JPH09169911A - 導電性ポリシラン組成物およびその製造方法 - Google Patents
導電性ポリシラン組成物およびその製造方法Info
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Abstract
で、劣化のない高導電性のケイ素系高分子組成物を提供
する。 【解決手段】 オニウム塩を添加したポリシランに、酸
化性物質をドーピングしたことを特徴とする導電性ポリ
シラン組成物およびその製造方法。
Description
をベースポリマーとして用いる導電性組成物およびその
製造方法に関する。
電子供与性物質をドーピングすると、電化移動形成反応
が起こり、電子伝導に基づく高い電気伝導性が発現する
ことが見出されたことから、ポリアセチレン、ポリフェ
ニレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン
などの有機高分子化合物が、高導電性薄膜などを形成す
る導電性材料として注目されている。
物は、不溶不融であったり、賦形性に乏しかったりす
る。また、気相重合法や電解重合法で薄膜を形成する場
合、得られる薄膜の形状が反応容器や電極の形状によっ
て制約され、あるいは電子受容性物質または電子供与性
物質をドーピングする際に、著しい劣化を伴う。
を有する有機ケイ素重合体を、導電性材料として用いる
ことも研究されている。森らは、N−カルバゾリル置換
直鎖ポリシランの合成に成功し、ヨウ素をドーピングし
て、体積抵抗率7.7×102 Ωcmの導電性材料を得て
いる(Synthetic Metals 73, 1995., p113 〜116 、特開
平6−128488号公報参照)。石川らは、ジエチニ
レンジピリジレンジシラニレンポリマーの合成に成功
し、ヨウ素または第二塩化鉄をドーピングして、体積抵
抗率7.1×103 Ωcmの導電性材料を得ている(Organ
ometallics 1995,14, p714 〜720 参照)。これらのポ
リマーは、特殊な置換基を導入する必要があるなどによ
り、いずれも合成が困難である。また、ポリシランでは
ないが類似の有機ケイ素ポリマーの例では、玉尾、伊藤
らにより、体積抵抗率1×103 Ωcmの導電性を示すチ
オフェン−シロール共重合体が報告されている(特開平
6−100669号公報および特開平6−166746
号公報参照)。
ウム塩を加えて露光することにより、ポリシラン鎖を切
断しうることから、高い感光性を有するポリシラン組成
物が得られ、このことによってポリシランのパターニン
グが可能なことを報告している(特開平5−23038
0号公報参照)。ここで開示されている組成物は、感光
性組成物であって、ポリシランの導電性の向上について
は開示されていない。
かじめ原料となる特定の有機基置換クロロシランの合成
や精製を行わなければならず、さらに、アルカリ金属を
大量に用いて縮合反応させなければならない。また、ポ
リシランのケイ素原子に結合した特定の置換基の量がそ
の導電性に大きく寄与している場合、該置換基の含有量
を制御したポリシランを選択的に合成するには、煩雑な
方法が必要である。そのため、簡便な操作によってポリ
シラン系の高導電性組成物を提供するのには困難を伴
う。以上のように、上記のいずれの報告においても、ポ
リシランにオニウム塩を添加した後、酸化性物質でドー
ピングすることにより、導電性を向上させることについ
ては、開示されていない。
と取扱いの容易なポリシランをベースポリマーとして、
溶媒に可溶で、任意の形状の薄膜への賦形性が良好で、
簡便な操作によって調製でき、劣化が少なく、高導電性
のケイ素系高分子組成物およびその製造方法を提供する
ことである。
題を解決するために鋭意検討を行った結果、オニウム塩
を添加したポリシランが、有機溶媒に可溶で、任意の形
状の薄膜に賦形でき、しかも予期しなかったことに、ヨ
ウ素のような酸化性物質をドーピングすることにより、
劣化が少なく、組成物の導電性がオニウム塩を添加しな
いで酸化性物質をドーピングした場合に比べて著しく向
上することを見出して、本発明を完成するに至った。
を添加したポリシランに、酸化性物質をドーピングした
ことを特徴とする導電性ポリシラン組成物である。
は、好ましくは、平均式(I):
ケイ素原子に結合した、置換または非置換の1価の炭化
水素基を表し、一部は水素原子であってもよく;R2 は
たがいに同一でも異なっていてもよく、酸素原子を介し
てケイ素原子に結合した、水素原子または置換もしくは
非置換の1価の炭化水素基を表し;R3 は2個のケイ素
原子に結合した、2価の置換もしくは非置換の炭化水素
基または複素環基を表し;主鎖骨格がSi−Si結合お
