JP3229199B2 - 導電性ポリシラン組成物およびその製造方法 - Google Patents
導電性ポリシラン組成物およびその製造方法Info
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Description
用な導電性ポリシラン組成物に関し、また、基材表面に
該導電性ポリシラン組成物の膜を形成する方法に関す
る。
チレンなどの従来の炭素系高分子とは異なり、光照射に
よりSi−Si結合が切断されたり、光導電性を示すと
いう特徴的な光・電子的性質を有する。その特徴的なポ
リシランの性質は、主鎖のSi−Si結合を構成するσ
電子が、炭素共役系のπ電子のように、主鎖骨格全体に
非局在化しているために発生する。したがって、ポリア
セチレンのようにドーピングによって導電性を発現する
ことから、ポリシランは、有機導電材料やホトレジスト
への応用が可能であり、また、空気中で光照射を行うこ
とにより容易に酸化され、絶縁体であるシロキサン化合
物に変換できることから、機能変換材料への応用も考え
られ、それらの研究が盛んに行われてきている。ドーパ
ントとしては、主にヨウ素、五フッ化アンチモン、塩化
鉄(II)などが挙げられ、ポリフェニルメチルシラン・
ジメチルシラン共重合体の場合、ドーピング前の導電率
が1×10-12Scm-1以下と絶縁体の領域であるのに対
し、五フッ化アンチモンをドープすることで導電率は5
×10-5Scm-1 となり、導電率の向上が観測されている
(R. Westら; J. Am. Chem. Soc., 103, 7352 (1981))。
このようなドーピングによる導電性の発現は、非局在化
しているσ電子により形成されている荷電子帯を、ドー
パントにより生成するホールが移動するために起きる。
電率は半導体の領域にすぎず、導電材料として用いるた
めには、さらなる導電性の向上が望まれていた。そのた
めに、側鎖にカルバゾリルプロピル基のような電子受容
性の置換基を導入したポリシランの合成(いわゆる分子
内ドーピング)を行い、安定した、高い導電性の達成を
目指した研究も行われている(E. Tabeiら; Syn. Metal
s, 73, 113 (1995))。しかしながら、このような置換基
をポリシランに導入するには、ポリシランの合成が煩雑
になり、工業的に有利ではない。
有する直鎖状ポリシラン化合物の合成に成功し、これに
ヨウ素をドーピングして、体積抵抗率7.7×102 Ω
cmの導電性材料を得ている(Synthetic Metals 73, 199
5., p113〜116 、特開平6−128488号公報参
照)。石川らは、ジエチニレンジピリジレンジシラニレ
ンポリマーの合成に成功し、ヨウ素または第二塩化鉄を
ドーピングして、体積抵抗率7.1×103 Ωcmの導電
性材料を得ている(Organometallics 1995, 14, p714〜
720 参照)。これらのポリマーは、特殊な置換基を導入
する必要があるため、いずれも合成が困難である。ま
た、玉尾、伊藤らにより、体積抵抗率1×103 Ωcmの
導電性を示すチオフェン−シロール共重合体が報告され
ている(特開平6−100669号公報および特開平6
−166746号公報参照)が、これはポリシランとは
異なる構成単位からなる共重合体であるため、機能変換
材料への応用の点で満足できるものではない。
と取扱いの容易なポリシランをベースポリマーとして、
溶媒に可溶で、任意の形状の膜への賦形性が良好であ
り、簡便な操作によって調製でき、劣化が少なく、高導
電性のケイ素系高分子組成物を提供することである。本
発明のもうひとつの目的は、そのような組成物からなる
膜を、基材表面に形成する方法を提供することである。
題を解決するために鋭意検討を行った結果、炭素原子に
結合したヒドロキシル基を有する有機化合物(以下、ヒ
ドロキシル基含有有機化合物という)を添加した固体ポ
リシランが、有機溶媒に可溶で、任意の形状の膜に賦形
でき、しかも予期しなかったことに、ヨウ素のような酸
化性物質をドーピングすることにより、劣化が少なく、
