JPH09178639A - 熱疲労試験装置および熱疲労試験方法 - Google Patents

熱疲労試験装置および熱疲労試験方法

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JPH09178639A
JPH09178639A JP28237296A JP28237296A JPH09178639A JP H09178639 A JPH09178639 A JP H09178639A JP 28237296 A JP28237296 A JP 28237296A JP 28237296 A JP28237296 A JP 28237296A JP H09178639 A JPH09178639 A JP H09178639A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、加熱手段と冷却手段とを一元化
し、より小型かつ簡素な熱疲労試験装置と、被試験体に
所定の温度分布を与えることができる熱疲労試験方法と
を提供することを解決すべき課題とする。 【解決手段】 本発明は、加熱手段21等を内蔵し被試
験体4に対して開口する少なくとも一つのガスダクト2
等と、これらに圧縮ガスを供給する手段30とを有する
熱疲労試験装置とその試験方法である。ガスダクト2等
は複数個あり、被試験体4の複数箇所に複数方向から開
口している。各所に設けられた熱電対の計測温度に基づ
き、各加熱手段21等のフィードバック制御により迅速
かつ正確な熱疲労試験ができる。これは、被試験体を構
成する部材間の熱膨張差により被試験体4の所定部に熱
歪みが生じるからである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、材料等の熱疲労試
験を行う装置およびその方法に関し、熱疲労試験の技術
分野に属する。
【0002】
【従来の技術】熱疲労試験技術については、特開平7−
020031号公報に開示されている技術がある。これ
は、試験片と熱膨張係数が異なるホルダーとで試験片を
挟持し試験片およびホルダーの全体を加熱・冷却するこ
とにより、両者の膨張差を利用して試験片に所望の歪み
をかけながら熱疲労試験を行う技術である。
【0003】上記従来技術では、アクチュエータを要さ
ずに力学的な歪みを試験片にかけることができるので設
備費等の点で優れている技術ではあるが、加熱手段と冷
却手段とを別個に備えているので小型化や簡素化の点で
改良の余地を残していた。また、試験片およびホルダー
の全体を加熱・冷却するので、各部の熱容量に応じて温
度不均一が生じたり、また、試験片に所望の温度分布を
意図的に与えることが難しかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、加熱
手段と冷却手段とを一元化し、より小型かつ簡素な熱疲
労試験装置と、被試験体の温度分布を均一にしたり、ま
た、意図的に所定の温度分布を与えることもできる熱疲
労試験方法とを提供することを解決すべき課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記課題を解決するための手段として、発明者らは、以下
に列挙する構成の発明を行った。本発明の第1構成は、
加熱手段を内蔵し被試験体に対して開口する少なくとも
一つのガスダクトと、該加熱手段の出力を制御する出力
制御ユニットと、該ガスダクトに圧縮ガスを供給する圧
縮ガス供給手段と、該ガスダクトに供給される圧縮ガス
の流路を開閉するバルブと、を有することを特徴とする
熱疲労試験装置である。
【0006】本構成では、圧縮ガス供給手段から圧縮ガ
スを供給されるガスダクトが加熱手段を内蔵しているの
で、加熱手段の出力によってガスダクトから熱風および
冷風のいずれをも選択的に切り替えることができる。し
たがって、本構成によれば、加熱手段と冷却手段とがガ
スダクトに一元化されているので、より小型かつ簡素な
熱疲労試験装置を提供することができるという効果があ
る。
【0007】上記圧縮ガスのガスとしては、空気、窒素
ガス、不活性ガスなどが挙げられる。空気は、低コスト
で清浄な加熱・冷却媒体として最適である。被試験体が
酸化しやすい場合には、窒素ガスや不活性ガスの使用が
望ましい。上記加熱手段としては、気体を加熱できるも
のであればよい。また、加熱手段としては、電気ヒータ
ーなどの電気的に出力が制御できる電気的加熱手段が望
ましい。電気的加熱手段を用いると、気体の温度を簡単
にかつ精度良く制御できる効果がある。
【0008】上記ガスダクトは複数個あり、前記被試験
体の複数箇所に対して複数方向から開口することが望ま
しい。これにより、被試験体の所望の位置に所望の温度
の熱風を吹きかけることが可能になる。したがって、被
試験体に所望の温度分布を与えることができるという効
果がある。上記被試験体とは、種々の材質からなる試験
片、半導体チップなどの電子素子、複数の電子素子を配
した電子部品、複雑な形状をした大型部品など、温度サ
イクルが与えられることによって破損や劣化が生じる危
険性のあるものなら何でもよい。本構成により、これら
の被試験体の一部または全体に任意の温度サイクルを与
えることができる。被試験体が単一材料からなる場合に
は、温度分布を与えることにより熱ひずみを発生させる
ことができる。また、被試験体が熱膨張係数の異なる部
材から構成されている場合には、均一な温度に加熱ある
いは冷却するだけでも、熱膨張差により熱ひずみが発生
する。したがって、加熱・冷却を繰り返すことにより、
被試験体には熱ひずみが繰り返し発生するため、本装置
を用いて、被試験体の耐熱疲労性を評価できる効果があ
る。
【0009】本発明の第2構成は、上記第1構成におい
