JPH09173775A - 吸音材 - Google Patents

吸音材

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Publication number
JPH09173775A
JPH09173775A JP7334452A JP33445295A JPH09173775A JP H09173775 A JPH09173775 A JP H09173775A JP 7334452 A JP7334452 A JP 7334452A JP 33445295 A JP33445295 A JP 33445295A JP H09173775 A JPH09173775 A JP H09173775A
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JP
Japan
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titanium dioxide
coating
porous body
absorbing material
sound absorbing
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Application number
JP7334452A
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English (en)
Inventor
Akitsugu Ibusuki
堯嗣 指宿
Hiroshi Takeuchi
浩士 竹内
Nobuaki Negishi
信彰 根岸
Kazunobu Oota
和亘 太田
Takahiro Doi
尊弘 土井
Satoru Tachika
悟 田近
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Sekisui Jushi Corp
Original Assignee
Agency of Industrial Science and Technology
Sekisui Jushi Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】騒音の低減を図ると共に窒素酸化物の除去も図
ることのできる吸音材を提供する。 【解決手段】多孔質体1に、二酸化チタンを含有する被
膜2を形成する。多孔質体1により騒音の低減を図るこ
とができ、また被膜2の二酸化チタンに光が照射される
と二酸化チタンが活性化され、この活性化された二酸化
チタンに空気中の窒素酸化物が触れると、窒素酸化物は
二酸化チタンの活性による強い酸化力で硝酸等に酸化さ
れて除去できる。しかも多孔質体1は多孔構造により無
孔質材に較べて露出されている表面積が大きく、この多
孔質体1に形成された被膜2の二酸化チタンは、空気中
の窒素酸化物に触れる表面積も大きくなることから、効
果的に窒素酸化物が除去される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として、車両等
の走行に伴う騒音を遮音、吸音するために、高速道路や
鉄道の沿線等に沿って設置される防音壁や、また橋梁や
高架道路橋、堀割、半地下道路等の構造体の下面部や壁
面、天井面等に取付けられる吸音構造体等に好適に用い
られる吸音材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の吸音材としては一般には
多孔質体から形成され、多孔質体としては、一般にはグ
ラスウールやロックウールからなるもの、アルミニウム
等の金属繊維からなるもの、金属繊維をバインダーを介
して結合させたもの、金属粉末やセラミック粉末、金属
短繊維等を焼結した焼結材からなるもの、また金属発泡
材や有機発泡材、無機発泡材等の発泡材からなるもの等
が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の如き従来の吸音
材は、それが車両等の走行に伴う騒音を発する所に配置
されることにより、それなりの騒音公害を低減できるも
のであるが、近年車両等の走行に伴う公害としては、他
に車両等の排気ガスから排出される窒素酸化物による環
境汚染の問題が指摘されている。この窒素酸化物は、人
体に呼吸器障害を誘発するといわれ、また太陽紫外線、
炭化水素と関係してオキシダントを生成し、いわゆる光
化学スモッグを引き起こすものである。しかしながら上
記の如く、従来の吸音材は騒音公害の低減のみを目的と
したものであり、窒素酸化物による環境汚染については
何ら効果がないものであった。
【0004】そこで本発明は上記の如き問題を解決し、
騒音の低減を図ると共に窒素酸化物の除去も図ることの
