JPH09174286A - タイコ管溶接装置のポジショナー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 管体の両端部にフランジを溶接してタイコ管
を形成する時に、フランジを簡単に保持させることので
きるポジショナーを提供する。 【解決手段】 ポジショナー１の下部に並設した２つの
支持ローラ４の外周部に刻設した環状溝５にフランジの
外周部を嵌め入れるようにしてフランジを自立し易く
し、更には上部に押えローラ１６を上下に昇降自在に配
設して、自立させたフランジを上下のローラにより挾み
込むようにしてフランジを保持する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、管体の両端部にフ
ランジを有するタイコ管を形成するタイコ管溶接装置に
おいてフランジを保持するポジショナーに関する。

【０００２】

【従来の技術】最近、ビル等の配管工事において、パイ
プ、エルボ、フランジといった配管部材を予め工場で所
定の形状になるように組み合わせて溶接し、ユニット配
管として建設現場に供給し、建設現場では供給されたユ
ニット配管を順次連結することで所望の配管設備を完成
するユニット配管工法が採用されるようになってきてい
る。

【０００３】このユニット配管の一つに、管体の両端部
にフランジを溶接したタイコ管というものがあり、この
タイコ管を形成する場合、ポジショナーと呼ばれるフラ
ンジ保持装置にフランジの一つを保持させ、該フランジ
に管体の一端部を当接させ、その当接部を溶接機により
溶接し、管体の一端部へのフランジの溶接を完了すると
ポジショナーから一旦開放し、もう一つのフランジをポ
ジショナーに保持させ、そのフランジに管体の他端部を
当接させ、その当接部を溶接機により溶接してタイコ管
を完成させている。

【０００４】そして、このタイコ管の形成時に用いられ
るポジショナーの一つに、下部に２つのローラを並設す
ると共に、上部に昇降自在とした別のローラを配設し、
フランジを保持させる場合には、下部のローラにフラン
ジを立てるように載置すると共に、上部ローラを降下さ
せて下部ローラと上部ローラとによりフランジの外周部
を挾み込んで回転自在に保持するようにしている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
フランジ挾み込み方式に採用されるローラは、一般にそ
の外周面は平坦なものが多く、下部ローラにフランジを
立てようとすると倒れ易く、フランジの径が大きくなれ
ばなるほどその傾向が大きくなり、この方式のポジショ
ナーでは、上部ローラを降下させて上下のローラ間にフ
ランジを挾み込むまでの間、下部ローラに立てたフラン
ジを手で支えておく必要があり、その作業は煩わしく、
手間のかかるものとなっている。

【０００６】本発明は上記の点に鑑み、タイコ管の形成
時にフランジを容易に保持させることのできるタイコ管
溶接装置のポジショナーを提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために、管体の両端部にフランジを溶接してタ
イコ管を形成するときに、前記フランジを保持するタイ
コ管溶接装置のポジショナーにおいて、下部に前記フラ
ンジを支持する２つの支持ローラを並設すると共に、上
部に前記フランジを上方から押える押えローラを上下に
昇降自在に配設し、前記２つの支持ローラの外周部には
前記フランジの外周部を嵌入させる環状溝を刻設したこ
とを特徴としている。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明のタイコ管溶接装置のポジ
ショナーによれば、管体の端部に溶接するフランジをポ
ジショナーに保持させるとき、ポジショナーの２つの下
部ローラに刻設した環状溝に溶接しようとするフランジ
の外周部を嵌入すると、フランジは下部ローラ上で容易
に自立して転倒することがないので、上部ローラを降下
させて上下ローラ間にフランジを挾み込むとき、フラン
ジを手で支えるといった煩わしい作業をする必要が無く
なる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

【００１０】図中１は基台２上に搭載したポジショナー
であって、ポジショナー１は基台２上面に対向させて立
設した一対の支持板３の間に、２つの支持ローラ４を回
転自在に並設し、これらの支持ローラ４の外周部にはフ
ランジを嵌め入れる環状溝５を刻設している。この環状
溝５は保持しようとするフランジの厚みを考慮すると共
に溝深さはフランジが自立し易い深さとしている。

【００１１】また、支持ローラ４は減速機６を介在させ
たサーボモータ７にカップラー８及び回転軸９を介して
連結しており、サーボモータ７の回転数の制御により支
持ローラ４の回転数を溶接条件に応じて変速可能なよう
にしている。

