JPH09161781A - アルカリ電池用負極活物質 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 亜鉛合金粉末の合金組成および電解液への腐
食抑制剤添加等の方法を改良することにより、従来技術
のものに比して水素ガス発生を抑制したアルカリ電池用
負極活物質を提供する。 【構成】 純度９９．９９５％以上の溶融金属亜鉛にＡ
ｌを０．００３重量％、Ｂｉを０．００４重量％、Ｉｎ
を０．０５重量％溶解した溶融物を高圧ガスにより噴霧
して得た亜鉛合金粉末にゲル化剤としてポリアクリル酸
ソーダを、電解液として酸化亜鉛を飽和させた４０％Ｋ
ＯＨをそれぞれ加えてゲル化し、このゲルに腐食抑制剤
として酢酸酸化ビスマス、塩基性炭酸ビスマス、次没食
子酸ビスマスをそれぞれ単独に０．００１％、０．００
５％、０．０１０％添加してゲル状負極を作成し、この
ゲル状負極をＬＲ６型セルに組み込み、２０℃で２Ωの
抵抗に１時間放電後、６０℃の恒温漕に浸漬して測定し
た結果、ガス発生量は０．１０〜０．２２ml/cell・day
であった。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、改善された特性を持つ
アルカリ電池用亜鉛合金粉末およびそれを用いた無汞化
アルカリ電池に関し、水素ガス発生量の少ないアルカリ
電池用ゲル状負極活物質に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、アルカリ乾電池等電池の負極剤と
しては亜鉛または亜鉛合金粉末が用いられている。亜鉛
は水素過電圧が高いことや価格が比較的低廉であること
から好んで負極剤として用いられてきたが、亜鉛を使用
することのみでは電池使用における水素ガス発生を十分
に抑制することは困難であって、それに伴う電解液漏れ
が生じるという問題があった。この水素ガス発生の抑制
には、最適亜鉛合金組成の選択、亜鉛粒子の表面処理、
電解液への腐食抑制剤添加等の方法により行われてお
り、合金元素として、例えばビスマス、インジウム、ア
ルミニウム等を組み合わせたものが使用されているのが
現状である、しかしながら、このような合金組成の組み
合わせであっても、耐食性の向上のための最適組成とは
言えず、貯蔵中に負極活物質である亜鉛合金粉の自己放
電により水素ガスが発生し、乾電池内の内圧が上昇し漏
液するという欠点があった。

【０００３】また、亜鉛合金の腐食の抑制剤として酸化
インジウム、水酸化インジウム等のインジウム化合物や
酸化ビスマス、水酸化ビスマス等のビスマス化合物をゲ
ル中に添加する方法も提案されているが、実際的には腐
食抑制効果を十分に発揮させるためにはいずれも数１０
０ppm 以上添加する必要があり、これが放電性能に悪影
響を及ぼすという欠点があった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、この様な問
題点を解決するためのもので亜鉛合金粉末の合金組成お
よび電解液への腐食抑制剤添加等の方法を改良すること
により、従来技術のものに比して水素ガス発生を抑制し
たアルカリ電池用合金粉末を提供することを目的とする
ものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に鋭意研究した結果、添加元素を加え、またゲル状負極
を作成する際に、酢酸酸化ビスマス、塩基性炭酸ビスマ
ス、次没食子酸ビスマスのうち少なくとも１種以上を所
定量添加することにより、これらの相乗効果によって特
性が改善され、放電前後のガス発生、特に放電後のガス
発生が大幅に抑制されることを見いだし本発明に到達し
た。

【０００６】すなわち本発明の第１は、腐食抑制剤とし
て酢酸酸化ビスマス、塩基性炭酸ビスマスおよび次没食
子酸ビスマスのうち少なくとも１種以上を０．００１〜
０．０５重量％添加したことを特徴とするアルカリ電池
用負極活物質に関し、本発明の第２は、アルミニウム、
ビスマス、インジウム、残部が亜鉛および不可避的不純
物からなる亜鉛合金粉末を負極活物質として用い、これ
にゲル化剤とアルカリ電解液を加えてゲル状負極を作成
する際に、腐食抑制剤として酢酸酸化ビスマス、塩基性
炭酸ビスマスおよび次没食子酸ビスマスのうち少なくと
も１種以上を０．００１〜０．０５重量％添加したこと
を特徴とするアルカリ電池用負極活物質に関し、本発明
の第３は、アルミニウムを０．０００１〜０．０１重量
％、ビスマスを０．０００１〜０．０１重量％、インジ
ウムを０．０１〜０．１重量％含有し、残部が亜鉛およ
び不可避的不純物からなる亜鉛合金粉末を負極活物質と
して用い、これにゲル化剤とアルカリ電解液を加えてゲ
ル状負極を作成する際に、腐食抑制剤として酢酸酸化ビ
スマス、塩基性炭酸ビスマスおよび次没食子酸ビスマス
のうち少なくとも１種以上を０．００１〜０．０５重量
％添加したことを特徴とするアルカリ電池用負極活物質
に関する。

【０００７】

【作用】本発明の亜鉛合金粉末は、高純度亜鉛および電
解析離亜鉛に所定量の特定合金元素を混合溶融して合金
化した後、噴霧法によって、粉末状に成形して製造し、
その後ゲル化する際に所定量のビスマス化合物を添加し
て製造する。これにより、水素ガスの発生を抑制するこ
とができ、保存性および貯蔵性に優れたアルカリ電池を
提供することが可能となる。そのメカニズムについては
現在のところ明らかではないが、以下のように推測され
る。