できる吸音材を提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、吸音材にお
いて、如何にして効果的に騒音の低減を図ると共に窒素
酸化物の除去を図るかについて鋭意研究した結果、多孔
質体に、二酸化チタンを含有する被膜が形成された吸音
材は、上記の如く多孔質体により騒音の低減を図ること
ができること、また被膜の二酸化チタンに光が照射され
ると二酸化チタンが活性化され、この活性化された二酸
化チタンに空気中の窒素酸化物が触れると、窒素酸化物
は二酸化チタンの活性による強い酸化力で硝酸等に酸化
されて除去できること、しかも多孔質体は多孔構造によ
り無孔質材に較べて露出されている表面積が大きく、こ
の多孔質体に形成された被膜の二酸化チタンは、空気中
の窒素酸化物に触れる表面積も大きくなることから、効
果的に窒素酸化物が除去できること等を知得し、本発明
を完成するに至った。
【0006】すなわち本発明に係る吸音材は、多孔質体
に、二酸化チタンを含有する被膜が形成されたことを特
徴とするものである。
【0007】本発明によれば、多孔質体に、二酸化チタ
ンを含有する被膜が形成されているので、多孔質体によ
り騒音の低減を図ることができ、また被膜の二酸化チタ
ンに光が照射されると二酸化チタンが活性化され、この
活性化された二酸化チタンに空気中の窒素酸化物が触れ
ると、窒素酸化物は二酸化チタンの活性による強い酸化
力で硝酸等に酸化されて除去できる。しかも多孔質体は
多孔構造により無孔質材に較べて露出されている表面積
が大きく、この多孔質体に形成された被膜の二酸化チタ
ンは、空気中の窒素酸化物に触れる表面積も大きくなる
ことから、効果的に窒素酸化物が除去される。
【0008】本発明において前記多孔質体は、微細な多
孔構造が形成される多孔質材からなるものであって、そ
の材質及び気孔率は特に限定されず、例えばグラスウー
ルやロックウールからなるもの、アルミニウム等の金属
繊維の集積体からなるもの、金属繊維をバインダーを介
して結合させたもの、金属粉末や粒子、セラミック粉末
や粒子或いは金属短繊維等を焼結した焼結材からなるも
の、また金属発泡材や有機発泡材、無機発泡材等の発泡
体からなるもの、またフライアッシュ粉末や焼成フライ
アッシュ粉末、粘土を溶融噴霧して得られる粉末等の粉
体とアルカリ金属硅酸塩と水とからなる無機質硬化体等
が適宜用いられるが、特にセラミック粉末や粒子を焼結
した焼結材から形成すれば、強度的に優れ、且つ二酸化
チタンの活性による強い酸化力に対しても劣化しにく
く、さらにこの二酸化チタンの酸化力により酸化されて
窒素酸化物から生ずる硝酸等にも侵されにくいので好ま
しい。なお前記セラミック粉末や粒子による多孔質体で
は、気孔率は一般に10〜90%程度、より好ましくは
20〜50%程度となされる。
【0009】前記多孔質体に形成される被膜に含有され
る二酸化チタンはルチル型でもよいが、活性の高さから
アナターゼ型のものが好ましく、この二酸化チタンに波
長領域が300〜400nmの紫外光を照射することに
よって活性化され、その活性化により強い酸化力が発揮
されて、二酸化チタンの表面に接する大気中の窒素酸化
物が水の存在によって硝酸等に酸化されて除去される。
二酸化チタンを活性化する前記紫外光は、太陽光に多く
含まれ、また水銀灯やブラックライト等の光にも含まれ
ているため、被膜に含有される二酸化チタンに太陽光を
照射したり、水銀灯やブラックライト等の紫外光を多く
含む人工光源を照射する等すれば、二酸化チタンは容易
に活性化される。
【0010】前記多孔質体に形成される被膜は、空気中
の窒素酸化物が二酸化チタンに触れるように二酸化チタ
ンが被膜面に露出されていることが必要であり、また窒
素酸化物ができるだけ多く除去される得るためには、ほ
ぼ二酸化チタンのみから形成されているのが好ましい
が、窒素酸化物を吸着するという点からは、二酸化チタ
ンと共に吸着剤が含有されていてもよい。このようにな
されていると吸着剤に窒素酸化物が吸着されると共に、
その吸着された窒素酸化物は二酸化チタンにより硝酸等
に酸化されるまで脱着されることが防止される。吸着剤
としては、活性炭、ゼオライト、カーボン等が一般に使
用される。
【0011】また二酸化チタンに効率よく窒素酸化物を
除去させるためには、二酸化チタンと空気との接触面積
をできるだけ大きくすることが好ましく、従って被膜は
多孔質体の微細な多孔構造をできるたけ塞ぐことなく、
この微細な多孔構造に沿って薄膜状で形成されているの
が好ましいが、あまり薄くし過ぎるとその被膜に含有さ
れる二酸化チタンの量も少なくなって窒素酸化物を効率
よく除去できなくなることから、例えば、ほぼ二酸化チ
タンのみから形成された被膜では、膜厚は一般には0.
