JPH09164852A - 移動農機の変速装置 - Google Patents

移動農機の変速装置

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Publication number
JPH09164852A
JPH09164852A JP34860895A JP34860895A JPH09164852A JP H09164852 A JPH09164852 A JP H09164852A JP 34860895 A JP34860895 A JP 34860895A JP 34860895 A JP34860895 A JP 34860895A JP H09164852 A JPH09164852 A JP H09164852A
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JP
Japan
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shift
gear
lever
transmission
speed
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Pending
Application number
JP34860895A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyoshi Ono
弘喜 小野
Mitsuhiko Ikeda
光彦 池田
Osamu Hyodo
兵頭  修
Junichi Oshita
淳一 大下
Fumiaki Nishikawa
文顕 西川
Tomoyuki Ishida
智之 石田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Iseki and Co Ltd
Iseki Agricultural Machinery Mfg Co Ltd
Original Assignee
Iseki and Co Ltd
Iseki Agricultural Machinery Mfg Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 移動農機の変速装置の変速操作性を向上させ
る。 【解決手段】 多数段の変速位置を有する移動農機の変
速装置において、全変速位置を作業項目別に複数の変速
可能領域に分け、可動操作具である第一変速操作手段1
7によって前記複数の変速可能領域の中から任意の変速
可能領域を選択し、且つ第二変速操作手段17a,17
bによってその選択した変速可能領域における任意の変
速位置を選択する構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トラクタ等の移動
農機の変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、トラクタの変速装置は、主変
速部と副変速部とからなり、両変速の組み合わせで多数
段(例えば16段)の変速位置を設定している。この種
の変速装置を変速操作する変速操作装置として、特開平
6−107023号公報に提案されているように、前後
方向へ回動操作する副変速レバーで副変速を行い、且つ
該副変速レバーに設けた主変速スイッチで主変速を行う
ようにし、多段変速操作を簡単化した構成したものが知
られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記変
速操作装置による変速方法は、変速位置と作業内容(例
えばプラウ作業、ロータリ耕耘作業等)との関係が明確
ではないので、特にオペレータがトラクタの扱いに不慣
れである場合、或る作業を行う場合にどの変速位置にす
れば良いかがわからないという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は次のように構成した。すなわち、本発明に
かかる移動農機の変速装置は、多数段の変速位置を有す
る移動農機の変速装置において、全変速位置を作業項目
別に複数の変速可能領域に分け、可動操作具である第一
変速操作手段によって前記複数の変速可能領域の中から
任意の変速可能領域を選択し、且つ第二変速操作手段に
よってその選択した変速可能領域における任意の変速位
置を選択する構成としたことを特徴としている。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の変速装置を設けた
トラクタの一実施例について説明する。
【0006】図1に示すトラクタ1は、前後四輪駆動車
両であって、機体の四隅部に前輪2,2と後輪3,3を
備えている。前輪2,2の車軸を支持する前車軸ケース
