JPH09169546A - 酸化物皮膜形成用塗布液、酸化物皮膜形成方法および多層膜 - Google Patents
酸化物皮膜形成用塗布液、酸化物皮膜形成方法および多層膜Info
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Abstract
るための塗布液、酸化物皮膜の形成方法、および、該方
法により得られる金属酸化物皮膜を有する多層膜の提
供。 【解決手段】Co、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Z
n、およびランタノイドのうちから選ばれる1種以上の
金属の塩とエチレングリコールオリゴマーのうち1種以
上とを含む酸化物皮膜形成用塗布液と酸化物皮膜形成方
法および多層膜。
Description
布液、酸化物皮膜形成方法および多層膜に関する。
与させるために、金属酸化物皮膜を形成させる手法が数
多く提案されている。現在、多用されている皮膜形成方
法としては、真空蒸着やスパッタリング、CVD等の乾
式法や、ゾルゲル法、スプレー熱分解等の湿式法などが
ある。このうち、湿式法による金属酸化物の成膜は、安
価に成膜できる点で工業生産上有利である。
ルゲル法と呼ばれる方法がある。これは、対応する金属
のアルコキシドを加水分解させ、溶液中でメタロキサン
結合(M−O−M)を形成させてゾル化し、塗布、加熱
を行うことにより成膜する方法で、低反射干渉膜や絶縁
膜などの実績がある。このゾルゲル法は、加水分解条件
等を適切に制御することにより均質な皮膜を形成させら
れるので、金属酸化物皮膜を湿式で形成させる際に最も
よく用いられる方法である。
緻密にコーティングすると、そのイオン吸収により、ガ
ラスは様々な着色を見せ、透過率が大きく低下した低透
過率性着色ガラスとなる。また緻密で均質な皮膜を形成
すれば、吸収性酸化物の特性として、反射率が高まりハ
ーフミラー状を呈することも多い。このような低透過率
性着色ガラスは、日射を効果的に遮れるために内部環境
の保護につながり、また室内、車内のプライバシー保護
にも役立つ。
属酸化物の皮膜を形成させようとすると、遷移金属アル
コキシドはあまり一般的でなく、またきわめて高価な材
料であるために、安価な成膜を考える際には問題となっ
ていた。
化物、硫酸塩は、入手もしやすいが、これらの金属塩の
みではゾルゲル法のような均質で緻密な皮膜が得られな
いので、耐摩耗性や耐薬品性が乏しく、高耐久の皮膜が
得られなかった。
とシリコンアルコキシド等を混合後、ゾルゲル法により
成膜する方法が提案されている(たとえば、J. Non-Cry
stalline Solids 82(1986) 378-390)。
のシリコンアルコキシド等が、皮膜が充分な耐久性を有
するほどに添加されると、吸光度が低下し、必要な透過
率低下を得るために厚膜化する必要があるという問題が
あった。
に鑑み、高耐久性遷移金属酸化物皮膜を安価に形成させ
るための塗布液、該塗布液を使用した金属酸化物皮膜の
形成方法、および、該方法により得られる金属酸化物皮
膜を有する多層膜の提供を目的とする。
Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、およびランタノイド
(La〜Lu)からなる群から選ばれる1種以上の金属
の塩と、化学式HO(CH2 CH2 O)n H(ただしn
は2〜8の整数)で表されるエチレングリコールオリゴ
マーのうち1種以上と、を含むことを特徴とする酸化物
皮膜形成用塗布液を提供する。
e、Ni、Cu、Zn、およびランタノイド(La〜L
u)からなる群から選ばれる2種以上の金属の塩と、化
学式HO(CH2 CH2 O)n H(ただしnは2〜8の
整数)で表されるエチレングリコールオリゴマーのうち
1種以上と、を含み、該金属の塩にはCo、Cu、およ
びMnからなる群から選ばれる1種以上の金属の塩を含
むことを特徴とする酸化物皮膜形成用塗布液を提供す
る。
布し、300℃以上の温度で焼成することにより、酸化
物皮膜を得ることを特徴とする酸化物皮膜形成方法を提
供する。
多層膜において、該多層膜のうち1層以上が前記皮膜形
成方法によって形成されてなることを特徴とする多層膜
を提供する。
移金属酸化物皮膜を形成でき、その緻密さと屈折率の高
さより、反射率の高い皮膜が得られる。
マーの働きについてはよくわかっていないが、分子内に
エーテル性酸素、末端には水酸基を有するために、それ
らの酸素を介して金属イオンに配位をしていることが考
えられ、それにより金属塩の熱分解挙動が変化したので
はないかと思われる。
マー(以下、単にオリゴマーともいう)は、2量体(す
なわち上述の化学式におけるn=2)から8量体(n=
8)といった形に重合していることが重要である。