1〜0.8μm程度とされる。また吸着剤等が含有され
た被膜にあっては、空気と触れる二酸化チタンの表面積
と、効率よく窒素酸化物を除去し得る二酸化チタンの量
とを勘案して適当な膜厚を決定する必要がある。しかし
ながら本発明では元々表面積が大きい多孔質体に前記被
膜が形成されているので、それ自体で空気と触れる二酸
化チタンの表面積は大きくなっているので、膜厚は特に
上記数値等に限定されるものではない。
【0012】さらに効率よく窒素酸化物を除去させるた
めに、二酸化チタンを含有する被膜は、多孔質状となさ
れているのが好ましい。このように多孔質状の被膜とな
されていると、二酸化チタンと空気との接触面積がさら
に大きくなると共に、形成された多くの孔に窒素酸化物
が吸着され、且つその吸着された窒素酸化物は二酸化チ
タンにより硝酸等に酸化されるまで脱着されることが防
止される。
【0013】前記多孔質体に、二酸化チタンを含有する
被膜を形成するには、多孔質体に、二酸化チタンの粉末
を溶融させて吹き付ける溶射法、化学反応を介して二酸
化チタンを析出させるCVD(化学的製膜法)、スプレ
ーにて吹き付けるスプレー法、二酸化チタンをスパッタ
蒸発させて沈着させるスパッタ蒸着法、真空蒸着等に適
宜方法が適用され、その方法は特に限定されるものでは
ない。
【0014】なお特に多孔質状の被膜を形成するには、
前記方法とは別に、チタンアルコキシドを用いて形成す
るのが好ましい。この方法は、チタンアルコキシドを加
水分解することによって得られるゾル液に多孔質体をデ
ィップコーティングした後、焼成して製膜する方法と、
多孔質体に、ポリエチレングリコールを添加したチタン
アルコキシドの溶液をコーティングし、大気中の水分に
より前記チタンアルコキシドを加水分解させた後、焼成
して製膜する方法とがあり、いずれの方法も本発明にお
いては適用される。なお前者の方法と後者の方法の相異
は、前者の方法は、予め加水分解によりゾル化されたチ
タンアルコキシドのゾル液を多孔質体にコーティングす
るのに対して、後者の方法は、ゾルになる前のチタンア
ルコキシドの溶液をコーティングし、ゾル化は大気中の
水分により多孔質体上で行わせるものである。この相異
により、前者では、被膜を適当な膜厚にするために複数
回コーティングする場合、一回コーティングする毎に焼
成し、この作業を複数回繰り返し反復する必要がある
が、後者では、コーティングのみを繰り返し連続して複
数回行い、しかる後最後に焼成を1回だけ行えばよい利
点がある。従って後者の方法では前者の方法と比較し
て、基本的に焼成が1回だけで済むために、エネルギー
コストが低く、製膜時間が短くなるメリットがある。も
ちろん後者においてもコーティング毎に焼成を繰り返す
ことを否定するものではない。
【0015】後者の方法をさらに詳細に説明すると、ま
ずポリエチレングリコールは、チタンアルコキシドの溶
液の粘度を調整し、且つ被膜を多孔質状にするために添
加するものであって、このポリエチレングリコールの分
子量によって形成される孔径が異なるため、窒素酸化物
が吸着されやすい孔径になるような分子量のものを使用
するのが好ましく、一般には300〜1500の分子量
のものが使用される。またチタンアルコキシドの溶液
は、溶媒として一般的にはエタノール、メタノール等が
用いられ、また急激な加水分解を防ぐために、ジエチレ
ングリコールモノエチルエーテル等が適宜添加される。
さらにこの方法は、ゾル化に空気中の水分を用いるもの
であるが、多湿な雰囲気下では急激な加水分解反応を起
こしてゲル化できないことがあるため、空気中の水分の
目安として、通常は10%Rh以下の低湿度雰囲気下で
コーティングを行うようにするのが好ましい。また適当
な膜厚にするために複数回コーティングする場合、コー
ティング回数は、特に限定されるものではないが、通常
は2〜5回程度とされる。さらにコーティングは、一般
にはディップコーティングにより行われるが、スプレー
法やスピンコーティング法等、適宜塗布方法でよい。
【0016】なお二酸化チタンを含有する被膜が形成さ
れる多孔質体にナトリウムが含まれている場合、そのナ
トリウムが二酸化チタンと反応してチタン酸ナトリウム
になると、窒素酸化物の除去効果が低下することがあ
る。そのために多孔質体に、予めけい素アルコキシドの
