JPH11189434A - 酸化物膜付き基体とその製造方法 - Google Patents
酸化物膜付き基体とその製造方法Info
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- JPH11189434A JPH11189434A JP35805397A JP35805397A JPH11189434A JP H11189434 A JPH11189434 A JP H11189434A JP 35805397 A JP35805397 A JP 35805397A JP 35805397 A JP35805397 A JP 35805397A JP H11189434 A JPH11189434 A JP H11189434A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】優れた耐久性と生産性とを有し、反射色がニュ
ートラルの高耐久性遷移金属酸化物膜付き基体とその製
造方法の提供。 【解決手段】基体上のCo、Cr、Mn、Fe、Ni、
Cu、Zn、およびランタノイド(La〜Lu)からな
る群から選ばれる1種以上の金属の酸化物膜と、基体と
前記酸化物膜との間の、前記酸化物膜の屈折率以下で、
かつ基体の屈折率以上の中間層とが形成される酸化物膜
付き基体とその製造方法。
ートラルの高耐久性遷移金属酸化物膜付き基体とその製
造方法の提供。 【解決手段】基体上のCo、Cr、Mn、Fe、Ni、
Cu、Zn、およびランタノイド(La〜Lu)からな
る群から選ばれる1種以上の金属の酸化物膜と、基体と
前記酸化物膜との間の、前記酸化物膜の屈折率以下で、
かつ基体の屈折率以上の中間層とが形成される酸化物膜
付き基体とその製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酸化物膜付き基体と
その製造方法に関する。
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】これまで、基体上にさまざまな機能を付
与させるために、酸化物膜を形成させる手法が数多く提
案されている。現在、多用されている皮膜形成方法とし
ては、真空蒸着やスパッタリング、CVD等の乾式法
や、ゾルゲル法、スプレー熱分解等の湿式法などがあ
る。このうち、湿式法による酸化物膜は、安価に成膜で
きる点で工業生産上有利である。
与させるために、酸化物膜を形成させる手法が数多く提
案されている。現在、多用されている皮膜形成方法とし
ては、真空蒸着やスパッタリング、CVD等の乾式法
や、ゾルゲル法、スプレー熱分解等の湿式法などがあ
る。このうち、湿式法による酸化物膜は、安価に成膜で
きる点で工業生産上有利である。
【0003】湿式法の代表例にゾルゲル法がある。これ
は、対応する金属のアルコキシドを加水分解させ、溶液
中でメタロキサン結合(M−O−M)を形成させてゾル
化し、塗布、加熱を行うことにより成膜する方法で、低
反射干渉膜や絶縁膜などの実績がある。このゾルゲル法
は、加水分解条件等を適切に制御することにより均質な
皮膜を形成させられるので、酸化物膜を湿式で形成させ
る際に最もよく用いられる方法である。
は、対応する金属のアルコキシドを加水分解させ、溶液
中でメタロキサン結合(M−O−M)を形成させてゾル
化し、塗布、加熱を行うことにより成膜する方法で、低
反射干渉膜や絶縁膜などの実績がある。このゾルゲル法
は、加水分解条件等を適切に制御することにより均質な
皮膜を形成させられるので、酸化物膜を湿式で形成させ
る際に最もよく用いられる方法である。
【0004】遷移金属酸化物をガラス表面に薄膜化して
緻密にコーティングすると、そのイオン吸収により、ガ
ラスは様々な着色を見せ、透過率が大きく低下した低透
過率性着色ガラスとなる。また緻密で均質な皮膜を形成
すれば、吸収性酸化物の特性として、反射率が高まりハ
ーフミラー状を呈することも多い。このような低透過率
性着色ガラスは、日射を効果的に遮れるために内部環境
の保護につながり、また室内、車内のプライバシー保護
にも役立つ。
緻密にコーティングすると、そのイオン吸収により、ガ
