JPH107559A - Hsp27ファミリーに属するタンパク質のベルベリン誘導体含有合成抑制剤 - Google Patents

Hsp27ファミリーに属するタンパク質のベルベリン誘導体含有合成抑制剤

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JPH107559A
JPH107559A JP8177535A JP17753596A JPH107559A JP H107559 A JPH107559 A JP H107559A JP 8177535 A JP8177535 A JP 8177535A JP 17753596 A JP17753596 A JP 17753596A JP H107559 A JPH107559 A JP H107559A
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hsp27
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洋一 清輔
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智子 都築
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眞嘉 森野
Chikao Yoshikumi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分子量16キロダルトンから40キロダルト
ンまでの間の熱ショックタンパク質(HSP27ファミ
リー)がその悪性化や温熱療法の効果の減少に関連する
癌、又はHSP27ファミリーに属するタンパク質がそ
の発症に関連する多発性硬化症などの自己免疫疾患の患
者の生理学的状態を有効に改善させ、前記病気を効果的
に治療することができる、HSP27ファミリーに属す
るタンパク質の合成抑制剤を提供する。 【解決手段】 下記一般式(I)で表されるベルベリン
誘導体、又はその薬剤学的に許容される塩を有効成分と
して含有する。 【化1】 (式中、R1 及びR2 は炭素数1〜3のアルキル基)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ベルベリン誘導体
又はその薬剤学的に許容される塩を有効成分として含有
する、分子量が16キロダルトン(kD)から40kD
までの間の熱ショックタンパク質群(以下、HSP27
ファミリーと称する)に属するタンパク質の合成抑制剤
に関する。本発明によるHSP27ファミリーに属する
タンパク質の合成抑制剤は、特に、HSP27ファミリ
ーに属するタンパク質の組織内合成を抑制することによ
って、HSP27ファミリーに属するタンパク質が発
症、悪性化、又は治療の障害に関与するものと考えられ
ている病気、例えば、癌、又は多発性硬化症などの患者
の生理学的状態を有効に改善させ、前記の病気を効果的
に治療することができる。
【0002】
【従来の技術】近年の化学療法、外科療法、放射線療
法、及び免疫療法などの進歩にもかかわらず、依然とし
て癌による死亡原因に癌の悪性化が直接的又は間接的に
関わっており、癌の悪性化の克服が今後の癌治療の大き
な課題の一つとなっている。癌の悪性度は、癌の増殖
性、浸潤性、又は転移性などによって定められる。悪性
化の現象の一つである転移は原発癌の種類により、転移
を起こしやすい臓器が異なる。癌の転移は複合事象であ
り、原発腫瘍の増殖、癌細胞の原発巣からの離脱と周辺
組織への浸潤・増殖から始まって、腫瘍血管新生、癌細
胞の最寄りの血管内への侵入、血流による遠隔部位への
移動と血管内皮細胞への接着・着床、更に、血管外への
浸潤、遠隔部位(転移組織)での増殖の開始に続いて新
たな腫瘍血管が新生され、やがて可視的な転移巣の形成
に至るまでの複雑な反応カスケードから成り立ってい
る。一般に、癌は、高い悪性度を有するものと、比較的
に悪性度の低いものとに分けられる。しかし、悪性度の
高い癌に対しては根本的な治療法は確立しておらず、患
者は遂には死に至ることが極めて多い。
【0003】また、癌の温熱療法(ハイパーサーミア;
hyperthermia)とは、癌組織を加温することにより、腫
瘍細胞を選択的に殺し、癌を治療しようとする方法であ
り、近年注目を浴びている。温熱療法による癌治療は、
温熱の生物学的効果をみると、41〜45℃の比較的温