該有機化合物を添加しないで酸化性物質をドーピングし
た系に比べて組成物の導電性が著しく向上することを見
出して、本発明を完成するに至った。
量部に対して、アルコール類、エーテルアルコール類お
よびフェノール類から選ばれる1種または2種以上の、
ヒドロキシル基含有有機化合物1〜50重量部を配合し
た固体ポリシランに、酸化性物質1〜1,000重量部
をドーピングしたことを特徴とする導電性ポリシラン組
成物に関し、また上記の有機化合物を配合した固体ポリ
シランの塗膜を基材表面に形成させ、ついで酸化性物質
をドーピングする、導電性ポリシラン組成物の製造方法
に関する。
は、常温で固体を呈するものであれば特に限定されない
が、好ましくは、平均式(I):
ケイ素原子に結合した、置換または非置換の1価の炭化
水素基を表し、一部は水素原子であってもよく;R2 は
たがいに同一でも異なっていてもよく、酸素原子を介し
てケイ素原子に結合した、水素原子または置換もしくは
非置換の1価の炭化水素基を表し;R3 は2個のケイ素
原子に結合した、2価の置換もしくは非置換の炭化水素
基または複素環基を表し;主鎖骨格がSi−Si結合お
よび場合によってはSi−R3 −Si結合から構成さ
れ、aは1.00〜2.00、bは0または正の数、c
は0≦c/(an+bn+c)≦0.3を満足させる数
であり;nはポリシラン化合物の重量平均分子量が50
0〜3,000,000になるように選ばれる数であ
る)で示される。
状、環状、網目状のいずれのポリシラン骨格を有するも
のであってもよく、またその構造中に、部分的に、分子
中に分散して、ケイ素原子の間に上記のR3 が存在して
いてもよいが、酸化性物質をドーピングすることによる
劣化や分子量の低下を抑制することから、ポリシラン骨
格自体および/またはR3 によって網目状構造を形成し
ていることが好ましい。
一般式(II)または(III)
p、qおよびsは0または正の整数、rは正の整数であ
って、該p、q、rおよびsは上記の平均式(I)の
a、b、cおよびnを満足させる数であり;式はシラン
単位およびR3 の数を表わすもので、ブロック共重合体
を意味するものではない)で示され、R1 Si単位およ
び必要に応じてR3 によって架橋され、網目状骨格を有
するポリシランが挙げられる。
置換または非置換の1価の炭化水素基で、メチル、エチ
ル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチ
ル、デシル、ドデシル、テトラデシル、オクタデシルな
どの直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロヘキシル
などのシクロアルキル基;2−フェニルエチル、2−フ
ェニルプロピルなどのアラルキル基;フェニル、トリ
ル、キシリル、メシチルなどのアリール基;ビニル、ア
リルなどのアルケニル基;p−ビニルフェニルなどのア
ルケニルアリール基;ならびにクロロメチル、トリフル
オロプロピル、メトキシフェニルなどの置換炭化水素基
が例示され、一部のR1 は水素原子であってもよい。こ
れらのうち、合成のし易さから、メチル、エチル、プロ
ピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルのような炭素数1〜
6のアルキル基、シクロヘキシル基およびフェニル基が
好ましい。
目状構造の度合と関係があり、そのケイ素原子に対する
比R1 /Siが1.00〜2.00の範囲であることが
好ましく、1.00〜1.91がさらに好ましい。
構成する水素原子または置換もしくは非置換の1価の炭
化水素基であり、該OR2 基が存在すると、固体ポリシ
ランのSi−Si結合が、使用中の露光のために活性化
されて開裂しても、そこに生じた活性種がトラップされ
て、全体としてのSi−Si結合の数や架橋密度が保た
れ、分子量の低下をもたらすことなく、固体ポリシラン
の電子的・光学的特性が保持される。R2 としては、水
素原子のほか;メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペ
