JPH09176010A - Hsp60ファミリーに属するタンパク質のフラボノイド含有合成抑制剤 - Google Patents

Hsp60ファミリーに属するタンパク質のフラボノイド含有合成抑制剤

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JPH09176010A
JPH09176010A JP35201695A JP35201695A JPH09176010A JP H09176010 A JPH09176010 A JP H09176010A JP 35201695 A JP35201695 A JP 35201695A JP 35201695 A JP35201695 A JP 35201695A JP H09176010 A JPH09176010 A JP H09176010A
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flavonoid
protein
hsp60
molecular weight
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JP35201695A
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Masayoshi Morino
眞嘉 森野
Toshimi Shiragami
俊美 白神
Yoichi Shobu
洋一 清輔
Chikao Yoshikumi
親雄 吉汲
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Kureha Corp
Original Assignee
Kureha Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分子量57キロダルトンから68キロダルト
ンまでの間の熱ショックタンパク質(HSP60ファミ
リー)の合成抑制剤を提供する。 【解決手段】 フラボノイドを有効成分として含有す
る。 【効果】 HSP60ファミリーに属するタンパク質が
発症に関与する自己免疫疾患(例えば、I型糖尿病や慢
性関節リウマチなど)の患者の生理学的状態を有効に改
善させ、前記病気を効果的に治療することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フラボノイドを有
効成分として含有する、分子量が57キロダルトン(k
D)から68kDまでの間の熱ショックタンパク質群
(以下、HSP60ファミリーと称する)に属するタン
パク質の合成抑制剤に関する。本発明によるHSP60
ファミリーに属するタンパク質の合成抑制剤は、特に、
HSP60ファミリーに属するタンパク質の組織内合成
を抑制することにより、HSP60ファミリーに属する
タンパク質が発症に関与するものと考えられている自己
免疫疾患、例えばI型糖尿病、慢性関節リウマチなどの
病気の患者の生理学的状態を有効に改善させ、I型糖尿
病や慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患を効果的に治
療することができる。
【0002】
【従来の技術】近年、自己免疫疾患が大きな問題となっ
ている。自己免疫疾患とは、本来ならば自己の身体を構
成する成分に対しては攻撃しないはずの免疫系が、自己
の組織と反応して破壊してしまう病気であり、例えば、
I型糖尿病や慢性関節リウマチなどが含まれる。例え
ば、近年わが国では、経済・社会・文化の発達と、生活
水準の向上や生活様式の変化に伴って、糖尿病患者は著
しく増加し、病態も重症化、複雑化してきた。糖尿病学
の進歩によって、患者の予後は改善したとはいえ、特有
な網膜症、腎症及び神経障害が多発し、加えて動脈硬化
も促進され、健康と社会活動に多大な支障をきたしてい
る。糖尿病のうち、I型糖尿病(インスリン依存性糖尿
病;insulin-dependent diabetes mellitus ;IDD
M)の発生率は、多くの国でこの数十年間に数倍に増加
し、現在生きているヒトの1%は70才になるまでにI
型糖尿病に罹病するものと予想されている。
【0003】I型糖尿病は、インスリン産生細胞である
膵臓ランゲルハンス島のβ細胞だけが自己免疫的に破壊
されるためにインスリン欠乏状態となる疾患で、臓器特
異的な自己免疫疾患である(Atkinson, M. A. et al.:
"Sci. Am.", 263 : 42-49, 1990; Todd JA.: "Immunol.
Today", 11: 122-129, 1990)。I型糖尿病をおこす自
己免疫過程は、非常に厳密に膵臓だけに限られており、
しばしば大人になる前に発症してくることが多い。I型
糖尿病が臨床的に発症するときには、膵島の炎症(膵島
炎)があり、インスリンを産生しているβ細胞の大半が
特異的に失われる(Atkinson, M. A., et al.: "Sci. A
m.", 263 : 62-67, 1990)。糖尿病の臨床症状は、β細
胞の大部分(おそらく90%以上)が再生できない程度
にまで破壊された後に初めて現れ、患者の生存はインス
リンの外的供給に依存することになる。即ち、臨床診断
によって発見することができる時期には、この自己免疫
反応が既に不可逆的な損傷を与えており、しかもその多
くは顕著な自覚症状を示さない等、I型糖尿病は多くの
問題を含んでいる。
【0004】また、慢性関節リウマチは、関節滑膜を病
変の主座とする慢性炎症性疾患である。病変部位はとき
として関節滑膜のみにとどまらず、全身に及ぶこともま
れではない。関節滑膜に初発した炎症は、やがて滑膜増