て、前記被試験体と前記ガスダクト出口付近とのうち少
なくとも一方に取り付けられている温度センサと、該温
度センサからの信号に基づいて当該箇所の温度を計測し
測定温度信号を発生する温度計測手段と、該測定温度信
号に基づいて前記加熱手段の出力と前記圧縮ガスの流量
とのうち少なくとも一方を適正な水準に制御する制御信
号を発生する制御手段と、該制御信号に従い該加熱手段
の出力を調節する出力制御ユニットと該制御信号に従い
前記バルブを駆動して圧縮ガスの流量を調整するバルブ
駆動手段とのうち少なくとも一方とをさらに有すること
を特徴とする。
【0010】本構成では、温度センサおよび温度計測手
段により所望の箇所の温度が測定され、測定温度信号に
基づいて制御手段が作用し、出力制御ユニットおよび/
またはバルブ駆動手段によってガスダクト各個で個別に
熱風の温度が制御される。したがって、本構成によれば
さらに、センサ/制御系によるフィードバック制御が可
能になるので、より迅速かつより精密に温度制御を行う
ことができるという効果がある。
【0011】本発明の第3構成は、上記第1構成におい
て、前記被試験体は試験片とホルダとからなり、該ホル
ダは試験片とは膨張率の異なる材質からできており、該
試験片が該ホルダに取り付けられており、該試験片の熱
膨張が該ホルダにより拘束されることを特徴とする。本
構成では、ホルダと試験片との間に熱膨張係数の差があ
るので、ホルダおよび試験片を加熱・冷却することによ
り、ホルダから歪みを試験片に与えることができる。し
たがって、本構成によればさらに、熱疲労試験に際して
試験片に歪みをかけるアクチュエータを必要とせず、よ
りいっそう安価にして簡素かつ故障しにくいという効果
がある。
【0012】前記試験片および前記ホルダのうち少なく
とも一方には、歪みゲージが少なくとも一つ装着されて
いることが望ましい。この構成により、歪みゲージの出
力変化から試験片の破損寿命を求めることができるとい
う効果がある。本発明の第4構成は、被試験体の一箇所
以上に対して、一箇所以上の吹き出し口から冷風と熱風
とのガス流を交互に吹き付け、該被試験体に温度サイク
ルを与える熱疲労試験方法であり、該吹き出し口からの
該ガス流の温度を個別に制御することを特徴とする熱疲
労試験方法である。
【0013】本構成では、被試験体の一箇所以上に対し
て、一箇所以上の吹き出し口から個別に制御された温度
の熱風あるいは冷風のガス流が吹き出すので、被試験体
の所望の箇所に所望の温度のガス流を当てることができ
る。したがって、本構成によれば、被試験体に所定の温
度分布を与えることができるという効果がある。勿論、
均一な温度分布を与えることもできる。また、この所定
の温度分布を与えることにより、被試験体の所望の箇所
に発生する熱ひずみを制御することもできるという効果
がある。
【0014】上記圧縮ガスのガスとしては、空気、窒素
ガス、不活性ガスなどが挙げられる。空気は、低コスト
で清浄な加熱・冷却媒体として最適である。被試験体が
酸化しやすい場合には、窒素ガスや不活性ガスの使用が
望ましい。本発明の第5構成は、上記第4構成におい
て、前記被試験体の所定部分の温度と前記吹き出し口付
近の前記ガス流の温度とのうち少なくとも一つが計測さ
れ、該計測の結果に基づいて前記熱風の温度制御が行わ
れることを特徴とする。
【0015】本構成では、計測および制御が行われるの
で計測制御系が構成され、フィードバック制御をはじめ
とする各種制御方法を適用することが可能になる。した
がって、本構成によればさらに、より迅速かつより精密
な温度制御および歪み制御が可能になるという効果があ
る。本発明の第6構成は、上記第5構成において、前記
熱風は加熱手段により加熱されて昇温または一定温度に
保持される前記ガス流であり、前記冷風は放冷と加熱手
段による補助的な加熱とにより降温または一定温度に保
持されるガス流であり、前記加熱手段は電気的に出力が
制御できる電気的加熱手段であり、前記温度制御は該電
気的加熱手段の出力を制御する次の数式に従って行われ
るPID制御であることを特徴とする。
【0016】Vout = {K・Th (t)}β Th (t) = 100/PB・{e(t)+1/TI
・Sedt+TD ・de(t)/dt} ただし、 Vout :ヒーター制御信号(電圧または電流) Th (t):ヒーター制御量(温度) t:時間 β:定数 PB:比例帯(%) TI :積分時間 TD :微分時間 S:積分記号(インテグラル) e(t):ガス流の温度の制御偏差、e(t)=SV−
PT(t) SV:ガス流の温度の目標値 PV(t):ガス流の温度の実測値 本構成では、ガス流の加熱に電気ヒーター等の電気的加
熱手段が使用されるので、ガス流の温度制御を電気的に
迅速かつ容易に行うことが可能である。また、加熱手段
であるヒーターの制御信号−温度特性を考慮した上記数
式に従うPID制御によりヒーター出力が制御されるの
で、簡素な制御ロジックで迅速かつ精密に温度制御が実
現される。したがって、本構成によればさらに、迅速か
つ精密な温度制御および歪み制御が容易に実現されると
いう効果がある。
【0017】また、熱疲労試験の際、加熱開始時および
冷却開始時にはVoutを一定の適正値に強制的に所定時
間保持することが望ましい。こうすることにより、加熱
開始時および冷却開始時の温度制御の遅れを短縮し、よ
り迅速に熱疲労試験を行うことができるという効果があ
る。本発明の第7構成は、上記第6構成において、前記
ガス流は次の数式に従って交互に吹き付ける前記冷風と
前記熱風とであることを特徴とする。
【0018】SV(1) = SV0 SV(i) = SV(i−1)+Etp(i−1) ただし、 SV(i):iサイクル目のガス流の温度の目標値 SV0:初期の同目標値 Etp(i−1):(i−1)サイクル目の被試験体の温