ラスは様々な着色を見せ、透過率が大きく低下した低透
過率性着色ガラスとなる。また緻密で均質な皮膜を形成
すれば、吸収性酸化物の特性として、反射率が高まりハ
ーフミラー状を呈することも多い。このような低透過率
性着色ガラスは、日射を効果的に遮れるために内部環境
の保護につながり、また室内、車内のプライバシー保護
にも役立つ。
【0005】そこで、前述のゾルゲル法によって遷移金
属酸化物の皮膜を形成させようとすると、遷移金属アル
コキシドはあまり一般的でなく、またきわめて高価な材
料であるために、安価な成膜を考える際には問題となっ
ていた。
属酸化物の皮膜を形成させようとすると、遷移金属アル
コキシドはあまり一般的でなく、またきわめて高価な材
料であるために、安価な成膜を考える際には問題となっ
ていた。
【0006】一方、より安価な金属源である硝酸塩や塩
化物、硫酸塩は、入手もしやすいが、これらの金属塩の
みではゾルゲル法のような均質で緻密な皮膜が得られな
いので、耐摩耗性や耐薬品性が乏しく、高耐久の皮膜が
得られなかった。
化物、硫酸塩は、入手もしやすいが、これらの金属塩の
みではゾルゲル法のような均質で緻密な皮膜が得られな
いので、耐摩耗性や耐薬品性が乏しく、高耐久の皮膜が
得られなかった。
【0007】そこで耐久性改善のために、これら金属塩
とシリコンアルコキシド等を混合後、ゾルゲル法により
成膜する方法が提案されている(たとえば、J. Non-Cry
stalline Solids 82(1986) 378-390)。
とシリコンアルコキシド等を混合後、ゾルゲル法により
成膜する方法が提案されている(たとえば、J. Non-Cry
stalline Solids 82(1986) 378-390)。
【0008】しかし、これらの方法では、着色成分以外
のシリコンアルコキシド等が、皮膜が充分な耐久性を有
するほどに添加されると、吸光度が低下し、必要な透過
率低下を得るために厚膜化する必要があるという問題が
あった。
のシリコンアルコキシド等が、皮膜が充分な耐久性を有
するほどに添加されると、吸光度が低下し、必要な透過
率低下を得るために厚膜化する必要があるという問題が
あった。
【0009】特開平9−169546には、高耐久性遷
移金属酸化物皮膜を安価に形成させるための塗布液、該
塗布液を使用した金属酸化物皮膜の形成方法、および、
該方法により得られる酸化物膜を有する多層膜に関して
提案されている。すなわち、Co、Cr、Mn、Fe、
Ni、Cu、Zn、およびランタノイド(La〜Lu)
からなる群から選ばれる1種以上の金属の塩と、化学式
HO(CH2 CH2 O)n H(ただしnは2〜8の整
数)で表されるエチレングリコールオリゴマーのうち1
種以上と、を含み、該金属の塩にはCo、Cu、および
Mnからなる群から選ばれる1種以上の金属の塩を含む
ことを特徴とする酸化物皮膜形成用塗布液、および前記
塗布液を基体上に塗布し、300℃以上の温度で焼成す
ることにより、酸化物皮膜を得ることを特徴とする酸化
物皮膜形成方法、さらに基体上に形成されてなる多層膜
において、該多層膜のうち1層以上が前記皮膜形成方法
によって形成されてなることを特徴とする多層膜に関し
て記載されている。
移金属酸化物皮膜を安価に形成させるための塗布液、該
塗布液を使用した金属酸化物皮膜の形成方法、および、
該方法により得られる酸化物膜を有する多層膜に関して
提案されている。すなわち、Co、Cr、Mn、Fe、
Ni、Cu、Zn、およびランタノイド(La〜Lu)
からなる群から選ばれる1種以上の金属の塩と、化学式
HO(CH2 CH2 O)n H(ただしnは2〜8の整
数)で表されるエチレングリコールオリゴマーのうち1
種以上と、を含み、該金属の塩にはCo、Cu、および
Mnからなる群から選ばれる1種以上の金属の塩を含む
ことを特徴とする酸化物皮膜形成用塗布液、および前記
塗布液を基体上に塗布し、300℃以上の温度で焼成す
ることにより、酸化物皮膜を得ることを特徴とする酸化
物皮膜形成方法、さらに基体上に形成されてなる多層膜
において、該多層膜のうち1層以上が前記皮膜形成方法
によって形成されてなることを特徴とする多層膜に関し