殖、更に軟骨及び骨の破壊を起こし、関節組織の破壊が
引き起こされる。その結果、患者は社会的にも家庭的に
も著しく制限を受けるのみならず、経済的負担も無視で
きないものとなる。慢性関節リウマチの患者数は人口の
0.1〜0.3%とされる。これは慢性関節リウマチの
確診例であって、疑診例などや慢性関節リウマチの周辺
疾患を含めると患者数はその10倍前後にも増えるもの
と思われる。
【0005】一方、熱ショックタンパク質(heat shock
protein;HSP、ストレスタンパク質ともいう)は、
細胞を何らかのストレス、例えば熱、重金属、薬剤、ア
ミノ酸類似体、又は低酸素(低濃度酸素)などで刺激す
ることにより、細胞に発現される一群のタンパク質であ
る。熱ショックタンパク質は、自然界に普遍的に存在し
ており、細菌、酵母、植物、昆虫、及びヒトを含む高等
動物により産生される。
【0006】HSPは、その種類は多種多様であるが、
分子量の大きさからHSP90ファミリー(例えば、9
0kD又は110kDのHSPなど)、HSP70ファ
ミリー(例えば、70〜73kDのHSPなど)、HS
P60ファミリー(例えば、57〜68kDのHSPな
ど)、低分子HSPファミリー(例えば、20kD、2
5〜28kD、又は47kDのHSPなど)の4ファミ
リーに大別することができる。なお、本明細書において
は、特定分子量を有するHSPを、HSPとその直後に
記載する数字とによって示すものとし、例えば、分子量
60kDのHSPを『HSP60』と称するものとす
る。以上のように、HSPには多くの種類が存在する
が、これらは分子量だけでなく、構造、機能、又は性質
などもそれぞれ異なるものである。ストレスへの応答に
加えて、これらのタンパク質の中には構成的に合成され
るものがあり、正常な環境の下で、タンパク質のフォー
ルディング、アンフォールディング、タンパク質サブユ
ニットの会合、タンパク質の膜輸送のような、必須の生
理的な役割を演じていることが示されている。熱ショッ
クタンパク質としてのこれらの機能は、分子シャペロン
と称される。
【0007】自己免疫疾患の病因に関して注目されてい
ることのひとつに、分子相同性(molecular mimicry)が
ある。すなわち、自己抗原が微生物などの外来抗原と共
通抗原性をもっている場合、微生物感染によって生成さ
れる抗体や感作リンパ球が交叉反応によって自己の組織
を攻撃してしまう結果、自己免疫疾患が発症するものと
考えられている(Atkinson, M. A. et al.: "Sci. A
m.", 263 : 42-49, 1990;Shinha, A. A. et al.: "Scie
nce", 248 : 1380-1388, 1990)。例えば、細菌のHSP
60ファミリーに属するタンパク質は、結核、らい病、
梅毒、在郷軍人病、又はライム病などの主たる抗原であ
り(Young, R. A. et al.: "Cell", 59:5-8, 1989)、
かつ、細菌のHSP60ファミリーに属するタンパク質
は強い免疫原性を有し、及び自己の(宿主であるヒト
の)タンパク質との分子相同性を有するために、感染症
がトリガーとなった分子相同性による自己免疫疾患が発
症するものと考えられている。
【0008】例えば、糖尿病の患者やその家族の血中に
検出される64kDタンパク質と反応する抗体(64k
D自己抗体)はβ細胞特異的であるし、また糖尿病と診
断される直前によく出現しやすい。すなわち、I型糖尿
病において発症の原因と考えられている膵島細胞抗原
は、分子量64kDの糖タンパク質(Baekkeskov, S. e
t al.: "Nature", 298 : 167-169, 1982)である。64
kDタンパク質に対する抗体はヒトの糖尿病のみならず
(Atkinson, M. A. et al.: "Lancet", 335 : 1357-136
0, 1990)、BBラット(Baekkeskov, S. et al.: "Scie
nce", 224 : 1348-1350, 1984)やNODマウス(Atkins
on, M. A. et al.: "Diabetes", 37: 1587-1590, 1988)
などのように、自然にI型糖尿病を発症し、ヒトのI型
糖尿病の多くの特徴を示す、I型糖尿病のモデル動物に
おいても検出される。I型糖尿病における膵臓β細胞の
64kDタンパク質は、サイトカインや熱刺激で誘導さ
れるので、熱ショックタンパク質である可能性がある。
【0009】I型糖尿病のモデル動物であるNODマウ
スにおける膵臓ランゲルハンス島β細胞の64kDタン
パク質は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)のH
SP60ファミリーに属するタンパク質に対する抗体と
免疫学的に交叉反応性を示す自己抗原であることが示さ
れている。このように、HSP60ファミリーに属する
タンパク質と64kDタンパク質自己抗原との間に免疫
学的交叉が観察されることにより、膵臓β細胞の64k
Dタンパク質がHSP60ファミリーの一員である可能
性があり、HSP60ファミリーに属するタンパク質の
エピトープと交叉する自己免疫の機序が、I型糖尿病の
発症に関与することが示唆されている。また、結核菌の
HSP60ファミリーに属するタンパク質に特異性を有
するTリンパ球のクローンを移入すると、幼若NODマ
ウスにランゲルハンス島炎と高血糖を引き起こす。ま
た、結核菌のHSP60ファミリーに属するタンパク質
を免疫原性のある投与方法、すなわちアジュバントとと
もにNODマウスに注射すると、糖尿病を早期に発症さ
せ得る(Elias, D. et al.: "Proc. Natl. Acad. Sci.
