JPH09171885A - 内燃機関用スパークプラグ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 中心電極又は外側電極の少なくともいずれか
一方の火花放電面に耐火花消耗性に優れる貴金属合金チ
ップを確実に接合しようとするものである。 【解決手段】 中心電極（３）又は外側電極（７）の少
なくともいずれか一方の火花放電面において、接合する
貴金属合金チップ（９）がＰｔを主成分として５〜３０
ｗｔ％の範囲でＣｏを含有してなるものとすることで、
貴金属合金チップ（９）と、この貴金属合金チップを接
合する火花放電面（４）．（８）を有する中心電極
（３）又は外側電極（７）との熱膨張率に差異がなくな
り、このため両者の間で熱膨張率の差異に起因して発生
していた熱応力の発生が抑制されることとなるので、長
期間の使用によっても貴金属合金チップの剥離、脱落が
防止できるものとなるので、スパークプラグの長寿命化
を図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、内燃機関に装着
されるスパークプラグの、特に中心電極、又は外側電極
の少なくともいずれか一方の火花放電面において、放電
部材として接合される貴金属合金チップに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、スパークプラグとしての火花消耗
性等を含めた耐久性の向上を目的として、スパークプラ
グのスパークギャップを形成する中心電極或は外側電極
の少なくともいずれか一方の火花放電面において、耐火
花消耗性に優れるＰｔ−Ｉｒ又はＰｔ−Ｎｉ系成分の貴
金属合金チップ等を電気溶接により接合するものが実用
化されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のスパークギャップを形成する中心電極又は外側電極
の少なくとも一方の火花放電面において、耐火花消耗性
に優れるＰｔ−Ｉｒ又はＰｔ−Ｎｉ系成分の貴金属合金
チップを接合してなる内燃機関用スパークプラグは、確
かに中心電極又は外側電極の少なくともいずれか一方の
火花放電面に、耐火花消耗性に優れるＰｔ−Ｉｒ又はＰ
ｔ−Ｎｉ系成分の貴金属合金チップを接合することによ
り、火花放電に伴って発生する火花消耗は確実に抑制す
ることができ、目的とする耐火花消耗性も含めたスパー
クプラグ自体の耐久性の向上は達成することができる
が、近年の内燃機関における高性能化、例えばターボチ
ャージャーやスーパーチャージャー等の過給機を装着す
ることによる高出力化によって、中心電極又は外側電極
の火花放電面に接合された耐火花消耗性の向上を目的と
するＰｔ−Ｉｒ又はＰｔ−Ｎｉ系成分の貴金属合金チッ
プの剥離が発生するという欠点が生じる。

【０００４】すなわち、この近年の内燃機関における高
性能化、例えばターボチャージャーやスーパーチャージ
ャー等の過給機を装着することによる高出力化によっ
て、中心電極又は外側電極の火花放電面において発生す
るＰｔ−Ｉｒ又はＰｔ−Ｎｉ系成分の貴金属合金チップ
の剥離は、高出力化を目的として内燃機関に装着される
ターボチャージャーやスーパーチャージャー等の過給機
によって内燃機関の燃焼室内においては非常に高温とな
り、燃焼室内において混合気に着火するため突出してい
る絶縁体に保持された中心電極又は外側電極はこの高温
の熱に常時曝されることとなる上、中心電極又は外側電
極と、この中心電極又は外側電極の火花放電面に接合さ
れるＰｔ−Ｉｒ又はＰｔ−Ｎｉ系成分の貴金属合金チッ
プとの熱膨張率が異なることから、この内燃機関の燃焼
室内において曝される高温により中心電極又は外側電極
と、この中心電極又は外側電極の火花放電面に接合され
るＰｔ−Ｉｒ又はＰｔ−Ｎｉ系成分の貴金属合金チップ
との間に熱膨張率の違いによる熱応力が発生する結果、
上記Ｐｔ−Ｉｒ又はＰｔ−Ｎｉ系成分の貴金属合金チッ
プが剥離してしまうものである。又剥離を防止するため
Ｉｒ又はＮｉの添加量を多く添加すると耐火花消耗性が
劣化してしまう。