度偏差、 Etp(i−1)=SVtp−PVtp(i−1) SVtp:被試験体温度の目標値 PVtp(i−1):被試験体温度の実測値 本構成では、被試験体の実測温度と目標温度との差に基
づいて、各サイクル毎にガス流の目標温度を補正してい
るため、経時的な温度のばらつきを補正し、被試験体の
温度制御を精度良く行えるという効果がある。
【0019】
【発明の実施の形態】
〔実施例1〕 1.熱疲労試験装置 本発明の一実施例としての熱疲労試験装置は、図1に示
すように、試験ユニット4およびエアダクト1,2を固
定支持する基台ユニット900と、エアダクト1,2に
圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段300と、計測制
御系としての温度制御ユニット500およびパソコン1
00とから構成されている。 (1)試験ユニット(被試験体) 試験ユニット4は、図2(a)および図2(b)に示す
ように、試験片40と、試験片40を図2(b)中の前
後両面から挟持している二つのホルダー41,42と、
試験片40およびホルダー41,42を上下両端で互い
に固定する4本(または2本)のボルト・ナット43と
からなる。
【0020】このうち試験片40は、通常の引張試験片
と同様に断面積一定で円形断面の中間部を有し、上下両
端には、やや太めでホルダー41,42の内側面に当接
する平行面が前後両面に形成されている肉厚部を有して
いる。中間部と両端の肉厚部との間には、応力集中が生
じないよう、緩やかに連続する外周面が形成されてい
る。
【0021】一方、ホルダー41,42は材質および寸
法形状が同一のものであり、温度変化による線膨張係数
が試験片40と異なる材質のブロックから形成されてい
る。ホルダー41,42は略直方体の形状をしており、
各4本のボルト穴以外に窓等はない。ホルダー41,4
2の前方および後方の側面の中央部分には、それぞれ歪
みゲージ8が張りつけられている。歪みゲージ8は全部
で4枚あるが、必要に応じて試験片40にも装着するこ
とができる。
【0022】ホルダー41,42の上下両端付近の内側
面には、軸長方向と垂直な突条と溝とが交互に形成され
ている。同内側面に当接する試験片40の上下両端付近
の前後両側の平行面に、上記突条および上記溝からなる
ホルダー内側面を圧入することにより、試験片40とホ
ルダー41,42とは、上記突条と上記溝とが互いに嵌
合して、上下両端部で互いに軸長方向に固定される。ホ
ルダー41,42は、上下両端付近を貫通するボルト・
ナット43によって締めつけられて、前後両側から強固
に試験片40の両端部を挟持している。ボルト・ナット
43は、緩みが生じないように、それぞれ皿バネをホル
ダー41,42の外側面との間に挟持している。
【0023】なお、試験片40、ホルダー41,42お
よびボルト・ナット43からなる試験ユニット4につい
ては、特開平7−20031号公報に類似のものが詳細
に開示されているので、より詳細に知りたい場合には同
公報を参照されたい。 (2)基台ユニット 基台ユニット900は、同じく図1に示すように、フレ
ーム90によって床から支持されている上面が水平な基
台(実験テーブル)9を有し、基台9上面の中央部に試
験ユニット4を支持台91を介して固定支持している。
支持台91は、万力状の保持具に試験ユニット4を固定
しており、試験ユニット4は両側面で、保持具のセラミ
ック板の爪92(図4参照)により挟持されている。試
験ユニット4に接触している爪の熱伝導率が低いので、
試験ユニット4と支持台91との間での熱伝導による温
度の擾乱は最小限に抑えられている。基台9上には、支
柱94およびクランプ93を介してエアダクト1,2
(1は図略)が軸方向水平に固定支持されており、それ
ぞれ試験ユニット4に向かって開口している。
【0024】すなわち、図3に示すように、基台9の中
央に直立している試験ユニット4に対し、エアダクト1
は左右方向から圧縮空気Aを吹きつける位置に配設さ
れ、エアダクト2は前後方向から圧縮空気Aを吹きつけ
る位置に配設されている。エアダクト1は、図4に示す
ように、上下に2本ずつが重ねて配設されているので、
全部で4本ある。エアダクト1の後端には、圧縮空気源
(図示せず)からのエアホース3がそれぞれ接続されて
おり、エアホース3によりエアダクト1に圧縮空気Aが
供給される。エアダクト1内部の圧縮空気Aの流路に
は、電熱線をコイル状に巻いた電気ヒーター(空気ヒー
ター)11が装備されていて、圧縮空気Aを加熱するこ
とができる。エアダクト1は、試験片40に向かって開
口する開口端(ノズル)10を有し、試験ユニット4の
側方から試験片40に圧縮空気Aを直接吹きつけること
ができる。
【0025】エアダクト2は、図5に示すように、2本
が試験ユニット4を挟んで対向するように配設されてい
る。エアダクト1と同様に、エアダクト2の後端には圧
縮空気源(図示せず)からのエアホース3がそれぞれ接
続されており、エアホース3によりエアダクト2に圧縮
空気Aが供給される。エアダクト2内部の圧縮空気Aの
流路には、電熱線をコイル状に巻いた電気ヒーター(空
気ヒーター)21が装備されていて、圧縮空気Aを加熱
することができる。エアダクト2は、試験ユニット4に
向かって開口する扇状に上下に拡がっている開口端(ノ
ズル)20を有し、試験ユニット4の前方および後方か
らそれぞれホルダー41,42だけに圧縮空気Aを直接
吹きつけることができる。 (3)圧縮空気供給手段 圧縮空気供給手段300は、再び図1に示すように、圧
縮空気Aを供給する圧縮空気源30と、各エアダクト
1,2にそれぞれ連結されているエアホース3と、両者
を結ぶ配管の途中に挿置されているバルブ31、圧力調
整弁32および圧力計33とからなる。圧縮空気Aは、
