〜XNR4はエクスクルー
シブNORゲートであり、AND6〜AND9はAND
ゲートであり、ORはORゲートである。エクスクルー
シブNORゲートXNR1〜XNR4はP1とP2、P2
とP3など隣接する制御信号Pn、Pn+1が同一レベルの
ときに“H”を出力する。ANDゲートAND6〜AN
D9はエクスクルーシブNORゲートXNR1〜XNR
4の出力のうちインク吐出を行わない制御信号Pn(n:
1〜5)の影響する出力を無効にするための回路であ
り、ORはANDゲートAND6〜AND9の出力の論
理和をとるものであり、OR出力は図1における論理回
路3の出力Lとして図1におけるフリップフロップ回路
4のクロック端子に入力される。
【0052】図6は本実施例の動作を説明するタイミン
グ図である。制御部2は印字イネーブル信号D1〜D4が
“H”レベルであるノズルを印字させるため制御信号P
1〜P5、O1〜O5を出力してドライバ回路DR1〜DR
5を制御し、電極EL1〜EL5に電圧を印加する。印
字イネーブル信号D1〜D4は印字タイミング信号PST
が入力される以前に決定しており、この例ではD1=
“H”、D2=“L”、D3=“L”、D4=“H”であ
る。
【0053】次に印字タイミング信号PSTがイネーブ
ルされると、制御部2は印字するノズルの電極に接続さ
れたドライバ回路のOnを“H”にする。本タイミング
例ではT1に示すタイミングで制御信号O1,O2,O4,
O5を出力する。また、同時に制御信号P1,P2,P4,
P5には図6に示すようにTの期間で交互に“L”、
“H”を繰り返す信号を出力する。出力Lは“L”レベ
ルであり、フリップフロップ4の負論理出力は“H”レ
ベルを保持するので、AND1〜AND5はO1〜O5
を通過させ、ドライバ回路DR1〜DR5は制御信号P
1〜P5,O1〜O5に従って、図4を用いて説明した動
作を行い、印加電圧V1,V2,V4,V5は図6に示す
ようなタイミングで電極EL1,EL2,EL4,EL
5に印加されるので、ノズルN1,N4は図2を用いて
説明したようなインク吐出動作を行う。印字タイミング
信号PSTはインクが沸騰するのに十分な所定の期間経
過後ディスエーブルされ、同時に制御信号O1,O2,O
4,O5,P1,P2,P4,P5もディスエーブルされる
(T2のタイミング)。
【0054】電極EL1,EL2,EL4,EL5に繰
り返し信号を印加するのは直流電流を通電することによ
り生じる電極の電気分解による損耗を防止するためであ
る。この繰り返し周波数は電気分解を生じず、かつ不要
輻射電磁波を発生させないという観点から1MHz〜3
MHzにすることが望ましい。以上が本発明の一実施例
における正常動作時の動作説明である。
【0055】次に、図7を用いて電源の遮断時のノイズ
やその他の外来ノイズで制御部2が誤動作を起こした場
合の保護手段について説明する。なお正常動作時と比較
するために、印字イネーブル信号等の条件は図6で説明
したタイミングと共通である。
【0056】図7においては、T4で示されるタイミン
グで制御信号P1に誤動作を生じている。T3からT4
までの正常動作の期間においては、ゲート回路AND
6,AND9の出力はエクスクルーシブNORゲートX
NR1,XNR4の出力がそれぞれ“L”レベルであ
り、またゲート回路AND7,AND8については、そ
れぞれ印字イネーブル信号D2,D3が“L”レベルで
あるため、ゲート回路AND6〜AND9はすべて
“L”レベルを出力する。
【0057】T4のタイミングで制御信号P1に誤動作
が生じて、制御信号P1が“L”レベルに固定されると
エクスクルーシブNORゲートXNR1出力には図7に
示すように周期的に“H”レベルが現われるので、OR
を通過して出力Fに“H”レベルが出力される。出力L
はフリップフロップ回路4のクロック端子に接続されて
いるため、フリップフロップ回路4の負論理出力は
“L”となり、ゲート回路AND1〜AND5により制
御信号O1〜O5を強制的に“L”レベルに固定する。
【0058】なおフリップフロップ回路4の負論理リセ
ット端子は印字タイミング信号PSTに接続されている
ため、非印字中は常にリセットされており、印字タイミ
ング信号がイネーブル時にリセット解除されている。最
終的に図4で説明したドライバ回路の動作により制御信
号O1〜O5が“L”レベルの場合制御信号P1〜P5の状
態に関わらずドライバ回路出力である印加電圧V1〜V
5はHi−Z(ハイ−インピーダンス)となるので、出力
Lの出力後、インク吐出のための電圧印加は行われな
い。
【0059】また、図7において破線で示されるタイミ
ングは上記一連の制御部2の誤動作に対する保護動作が
行われなかった場合の各部のタイミングを表すものであ
る。破線で示した誤動作ではT4のタイミングで生じた
誤動作のために、この後、印字タイミング信号PATが
ディスエーブルされるまで、図1におけるノズルN1の
電極EL1とEL2間には、正常時には交互に方向を変
えて流れていた電流が片方向に断続的に流れる状態とな