和な加温で細胞致死効果が得られること、また放射線や
抗癌剤などと併用することにより相乗的な効果が得られ
ることなど、有利な点が多い。温熱療法による癌の治療
法は、臨床においてはほとんどすべての各科で試みられ
ている。しかし、温熱療法の問題点の一つは、加温後一
過性に誘導される温熱耐性である。すなわち、癌細胞が
1回目の加温により一時的に温熱耐性になるために、次
の加温による殺細胞効果が減少する。温熱耐性とは、細
胞(又は組織)を一度亜致死的な加温をすることによ
り、次の加温に対してその細胞(又は組織)が一過性に
温熱抵抗性になることである。温熱耐性のため、現在ほ
とんどの施設において温熱療法を行うのは週1〜2回に
限定されているのが現状である。
【0004】また、癌の化学療法においても、化学療法
に殆ど反応しない肺癌や大腸癌などの固型癌が依然とし
て存在する一方で、化学療法剤に反応する癌でも、やが
て抗癌剤が効かなくなる耐性化が問題となっている。1
988年のアメリカの統計によれば、1年間に診断され
た癌の49%が化学療法に最初から抵抗性を示す内因性
耐性であり、47%が当初化学療法が有効で、腫瘍がい
ったん消退した後に再発した獲得性耐性とされている。
これらの事実から、癌に対する化学療法の効果を妨げる
最も重要な問題の一つは細胞毒性薬剤に対する耐性であ
ることがわかる。
【0005】また、多発性硬化症(multiple sclerosi
s,MS)は中枢神経白質を特異的に障害する炎症性脱
髄性疾患であり、その発症機序に、神経線維を包んでい
るミエリン鞘を免疫系が攻撃することが示されている自
己免疫疾患である。多発性硬化症は多くの場合、初期に
は急性憎悪・寛解を繰り返すが、その後徐々に進行性の
経過をとるようになる。急性期の症状改善を目的とした
ものとして、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)や副腎
皮質ステロイド剤が、また寛解期での再発予防や慢性進
行型の症状進展防止を目的として、アザチオプリンやサ
イクロフォスファミドなどの免疫抑制剤が用いられてき
た。しかし、現在、多発性硬化症患者に投与されている
薬剤の多くは、その効果が期待されていたほどでなく、
非特異的な療法で副作用も多くみられるなど、十分とは
いい難いのが現状である。多発性硬化症のより特異的な
治療法の開発が期待されている。
【0006】一方、熱ショックタンパク質(heat shock
protein;HSP、ストレスタンパク質ともいう)は、
細胞を何らかのストレス、例えば熱、重金属、薬剤、ア
ミノ酸類似体、又は低酸素(低濃度酸素)などで刺激す
ることにより、細胞に発現される一群のタンパク質であ
る。熱ショックタンパク質は、自然界に普遍的に存在し
ており、細菌、酵母、植物、昆虫、及びヒトを含む高等
動物により産生される。
【0007】HSPは、その種類は多種多様であるが、
分子量の大きさからHSP90ファミリー(例えば、9
0kD又は110kDのHSPなど)、HSP70ファ
ミリー(例えば、70〜73kDのHSPなど)、HS
P60ファミリー(例えば、57〜68kDのHSPな
ど)、低分子HSPファミリー(例えば、20kD、2
5〜28kD、又は47kDのHSPなど)の4ファミ
リーに大別することができる。なお、本明細書において
は、特定分子量を有するHSPを、HSPとその直後に
記載する数字とによって示すものとし、例えば、分子量
27kDのHSPを『HSP27』と称するものとす
る。以上のように、HSPには多くの種類が存在する
が、これらは分子量だけでなく、構造、機能、又は性質
などもそれぞれ異なるものである。ストレスへの応答に
加えて、これらのタンパク質の中には構成的に合成され
るものがあり、正常な環境の下で、タンパク質のフォー
ルディング、アンフォールディング、タンパク質サブユ
ニットの会合、タンパク質の膜輸送のような、必須の生
理的な役割を演じていることが示されている。熱ショッ
クタンパク質としてのこれらの機能は、分子シャペロン
と称される。
【0008】HSP27ファミリーに属するタンパク質
の発現は、ヒト乳癌において、リンパ節転移、リンパや
血管への浸潤、より短い生存率との間に顕著な相関があ
る("J. Natl. Cancer Inst." 83: 170-178, 1991)。胃
癌においてもHSP27ファミリーに属するタンパク質
はネガティブな予後因子であるとの報告がある("Br.J.