図6に示すように、圧縮空気源30から供給されたの
ち、圧力調整弁32で適正な圧力に調整されたうえで分
岐し、各エアホース3を通じて各エアダクト1,2に分
配される。
【0026】なお、圧縮空気源30としては、施設内に
敷設されているコンプレッサーからの配管を使用した。
圧縮空気源30の供給圧力の多少の脈動は、あまり問題
にならない。 (4)計測制御系 本実施例の熱疲労試験装置には、温度センサーおよび歪
みセンサーと、パソコン100と、温度制御ユニット5
00および電気ヒーター11,21とで、計測制御系1
000(図1参照)が構成されている。 (5)温度センサー系 温度センサーとしては、試験ユニット4の5か所と各エ
アダクト1,2の開口端10,20付近の6か所との合
計11か所に、CA(クロメル・アルメル)熱電対が装
着されている。試験ユニット4においては、図7に示す
ように、試験片40の中央の外周面に1個、試験片40
の上下両端部から軸心に沿って穿たれた孔内に各1個、
各ホルダー41,42の一側面にそれぞれ1個の熱電対
(1)〜(5)が装着されている。一方、各エアダクト
1,2の開口端10,20付近にも、図8に示すよう
に、熱電対(6)〜(11)が内蔵されていて、吹き出
し口である開口端10,20内での空気温度が計測され
る。
【0027】ここで、図8に明示されているように、4
本のエアダクト1の開口端10は、直接試験片40に対
して開口し、熱風および冷風を試験片40の上下両端の
肉厚部に吹きかけるようになっている。すなわち、試験
片40の中間部の被試験部分に直接吹きかけられないよ
うになっており、同中間部は、主として両肉厚部からの
熱伝導により加熱・冷却される。これは、同中間部の直
径が比較的細く、熱容量が小さいので、もし直接同中間
部に吹きつけると、エアダクト1からの熱風・冷風のわ
ずかな温度変化に対しても鋭敏に反応して不都合だから
である。通常の金属材料では熱伝導率が十分に高いの
で、こうすることによって同中間部(被試験部)の温度
分布はより均一になり、より精度の高い熱疲労試験を行
うことが可能になる。
【0028】ただし、エアダクト1,2からの吹き出し
流の温度が十分に精密にかつ安定に制御されていること
が確認され、かつ、試験片40の中間部と肉厚部との熱
容量差が小さい場合には、直接吹きつけるようにエアダ
クト1を配設してもよい。あるいは、エアダクト2の形
状のものをエアダクト1の代わりに配してもよい。一
方、2本のエアダクト2の開口端20は、ホルダー4
1,42に対して開口しており、熱風および冷風をホル
ダー41,42に直接吹きかけるように配設されてい
る。それゆえ、エアダクト2からの熱風および冷風によ
り、試験片40が直接に加熱・冷却されることは少な
い。
【0029】したがって、エアダクト1とエアダクト2
との吹き出し流の温度に差をつけることにより、試験片
40の温度とホルダー41,42の温度とを独立に制御
することが可能である。それゆえ、試験片40の温度と
試験片40にかかる引張歪み(または圧縮歪み)とを、
別個に制御することも可能になっている。さて、前述の
位置に装着された11個の熱電対(1)〜(11)の各
出力電圧は、図1および図9に示すように、計測線(補
償導線)を介して、パーソナル・コンピュータ100に
内蔵されている温度測定ボード70に取り込まれる。温
度測定ボード70には、上記各出力電圧をデジタル信号
に変換するA/Dコンバーターと、上記各熱電対の基準
温度を補償する室温補償回路と、熱電対出力の非線形性
を補償する非線形性補償回路とが装備されている。上記
構成の温度測定ボード70によって正確な温度測定がで
き、各熱電対装着点での測定温度信号S1がデジタル信
号として出力される。 (6)歪みセンサー系 歪みセンサーとしては、ホルダー41,42側面に装着
されている四つの歪みゲージ8(図2Aおよび図2B参
照)が使用されている。各歪みゲージ8の出力電圧は、
図1および図9に示すように、計測線(電線)を介し
て、パーソナル・コンピュータ100に内蔵されている
歪み測定ボード80に取り込まれる。
【0030】歪み測定ボード80には、各歪みゲージ8
を切り替えるリレー回路と、同歪みゲージ用のブリッジ
回路と、同ブリッジ回路用の電源回路と、同ブリッジ回
路出力をデジタル信号に変換するA/Dコンバーターと
が装備されている。ただし、同ブリッジ回路が歪みゲー
ジ8の個数だけ準備できる場合には、上記リレー回路は
不要である。上記構成の歪み測定ボード80により、デ
ジタル信号として各歪みゲージ8装着点での測定歪み信
号が出力される。
【0031】なお、本実施例の熱疲労試験では、試験片
40に生じる歪みは試験片40の熱膨張特性と応力歪み
特性とに依存する。それゆえ、これらの特性が同一の材
料を試験する場合には、試験片40の歪みを測定するた
めに全ての試験片40の中間部(被試験部)には歪みゲ
ージを装着する必要はない。ただし、試験の目的や条件
の必要に応じて、歪みゲージおよび熱電対などのセンサ
ーを必要な数だけ必要な個所に装着してよい。
【0032】また、上記のように測定された温度や歪み
のデータを用いて、予め測定しておいた歪みゲージ8の
温度による見かけ歪みとゲージ率の温度による変化や、
ホルダー41,42の材料の弾性率の温度依存性などの
補正を行えば、試験片40に生じる応力と歪みとを正確
に算定することができる。この計算は、試験中にオンラ
イン・リアルタイムで行うこともできるが、いったん計
測データを記憶媒体に記録した上で試験後に別のパソコ
ン等で行ってもよい。 (7)データ収集および表示 前述の各測定温度信号S1および各測定歪み信号とは、
1秒毎にマザーボード678に入力されてRAMに記憶
される。同時に、主要な信号はパソコン100に付随す