よび場合によってはSi−R3 −Si結合から構成さ
れ、aは1.00〜1.97、bは正の数、cは0≦c
/(an+bn+c)≦0.3を満足させる数であり;
nはポリシランの重量平均分子量が500〜3,00
0,000になるように選ばれる数である)で示され
る。
状、環状、網目状のいずれのポリシラン骨格を有するも
のであってもよく、またその構造中に、部分的に、分子
中に分散して、ケイ素原子の間に上記のR3 が存在して
いてもよいが、酸化性物質をドーピングすることによる
劣化や分子量の低下を抑制することから、ポリシラン骨
格自体および/またはR3 によって網目状構造を形成し
ていることが好ましい。
一般式(II)または(III)
り;p、qおよびsは0または正の整数、rは正の整数
であって、該p、q、rおよびsは上記の平均式(I)
のa、b、cおよびnを満足させる数であり;式はシラ
ン単位およびR3 の数を表わすもので、ブロック共重合
体を意味するものではない)で示され、R1 Si単位お
よび必要に応じてR3 によって架橋され、網目状骨格を
有するポリシランが挙げられる。
置換または非置換の1価の炭化水素基で、メチル、エチ
ル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチ
ル、デシル、ドデシル、テトラデシル、オクタデシルな
どの直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロヘキシル
などのシクロアルキル基;2−フェニルエチル、2−フ
ェニルプロピルなどのアラルキル基;フェニル、トリ
ル、キシリル、メシチルなどのアリール基;ビニル、ア
リルなどのアルケニル基;p−ビニルフェニルなどのア
ルケニルアリール基;ならびにクロロメチル、トリフル
オロプロピル、メトキシフェニルなどの置換炭化水素基
が例示され、一部のR1 は水素原子であってもよい。こ
れらのうち、合成のし易さから、メチル、エチル、プロ
ピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルのような炭素数1〜
6のアルキル基、シクロヘキシル基およびフェニル基が
好ましい。
目状構造の度合と関係があり、そのケイ素原子に対する
比R1 /Siが1.00〜1.97の範囲であることが
好ましく、1.00〜1.91がさらに好ましい。
成する水素原子または置換もしくは非置換の1価の炭化
水素基であり、水素原子のほか;メチル、エチル、プロ
ピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデシルなどの直
鎖状または分岐状のアルキル基;シクロヘキシルなどの
シクロアルキル基;フェニル、トリル、キシリル、メシ
チルなどのアリール基;および2−メトキシエチル、2
−エトキシエチルおよび2−ブトキシエチルのような置
換炭化水素基が例示され、合成のし易さおよび取り扱い
易さから、メチル、エチル、プロピル、ブチルのような
炭素数1〜4のアルキル基およびフェニル基が好まし
く、メチルおよびエチルが最も好ましい。すなわち、O
R2 としては、メトキシ、エトキシのような低級アルコ
キシ基が最も好ましい。このようなOR2 基は、ポリシ
ラン分子鎖の末端、中間および分岐位置のいずれのケイ
素原子に結合していてもよい。
架橋する形、または網目状ポリシラン構造中に、ケイ素
原子の間に導入された置換もしくは非置換の2価の炭化
水素基または複素環基であり、ポリシランの分子中に分
散して存在することが好ましい。R3 としては、メチレ
ン、エチレン、トリメチレンなどのアルキレン基;ブタ
ジエニレンなどの2価の脂肪族飽和炭化水素基;フェニ
レン、ナフチレン、9,10−アントラセニレン、フェ
ロセニレンなどのアリーレン基;キシリレンなどの2価
の芳香族置換炭化水素基;チエニレン、ジチエニレン、
ピロリレン、ピリジニレンなどの複素環基が例示されビ
フェニレン、トリフェニレン、チエニレンのような、2
個以上の芳香環または複素環が反復して存在する2価の
連鎖であってもよく、合成のし易さと組成物の導電性か
ら、芳香族炭化水素基または複素環が好ましく、フェニ
レン、9,10−アントラセニレンおよびチエニレンが
特に好ましい。
複素環基であるR3 が存在することにより、ポリシラン
組成物の導電性を高めるとともに、溶媒に対する溶解性
を付与し、該ポリシランの薄膜をより容易に、かつ均一
に行うことができる。この場合、R3 の数cは、ポリシ
ラン中の置換基の全個数an+bn+cに対して30%
以下であることが好ましく、0.1〜20%がさらに好
ましい。この比率が大きいほどポリシランの導電性を上