USA", 87: 1576-1580, 1990)。マイコバクテリアのHS
P60ファミリーに属するタンパク質に対する動物の免
疫反応がI型糖尿病を引き起こすというこれらの事実
は、マイコバクテリアのHSP60ファミリーに属する
タンパク質に対する抗体と交叉反応する抗原に対する免
疫系による攻撃が、β細胞に障害を与えることを示して
いる。
【0010】また、HSP60ファミリーに属するタン
パク質は、慢性関節リウマチの動物モデルであるラット
のアジュバント関節炎や、ヒトのリウマチ関節炎に関連
していることが知られている。例えば、慢性関節リウマ
チの場合、細菌の菌体タンパク質である熱ショックタン
パク質のなかでもHSP60ファミリーに属するタンパ
ク質は、関節軟骨に存在するプロテオグリカンと分子相
同性をもっていることが明らかとなっている。ラットの
アジュバント関節炎ではHSP60ファミリーに属する
タンパク質反応性Tリンパ球の関与が示されている("C
urr. Top. Microbiol. Immunol.", 145 : 27-83, 198
9)。この疾患は、放射線照射を受けた免疫学的に無防備
の(native)ラットに、結核菌のHSP60ファ
ミリーに属するタンパク質に対して反応性のTリンパ球
のクローンを移入することにより、前記ラットに移すこ
とができることが見出された("Science", 219 : 56-5
8, 1983; "Nature", 331: 171-173, 1988)。このTリ
ンパ球は同時に関節のプロテオグリカンとも交叉反応性
を示す("Proc. Natl. Acad. Sci. USA", 82: 5117-512
0, 1985)。このHSP60ファミリーに属するタンパク
質で誘導される調節性Tリンパ球は、溶連菌やプリステ
インによる関節炎でも認められている。従って、アジュ
バント関節炎は、抗HSP60ファミリーに属するタン
パク質Tリンパ球により引き起こされる自己免疫疾患の
ようである。また、ヒトの若年性関節リウマチでもHS
P60ファミリーに属するタンパク質反応性Tリンパ球
の関与が考えられている。
【0011】また、慢性関節リウマチの患者の滑液中か
らマイコバクテリア由来のHSP60ファミリーに属す
るタンパク質に対して、特異的に反応するTリンパ球が
取り出されている("Lancet", II: 478-480, 1988; "Na
ture", 339 : 226, 1989; "Annu. Rev. Immunol.", 1
1: 637, 1993)。このように、マイコバクテリアのHS
P60ファミリーに属するタンパク質と交叉反応性を示
すタンパク質が高濃度に慢性関節リウマチの軟骨/パン
ヌス接合部に認められるのに対し、正常な組織や他の疾
患による慢性の炎症を呈する組織においては認められな
い("Scand. J. Immunol.", 31: 283-288, 1990)。更
に、HSP60ファミリーに属するタンパク質に対する
抗体がヒト及びラットの慢性関節リウマチで検出される
(Kaufmann,S. H. E., et al.: "Immunol. Today", 11:
129-136, 1990)ことからも、慢性関節リウマチの病因
がマイコバクテリアのHSP60ファミリーに属するタ
ンパク質と構造の類似した自己抗原に対する自己免疫で
あるという可能性がある。従ってHSP60ファミリー
に属するタンパク質に対する免疫応答の存在はラット及
びヒトの両方の関節炎に関連している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記事
情に鑑み、I型糖尿病や慢性関節リウマチなどの自己免
疫疾患の患者の生理学的状態を有効に改善することがで
き、それらの自己免疫疾患を効果的に治療することので
きる方法を開発するために、HSP60ファミリーに属
するタンパク質に対して合成抑制作用を示す化合物に関
して種々検討を重ねてきた。その結果、本発明者らは、
意外にも、フラボノイドが、病態を示す組織の細胞にお
けるHSP60ファミリーに属するタンパク質の合成を
特異的に抑制することを見出した。すなわち、フラボノ
イドを投与することにより、細胞内でのHSP60ファ
ミリーに属するタンパク質の合成が抑制され、従って、
I型糖尿病や慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患の治
療が可能であることを見出したのである。本発明はこう
した知見に基づくものであり、I型糖尿病や慢性関節リ
ウマチなどの自己免疫疾患を効果的に治療することので
きる、HSP60ファミリーに属するタンパク質の合成
抑制剤を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】従って、本発明は、フラ
ボノイドを有効成分として含有することを特徴とする、
分子量57キロダルトンから68キロダルトンまでの間
の熱ショックタンパク質(すなわち、HSP60ファミ
リーに属するタンパク質)の合成抑制剤に関する。本明
細書において、「HSP60ファミリー」とは、前記の
とおり、分子量が57kD〜68kDの熱ショックタン
パク質群を意味する。また、HSP60ファミリーに属
するタンパク質としては、例えば、HSP60(すなわ
ち、分子量60kDの熱ショックタンパク質)、HSP
58(すなわち、分子量58kDの熱ショックタンパク
質)、HSP65(すなわち、分子量65kDの熱ショ
ックタンパク質)、又はGroEL(すなわち、原核生
物、例えば、大腸菌などの分子量約64kDの熱ショッ
クタンパク質)などを挙げることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の合成抑制剤の有効成分として含有される
フラボノイドは、特に限定されず、公知のフラボノイド
を用いることができる。本発明の合成抑制剤において用
いられるフラボノイドとしては、例えば、カルコン類、
フラバノン類、フラボン類、フラボノール類、フラバノ
ノール類、フラバノール類(カテキン類)、イソフラボ
ン類、又はアントシアン類等を挙げることができる。フ
ラボノイドは、単独で用いることもできるし、あるい