【００１２】１０は支持板３の側方に立設した支柱であ
って、支柱１０の側部には案内レール１１を上下方向に
取り付けると共に、案内レール１１には案内レール１１
に沿って昇降する昇降梁１２を配設している。

【００１３】昇降梁１２の後部端にはナット１３を固着
し、該ナット１３には支柱１０に沿って立設したスクリ
ューシャフト１４を螺着し、スクリューシャフト１４を
ハンドル１５により回転させることにより昇降梁１２を
支柱１０に沿って上下に昇降させるようにしている。

【００１４】昇降梁１２の先端部には押えローラ１６を
回転自在に軸着し、押えローラ１６の外周部にも前記支
持ローラ４と同様に環状溝１７を刻設し、押えローラ１
６と支持ローラ４とによりフランジを挾み込み易くして
いる。

【００１５】１８はポジショナー１に対する補助支持装
置であって、基台１９上に基台１９の長手方向に沿って
ガイドレール２０を敷設し、ガイドレール２０には走行
支持台２１をガイドレール２０に沿って走行可能にし、
走行支持台２１には上部に補助ローラ２２を回転自在に
取り付けた上下に昇降可能なローラ受台２３を配設する
と共に、ローラ受台２３にはハンドル２４により回転さ
せるスクリューシャフト２５を取り付け、ハンドル２４
の回転によりローラ受台２３を昇降させて補助ローラ２
２を所定の高さに調節するようにしている。

【００１６】２６はポジショナー１により保持したフラ
ンジ等の配管部材を溶接する溶接用ロボットである。溶
接用ロボット２６は横長の基台２７の上面に走行用レー
ル２８を基台２７の長手方向に沿って敷設すると共に、
走行用レール２８に走行体２９を走行自在に配設してい
る。走行体２９の走行は走行用モータにより走行させる
ことも可能であるし、また手動により走行させても良
く、タイコ管の生産能力に応じて適宜設計するようにす
ると良い。

【００１７】走行体２９の上面には支柱３０を立設し、
支柱３０の側部には上下方向にガイドバー３１を固着し
ている。ガイドバー３１には昇降板３２を裏側の４隅に
取り付けたガイドローラ３３によりガイドバー３１を挾
持させるようにして取り付けて昇降板３２をガイドバー
３１に沿って上下に昇降可能としている。

【００１８】昇降板３２の裏側にはナット３４を固着し
ており、ナット３４には支柱３０の内部に立設し、下部
に配設したハンドル３５により回転させるようにしたス
クリューシャフト３６を螺着し、スクリューシャフト３
６の回転により昇降板３２を上下に昇降可能としてい
る。

【００１９】また、昇降板３２の表側の４隅にも別のガ
イドローラ３７を配設し、ガイドローラ３７には水平ア
ーム３８の裏側に取り付けたスライドガイド３９の側端
部を嵌め入れて水平アーム３８を水平方向に移動自在と
し、水平アーム３８の下部には水平アーム３８の移動を
規制して固定する固定ハンドル４０を配設している。

【００２０】水平アーム３８の先端部には縦方向微動装
置４１と横方向微動装置４２を配設しており、縦方向微
動装置４１は水平アーム３８の先端部に固着した支持部
材４３にハンドル４４を有するスクリューシャフト４５
を縦方向に配設し、このスクリューシャフト４５に縦微
動金具４６を螺着し、スクリューシャフト４５の回転に
より縦微動金具４６を縦方向に微動させるようにしてい
る。

【００２１】更に、縦微動金具４６に固着した支持部材
４７にはハンドル４８を有するスクリューシャフト４９
を横方向に配設し、このスクリューシャフト４９に横微
動金具５０を螺着し、スクリューシャフト４９の回転に
より横微動金具５０を横方向に微動させるようにしてい
る。

【００２２】横微動金具５０の先端部にはＬ字状金具５
１を取り付けると共に、Ｌ字状金具５１の先端部には横
方向に所定のストロークで往復運動をする第１のウイー
ビング装置５２を水平方向に回動自在に取り付けてい
る。第１のウイービング装置５２は支持部材５３に対し
て横方向にスライドシャフト５４を配設し、スライドシ
ャフト５４にウイービング体５５を摺動自在に取り付け
ると共に、ウイービング体５５にスクリューシャフト５
６を螺着し、スクリューシャフト５６をサーボモータ５
７により所定の周期で正逆回転させることによりウイー
ビング体５５をウイービングさせるようにしている。