げることができるが、30%を越えると、高分子量の固
体ポリシランを得ることが困難となり、安定で物性の良
好な薄膜を形成できない。
ランが溶媒に可溶であって、固体膜が形成できれば特に
限定されないが、合成のし易さ、溶媒への可溶性、成膜
性などから、500〜3,000,000の範囲が好ま
しく、1,000〜1,000,000がさらに好まし
く、2,500〜100,000が特に好ましい。
状骨格ポリシランは、既知のポリシランの合成法を用い
て製造することができる。たとえば、金属ナトリウムに
よるオルガノクロロシラン類の脱塩縮合反応(ウルツ
法)を用いて、原料のオルガノクロロシラン類の混合比
を調整することにより、分子骨格の網目の程度を制御し
た様々な網目状骨格ポリシランを得ることができる。
を利用すれば、温和な条件で、様々な有機置換基を有す
る網目状骨格のポリシランの合成が可能である(特開平
4−311727号公報、特開平6−57002号公報
およびK. Kabeta ら、Chem.Lett., 1994, p835 〜838
参照)。さらに、2個のケイ素原子の間にR3 を導入し
たポリシランを得ることも可能である(Chem. Lett., 1
994, 119〜120 参照)。これらはアルコキシ基含有ポリ
シランについて記載されたものであるが、これをアルコ
キシ基以外のOR2 基を有するポリシランに適用するこ
とは、当業者にとっては容易であろう。
オニウム塩は、本発明のポリシラン組成物に高い導電性
を付与するために不可欠な成分である。このようなオニ
ウム塩としては、ヨードニウム塩およびスルホニウム塩
が好適であり、たとえば、次に列挙する分子構造を有す
る化合物の1種または2種以上を用いることができる。
と、ドーピング後の組成物に優れた導電性を与えること
から、下記の化合物が好ましい。
100重量部に対して、オニウム塩の種類によっても異
なるが、通常1〜200重量部、好ましくは30〜12
0重量部であり、(p−ドデシルベンゼン)ヨードニウ
ムヘキサフルオロアンチモン塩の場合、さらに好ましく
は30〜60重量部である。1重量部未満では、組成物
に高い導電性を与える効果が十分でなく、200重量部
を越えて添加すると成膜性が悪くなる。
な溶媒に溶解して、基材表面に薄膜を形成するための処
理液を調製することができる。溶媒としては、非極性溶
媒、極性溶媒のいずれを用いてもよく、たとえば、n−
ヘプタン、n−ヘキサン、トルエン、キシレン、ベンゼ
ン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジエ
チルエーエル、クロロホルムなどが挙げられるが、ポリ
シランを容易に溶解させることから、テトラヒドロフラ
ンのような極性溶媒の方が好ましい。良好な作業性を得
るための溶媒の量は、ポリシラン100重量部に対し
て、通常50〜10,000重量部、好ましくは500
〜2,000重量部である。
を形成する方法としては、上述のような溶媒に該ポリシ
ランを溶解し、ついでこれを基板上に塗布し、常圧また
は減圧で常温に放置、または加温して溶媒を揮散させ、
ポリシラン薄膜を得る方法が一般的である。塗布方法と
してはディッピング、スピンコーティングなどが例示さ
れ、スピンコーティングを用いることが好ましい。
に、酸化性物質をドーピングして、導電性ポリシラン組
成物を得ることができる。
塩素、臭素、ヨウ素のようなハロゲン類、塩化スズ塩化
第二鉄のような遷移金属塩化物、五フッ化アンチモン、
五フッ化ヒ素のようなルイス酸などが有効であり、安全
で、取扱い易いことから、ヨウ素や塩化第二鉄を用いる
ことが好ましい。
リシラン100重量部に対して、通常1〜1,000重
量部、好ましくは10〜100重量部である。1重量部
未満では組成物に高い導電性を与えることができず、
1,000重量部を越えると製膜性が悪く、得られたポ
リシラン膜に欠陥を生じやすくなる。
膜を、たとえば (a)ヨウ素や塩化第二鉄などの酸化性物質の蒸気雰囲
気下にさらす気相(乾式)ドーピング法; (b)ヨウ素や塩化第二鉄などを不活性溶媒中に溶解し
た溶液中にポリシランを浸漬する湿式ドーピング法;お
よび (c)ヨウ素とポリシランに共通に溶解させる溶媒を用
い、ヨウ素を溶解した溶液にポリシランを溶解させ、該
溶液から乾式製膜することによりフィルムあるいは薄膜
に賦形すると同時にドーピングする同時ドーピング法 があり、そのいずれかを用いることができる。
の温度およびドーパントの分圧を制御することにより、
ドーピング速度をコントロールすることができる。一般
にドーピングはドーパント雰囲気の温度が−30〜20
0℃の範囲で行うことができる。−30℃未満ではドー