Surg.", 78: 334-336, 1991)。HSP27ファミリー
に属するタンパク質の原発癌細胞における発現レベルが
癌悪性度、特に癌の再発率と正の相関があるという報告
もあるので("Breast Cancer Res. Treat.", 12: 130,
1988; "Proc.Am. Assoc. Cancer Res.", 30: 252, 19
89)、HSP27ファミリーに属するタンパク質の発現
を抑制することにより、癌の悪性化を防止することが可
能である。
【0009】癌の温熱療法で問題となる温熱耐性にHS
P27ファミリーに属するタンパク質が関与するという
報告がある。ヒトHSP27遺伝子をマウス又はハムス
ター細胞に導入して発現させたところ、熱ショック後に
生き残る温熱耐性の細胞がHSP27のタンパク質の量
に依存して誘導され増加する("J. Cell. Biol.", 109
: 7-15, 1989)。また、チャイニーズハムスター細胞
で、HSP27を定常的に発現するようになった変異株
が熱耐性を獲得できるようになる("J. Cell. Physio
l.", 137 : 157, 1988)。α−Bクリスタリンは、熱シ
ョック処理で誘導され、HSP27とアミノ酸配列の相
同性が高いタンパク質であり、HSP27ファミリーに
属するタンパク質の一つであるが、α−Bクリスタリン
を過剰発現させた細胞も熱ストレスに対する耐性を獲得
する("J. Cell. Biol.", 125 : 1385-1393, 1994)。こ
のことは、HSP27ファミリーに属するタンパク質の
発現を抑制することにより、温熱耐性を抑え、癌に対す
る温熱療法の効果を増強する可能性を示している。ま
た、HSP27ファミリーに属するタンパク質の発現と
薬剤耐性とが相関するとの報告もあるので("Breast Ca
ncer Res. Treat.", 23:178, 1992; "Cancer Res.", 5
1: 5245-5252, 1991)、HSP27ファミリーに属する
タンパク質の発現を抑制することにより、薬剤耐性を抑
え、化学療法の効果を増強することも可能である。
【0010】多発性硬化症における免疫的に優性な抗原
が、HSP27ファミリーに属するタンパク質であるα
−Bクリスタリンであることが突き止められている("N
ature", 375 : 739-740, 1995)。α−Bクリスタリン
は、多発性硬化症患者の神経組織中での発現が、非発病
者の組織中での発現よりも強く、非常に免疫原性が高い
("Nature", 375 : 798-801, 1995)。これらの事実は、
多発性硬化症で自己抗原となっているのは、HSP27
ファミリーに属するタンパク質の1種であるα−Bクリ
スタリンであり、ミエリン鞘におけるα−Bクリスタリ
ンの発現を抑制することが多発性硬化症の根本的治療に
結び付くことを示している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記事
情に鑑み、癌や多発性硬化症などの病気の患者の生理学
的状態を有効に改善させ、前記の病気を効果的に治療す
ることのできる方法を開発するために、HSP27ファ
ミリーに属するタンパク質に対して合成抑制作用を示す
化合物に関して、種々検討を重ねてきた。その結果、本
発明者らは、意外にも、オウバク又は黄連の成分である
ベルベリン、若しくはその誘導体、又はその薬剤学的に
許容される塩が、病態を示す組織の細胞におけるHSP
27ファミリーに属するタンパク質の合成を特異的に抑
制することを見出した。すなわち、ベルベリン誘導体又
はその薬剤学的に許容される塩を投与することによっ
て、細胞内でのHSP27ファミリーに属するタンパク
質の合成が抑制され、従って、癌や多発性硬化症などの
病気の治療が可能であることを見出したのである。本発
明はこうした知見に基づくものであり、癌や多発性硬化
症などの病気を効果的に治療することのできる、HSP
27ファミリーに属するタンパク質の合成抑制剤を提供
することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】従って、本発明は、式
(I):
【化3】 (式中、R1 及びR2 は炭素数1〜3のアルキル基であ
る)で表されるベルベリン誘導体又はその薬剤学的に許
容される塩を有効成分として含有することを特徴とす
る、分子量16キロダルトンから40キロダルトンまで
の間の熱ショックタンパク質(すなわち、HSP27フ
ァミリーに属するタンパク質)の合成抑制剤に関する。
【0013】本明細書において、「HSP27ファミリ
ー」とは、前記のとおり、分子量が16kD〜40kD
の熱ショックタンパク質群を意味する。HSP27ファ
ミリーに属するタンパク質としては、例えば、哺乳動物
のHSP27(すなわち、分子量27kDの熱ショック
タンパク質)〔若しくはHSP28(すなわち、分子量
