JPH09169699A - 新規ジベンゾイルメタン誘導体とその製造方法 - Google Patents

新規ジベンゾイルメタン誘導体とその製造方法

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JPH09169699A
JPH09169699A JP7350176A JP35017695A JPH09169699A JP H09169699 A JPH09169699 A JP H09169699A JP 7350176 A JP7350176 A JP 7350176A JP 35017695 A JP35017695 A JP 35017695A JP H09169699 A JPH09169699 A JP H09169699A
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tert
dibenzoylmethane
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hydroxyethoxy
mol
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泰弘 森田
Naohiro Okuda
尚宏 奥田
Yuujirou Uchiyama
雄二朗 内山
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】4−tert−ブチル−4’−(2−メタクリ
ロイルオキシエトキシ)ジベンゾイルメタンおよび4−
tert−ブチル−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)ジベ
ンゾイルメタン並びにこれらの製造方法。 【効果】本発明により、UV−A領域に吸収能を有する
新規化合物である4−tert−ブチル−4’−(2−メタ
クリロイルオキシエトキシ)ジベンゾイルメタンを提供
することができる。また、本発明の製造方法によれば、
4−tert−ブチル−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)
ジベンゾイルメタンを用いることにより側鎖のヒドロキ
シル基を重合活性のあるメタクリロイルオキシ基に容易
に変換することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般式(I)で示
される4−tert−ブチル−4’−(2−メタクリロイル
オキシエトキシ)ジベンゾイルメタンおよび一般式(I
I) で示される4−tert−ブチル−4’−(2−ヒドロ
キシエトキシ)ジベンゾイルメタン、これらの化合物の
製造方法に関する。4−tert−ブチル−4’−(2−メ
タクリロイルオキシエトキシ)ジベンゾイルメタンは、
化粧料、フィルム、インキ、塗料、コンタクトレンズ等
の分野に有用な紫外線吸収モノマーである。
【0002】
【化1】
【0003】
【化2】
【0004】
【従来の技術】紫外線は、日常生活において常に我々に
降り注いでいる。紫外線は320−400nmの長波長
(UV−A)、290−320nmの中波長(UV−
B)、および290nm以下の短波長(UV−C)に分
けることができる。人間社会に最も大きな影響を与える
紫外線は太陽光によるものであるが、オゾン層によりほ
とんどのUV−Cは吸収され、UV−BとUV−Aが地
表に達する。この紫外線UV−BおよびUV−Aは、人
体に対しても、人を取り巻く全ての物質に対しても影響
を及ぼす。これまでは、UV−Aよりもエネルギーが高
く人体に強い影響を与えるUV−Bに対して対策が施さ
れてきたが、最近ではUV−Aも人体に悪影響を及ぼす
ことが次第に明らかにされてきた。UV−Aは雲や霧、
窓ガラスも透過する為、人は日常生活において知らず知
らずのうちにUV−Aに暴露されている。UV−AはU
V−Bに比べ急激な作用はないが、30−50%が皮膚
の真皮にまで到達し、血管壁や結合組織中の弾性繊維に
微慢性の変化をもたらし、これらの変化が老化促進につ
ながると考えられている。またUV−Bは主に肌表面に
作用し、急激な日焼けを起こさせ、シミ、ソバカス、皮
膚の乾燥の原因となるが、UV−AはこれらUV−Bの
皮膚に対する変性作用を増強させることが知られてい
る。これらのことより明らかな様に、皮膚の老化促進を
予防し、シミ、ソバカスの発生や他の悪影響を防ぐため
には、UV−BだけでなくUV−Aからも皮膚を保護す
ることが重要であり、化粧料分野でUV−A紫外線吸収
剤が開発され、市販されるようになった。
【0005】一方、人の社会には欠かすことのできない
高分子材料の分野では、近年重合技術の進歩とともに機
能性高分子の開発が進み、UV−B領域での劣化を防止
する従来型の紫外線吸収剤に加えて、UV−A領域での
劣化も重視される様になり、フィルム、インキ、塗料等
の分野でUV−A紫外線吸収剤の需要が高まっている。
また、この他にもコンタクトレンズや眼内レンズの分野
では眼球保護などのためにUV−A紫外線吸収剤が使用
されている。
【0006】市販のUV−A紫外線吸収剤には、ベンゾ
トリアゾール系、2−ヒドロキシベンゾフェノン系、ジ
ベンゾイルメタン系の化合物があるが、この中で、ジベ
ンゾイルメタン系の化合物がUV−A領域で最も大きな
幅広い極大吸収を持つ。ベンゾトリアゾール系のUV−
A紫外線吸収剤はUV−B及びUV−A領域に幅広い吸
収帯を持つが、UV−A領域での紫外線吸収能力は、ジ
ベンゾイルメタン系の化合物の半分以下である。また、
2−ヒドロキシベンゾフェノン系の化合物はベンゾトリ
アゾール系よりもUV−A領域での紫外線吸収能力は更
に低い。このようなジベンゾイルメタン系の化合物とし
ては、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイル
メタン、市販品名「パラソール1789」(λmax
358nm、logεmax=4.59、エタノール
