JPH09163717A - 永久磁石式渦電流減速装置 - Google Patents

永久磁石式渦電流減速装置

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JPH09163717A
JPH09163717A JP7336180A JP33618095A JPH09163717A JP H09163717 A JPH09163717 A JP H09163717A JP 7336180 A JP7336180 A JP 7336180A JP 33618095 A JP33618095 A JP 33618095A JP H09163717 A JPH09163717 A JP H09163717A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 案内枠の制動ドラムの内周面に対向する筒部
分を、非磁性体からなる薄板により構成し、装置の小型
軽量化と制動能力の増大を図る。 【解決手段】 回転軸に制動ドラム１５を結合し、車体
側に断面長方形をなす筒状の案内枠Ｂを固定する。案内
枠Ｂを制動ドラム１５の内部へ突出する。案内枠Ｂの制
動ドラム１５の内周面と対向する部分つまり筒体１４を
非磁性体からなる薄い板により構成し、制動ドラム１５
の内周面と対向しない部分つまり枠本体６を強磁性体に
より構成する。案内枠Ｂの内空部２０に磁石支持環９を
軸方向移動可能に支持し、磁石支持環９の周面に多数の
永久磁石８を周方向等間隔に結合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は車両に減速制動力を
与えるリターダとしての渦電流減速装置、特に強磁性板
（ポールピース）をなくし、小型軽量化と制動能力の増
大を図つた永久磁石式渦電流減速装置に関するものであ
る。
【０００２】
【従来の技術】特開平３−８６０６１号公報（第１図）
に示すように、従来の永久磁石式渦電流減速装置では、
磁石支持環が永久磁石の保護ケースの一部をなす案内枠
の内部に収容され、制動時、磁石支持環が制動ドラムの
内部へ突出し、永久磁石は案内枠の強磁性板（ポールピ
ース）を通じて制動ドラムとの間に磁気回路を形成す
る。回転する制動ドラムが磁界を横切る時、制動ドラム
に渦電流が発生し、制動ドラムの回転方向と逆方向の制
動力が発生する。
【０００３】しかし、従来の渦電流減速装置は、磁束が
部厚い強磁性板を通過するので、制動ドラムへ到達する
磁束が減少し、制動力が低下するという問題があり、制
動力の低下は制動ドラムの材料が電気伝導度の大きいも
のほど顕著である。また、従来の渦電流減速装置は、案
内枠に強磁性板を結合するものであるから、構成が複雑
になり、製造経費が嵩み、重量増加を来す。
【０００４】図８に示すように、制動ドラム１５が回転
すると、磁束の大部分は制動ドラム１５の回転方向へ引
きずられるが、磁束の一部は制動ドラム１５の内部へ入
らないで、隣りの強磁性板５１へ直接入り込んだり、同
じ磁石８の異極へ流れたりする。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は上述の
問題に鑑み、案内枠の制動ドラムの内周面に対向する筒
部分を、非磁性体からなる薄板により構成し、装置の小
型軽量化と制動能力の増大を図るようにした永久磁石式
渦電流減速装置を提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の構成は回転軸に結合した制動ドラムと、一
端部が車体側に固定され他端部が制動ドラムの内部へ突
出する断面長方形をなす筒状の案内枠と、該案内枠の内
部に軸方向移動可能に支持されかつ周面に多数の永久磁