るディスプレイ(図示せず)に表示され、試験員はディ
スプレイを通して各個所の温度および歪みやその履歴を
モニターすることができる。 (8)温度制御系 本実施例の熱疲労試験装置では、図9に示すように、前
述の各測定温度信号S1に基づき、制御手段としてのマ
ザーボード678に搭載されたCPUにより処理され
て、適正な4系統のデジタル制御信号S2が発生する。
各デジタル制御信号S2は、D/Aコンバーターを搭載
した温度制御ボード60によりアナログ化され、それぞ
れアナログ電圧信号である制御信号S2’としてパソコ
ン100から出力される。
【0033】各制御信号S2’は、温度制御ユニット5
00に入力され、温度制御ユニット500に装備されて
いる4個の電圧制御ユニット5をそれぞれ制御する。各
電圧制御ユニット5には、電源50からの電力により駆
動されるパワートランジスターが内蔵されている。各電
圧制御ユニット5は、各制御信号S2’に基づいてエア
ダクト1,2に印加する印加電圧Voutを、エアダク
ト1,2に導通している電線に出力する。
【0034】全部で2本のエアダクト2は、それぞれ定
格出力1kWの電気ヒーター21を内蔵しており、それ
ぞれ1個の電圧制御ユニット5から電力を供給されてい
る。一方、全部で4本のエアダクト1は、それぞれ定格
出力0.5kWの電気ヒーター11を内蔵しており、上
下一組で2本ずつが直列にまとめられ、この2本一組に
対してそれぞれ1個の電圧制御ユニット5が電力を供給
している。(各電気ヒーター11,21については、事
前に出力チェックを行い、同等の出力特性のものを組み
合わせて使用している。) したがって、各エアダクト2の電気ヒーター21と各組
のエアダクト1の電気ヒーター11とは、各電圧制御ユ
ニット5により互いに独立して制御することができる構
成になっている。それゆえ、エアダクト2が吹きつける
ホルダー41,42と、エアダクト1が吹きつける試験
片40とは、互いに独立に温度制御をすることができ
る。 2.熱疲労試験方法(熱疲労試験装置の作用) (1)概要 本発明の一実施例としての熱疲労試験方法は、以上のよ
うに構成されている熱疲労試験装置(図1参照)を使用
して次のように実施される。
【0035】本試験方法の要諦は、試験片40および熱
膨張係数の異なるホルダー41,42の複数カ所に対し
て、四方のエアダクト1,2の複数の吹き出し口10,
20から冷風と熱風とを交互に吹き掛け、試験片40と
ホルダー41,42との熱膨張率の差によって生じる歪
みを繰り返し試験片40にかけることである。ここで、
各吹き出し口10,20からの熱風の温度が個別に制御
されることが特徴となっている。
【0036】すなわち、試験片40の3か所の温度とホ
ルダー41,42の2か所の温度と、さらに各吹き出し
口10,20付近の吹き出し流温度とが計測され、その
計測結果に基づいてエアダクト1,2の温度制御が行わ
れる。上記熱風は、電気ヒーター11,21により加熱
されて昇温する空気流である。各エアダクト1,2へは
同一の圧縮空気源30からの分岐で圧縮空気Aが供給さ
れているので、各エアダクト1の流速・流量は等しく、
同様に各エアダクト2の流速・流量も等しい。したがっ
て、圧縮空気Aの流量を一定にしておいて、電気ヒータ
ー11,21の出力を制御(すなわち印加電圧を制御)
するだけで、加熱と冷却の両方を迅速に行うことが可能
である。 (2)PID制御 電気ヒーター11,21の出力制御は、マザーボード6
78のCPUに内蔵のプログラムで記述されている以下
の制御方法にしたがって行われる。
【0037】すなわち、電気ヒーター11,21への印
加電圧Vout(制御信号S2により決定)は、空気
(吹き出し流)温度の制御偏差e(t)に基づき次の数
式に従ってPID制御される。 Vout = {K・Th (t)}β Th (t) = 100/PB・{e(t)+1/TI
・Sedt+TD ・de(t)/dt} ただし、 Vout :ヒーター制御出力電圧 t:時間 β:定数 Th (t):ヒーター制御量(温度) PB:比例帯
(%) TI :積分時間 TD :微分時間 S:積分記号(インテグラル) e(t):空気流の温度の制御偏差、e(t)=SV−
PT(t) SV:空気流の温度の目標値 PV(t):空気流の温度の実測値ここで、上記数式の
うち後者は通常のPIDフィードバック制御の式であ
り、同数式で求められる電気ヒーター11,21の制御
量(目標温度)Th(t)に基づき、上記数式のうち前
者にしたがって印加電圧Vout(すなわちS2)が設
定される。なお、上記後者の第3項(微分項)は、ノイ
ズ成分を拾いにくいように不完全微分項を使用してもよ
い。
【0038】予備実験によれば、エアダクト1,2の吹
き出し流温度Th(t)と印加電圧Voutとの間に
は、図10に示すように非線形な関係がある。そこで、
上記数式のうち前者はこの非線形性を考慮し、指数関数
で近似している。したがって、逆にTh(t)を目標温
度として同数式により印加電圧Voutを決定すること
ができる。ちなみに、本実施例ではβ=0.87として
いる。
【0039】熱疲労試験の際、加熱開始時および冷却開
始時には印加電圧Voutを一定の適正値に強制的に所
定時間保持するように、マザーボード678はプログラ
ムされている。本実施例では、加熱開始時に印加電圧V
out=1.5V,冷却開始時には印加電圧Vout=
0Vに設定している。こうすることにより、加熱開始時
および冷却開始時の温度制御の遅れを短縮し、より迅速
に熱疲労試験を行うことができる。また、PB,TI ,
TD などの制御パラメーターを調整して、加熱・冷却の
速度を意図的に遅くすることも可能である。 (3)サイクル制御 熱疲労試験では、加熱・冷却のサイクルが所定の回数繰
り返される。その際、空気流の温度(エアダクト1,2