ンチル、ヘキシル、ドデシルなどの直鎖状または分岐状
のアルキル基;シクロヘキシルなどのシクロアルキル
基;フェニル、トリル、キシリル、メシチルなどのアリ
ール基;および2−メトキシエチル、2−エトキシエチ
ルおよび2−ブトキシエチルのような置換炭化水素基が
例示され、合成のし易さおよび取り扱い易さから、メチ
ル、エチル、プロピル、ブチルのような炭素数1〜4の
アルキル基およびフェニル基が好ましく、メチルおよび
エチルが最も好ましい。すなわち、OR2 基としては、
メトキシ、エトキシのような低級アルコキシ基が最も好
ましい。このようなOR2 基は、ポリシラン分子鎖の末
端、中間および分岐位置のいずれのケイ素原子に結合し
ていてもよい。
架橋する形、または網目状ポリシラン構造中に、ケイ素
原子の間に導入された置換もしくは非置換の2価の炭化
水素基または複素環基であり、ポリシランの分子中に分
散して存在することが好ましい。R3 としては、メチレ
ン、エチレン、トリメチレンなどのアルキレン基;ブタ
ジエニレンなどの2価の脂肪族飽和炭化水素基;フェニ
レン、ナフチレン、9,10−アントラセニレン、フェ
ロセニレンなどのアリーレン基;キシリレンなどの2価
の芳香族置換炭化水素基;チエニレン、ジチエニレン、
ピロリレン、ピリジニレンなどの複素環基が例示されビ
フェニレン、トリフェニレン、チエニレンのような、2
個以上の芳香環または複素環が反復して存在する2価の
連鎖であってもよく、合成のし易さと組成物の導電性か
ら、芳香族炭化水素基または複素環が好ましく、フェニ
レン、9,10−アントラセニレンおよびチエニレンが
特に好ましい。
複素環基であるR3 が存在することにより、ポリシラン
組成物の導電性を高めるとともに、溶媒に対する溶解性
を付与し、該ポリシランの薄膜をより容易に、かつ均一
に行うことができる。この場合、R3 の数cは、ポリシ
ラン中の置換基の全個数an+bn+cに対して30%
以下であることが好ましく、0.1〜20%がさらに好
ましい。この比率が大きいほどポリシランの導電性を上
げることができるが、30%を越えると、高分子量の固
体ポリシランを得ることが困難となり、安定で物性の良
好な薄膜を形成できない。
ランが溶媒に可溶であって、固体膜が形成できれば特に
限定されないが、合成のし易さ、溶媒への可溶性、成膜
性などから、500〜3,000,000の範囲が好ま
しく、1,000〜1,000,000がさらに好まし
く、2,500〜100,000が特に好ましい。
鎖状ポリシランは、アルカリ金属の存在下でジクロロシ
ラン類の縮合反応、ジルコノセンなどの遷移金属触媒に
よるヒドロシラン類の脱水素縮合反応、マスクされたジ
シレンのアニオン重合反応、または環状オリゴシランの
開環重合反応によって合成が可能である。また網目状骨
格ポリシランは、既知のポリシランの合成法を用いて製
造することができる。たとえば、金属リチウムや金属ナ
トリウムによるオルガノクロロシラン類の脱塩縮合反応
(ウルツ法)を用いて、原料のオルガノクロロシラン類
の混合比を調整することにより、分子骨格の網目の程度
を制御した様々な網目状骨格ポリシランを得ることがで
きる。
応を利用すれば、温和な条件で、様々な有機置換基を有
する網目状骨格のポリシランの合成が可能である(特開
平4−311727号公報、特開平6−57002号公
報およびK. Kabeta ら; Chem. Lett., 1994, p835 〜83
8 参照)。さらに、2個のケイ素原子の間にR3 を導入
したポリシランを得ることも可能である(Chem. Lett.,
1994, 119〜120 参照)。これらはアルコキシ基含有ポ
リシランについて記載されたものであるが、これをアル
コキシ基以外のOR2 基を有するポリシランに適用する
ことは、当業者にとっては容易であろう。
ヒドロキシル基含有有機化合物は、本発明のポリシラン
組成物に高い導電性を付与するために不可欠な成分であ
る。このようなヒドロキシル基含有有機化合物として