石を周方向等間隔に結合する磁石支持環とを備えた永久
磁石式渦電流減速装置において、前記案内枠の制動ドラ
ムの内周面と対向する筒部分を非磁性体からなる薄板か
ら構成し、前記案内枠の制動ドラムの内周面と対向しな
い部分を強磁性体から構成したことを特徴とする。
【０００７】
【発明の実施の形態】案内枠の制動ドラムの内周面に対
向する筒部分について、強磁性板を配設しないで、非磁
性材料（オーステナイト系のステンレス、アルミニウ
ム、耐熱性合成樹脂、強化繊維入りカーボン材など）の
薄板を全周に連続して配設し、永久磁石を保護する密封
構造にする。薄板には例えば厚さ０．５〜０．８ｍｍの
アルミニウム板を用いることにより、案内枠に収容され
る磁石に異物が吸着したり、水の浸入による腐食や異物
による磁石の損傷を防止し、案内枠を小型軽量にする。
【０００８】また、案内枠の制動ドラムの内周面に対向
する筒部分に、非磁性体からなる薄板を採用し、磁石を
制動ドラムの内周面に接近させることになり、制動ドラ
ムへ作用する磁界を強くし、制動力を高める。
【０００９】
【実施例】図１は本発明に係る渦電流減速装置の要部を
示す側面断面図である。渦電流減速装置は例えば車両用
変速機の出力軸に回転結合される円板状の取付フランジ
１９の周縁部から放射状に延びる多数のスポーク１６
に、冷却フイン１５ａを備えた制動ドラム１５の右端部
が溶接などにより結合される。制動ドラム１５の左端部
は、制動ドラム１５の内部の熱が外部へ円滑に放散され
るように円錐面１３を形成される。
【００１０】例えば車両用変速機の壁部に固定支持され
る案内枠Ｂは、断面長方形の内空部２０を有する筒形の
ものであり、右半部を制動ドラム１５の内部へ僅かな間
隙を存して突出される。詳しくは、案内枠Ｂは鉄などの
強磁性体からなる断面コ字形をなす枠本体６と、制動ド
ラム１５の内周面に対向する非磁性体からなる薄肉の筒
体１４とから構成される。枠本体６は端壁６ｂと、制動
ドラム１５とほぼ同じ肉厚の外筒部６ａと、内筒部６ｃ
とを一体に備えており、枠本体６の右端に環状板からな
る端壁６ｄを複数のボルト１２により結合される。外筒
部６ａの右端には制動ドラム１５の円錐部１３に対向す
る円錐面３１が形成される。
【００１１】本発明によれば、案内枠Ｂを密封構造にす
るために、制動ドラム１５の内周面に対向する部分に、
オーステナイト系ステンレス、アルミニウム、耐熱性合
成樹脂、強化繊維入りカーボン材などの、厚さ０．４〜
０．８ｍｍの非磁性薄板から成形した筒体１４が配設さ
れ、かつ外筒部６ａの円錐面３１と端壁６ｄの外周縁と
に複数のボルト１２により結合される。このため、筒体
１４の左端部には円錐面３１に重なる円錐部が形成され
る一方、右端部には端壁６ｄの端面に重なる径内方へ突
出する環状の板部が形成される。
【００１２】案内枠Ｂの内部には制動ドラム１５とほぼ
同じ肉厚の磁石支持環９が収容される。磁石支持環９は
内筒部６ｃに軸方向摺動可能に外嵌され、かつ外周面に
多数の永久磁石８を周方向等間隔に結合される。磁石８
は筒体１４を経て制動ドラム１５の内周面に対向する外
周面と、鉄などの強磁性体からなる磁石支持環９に結合
する内周面とに磁極を備えており、制動ドラム１５の内
周面に対向する磁極の極性が周方向に交互に異なるよう
に配設される。
【００１３】磁石支持環９が制動ドラム１５の内部へ突
出する図１に示す制動位置（図１に示す位置）と、磁石
支持環９が制動ドラム１５から引退し端壁６ｂに当接す
る非制動位置とに移動するために、端壁６ｂに複数（好
ましくは３個）のアクチユエータＡのシリンダ２が結合
される。アクチユエータＡはシリンダ２にピストン４を
嵌挿して室３と室５を区画され、ピストン４から端壁６
ｂを貫通して案内枠Ｂの内空部２０へ突出するロツド７
に磁石支持環９が結合される。