中)(ジボタン株式会社)や2−アルコキシカルボニル
−4’−メトキシジベンゾイルメタン、例えば2−エト
キシカルボニル−4’−メトキシジベンゾイルメタン
(λmax 344nm、logεmax=4.42、
エタノール中)(特開昭62−56454号公報)等が
知られている。
【0007】UV−A吸収剤の現在かかえている問題点
として、化粧料分野では、人体に対して用いることので
きるUV−A吸収剤は、被爆時の皮膚への刺激性、吸収
性等の安全面から、用いることのできる化合物及びその
使用量はともに限られており、また従来より紫外線散乱
剤として用いられている皮膚吸収性の少ない、二酸化チ
タンや酸化亜鉛等の無機粉末は、UV領域の紫外線を防
止するためには、大量に必要であり、使用時に自然な感
触が損なわれるという欠点があった。一方、フィルム、
インキ、塗料等の分野に関しては、製品化される前の各
工程でのUV−A紫外線吸収剤の揮発や溶出、更に成形
品表面からの揮発や製品表面でのブリードアウト(はじ
き)が問題になる場合が多く、その結果UV−Aにより
劣化を生じ、製品の特性が損なわれるという欠点があっ
た。そして、コンタクトレンズや眼内レンズの分野に関
しても、紫外線吸収剤の溶出による眼への影響が問題と
なっていた。
【0008】最近では、これらの問題の対策として、U
V−A領域に吸収帯を持つモノマーを高分子化すること
により、化粧料用の分野では皮膚吸収を防ぎ、皮膚刺激
を抑制したり、またフィルム、インキ、塗料等の分野に
用いる場合にはラジカル重合反応により直接高分子中に
組み込ませてUV−Aによる劣化を防止することが試み
られ、同様にコンタクトレンズや眼内レンズの分野に関
しても、使用時に紫外線吸収剤の溶出を防ぎ、眼への影
響を低減する目的で、UV−A紫外線吸収モノマーやポ
リマーが報告されている。
【0009】前記UV−A吸収モノマーとしては、ベン
ゾトリアゾール系のモノマーである2−(2’ーヒドロ
キシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−
2H−ベンゾトリアゾール(特公昭60−38411号
公報)などが知られており、また、前記UV−A吸収ポ
リマーとしては、2−ヒドロキシベンゾフェノン系モノ
マーである2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルオキシ
ベンゾフェノンを一組成物として用いた共重合体(特開
平1−299560)やジベンゾイルメタン系の4−メ
トキシ−2’−ビニルオキシジベンゾイルメタンを一組
成物として用いた共重合体(特開平3−22013)な
どが知られている。
【0010】しかしながら、前記2−(2’−ヒドロキ
シ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2
H−ベンゾトリアゾールはベンゾトリアゾール系の化合
物であり、また2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルオ
キシベンゾフェノンは2−ヒドロキシベンゾフェノン系
の化合物であり、UV−A領域での紫外線吸収能力はジ
ベンゾイルメタン系の化合物に比べて低い。更に、これ
までに知られているジベンゾイルメタン系のモノマー
は、UV−A領域での紫外線吸収能力には優れているも
のの、その製造コスト、物性等に制約があり、また上記
のように、UV−A領域に吸収帯を持つモノマーを高分
子化することにより化粧料用の分野に利用する場合や、
ラジカル重合反応により直接高分子中に組み込ませてフ
ィルム、インキ、塗料等の分野に用いる場合や、コンタ
クトレンズや眼内レンズの分野に用いる場合等には適し
ているとはいえない。このように、UV−A紫外線吸収
モノマー及びポリマーの研究が行われているものの未だ
十分とはいえず、320−400nmのUV−A領域に
おいて幅広い紫外線を吸収し、かつ、UV−A吸収能力
が大きいUV−A吸収性モノマーの開発が強く望まれて
いる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、きわ
めて優れたUV−A吸収性を有するジベンゾイルメタン
系新規化合物およびその製造法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記のような状況に鑑み
て、本発明者らはメタクリル酸エステルを側鎖に有する
ジベンゾイルメタン系化合物について鋭意研究を進めた
ところ、新規化合物である4−tert−ブチル−4’−
(2−メタクリロイルオキシエトキシ)ジベンゾイルメ
タンおよび4−tert−ブチル−4’−(2−ヒドロキシ
エトキシ)ジベンゾイルメタンがUV−A領域における
幅広くかつ強い紫外線吸収能を有することを発見し、さ
らに研究をすすめて本発明を完成するに至ったものであ
る。
【0013】すなわち、本発明の要旨は、(1) 4−
tert−ブチル−4’−(2−メタクリロイルオキシエト
キシ)ジベンゾイルメタン、(2) 4−tert−ブチル
−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタ
ン、(3) 4’−(2−ヒドロキシエトキシ)アセト
フェノンと4−tert−ブチル安息香酸エステルを塩基性
条件下でクライゼン縮合させることを特徴とする4−te
rt−ブチル−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)ジベン
ゾイルメタンの製造方法、(4) 4−tert−ブチル−
4’−(2−ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタン
をメタクリル酸の反応性誘導体でエステル化することを
特徴とする4−tert−ブチル−4’−(2−メタクリロ
イルオキシエトキシ)ジベンゾイルメタンの製造方法、
(5) 該エステル化が、酸触媒の存在下にメタクリル