コールでは上記のような均質で緻密な皮膜形成への寄与
が小さく、添加の効果が小さい。9量体(n=9)以上
の高分子では、金属への配位がうまくいかないためか、
効果が得られにくい。
く、2種以上の混合物でもよい。また、同じように重合
しているよく似た構造のプロピレングリコールの重合体
では添加の効果が薄く(緻密な膜ができず剥離等が起こ
ったり、屈折率の高い皮膜が得られない)、これは立体
的な構造の違いによる金属配位状態の違いが原因である
と考えられる。
ジエチレングリコール(n=2)、トリエチレングリコ
ール(n=3)、テトラエチレングリコール(n=
4)、ペンタエチレングリコール(n=5)、ヘキサエ
チレングリコール(n=6)、ヘプタエチレングリコー
ル(n=7)、オクタエチレングリコール(n=8)、
などの単成分のものや、これらを主成分として含み2種
以上のオリゴマーの混合物として市販されているポリエ
チレングリコール#200(平均分子量200)、ポリ
エチレングリコール#300(平均分子量300)など
が挙げられる。
の緻密さ、均質性、または入手のしやすさ等を考慮する
と、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール#
200(2量体から8量体までの重合体の混合物であ
り、トリエチレングリコールとテトラエチレングリコー
ルが主成分として含まれているもの)が特に好ましい。
れないが、効果を明確にするためには、金属塩に対し
て、モル比率でオリゴマー/金属=0.1〜3.0とす
ることが好ましく、特にオリゴマー/金属=0.3〜
1.0の範囲が膜の緻密さ、密着性の向上の効果が高
い。オリゴマーが少なすぎれば効果が小さく、多すぎれ
ば金属との配位に関与しないオリゴマーが増えるため
か、焼成後の皮膜の硬度が低下する。
r、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、およびランタノイ
ド(La〜Lu)のうちから選ばれる1種以上の金属の
塩を用いる。
溶解させられるものであれば特に限定されないが、オリ
ゴマーも溶解させることを考慮すると、水または低級ア
ルコール等の親水性有機溶剤に溶解させやすい硝酸塩が
好適である。また、金属塩は1種類の金属の塩でもよ
く、数種類の金属塩を混合し、焼成後複合酸化物化をね
らってもよい。
匠性の付与を目的とする場合には、上述の金属元素のう
ちでも、特にCo、Cu、Mnが吸光係数が高いため好
適である。
u、Zn、およびランタノイド(La〜Lu)から選ば
れる2種以上の金属の塩を含み、該金属の塩にはCo、
Cu、およびMnから選ばれる1種以上の金属の塩を含
むことが好ましい。たとえばNi、Mn、Fe、Nd、
Pr等をCoやCuに対して10〜50モル%程度添加
することにより、さらに吸光係数を高められるためによ
り好適である。
テニウム、塩化金酸、塩化白金酸といった貴金属化合物
を添加できる。
されることが多く、遮光性を緩和する場合がある。この
遮光性の緩和のため、または、皮膜の耐摩耗性や耐薬品
性をさらに向上させるためには、Si、TiおよびZr
から選ばれる1種以上の金属の、アルコキシドまたはキ
レートの添加が好ましい。
物となる、アルコキシドまたはキレートを添加すると、
高反射率を維持したまま、遮光性を緩和できる。
またはキレートを添加すると、酸やアルカリに対する耐
薬品性を著しく向上させうる。
またはキレートを添加すると、皮膜の耐摩耗性や耐薬品
性を著しく向上させうる。この場合、Siの酸化物の屈
折率が小さいため、反射率は低下し、高反射率が適当で
ない用途に好適である。
前述のように金属塩とオリゴマーとを同時に溶解させ、
かつ金属塩とオリゴマーとの反応生成物(錯体)を溶解
させうる溶媒が用いられる。
れば、水、メタノール、エタノール、プロパノール等の
低級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、へキシレングリコール等の水溶性ジオール、セ
ロソルブ類、カルビトール類といったエーテルアルコー
ル系溶剤が挙げられる。
い、直接金属塩をオリゴマー中に溶解させてもよい。こ
の際、金属塩とオリゴマーとの反応によってできる錯体
が析出しないことを確認する必要がある。
上に塗布され、300℃以上の温度に加熱されることに
よって金属酸化物の皮膜となる。300℃未満の温度で
は分解が進まず、金属酸化物の皮膜とならないので不適
当である。温度の上限は特になく、基体の耐熱温度ま
で、たとえば通常のソーダライムガラスであれば650
〜700℃程度まで加熱ができ、当然温度が高くなるほ
ど皮膜は緻密化する。
加熱して形成された金属酸化物皮膜上に、さらに本発明
の塗布液を塗布することにより、下層膜の細孔中に塗布
液が浸透し、300℃以上の温度に加熱することによ