て記載されている。
【0010】前記塗布液によれば、均質で緻密な遷移金
属酸化物皮膜を形成でき、その緻密さと屈折率の高さよ
り、反射率の高い皮膜を得ることもできる。しかし、実
用上は、ある程度の可視光透過能が要求されることも多
く、このような場合には遮光性を緩和するため、また
は、皮膜の耐摩耗性や耐薬品性をさらに向上させるため
に、Si、TiおよびZrなどの金属の、アルコキシド
またはキレートの添加をすることも多い。
属酸化物皮膜を形成でき、その緻密さと屈折率の高さよ
り、反射率の高い皮膜を得ることもできる。しかし、実
用上は、ある程度の可視光透過能が要求されることも多
く、このような場合には遮光性を緩和するため、また
は、皮膜の耐摩耗性や耐薬品性をさらに向上させるため
に、Si、TiおよびZrなどの金属の、アルコキシド
またはキレートの添加をすることも多い。
【0011】この場合、Siの酸化物は屈折率が小さい
ため、反射率が低下するので高反射率が適当でない用途
に好適であり、さらに、皮膜の耐摩耗性や耐薬品性を著
しく向上させることも可能であるため、実用上の用途が
広い。
ため、反射率が低下するので高反射率が適当でない用途
に好適であり、さらに、皮膜の耐摩耗性や耐薬品性を著
しく向上させることも可能であるため、実用上の用途が
広い。
【0012】しかしながら、こうして得られる皮膜は、
着色成分となる酸化物が比較的高屈折率であるため、基
体にガラスを用いて皮膜を形成した場合、基体との屈折
率差のために反射の光学干渉色が生じて無色化(ニュー
トラル化)が困難であり、また膜厚の微妙な差によっ
て、反射色が異なってしまい、生産上の歩留まりが低下
するなどといった問題点があった。これを防止するため
に皮膜の屈折率を基体の屈折率と同等となるような皮膜
組成とすると、充分な着色性が得られなかったり、厚膜
化の必要が生じて、膜の耐摩耗性や耐薬品性などの耐久
性や、生産性が低下するといった問題があった。
着色成分となる酸化物が比較的高屈折率であるため、基
体にガラスを用いて皮膜を形成した場合、基体との屈折
率差のために反射の光学干渉色が生じて無色化(ニュー
トラル化)が困難であり、また膜厚の微妙な差によっ
て、反射色が異なってしまい、生産上の歩留まりが低下
するなどといった問題点があった。これを防止するため
に皮膜の屈折率を基体の屈折率と同等となるような皮膜
組成とすると、充分な着色性が得られなかったり、厚膜
化の必要が生じて、膜の耐摩耗性や耐薬品性などの耐久
性や、生産性が低下するといった問題があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記問題点
に鑑み、反射色がニュートラルの高耐久性遷移金属酸化
物膜付き基体の提供を目的とする。
に鑑み、反射色がニュートラルの高耐久性遷移金属酸化
物膜付き基体の提供を目的とする。
【0014】また、本発明は、優れた耐久性と生産性と
を有し、反射色がニュートラルの高耐久性遷移金属酸化
物膜付き基体の製造方法の提供を目的とする。
を有し、反射色がニュートラルの高耐久性遷移金属酸化
物膜付き基体の製造方法の提供を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、基体上に酸化
物膜が形成されてなる酸化物膜付き基体において、前記
酸化物膜が、Co、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Z
n、およびランタノイド(La〜Lu)からなる群から
選ばれる1種以上の金属の酸化物膜(以下、遷移金属酸
化物膜という)であって、前記酸化物膜と基体との間に
は前記酸化物膜の屈折率以下で、かつ基体の屈折率以上
の中間層が形成されていることを特徴とする酸化物膜付
き基体を提供する。
物膜が形成されてなる酸化物膜付き基体において、前記
酸化物膜が、Co、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Z
n、およびランタノイド(La〜Lu)からなる群から
選ばれる1種以上の金属の酸化物膜(以下、遷移金属酸
化物膜という)であって、前記酸化物膜と基体との間に