ゾル溶液をコーティングすることにより二酸化けい素か
らなるプレコート層を形成し、該プレコート層上に二酸
化チタンを含有する被膜を形成するのが好ましい。この
二酸化けい素からなるプレコート層により二酸化チタン
を含有する被膜は、ナトリウムが含まれる多孔質体と分
離され、チタン酸ナトリウムの発生が防止される。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照し、具体的に説明する。すなわち図1に係
る実施の形態は、多孔質体1に直接二酸化チタンを含有
する被膜2が形成された吸音材を示し、図2は多孔質体
1に二酸化けい素からなるプレコート層3が形成され、
このプレコート層3に二酸化チタンを含有する被膜2が
形成された吸音材を示している。また図3は多孔質体1
に直接二酸化チタンを含有する多孔質状の被膜4が形成
された吸音材を示し、図4は多孔質体1に二酸化けい素
からなるプレコート層3が形成され、このプレコート層
3に二酸化チタンを含有する多孔質状の被膜4が形成さ
れた吸音材を示している。なお11は多孔質体1に形成
されている多数の孔であり、41は多孔質状の被膜4に
形成されている多数の孔である。前記多孔質状の被膜4
に形成されている多数の孔41は図では均一に描かれて
いるが、実際はもっと複雑な微細構造に現れる。
【0018】上記図4に示された吸音材を例にして本発
明による吸音材の製造方法を具体的に説明すると、まず
オルト硅酸テトラメチル、溶媒としてのエタノール、加
水分解触媒としての酢酸、及び水を、それぞれ容積比で
2:5:1:2の比率になるように配合してプレコート
溶液を作成する。このプレコート溶液を多孔質体1にデ
ィップコーティングした後、約100℃前後で乾燥させ
て溶媒を除去させることにより、多孔質体1に二酸化け
い素からなるプレコート層3が形成される。このディッ
プコーティングは通常は1回でよい。
【0019】次いでこのプレコート層3に、二酸化チタ
ンを含有する多孔質状の被膜4を形成するのであるが、
まず、被膜形成のためのチタンアルコキシドであるチタ
ンテトライソプロポキシド、溶媒であるエタノール、溶
液の粘度調整と被膜4を多孔質状にする平均分子量60
0のポリエチレングリコール、及び急激な加水分解を防
ぐジエチレングリコールモノエチルエーテルを、それぞ
れ容積比2:15:2:1の比率になるように配合して
チタンアルコキシドの溶液を作成する。そして湿度が1
0%Rhの雰囲気下で、この溶液を前記プレコート層3
が形成された多孔質体1に、複数回ディップコーティン
グを繰り返し行うことにより適当なコーティング厚にし
た後、乾燥させて焼成すれば、本発明による吸音材が得
られる。前記焼成は、一般には、電気炉に入れ、室温か
ら徐々に加熱昇温させて450℃まで温度を上昇させ、
この状態で1時間程度保持し、その後は電気炉の電源を
切って徐々に温度を下げていけばよい。
【0020】
【実施例】次に本発明の吸音材による実施例1〜5及び
従来からなる比較例1〜2による、窒素酸化物の除去能
力を測定し、その結果を図5〜11に示した。測定方法
は、図12の如く、上部のブラックライトにより365
nmの紫外光が照射される反応容器内に測定する試料を
置き、1ppmの一酸化窒素をこの反応容器中に導入
し、この反応容器から出てくる一酸化窒素及び二酸化窒
素の量を測定した。
【0021】図5は、二酸化けい素からなるプレコート
層が形成された多孔質体に、1回のディップコーティン
グにより二酸化チタンを含有する多孔質状の被膜が形成
された実施例1による吸音材の窒素酸化物の除去能力を
示し、図6は、ディップコーティングが2回行われ、二
酸化チタンを含有する多孔質状の被膜の膜厚がやや実施
例1より厚くなされた実施例2による吸音材の場合を示
し、図7はディップコーティングが3回行われ、実施例
2により被膜の膜厚がさらに厚くなされた実施例3によ
る吸音材の場合を示している。
【0022】この実施例1〜3は、図5〜7から、いず
れも紫外光が照射されると一酸化窒素が減少し、効果的
に除去されていることが判る。また二酸化窒素の量が僅
か増えているが、この二酸化窒素は、二酸化チタンの活
性により一酸化窒素が酸化されて生じたものであり、一
酸化窒素の減少量の大半は二酸化チタンに吸着されたま