り、さらに緻密で高耐久の多層の金属酸化物皮膜が得ら
れる。
布液を用いて多層膜としてもよく、異なる組成の塗布液
を用いて多層膜としてもよい。
1層で目標の値まで透過率を下げるのに比べ、2層に分
けた方がより薄い膜厚で加熱、熱分解できるため、より
緻密な膜が得られる。しかも、1層目の熱分解で生じた
多孔質膜の細孔中に塗布液が浸透し、さらに緻密で高耐
久の膜が得られる。
ず、公知の方法、すなわちスピンコート、ディップコー
ト、スプレーコート、メニスカスコート、フローコー
ト、転写印刷、スクリーン印刷等などから選択して使用
できる。
ば特に限定されず、通常はガラス、セラミックス等が用
いられる。
および比較例(例32〜35)を挙げて示すが、本発明
はこれらに限定されない。
べてフロート法により製造された4mm厚のブロンズ色
熱線吸収ガラス(可視光透過率79%、可視光反射率8
%)である。
と量(単位:g)、オリゴマーの種類と量(単位:g)
および溶媒)を混合し、50℃で2時間撹拌したものを
塗布液とした。なお、表1および2で用いた略称は表5
に示す。SiOR、TiOR、ZrOR以外の金属源は
硝酸塩である。オリゴマー/金属モル比(EG/M)も
表1、2に示す。
記基板にスピンコータを用いて塗布後、500℃で5分
間焼成して試料を得た。膜厚はいずれも約80nmであ
った。例25〜31においては、例1〜24と同様に、
上記基板にスピンコータを用いて塗布後、500℃で5
分間焼成して膜厚約50nmの下層を形成した後、次
に、同様に、スピンコータを用いて塗布後、500℃で
5分間焼成して膜厚約30nmの上層を形成し、膜厚計
が約80nmの試料を得た。
光反射率(それぞれJIS−R3106による)、ヘイ
ズ、皮膜の基板への密着性を表3、4に示す。密着性
は、乾式ネル布トラバース試験(荷重500g/cm2
で1000往復)の結果を、◎:傷なし、○:細かい傷
がごくわずかにあり、×:膜が剥離、で示した。
のA欄、B欄に示す。耐薬品性は、1Nの硫酸、1Nの
水酸化ナトリウム水溶液にそれぞれ24時間浸漬後の結
果を、◎:透過率変化±1%で外観変化なし、○:透過
率変化±5%、×:膜が剥離、で示した。A欄は硫酸の
場合、B欄は水酸化ナトリウム水溶液の場合である。
リコールオリゴマーを用いなかった場合(例32、3
3)、プロピレングリコールの重合体を用いた場合(例
34)、エチレングリコールの9量体以上の重合体を主
成分として含む混合物を用いた場合(例35)において
は、膜の剥離が生じている。
『可視光透過率40%未満(これは基板の透過率が79
%の場合の数値であり、膜のみの透過率は約50%未満
ということになる)』とした。
原料として、均質で、かつ緻密な高耐久性遷移金属酸化
物皮膜の形成が容易に実現でき、意匠性の高いガラス
を、生産性良く、低コストで生産できる。
Claims (10)
- 【請求項1】Co、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Z
n、およびランタノイド(La〜Lu)からなる群から
選ばれる1種以上の金属の塩と、 化学式HO(CH2 CH2 O)n H(ただしnは2〜8
の整数)で表されるエチレングリコールオリゴマーのう
ち1種以上と、を含むことを特徴とする酸化物皮膜形成
用塗布液。 - 【請求項2】Co、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Z
n、およびランタノイド(La〜Lu)からなる群から
選ばれる2種以上の金属の塩と、 化学式HO(CH2 CH2 O)n H(ただしnは2〜8
の整数)で表されるエチレングリコールオリゴマーのう
ち1種以上と、を含み、 該金属の塩にはCo、Cu、およびMnからなる群から
選ばれる1種以上の金属の塩を含むことを特徴とする酸
化物皮膜形成用塗布液。 - 【請求項3】さらに、Si、Ti、およびZrからなる
群から選ばれる1種以上の金属の、アルコキシドまたは
キレートを含む請求項1または2の塗布液。 - 【請求項4】液中におけるエチレングリコールオリゴマ
ーと金属塩の金属の存在比がオリゴマー/金属=0.1
〜3.0(モル比)である請求項1、2または3の塗布
液。 - 【請求項5】金属の塩が硝酸塩である請求項1、2、3
または4の塗布液。 - 【請求項6】エチレングリコールオリゴマーとして、ジ
エチレングリコール、トリエチレングリコールまたはテ
トラエチレングリコールを含む請求項1、2、3、4ま
たは5の塗布液。 - 【請求項7】請求項1、2、3、4、5または6の塗布
液を基体上に塗布し、300℃以上の温度で焼成するこ
とにより、酸化物皮膜を得ることを特徴とする酸化物皮
膜形成方法。 - 【請求項8】基体がガラスである請求項7の酸化物皮膜
形成方法。 - 【請求項9】基体上に形成されてなる多層膜において、