は、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタ
ノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウン
デカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデ
カノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、シク
ロヘキサノール、ベンジルアルコールなどの1価のアル
コール類;エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,3−プロパンジオール、ブタンジオール、ペン
タンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、
オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオールな
どの2価のアルコール類;グリセリン、トリメチロール
プロパン、ブタントリオール、ヘキサントリオール、ヘ
プタントリオールなどの3価のアルコール類;ペンタエ
リトリトール、ソルビトール、マンニトールなどの4価
又はそれ以上の多価アルコール類;ジエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコールなどのエーテルアルコール
類;ならびにフェノール、キシレノールなどのフェノー
ル類が例示され、直鎖状、分岐状、環状のいずれの炭素
鎖を有するものでよく、分子中のどの位置の炭素原子に
ヒドロキシル基が結合していてもよい。このようなヒド
ロキシル基含有有機化合物は、単独で用いても、2種以
上を併用してもよい。
とからアルコール類が好ましく、ポリシランの混合が容
易で、混合後の保存中における系の安定性、製膜性およ
び製膜後の保存性が優れていることから、アルコール類
の中でも、揮発性の低いものまたは常温で固体のものが
より好ましく、揮発性に関しては、常圧で沸点が100
〜500℃のものがさらに好ましく、200〜300℃
のものが特に好ましい。このようなヒドロキシル基含有
有機化合物としては、テトラデカノール、ペンタデカノ
ール、ヘキサデカノール、1,2,6−ヘキサントリオ
ールなどが例示される。
は、ポリシラン100重量部に対して通常1〜50重量
部であり、10〜50重量部がさらに好ましい。ヒドロ
キシル基含有有機化合物の配合量が1%未満では導電率
の向上効果が現れず、また50%を越えるとポリシラン
膜の製膜性が著しく低下する場合がある。
化合物を、適切な溶媒に溶解して、基材表面に薄膜を形
成させるための処理液を調製することができる。また、
あらかじめ該有機化合物を添加した固体ポリシランを溶
媒に溶解してもよく、該有機化合物が液体の場合には、
その種類と量に応じて、ポリシランに含浸させたり、ポ
リシランを該有機化合物に溶解させてもよい。
ずれを用いてもよく、たとえば、n−ヘプタン、n−ヘ
キサン、トルエン、キシレン、ベンゼン、ジメチルホル
ムアミド、テトラヒドロフラン、ジエチルエーエル、ク
ロロホルムなどが挙げられるが、ポリシランを容易に溶
解させることから、テトラヒドロフランのような極性溶
媒の方が好ましい。良好な作業性を得るための溶媒の量
は、ポリシラン100重量部に対して、通常50〜1
0,000重量部、好ましくは500〜2,000重量
部である。
ポリシランの薄膜を形成する方法は、たとえば上述のよ
うな溶媒に溶解して得られた処理液を基板上に塗布し、
常圧または減圧で常温に放置、または加温して溶媒を揮
散させ、ポリシラン膜を得る方法が一般的である。塗布
方法としてはディッピング、スピンコーティングなどが
例示され、スピンコーティングを用いることが好まし
い。
酸化性物質をドーピングして、導電性ポリシラン組成物
を得ることができる。
塩素、臭素、ヨウ素のようなハロゲン類、塩化スズ塩化
第二鉄のような遷移金属塩化物、五フッ化アンチモン、
五フッ化ヒ素のようなルイス酸などが有効であり、安全
で、取扱い易いことから、ヨウ素や塩化第二鉄を用いる