【０００５】そこで、この発明は上記従来のものの持つ
欠点を改善するものであり、中心電極又は外側電極と放
電部材となる耐火花消耗性に優れる貴金属合金チップと
の熱膨張率を近づけ、熱応力の発生を抑制することで火
花放電面からの剥離を防止して耐火花消耗性にも優れ、
貴金属合金チップを長期間に渡っての接合を確保しよう
とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そのために、スパークギ
ャップを形成する中心電極、又は外側電極の少なくとも
いずれか一方の火花放電面に、放電部材として貴金属合
金チップを接合してなるスパークプラグにおいて、上記
放電部材として接合される貴金属合金チップがＰｔを主
成分として５〜３０ｗｔ％の範囲でＣｏを含有してなる
ものである。

【０００７】また、上記スパークギャップを形成する中
心電極、又は外側電極の少なくともいずれか一方の火花
放電面において、放電部材として接合される貴金属合金
チップを、Ｐｔ−Ｃｏ、Ｐｔ−Ｉｒ−Ｃｏ、又はＰｔ−
Ｎｉ−Ｃｏ系成分から構成するものである。

【０００８】

【発明の実施の形態】この発明を実施するにあたって、
スパークギャップを形成する中心電極、又は外側電極の
少なくともいずれか一方の火花放電面において接合する
貴金属合金チップが、Ｐｔを主成分として５〜３０ｗｔ
％の範囲でＣｏを含有してなることで、中心電極又は外
側電極の電極母材と、この中心電極等の火花放電面に放
電部材として接合される貴金属合金チップとの熱膨張率
が近接することとなり、内燃機関の燃焼室内において高
温の熱に曝されても、これら両者の熱膨張率の差異に起
因する熱応力の発生を抑制することが可能となり、耐火
花消耗性等の耐久性の向上を目的として、中心電極、又
は外側電極の火花放電面の少なくともいずれか一方にお
いて接合される貴金属合金チップの接合を確実に確保で
きる上、また放電部材として接合される貴金属合金チッ
プを、Ｐｔ−Ｃｏ、Ｐｔ−Ｉｒ−Ｃｏ、又はＰｔ−Ｎｉ
−Ｃｏ系成分から構成するものとしても、同様に中心電
極又は外側電極の火花放電面と、これらの火花放電面と
の間の熱応力の発生を抑制して、貴金属合金チップの中
心電極又は外側電極の火花放電面からの耐剥離性を向上
させることかできるものである。

【０００９】

【実施例】この発明を図に示す実施例により更に説明す
る。（１）は、この発明の実施例である内燃機関用スパ
ークプラグであり、この内燃機関用スパークプラグ
（１）は、その先端に火花放電面（４）を有する中心電
極（３）を保持してなる絶縁体（２）と、この絶縁体
（２）により保持される中心電極（３）の先端の火花放
電面（４）の対向する位置に火花放電面（８）を有する
外側電極（７）を先端面（６）に固定してなる主体金具
（５）から構成されると共に、スパークギャップ（１
０）を形成する中心電極（３）、又は外側電極（７）の
少なくともいずれか一方の火花放電面（４），（８）に
おいて［この実施例の場合には中心電極（３）側の火花
放電面（４）に対して］、放電部材として板状又は棒状
の貴金属合金チップ（９）を電気抵抗溶接により接合し
てなるものである。

【００１０】そして、スパークギャップ（１０）を形成
する中心電極（３）、又は主体金具（５）の先端面
（６）に固定される外側電極（７）の少なくともいずれ
か一方の火花放電面（４），（８）において、放電部材
として接合される貴金属合金チップ（９）がＰｔを主成
分として、５〜３０ｗｔ％の範囲でＣｏを含有するもの
である。