5は前フレーム7の下側に取り付けられ、後輪3,3を
支持する後車軸ケース6,6は、ミッションケース8の
後部側面に取り付けられている。前車軸ケース5はその
左右方向中央部で前フレーム7に固定の前後方向に向く
軸心回りに左右揺動自在に軸着され、地面の凹凸により
前輪2,2が上下動するようになっている。
【0007】前フレーム7の中央上側には、エンジン1
0が着脱自在に搭載されている。11はラジエター、1
2は冷却ファン、13はファンベルトであって、これら
はエンジン10の前方に配設されている。14はボンネ
ットであって、エンジン10や補器類(図示省略)の前
方や側方を覆っている。
【0008】16はハンドルであって、該ハンドルを左
右回転させると、前輪2,2が左右に舵取り揺動するよ
うになっている。17は変速レバーであって、これによ
って変速操作するようになっている。また、18は前後
進切替レバーであって、これによって前後進の切替操作
をするようになっている。左右の後輪3,3の前方から
上方にかけてフェンダー21,21が取り付けられ、こ
の左右フェンダー21,21の間に座席22が設けられ
ている。座席22の下部の運転者足元部は、略平板状の
フロア23となっている。
【0009】機体の後部には昇降油圧シリンダ26で上
下回動させるリフトアーム27,27が設けられてい
る。このリフトアーム27,27の先端部と作業機装着
用のロワリンク27a,27aの中間部とがリフトロッ
ド27b,27bで連結されており、リフトアーム2
7,27を上げ作動及び下げ作動させることにより、ロ
ワリンク27a,27aの後端部に装着したロータリ耕
耘装置等の作業機が昇降する。また、片方のリフトロッ
ド27b(図示例では右側)は左右傾動用の油圧シリン
ダになっており、該油圧シリンダを伸縮させることによ
り、作業機の左右傾斜が調整される。なお、ロワリンク
27a,27aの上方かつ左右中央部にトップリンク2
7cを取り付け、ロワリンク27a,27aとトップリ
ンク27cで構成される三点リンク機構により作業機を
支持する。
【0010】図2はこのトラクタの伝動機構図、図3〜
図5はその要部の構造を表す断面図である。まず、伝動
機構の概要について説明する。
【0011】エンジン10の回転動力は、ミッションケ
ース8に入力される。ミッションケース8の入り口部に
は主クラッチ30が設けられ、伝動を入り切りするよう
になっている。主クラッチ30を経た動力は、前輪及び
後輪を駆動する走行駆動力と外部動力取出のPTO駆動
力の二系統に伝動分岐される。走行駆動力は、前後進変
速部31、主変速部32、副変速部33からなる走行変
速装置を経て後輪デフ装置34に伝動され、左右の後輪
3,3を駆動する。また、走行変速装置で変速後の動力
は、4WD切替装置35を経由し、ミッションケース8
の前面部に取り出され、それから前輪伝動軸5aにより
前車軸ケース5内の前輪デフ装置36に伝動され、左右
の前輪2,2を駆動する。一方、PTO駆動力は、PT
O正逆転装置37とPTO変速装置38を経由し、ミッ
ションケース8の背面部から後方に突出するPTO軸3
9に取り出される。PTO軸39の突出部に、各種作業
機(図示省略)への伝動軸が着脱自在に伝動連結するよ
うになっている。
【0012】次に、走行変速装置の各変速部の構造につ
いて説明する。前後進変速部31は、主クラッチ軸S1
の回転を前後進変速軸S3に正転または逆転方向に選択
的に切り替えて伝動する変速部である。主クラッチ軸S
1の後端部に取り付けたギヤG1が中継軸S2のギヤG
2に噛み合い、更にそのギヤG2はニードルベアリング
により前後進変速軸S3に回転自在に嵌合する前進ギヤ
G3に噛み合っている。また、中継軸S2には前記ギヤ
G2とは別にギヤG4が取り付けられており、そのギヤ
G4がカウンタ軸S4のカウンタギヤG5を介して、前
後進変速軸S3にニードルベアリングにより回転自在に
嵌合する後進ギヤG6に噛み合っている。よって、前進
ギヤG3と後進ギヤG6は互いに逆方向に回転するよう
になっている。
【0013】前進ギヤG3及び後進ギヤG6は、シンク
ロメッシュ機構により前後進変速軸S3に伝動連結され
る。すなわち、前後進変速軸S3にハブ41がスプライ
ンで嵌合し、更にそのハブ41の外周部にスリーブ42
がスプラインで嵌合し、そのスリーブ42に形成された
溝にキー43が嵌り込み、そのキー43の軸方向両側に
リング44,44が前進ギヤG3または後進ギヤG6の
円錐部45,45に対向して設けられている。前記前後
進切替レバー18で作動されるシフタ46によりスリー
ブ42を軸方向いずれかに動かすと、キー43に押され
て片方のリング44がギヤの円錐部45に接触し、摩擦
によりリング44の回転が円錐部45に伝わり、ギヤと