る。このような状態はインク吐出を生じさせるのに十分
なエネルギーを印加できず、また、通電方向にアンバラ
ンスが生じるため、低電圧側の電極が電気分解により損
耗してしまう。
【0060】なお、本実施例における制御部2の誤動作
は制御信号P1について“L”レベルに固定してしまう
というものであるが、制御信号P2〜P5についても同様
であり、また“H”レベル固定という誤動作でも同様で
ある。また本実施例では誤動作が生じた場合、制御信号
O1〜O5をすべて遮断しているが、誤動作を生じた制御
信号のみを遮断する構成の制御部も可能である。
【0061】
【発明の効果】以上のように本発明は、導電性インクに
通電するための電極に印加する印加信号を交流電圧とす
ることにより電極の電気分解による損耗を防止し、導電
性インクに通電するための電極を隣接するノズル間で共
通にすることにより複数ノズルヘッドにおけるノズル間
の距離を短くし、さらに、印加タイミングを制御する制
御信号の論理をとり誤動作を検知して制御信号を遮断し
て誤動作による電極への所定のタイミング以外の電圧印
加に起因する電極の損耗を防止することにより、長寿命
かつ軽量・コンパクトな通電方式インクジェットプリン
タヘッドを実現可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるインク吐出装置の構
成図である。
【図2】本発明の一実施例におけるインク吐出装置のイ
ンクジェットヘッドの構成図である。
【図3】本発明の一実施例におけるインク吐出装置のイ
ンクジェットヘッドの構成図である。
【図4】本発明の一実施例におけるインク吐出装置のド
ライバ回路の構成図である。
【図5】本発明の一実施例における論理回路の構成図で
ある。
【図6】本発明の一実施例におけるインク吐出装置の正
常動作時タイミングを表すタイミング図である。
【図7】本発明の一実施例におけるインク吐出装置の以
上動作時タイミングを表すタイミング図である。
【図8】従来のインク吐出部の断面図である。
【符号の説明】
1…インクジェットヘッド、 2…制御部、 3…論理
回路、 4…フリップフロップ回路、 5…導電性のイ
ンク、 6…ノズル孔、 7…ノズルプレート、8…基
板、 9a,9b…信号電極、 10…絶縁部材、 11…圧
力室、 12…記録紙、 15…インク流路、 16a,16b…
ゲート回路、 N1〜N4…ノズル、EL1〜EL5…
電極、 DR1〜DR5…ドライバ回路、 V1〜V5
…印加電圧、 P1〜P5,O1〜O5…制御信号、
L…論理回路3の出力、 AND1〜AND5…制御信
号P1〜P2を遮断するゲート回路、 D1〜D4…印
字イネーブル信号、 PST…印字タイミング信号、V
n,Vn+1(n:1〜4)…印加電圧、 FET1,3…N
チャネルFETトランジスタ、 FET2…Pチャネル
FETトランジスタ、 R1,R2…抵抗、 On,Pn
…制御信号、 Vn…印加電気信号出力、 Vcch…電
源、 GND…回路グランド、 XNR1〜XNR4…
エクスクルーシブNORゲート、 AND6〜AND9
…ANDゲート、 OR…ORゲート。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを吐出するノズルから構成される
    ノズル列と、このノズル列を構成する各々のノズルに連
    通して前記インクを供給する液路と、この液路の両側に
    設けられて、隣接する前記ノズルに対して共通な一対の
    電極から構成される記録ヘッドと、前記電極に電圧を印
    加する電圧印加手段と、この電圧印加手段を制御するこ
    とにより、前記一対の電極間の前記インクに交流電流を
    供給するための複数の制御信号を出力する制御手段と、
    前記複数の制御信号間の論理をとる論理手段と、前記制
    御手段が誤動作した場合に前記複数の制御信号が前記電
    圧印加手段に異常に供給されることを、前記論理手段の
    出力により防止する保護手段とを備えたことを特徴とす
    るインク吐出記録装置。
JP15365395A 1995-06-20 1995-06-20 インク吐出記録装置 Pending JPH091802A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006130721A (ja) * 2004-11-04 2006-05-25 Seiko Epson Corp 液体吐出装置、及び駆動信号の印加方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006130721A (ja) * 2004-11-04 2006-05-25 Seiko Epson Corp 液体吐出装置、及び駆動信号の印加方法
JP4655587B2 (ja) * 2004-11-04 2011-03-23 セイコーエプソン株式会社 液体吐出装置、及び液体吐出方法

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