28kDの熱ショックタンパク質)〕、トリのHSP2
5(すなわち、分子量25kDの熱ショックタンパク
質)、又は酵母のHSP26(すなわち、分子量26k
Dの熱ショックタンパク質)などを挙げることができ
る。なお、一般的に、タンパク質の分子量は、例えば、
分子量測定方法又は実験条件などの違いにより多少の差
が生じるので、HSP27ファミリーに属するタンパク
質の中には、例えば、哺乳動物におけるHSP27とH
SP28とのように、分子量表記が異なっていても、そ
れらがアミノ酸配列の異なる別異のタンパク質であるの
か、あるいは単に分子量表記のみが外見上異なる同一の
タンパク質であるのかが、現在のところ明らかではない
ものも含まれている。HSP27ファミリーに属するタ
ンパク質は、前記の低分子HSPファミリーに属する熱
ショックタンパク質のうち哺乳動物において最も主要な
熱ショックタンパク質であり、生物種を超えてよく保存
された特徴を示す。しかし、HSP27ファミリーに属
するタンパク質は、他の熱ショックタンパク質とは異な
り、種ごとに異なる分子量を有しており、分子量16k
D〜40kDと、非常に多様なタンパク質である。ま
た、HSP27とアミノ酸配列の相同性の高いα−Bク
リスタリンも熱ショック処理で誘導され、HSP27フ
ァミリーに属するタンパク質の一つである
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の合成抑制剤は、有効成分として前記式
(I)で表されるベルベリン誘導体又はその薬剤学的に
許容される塩を含有する。炭素数1〜3のアルキル基と
は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、又
はi−プロピル基である。前記式(I)で表される化合
物において、R1 及びR2 はそれぞれ独立して前記の炭
素数1〜3のアルキル基であることができる。本発明の
合成抑制剤において有効成分として使用することのでき
るベルベリン誘導体としては、式(II):
【化4】 で表されるベルベリン(berberine)が好まし
い。ベルベリンは、例えば、オウバク又は黄連等の生薬
に含まれている。
【0015】また、本発明の合成抑制剤において使用す
ることのできる、薬剤学的に許容されるベルベリン誘導
体の塩には、有機酸又は無機酸との薬剤学的に許容され
る塩が含まれ、例えば、塩酸塩、硫酸塩、メタンスルホ
ン酸塩、又はp−トルエンスルホン酸塩、更には、シュ
ウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、又はフマル酸
などのジカルボン酸との塩、更に、酢酸、プロピオン
酸、又は酪酸などのモノカルボン酸との塩などを挙げる
ことができ、特には塩酸塩、例えば、塩化ベルベリン
(塩酸ベルベリン;berberine chlori
de)が最も好適である。塩化ベルベリンは、式(II
I):
【化5】 で表される化合物である。
【0016】本発明の合成抑制剤に含有されるベルベリ
ン誘導体又はその薬剤学的に許容される塩は、化学合成
によって、又は天然物から抽出して精製することによっ
て、調製することができる。あるいは、市販品を用いて
もよい。本発明の合成抑制剤において有効成分として用
いるベルベリン誘導体又はその薬剤学的に許容される塩
を、天然物から抽出する場合には、例えば、ベルベリン
誘導体又はその薬剤学的に許容される塩を含有する植物
の全体又は一部分(例えば、全草、葉、根、根茎、茎、
根皮、若しくは花)をそのまま用いて、又は簡単に加工
処理(例えば、乾燥、切断、湯通し、蒸気加熱、若しく
は粉末化)したもの(例えば、生薬)を用いて抽出す
る。抽出条件は一般的に植物抽出に用いられる条件なら
ば特に制限はない。ベルベリンを含有する植物として
は、これに限定するものではないが、例えば、キハダ
(Phellodendron amurense R
uprecht)又はオウレン(Coptis jap
onicaMakino)等を使用することができる。
【0017】本発明におけるベルベリン又はその薬剤学
的に許容される塩を生薬から抽出する場合、これに限定
するものではないが、例えば、オウバク又は黄連から抽
出することが好ましい。オウバク(黄柏;Phello
dendri Cortex;Phellodendr
on Bark)とは、キハダ(Phellodend
ron amurense Ruprecht)又はそ
の同属植物(Rutaceae)の周皮を除いた樹皮を
意味し、それらの部分を単独であるいは任意に組み合わ
せて使用することができる。黄連(Coptidis
Rhizoma;Coptis Rhizome)と
は、オウレン(Coptis japonica Ma
kino)又はその同属植物(Ranunculace
ae)の根をほとんど除いた根茎を意味し、それらの部
分を単独であるいは任意に組み合わせて使用することが