前後進変速軸S3の回転速度が同調する。更にスリーブ
42を動かすと、スリーブ42のスプライン部がギヤの
スプライン部と噛み合って、前後進変速軸S3とギヤと
が完全に伝動連結された状態となる。なお、前後進切替
レバー18の操作位置は前後進シフト位置センサSEN
F ,SENR によって検出される。
【0014】前後進変速軸S3と前進ギヤG3が伝動連
結されると「前進」シフトとなり、前後進変速軸S3と
後進ギヤG4が伝動連結されると「後進」シフトとな
る。ハブ側の回転と駆動ギヤ側の回転を円滑に同調をせ
るには伝動上手側もしくは下手側からの動力を遮断する
必要があるため、主クラッチ30を切るか、或は副変速
部33を「中立」にしてシフトチェンジする。
【0015】中継軸S2のギヤG2は正逆転変速軸S5
の外周部に回転自在に嵌合する正転ギヤG7とも噛み合
い、カウンタ軸S4のカウンタギヤG5は正逆転変速軸
S5の外周部に回転自在に嵌合する逆転ギヤG8とも噛
み合っていて、PTO駆動力をPTO正逆転装置37に
伝達している。PTO正逆転装置37は、これらギヤG
7,G8と正逆転変速軸S5にスプラインで嵌合するハ
ブ48とを軸方向に摺動自在なスリーブ49で伝動連結
可能に構成され、正転ギヤG7とハブ48を伝動連結す
ると正逆転変速軸S5が正転方向に回転し、逆転ギヤG
8とハブ48を伝動連結すると正逆転変速軸S5が逆転
方向に回転し、正転ギヤG7及び逆転ギヤG8のいずれ
ともハブ48を伝動連結させないと正逆転変速軸S5が
回転停止するようになっている。
【0016】主変速部32は、前後進変速軸S3と一体
回転するよう設けた主変速駆動軸S6から、これと平行
に設けた主変速従動軸S7へ4段階に選択的に変速して
伝動する変速部である。主変速駆動軸S6には1速駆動
ギヤG9、2速駆動ギヤG10、3速駆動ギヤG11、
及び4速駆動ギヤG12がそれぞれ回転自在に嵌合させ
て設けられ、また主変速従動軸S7には1速従動ギヤG
13、2速駆動ギヤG14、3速従動ギヤG15、及び
4速従動ギヤG16が対となる前記駆動ギヤG9〜G1
2と常時噛合する状態で一体に取り付けられている。こ
れら4対の主変速ギヤの伝動比は、4速ギヤ、3速ギ
ヤ、3速ギヤ、1速ギヤの順に大きくなっている。
【0017】各駆動ギヤG9〜G12はシンクロメッシ
ュ機構により主変速駆動軸S6に伝動連結される。その
機構は前後進変速部31のシンクロメッシュ機構と同じ
であるので、詳細な説明は省略し、符号名のみを記す。
51はハブ、52はスリーブ、53はキー、54はリン
グ、55は駆動ギヤの円錐部、55及び56はシフタで
ある。シフタ56,56は、ミッションケース8の外部
に設けたプッシュプル油圧シリンダA,B(図11参
照)でそれぞれ作動される。
【0018】主変速駆動軸S6と1速駆動ギヤG9が伝
動連結されると「1速」シフトとなる。主変速駆動軸S
6と2速駆動ギヤG10が伝動連結されると「2速」シ
フトとなる。主変速駆動軸S6と3速駆動ギヤG11が
伝動連結されると「3速」シフトとなる。また、主変速
駆動軸S6と4速駆動ギヤG12が伝動連結されると
「4速」シフトとなる。この主変速部のシフトチェンジ
の際には、電子制御により副変速部33が「中立」に切
り替わるようになっている。
【0019】副変速部33は、主変速従動軸S7の回転
を第一副変速軸S8と第二副変速軸S9へ4段階に選択
的に変速して伝動する変速部である。主変速従動軸S7
の筒状部S7aと一体の高速クラッチボス62Hに形成
されたギヤG17が、第二副変速軸S9に回転自在に嵌
合する中速クラッチボス62Mに形成されたギヤG18
と減速伝動するように噛み合っている。また、高速クラ
ッチボス62Hに形成されたもう一つのギヤG19が、
中継軸S10に一体に設けたギヤG20と減速伝動する
ように噛み合い、且つ中継軸S10に一体に設けたもう
一つのギヤG21が、第一副変速軸S8に回転自在に嵌
合する低速クラッチボス62Lに形成されたギヤG22
に減速伝動するように噛み合っている。更に、低速クラ
ッチボス62Lに形成されたもう一つのギヤG23が、
第二副変速軸S9に回転自在に嵌合する超低速クラッチ
ボス62LLに形成されたギヤG24に減速伝動するよ
うに噛み合っている。よって、各クラッチボスは常時一
体回転し、その回転速度は高速クラッチボス62H、中
速クラッチボス62M、低速クラッチボス62L、超低
速クラッチボス62LLの順に大きくなっている。
【0020】また、第一副変速軸S8にスプラインで嵌
合するギヤG25が、第二副変速軸S9にスプラインで
嵌合するギヤG26に噛み合っている。更に、ギヤG2
6と一体のギヤG27が、4WD切替装置伝動軸S11
のギヤG28に噛み合っている。なお、第一副変速軸S