【００１１】この発明の実施例は以上の構成を具えるの
で、絶縁体（２）に保持される中心電極（３）の火花放
電面（４）に接合される貴金属合金チップ（９）がＰｔ
を主成分として５〜３０ｗｔ％の範囲でＣｏを含有する
ものとしてなることで、中心電極（３）の電極母材と、
この中心電極（３）の火花放電面（４）に放電部材とし
て接合される貴金属合金チップ（９）との熱膨張率が近
接するものとなるので、内燃機関、特に過給機を装備し
てなる内燃機関の燃焼室内において混合気の燃焼に伴っ
て発生する高温の熱に曝されても、これら両者、すなわ
ち中心電極（３）の電極母材と、中心電極（３）の火花
放電面（４）に接合される放電部材としての貴金属合金
チップ（９）との間での熱膨張率の差異に起因する熱応
力の発生を抑制することが可能となり、耐火花消耗性等
の耐久性の向上を目的として、中心電極（３）、又は外
側電極（７）の火花放電面（４）（８）の少なくともい
ずれか一方において接合される貴金属合金チップ（９）
の接合を確実に確保できる。

【００１２】また、中心電極（３）又は外側電極（７）
の少なくともいずれか一方の火花放電面（４），（８）
に、放電部材として接合される貴金属合金チップ（９）
を、上述したＰｔ−Ｃｏの他に、Ｐｔ−Ｉｒ−Ｃｏ、又
はＰｔ−Ｎｉ−Ｃｏ系成分の合金とすることによっても
スパークプラグ（１）としての耐火花消耗性を向上させ
ることができると共に、中心電極（３）又は外側電極
（７）の火花放電面（４），（８）と、これらの火花放
電面（４），（８）において放電部材として一体に接合
される貴金属合金チップ（９）との間の熱応力の発生を
抑制して、貴金属合金チップ（９）の中心電極（３）又
は外側電極（７）の火花放電面（４），（８）からの耐
剥離性を向上させることができるものとなる。

【００１３】そこで、この発明の効果を確認するため
に、この発明の実施例であるＰｔ−Ｃｏ系，Ｐｔ−Ｃｏ
系及びＰｔ−Ｎｉ−Ｃｏ系成分の貴金属合金チップ
（９）と、従来のＰｔ−Ｉｒ系及びＰｔ−Ｎｉ系成分の
貴金属合金チップを電気抵抗溶接により接合した内燃機
関用スパークプラグとを、２０００ＣＣ、ＤＯＨＣ、４
気筒の過給機を装備した内燃機関に装着した上で、耐火
花消耗性及び耐剥離性についての評価試験を行ったとこ
ろ、この発明の実施例での中心電極（３）等の火花放電
面（４）に対して放電部材として接合される直径０．９
ｍｍ×厚さ０．３ｍｍの貴金属合金チップ（９）を、５
〜３０ｗｔ％の範囲でＣｏを含有するものとする場合
は、従来のＰｔ−Ｉｒ系及びＰｔ−Ｎｉ系合金のものに
比べて、耐火花消耗性及び耐剥離性のいずれも点におい
ても著しく向上する効果が認められた（図２）。

【００１４】なお、耐火花消耗性における評価試験は、
上述した過給機を装備した内燃機関において、５５００
ｒｐｍ×Ｗ．Ｏ．Ｔ．で１０万ｋｍ相当走行後にスパー
クギャップ（１０）のギャップ増加量を測定するもので
あって、このギャップ増加量が０．３ｍｍ以下で有れば
○、０．３〜０．４ｍｍで有れば△、そして０．４ｍｍ
以上で有れば×と評価され、また耐剥離性における評価
試験は、同様に上述した内燃機関において、アイドリン
グ×１分＋５５００ｒｐｍ×Ｗ．Ｏ．Ｔ×１分を１セッ
トとして１００時間連続して中心電極（３）等の火花放
電面（４）等に接合された貴金属合金チップ（９）の剥
離状態を測定するものであり、中心電極（３）等の火花
放電面（４）等と貴金属合金チップ（９）との接合面で
の剥離が１０％以下で有れば○、１０〜５０％であれば
△、そして５０％以上で有れば×と評価されるものであ
る。