ピング速度が遅く、200℃を越える温度ではドーピン
グの際にポリシランの劣化を招き、好ましくない。ドー
パント分圧は1Torrから5気圧の範囲が好ましい。1To
rr未満では一般にドーピング速度が遅く、5気圧を越え
て圧力を増しても特にその効果がない。
としては、ヨウ素と反応して電子受容体性化合物として
の能力を失活させない溶媒が用いられる。このような溶
媒として、ヘキサン、オクタン、石油エーテル、シクロ
ヘキサンのような脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエ
ン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ジエチルエー
テル、テトラヒドロフランのようなエーテル類;酢酸エ
チルのようなエステル類;メタノール、エタノールのよ
うなアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルス
ルホキシドのような非プロトン系極性溶媒;その他、ニ
トロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどが例
示される。なかでもテトラヒドロフランのような溶媒
は、ポリシランの良溶媒であるため、特に同時ドーピン
グ法に好適である。この場合、ドーパントを含む溶液に
ポリシランを溶解させ、この溶液をキャスティングした
後、乾燥することにより、ドーピングと製膜を同時に行
うことができる。キャスティング後の乾燥は、常圧また
は減圧下に、0〜150℃の温度で行うことができる。
を添加することができる。
より、102 Ωcmまでの高い導電性を有するポリシラン
組成物、特にその薄膜を得ることができる。本発明によ
って提供される導電性ポリシラン組成物は、それに含ま
れる添加物の種類や量を変えることにより、ポリシラン
組成物の導電性を向上させることができる。また、ポリ
シランの骨格構造や置換基を変えることによっても、導
電性の制御は可能である。また、ヨードニウム塩やスル
ホニウム塩のような添加剤を加えることにより、該ポリ
シランの導電性を安定に保つ効果がある。
えて、取扱いが容易で賦形性が良いことから、光導電材
料や導電材料などのエレクトロニクス分野に広く応用可
能な素材として、きわめて有用である。
て、本発明をさらに詳しく説明する。これらの例中、部
はすべて重量部を表し、物性値は25℃における値であ
る。本発明は、これらの実施例によって制限されるもの
ではない。
たフラスコに1,2−ジメチル−1,1,2,2−テト
ラエトキシジシラン50部を仕込み、これにナトリウム
エトキシド1.5部を加え、撹拌しながら100℃で2
0時間加熱した。冷却後、吸引濾過により固形分を除
き、濾液を無水メタノール1,000部中にゆっくりと
注ぎ、白色固体を再沈殿させた。吸引濾過により濾別し
て集めた固体を、無水エタノールで洗浄し、減圧下で乾
燥させ、網目状の分子骨格を有するポリシラン5部を得
た。得られたポリシランの 1H NMRを測定した結
果、メチル基とエトキシ基の存在が確認され、その比率
は10:1であった。GPCによるポリスチレン換算分
子量は3,300であった。
リシランの合成) 冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、乾燥アルゴン
気流下で2,5−ジブロモチオフェン2重量部を仕込
み、テトラヒドロフラン100部を加えて溶解させ、ド
ライアイス−アセトン浴で温度を−78℃とした。これ
にn−ブチルリチウムの1.8M n−ヘキサン溶液1.
5部を滴下し、そのまま1時間撹拌した。これに1,2
−ジメチル−1,1,2,2−テトラエトキシジシラン
50部を仕込み、室温まで昇温させた後、撹拌しながら
100℃で20時間加熱した。冷却後、吸引濾過により
固形分を除き、濾液を無水メタノール1,000部中に
ゆっくりと注ぎ、白色固体を再沈殿させた。吸引濾過に
より濾別した固体を、無水エタノールで洗浄し、減圧下
で乾燥させて、網目状構造のポリシラン6部を得た。得
られたポリシランの 1H NMRを測定した結果、メチ
ル基、エトキシ基およびチエニレン基の存在が確認さ
れ、その比率は85:13:2であった。GPCによる
ポリスチレン換算分子量は、11,000であった。
構造ポリシランの合成) 冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、乾燥アルゴン
気流下で9,10−ジブロモアントラセン6部を仕込
み、テトラヒドロフラン100部を加えて溶解させ、ド
ライアイス−アセトン浴で温度を−78℃とした。これ
にn−ブチルリチウムの1.8M n−ヘキサン溶液1.