の吹き出し流温度)の目標値SVは、以下のようにして
決定される。すなわち、以下の数式に示すように、1サ
イクル目(初回)には予め予備試験で求めておいた初期
値SV0 から始められるが、2サイクル目以降では前回
のサイクルにおける試験片40中間部の温度の目標値か
らの偏差Etp(目標値−実測値)を考慮して修正が加え
られる。なお、本試験では、試験片40の中間部には温
度センサーを取り付けず、予め予備試験で測定しておい
た試験片40中間部の温度と試験片40上端部の孔内の
温度との関係に基づいて、試験片40上端部の孔内温度
から上記偏差Etpを算出してもよい。
【0040】SV(1) = SV0 SV(i) = SV(i−1)+Etp(i−1) ただし、 SV(i):iサイクル目の空気流の温度の目標値 SV0:初期の同目標値 Etp(i−1):(i−1)サイクル目の被試験体の温
度偏差、 Etp(i−1)=SVtp−PVtp(i−1) SVtp:被試験体温度の目標値 PVtp(i−1):被試験体温度の実測値 上記数式にしたがって空気流の温度の目標値SVを毎サ
イクルで修正することにより、室温の変動などの外乱の
影響をほとんど受けることなく、試験片40の温度の上
限値および下限値を所定の値に正確に制御することがで
きる。そのようすを定性的に図11に示す。
【0041】本熱疲労試験方法は、温度変化によって生
じる熱膨張を拘束することにより熱歪み(または熱応
力)を発生させる仕組みである。したがって、前述の二
組の数式で表される制御方法により、試験ユニット4
(特に試験片40)の温度を所定の範囲内で良好な再現
性をもって繰り返し変化させることができるので、試験
片40およびホルダー41,42に所定の熱歪みを精度
良く発生させ、極めて高精度な熱疲労試験を実施するこ
とができる。 (4)実施例の試験結果1 以上の試験装置および試験方法において、表1に示すよ
うに目標値等を設定して熱疲労試験を行った。この際の
圧縮空気A流量は、320〔l/min〕に保たれてい
た。この際の計測制御系のサンプリング周期および制御
周期は、1秒である。
【0042】
【表1】 その結果、複数回数後の1サイクル(300秒間)で
は、図12に示すように、被試験体(中間部)温度は正
確に所定の目標温度(200°C)に収束している。一
方、各空気流の温度(エアダクト1,2吹き出し流温
度)には加熱初期においてオーバーシュートが見られ、
試験ユニット4を短時間で加熱するように作用している
ことがわかる。
【0043】図12から、加熱時・冷却時ともに試験片
40の温度は滑らかに一定値に漸近しており、5分間
(300秒間)に1サイクルの割合の短時間で熱疲労試
験が可能であることが確認された。また、空気流の温度
もほぼ一定に制御されており、各エアダクト1,2間の
ばらつきも十分に小さい。したがって、試験ユニット4
全体が均一に加熱・冷却されており、本実施例の試験装
置と試験方法をもってすれば高精度の熱疲労試験が可能
であることも確認された。 (5)実施例の試験結果2 試験条件を若干変え、圧縮空気Aの圧力は4〔kg/c
2 〕で一定、吹き出し流温度は約300°Cまたは圧
縮空気Aの温度で一定とし、フィードバック制御を加え
ずに試験して、本実施例のハードウェア自身の加熱・冷
却に要する時間を調査した。
【0044】その結果、図13に示すグラフが得られ
た。同図から、試験片40における温度分布は、加熱時
・冷却時ともに試験片40の中間部(=被試験部、図7
参照)表面の温度(1)は、加熱・冷却を開始してから
100秒程度でほぼ立ち上がりを終え、150秒程度か
らは定常状態に入っている。すなわち同温度(1)は、
試験片40の上下端部の孔内温度(4),(5)に先行
して上昇・下降しているが、120〜150秒程度から
はほぼ一定になっている。
【0045】このことから、エアダクト1,2からの吹
き出し流温度(6)〜(11)を一定に保持することに
より、試験片40およびホルダー41,42の温度を一
定に保持できることが分かった。また、室温から250
°Cまで程度の温度範囲では、加熱・冷却ともに120
秒程度で試験ユニット4各部の温度が安定し、比較的速
やかな温度制御が可能であることが確認された。 (6)実施例の効果 以上の結果から、本実施例の熱疲労試験装置および熱疲
労試験方法によれば、小型・簡素で安価な装置構成であ
りながら、支障なく熱疲労試験を実施できることがわか
った。さらに、半サイクル120秒程度の短時間で熱疲
労試験サイクルを実施することができ、熱疲労試験に要
する時間の大幅短縮が図れる見通しか得られた。 3.各種変形態様 (1)実施例の変形態様1 本実施例の制御方法を一部変更し、試験片40の温度お
よびホルダー41,42の温度を目標温度SVにして、
前述の二組の数式で記述されていた制御則を再構築する
こともできる。
【0046】この制御則によって温度制御を行えば、直
接試験片40の中間部の温度(1)を目標温度に入れて
制御が行われるので、よりいっそう迅速で精密な温度制
御が可能になるという効果がある。 (2)実施例の変形態様2 本実施例の装置を用い、試験片40の温度と試験片40
にかかる歪みとを独立に制御する熱疲労試験を実施する
ことも可能である。
【0047】すなわち、先ず、直接試験片40の中間部
の温度(1)を目標温度SVにし、エアダクト2の吹き
出し流温度(6),(7)を調整して、試験片40の中
間部温度(1)を所望の値に制御する。次に、試験片4
0の温度と歪みゲージの出力値とをもとに割り出した試
験片40に発生する歪みが所望の値になるように、エア
ダクト1の吹き出し流温度(8)〜(11)を制御す
る。ここで、理解を容易にするために順に説明したが、
実際にはエアダクト1,2を同時に制御することが、速