酸と反応させるものであることを特徴とする前記(4)
記載の製造方法、並びに(6) 該エステル化反応が、
塩基触媒の存在下にメタクリル酸クロリドと反応させる
ことを特徴とする前記(4)記載の製造方法、に関す
る。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の4−tert−ブチル−4’
−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)ジベンゾイル
メタンは、UV−A領域の紫外線を幅広く吸収する能力
を有する新規化合物であり、例えば、本発明の方法によ
り容易に製造することができる。即ち、下記の化学反応
式に示すように、4’−(2−ヒドロキシエトキシ)ア
セトフェノンと4−tert−ブチル安息香酸エステルを塩
基性条件下でクライゼン縮合させて本発明の4−tert−
ブチル−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイ
ルメタンに誘導し、ついで4−tert−ブチル−4’−
(2−ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタンとメタ
クリル酸とをエステル結合させることにより製造するこ
とができる。
【0015】
【化3】
【0016】本発明の4−tert−ブチル−4’−(2−
ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタンを製造するた
めのクライゼン縮合の原料化合物である4’−(2−ヒ
ドロキシエトキシ)アセトフェノンは、2−ヒドロキシ
アセトフェノンを2−クロロエタノールに加熱溶解さ
せ、水酸化ナトリウム水溶液を滴下することにより製造
することができる。また、他の原料化合物である4−te
rt−ブチル安息香酸エステルとしては、4−tert−ブチ
ル安息香酸メチル、4−tert−ブチル安息香酸エチルな
どの炭素数の少ないアルキルエステルが挙げられ、これ
らの中でより離脱しやすいメトキシ基を有する4−tert
−ブチル安息香酸メチルが好ましい。これらは市販品
(ヘキストセラニーズ社製)をそのまま使用することが
でき、また、濃硫酸を触媒量用い、低級アルコール中、
加熱還流下にtert−ブチル安息香酸をエステル化す
ることにより製造することができる。
【0017】本発明のクライゼン縮合における4’−
(2−ヒドロキシエトキシ)アセトフェノンの使用量
は、とくに限定はないが、生産性の面および反応時間を
考慮すれば、有機溶媒100mlに対して10〜40
g、なかんずく20〜35gであることが好ましい。上
記の4−tert−ブチル安息香酸エステルの使用量は、通
常4’−(2−ヒドロキシエトキシ)アセトフェノン1
モルに対して0.6モル〜1.5モル、好ましくは0.
8モル〜1.3モル、さらに好ましくは1.0モル〜
1.3モルである。あまりにも多い場合には、4−tert
−ブチル安息香酸エステルが再結晶による精製で除きに
くくなるため、またあまりにも少ない場合には、前記ク
ライゼン縮合が完結しないため、いずれも好ましくな
い。
【0018】上記のクライゼン縮合のために使用される
塩基としては、アルカリ金属、例えば、金属ナトリウ
ム、アルカリ金属水素化物、例えば水素化ナトリウム、
アルカリ金属アミド、例えば、ナトリウムアミド、また
は、アルカリ金属アルコラート、例えば、ナトリウムメ
チラート、または、ナトリウムエチラートなどの強塩基
が等挙げられるが、取り扱い性、反応性等の観点からこ
れらの中ではアルカリ金属水素化物である水素化ナトリ
ウムや、アルカリ金属アミドであるナトリウムアミド等
が特に好ましい。塩基の使用量は、4’−(2−ヒドロ
キシエトキシ)アセトフェノン1モルに対して通常1.
0モル〜5モル、好ましくは1.3モル〜3モル、特に
好ましくは1.5モル〜3モルである。使用量があまり
にも多い場合には、反応後中和に用いる酸の量が多くな
るため、好ましくなく、またあまりにも少ない場合に
は、前記クライゼン縮合が完結しないため、好ましくな
い。
【0019】クライゼン縮合のための有機溶媒として
は、エーテル類、例えばテトラヒドロフラン、ジエチル
エーテル、または、炭化水素、例えばトルエン、ベンゼ
ンなどの不活性溶媒が挙げられ、これらは2種類以上3
種類までの混合溶媒として用いても良いが、炭化水素を
用いると前記塩基の溶解性が低下するため、中でも極性
溶媒である前記エーテル類が好ましく、沸点の比較的高
いテトラヒドロフランがより好ましい。溶媒の使用量
は、通常4’−(2−ヒドロキシエトキシ)アセトフェ
ノン1モルに対して0.5〜1.0リットルである。
【0020】前記クライゼン縮合の反応操作は、例えば
窒素気流下で、4’−(2−ヒドロキシエトキシ)アセ
トフェノンおよび4−tert−ブチル安息香酸エステルを
有機溶媒に溶解させた後、塩基を添加するか、または、
塩基を有機溶媒に懸濁させた後、有機溶媒に溶解させた
4’−(2−ヒドロキシエトキシ)アセトフェノンを滴
下し、続いて4−tert−ブチル安息香酸エステルを滴下
することにより行うことができる。4’−(2−ヒドロ
キシエトキシ)アセトフェノンと塩基との反応によりガ
ス、例えば水素などの発生を伴う場合には、反応液の突
沸を防ぐため反応温度が10℃から60℃の温度範囲
内、なかんずく20℃から50℃の温度範囲内で攪拌
し、ガスの発生が穏和になった後、反応温度を反応が完
結し得る条件まで上げることが好ましい。この反応が完
結し得る反応温度は、使用溶媒により異なるが、30℃
から使用溶媒の還流温度である。
【0021】前記クライゼン縮合の反応の終了は、4’
−(2−ヒドロキシエトキシ)アセトフェノンの消失を
薄層クロマトグラフィー(以下、TLCという)や高速
液体クロマトグラフィー(以下、HPLCという)等で
確認することができる。反応終了後、反応液を水冷し、
酸性水溶液、例えば希塩酸、希硫酸、酢酸水溶液などで