8の後端部には、後輪デフ装置34に伝動するドライブ
ピニオンG29が一体形成されている。
【0021】高速クラッチボス62H及び低速クラッチ
ボス62Lと第一副変速軸S8とは副変速クラッチC
H ,CL により伝動連結され、中速クラッチボス62M
及び超低速クラッチボス62LLと第二副変速軸S9と
は副変速進クラッチCM ,CLLにより伝動連結される。
これら副変速クラッチCH ,CM ,CL ,CLLは、湿式
多板油圧クラッチ機構となっている。すなわち、第一副
変速軸S8(或は第二副変速軸S9)に駆動ドラム61
がスプラインによって一体回転するよう組みつけられ、
かつ該駆動ドラムの内周部にクラッチボス62H,62
L(或は62M,62LL)が内装されており、駆動ド
ラム側の摩擦板63,…とクラッチボス側の摩擦板6
4,…とが交互に並列状態で配設されている。また、駆
動ドラム61の仕切壁61aの両側には、クラッチ入切
用ピストン65H,65L(或は65M,65LL)が
配設されている。ミッションケース8内に充填されてい
る潤滑油の一部を油圧ポンプ(図示せず)で吸引加圧
し、それを第一副変速軸S8(或は第二副変速軸S9)
内に設けた油路を通して仕切壁61aとピストン65
H,65L(或は65M,65LL)の間の油室66,
66のいずれか一方に供給することにより、ピストン6
5H,65L(或は65M,65LL)を作動するよう
になっている。
【0022】副変速クラッチCH を入とすると、高速ク
ラッチボス62Hの回転が第一副変速軸S8へ伝動さ
れ、更にその第一副変速軸S8の回転がドライブピニオ
ンG29より後輪デフ装置34へ伝動されると共に、ギ
ヤG25,G26の組み合わせ、及びギヤG27,G2
8の組み合わせを介して4WD切替装置伝動軸S11へ
伝動される「高速」シフトとなる。
【0023】副変速クラッチCM を入とすると、中速ク
ラッチボス62Mの回転が第二副変速軸S9に伝動さ
れ、更にその第二副変速軸S9の回転が、ギヤG26,
G25の組み合わせにより第一副変速軸S8へ伝動さ
れ、ドライブピニオンG29より後輪デフ装置34へ伝
動されると共に、ギヤG27,G28の組み合わせによ
り4WD切替装置伝動軸S11へ伝動される「中速」シ
フトとなる。
【0024】副変速クラッチCL を入とすると、低速ク
ラッチボス62Lの回転が第一副変速軸S8へ伝動さ
れ、更にその第一副変速軸S8の回転が、ドライブピニ
オンG29より後輪デフ装置34へ伝動されると共に、
ギヤG25,G26の組み合わせ、及びギヤG27,G
28の組み合わせを介して4WD切替装置伝動軸S11
へ伝動される「低速」シフトとなる。
【0025】副変速クラッチCLLを入とすると、超低速
クラッチボス62LLの回転が第二副変速軸S9へ伝動
され、更にその第二副変速軸S9の回転が、ギヤG2
6,G25の組み合わせにより第一副変速軸S8へ伝動
され、ドライブピニオンG29より後輪デフ装置34へ
伝動されると共に、ギヤG27,G28の組み合わせに
より4WD切替装置伝動軸S11へ伝動される「超低
速」シフトとなる。
【0026】いずれの副変速クラッチCH ,CM ,C
L ,CLLもクラッチ切の状態にすると、主変速部32か
ら前後輪への伝動を断つと共に前後輪の惰性による回転
が主変速部32へ伝わるのを遮断する「中立」シフトと
なる。
【0027】4WD切替装置34は、前輪2,2と後輪
3,3の平均回転速度(周速度)がほぼ等速である「前
後輪等速四駆」状態と、前輪2,2の平均回転速度が後
輪3,3の平均回転速度に対して周速度比でほぼ2倍で
ある「前輪増速四駆」状態と、前輪2,2の駆動を切っ
て後輪3,3だけを駆動する「後輪二駆」状態とに切り
替える装置で、前後進変速部31や副変速部33と同様
に湿式多板油圧クラッチ式の変速機構を用いた構造とな
っている。また、PTO変速装置37は、PTO駆動力
を4段階に変速する装置で、ドッグクラッチ式の変速機
構を用いた構造となっている。
【0028】以上に説明した如く、このトラクタの走行
変速装置は、前後進変速部31と主変速部32と副変速
部33とからなり、前後進変速部31により前進と後進
を切り替えると共に、主変速部32による主変速と副変
速部33による副変速の組み合わせにより全16段の変
速位置を選択する。各変速位置における主変速と副変速
の組み合わせは表1、各変速位置における定格車速は図
6のグラフのようになっている。
【0029】
【表1】
【0030】変速位置の切り替えは、第一変速操作手段
である前記変速レバー17と該レバーのグリップに設け
た第二変速操作手段である指操作式の増減速ボタン17
a,17bにて行う。図7に示すように、変速レバー1
7は左のフェンダー21と座席22の間に設けられたレ