該多層膜のうち1層以上が請求項7の酸化物皮膜形成方
法によって形成されてなることを特徴とする多層膜。 - 【請求項10】基体上に形成されてなる多層膜におい
て、該多層膜のすべての層が請求項7の酸化物皮膜形成
方法によって形成されてなることを特徴とする多層膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08428896A JP3769810B2 (ja) | 1995-06-21 | 1996-04-05 | 可視光遮光性皮膜形成用塗布液、可視光遮光性皮膜形成方法および多層膜 |
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---|---|---|---|
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JP7-268883 | 1995-10-17 | ||
JP7-154807 | 1995-10-17 | ||
JP26888395 | 1995-10-17 | ||
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Publication Number | Publication Date |
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JP3769810B2 JP3769810B2 (ja) | 2006-04-26 |
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ID=27304504
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP08428896A Expired - Fee Related JP3769810B2 (ja) | 1995-06-21 | 1996-04-05 | 可視光遮光性皮膜形成用塗布液、可視光遮光性皮膜形成方法および多層膜 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3769810B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0926103A1 (en) * | 1997-12-25 | 1999-06-30 | Nippon Sheet Glass Co., Ltd. | Method of manufacturing glass plate with light-transmissive colored film |
EP0967182A1 (en) * | 1998-06-18 | 1999-12-29 | Nippon Sheet Glass Co., Ltd. | Light-transmitting color film, method for producing the same, and coating solution for forming the color film |
JP2000351917A (ja) * | 1999-06-09 | 2000-12-19 | Asahi Glass Co Ltd | 酸化物膜形成用塗布液、酸化物膜形成方法および酸化物膜付き基体 |
US6399229B1 (en) | 1997-07-22 | 2002-06-04 | Nippon Sheet Glass Co., Ltd | Light-transmitting color film, method for producing the same, and coating solution for forming the color film |
-
1996
- 1996-04-05 JP JP08428896A patent/JP3769810B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US6244074B1 (en) | 1997-12-25 | 2001-06-12 | Nippon Sheet Glass Co., Ltd. | Method of manufacturing glass plate with light-transmissive colored film |
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JP2000351917A (ja) * | 1999-06-09 | 2000-12-19 | Asahi Glass Co Ltd | 酸化物膜形成用塗布液、酸化物膜形成方法および酸化物膜付き基体 |
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