中和した後、水、塩化ナトリウム水溶液、または硫酸ナ
トリウム水溶液などで洗浄し、さらにエバポレーターな
どで減圧濃縮することにより、粗結晶が得られる。得ら
れた粗結晶はさらに、水、メタノール、エタノール、イ
ソプロピルアルコール、ジエチルエーテル、ジイソプロ
ピルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、
酢酸エチル、トルエン、ベンゼン、ジクロロメタン、ク
ロロフォルム、四塩化炭素などの単独あるいは2種類以
上から再結晶することにより精製し、4−tert−ブチル
−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタ
ンを得る。こうして得られる4−tert−ブチル−4’−
(2−ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタンは新規
化合物である。
【0022】4−tert−ブチル−4’−(2−メタクリ
ロイルオキシエトキシ)ジベンゾイルメタンは、上記の
ようにして得られた4−tert−ブチル−4’−(2−ヒ
ドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタンを、酸触媒存在
下でメタクリル酸と脱水エステル化、あるいは塩基存在
下でメタクリル酸クロリドでエステル化することにより
得られる。以下には、まず酸触媒存在下に有機溶媒中で
4−tert−ブチル−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)
ジベンゾイルメタンをメタクリル酸で脱水エステル化す
る場合について述べ、ついで塩基存在下にメタクリル酸
クロリドでエステル化する場合について述べる。
【0023】脱水エステル化の反応操作は、例えば4−
tert−ブチル−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)ジベ
ンゾイルメタンとメタクリル酸を室温で有機溶媒に懸濁
させ、重合防止剤、つづいて触媒量の酸を添加した後、
反応液に空気を吹き込みながら、還流温度まで反応温度
を上げることにより行うことができる。
【0024】上記の4−tert−ブチル−4’−(2−ヒ
ドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタンの使用量は、と
くに限定がないが、生産性の面および反応時間を考慮す
れば、有機溶媒100mlに対して20〜60g、なか
んずく30〜50gであることが好ましい。メタクリル
酸の使用量は、4−tert−ブチル−4’−(2−ヒドロ
キシエトキシ)ジベンゾイルメタン1モルに対し通常
0.8〜1.3モル、好ましくは1.0〜1.2モルで
ある。
【0025】脱水エステル化反応に触媒として使用する
酸は、硫酸、スルホン酸、例えば、4−トルエンスルホ
ン酸、メタンスルホン酸などが挙げられるが、硫酸を用
いると副生成物が増加する傾向があり、スルホン酸が好
ましい。酸の使用量は、通常4−tert−ブチル−4’−
(2−ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタン100
重量部に対し0.1〜20重量部、好ましくは3〜10
重量部である。酸の使用量があまりにも少ない場合は反
応時間が長くなり、充分な転化率が得られなくなること
もある。使用する有機溶媒としては、炭化水素、例え
ば、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエ
ンなどが挙げられる。
【0026】なお、脱水エステル化の際には、メタクリ
ル酸および生成する4−tert−ブチル−4’−(2−メ
タクリロイルオキシエトキシ)ジベンゾイルメタンの重
合反応を防止する為に、あらかじめ反応液に重合防止剤
を添加しておくことが好ましい。重合防止剤の使用量は
4−tert−ブチル−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)
ジベンゾイルメタン100重量部に対し0.01〜0.
1重部程度である。
【0027】脱水エステル化反応の終了は、4−tert−
ブチル−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイ
ルメタンの消失をTLC、HPLC等で確認することが
できる。
【0028】反応終了後、反応液を40〜50℃程度ま
で冷却し、アルカリ性水溶液、例えば水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、
炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウ
ム、酢酸カリウムなどの水溶液により中和した後、水、
塩化ナトリウム水溶液、または硫酸ナトリウム水溶液な
どで洗浄し、さらにエバポレーターなどで減圧濃縮する
ことにより、粗結晶が得られる。また、前記反応に用い
る溶媒や4−tert−ブチル−4’−(2−ヒドロキシエ
トキシ)ジベンゾイルメタンの使用量によっては反応液
冷却時に結晶が析出することがあり、その場合には、ア
ルカリ性水溶液で中和する前に減圧濃縮し、トルエン、
ベンゼン、酢酸エチルなどの4−tert−ブチル−4’−
(2−ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタンが溶け
やすい溶媒に析出した結晶を溶解させ、中和および洗浄
を行うことが好ましい。
【0029】塩基存在下にメタクリル酸クロリドでエス
テル化する場合には、4−tert−ブチル−4’−(2−
ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタンを塩基と共に
酢酸エチル、トルエン、ジクロロメタン等の有機溶媒に
溶解し、これを冷却撹拌しながらメタクリル酸クロリド
を滴下し、滴下終了後さらに一定時間撹拌して熟成させ