【００２３】また、第１のウイービング体５５には第１
のウイービング体５５のウイービング方向と直交する方
向に第２のウイービング体５８をウイービングさせる第
２のウイービング装置５９を取り付けており、第２のウ
イービング装置５９も第１のウイービング装置５２と同
様に第１のウイービング体５５に固着した支持部材６０
に取り付けたスライドシャフト６１に第２のウイービン
グ体５８を取り付け、スクリューシャフト６２をサーボ
モータ６３の正逆回転により第２のウイービング体５８
をウイービングさせるようにしており、この第２のウイ
ービング体５８の先端部に溶接トーチ６４を取り付けて
いる。

【００２４】しかして、管体の両端部にフランジを溶接
してタイコ管を形成する場合、先ずポジショナー１のハ
ンドル１５を操作して昇降梁１２を上昇させ、昇降梁１
２に配設した押えローラ１６を上昇させて支持ローラ４
と押えローラ１６との間の間隔を開けて所定のフランジ
が装着可能なようにする。

【００２５】そして支持ローラ４の環状溝５に管体の一
端部に溶接しようとするフランジの外周部を嵌め入れる
ようにしてフランジを立設する。この環状溝５によって
フランジを容易に自立させることができる。フランジを
立設すると再びハンドル１５を操作して押えローラ１６
を降下させ、フランジを下部の支持ローラ４と上部の押
えローラ１６との間に挾み込む。

【００２６】補助支持装置１８の補助ローラに２２に溶
接しようとする管体を載置し、その一端部をポジショナ
ー１に装着したフランジに当接させて管体とフランジと
の位置合わせをする。そして溶接部を一旦仮溶接してフ
ランジと管体とを固定する。

【００２７】フランジと管体とを固定すると、次に溶接
用ロボット２６を駆動して溶接部を溶接する。このと
き、溶接用ロボット２６の走行体２９、水平アーム３
８、縦方向微動装置４１、横方向微動装置４２等の各動
作軸を移動させて溶接トーチの先端部をフランジと管体
との溶接部に接近させ、一度、ポジショナー１のサーボ
モータ７を駆動させて溶接部に対するティーチング操作
を行う。その後、溶接ロボット２６を駆動すると共に、
ポジショナー１のサーボモータ７を制御してフランジを
所定速度で回転させて溶接用ロボット２６による溶接を
行うのである。

【００２８】こうして管体の一端側に当接させたフラン
ジの溶接が完了すると、一旦、ポジショナー１から溶接
の完了したフランジと管体とを取り外すと共に、ポジシ
ョナー１に別のフランジを装着する。そして今度は一端
部にフランジを溶接した先ほどの管体の他端部をポジシ
ョナ一１に装着したフランジに当接させると共に仮溶接
し、その後、溶接ロボット２６により先ほどの手順でフ
ランジと管体とを溶接して一つのタイコ管を完成するの
である。

【００２９】

【発明の効果】以上のように本発明に係るタイコ管溶接
装置のポジショナーにあっては、ポジショナー１の下部
にフランジを支持する２つの支持ローラ４を並設してそ
の支持ローラ４の円周部にフランジの円周部を嵌入させ
る環状溝５を刻設し、更に上部にフランジを上方から押
える押えローラ１６を上下に昇降自在に配設したので、
ポジショナー１によりフランジを保持させるとき、下部
の２つの支持ローラ４の環状溝５にフランジを嵌め入れ
て容易に自立させることができて、押えローラ１６によ
り挾み込むまでの間もフランジを手で支えるといった作
業をする必要が無くなり、作業の煩わしさを解消して作
業の効率を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のタイコ管溶接装置のポジショナーの一
実施例を示す正面図である。

【図２】図１の平面図である。

【図３】図１の右側面図である。

【符号の説明】

１…ポジショナー ４…支持ロー
ラ ５…環状溝 １６…押えロー
ラ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】管体の両端部にフランジを溶接してタイコ
   管を形成するときに、前記フランジを保持するタイコ管
   溶接装置のポジショナーにおいて、下部に前記フランジ
   を支持する２つの支持ローラを並設すると共に、上部に
   前記フランジを上方から押える押えローラを上下に昇降
   自在に配設し、前記２つの支持ローラの外周部には前記
   フランジの外周部を嵌入させる環状溝を刻設したことを
   特徴とするタイコ管溶接装置のポジショナー。