バーガイドボックス40のレバーガイド溝41に沿って
前後に回動させるようになっていて、その回動範囲の後
側から前側へ順に「超低」、「ロータリ」、「プラウ・
代かき」、「中立」、「走行」の各操作位置が設けられ
ている。「超低」はクリープ作業等の超低速で作業を行
う時の操作位置で、第1段から第4段までが変速可能領
域である。「ロータリ」はロータリ耕耘作業時の操作位
置で、第5段から第10段までが変速可能領域である。
「プラウ・代かき」はプラウ作業もしくは代かき作業時
の操作位置で、第8段から第12段までが変速可能領域
である。「中立」は走行停止の操作位置である。また、
「走行」は路上走行時の操作位置で、第12段から第1
6段までが変速可能領域である。変速位置の切り替えに
際しては、変速レバー17によって作業項目に応じた変
速可能領域を選択し、増減速ボタン17a,17bによ
ってその選択された変速可能領域内でシフトアップ及び
シフトダウンする。
【0031】走行を停止する際、通常は主クラッチ30
を切って前後進変速部31を「中立」にする。しかしな
がら、わずかな時間だけ停止するような場合は、変速レ
バー17を「中立」に操作して、副変速部33を「中
立」シフトとすることによっても走行を停止させること
ができる。この変速レバー17の操作による停止は、ク
ラッチペダルを踏む操作を必要としないので、操作が容
易である。
【0032】変速レバーのレバーガイド溝41は「中
立」の操作位置を境にして前側部分41aと後側部分4
1bとが左右にずらせてあり、前側部分41aにある
「走行」の操作位置は座席22から遠い側に位置してい
る(変速レバー17は座席22の左側に設けられている
ので、「走行」の操作位置は他の操作位置よりも左に位
置している)。変速レバー17を「走行」に操作した時
には変速レバー17が側面視で座席22に座っているオ
ペレータの膝近くに位置するので、「走行」の操作位置
を座席22から遠い側に位置させておくことにより、路
上走行時に膝近くのスペースが広くなり運転が楽である
と共に、変速レバー17を「走行」に操作した状態で停
止して昇降する場合に変速レバー17が邪魔にならな
い。
【0033】また、変速レバー17は後述するコイルス
プリング48によって座席側に付勢されており、変速レ
バー17を「走行」に操作する場合にはこのコイルスプ
リング48の力に抗して操作しなければならず、前記レ
バーガイド溝41の形状との相乗効果により「走行」へ
はレバー操作しにくくなっている。これにより、誤操作
等によりトラクタ1が不意に高速で走り出すことを防止
している。
【0034】変速レバー17が「走行」へ不用意に操作
されないようにする構成としては、変速レバー17のノ
ブに牽制ボタンを設け、「走行」へ操作するときに限り
この牽制ボタンを押しながら変速レバー17を操作しな
いと該変速レバーが動かない構成としてもよい。
【0035】変速レバー17の操作機構は図8乃至図1
0のようになっている。レバー支持軸43の外周部に回
動自在に嵌合する筒体44に第一レバー杆45を一体に
設け、その第一レバー杆45の先端に水平杆46を一体
に設け、その水平杆46に対して軸回りに回動自在に設
けた回動筒47に変速レバー17の基部を一体に取り付
けている。回動筒47は水平杆46の小径部46aに外
嵌し、回動筒47側の切欠部47aに水平杆46の突起
部46bが係合するようになっており、両者46b,4
7aの遊びの範囲内で回動筒47が回動可能である。こ
の遊びの範囲は前記レバーガイド溝41の前側部分41
aと後側部分41bのずれ幅に対応し、そのずれ幅と同
じか、もしくはそれよりも若干大きくしてある。そし
て、回動筒47の回りに外装したトルクスプリング48
によって変速レバー17を座席22側に付勢している。
49は水平杆46の先端ねじ部46cに螺着される回動
筒47の抜止めナットである。
【0036】レバー支持軸43と同軸上に変速レバー操
作位置検出用ロータリスイッチ51と変速レバー角度検
出用ポテンショメータ52が設けられ、その作動アーム
51a,52aに第一レバー杆45に一体に取り付けた
スイッチ作動バー53が係合している。また、第一レバ
ー杆45にはスプリング収容筒55が一体に取り付けら
れ、そのスプリング収容筒55内に収容されているコイ
ルスプリング56によってボール57が、ボールガイド
プレート58に形成されているボールガイド溝58aに
押し付けられている。ボールガイド溝58aには他の部
分よりも凹み量が深くなった位置決め凹部58b,…が
変速レバー17の操作位置に対応して設けられており、
この凹部58b,…にボール57が係合する状態で変速
レバー17の位置が安定する。
【0037】図11は油圧装置の主変速切替部と副変速
切替部の油圧回路図である。主変速切替部のV1 ,V2