る。反応の終了時点は4−tert−ブチル−4’−(2−
ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタンの消失をTL
C、HPLC等で確認することができる。このエステル
化反応に使用される塩基としては、アミン、例えばトリ
エチルアミン、ピリジン、アルカリ水溶液、例えば水酸
化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液等が挙げら
れる。この反応に使用されるメタクリル酸クロリドは、
メタクリル酸とチオニルクロリドまたは五塩化リンとの
反応により得ることができる。また、市販品(ヤンセン
社製)をそのまま使用することもできる。
【0030】反応終了後、反応液を水で洗浄する。さら
に反応液を中和する必要がある場合には、酸性水溶液、
例えば希硫酸、希塩酸などを用いることができ、あるい
は塩基性水溶液、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸水素ナトリウムなどの水溶液を用い洗浄する
ことができる。洗浄後エバポレーターなどで減圧濃縮す
ることにより、粗結晶が得られる。さらに、得られた粗
結晶は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコ
ール、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テ
トラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、
トルエン、ベンゼン、ジクロロメタン、ジクロロエタ
ン、クロロフォルム、四塩化炭素などの単独あるいは2
種類以上から再結晶することにより精製し、4−tert−
ブチル−4’−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)
ジベンゾイルメタンを得る。
【0031】本製造法により得られた4−tert−ブチル
−4’−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)ジベン
ゾイルメタンは、UVスペクトルにおいてλmax35
8nm(logεmax=4.55、ジクロロメタン
中)であり、UV−A領域に幅広い吸収帯を有する(図
1)。
【0032】かくして得られる4−tert−ブチル−4’
−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)ジベンゾイル
メタンおよび4−tert−ブチル−4’−(2−ヒドロキ
シエトキシ)ジベンゾイルメタンは、UV−A領域に幅
広い吸収帯を有するという性質を利用して、UV−A領
域における吸収能が要求される、例えば化粧料、繊維、
フィルム、インキ、塗料、コンタクトレンズなどの原料
として好適に使用しうるものである。
【0033】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によ
りなんら限定されるものではない。
【0034】実施例1 撹拌装置、温度計、コンデンサーを備えた2リットル容
四つ口フラスコに仕込んだ乾燥テトラヒドロフラン(5
60ml)中に、油性水素化ナトリウム(含量約60
%)(80.0g、2.00モル)を27℃で懸濁さ
せ、4’−(2−ヒドロキシエトキシ)アセトフェノン
(168.18g、1.00モル)のテトラヒドロフラ
ン(300ml)溶液を、反応温度を45℃以下に保ち
つつ、窒素気流下で滴下した。続いて、水素ガスの発生
が穏和になるまで攪拌した後、4−tert−ブチル安息香
酸メチル(235.5g、1.20モル)を滴下した。
滴下終了後、反応温度を徐々に上げ、還流下で12時間
攪拌を続けた。4’−(2−ヒドロキシエトキシ)アセ
トフェノンの消失をTLC(シリカゲルプレート、展開
液:n−ヘキサン/酢酸エチル(体積比3:1)および
HPLC〔カラム:ODS(オクタデシル基が化学結合
されたシリカゲル)、Φ4.6X150mm、展開液:
アセトニトリル/0.02Mリン酸緩衝液(pH6.
8)体積比7:3)〕により確認した後、反応液を冷却
し、12%塩酸水溶液で中和、分液した。有機層を飽和
食塩水で洗浄後、有機層を濃縮して得た粗結晶をメタノ
ールから再結晶することにより、4−tert−ブチル−
4’−(2−ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタン
の白色結晶242.2gを得た。得られた結晶の融点は
95〜95.5℃、収率は67%であった。
【0035】次に、得られた結晶を 1H−NMR(日本
電子(株)製、GX−500)、13C−NMR(日本電
子(株)製、GX−500)、赤外吸収スペクトル
((株)島津製作所製、FTIR−4200)、紫外吸
収スペクトル((株)島津製作所製、UV−240)、
マススペクトル((株)島津製作所製、GCMS QR
5000)、および元素分析を行った。その結果、得ら
れた白色結晶は、目的とする4−tert−ブチル−4’−
(2−ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタンである
ことが確認された。1 HNMR(500MHz、内部標準TMS)(CDC
3 )δppm:1.36(s,9H,tert−C4
9 )、4.01(brs,2H,HO−C2 )、
4.17(t,2H,J=4.0Hz,HO−CH2
2 −)、6.78(s,1H,エノール系オレフィ
ン水素)、7.00(d,2H,J=9.0Hz,芳香
核水素)、7.50(d,2H,J=8.0Hz,芳香
核水素)、7.91(d,2H,J=9.0Hz,芳香
核水素)、7.98(d,2H,J=8.0Hz,芳香
核水素)および17.01(brs,1H,エノール系
ヒドロキシル水素)。
【0036】13CNMR(125MHz、内部標準CD
Cl3 )(CDCl3 )δppm:31.1、35.