ことが好ましい。
リシラン100重量部に対して、通常1〜1,000重
量部、好ましくは10〜100重量部である。1重量部
未満では組成物に高い導電性を与えることができず、
1,000重量部を越えると製膜性が悪く、得られたポ
リシラン膜に欠陥を生じやすくなる。
膜を、たとえば (a)ヨウ素や塩化第二鉄などの酸化性物質の蒸気雰囲
気下にさらす気相(乾式)ドーピング法; (b)ヨウ素や塩化第二鉄などを不活性溶媒中に溶解し
た溶液中にポリシランを浸漬する湿式ドーピング法;お
よび (c)ヨウ素とポリシランを共通に溶解させる溶媒を用
い、ヨウ素を溶解した溶液にポリシランを溶解させ、該
溶液から乾式製膜することによりフィルムあるいは薄膜
に賦形すると同時にドーピングする同時ドーピング法 があり、そのいずれかを用いることができる。
の温度およびドーパントの分圧を制御することにより、
ドーピング速度をコントロールすることができる。一般
にドーピングはドーパント雰囲気の温度が−30〜20
0℃の範囲で行うことができる。−30℃未満ではドー
ピング速度が遅く、200℃を越える温度ではドーピン
グの際にポリシランの劣化を招き、好ましくない。ドー
パント分圧は1Torrから5気圧の範囲が好ましい。1To
rr未満では一般にドーピング速度が遅く、5気圧を越え
て圧力を増しても特にその効果がない。
としては、ヨウ素と反応して電子受容体性化合物として
の能力を失活させない溶媒が用いられる。このような溶
媒として、ヘキサン、オクタン、石油エーテル、シクロ
ヘキサンのような脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエ
ン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ジエチルエー
テル、テトラヒドロフランのようなエーテル類;酢酸エ
チルのようなエステル類;ジメチルホルムアミド、ジメ
チルスルホキシドのような非プロトン系極性溶媒;その
他、ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルな
どが例示される。なかでもテトラヒドロフランのような
溶媒は、ポリシランの良溶媒であるため、特に同時ドー
ピング法に好適である。この場合、ヒドロキシル基含有
有機化合物を配合したポリシランをドーパントを含む溶
液に溶解させ、この溶液をキャスティングした後、乾燥
することにより、ドーピングと製膜を同時に行うことが
できる。キャスティング後の乾燥は、常圧または減圧下
に、0〜150℃の温度で行うことができる。
うな他の添加剤を併用してもよい。またラジカル発生剤
を添加することもできる。
ドロキシル基含有有機化合物の添加により、それを添加
しない場合に比べて、ドーピング後の導電率が10〜
1,000倍以上に向上する。それゆえ、本発明によっ
て、簡便かつ迅速な操作により、102 Ωcmまでの高い
導電性を有するポリシラン組成物、特にその薄膜を得る
ことができる。本発明によって提供される導電性ポリシ
ラン組成物は、それに含まれる添加物の種類や量を変え
ることにより、ポリシラン組成物の導電性を向上させる
ことができる。また、ポリシランの骨格構造や置換基を
変えることによっても、導電性の制御が可能である。
えて、取扱いが容易で賦形性が良好なことから、光導電
材料や導電材料などのエレクトロニクス分野に広く応用
可能な素材として、きわめて有用である。
て、本発明をさらに詳しく説明する。これらの例中、部
はすべて重量部を表し、物性値は25℃における値であ
る。本発明は、これらの実施例によって制限されるもの
ではない。
反応で合成した、ポリスチレン換算重量平均分子量(以
下、単に平均分子量という)138,000、分子量分
布係数Mw/Mnが2.0および平均分子量15,00
0(Mw/Mn=3.1)のバイモーダル分布を有し、
前者と後者の重量比が約1:2であるポリ(ジヘキシル
シラン)50部と、1−ヘキサデカノール5部とを、ト
ルエン1,000部に溶解して、処理液を得た。この処