は前記酸化物膜の屈折率以下で、かつ基体の屈折率以上
の中間層が形成されていることを特徴とする酸化物膜付
き基体を提供する。
【0016】本発明の酸化物膜付き基体は、実質的に2
層の膜から構成されていることから、例えば、両層とも
湿式法で形成する場合は塗布回数が2回でよく、きわめ
て実用的である。なお、その他の層が、1)遷移金属酸
化物膜の上、遷移金属酸化物膜と中間層との間、3)中
間層と基体との間に設けられてもよい。たとえば遷移金
属酸化物膜の上に第3の層として遷移金属酸化物膜と同
一の組成の膜を極薄く形成すると、実質上3層膜となる
が、第3の層の成分が多孔質の遷移金属酸化物膜の中に
浸透し、結果として、緻密な膜となって、より高耐久で
ニュートラルな反射色の酸化物膜付き基体が得られる。
層の膜から構成されていることから、例えば、両層とも
湿式法で形成する場合は塗布回数が2回でよく、きわめ
て実用的である。なお、その他の層が、1)遷移金属酸
化物膜の上、遷移金属酸化物膜と中間層との間、3)中
間層と基体との間に設けられてもよい。たとえば遷移金
属酸化物膜の上に第3の層として遷移金属酸化物膜と同
一の組成の膜を極薄く形成すると、実質上3層膜となる
が、第3の層の成分が多孔質の遷移金属酸化物膜の中に
浸透し、結果として、緻密な膜となって、より高耐久で
ニュートラルな反射色の酸化物膜付き基体が得られる。
【0017】特に、遷移金属酸化物膜の屈折率をn2 、
基体の屈折率をnb 、中間層の屈折率n1 とすると、n
1 =(n2 ×nb )1/2 を満足するような屈折率の中間
層を形成した場合、無反射条件が成立し、可視光線の反
射を抑える膜構成となる。その結果、可視光線反射は実
質的に最表面の空気と遷移金属酸化物膜との界面反射の
みになって見えるために、複数の界面反射の干渉による
反射光の着色を防ぐ効果があり、反射色調をニュートラ
ル化することができる。
基体の屈折率をnb 、中間層の屈折率n1 とすると、n
1 =(n2 ×nb )1/2 を満足するような屈折率の中間
層を形成した場合、無反射条件が成立し、可視光線の反
射を抑える膜構成となる。その結果、可視光線反射は実
質的に最表面の空気と遷移金属酸化物膜との界面反射の
みになって見えるために、複数の界面反射の干渉による
反射光の着色を防ぐ効果があり、反射色調をニュートラ
ル化することができる。
【0018】本発明において用いる遷移金属酸化物膜と
しては、酸化コバルト、酸化銅、酸化鉄、酸化ニッケ
ル、酸化マンガン、酸化クロム、または、これらの複合
酸化物からなる吸光度の高い遷移金属酸化物膜が挙げら
れる。特に、透過色調が無彩色を呈する効果が高いこと
から、酸化銅および/または酸化マンガンを主成分とし
た遷移金属酸化物膜が好ましい。遷移金属酸化物膜の光
学的膜厚は、遮光性、意匠性、実用上の耐久性の観点か
ら、80〜400nmであることが好ましい。
しては、酸化コバルト、酸化銅、酸化鉄、酸化ニッケ
ル、酸化マンガン、酸化クロム、または、これらの複合
酸化物からなる吸光度の高い遷移金属酸化物膜が挙げら
れる。特に、透過色調が無彩色を呈する効果が高いこと
から、酸化銅および/または酸化マンガンを主成分とし
た遷移金属酸化物膜が好ましい。遷移金属酸化物膜の光
学的膜厚は、遮光性、意匠性、実用上の耐久性の観点か
ら、80〜400nmであることが好ましい。
【0019】中間層の光学的膜厚は、特に限定されない
が、反射色や耐久性の観点から、遷移金属酸化物膜の光
学的膜厚以下であることが好ましい。
が、反射色や耐久性の観点から、遷移金属酸化物膜の光
学的膜厚以下であることが好ましい。
【0020】また、膜厚ムラによる色ムラを抑える効果
が高いことから、10〜200nm、特に20〜80n
mであることが好ましい。
が高いことから、10〜200nm、特に20〜80n
mであることが好ましい。
【0021】中間層は、屈折率および耐久性の観点か
ら、Si、Ti、ZrおよびAlからなる群から選ばれ
る1種以上の金属の化合物を含む層であることが好まし
い。具体的には、これらの金属の酸化物である酸化珪