0、61.3、69.4、92.1、114.5、12
5.6、126.9、128.7、129.2、13
2.7、156.0、162.1、184.3、および
185.6。 IR(KBr):νcm-1:3389、3117、29
53、2344、1605、1506、1453、13
12、1267、1231、1178、1127、10
87、1046、916、851、789、および62
7。 UV(ジクロロメタン)λmax:359nm(log
ε=4.53) マススペクトル:340(M+ ) 元素分析: 計算値(C23244 に基く):C;74.09,H;
7.11% 実測値:C;74.11,H;7.13%
【0037】実施例2 撹拌装置、温度計、コンデンサーを備えた2リットル容
四つ口フラスコに仕込んだトルエン(560ml)中
に、油性水素化ナトリウム(含量約60%)(66.5
g、1.66モル)を27℃で懸濁し、4’−(2−ヒ
ドロキシエトキシ)アセトフェノン(168.18g、
1.00モル)を含むテトラヒドロフラン溶液(300
ml)を、反応温度を45℃以下に保ちつつ、窒素気流
下で滴下した。続いて、水素ガスの発生が穏和になるま
で攪拌した後、4−tert−ブチル安息香酸メチル(23
5.5g、1.20モル)を滴下した。滴下終了後、反
応温度を徐々に上げ、還流下で12時間攪拌を続けた。
4’−(2−ヒドロキシエトキシ)アセトフェノンの消
失を実施例1と同様にTLCおよびHPLCにより確認
した後、反応液を再結晶溶媒にイソプロピルアルコール
を用いた以外は実施例1と同様に処理して、白色結晶2
16.9gを得た。収率は60%であった。得られた結
晶は、 1H−NMR、13C−NMR、赤外吸収スペクト
ル、紫外吸収スペクトルおよび元素分析により、目的と
する4−tert−ブチル−4’−(2−ヒドロキシエトキ
シ)ジベンゾイルメタンであることを確認した。
【0038】実施例3 撹拌装置、温度計、コンデンサーを備えた2リットル容
四つ口フラスコに仕込んだテトラヒドロフラン(560
ml)中に、油性水素化ナトリウム(含量約60%)
(80.0g、2.00モル)を27℃で懸濁し、4’
−(2−ヒドロキシエトキシ)アセトフェノン(16
8.18g、1.00モル)のテトラヒドロフラン(3
00ml)溶液を、反応温度を45℃以下に保ちつつ、
窒素気流下で滴下した。続いて、水素ガスの発生が穏和
になるまで攪拌した後、4−tert−ブチル安息香酸エチ
ル(210.3g、1.00モル)を滴下した。滴下終
了後,反応温度を徐々に上げ、還流下で20時間攪拌を
続けた。4’−(2−ヒドロキシエトキシ)アセトフェ
ノンの消失を実施例1と同様にTLCおよびHPLCに
より確認した後、反応液を再結晶溶媒にジクロロメタン
を用いた以外は実施例1と同様に処理して、白色結晶1
98.8gを得た。収率は55%であった。得られた結
晶は、 1H−NMR、13C−NMR、赤外吸収スペクト
ル、紫外吸収スペクトルおよび元素分析により、目的と
する4−tert−ブチル−4’−(2−ヒドロキシエトキ
シ)ジベンゾイルメタンであることを確認した。
【0039】実施例4 撹拌装置、温度計、コンデンサーを備えた2リットル容
四つ口フラスコに仕込んだテトラヒドロフラン(560
ml)中に、油性水素化ナトリウム(含量約60%)
(110.0g、2.50モル)を27℃で懸濁し、
4’−(2−ヒドロキシエトキシ)アセトフェノン(1
68.18g、1.00モル)のテトラヒドロフラン
(300ml)溶液を、反応温度を45℃以下に保ちつ
つ、窒素気流下で滴下した。続いて、水素ガスの発生が
穏和になるまで攪拌した後、4−tert−ブチル安息香酸
メチル(235.5g、1.20モル)を滴下した。滴
下終了後,反応温度を徐々に上げ、還流下で12時間攪
拌を続けた。4’−(2−ヒドロキシエトキシ)アセト
フェノンの消失を実施例1と同様にTLCおよびHPL
Cにより確認した後、反応液を実施例1と同様に処理し
て、白色結晶を235.0g得た。収率は65%であっ
た。得られた結晶は 1H−NMR、13C−NMR、赤外
吸収スペクトル、紫外吸収スペクトルおよび元素分析に
より、目的とする4−tert−ブチル−4’−(2−ヒド
ロキシエトキシ)ジベンゾイルメタンであることを確認
した。
【0040】実施例5 撹拌装置、温度計、コンデンサーを備えた2リットル容
四つ口フラスコに仕込んだテトラヒドロフラン(860
ml)中に、4’−(2−ヒドロキシエトキシ)アセト
フェノン(168.18g、1.00モル)および4−
tert−ブチル安息香酸メチル(235.5g、1.20
モル)を溶解し、反応温度を45℃以下に保ちつつ、ナ
トリウムアミド(含量90%)(86.7g、2.00
モル)を窒素気流下で徐々に添加した。続いて、2時間
攪拌した後、反応温度を徐々に上げ、還流下で15時間
攪拌を続けた。4’−(2−ヒドロキシエトキシ)アセ
トフェノンの消失を実施例1と同様にTLCおよびHP
LCにより確認した後、反応液を実施例1と同様に処理
して、白色結晶を235.0g得た。収率は65%であ
った。得られた結晶は 1H−NMR、13C−NMR、赤
外吸収スペクトル、紫外吸収スペクトルおよび元素分析
により、目的とする4−tert−ブチル−4’−(2−ヒ
ドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタンであることを確
認した。
【0041】実施例6 撹拌装置、温度計、コンデンサーを備えた1リットル容
四つ口フラスコに仕込んだシクロヘキサン(260m
l)中に、実施例1で得られた4−tert−ブチル−4’
−(2−ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタン(1
00.0g、0.294モル)およびメタクリル酸(2
7.5g、0.320モル)を27℃で懸濁し、4−ト
ルエンスルホン酸1水和物(5.0g)およびO−メチ
ル−4−ヒドロキノン(0.1g)を添加した後、反応
液中に空気を吹き込みつつ、反応温度を徐々に上げ、還
流下で15時間攪拌を続けた。4−tert−ブチル−4’
−(2−ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタンの消
失を実施例1と同様にTLCおよびHPLCにより確認
した後、反応液を濃縮し、得られた反応混合物を酢酸エ
チル(240ml)に50℃で溶解させ、10%水酸化
ナトリウム水溶液で中和した後分液した。有機層を分取
し水洗した後、濃縮して得た粗結晶をトルエン−メタノ
ールから再結晶することにより、白色結晶79.2gを
得た。得られた結晶の融点は110〜112℃、収率は
66%であった。
【0042】得られた結晶について 1H−NMR、13
−NMR、赤外吸収スペクトル、紫外吸収スペクトルお
よび元素分析を行ったところ、以下に示すとおり、目的
とする4−tert−ブチル−4’−(2−メタクリロイル
オキシエトキシ)ジベンゾイルメタンであることが確認
された。UV吸収スペクトルを図1に示す。1 HNMR(270MHz)(CDCl3 )δppm:
1.18(s,9H,tert−C4 9 )、1.93
(s,3H,CH3 )、4.15(t,2H,J=4.