【００１４】図２に示すように、制動時の発熱から磁石
８を保護するために、磁石８の外周面に薄い断熱板８ａ
を結合することが好ましい。また、制動ドラム１５は鉄
などから構成されるが、制動ドラム１５の内周面に銅な
どの電気良導体からなる薄い被膜１５ｂを備えるとき
は、制動力を高めることができる。図３に示すように、
磁石８はブロツク状のものであり、断面Ｕ字形をなす固
定具２２とボルト２１により磁石支持環９に固定され
る。このため、固定具２２は周方向に相隣接する磁石８
の周方向両端部に形成した段部８ｂに重ね合され、かつ
複数のボルト２１により支持環９へ締結される。
【００１５】案内枠Ｂの制動ドラム１５に対向する筒体
１４は、オーステナイト系ステンレス、アルミニウム、
炭素繊維により補強された耐熱性合成樹脂やカーボン材
などの非磁性体から構成されるものであり、好ましくは
筒体１４の剛性強度を高めるために、筒体１４はプレス
成形などにより、相隣接する磁石８の間の空部へ突出し
かつ軸方向に延びる溝１４ａを形成される。
【００１６】図４に示すように、筒体１４の内周面に溶
接などにより、相隣接する磁石８の間の空部へ突出する
断面Ｕ字形の補強板２３を結合してもよい。図５に示す
実施例は、筒体１４を鋳造または樹脂成形する場合に、
筒体１４の磁石８に対向する内周面に軸方向の溝１４ｂ
を形成し、相隣接する磁石８の間の空部へ臨む部分２４
の肉厚を厚くしたものである。
【００１７】次に、本発明による渦電流減速装置の作動
について説明する。制動時、磁石支持環９はアクチユエ
ータＡにより磁石８が制動ドラム１５の内周面に対向す
る位置へ押動される。この時、磁石８は薄肉の筒体１４
を経て制動ドラム１５へ磁界を及ぼし、図３に示すよう
に制動ドラム１５と磁石支持環９との間に磁気回路ｘを
形成する。回転する制動ドラム１５が磁界を横切る時、
制動ドラム１５の内部（肉部）に渦電流が流れ、制動ト
ルクを発生する。
【００１８】制動を解除する時は、アクチユエータＡの
室５へ圧力流体を供給し、室３の圧力流体を外部へ放出
すると、ピストン４により磁石支持環９が左方へ端壁６
ｂに当接するまで引つ張られる。磁石８は制動ドラム１
５の内部から引退し、案内枠Ｂの外筒部６ａと磁石支持
環９との間に磁気回路を形成し、制動ドラム１５には磁
界を及ぼさない。
【００１９】本発明によれば、磁石８を保護し磁界を誘
導する強磁性板（ポールピース）を廃止し、案内枠Ｂの
制動ドラム１５の内周面に対向する部分に、アルミニウ
ムなどの薄板からなる筒体１４を配設したものであるか
ら、従来例に比べて磁石８が制動ドラム１５の内周面へ
大幅に接近することになり、より強い磁界が制動ドラム
１５へ作用するので、強い制動力が得られる。換言すれ
ば、制動ドラム１５の半径を従来の強磁性板の厚さ分だ
け縮小しても十分な制動力が得られ、小型車両への渦電
流減速装置の搭載が可能になる。
【００２０】図６に示すように、従来の寸法の制動ドラ
ム１５に対し、磁石８を含む磁石支持環９の軸方向寸法
を大幅に短くしても、従来例と同等の制動力が得られる
ことになり、案内枠Ｂの内空部２０に余裕が生じ、制動
時の発熱に対する冷却性能が向上される。また、枠本体
６の内部の温度上昇を緩和するため、水や埃が浸入しに
くい部分（例えば枠本体の内筒部６ｃ）にブリーザを設
けて内圧の上昇を防いでもよい。
【００２１】図７の線４１〜４３は、制動ドラム１５の
材質は異なるが同寸法の、本発明による案内枠Ｂを備え
た渦電流減速装置の制動試験結果を示し、線４１ａ〜４
３ａは同じ制動ドラム１５と従来の強磁性板を有する案
内枠を備えた渦電流減速装置の制動試験結果を示す。図
７において線４１，４１ａは制動ドラムの内周面に厚さ
１ｍｍの銅被膜を備えたもの、線４２，４２ａは制動ド