できる。なお、本明細書においては、便宜上、植物とし
ての『オウレン』と、生薬としての『黄連』とを、カタ
カナと漢字で区別して表記する。
【0018】本発明による合成抑制剤において有効成分
として用いることのできるオウバク抽出物又は黄連抽出
物は、前記のベルベリン又はその薬剤学的に許容される
塩を含有していればよく、従って、オウバクの粗抽出物
又は黄連の粗抽出物を用いることができる。本発明で用
いることのできるオウバク抽出物又は黄連抽出物の製造
方法としては、黄連又はオウバクを、水(例えば、冷
水、温水、又は熱湯)によって抽出するか、又は有機溶
媒を用いて抽出することによって、得ることができる。
有機溶媒としては、例えば、炭素数1〜6のアルコール
(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−
プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、若しく
はブチルアルコール)、エステル(例えば、酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸プロピル、若しくは酢酸ブチ
ル)、ケトン(例えば、アセトン若しくはメチルイソブ
チルケトン)、エーテル、石油エーテル、n−ヘキサ
ン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン、炭化水素の
ハロゲン誘導体(例えば、四塩化炭素、ジクロロメタ
ン、若しくはクロロホルム)、ピリジン、グリコール
(例えば、プロピレングリコール、若しくはブチレング
リコール)、ポリエチレングリコール、又はアセトニト
リルなどを用いることができ、これらの有機溶媒を単
独、又は適宜組み合わせ、一定の比率で混合し、更には
無水又は含水状態で用いることができる。好ましくは、
メチルアルコール等が望ましい。水抽出又は有機溶媒抽
出の方法としては、通常の生薬抽出に用いられる方法を
用いることができ、例えば、(乾燥)オウバク又は黄連
1重量部に対し、水又は有機溶媒3〜300重量部を用
いて、攪拌しながら、その沸点以下の温度で加熱還流、
常温で超音波抽出、あるいは冷浸することが望ましい。
抽出工程は、通常は5分〜7日間、好ましくは10分〜
60時間実施し、必要に応じて、攪拌等の補助的手段を
加えることにより、抽出時間を短縮することができる。
なお、抽出処理をする前に、例えば、エーテル又はベン
ゼン等により脱脂することが、より好ましい。
【0019】抽出工程終了後、濾過又は遠心分離等の適
当な方法により、水又は有機溶媒抽出液から、不溶物を
分離して粗抽出物を得ることができる。なお、本発明の
合成抑制剤において、天然物より抽出、分画したベルベ
リン又はその薬剤学的に許容される塩を用いる場合に
は、前記の粗抽出物を特に精製することなく、そのまま
使用してもよい。常法による水抽出物又は有機溶媒抽出
物の他に、前記の粗抽出物を各種有機溶媒又は吸着剤等
により、更に処理した精製抽出物も、本発明の合成抑制
剤の有効成分として用いることができる。これらの粗抽
出物及び各種の精製処理を終えた精製抽出物を含むオウ
バク抽出物又は黄連抽出物は、抽出したままの溶液を用
いても、溶媒を濃縮したエキスを用いても良いし、溶媒
を留去し乾燥した粉末、更には結晶化して精製したも
の、あるいは粘性のある物質を用いても良く、またそれ
らの希釈液を用いることもできる。こうして得られたオ
ウバク抽出物又は黄連抽出物は、オウバク又は黄連に含
まれるベルベリン、又はその薬剤学的に許容される塩を
含み、同時に原料のオウバク又は黄連に由来する不純物
を含んでいる。
【0020】本発明の合成抑制剤は、ベルベリン誘導体
又はその薬剤学的に許容される塩、ベルベリン誘導体又
はその薬剤学的に許容される塩を含有する植物の抽出
物、例えば、ベルベリン誘導体又はその薬剤学的に許容
される塩を含有する生薬の抽出物(特には、オウバク抽
出物又は黄連抽出物)を、それ単独で、又は好ましくは
製剤学的若しくは獣医学的に許容することのできる通常
の担体と共に、動物、好ましくは哺乳動物(特にはヒ
ト)に投与することができる。投与剤型としては、特に
限定がなく、例えば、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カ
プセル剤、懸濁液、エマルジョン剤、シロップ剤、エキ
ス剤、若しくは丸剤等の経口剤、又は注射剤、外用液
剤、軟膏剤、坐剤、局所投与のクリーム、若しくは点眼
薬などの非経口剤を挙げることができる。これらの経口
剤は、例えば、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、澱
粉、コーンスターチ、白糖、乳糖、ぶどう糖、マンニッ
ト、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、ポリ
ビニルピロリドン、結晶セルロース、大豆レシチン、シ