は、異なる複数のフラボノイドを組み合わせて同時に用
いることもできる。カルコン類としては、イソオカニン
(Isookanin)、イソカルタミン(Isocarthamin)、イソ
サリプルピン(Isosalipurpin)、イソブトリン(Isobut
rin)、イソリキリチン(Isoliquiritin)、オカニン(Ok
anin)、カルコン(Chalcone)、カルタミン(Carthami
n)、コレオプシン(Coreopsin)、スチロプシジン(Stil
lopsidin)、ネオサクラニン(Neosakuranin)、ブテイ
ン(Butein)、ペジシン(Pedicin)、ペジセリン(Pedi
cellin)、マレイン(Marein)、ランセオリン(Lanceo
lin)、又はランセオレチン(Lanceoletin)等が例示され
る。
【0015】フラバノン類としては、アルピネチン(Al
pinetin)、イソカルタミジン(Isocarthamidin)、イソ
サクラニン(Isosakuranin)、イソサクラネチン(Isos
akuranetin)、イソペジシン(Isopedicin)、エリオジ
クチオール(Eriodictyol)、カルタミジン(Carthamidi
n)、クリプトストロビン(Cryptostrobin)、サクラニン
(Sakuranin)、サクラネチン(Sakuranetin)、サリプル
ピン(Salipurpin)、ジヒドロオーゴニン(Dihydrowog
onin)、シルトミネチン(Cyrtominetin)、ストロボピ
ニン(Strobopinin)、ナリンギン(Naringin)、ナリン
ゲニン(Naringenin)、ネオカルタミン(Neocarthami
n)、ネオヘスペリジン(Neohesperidin)、ピノストロ
ビン(Pinostrobin)、ピノセンブリン(Pinocembrin)、
ファルレロール(Farrerol)、ブチン(Butin)、ブトリ
ン(Butrin)、フラバノオカニン(Flavanookanin)、フ
ラバノマレイン(Flavanomarein)、フラバノランセオレ
チン(Flavanolanceoletin)、フラバノン(Flavanon
e)、プルニン(Prunin)、ヘスペリジン(Hesperidi
n)、ヘスペレチン(Hesperetin)、ベレクンジン(Ver
ecundin)、ホモエリオジクチオール(Homoeriodictyo
l)、ポンシリン(Poncirin)、マットイシノール(Matt
eucinol)、リキリチゲニン(Liquiritigenin)、又はリ
キリチン(Liquiritin)等が例示される。
【0016】フラボン類としては、アカシイン(Acacii
n)、アカセチン(Acacetin)、アピイン(Apiin)、アピ
ゲニン(Apigenin)、オーゴニン(Wogonin)、オロキシ
リン−A(Oroxylin-A)、ガルテオリン(Galuteoli
n)、クリシン(Chrysin)、クリソエリオール(Chrysoe
riol)、グルコルテオリン(Glucoluteolin)、ゲンカニ
ン(Genkwanin)、コスモシイン(Cosmosiin)、ジオスミ
ン(Diosmin)、ジオスメチン(Diosmetin)、スクテラリ
ン(Scutellarin)、スクテラレイン(Scutellarein)、
ストロボクリシン(Strobochrysin)、テクトクリシン
(Tectochrysin)、トリシン(Tricin)、トリンギン
(Toringin)、ノビレチン(Nobiletin)、バイカリン
(Baicalin)、バイカレイン(Baicalein)、フラボン
(Flavone)、プリメチン(Primetin)、ペクトリナリゲ
ニン(Pectolinarigenin)、ペクトリナリン(Pectolin
arin)、ペダリイン(Pedaliin)、ペダリチン(Pedali
tin)、ポンカネチン(Ponkanetin)、リナリン(Linari
n)、ルテオリン(Luteolin)、ロイホリン(Rhoifoli
n)、ロツシン(Lotusin)、又はロトフラビン(Lotoflav
in)等が例示される。
【0017】フラボノール類としては、アザレアチン
(Azaleatin)、アザレイン(Azalein)、アストラガリン
(Astragalin)、アビクラリン(Avicularin)、アフゼ
リン(Afzelin)、アヤニン(Ayanin)、イカリイン(Ic
ariin)、イカリチン(Icaritin)、イザルピニン(Izal
pinin)、イソケルシトリン(Isoquercitrin)、イソラム
ネチン(Isorhamnetin)、エリアンチン(Erianthin)、
オーラネチン(Auranetin)、カヌギン(Kanugin)、ガラ
ンギン(Galangin)、カランジン(Karanjin)、ガルデ
ニン(Gardenin)、カンナビスシトリン(Cannabiscitr
in)、キサントラムニン(Xanthorhamnin)、クリソスプ
レネチン(Chrysosplenetin)、ケルシツロン(Quercitu
ron)、ケルシトリン(Quercitrin)、ケルシメリトリン
(Quercimeritrin)、ケルセタギトリン(Quercetagitr
in)、ケルセタゲチン(Quercetagetin)、ケルセチン
(Quercetin)、ケヤキニン(Keyakinin)、ケンフェリド
(Kaempferid)、ケンフェリトリン(Kaempferitrin)、
ケンフェロール(Kaempferol)、ゴッシピトリン(Goss
ypitrin)、ゴッシピン(Gossypin)、ゴッシペチン(Go
ssypetin)、スピレオシド(Spiraeoside)、ダチスセチ
ン(Datiscetin)、タプシン(Thapsin)、タンゲリチン
(Tangeritin)、タンブリン(Tambulin)、タンブレチ
ン(Tambuletin)、テルナチン(Ternatin)、トリホリ
ン(Trifolin)、ナルシッシン(Narcissin)、ノルイカ
リイン(Noricariin)、ノルイカリチン(Noricariti