【００１５】更に、図３〜図５に示すものは、これらの
耐火花消耗性及び耐剥離性についての評価試験に使用さ
れた内燃機関用スパークプラグ（１）であり、具体的に
は、絶縁体（２）に保持された中心電極（３）の火花放
電面（４）にＰｔ−Ｃｏ合金，Ｐｔ−Ｉｒ−Ｃｏ合金等
貴金属合金チップ（９）を接合すると共に、この貴金属
合金チップ（９）を接合する中心電極（３）の火花放電
面（４）に対向する位置に配置される外側電極（７）の
火花放電面（８）においても直径０．９ｍｍ×厚さ０．
３ｍｍのＰｔ−Ｃｏ合金，Ｐｔ−Ｎｉ−Ｃｏ合金等の貴
金属合金チップ（９）を接合してなるもの（図３参
照）。また絶縁体（２）に保持された中心電極（３）に
おいてその先端を先細のテーパー状部（３ａ）とした上
で、その火花放電面（４）に貴金属合金チップ（９）を
接合すると共に、この貴金属合金チップ（９）を同様に
接合する中心電極（３）の火花放電面（４）に対向する
位置に配置される外側電極（７）の火花放電面（８）に
おいても直径０．９ｍｍ×厚さ０．３ｍｍのＰｔ−Ｃｏ
合金等の貴金属合金チップ（９）を同様に接合してなる
もの（図４参照）である。更に、絶縁体（２）に保持さ
れた中心電極（３）の側面（３ｂ）に配置する火花放電
面（４ａ）に貴金属合金チップ（９）を同様に接合して
なる（図５参照）スパークプラグである。

【００１６】

【発明の効果】以上のとおり、耐火花消耗性を向上させ
ることを目的として、中心電極又は外側電極の少なくと
もいずれか一方の火花放電面において一体に接合される
Ｐｔ等の貴金属合金チップを、Ｃｏの含有量を５〜３０
ｗｔ％とするＰｔ等の貴金属合金チップとすることによ
り、貴金属合金チップと、この貴金属合金チップを一体
に接合する中心電極又は外側電極との熱膨張率の差異を
最小限となり、この熱膨張率の差異に起因する熱応力の
発生を最小限に抑制できるので、両者の接合を確実なも
のとすることができ、かつ耐火花消耗性に優れてスパー
クプラグ自体の耐久性を著しく向上させることができる
優れた効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例である内燃機関用スパークプ
ラグの要部拡大正面図である。

【図２】耐火花消耗性及び耐剥離性の評価試験の結果を
示した図である。

【図３】耐火花消耗性及び耐剥離性の評価試験に使用さ
れたその他の実施例である内燃機関用スパークプラグの
要部拡大正面図である。

【図４】耐火花消耗性及び耐剥離性の評価試験に使用さ
れたその他の実施例である内燃機関用スパークプラグの
要部拡大正面図である。

【図５】耐火花消耗性及び耐剥離性の評価試験に使用さ
れたその他の実施例である内燃機関用スパークプラグの
要部拡大正面図である。

【符号の説明】

１ 内燃機関用スパークプラグ ２ 絶縁体 ３ 中心電極 ３ａ テ−パ−状部 ３ｂ 側面 ４、４ａ （中心電極の）火花放電面 ５ 主体金具 ６ （主体金具の）先端面 ７ 外側電極 ８ （外側電極の）火花放電面 ９ （放電部材としての）貴金属合金チップ １０ スパークギャップ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 スパークギャップを形成する中心電極、
   又は外側電極の少なくともいずれか一方の火花放電面
   に、放電部材として貴金属合金チップを接合してなるス
   パークプラグにおいて、上記放電部材として接合される
   貴金属合金チップがＰｔを主成分として５〜３０ｗｔ％
   の範囲でＣｏを含有してなる内燃機関用スパークプラ
   グ。
2. 【請求項２】 上記スパークギャップを形成する中心電
   極、又は外側電極の少なくともいずれか一方の火花放電
   面において、放電部材として接合される貴金属合金チッ
   プを、Ｐｔ−Ｃｏ、Ｐｔ−Ｉｒ−Ｃｏ、又はＰｔ−Ｎｉ
   −Ｃｏ系成分から構成する請求項１記載の内燃機関用ス
   パークプラグ。