素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、または、酸化アル
ミニウムであることが好ましい。これらの金属の化合物
の原料としては特に限定されず、例えば、アルコキシド
やキレートなどが挙げられる。アルコキシドやキレート
は、ゾルゲル法による成膜に好適である。
ら、Si、Ti、ZrおよびAlからなる群から選ばれ
る1種以上の金属の化合物を含む層であることが好まし
い。具体的には、これらの金属の酸化物である酸化珪
素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、または、酸化アル
ミニウムであることが好ましい。これらの金属の化合物
の原料としては特に限定されず、例えば、アルコキシド
やキレートなどが挙げられる。アルコキシドやキレート
は、ゾルゲル法による成膜に好適である。
【0022】中間層は、密着性の観点から、Co、C
r、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、およびランタノイ
ド(La〜Lu)からなる群から選ばれる1種以上の金
属の化合物を含む層であることが好ましい。例えば、遷
移金属酸化物膜と同じ成分を中間層に添加することによ
り、遷移金属酸化物膜と中間層の密着強度が増す。ま
た、焼成過程で金属酸化物が結晶化する場合などは、遷
移金属酸化物膜と中間層とに同一の成分が含まれること
により緻密性が増してより結晶化しやすくなり、遷移金
属酸化物膜の可視光の吸収が大きくなる。
r、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、およびランタノイ
ド(La〜Lu)からなる群から選ばれる1種以上の金
属の化合物を含む層であることが好ましい。例えば、遷
移金属酸化物膜と同じ成分を中間層に添加することによ
り、遷移金属酸化物膜と中間層の密着強度が増す。ま
た、焼成過程で金属酸化物が結晶化する場合などは、遷
移金属酸化物膜と中間層とに同一の成分が含まれること
により緻密性が増してより結晶化しやすくなり、遷移金
属酸化物膜の可視光の吸収が大きくなる。
【0023】基体としては、耐熱性があれば特に限定さ
れず、金属、セラミックス、ガラスなどが挙げられる
が、高温加熱が可能で幅広い用途に適していることから
ガラスであることが好ましい。
れず、金属、セラミックス、ガラスなどが挙げられる
が、高温加熱が可能で幅広い用途に適していることから
ガラスであることが好ましい。
【0024】本発明は、また、基体上に酸化物膜が形成
されてなる酸化物膜付き基体の製造方法において、基体
上に、前記酸化物膜の屈折率以下で、かつ基体の屈折率
以上の中間層を形成し、前記酸化物膜として、Co、C
r、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、およびランタノイ
ド(La〜Lu)からなる群から選ばれる1種以上の金
属の酸化物膜(遷移金属酸化物膜)を形成することを特
徴とする酸化物膜付き基体の製造方法を提供する。
されてなる酸化物膜付き基体の製造方法において、基体
上に、前記酸化物膜の屈折率以下で、かつ基体の屈折率
以上の中間層を形成し、前記酸化物膜として、Co、C
r、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、およびランタノイ
ド(La〜Lu)からなる群から選ばれる1種以上の金
属の酸化物膜(遷移金属酸化物膜)を形成することを特
徴とする酸化物膜付き基体の製造方法を提供する。
【0025】遷移金属酸化物膜の形成方法としては、C
o、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、およびラン
タノイド(La〜Lu)からなる群から選ばれる1種以
上の金属の塩と、化学式HO(CH2 CH2 O)n H
(ただしnは2〜8の整数)で表されるエチレングリコ
ールオリゴマーの1種以上と、を含む酸化物膜形成用塗
布液(以下、遷移金属酸化物膜形成用塗布液という)を
塗布、焼成することによって形成することが好ましい。