は前記プッシュプル油圧シリンダA,Bをプッシュプル
制御する主変速用ソレノイド方向制御弁で、ソレノイド
SOL1 を励磁すると油圧シリンダAのピストンロッド
が縮んで主変速「1速」となり、ソレノイドSOL2
励磁すると油圧シリンダAのピストンロッドが伸びて主
変速「2速」となり、ソレノイドSOL3 を励磁すると
油圧シリンダBのピストンロッドが縮んで主変速「3
速」となり、ソレノイドSOL4 を励磁すると油圧シリ
ンダBのピストンロッドが伸びて主変速「4速」とな
る。油圧シリンダA,Bのピストンロッドの伸縮状態は
主変速シフト位置センサSEN1 〜SEN4 によって検
出される。
【0038】副変速切替部のV3 〜V6 は副変速クラッ
チCH ,CM ,CL ,CLLを入・切制御するソレノイド
比例圧力方向制御弁で、ソレノイドSOLH を励磁する
と副変速クラッチCH が入になって副変速「高速」とな
り、ソレノイドSOLM を励磁すると副変速クラッチC
M が入になって副変速「中速」となり、ソレノイドSO
L を励磁すると副変速クラッチCL が入になって副変
速「低速」となり、ソレノイドSOLLLを励磁すると副
変速クラッチCLLが入になって副変速「超低速」とな
る。各ソレノイド比例圧力方向制御弁V3 〜V6 からオ
イルタンクへの戻し油路には、適正サイズのオリフィス
が設けられている。
【0039】また、V7 〜V9 は上記ソレノイド比例圧
力方向制御弁V3 〜V6 の作動に優先順位(V4 ,V
3 ,V5 ,V6 の順に優先)をつけるための牽制用方向
制御弁で、該方向制御弁を設けることにより、電気的ト
ラブル発生時に2つ以上の副変速クラッチが同時に入と
なることを牽制し、副変速部33のギヤが二重に噛み合
うことを防止している。更に、これら牽制用方向制御弁
7 〜V9 は副変速クラッチCH ,CM ,CL への油路
a,b,cに発生する微弱なサージ圧力2〜3(kg/c
m2)を吸収するアキュームレータとしての作用も有して
いる。なお、副変速クラッチCH ,CL は油路dを介し
て強制潤滑される。副変速クラッチCM ,CLLはミッシ
ョンオイルに浸かっているので強制潤滑されない。
【0040】図12は走行変速装置の制御系を示す図で
ある。60は制御の中枢をなす制御コントローラで、こ
の制御コントローラ60の入力側に増減速ボタン17
a,17b、ロータリスイッチ51、主変速シフト位置
センサSEN1 〜SEN4 、ポテンショメータ52、及
び前後進シフト位置センサSENF ,SENR が接続さ
れ、出力側に主変速切替ソレノイドSOL1 〜SOL
4 、及び副変速切替ソレノイドSOLH 〜SOLLLが接
続されている。
【0041】変速レバー17で作業項目を選択すると、
その操作位置がロータリスイッチ51により検出され、
その検出結果に基づいて主変速切替ソレノイドSOL1
〜SOL4 及び副変速切替ソレノイドSOLH 〜SOL
LLが駆動され、選択された作業項目の変速可能領域内に
おける所定の起点変速位置に変速される。起点変速位置
は、変速操作前の変速位置に最も近い変速位置に設定さ
れる。但し、変速操作前の変速可能領域と変速操作後の
変速可能領域が重複していて、変速操作前の変速位置が
変速操作後の変速可能領域内にある場合については、増
速側に変速操作したときは元の変速位置よりも1段高い
変速位置に起点変速位置を設定し、減速側に変速操作し
たときは元の変速位置よりも1段低い変速位置に起点変
速位置を設定するようになっている(表2)。このよう
に起点変速位置を設定すると、変速操作前と変速操作後
の速度差が最も小さいため、オペレータが車速変化に対
応しやすく安全である。
【0042】
【表2】
【0043】変速レバー17の現在位置と操作方向をポ
テンショメータ52によって逐次監視し、それに基づい
て変速レバー17が動いている段階で次の操作位置を予
想し、変速レバー17が現在位置から外れると同時に変
速動作を開始して予想した操作位置となるよう主変速及
び副変速をシフトチェンジするようにしている。これに
より、素早いシフト変更が可能にしている。
【0044】図13は作業項目「ロータリ」、変速位置
8段のシフト位置から作業項目「プラウ・代かき」、変
速位置9段のシフト位置へシフト変更する場合のタイム
チャートの1例である。図において、変速レバー17を
操作開始してから若干のタイムラグT1 が経過した時点
(t1 )でロータリスイッチ51、副変速切替ソレノイ
ドSOLL 、及び主変速切替ソレノイドSOL4 がOF
Fとなる。それにより、副変速がニュートラルとなり、
その後、主変速も伝動が断たれる。変速レバー17の増
速側への動きから「プラウ・代かき」へのシフト変更を
予想し、その場合の起点変速位置は9段であるから、ま