ョ糖、脂肪酸エステル、タルク、ステアリン酸マグネシ
ウム、ポリエチレングリコール、ケイ酸マグネシウム、
無水ケイ酸、又は合成ケイ酸アルミニウムなどの賦形
剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進
剤、希釈剤、保存剤、着色剤、香料、矯味剤、安定化
剤、保湿剤、防腐剤、又は酸化防止剤等を用いて、常法
に従って製造することができる。例えば、塩化ベルベリ
ン1重量部と乳糖99重量部とを混合して充填したカプ
セル剤などである。
【0021】非経口投与方法としては、注射(皮下、静
脈内等)、又は直腸投与等が例示される。これらのなか
で、注射剤が最も好適に用いられる。例えば、注射剤の
調製においては、有効成分としてのベルベリン誘導体又
はその薬剤学的に許容される塩、又はベルベリン誘導体
又はその薬剤学的に許容される塩を含有する植物の抽出
物、例えば、ベルベリン誘導体又はその薬剤学的に許容
される塩を含有する生薬の抽出物(特には、オウバク抽
出物又は黄連抽出物)の他に、例えば、生理食塩水若し
くはリンゲル液等の水溶性溶剤、植物油若しくは脂肪酸
エステル等の非水溶性溶剤、ブドウ糖若しくは塩化ナト
リウム等の等張化剤、溶解補助剤、安定化剤、防腐剤、
懸濁化剤、又は乳化剤などを任意に用いることができ
る。また、本発明の合成抑制剤は、徐放性ポリマーなど
を用いた徐放性製剤の手法を用いて投与してもよい。例
えば、本発明の合成抑制剤をエチレンビニル酢酸ポリマ
ーのペレットに取り込ませて、このペレットを治療すべ
き組織中に外科的に移植することができる。
【0022】本発明の合成抑制剤は、これに限定される
ものではないが、ベルベリン誘導体又はその薬剤学的に
許容される塩を、0.01〜99重量%、好ましくは
0.1〜80重量%の量で含有することができる。ま
た、ベルベリン誘導体又はその薬剤学的に許容される塩
を含有する植物の抽出物、例えば、ベルベリン誘導体又
はその薬剤学的に許容される塩を含有する生薬の抽出物
(特には、オウバク抽出物又は黄連抽出物)を有効成分
として含有する本発明の合成抑制剤は、その中に含まれ
るベルベリン誘導体又はその薬剤学的に許容される塩が
前記の量範囲になるように適宜調整して、調製すること
ができる。なお、ベルベリン誘導体又はその薬剤学的に
許容される塩を含有する植物の抽出物、例えば、ベルベ
リン誘導体又はその薬剤学的に許容される塩を含有する
生薬の抽出物(特には、オウバク抽出物又は黄連抽出
物)を有効成分として含有する合成抑制剤を、経口投与
用製剤とする場合には、製剤学的に許容することのでき
る担体を用いて、製剤化することが好ましい。
【0023】本発明の合成抑制剤を用いる場合の投与量
は、病気の種類、患者の年齢、性別、体重、症状の程
度、又は投与方法などにより異なり、特に制限はない
が、ベルベリン誘導体量として通常成人1人当り1mg
〜10g程度を、1日1〜4回程度にわけて、経口的に
又は非経口的に投与する。更に、用途も医薬品に限定さ
れるものではなく、種々の用途、例えば、機能性食品や
健康食品として飲食物の形で与えることも可能である。
【0024】
【作用】上記したように、本発明の合成抑制剤に含有さ
れるベルベリン誘導体又はその薬剤学的に許容される塩
は、細胞内のHSP27ファミリーに属するタンパク質
の合成を特異的に抑制する作用があるので、前記ベルベ
リン誘導体又はその薬剤学的に許容される塩を投与する
と細胞でのHSP27ファミリーに属するタンパク質の
生合成が特異的に減少する。従って、前記ベルベリン誘
導体又はその薬剤学的に許容される塩は、例えば、HS
P27ファミリーに属するタンパク質がその悪性化に関
連する癌の予防及び治療、HSP27ファミリーに属す
るタンパク質がその療法への障害となる温熱耐性に関連
する癌温熱療法の効果の増強、又はHSP27ファミリ
ーに属するタンパク質がその発症に関連する多発性硬化
症などの自己免疫疾患の予防及び治療などに使用するこ
とができる。また、HSP27ファミリーに属するタン
パク質の発現と薬剤耐性とが相関するとの報告もあるの
で("Breast Cancer Res. Treat.", 23: 178, 1992;
"Cancer Res.", 51: 5245-5252, 1991)、HSP27フ
ァミリーに属するタンパク質の発現を抑制することによ
り、薬剤耐性を抑え、化学療法の効果を増強することも
可能である。
【0025】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。実施例1:ヒト培養癌細胞のHSP発現量の測定 (1)ヒト培養癌細胞の培養 以下の各種ヒト培養癌細胞を、5%二酸化炭素条件下
で、熱ショック処理時以外は、37℃で培養した。肺癌
細胞株H69(ATCC HTB 119)、胃癌細胞
株KATO III (ATCC HTB 103)、大腸
癌細胞株COLO205(ATCC CCL 22