o、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、およびラン
タノイド(La〜Lu)からなる群から選ばれる1種以
上の金属の塩と、化学式HO(CH2 CH2 O)n H
(ただしnは2〜8の整数)で表されるエチレングリコ
ールオリゴマーの1種以上と、を含む酸化物膜形成用塗
布液(以下、遷移金属酸化物膜形成用塗布液という)を
塗布、焼成することによって形成することが好ましい。
【0026】遷移金属酸化物膜形成用塗布液は、遮光
性、意匠性の付与の観点から、Co、Cu、およびMn
からなる群から選ばれる1種以上の金属の塩、すなわ
ち、吸光係数が高い金属の塩を含むことが好ましい。
性、意匠性の付与の観点から、Co、Cu、およびMn
からなる群から選ばれる1種以上の金属の塩、すなわ
ち、吸光係数が高い金属の塩を含むことが好ましい。
【0027】また、遷移金属酸化物膜形成用塗布液は、
耐久性、遮光性および意匠性の調整の観点から、Si、
Ti、Zr、およびAlからなる群から選ばれる1種以
上の金属の化合物を含むことが好ましい。
耐久性、遮光性および意匠性の調整の観点から、Si、
Ti、Zr、およびAlからなる群から選ばれる1種以
上の金属の化合物を含むことが好ましい。
【0028】遷移金属酸化物膜形成用塗布液におけるエ
チレングリコールオリゴマーと金属塩の金属の存在比は
特に限定されないが、耐久性の観点から、オリゴマー/
金属=0.1〜3.0(モル比)であることが好まし
い。
チレングリコールオリゴマーと金属塩の金属の存在比は
特に限定されないが、耐久性の観点から、オリゴマー/
金属=0.1〜3.0(モル比)であることが好まし
い。
【0029】エチレングリコールオリゴマーとしては、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコールまたは
テトラエチレングリコールが好ましい。
ジエチレングリコール、トリエチレングリコールまたは
テトラエチレングリコールが好ましい。
【0030】遷移金属酸化物膜形成用塗布液における金
属の塩は、溶解性の観点から、硝酸塩であることが好ま
しい。
属の塩は、溶解性の観点から、硝酸塩であることが好ま
しい。
【0031】遷移金属酸化物膜成膜時の焼成温度は30
0℃以上が好ましい。300℃未満の温度では分解が進
まず、酸化物膜とならない傾向にある。温度の上限は特
になく、基体の耐熱温度まで、たとえば通常のソーダラ
イムガラスであれば650〜700℃程度まで加熱がで
き、温度が高くなるほど皮膜は緻密化する。高度な耐久
性を要求される場合には、本発明の酸化物膜付き基体に
形成されるすべての層を300℃以上の温度で焼成し、
形成することが好ましい。
0℃以上が好ましい。300℃未満の温度では分解が進
まず、酸化物膜とならない傾向にある。温度の上限は特
になく、基体の耐熱温度まで、たとえば通常のソーダラ
イムガラスであれば650〜700℃程度まで加熱がで
き、温度が高くなるほど皮膜は緻密化する。高度な耐久
性を要求される場合には、本発明の酸化物膜付き基体に
形成されるすべての層を300℃以上の温度で焼成し、
形成することが好ましい。
【0032】遷移金属酸化物膜形成用塗布液または中間
層の形成用塗布液の基体への塗布方法は特に限定され
ず、公知の方法、すなわちスピンコート、ディップコー
ト、スプレーコート、メニスカスコート、フローコー
ト、転写印刷、スクリーン印刷等などが使用できる。
層の形成用塗布液の基体への塗布方法は特に限定され
ず、公知の方法、すなわちスピンコート、ディップコー
ト、スプレーコート、メニスカスコート、フローコー
ト、転写印刷、スクリーン印刷等などが使用できる。
【0033】
【実施例】以下に本発明の詳細を実施例(例1〜5、
7)および比較例(例6、8)を挙げて示すが、本発明
はこれらに限定されない。
7)および比較例(例6、8)を挙げて示すが、本発明
はこれらに限定されない。
【0034】以下の例に用いた基体は、すべてフロート
法により製造された4mm厚のグリーン色熱線吸収ガラ
ス(可視光透過率79%、可視光反射率8%、屈折率
1.52)である。
法により製造された4mm厚のグリーン色熱線吸収ガラ