まで硝酸まで酸化されるが、その一部は二酸化チタンか
ら脱着して二酸化窒素として放出されているものと思わ
れる。
【0023】また図5〜7から、ディップコーティング
回数の多い、すなわち被膜の膜厚が厚くなれば、一酸化
窒素の減少量も多くなり、窒素酸化物の除去能力が高め
られることが判る。
【0024】次に図8は、プレコート層を形成せずに、
多孔質体に直接ディップコーティングを2回行い、二酸
化チタンを含有する多孔質状の被膜が形成された実施例
4による吸音材の窒素酸化物の除去能力を示し、図9は
ディップコーティングを4回行い、実施例4より被膜の
膜厚が厚くなされた実施例5による吸音材の場合を示し
ている。
【0025】この図8〜9から、実施例5は実施例4よ
り窒素酸化物の除去能力に優れ、前記と同様に被膜の膜
厚が厚くなれば、一酸化窒素の減少量も多くなり、窒素
酸化物の除去能力が高められることが判る。またディッ
プコーティングが同じ2回、すなわち被膜の膜厚が同じ
である実施例2と実施例4とを比較すると、図6と図8
とから、プレコート層を形成した実施例2の方が窒素酸
化物の除去能力に優れていることが判る。このことから
二酸化けい素からなるプレコート層を形成すれば、窒素
酸化物の除去能力を低下させるチタン酸ナトリウムの発
生が防止されていることが判る。
【0026】さらに図10は、多孔質体に、二酸化チタ
ンを含有する被膜が形成されていない比較例1による従
来の吸音材の窒素酸化物の除去能力を示し、図10か
ら、二酸化チタンを含有する被膜が形成されていない従
来の吸音材では、窒素酸化物の除去能力を有していない
ことが判る。
【0027】また図11は、ポリエチレンの板上に4回
のディップコーティングに相当する量の二酸化チタンを
粉末のまま配設した比較例2のよる板状体の窒素酸化物
の除去能力を示している。この比較例2においてもそれ
なりに窒素酸化物の除去能力を有しているが、二酸化チ
タンの量が同じであるこの比較例2と前記実施例5とを
比較すると、図11と図9とから、多孔質体に二酸化チ
タンを被膜として形成した実施例5の方が窒素酸化物の
除去能力に優れていることが判る。
【0028】以上、本発明による吸音材は、被膜に含有
された二酸化チタンにより窒素酸化物の除去能力に優れ
ているが、この二酸化チタンの強い酸化力により、窒素
酸化物の除去だけでなく、硫黄酸化物の除去や他の有機
物の除去等、汚染物質や有害物質の除去に優れた効果を
発揮するものである。
【0029】
【発明の効果】本発明による請求項1記載の吸音材によ
れば、多孔質体に、二酸化チタンを含有する被膜が形成
されているので、多孔質体により騒音の低減を図ること
ができ、また被膜の二酸化チタンに光が照射されると二
酸化チタンが活性化され、この活性化された二酸化チタ
ンに空気中の窒素酸化物が触れると、窒素酸化物は二酸
化チタンの活性による強い酸化力で硝酸等に酸化されて
除去できる。しかも多孔質体は多孔構造により無孔質材
に較べて露出されている表面積が大きく、この多孔質体
に形成された被膜の二酸化チタンは、空気中の窒素酸化
物に触れる表面積も大きくなることから、効果的に窒素
酸化物が除去される。
【0030】また本発明による請求項2記載の吸音材に
よれば、前記二酸化チタンを含有する被膜は、多孔質状
となされているので、二酸化チタンと空気との接触面積
がさらに大きくなると共に、形成された多くの孔に窒素
酸化物が吸着され、且つその吸着された窒素酸化物は二
酸化チタンにより硝酸等に酸化されるまで脱着されるこ
とが防止される。
【0031】さらに本発明による請求項3記載の吸音材
によれば、多孔質体に、ポリエチレングリコールを添加
したチタンアルコキシドの溶液をコーティングし、大気
中の水分により前記チタンアルコキシドを加水分解させ
た後、焼成することにより、二酸化チタンを含有する多
孔質状の被膜が形成されているので、被膜を適当な膜厚
にするために複数回コーティングする場合、一回コーテ
ィングする毎に焼成する必要がなく、コーティングのみ
を繰り返し連続して複数回行い、しかる後最後に焼成を
1回だけ行えばよい利点がある。従って基本的に焼成が
1回だけで済むために、エネルギーコストが低く、製膜
時間が短くなるメリットがある。
【0032】さらにまた本発明による請求項4記載の吸