n)、パツレチン(Patuletin)、ヒビスシトリン(Hibisc
itrin)、ヒビスセチン(Hibiscetin)、ヒペリン(Hype
rin)、フィセチン(Fisetin)、フラボノール(Flavono
l)、ペルシカリン(Persicarin)、ヘルバシトリン(H
erbacitrin)、ヘルバセチン(Herbacetin)、ミケリア
ニン(Miquelianin)、ミリシトリン(Myricitrin)、ミ
リセチン(Myricetin)、メラチン(Meratin)、メリシン
プリン(Melisimplin)、メリシンプレキシン(Melisimp
lexin)、メリテルナチン(Meliternatin)、メリテルニ
ン(Meliternin)、モリン(Morin)、ラムナジン(Rham
nazin)、ラムネチン(Rhamnetin)、ラムノシトリン(Rh
amnocitrin)、ルチン(Rutin)、レイノウトリン(Reyn
outrin)、ロビニン(Robinin)、又はロビネチン(Robi
netin)等が例示される。
【0018】フラバノノール類としては、アスチルビン
(Astilbin)、アルピノン(Alpinon)、アロマデンドリ
ン(Aromadendrin)、アンペロプチン(Ampeloptin)、
イソエンゲリチン(Isoengelitin)、エンゲリチン(En
gelitin)、ケヤキノール(Keyakinol)、ジヒドロロビネ
チン(Dihydrorobinetin)、ストロボバンクシン(Stro
bobanksin)、タキシホリン(Taxifolin)、ピノバンクシ
ン(Pinobanksin)、フェラムリン(Phellamurin)、フェ
ラムレチン(Phellamuretin)、又はフスチン(Fustin)
等が例示される。
【0019】フラバノール類(カテキン類)としては、
アフゼレキン(Afzelechin)、エピアフゼレキン(Epia
fzelechin)、エピカテキン(Epicatechin)、エピカテキ
ンガレート(Epicatechin gallate)、エピガロカテキン
(Epigallocatechin)、エピガロカテキンガレート(Ep
igallocatechin gallate)、カテキン(Catechin)、カ
テキンガレート(Catechin gallate)、ガロカテキン
(Gallocatechin)、又はガロカテキンガレート(Galloc
atechin gallate)等が例示される。
【0020】イソフラボン類としては、イソフラボン
(Isoflavon)、イリゲニン(Irigenin)、イリジン(Ir
idin)、オサジン(Osajin)、オノニン(Ononin)、ゲ
ニスチン(Genistin)、ゲニステイン(Genistein)、サ
ンタール(Santal)、ソホラビオシド(Sophorabiosid
e)、ソホリコシド(Sophoricoside)、ダイジン(Daidz
in)、ダイゼイン(Daidzein)、テクトリゲニン(Tecto
rigenin)、テクトリジン(Tectoridin)、ビオカニン
A(Biochanin A)、プソイドバプチゲニン(Pseudobapt
igenin)、プソイドバプチシン(Pseudobaptisin)、プ
ルヌセチン(Prunusetin)、プルネチン(Prunetin)、
ポミフェリン(Pomiferin)、又はホルムオノネチン(Fo
rmononetin)等が例示される。
【0021】アントシアン類としては、アオバニン(Aw
obanin)、イデイン(Idaein)、イリシシアニン(Ilic
icyanin)、エニン(Oenin)、クリサンテミン(Chrysant
hemin)、ゲスネリン(Gesnerin)、ゲスネリジン(Gesn
eridin)、ケラシアニン(Keracyanin)、サルビアニン
(Salvianin)、シアニジン(Cyanidin)、シアニン(Cy
anin)、デルフィニジン(Delphinidin)、デルフィニン
(Delphinin)、デルフィン(Delphin)、ネグレテイン
(Negretein)、ビオラニン(Violanin)、ヒルスチジン
(Hirsutidin)、ヒルスチン(Hirsutin)、プリムリン
(Primulin)、プルニシアニン(Prunicyanin)、ペオニ
ジン(Paeonidin)、ペオニン(Paeonin)、ペツニジン
(Petunidin)、ペツニン(Petunin)、ペラルゴニジン
(Pelargonidin)、ペラルゴニン(Pelargonin)、マル
ビジン(Malvidin)、又はマルビン(Malvin)等が例示
される。
【0022】本発明の合成抑制剤において用いられるフ
ラボノイドとしては、特に好ましくは、ケルセチン〔す
なわち、2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−3,
5,7−トリヒドロキシ−4H−1−ベンゾピラン−4
−オン〕、ルチン(すなわち、ケルセチン−3−ルチノ
シド)、バイカレイン(すなわち、5,6,7−トリヒ
ドロキシ−2−フェニル−4H−1−ベンゾピラン−4
−オン)、又はカテキン類を挙げることができる。本発
明の合成抑制剤において有効成分として用いるカテキン
類としては、(+)カテキン、(+)ガロカテキン、
(+)カテキンガレート、(+)ガロカテキンガレー
ト、(−)エピカテキン、(−)エピガロカテキン、
(−)エピカテキンガレート、(−)エピガロカテキン
ガレートが好ましい。なお、本発明の合成抑制剤におい
て有効成分として用いるフラボノイドとしては、純粋な
立体異性体又はそれらの混合物を用いることができる。
【0023】本発明の合成抑制剤に含有されるフラボノ
イドは、化学合成によって、又は天然物から抽出して精
製することによって、調製することができる。あるい
は、市販品を用いてもよい。また、本発明の合成抑制剤
において有効成分として用いるカテキン類は、主に茶カ
テキン類として知られており、天然物から抽出して精製
する場合、これに限定するものではないが、茶から抽出
することが好ましい。
【0024】前記のように、茶には茶カテキン類が含ま
れているので、茶抽出物を本発明の合成抑制剤の有効成