2)、及び前立腺癌細胞株DU 145(ATCC H
TB 81)は、10%非働化ウシ胎児血清(以下、F
BSと称する)含有RPMI1640培地中で培養し
た。子宮癌細胞株HeLa S3(ATCC CCL
2.2)は、10%非働化FBSを含むMEM培地にて
培養した。神経腫瘍細胞株(神経芽細胞腫)SK−N−
MC(ATCC HTB 10)は、非必須アミノ酸
(L−アラニン8.9mg/l、L−アスパラギン・H
2 O15.0mg/l、L−アスパラギン酸13.3m
g/l、L−グルタミン酸14.7mg/l、グリシン
7.5mg/l、L−プロリン11.5mg/l及びL
−セリン10.5mg/l)及び10%非働化FBSを
含むMEM培地にて培養した。
【0026】(2)塩化ベルベリン処理及び熱ショック
処理 播種2日後の前記各種培養ヒト癌細胞の培地中に、最終
濃度20μMになるように前記式(II)で表される塩化
ベルベリン(松浦薬業)を添加し、24時間培養した。
その後、45℃にて15分間熱ショック処理をしてか
ら、37℃にて終夜培養した。対照試験は、塩化ベルベ
リンを添加しないこと以外は前記と同様に実施した。
【0027】(3)ヒト培養癌細胞でのHSP発現量の
測定 前項(2)で処理した各細胞を、以下に示す方法により
ホモジナイズし、HSP発現量をウェスタンブロット法
にて測定した。すなわち、前項(2)で処理した細胞
を、リン酸緩衝生理食塩水〔組成:KCl=0.2g/
l,KH2 PO4 =0.2g/l,NaCl=8g/
l,Na2HPO4 (無水)=1.15g/l;以下、
PBS(−)と称する〕で洗浄した後、ライシスバッフ
ァー(lysis buffer)〔1.0%NP−4
0、0.15M塩化ナトリウム、50mMトリス−HC
l(pH8.0)、5mM−EDTA、2mM−N−エ
チルマレイミド、2mMフェニルメチルスルホニルフル
オリド、2μg/mlロイペプチン及び2μg/mlペ
プスタチン〕1mlを加え、氷上で20分間静置した。
その後、4℃で12000rpmにて、20分間、遠心
を行った。遠心後の上清10μlをPBS(−)790
μlに加え、更にプロテインアッセイ染色液(Dye Reag
ent Concentrate : バイオラッド,カタログ番号500-00
06)200μlを加えた。5分間、室温にて静置した
後、595nmで吸光度を測定してタンパク質定量を行
った。
【0028】タンパク質定量を行った試料を用いて、L
aemmliのバッファー系(Laemmli, N. K., "Natur
e", 283 : pp. 249-256, 1970)にて、等量のタンパク質
を含むライセートのSDSポリアクリルアミドゲル電気
泳動を行った。電気泳動後、ブロッティング及びそれに
続くブロッキングを行った。すなわち、タンパク質転写
装置(Trans-Blot Electrophoretic Transfer Cell:バ
イオ・ラッド,カタログ番号170-3946)を用いて、室温
にて100Vにて、0.45μmニトロセルロース膜
(Schleicher & Schuell,カタログ番号401196)にゲル
を密着させ、3時間ブロッティングを行った。ブロッテ
ィングバッファーとしては、0.025Mトリス及び
0.192MグリシンよりなりpH8.5に調整された
トリスグリシンバッファー(Tris Gly Running and Blo
tting Buffer;Enprotech, 米国マサチューセッツ州,
カタログ番号 SA100034)にメチルアルコールを20%に
なるように加えて調製したバッファーを用いた。ブロッ
ティング後、ニトロセルロース膜を10%スキムミルク
(雪印乳業)−PBS(−)溶液に室温にて30分間、
インキュベートし非特異的結合をブロックした。
【0029】ブロッキング後、ニトロセルロース膜の上
で、抗ヒトHSP27マウスモノクローナル抗体(Stre
ssGen, Victoria, B.C., Canada, カタログ番号 SPA-8
00)により、1次抗体反応を行った。この抗ヒトHSP
27マウスモノクローナル抗体は、ヒト乳癌細胞株MC
F7(ATCC HTB 22)より単離したHSP2
4を免疫原として作製した抗体であり("Cancer Res.",
42, 4256-4258, 1982)、HSP27(ヒトHSP2
7、チンパンジーHSP27、及びヒツジHSP27)
と特異的に反応し("Cancer Res.", 42, 4256-4258, 1
982 ; "Cancer Res.", 43, 4297-4301, 1983)、HSP
24及びHSP28とも特異的に反応する。1次抗体反
応後、PBS(−)で5分間ずつ、溶液を取り替えて2
回の洗浄をスロー・ロッキング・シェイカーによって行
い、更にPBS(−)−0.1%Tween20(バイ
オ・ラッド,カタログ番号170-6531)溶液で15分間ず
つ、溶液を取り替えて4回の洗浄を行った。最終的に、