やかな応答(温度制御)を得る上で望ましい。
【0048】以上のように制御すれば、前述の効果に加
えて、本実施例の熱疲労試験装置で試験片40の温度と
歪みとを独立に制御して、所望の条件の熱疲労試験を実
施することも可能であるという効果がある。 (3)実施例の変形態様3 前述の実施例では、電気ヒーター11,21としてコイ
ル状に巻いた電熱線をエアダクト1,2の流路内に挿置
していたが、その他のヒーターを採用しても構わない。
例えば、電気ヒーターとしてセラミックヒーターを使用
することも可能である。本質的には、制御可能でさえあ
れば電気ヒーターに限定されないのであるが、価格の問
題や制御の容易さと応答の速さから、本実施例では電熱
線を採用している。 (4)実施例の変形態様4 前述の実施例では、圧縮空気Aの流量を一定とし温度制
御は電気ヒーター11,21による加熱量の調整で行っ
ていたが、電気ヒーター11,21の出力を一定にして
おいて、圧縮空気Aの流量の調整により吹き出し流の温
度制御をしてもよい。
【0049】この場合、各エアダクト1,2に通じるエ
アホース3に電動絞り弁を設けて開度調整すれば、流量
の多いエアダクトからは比較的低い温度の熱風が吹き出
し、逆に流量の少ないエアダクトからは比較的高い温度
の熱風が吹き出す。絞り弁は、各エアダクトにそれぞれ
一つずつ設ける必要は必ずしもなく、例えばエアダクト
1の系統に一つ、エアダクト2の系統に一つとしてもよ
い。なお、本変形態様では、電気ヒーター11,21は
オン・オフ制御ができればよい。
【0050】本変形態様によっても、前述の実施例と類
似の熱疲労試験を実施することができる。あるいはま
た、エアダクト1,2からの吹き出し流の流量と電気ヒ
ーター11,21の熱出力との両者を制御すれば、より
高精度な熱疲労試験を実施することができるようにな
る。 (5)実施例の変形態様5 前述の実施例では、温度センサーとして熱電対を採用し
ていたが、その他の温度センサーを使用してもよい。例
えば、温度センサーとして熱線カメラ(赤外画像センサ
ー)を使用(あるいは併用)することもできる。
【0051】熱線カメラによれば、試験ユニット4の各
部の表面温度をリアルタイムで観測することができるの
で、多点観測が可能になる。それゆえ、複数のエアダク
トの吹き出し流温度を独立に制御することにより、所望
の温度分布や温度勾配を試験片40に与えることが容易
になるという効果がある。また、モニター画面に温度分
布の画像を映し出すことにより、試験員に温度分布が直
観的に理解されるという効果もある。さらに、個々の試
験片40に温度センサーを取り付ける作業が不要にな
り、人件費の節減にもなるという効果もある。 (6)実施例の変形態様6 前述の実施例では、PID制御を基本制御則としていた
が、その他の制御則を導入することも可能である。例え
ば、温度制御則に、ファジー制御を採用してもよい。
【0052】各測定温度信号S1を入力とし、電気ヒー
ター11,21の印加電圧Voutを制御する制御信号
S2を出力として、試験員の経験等に基づいてメンバー
シップ関数を適正に決めてやれば、ファジー制御系を構
成することができる。何度か試運転してメンバーシップ
関数を調整すれば、所望の特性をもつ制御系を作り上げ
ることができる。ファジー制御によれば、ゲインを高め
た線型フィードバック制御ループのような発散(不安定
化)の心配がなく、より応答性に優れた温度制御が可能
になる。 (7)実施例の変形態様7 また、LSI、コンデンサなどを含む半導体素子、およ
びこれらを配した電子基板に対して、上記の試験装置お
よび方法を用いて熱疲労試験(温度サイクル試験)を行
えることを確認した。
【0053】以上に開示された実施例は、発明を説明す
るためのものであり、制限するためものものではないと
考えられたい。本発明の意図するところは、前述の説明
よりもむしろ添付のクレーム(特許請求の範囲)に示さ
れており、本発明の実施例と同等の置き換えなどは本発
明の権利範囲に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施例としての熱疲労試験装置の全体構成
を示す模式図
【図2】 本実施例の試験ユニットの形状を示す組図 (a)正面図 (b)側面図
【図3】 本実施例の試験ユニットおよびガスダクトの
配置を示す平面図
【図4】 本実施例の試験ユニットおよびガスダクトの
配置を示す正面図
【図5】 本実施例の試験ユニットおよびガスダクトの
配置を示す側面図
【図6】 本実施例の圧縮ガス供給手段の構成を示す系
統図
【図7】 本実施例の試験ユニットにおける熱電対の装
着部位を示す図
【図8】 本実施例のガスダクトにおける熱電対の挿着
部位を示す斜視図
【図9】 本実施例の計測制御系の構成を示す系統図
【図10】ヒーター印加電圧と吹き出し流温度との関係
を示すグラフ
【図11】吹き出し流温度の目標値と印加電圧との時間
関係を示すグラフ
【図12】本実施例の試験結果1の各部温度変化を示す
グラフ
【図13】本実施例の試験結果2の各部温度変化を示す
グラフ
【符号の説明】
1,2:エアダクト(ガスダクトとして) 10,20:開口端(吹き出し口) 11,21:電気ヒーター(電気的加熱手段として) 300:圧縮空気供給手段(圧縮ガス供給手段として) 3:エアホース 30:圧縮空気源 31:バルブ 32:圧力調整弁 33:圧力計 4:試験ユニット(被試験体として) 40:試験片 41,42:ホルダー 43:ボル
ト・ナット 8:歪みゲージ 500:温度制御ユニット 50:電源 5:電圧
制御ユニット 100:パーソナル・コンピュータ(ディスプレイ付
き) 678:マザーボード(制御手段) 60:温度制御
ボード 70:温度測定ボード(温度計測手段) 80:歪み