0Hz,−O−CH2 −)、4.27(t,2H,J=
4.0Hz,−O−CH2 −)、5.61(m,1H,
ビニリデン水素)、6.15(m,1H,ビニリデン水
素)、6.78(s,1H,エノール系オレフィン水
素)、7.00(d,2H,J=8.0Hz,芳香核水
素)、7.50(d,2H,J=9.0Hz,芳香核水
素)、7.91(d,2H,J=8.0Hz,芳香核水
素)、7.97(d,2H,J=9.0Hz,芳香核水
素)および17.01(brs,1H,エノール系ヒド
ロキシル水素)。
【0043】13CNMR(125MHz、内部標準CD
Cl3 )(CDCl3 )δppm:18.3、31.
1、35.0、62.8、66.1、92.1、11
4.5、125.6、126.9、128.7、12
9.2、132.7、135.9、154.1、15
6.0、167.2、184.3、および185.6。 IR(KBr):νcm-1:3115、2963、26
16、2359、1929、1717、1660−14
40、1414、1312、1267、1237、11
84、1167、1049、947、851、795、
および629。 UV(ジクロロメタン)λmax:358nm(log
ε=4.55) マススペクトル:408(M+ ) 元素分析: 計算値(C23244 に基く):C;73.51,H;
6.91% 実測値:C;73.74,H;7.09%
【0044】実施例7 撹拌装置、温度計、コンデンサーを備えた1リットル容
四つ口フラスコに仕込んだn−ヘキサン(260ml)
中に、実施例2で得られた4−tert−ブチル−4’−
(2−ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタン(10
0.0g、0.294モル)およびメタクリル酸(2
7.5g、0.320モル)を27℃で懸濁し、4−ト
ルエンスルホン酸1水和物(5.0g)および4−ベン
ゾキノン(0.1g)を添加した後、反応液中に空気を
吹き込みながら、反応温度を徐々に上げ、還流下で20
時間攪拌を続けた。4−tert−ブチル−4’−(2−ヒ
ドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタンの消失を実施例
1と同様にTLCおよびHPLCにより確認した後、反
応液を再結晶溶媒にジイソプロピルエーテルを用いた以
外は実施例6と同様に処理して、白色結晶60.0g得
た。収率は50%であった。得られた結晶は 1H−NM
R、13C−NMR、赤外吸収スペクトル、紫外吸収スペ
クトルおよび元素分析により、目的とする4−tert−ブ
チル−4’−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)ジ
ベンゾイルメタンであることを確認した。
【0045】実施例8 撹拌装置、温度計、コンデンサーを備えた1リットル容
四つ口フラスコに仕込んだトルエン(260ml)中
に、実施例3で得られた4−tert−ブチル−4’−(2
−ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタン(100.