PBS(−)で5分間ずつ、2回の洗浄を行った。
【0030】洗浄終了後、ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗
マウスIgG抗体(CAPPEL,カタログ番号55550)を、2
%スキムミルクを含むPBS(−)溶液で5000倍に
希釈して調製した抗体溶液5mlを用いて、2時間、2
次抗体反応を行った。反応終了後、ニトロセルロース膜
に関して、PBS(−)溶液で5分間ずつ溶液を変えて
2回、更にPBS(−)−0.1%Tween20溶液
で15分間ずつ溶液を変えて5回の洗浄をスロー・ロッ
キング・シェイカーにより行った。最後にPBS(−)
溶液で5分間ずつ2回の洗浄を行った。余分なPBS
(−)溶液を除去した後、ウェスタンブロッティング検
出試薬(ECL Western blotting detectionreagent;Ame
rsham,カタログ番号RPN2106)をニトロセルロース膜上
に振りかけ、1分間インキュベートした後、余分な検出
試薬を除去し、ニトロセルロース膜をラップに包み、反
応面をX線フィルム(コダック X-OMAT, AR, カタログ
番号165 1454)に密着させて露光し、現像してHSP2
7の有無の検討を行った。結果を表1に示す。表中、
「↓」は、対照に比べて、塩化ベルベリン処理によりH
SP27発現量が減少したことを意味する。
【0031】
【表1】癌種 癌細胞 子宮 HeLa S3 ↓ 肺 H69 ↓ 胃 KATO III ↓ 大腸 COLO 205 ↓ 前立腺 DU 145 ↓神経 SK−N−MC ↓
【0032】対照試験、すなわち、塩化ベルベリンを添
加しなかった細胞では、子宮癌細胞株HeLa S3、
肺癌細胞株H69、胃癌細胞株KATO III 、大腸癌
細胞株COLO 205、前立腺癌細胞株DU 14
5、及び神経腫瘍細胞株SK−N−MCにおいて、分子
量約27kDのバンドが一本検出された。なお、分子量
は、前記抗ヒトHSP27マウスモノクローナル抗体と
の結合、及び分子量マーカー(ダイズトリプシンインヒ
ビター及びウシカーボニックアンヒドラーゼ)により決
定した。塩化ベルベリンを添加した細胞では、子宮癌細
胞株HeLa S3、肺癌細胞株H69、前立腺癌細胞
株DU 145、及び神経腫瘍細胞株SK−N−MCに
おいて、分子量約27kDのバンドが検出されなかっ
た。胃癌細胞株KATO III 、及び大腸癌細胞株CO
LO 205においては、対照試験に比べて分子量約2
7kDのバンドの濃度が薄くなった。すなわち、塩化ベ
ルベリンは、HSP27の発現を抑制する合成抑制剤の
活性を有するものと結論することができる。
【0033】
【発明の効果】以上詳述したように、ベルベリン誘導体
又はその薬剤学的に許容される塩は、細胞内のHSP2
7ファミリーに属するタンパク質の発現を抑制する合成
抑制剤の活性を有する。従って、ベルベリン誘導体又は
その薬剤学的に許容される塩を投与することにより、例
えば、HSP27ファミリーに属するタンパク質がその
悪性化や温熱療法の効果の減少に関連する癌、その発症
に関連する多発性硬化症などの自己免疫疾患の患者の生
理学的状態を有効に改善させ、前記病気を効果的に治療
することができる。また、HSP27ファミリーに属す
るタンパク質発現と薬剤耐性とが相関するとの報告もあ
るので("Breast Cancer Res. Treat.",23: 178, 1992;
"Cancer Res.", 51: 5245-5252, 1991)、HSP27フ
ァミリーに属するタンパク質の発現を抑制することによ
り、薬剤耐性を抑え、化学療法の効果を増強することも
可能である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I): 【化1】 (式中、R1 及びR2 は炭素数1〜3のアルキル基であ
    る)で表されるベルベリン誘導体又はその薬剤学的に許
    容される塩を有効成分として含有することを特徴とす
    る、分子量16キロダルトンから40キロダルトンまで
    の間の熱ショックタンパク質の合成抑制剤。
  2. 【請求項2】 式(I): 【化2】 (式中、R1 及びR2 は炭素数1〜3のアルキル基であ
    る)で表されるベルベリン誘導体又はその薬剤学的に許
    容される塩を含有する植物の抽出物を有効成分として含
    有することを特徴とする、分子量16キロダルトンから
    40キロダルトンまでの間の熱ショックタンパク質の合
    成抑制剤。
  3. 【請求項3】 オウバク又は黄連の抽出物を有効成分と
    して含有することを特徴とする、分子量16キロダルト
    ンから40キロダルトンまでの間の熱ショックタンパク
    質の合成抑制剤。
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