分として用いることもできる。本明細書において「茶」
とは、茶〔Cammellia sinensis,
(L)O.Kuntze〕の全草若しくはその一部分、
例えば葉、木部、根、実等の生若しくは乾燥物のそのま
ま若しくは部分発酵物又は完全発酵物を意味し、それら
の部分を単独で、又は任意に組み合わせて使用すること
ができる。抽出原料として茶葉を用いる場合、各種形態
のものがあり、たとえば茶生葉から仕上げ茶(乾燥茶)
まで、通常の製茶工程のいずれの段階のものでもよく、
かつ発酵の程度に関係なく、紅茶などの発酵茶、ウーロ
ン茶などの半発酵茶、緑茶などの不発酵茶のいずれをも
使用することができる。
【0025】本発明による合成抑制剤の有効成分である
茶抽出物は、前記の茶カテキン類を含有していればよ
く、従って、茶の粗抽出物を用いることができる。この
茶粗抽出物は、茶を温水(好ましくは熱湯)によって抽
出するか、又は有機溶媒を用いて抽出することにより、
得ることができる。有機溶媒としては、例えば、メチル
アルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、若しくはブチルアルコー
ル等の低級アルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸
プロピル、若しくは酢酸ブチル等の低級エステル、又は
アセトン、若しくはメチルイソブチルケトン等のケトン
類を用いることができ、これらの有機溶媒を単独又は適
宜組み合わせ、更には無水又は好ましくは含水状態で用
いることができる。
【0026】水抽出及び有機溶媒抽出の方法としては、
通常の生薬抽出に用いられる方法を用いることができ、
例えば、(乾燥)茶葉1重量部に対し、水又は有機溶媒
5〜20重量部を用いて、攪拌しながら、その沸点以下
の温度で加熱還流することが望ましい。抽出工程は、通
常は5分〜7日間、好ましくは10分〜24時間実施
し、必要に応じて、攪拌等の補助的手段を加えることに
より、抽出時間を短縮することができる。水又は有機溶
媒抽出液は、濾過又は遠心分離等の適当な方法により、
不溶物を分離することができる。常法による熱水抽出物
又は有機溶媒抽出物の他に、これらの抽出液を各種有機
溶媒又は吸着剤等により、更に処理した生成物も、本発
明の合成抑制剤の有効成分として用いることができる茶
抽出物に含まれる。これらの茶抽出物は、必要に応じ
て、濃縮や乾燥して粉末化したり、更には冷水より結晶
化して精製することができる。
【0027】こうして得られた茶抽出物は、茶(特に茶
葉)に含まれるカテキン類、すなわち、茶カテキン類
(例えば、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エ
ピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレ
ート、エピガロカテキンガレート、又はガロカテキンガ
レート)を混合物として含み、同時に原料茶に由来する
不純物を含んでいる。
【0028】本発明の合成抑制剤は、前記のケルセチ
ン、ルチン、バイカレイン、若しくはカテキン類等のフ
ラボノイド又は茶抽出物を、それ単独で、又は好ましく
は製剤学的若しくは獣医学的に許容することのできる通
常の担体と共に、動物、好ましくは哺乳動物(特にはヒ
ト)に投与することができる。投与剤型としては、特に
限定がなく、例えば、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カ
プセル剤、懸濁液、エマルジョン剤、シロップ剤、エキ
ス剤、若しくは丸剤等の経口剤、又は注射剤、外用液
剤、軟膏剤、坐剤、局所投与のクリーム、若しくは点眼
薬などの非経口剤を挙げることができる。これらの経口
剤は、例えば、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、澱
粉、コーンスターチ、白糖、乳糖、ぶどう糖、マンニッ
ト、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、ポリ
ビニルピロリドン、結晶セルロース、大豆レシチン、シ
ョ糖、脂肪酸エステル、タルク、ステアリン酸マグネシ
ウム、ポリエチレングリコール、ケイ酸マグネシウム、
無水ケイ酸、又は合成ケイ酸アルミニウムなどの賦形
剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進
剤、希釈剤、保存剤、着色剤、香料、矯味剤、安定化
剤、保湿剤、防腐剤、酸化防止剤等を用いて、常法に従
って製造することができる。例えば、カテキン1重量部
と乳糖99重量部とを混合して充填したカプセル剤など
である。
【0029】非経口投与方法としては、注射(皮下、静
脈内等)、又は直腸投与等が例示される。これらのなか
で、注射剤が最も好適に用いられる。例えば、注射剤の
調製においては、有効成分としてのフラボノイドの他
に、例えば生理食塩水、リンゲル液等の水溶性溶剤、植
物油、脂肪酸エステル等の非水溶性溶剤、ブドウ糖、塩
化ナトリウム等の等張化剤、溶解補助剤、安定化剤、防
腐剤、懸濁化剤、乳化剤等を任意に用いることができ
る。具体的に一例を示すと、(+)カテキン10mgと
マンニトール50mgを蒸留水に溶解して10mlと
し、常法で除菌した後、2mlずつを注射用小瓶に分注
し、又はそのまま凍結乾燥して注射剤とする。使用に際
して、生理食塩水で希釈して注射液とする。また、本発
明の合成抑制剤は、徐放性ポリマーなどを用いた徐放性
製剤の手法を用いて投与してもよい。例えば、本発明の
合成抑制剤をエチレンビニル酢酸ポリマーのペレットに
取り込ませて、このペレットを治療すべき組織中に外科
的に移植することができる。
【0030】本発明の合成抑制剤は、これに限定される
ものではないが、フラボノイド又はその医薬上許容され
る塩を0.01〜99重量%、好ましくは0.1〜80
重量%の量で含有することができる。また、茶抽出物を
有効成分として含有する本発明の合成抑制剤は、その中
に含まれるフラボノイドが前記の量範囲になるように適
宜調整して、調製することができる。なお、茶抽出物を