ラム１５の材質がＳ１５Ｃのもの、線４３，４３ａは制
動ドラム１５の材質がＳＣＭ４１５のものについての、
磁石８と制動ドラム１５の相対速度と、発生する制動ト
ルクとの関係を表す。
【００２２】図７から明らかなように、本発明によれば
強磁性板をなくし、案内枠Ｂの制動ドラム１５に対向す
る筒部分に薄い非磁性板を配設し、磁石８を制動ドラム
１５の内周面へ接近させたことにより、磁石８が制動ド
ラム１５に及ぼす磁界が強くなり、より大きな制動力が
得られることが分かる。特に、制動ドラム１５の内周面
に電気良導体からなる被膜１５ｂを備えることにより制
動力が大幅に向上する。磁石８が磁石支持環９と制動ド
ラム１５との間に形成する磁気回路が、制動ドラム１５
の内周面と磁石支持環９の外周面に接近する（磁気回路
の経路長さが短縮化する）傾向に対応して、被膜１５ｂ
が渦電流の流れを助ける結果、大きな制動力が発生する
ものと考えられる。
【００２３】
【発明の効果】本発明は上述のように、強磁性板をなく
し、案内枠の制動ドラムに対向する筒部分に薄い非磁性
板を配設し、磁石を制動ドラムの内周面へ接近させたこ
とにより、磁石が制動ドラムに及ぼす磁界が強くなり、
より大きな制動力が得られ、案内枠の小型軽量化と製造
経費の低減が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る永久磁石式渦電流減速装置の要部
を示す側面断面図である。
【図２】本発明の一部変更実施例に係る永久磁石式渦電
流減速装置の要部を示す側面断面図である。
【図３】図１の線３Ａ−３Ａによる永久磁石式渦電流減
速装置の要部を示す正面断面図である。
【図４】本発明の他の変更実施例に係る永久磁石式渦電
流減速装置の要部を示す正面断面図である。
【図５】本発明の他の変更実施例に係る永久磁石式渦電
流減速装置の要部を示す正面断面図である。
【図６】本発明の他の変更実施例に係る永久磁石式渦電
流減速装置の要部を示す側面断面図である。
【図７】本発明の永久磁石式渦電流減速装置と従来例の
制動特性を表す線図である。
【図８】従来の永久磁石式渦電流減速装置の要部を示す
正面断面図である。
【符号の説明】
Ａ：アクチユエータ Ｂ：案内枠 ２：シリンダ ４：
ピストン ６ａ：外筒部 ６ｂ，６ｄ：端壁 ６ｃ：内筒部 ６：枠本体 ７：ロ
ツド ８：永久磁石 ８ａ：段部 ８ｂ：断熱板 ９：磁石支持環 １３：円
錐部 １４ａ，１４ｂ：軸方向溝 １４：筒体 １５：
制動ドラム １５ａ：冷却フイン １５ｂ：被膜 １６：スポーク １９：フランジ ２２：固定具 ２
３：補強板 ２４：厚肉部分

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】回転軸に結合した制動ドラムと、一端部が
    車体側に固定され他端部が制動ドラムの内部へ突出する
    断面長方形をなす筒状の案内枠と、該案内枠の内部に軸
    方向移動可能に支持されかつ周面に多数の永久磁石を周
    方向等間隔に結合する磁石支持環とを備えた永久磁石式
    渦電流減速装置において、前記案内枠の制動ドラムの内
    周面と対向する筒部分を非磁性体からなる薄板から構成
    し、前記案内枠の制動ドラムの内周面と対向しない部分
    を強磁性体から構成したことを特徴とする、永久磁石式
    渦電流減速装置。
  2. 【請求項２】前記永久磁石の外周面に薄い断熱板を結合
    した、請求項１に記載の永久磁石式渦電流減速装置。
  3. 【請求項３】前記制動ドラムの内周面に電気良導体から
    なる被膜を備えた、請求項１に記載の永久磁石式渦電流
    減速装置。
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