ず主変速を「1速」にするために、主変速切替ソレノイ
ドSOL1 をONにする。それによって、実際に主変速
が「1速」になる(t2 )。主変速が「1速」になると
同時に副変速ソレノイドSOLMをONにし、ソレノイ
ド比例圧力制御弁V4 の昇圧を開始する。変速レバー1
7が操作完了するよりも若干のタイムラグT2 分だけ早
い時点でロータリスイッチ51は「プラウ・代かき」位
置になる。変速レバー17の操作が完了した時点(t
3 )ではソレノイド比例圧力制御弁V4 の昇圧も完了
し、変速レバー17の操作完了と同時にシフト変更が完
了する。
【0045】上述のようにして変速レバー17で作業項
目の選択したならば、その作業項目の所定の起点変速位
置より増減速ボタン17a,17bを用いて所望の変速
位置にシフトアップもしくはシフトダウンする。増速ボ
タン17aを一度押すごとに変速段数が1段づつ上り、
減速ボタン17bを一度押すごとに変速段数が1段づつ
下がるように、主変速及び副変速がシフト変更される。
【0046】前後進シフト位置センサSENF ,SEN
R によって前後進のシフト位置を検出し、後進にシフト
されている場合は高速の変速位置にならないよう規制
し、高速で後進するのを防止している。
【0047】この走行変速装置は、副変速のシフト位置
の違いにより全16段の変速位置が大まかな4つの変速
領域に区分され、主変速をシフト位置の違いにより各変
速領域内での変速位置を特定する構成であるが、作業項
目別に設定されている変速可能領域を前記副変速のシフ
ト位置の違いによる複数の変速領域にまたがって設定し
ているので、作業項目別の変速可能領域を広範に設定す
ることができ、圃場条件の違いやオペレータの個性の違
いに対応が可能できる。また、主変速及び副変速のシフ
ト変更は制御コントローラ60によって電気的制御され
ており、オペレータは変速レバー17で作業項目を選択
するという実作業に即した操作を行えばよいので、感覚
的に理解しやすく誤操作が起きにくい。
【0048】また、制御コントローラ60には表示器用
コントローラ61が接続されており、この表示器用コン
トローラ61から変速位置モニタ62と車速モニタ63
に出力され、現在の変速位置と車速を表示するようにな
っている。
【0049】変速位置モニタ62は、変速位置を示す全
変速段数分の変速位置表示ランプ(またはLED)62
a,…が直線上に配列され、その横に作業項目を示す作
業項目表示ランプ(またはLED)62b,…が配置さ
れていて、これら表示ランプ62a,…と作業項目表示
ランプ62b,…が変速可能領域ごとに境界線62c,
…で囲ってある。このように変速位置モニタ62を構成
することにより、現在の変速位置と作業項目が感覚的に
理解しやすく、また、増減速ボタン17a,17bでど
こまでシフトアップ及びシフトダウンできるかが一目瞭
然である。
【0050】車速モニタ63は、上下2つの表示部63
a,63bを有し、上の表示部63aには車速を表示
し、下の表示部63bにはエンジン回転数を表示する。
表示部63aについては、通常は点灯状態で実車速を表
示しているが、変速操作時には点滅状態で定格車速を一
定時間表示するようにしている。このように表示する
と、変速操作完了後の定格車速が容易に分かり、その定
格車速と変速操作完了後の実車速を比較することによ
り、トラクタ1が正常に走行しているか否かを判断でき
る。
【0051】図14は変速位置モニタの別実施例を表
し、この変速位置モニタ62′は、上下2つの表示部6
2a′,62b′を有し、下の表示部62b′には変速
操作時の予定変速段数を表示し、上の表示部62a′に
は変速操作完了後の実変速段数を表示するようになって
いる。下の予定変速段数と上の実変速段数の発光色を変
えておくと、オペレータの勘違いや見間違いを防止でき
る。予定変速段数と実変速段数が合致していれば、変速
切替が正確に行われたといことであり、変速位置モニタ
62′を通じてそのことを明確に知覚できるので、オペ
レータは安心して操縦を行える。また予定変速段数と実
変速段数が合致していなければ、故障が生じたというこ
とであり、変速位置モニタ62′の表示内容から故障箇
所を検出できる。
【0052】なお、表3に示すように、変速レバー17
で作業項目を選択した際の起点変速位置を、新たに選択
された変速可能領域の真ん中の変速位置とする構成とし
てもよい。このようにすると、レバー操作後、増減速ボ
タン17a,17bでシフトアップ及びシフトダウンす
る回数が際に平均的に最も少なくてよいので、操作が楽
である。
【0053】
【表3】
【0054】また、変速レバー17で作業項目を変更し
た際の起点変速位置を、前回同一作業項目で作業中の時
の変速位置とする構成としてもよい。同一作業について