有効成分として含有する合成抑制剤を、経口投与用製剤
とする場合には、製剤学的に許容することのできる担体
を用いて、製剤化することが好ましい。本発明の合成抑
制剤を用いる場合の投与量は、病気の種類、患者の年
齢、症状の程度、投与方法などにより異なり、特に制限
はないが、フラボノイド量として通常成人1人当り1m
g〜10g程度を、1日1〜4回程度にわけて、経口的
に又は非経口的に投与する。更に、用途も医薬品に限定
されるものではなく、種々の用途、例えば、機能性食品
や健康食品として飲食物の形で与えることも可能であ
る。
【0031】なお、本発明の合成抑制剤に用いられるフ
ラボノイドのうち、ケルセチンの急性毒性(LD50
は、マウス経口投与の場合、160mg/kgであり
(ザ・メルク・インデックス、11版、メルク社、12
78頁)、ルチンの急性毒性(LD50)は、マウス静脈
注射の場合、950mg/kgである(ザ・メルク・イ
ンデックス、11版、メルク社、1319頁)。また、
本発明の合成抑制剤に用いる茶カテキン類に毒性は特に
認められなかった。
【0032】
【作用】上記したように、本発明の合成抑制剤に含有さ
れるフラボノイドは、細胞内のHSP60ファミリーに
属するタンパク質の合成を特異的に抑制する作用がある
ので、前記フラボノイドを投与すると細胞でのHSP6
0ファミリーに属するタンパク質の生合成が特異的に減
少する。従って、前記フラボノイドは、HSP60ファ
ミリーに属するタンパク質がその発症に関連する自己免
疫疾患、例えばI型糖尿病や慢性関節リウマチなどの予
防及び治療に使用することができる。
【0033】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。実施例1:ヒト培養癌細胞のHSP発現量の測定 (1)ヒト培養癌細胞の培養 以下の各種ヒト培養癌細胞を、5%二酸化炭素条件下
で、熱ショック処理時以外は、37℃で培養した。乳癌
細胞株MCF7(ATCC HTB 22)、及び前立
腺癌細胞株DU 145(ATCC HTB 81)
は、10%非働化ウシ胎児血清(以下、FBSと略称す
る)を含むRPMI1640培地中で培養した。MCF
7の培地には10-8Mβ−エストラジオールを添加し
た。子宮癌細胞株HeLa S3(ATCC CCL
2.2)、及び腎癌細胞株ACHN(ATCC CRL
1611)は、10%非働化FBSを含むMEM培地
にて培養した。前立腺癌細胞株PC−3(ATCC C
RL−145)は、7%非働化FBSを含むF−12K
培地(シグマ,カタログ番号N 3520)にて培養し
た。
【0034】(2)フラボノイド処理及び熱ショック処
理 播種2日後の前記各種培養ヒト癌細胞の培地中に、以下
のフラボノイドの内のいずれか1つを添加し、24時間
培養した。用いたフラボノイドの添加後の培地中での濃
度は、ケルセチン(ナカライテスク,カタログ番号298-
12)100μM、ルチン(ナカライテスク,カタログ番
号303-19)100μM、カテキン〔(+)−Catec
hin;フナコシ Code No. 0952:EXTRASYNT
HESE社製,フランス〕100μM、バイカレイン
(松浦薬業)20μMであった。その後、45℃にて1
5分間熱ショック処理をしてから、37℃にて終夜培養
した。対照試験は、フラボノイドを添加しないこと以外
は前記と同様に実施した。
【0035】(3)ヒト培養癌細胞でのHSP発現量の
測定 前項(2)で処理した各細胞を、以下に示す方法により
ホモジナイズし、HSP発現量をウェスタンブロット法
にて測定した。すなわち、前項(2)で処理した細胞
を、リン酸緩衝生理食塩水〔組成:KCl=0.2g/
l,KH2 PO4 =0.2g/l,NaCl=8g/
l,Na2HPO4 (無水)=1.15g/l;以下、
PBS(−)と称する〕で洗浄した後、ライシスバッフ
ァー(lysis buffer)〔1.0%NP−4
0、0.15M塩化ナトリウム、50mMトリス−HC
l(pH8.0)、5mM−EDTA、2mM−N−エ
チルマレイミド、2mMフェニルメチルスルホニルフル
オリド、2μg/mlロイペプチン及び2μg/mlペ
プスタチン〕1mlを加え、氷上で20分間静置した。
その後、4℃で12000rpmにて、20分間、遠心
を行った。遠心後の上清10μlをPBS(−)790
μlに加え、更にプロテインアッセイ染色液(Dye Reag
ent Concentrate : バイオラッド,カタログ番号500-00
06)200μlを加えた。5分間、室温にて静置した
後、595nmで吸光度を測定してタンパク質定量を行
った。
【0036】タンパク質定量を行った試料を用いて、L
aemmliのバッファー系(Laemmli, N. K., "Natur
e", 283 : pp. 249-256, 1970)にて、等量のタンパク質
を含むライセートのSDSポリアクリルアミドゲル電気
泳動を行った。電気泳動後、ブロッティング及びそれに
続くブロッキングを行った。すなわち、タンパク質転写
装置(Trans-Blot Electrophoretic Transfer Cell:バ
イオ・ラッド,カタログ番号170-3946)を用いて、室温
にて100Vにて、0.45μmニトロセルロース膜
(Schleicher & Schuell,カタログ番号401196)にゲル
を密着させ、3時間ブロッティングを行った。ブロッテ
ィングバッファーとしては、0.025Mトリス及び
0.192MグリシンよりなりpH8.5に調整された
トリスグリシンバッファー(Tris Gly Running and Blo
tting Buffer;Enprotech, 米国マサチューセッツ州,
カタログ番号 SA100034)にメチルアルコールを20%に
なるように加えて調製したバッファーを用いた。ブロッ
ティング後、ニトロセルロース膜を10%スキムミルク
(雪印乳業)−PBS(−)溶液に室温にて30分間、
インキュベートし非特異的結合をブロックした。
【0037】ブロッキング後、ニトロセルロース膜の上
で、抗ヒトHSP60マウスモノクローナル抗体(Stre
ssGen, Victoria, B.C., Canada, カタログ番号 SPA-8