音材によれば、多孔質体に、予めけい素アルコキシドの
ゾル溶液をコーティングすることにより二酸化けい素か
らなるプレコート層が形成され、該プレコート層上に二
酸化チタンを含有する被膜が形成されているので、多孔
質体にナトリウムが含まれている場合、この二酸化けい
素からなるプレコート層により二酸化チタンを含有する
被膜は、ナトリウムが含まれる多孔質体と分離され、窒
素酸化物の除去効果を低下させるチタン酸ナトリウムの
発生が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る吸音材の実施の一形態を示す断面
説明図である。
【図2】本発明に係る吸音材の他の実施の一形態を示す
断面説明図である。
【図3】本発明に係る吸音材のさらに他の実施の一形態
を示す断面説明図である。
【図4】本発明に係る吸音材のさらに他の実施の一形態
を示す断面説明図である。
【図5】本発明に係る吸音材の窒素酸化物の除去能力を
示すグラフである。
【図6】本発明に係る吸音材の窒素酸化物の除去能力を
示すグラフである。
【図7】本発明に係る吸音材の窒素酸化物の除去能力を
示すグラフである。
【図8】本発明に係る吸音材の窒素酸化物の除去能力を
示すグラフである。
【図9】本発明に係る吸音材の窒素酸化物の除去能力を
示すグラフである。
【図10】従来の吸音材の窒素酸化物の除去能力を示す
グラフである。
【図11】二酸化チタンの粉末を配設した板状体の窒素
酸化物の除去能力を示すグラフである。
【図12】窒素酸化物の除去能力の測定方法を示す説明
図である。
【符号の説明】
1 多孔質体 11 孔 2 被膜 3 プレコート層 4 多孔質状の被膜 41 孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 根岸 信彰 茨城県つくば市小野川16番3 工業技術院 資源環境技術総合研究所内 (72)発明者 太田 和亘 滋賀県蒲生郡安土町桑実寺38−58 (72)発明者 土井 尊弘 滋賀県蒲生郡竜王町鏡2041 (72)発明者 田近 悟 滋賀県野洲郡野洲町行畑242−1

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質体に、二酸化チタンを含有する被
    膜が形成されたことを特徴とする吸音材。
  2. 【請求項2】 前記被膜が多孔質状であることを特徴と
    する請求項1記載の吸音材。
  3. 【請求項3】 多孔質体に、ポリエチレングリコールを
    添加したチタンアルコキシドの溶液をコーティングし、
    大気中の水分により前記チタンアルコキシドを加水分解
    させた後、焼成することにより二酸化チタンを含有する
    被膜が形成されてなることを特徴とする請求項2記載の
    吸音材。
  4. 【請求項4】 多孔質体に、予めけい素アルコキシドの
    ゾル溶液をコーティングすることにより二酸化けい素か
    らなるプレコート層が形成され、該プレコート層上に二
    酸化チタンを含有する被膜が形成されたことを特徴とす
    る請求項1、2または3記載の吸音材。
JP7334452A 1995-12-22 1995-12-22 吸音材 Pending JPH09173775A (ja)

Priority Applications (1)

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JP7334452A JPH09173775A (ja) 1995-12-22 1995-12-22 吸音材

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001259435A (ja) * 2000-03-24 2001-09-25 Seiwa Kogyo Kk 光触媒担持体
US6722159B2 (en) 1997-03-14 2004-04-20 Ppg Industries Ohio, Inc. Photocatalytically-activated self-cleaning article and method of making same

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