見た場合に比較的速い車速で作業をする人と比較的遅い
車速で作業をする人とがあり、これはそのオペレータの
個性に基づくものであり、常に大体同じ傾向にある。そ
こで、上記構成とすることにより、作業項目を変更した
場合に起点変速位置がそれぞれのオペレータに合った車
速となり、増減速ボタン17a,17bによるシフトチ
ェンジを少なくできる。
【0055】
【発明の効果】以上説明の如く、本発明にかかる移動農
機の変速装置は、全変速位置を作業項目別に複数の変速
可能領域に分けてあり、任意の変速可能領域を第一変速
操作手段によって選択する構成であるから、オペレータ
の変速操作が実作業と深く関連していて操作が分かりや
すく、また、第一変速操作手段は可動操作具であるので
第一変速操作手段の操作位置が感覚的に理解しやすく、
不慣れな人でも誤操作が起きにくく、且つスムースな変
速操作を行えるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】トラクタの全体側面図である。
【図2】伝動機構図である。
【図3】走行変速装置の前後進変速部及びPTO正逆転
装置の断面図である。
【図4】走行変速装置の主変速部の断面図である。
【図5】走行変速装置の副変速部の断面図である。
【図6】各変速位置における走行速度を示すグラフであ
る。
【図7】レバーガイドボックスの平面図である。
【図8】変速レバーの操作機構の斜視図である。
【図9】変速レバーの操作機構の要部の斜視図である。
【図10】変速レバーの操作機構の異なる要部の断面図
である。
【図11】油圧装置の主変速切替部と副変速切替部の油
圧回路図である。
【図12】走行変速装置の制御系のブロック図である。
【図13】シフト変更時における各部の作動状態を示す
タイムチャートの1例である。
【図14】変速位置モニタの別実施例を示す図である。
【符号の説明】
1 トラクタ 2 前輪 3 後輪 8 ミッションケース 17 変速レバー(第一変速操作手段) 17a 増速ボタン(第二変速操作手段) 17b 減速ボタン(第二変速操作手段) 31 前後進変速部 32 主変速部 33 副変速部 40 レバーガイドボックス 41 レバーガイド溝
フロントページの続き (72)発明者 大下 淳一 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機 株式会社技術部内 (72)発明者 西川 文顕 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機 株式会社技術部内 (72)発明者 石田 智之 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機 株式会社技術部内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数段の変速位置を有する移動農機の変
    速装置において、全変速位置を作業項目別に複数の変速
    可能領域に分け、可動操作具である第一変速操作手段に
    よって前記複数の変速可能領域の中から任意の変速可能
    領域を選択し、且つ第二変速操作手段によってその選択
    した変速可能領域における任意の変速位置を選択する構
    成としたことを特徴とする移動農機の変速装置。
JP34860895A 1995-12-18 1995-12-18 移動農機の変速装置 Pending JPH09164852A (ja)

Priority Applications (1)

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JP34860895A JPH09164852A (ja) 1995-12-18 1995-12-18 移動農機の変速装置

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100368254C (zh) * 2004-03-05 2008-02-13 本田技研工业株式会社 车辆控制装置
JP2008184121A (ja) * 2007-01-31 2008-08-14 Iseki & Co Ltd 作業車両
JP2021151191A (ja) * 2020-03-24 2021-09-30 株式会社クボタ 作業車

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US11597275B2 (en) 2020-03-24 2023-03-07 Kubota Corporation Work vehicle

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