06)により、1次抗体反応を行った。この抗ヒトHSP
60マウスモノクローナル抗体は、大腸菌を用いるリコ
ンビナントDNA法により作製したヒトHSP60を免
疫原として作製した抗体であり("J. Exp. Med." 175
, 1805-1810, 1992)、哺乳類HSP60(霊長類HS
P60、マウスHSP60、ラットHSP60、及びハ
ムスターHSP60)と特異的に反応する("J. Exp. M
ed." 175 , 1805-1810, 1992)。この抗ヒトHSP60
マウスモノクローナル抗体が認識するエピトープは、ヒ
トHSP60アミノ酸配列の第383番目〜第447番
目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列中に局在する
("J. Exp. Med." 175 , 1805-1810,1992)。1次抗体
反応後、PBS(−)で5分間ずつ、溶液を取り替えて
2回の洗浄をスロー・ロッキング・シェイカーによって
行い、更にPBS(−)−0.1%Tween20(バ
イオ・ラッド,カタログ番号170-6531)溶液で15分間
ずつ、溶液を取り替えて4回の洗浄を行った。最終的
に、PBS(−)で5分間ずつ、2回の洗浄を行った。
【0038】洗浄終了後、ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗
マウスIgG抗体(CAPPEL,カタログ番号55550)を、2
%スキムミルクを含むPBS(−)溶液で5000倍に
希釈して調製した抗体溶液5mlを用いて、2時間、2
次抗体反応を行った。反応終了後、ニトロセルロース膜
に関して、PBS(−)溶液で5分間ずつ溶液を変えて
2回、更にPBS(−)−0.1%Tween20溶液
で15分間ずつ溶液を変えて5回の洗浄をスロー・ロッ
キング・シェイカーにより行った。最後にPBS(−)
溶液で5分間ずつ2回の洗浄を行った。余分なPBS
(−)溶液を除去した後、ウェスタンブロッティング検
出試薬(ECL Western blotting detectionreagent;Ame
rsham,カタログ番号RPN2106)をニトロセルロース膜上
に振りかけ、1分間インキュベートした後、余分な検出
試薬を除去し、ニトロセルロース膜をラップに包み、反
応面をX線フィルム(コダック X-OMAT, AR, カタログ
番号165 1454)に密着させて露光し、現像してHSP6
0の有無の検討を行った。結果を表1に示す。表中、
「↓」は、対照に比べて、HSP60発現量が減少した
ことを意味する。
【0039】
【表1】 癌種 癌細胞 ケルセチン ルチン カテキン バイカレイン 子宮 HeLa S3 ↓ 腎臓 ACHN ↓ 前立腺 DU 145 ↓ ↓ 前立腺 PC−3 ↓ 乳 MCF7 ↓ ↓ ↓
【0040】対照試験、すなわち、フラボノイドを添加
しなかった細胞では、分子量約60kDのバンドが一本
検出された。なお、分子量は、前記抗ヒトHSP60マ
ウスモノクローナル抗体との結合、及び分子量マーカー
(卵白オバルブミン及びウシ血清アルブミン)により決
定した。表1に示すとおり、カテキンは、腎臓癌細胞株
ACHN及び乳癌細胞株MCF7においてHSP60の
発現を抑制した。ケルセチンは、子宮癌細胞株HeLa
S3、前立腺癌細胞株DU 145、前立腺癌細胞株P
C−3、及び乳癌細胞株MCF7においてHSP60の
発現を抑制した。ルチンは、乳癌細胞株MCF7におい
てHSP60の発現を抑制した。バイカレインは、前立
腺癌細胞株DU145においてHSP60の発現を抑制
した。すなわち、カテキン、ケルセチン、ルチン、及び
バイカレインは、HSP60の発現を抑制する合成抑制
剤の活性を有するものと結論することができる。
【0041】
【発明の効果】以上詳述したように、フラボノイドは細
胞内のHSP60ファミリーに属するタンパク質の発現
を抑制する合成抑制剤の活性を有する。従って、フラボ
ノイドを投与することにより、例えば、HSP60ファ
ミリーに属するタンパク質が発症に関与する自己免疫疾
患(例えば、I型糖尿病や慢性関節リウマチなど)の患
者の生理学的状態を有効に改善させ、前記病気を効果的
に治療することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07D 311/32 C07D 311/32 311/62 311/62 C07H 17/065 C07H 17/065

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フラボノイドを有効成分として含有する
    ことを特徴とする、分子量57キロダルトンから68キ
    ロダルトンまでの間の熱ショックタンパク質の合成抑制
    剤。
  2. 【請求項2】 フラボノイドがケルセチンである、請求
    項1に記載の分子量57キロダルトンから68キロダル
    トンまでの間の熱ショックタンパク質の合成抑制剤。
  3. 【請求項3】 フラボノイドがカテキン類である、請求
    項1に記載の分子量57キロダルトンから68キロダル
    トンまでの間の熱ショックタンパク質の合成抑制剤。
  4. 【請求項4】 カテキン類がエピガロカテキンガレー
    ト、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピカ
    テキン及びこれらの異性体からなる群から選んだ化合物
    の少なくとも1種である、請求項3に記載の分子量57
    キロダルトンから68キロダルトンまでの間の熱ショッ
    クタンパク質の合成抑制剤。
  5. 【請求項5】 フラボノイドがルチンである、請求項1
    に記載の分子量57キロダルトンから68キロダルトン
    までの間の熱ショックタンパク質の合成抑制剤。
  6. 【請求項6】 フラボノイドがバイカレインである、請
    求項1に記載の分子量57キロダルトンから68キロダ
    ルトンまでの間の熱ショックタンパク質の合成抑制剤。
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