理液を、スピンコーターを用いて端子付きのガラス板
に、まず500rpm で5秒、ついで2,000rpm で3
0秒かけて塗布した。これを減圧下に室温で30分乾燥
して、厚さ0.6μm のポリシラン薄膜をガラス表面に
形成させた。
せたガラス板を、固体ヨウ素を入れて乾燥窒素で置換し
た遮光性容器中に25℃で1時間静置することにより、
薄膜をヨウ素ドーピングした。ドーピング後の薄膜の体
積抵抗率を測定したところ、3.7×103 Ωcmの値を
示した。
らナトリウムによるウルツ反応で合成した、平均分子量
32,000(Mw/Mn=5.8)のポリ(ヘキシル
シリン);または1,1,2,2−テトラメチル−1,
2−ジエトキシジシランから、9,10−ジブロモアン
トラセンの存在下にn−ブチルリチウムを用いる不均化
反応によって合成した、平均分子量10,470(Mw
/Mn=4.2)のアントラセニレン基含有ポリシラン
(メチル基:エトキシ基:アントラセニレン基=78:
18:4)を用いて、表1に示す配合比により、実施例
1と同様な方法で、1−ヘキサデカノールを含むポリシ
ラン薄膜を形成させ、ヨウ素ドーピングを行った。ドー
ピング後の薄膜の体積抵抗率を測定したところ、表1に
示すように、ポリシラン化合物の種類および1−ヘキサ
デカノールの配合比に応じて、1.3×102 〜2.4
×105 Ωcmの値を示した。
ポリ(ヘキシルシラン)または実施例2に用いたのと同
様のポリ(ヘキシルシリン)を用い、ヒドロキシル基含
有有機化合物として1−ペンタノール、1,2,6−ヘ
キサントリオールまたはフェノールを用い、表1に示す
組合せと配合比により、実施例1と同様な方法で各種の
ヒドロキシル基含有有機化合物を含むポリシラン薄膜を
形成させ、ヨウ素ドーピングを行った。ドーピング後の
薄膜の体積抵抗率を測定したところ、表2に示すよう
に、ポリシラン化合物とヒドロキシル基含有有機化合物
の種類および後者の配合比に応じて、1.3×103 〜
6.3×105 Ωcmの値を示した。
ポリ(ヘキシルシラン)、実施例2に用いたのと同様の
ポリ(ヘキシルシリン)または実施例4に用いたのと同
様のアントラセニレン基含有ポリシランを用い、ヒドロ
キシル基含有有機化合物を配合しなかった以外は実施例
1と同様にしてポリシラン薄膜を形成させ、ヨウ素ドー
ピングを行った。ドーピング後の薄膜の体積抵抗率を測
定したところ、表3に示すように、ポリシラン化合物の
種類に応じて、3.8×104 〜5.1×106 Ωcmの
値を示した。
を配合した以外は実施例1と同様にして、ポリシラン薄
膜の形成とヨウ素ドーピングを行った。ドーピング後の
薄膜の体積抵抗率を測定したところ、表3に示すよう
に、7.5×106 Ωcmであり、ヒドロキシル基含有有
機化合物を配合した場合のような導電性の向上は認めら
れなかった。
Claims (3)
- 【請求項1】 ポリシラン100重量部に対して、アル
コール類、エーテルアルコール類およびフェノール類か
ら選ばれる1種または2種以上の、炭素原子に結合した
ヒドロキシル基を有する有機化合物1〜50重量部を配
合した固体ポリシランに、酸化性物質1〜1,000重
量部をドーピングしたことを特徴とする導電性ポリシラ
ン組成物。 - 【請求項2】 炭素原子に結合したヒドロキシル基を有
する有機化合物が、アルコール類またはフェノール類で
ある、請求項1記載の組成物。 - 【請求項3】 ポリシラン100重量部に対して、アル
コール類、エーテルアルコール類およびフェノール類か
ら選ばれる1種または2種以上の、炭素原子に結合した
ヒドロキシル基を有する有機化合物1〜50重量部を配
合した固体ポリシランの塗膜を基材表面に形成させ、つ
いで酸化性物質1〜1,000重量部をドーピングす
る、導電性ポリシラン組成物の製造方法。
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JPH09291216A (ja) | 1997-11-11 |
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