5部を滴下し、そのまま1時間撹拌した。これに1,2
−ジメチル−1,1,2,2−テトラエトキシジシラン
50部を仕込み、室温まで昇温した後、撹拌しながら1
00℃で20時間加熱した。冷却後、吸引濾過により固
形分を除き、濾液を無水メタノール1,000部中にゆ
っくりと注ぎ、白色固体を再沈殿させた。吸引濾過によ
り濾別した固体を、無水エタノールで洗浄し、減圧下で
乾燥させて、網目状構造のポリシラン7部を得た。得ら
れたポリシランの 1H NMRを測定した結果、メチル
基、エトキシ基および9,10−アントラセニレン基の
存在が確認され、その比率は78:18:4であった。
GPCによるポリスチレン換算分子量は、2,700で
あった。
ぞれ用いて、表1に示す配合比により、該ポリシランと
ビス(p−ドデシルベンゼン)ヨードニウムヘキサフル
オロアンチモン塩とをテトラヒドロフランに溶解させ
て、ポリシラン10重量%の溶液を調製した。これを白
金電極を蒸着させたガラス板上にスピンコートし、50
℃/2Torrで減圧加熱して乾燥させ、厚さ1μm の薄膜
を形成させた。このようにして得られた薄膜の体積抵抗
率を、窒素雰囲気中で2端針法で測定したところ、1×
1012Ωcm以上と、まったく導電性を示さなかった。こ
れを、固体ヨウ素を入れて乾燥窒素で置換した遮光性容
器中に25℃で1時間静置すると、ヨウ素蒸気にさらさ
れて、薄膜の外観は、透明から褐色に変化した。薄膜の
体積抵抗率を測定したところ、表1に示すように、3.
4×102 Ωcm〜2.4×103 Ωcmの値を示し、優れ
た導電性を有することが観察された。これらのポリシラ
ン薄膜は、導電性を5日間以上安定に保持していた。
い、表1のように、オニウム塩を添加しないほかは実施
例1〜3と同様にして、ポリシラン薄膜を得た。これを
実施例1〜3と同様の条件でヨウ素蒸気にさらしたとこ
ろ、表1に示すように、体積抵抗率は2.7×103 〜
5.0×105 であって、それぞれ対応する実施例に比
べて劣る導電性しか得られなかった。
ポリシランと、オニウム塩としてp−メトキシフェニル
(ジフェニル)スルホニウムフルオロアンチモン塩を、
重量比1:1で用いたほかは、実施例1〜3と同様にし
て、ヨウ素でドーピングした組成物を得た。その体積抵
抗率を測定したところ、5.7×102Ωcmの値を示
し、優れた導電性を有していた。
ポリシランと、オニウム塩としてビス(p−tert−ブチ
ルフェニル)ヨードニウムフルオロアンチモン塩を、重
量比1:1で用いたほかは、実施例1〜3と同様にし
て、ヨウ素でドーピングした組成物を得た。その体積抵
抗率を測定したところ、3.8×101 Ωcmの値を示
し、優れた導電性を有していた。
Claims (5)
- 【請求項1】 オニウム塩を添加したポリシランに、酸
化性物質をドーピングしたことを特徴とする導電性ポリ
シラン組成物。 - 【請求項2】 ポリシランが、平均式(I): 【化1】 (式中、R1 はたがいに同一でも異なっていてもよく、
ケイ素原子に結合した、置換または非置換の1価の炭化
水素基を表し、一部は水素原子であってもよく;R2 は
たがいに同一でも異なっていてもよく、酸素原子を介し
てケイ素原子に結合した、水素原子または置換もしくは
非置換の1価の炭化水素基を表し;R3 は2個のケイ素
原子に結合した、2価の置換もしくは非置換の炭化水素
基または複素環基を表し;主鎖骨格がSi−Si結合お
よび場合によってはSi−R3 −Si結合から構成さ
れ、aは1.00〜1.97、bは正の数、cは0≦c
/(an+bn+c)≦0.3を満足させる数であり;
nはポリシランの重量平均分子量が500〜3,00
0,000になるように選ばれる数である)で示され
る、請求項1記載の導電性ポリシラン組成物。 - 【請求項3】 オニウム塩が、ヨードニウム塩またはス
ルホニウム塩である、請求項1または2記載の導電性ポ
リシラン組成物。 - 【請求項4】 酸化性物質が、ヨウ素、塩化第二鉄また
は五フッ化アンチモンである、請求項1〜3のいずれか
1項に記載の導電性ポリシラン組成物。 - 【請求項5】 オニウム塩を添加したポリシランの薄膜
を形成した後、酸化性物質をドーピングすることを特徴
とする導電性ポリシラン組成物の製造方法。
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JP33286295A JP3229182B2 (ja) | 1995-12-21 | 1995-12-21 | 導電性ポリシラン組成物およびその製造方法 |
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