ス(可視光透過率79%、可視光反射率8%、屈折率
1.52)である。
【0035】表1に示す原料(金属源の種類と量(単
位:g))をエタノール溶媒中で混合し、50℃で2時
間撹拌したものを中間層形成用の塗布液とし、前記基体
にスピンコータを用いて塗布後、500℃で5分間焼成
した。得られた中間層の膜厚(光学的的膜厚)、およ
び、屈折率も表1に示した。
位:g))をエタノール溶媒中で混合し、50℃で2時
間撹拌したものを中間層形成用の塗布液とし、前記基体
にスピンコータを用いて塗布後、500℃で5分間焼成
した。得られた中間層の膜厚(光学的的膜厚)、およ
び、屈折率も表1に示した。
【0036】また、表2に示す原料(金属源の種類と量
(単位:g)と、オリゴマー(種類と量(単位:g))
とをエタノール溶媒中で混合し、50℃で2時間撹拌し
たものを遷移金属酸化物膜形成用塗布液とした。この塗
布液を、前記中間層上に、スピンコータを用いて塗布
後、600℃で5分間焼成して、光学的膜厚が約200
nmの遷移金属酸化物膜が形成された酸化物膜付き基体
を得た。オリゴマー/金属モル比(EG/M)、およ
び、得られた遷移金属酸化物膜の屈折率も表2に示す。
(単位:g)と、オリゴマー(種類と量(単位:g))
とをエタノール溶媒中で混合し、50℃で2時間撹拌し
たものを遷移金属酸化物膜形成用塗布液とした。この塗
布液を、前記中間層上に、スピンコータを用いて塗布
後、600℃で5分間焼成して、光学的膜厚が約200
nmの遷移金属酸化物膜が形成された酸化物膜付き基体
を得た。オリゴマー/金属モル比(EG/M)、およ
び、得られた遷移金属酸化物膜の屈折率も表2に示す。
【0037】表1、2で用いた略称は表4に示す。ま
た、SiOR、TiOR、ZrOR以外の金属源は硝酸
塩である。
た、SiOR、TiOR、ZrOR以外の金属源は硝酸
塩である。
【0038】得られた酸化物膜付き基体の外観、JIS
−R3106による可視光透過率(透過率)、JIS−
R3106による可視光反射率(反射率)、反射色、皮
膜の基板への密着性を表3に示す。反射色は、非膜面側
反射色を曇りの屋外にて外観評価し、◎:ニュートラル
(基体の反射色と同等)、○:ほぼニュートラル(基体
の反射色に近い)、×:反射色が着色している、とし
た。密着性は、乾式ネル布トラバース試験(荷重500
g/cm2 で1000往復)試験し、◎:傷なし、○:
細かい傷がごくわずかにあり、×:膜が剥離、とした。
−R3106による可視光透過率(透過率)、JIS−
R3106による可視光反射率(反射率)、反射色、皮
膜の基板への密着性を表3に示す。反射色は、非膜面側
反射色を曇りの屋外にて外観評価し、◎:ニュートラル
(基体の反射色と同等)、○:ほぼニュートラル(基体
の反射色に近い)、×:反射色が着色している、とし
た。密着性は、乾式ネル布トラバース試験(荷重500
g/cm2 で1000往復)試験し、◎:傷なし、○:
細かい傷がごくわずかにあり、×:膜が剥離、とした。
【0039】また、得られた試料の耐薬品性を表3のA
欄、B欄に示す。耐薬品性は、1Nの硫酸、1Nの水酸
化ナトリウム水溶液にそれぞれ24時間浸漬し、◎:透
過率変化±1%で外観変化なし、○:透過率変化±5
%、×:膜が剥離、とした。A欄は硫酸の場合、B欄は
水酸化ナトリウム水溶液の場合である。
欄、B欄に示す。耐薬品性は、1Nの硫酸、1Nの水酸
化ナトリウム水溶液にそれぞれ24時間浸漬し、◎:透
過率変化±1%で外観変化なし、○:透過率変化±5
%、×:膜が剥離、とした。A欄は硫酸の場合、B欄は
水酸化ナトリウム水溶液の場合である。
【0040】表3から明らかなように、中間層の屈折率
が遷移金属酸化物膜の屈折率より高い場合(例6)、中
間層を形成しなかった場合(例8)においては、反射色
がニュートラル化しなかった。
が遷移金属酸化物膜の屈折率より高い場合(例6)、中
間層を形成しなかった場合(例8)においては、反射色
がニュートラル化しなかった。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、優れた耐久性を有し、