0g、0.294モル)およびメタクリル酸(30.2
g、0.351モル)を27℃で懸濁し、メタンスルホ
ン酸(5.0g)、4−ヒドロキノン(0.1g)を添
加した後、反応液中に空気を吹き込みながら、反応温度
を徐々に上げ、還流下で20時間攪拌を続けた。4−te
rt−ブチル−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)ジベン
ゾイルメタンの消失を実施例1と同様にTLCおよびH
PLCにより確認した後、反応液を再結晶溶媒にジクロ
ロメタンを用いた以外は実施例6と同様に処理して、白
色結晶62.4gを得た。収率は52%であった。得ら
れた結晶は 1H−NMR、13C−NMR、赤外吸収スペ
クトル、紫外吸収スペクトルおよび元素分析により、目
的とする4−tert−ブチル−4’−(2−メタクリロイ
ルオキシエトキシ)ジベンゾイルメタンであることを確
認した。
【0046】実施例9 撹拌装置、温度計、コンデンサーを備えた1リットル容
四つ口フラスコに仕込んだシクロヘキサン(260m
l)中に、実施例4で得られた4−tert−ブチル−4’
−(2−ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタン(1
00.0g、0.294モル)およびメタクリル酸(2
6.3g、0.305モル)を27℃で懸濁し、4−ト
ルエンスルホン酸1水和物(5.0g)、4−ベンゾキ
ノン(0.03g)を添加した後、反応液中に空気を吹
き込みながら、反応温度を徐々に上げ、還流下で22時
間攪拌を続けた。4−tert−ブチル−4’−(2−ヒド
ロキシエトキシ)ジベンゾイルメタンの消失を実施例1
と同様にTLCおよびHPLCにより確認した後、反応
液を再結晶溶媒にシクロヘキサンを用いた以外は実施例
6と同様に処理して、白色結晶60.0g得た。収率は
50%であった。得られた結晶は 1H−NMR、13C−
NMR、赤外吸収スペクトル、紫外吸収スペクトルおよ
び元素分析により、目的とする4−tert−ブチル−4’
−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)ジベンゾイル
メタンであることを確認した。
【0047】実施例10 撹拌装置、温度計、コンデンサーを備えた1リットル容
四つ口フラスコに仕込んだ酢酸エチル(500ml)中
に、実施例5で得られた4−tert−ブチル−4’−(2
−ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタン(100.
0g、0.294モル)、トリエチルアミン(34.0
g、0.336モル)、4−ベンゾキノン(0.03
g)を溶解し、メタクリル酸クロリド(33.5g、
0.320モル)を0〜10℃で滴下し、さらに3時間
攪拌した。4−tert−ブチル−4’−(2−ヒドロキシ
エトキシ)ジベンゾイルメタンの消失を実施例1と同様
にTLCおよびHPLCにより確認した後、反応液を水
洗、濃縮し、得られた粗結晶を、実施例6と同様に再結
晶して白色結晶60.0gを得た。収率は50%であっ
た。得られた結晶は 1H−NMR、13C−NMR、赤外
吸収スペクトル、紫外吸収スペクトルおよび元素分析に
より、目的とする4−tert−ブチル−4’−(2−メタ
クリロイルオキシエトキシ)ジベンゾイルメタンである
ことを確認した。
【0048】比較例1 実施例6で得られた4−tert−ブチル−4’−(2−メ
タクリロイルオキシエトキシ)ジベンゾイルメタン
(I)のUV−A領域(320〜400nm)における
紫外線吸収スペクトルのλmaxとその吸光度を、2−
(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチ
ルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(III)および
2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエト
キシ)ベンゾフェノン(IV)のUV−A領域におけるλm
axとその吸光度と比較した。使用した溶媒はジクロロ
メタンであり、濃度は20mg/リットルであった。そ
の結果、λmaxは、本発明の化合物(I)が358n
mであるのに対し、上記の化合物(III)では338nm
であり、化合物(IV)では327nmであって、本発明の
化合物(I)がUV−A領域全体をカバーしている点で
化合物(III)および化合物(IV)よりも優れていることが
分かる。またλmaxにおける上記の濃度の吸光度を比
較すると本発明の化合物(I)が1.72であるのに対
し、化合物(III)では1.13、化合物(IV)では0.5
6であった。従って本発明の化合物(I)は、化合物
(III)および化合物(IV)よりもUV−A領域における紫
外線吸収能力において遙に優れているといえる。
【0049】
【発明の効果】本発明により、UV−A領域に吸収能を
有する新規化合物である4−tert−ブチル−4’−(2
−メタクリロイルオキシエトキシ)ジベンゾイルメタン
を提供することができる。また、本発明の製造方法によ
れば、4−tert−ブチル−4’−(2−ヒドロキシエト
キシ)ジベンゾイルメタンを用いることにより側鎖のヒ
ドロキシル基を重合活性のあるメタクリロイルオキシ基
に容易に変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、4−tert−ブチル−4’−(2−メタ
クリロイルオキシエトキシ)ジベンゾイルメタンのUV
スペクトルを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09K 3/00 104 C09K 3/00 104Z // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 C09D 5/32 PSG C09D 5/32 PSG 11/00 PSW 11/00 PSW (72)発明者 内山 雄二朗 大阪府柏原市片山町18番8号 大阪有機化 学工業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 4−tert−ブチル−4’−(2−メタク
    リロイルオキシエトキシ)ジベンゾイルメタン。
  2. 【請求項2】 4−tert−ブチル−4’−(2−ヒドロ
    キシエトキシ)ジベンゾイルメタン。
  3. 【請求項3】 4’−(2−ヒドロキシエトキシ)アセ
    トフェノンと4−tert−ブチル安息香酸エステルを塩基
    性条件下でクライゼン縮合させることを特徴とする4−
    tert−ブチル−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)ジベ
    ンゾイルメタンの製造方法。
  4. 【請求項4】 4−tert−ブチル−4’−(2−ヒドロ
    キシエトキシ)ジベンゾイルメタンをメタクリル酸の反
    応性誘導体でエステル化することを特徴とする4−tert
    −ブチル−4’−(2−メタクリロイルオキシエトキ
    シ)ジベンゾイルメタンの製造方法。
  5. 【請求項5】 該エステル化が、酸触媒の存在下にメタ
    クリル酸と反応させるものであることを特徴とする請求
    項4記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 該エステル化反応が、塩基触媒の存在下
    にメタクリル酸クロリドと反応させることを特徴とする
    請求項4記載の製造方法。
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