【０００８】すなわち、酢酸酸化ビスマス等のビスマス
化合物をゲル状負極に添加することで、亜鉛合金表面に
水素過電圧の高いビスマスが置換析出される。この際、
酢酸酸化ビスマス等のビスマス化合物は、水酸化ビスマ
スもしくは酸化ビスマスと比較して電解液中の分散性が
良いため亜鉛表面に均一に析出する。これにより微量添
加であっても、水素ガス発生を抑制することが可能とな
る。このうち添加量を０．００１〜０．０５０％とした
のは、０．００１％未満では水素ガス発生を抑制する効
果が十分に得られないこと、そして０．０５０％以上で
は放電性能に悪影響を及ぼすからである。

【０００９】また、亜鉛合金粉末の組成としては腐食抑
制剤としてのアルミニウム、インジウム、ビスマスを含
有していることが好ましく、これらの元素と上記ビスマ
ス化合物の相乗効果によって著しくガス発生が抑制さ
れ、保存性、貯蔵性に優れたアルカリ電池を提供するこ
とができる。

【００１０】以下実施例をもって詳細に本発明を説明す
るが、これらの範囲は本発明を限定するものではない。

【００１１】

【実施例】純度９９．９９５％以上の溶融した金属亜鉛
に各添加元素を所定範囲の含有量となるように溶解し
た。そして、次にこの溶融物をアトマイズ法により高圧
ガスによって噴霧し、粉体化し、３５〜２００メッシュ
の粒度の亜鉛合金粉末を作成した。この亜鉛合金粉末に
ゲル化剤としてポリアクリル酸ソーダを、電解液として
酸化亜鉛を飽和させた４０％ＫＯＨをそれぞれ加えてゲ
ル化し、このゲルに所定量のビスマス化合物を添加して
ゲル状負極を作成した。水素ガス発生量の評価は、ゲル
状負極をＬＲ６型セルに組み込み、２０℃で２Ωの抵抗
に１時間放電後、集電体を取り外し、６０℃の恒温漕に
浸漬して行った。この水素ガス測定結果を表１に示す。

【００１２】

【表１】 表１の中で、Ｎｏ．１〜１２は本発明品試料についての
実施例データ、Ｎｏ．１３〜２０は比較用試料について
の実験データをそれぞれ示している。

【００１３】本発明品の実施例（Ｎｏ．１〜１２）にお
けるガス発生量は０．１０〜０．２２ml/cell・dayであ
った。この値は、腐食抑制剤を添加しなかった時（Ｎ
ｏ．１３）の値（０．３３ml/cell・day）、Ｚｎ合金が
Ａｌ、Ｂｉ、Ｉｎのいずれかを含まない時（Ｎ０．１４
〜１６）の値（０．４２〜０．８４ml/cell・day）、ま
たは腐食抑制剤として酸化ビスマスや酸化インジウムを
添加した時（Ｎｏ．１７〜２０）の値（０．３７〜０．
５７ml/cell・day）のいずれと比較しても著しく低い値
であった。

【００１４】上記の結果から、本発明のゲル状負極は、
水素ガス発生量を十分に抑制し、保存性および貯蔵性に
優れたアルカリ電池負極材であり、従来の低水銀電池お
よび無汞化アルカリ電池の代替品として製造、使用でき
ることが分かった。

【００１５】

【発明の効果】本発明によれば、上述のようにゲル状負
極を作成する際に所定量のビスマス化合物を添加するこ
とによって亜鉛合金の水素ガス発生を抑制でき、保存性
や貯蔵性に優れたアルカリ電池を提供できる。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 腐食抑制剤として酢酸酸化ビスマス、塩
   基性炭酸ビスマスおよび次没食子酸ビスマスのうち少な
   くとも１種以上を０．００１〜０．０５重量％添加した
   ことを特徴とするアルカリ電池用負極活物質。
2. 【請求項２】 アルミニウム、ビスマス、インジウム、
   残部が亜鉛および不可避的不純物からなる亜鉛合金粉末
   を負極活物質として用い、これにゲル化剤とアルカリ電
   解液を加えてゲル状負極を作成する際に、腐食抑制剤と
   して酢酸酸化ビスマス、塩基性炭酸ビスマスおよび次没
   食子酸ビスマスのうち少なくとも１種以上を０．００１
   〜０．０５重量％添加したことを特徴とするアルカリ電
   池用負極活物質。
3. 【請求項３】 アルミニウムを０．０００１〜０．０１
   重量％、ビスマスを０．０００１〜０．０１重量％、イ
   ンジウムを０．０１〜０．１重量％含有し、残部が亜鉛
   および不可避的不純物からなる亜鉛合金粉末を負極活物
   質として用い、これにゲル化剤とアルカリ電解液を加え
   てゲル状負極を作成する際に、腐食抑制剤として酢酸酸
   化ビスマス、塩基性炭酸ビスマスおよび次没食子酸ビス
   マスのうち少なくとも１種以上を０．００１〜０．０５
   重量％添加したことを特徴とするアルカリ電池用負極活
   物質。