反射色がニュートラルである意匠性の高い遷移金属酸化
物膜付き基体を、生産性良く生産できる。
反射色がニュートラルである意匠性の高い遷移金属酸化
物膜付き基体を、生産性良く生産できる。
Claims (9)
- 【請求項1】基体上に酸化物膜が形成されてなる酸化物
膜付き基体において、前記酸化物膜が、Co、Cr、M
n、Fe、Ni、Cu、Zn、およびランタノイド(L
a〜Lu)からなる群から選ばれる1種以上の金属の酸
化物膜であって、前記酸化物膜と基体との間には前記酸
化物膜の屈折率以下で、かつ基体の屈折率以上の中間層
が形成されていることを特徴とする酸化物膜付き基体。 - 【請求項2】中間層が、Si、Ti、ZrおよびAlか
らなる群から選ばれる1種以上の金属の化合物を含む層
である請求項1記載の酸化物膜付き基体。 - 【請求項3】中間層が、Co、Cr、Mn、Fe、N
i、Cu、Zn、およびランタノイド(La〜Lu)か
らなる群から選ばれる1種以上の金属の化合物を含む層
である請求項1または2記載の酸化物膜付き基体。 - 【請求項4】基体上に酸化物膜が形成されてなる酸化物
膜付き基体の製造方法において、基体上に、前記酸化物
膜の屈折率以下で、かつ基体の屈折率以上の中間層を形
成し、前記酸化物膜として、Co、Cr、Mn、Fe、
Ni、Cu、Zn、およびランタノイド(La〜Lu)
からなる群から選ばれる1種以上の金属の酸化物膜を形
成することを特徴とする酸化物膜付き基体の製造方法。 - 【請求項5】前記酸化物膜を、Co、Cr、Mn、F
e、Ni、Cu、Zn、およびランタノイド(La〜L
u)からなる群から選ばれる1種以上の金属の塩と、化
学式HO(CH2 CH2 O)n H(ただしnは2〜8の
整数)で表されるエチレングリコールオリゴマーの1種
以上と、を含む酸化物膜形成用塗布液を塗布、焼成する
ことによって形成する請求項4記載の酸化物膜付き基体
の製造方法。 - 【請求項6】酸化物膜形成用塗布液が、Si、Ti、Z
r、およびAlからなる群から選ばれる1種以上の金属
の化合物を含むことを特徴とする請求項4または5記載
の酸化物膜付き基体の製造方法。 - 【請求項7】酸化物膜形成用塗布液におけるエチレング
リコールオリゴマーと金属塩の金属の存在比がオリゴマ
ー/金属=0.1〜3.0(モル比)である請求項4、
5または6記載の酸化物膜付き基体の製造方法。 - 【請求項8】酸化物膜形成用塗布液における金属の塩が
硝酸塩である請求項4、5、6または7記載の酸化物膜
付き基体の製造方法。 - 【請求項9】焼成を300℃以上の温度で行う請求項
4、5、6、7または8記載の酸化物膜付き基体の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35805397A JPH11189434A (ja) | 1997-12-25 | 1997-12-25 | 酸化物膜付き基体とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35805397A JPH11189434A (ja) | 1997-12-25 | 1997-12-25 | 酸化物膜付き基体とその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11189434A true JPH11189434A (ja) | 1999-07-13 |
Family
ID=18457298
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35805397A Pending JPH11189434A (ja) | 1997-12-25 | 1997-12-25 | 酸化物膜付き基体とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11189434A (ja) |
-
1997
- 1997-12-25 JP JP35805397A patent/JPH11189434A/ja active Pending
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