計測ボード 900:基台ユニット 9:基台(実験テーブル) 91:支持台(フレー
ム) 92:爪(セラミック板製) 93:クランプ 9
4:支柱 (1)〜(11):熱電対の装着部位 A:圧縮空気
(圧縮ガスとして) S1:測定温度信号(デジタル) S2:制御信号
(デジタル) S2’:制御信号(アナログ) Vout:印加電圧

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加熱手段を内蔵し被試験体に対して開口す
    る少なくとも一つのガスダクトと、 該加熱手段の出力を制御する出力制御ユニットと、 該ガスダクトに圧縮ガスを供給する圧縮ガス供給手段
    と、 該ガスダクトに供給される圧縮ガスの流路を開閉するバ
    ルブと、を有する熱疲労試験装置。
  2. 【請求項2】前記ガスダクトは複数個あり、前記被試験
    体の複数箇所に対して複数方向から開口している、請求
    項1記載の熱疲労試験装置。
  3. 【請求項3】前記加熱手段は、その出力が電気的に制御
    できる電気的加熱手段である、請求項1記載の熱疲労試
    験装置。
  4. 【請求項4】前記被試験体と前記ガスダクト出口付近と
    のうち少なくとも一方に取り付けられている温度センサ
    と、 該温度センサからの信号に基づいて当該箇所の温度を計
    測し測定温度信号を発生する温度計測手段と、 該測定温度信号に基づいて前記加熱手段の出力と前記圧
    縮ガスの流量とのうち少なくとも一方を適正な水準に制
    御する制御信号を生成する制御手段と、 該制御信号に従い該加熱手段の出力を調節する出力制御
    ユニットと該制御信号に従い前記バルブを駆動して圧縮
    ガスの流量を調整するバルブ駆動手段とのうち少なくと
    も一方と、をさらに有する、請求項1記載の熱疲労試験
    装置。
  5. 【請求項5】前記被試験体は、試験片とホルダとからな
    り、 該ホルダは、該試験片とは膨張率の異なる材質からでき
    ており、 該試験片は、該ホルダに取り付けられており、 該試験片の熱膨張が該ホルダにより拘束される、請求項
    1記載の熱疲労試験装置。
  6. 【請求項6】前記試験片および前記ホルダのうち少なく
    とも一方には、歪みゲージが少なくとも一つ装着されて
    いる、請求項5記載の熱疲労試験装置。
  7. 【請求項7】前記ガスダクトのうち幾つかは前記試験片
    に直接吹きつけ、 前記ガスダクトのうち他の幾つかは前記ホルダーに直接
    吹きつける、請求項5記載の熱疲労試験装置。
  8. 【請求項8】前記バルブは、その開度を複数の段階もし
    くは連続的に任意に設定可能である、請求項1記載の熱
    疲労試験装置。
  9. 【請求項9】前記制御手段を規定のプログラムに従って
    自動的に制御するとともに、少なくとも前記温度計測手
    段からの温度データを含む計測データを自動的に記録す
    る自動計測制御手段をさらに有する、請求項4記載の熱
    疲労試験装置。
  10. 【請求項10】前記圧縮ガスのガスは、空気、窒素また
    は不活性ガスである、請求項1記載の熱疲労試験装置
  11. 【請求項11】被試験体の一箇所以上に対して、一箇所
    以上の吹き出し口から冷風と熱風とのガス流を、該ガス
    流の温度を個別に制御しながら交互に吹き付けることに
    より、該被試験体に温度サイクルを与える過程からなる
    熱疲労試験方法。
  12. 【請求項12】前記熱風は、加熱手段により加熱されて
    昇温または一定温度に保持される前記ガス流であり、 前記冷風は、放冷と加熱手段による補助的な加熱とによ
    り降温または一定温度に保持される前記ガス流である、
    請求項11記載の熱疲労試験方法。
  13. 【請求項13】前記被試験体の所定部分の温度と前記吹
    き出し口付近の前記ガス流の温度とのうち少なくとも一
    つが計測され、 該計測の結果に基づいて該ガス流の温度制御が行われ
    る、請求項11記載の熱疲労試験方法。
  14. 【請求項14】前記加熱手段は、出力が電気的に制御で
    きる電気的加熱手段であり、 前記温度制御は、該電気的加熱手段の出力を制御するP
    ID制御であり、 前記PID制御は、次の数式にしたがって行われる、ク
    レーム13の方法。 Vout = {K・Th (t)}β Th (t) = 100/PB・{e(t)+1/TI
    ・Sedt+TD ・de(t)/dt} ただし、 Vout :ヒーター制御信号(電圧または電流) t:時間 β:定数 Th (t):ヒーター制御量(温度) PB:比例帯
    (%) TI :積分時間 TD :微分時間 S:積分記号(インテグラル) e(t):ガス流の温度の制御偏差、e(t)=SV−
    PT(t) SV:ガス流の温度の目標値 PV(t):ガス流の温度の実測値
  15. 【請求項15】前記ガス流は、次の数式に従って交互に
    吹きつける前記冷風と前記熱風とである、請求項13記
    載の熱疲労試験方法。 SV(1) = SV0 SV(i) = SV(i−1)+Etp(i−1) ただし、 SV(i):iサイクル目のガス流の温度の目標値 SV0:初期の同目標値 Etp(i−1):(i−1)サイクル目の被試験体の温
    度偏差、 Etp(i−1)=SVtp−PVtp(i−1) SVtp:被試験体温度の目標値 PVtp(i−1):被試験体温度の実測値
  16. 【請求項16】前記ガス流のガスは、空気、窒素または
    不活性ガスである、請求項11記載の熱疲労試験方法。
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