JPH0915873A - 潜像転写用電子写真感光体 - Google Patents

潜像転写用電子写真感光体

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JPH0915873A
JPH0915873A JP18618395A JP18618395A JPH0915873A JP H0915873 A JPH0915873 A JP H0915873A JP 18618395 A JP18618395 A JP 18618395A JP 18618395 A JP18618395 A JP 18618395A JP H0915873 A JPH0915873 A JP H0915873A
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aryl
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JP18618395A
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English (en)
Inventor
Masahiro Yanagisawa
匡浩 柳澤
Hiroshi Kondo
浩 近藤
Hiroyuki Sugimoto
浩之 杉本
Takeo Yamaguchi
剛男 山口
Masao Yoshikawa
雅夫 吉川
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 潜像転写電位の高くとれる潜像転写用電子写
真感光体を得る。 【構成】 導電性基体上に直接または下引き層を介して
少なくとも電荷発生顔料と正孔輸送物質が結着剤中に分
散された単層の有機感光層を設けた電子写真感光体にお
いて、前記有機感光層を該層に含有させる正孔輸送物質
の表面近傍における含有濃度と基体もしくは下引き層と
接する面近傍における含有濃度を4/5以上の比率で設
ける。また、前記有機感光層を該層に含有させる正孔輸
送物質の融点の−5ないし+30℃の範囲の塗布後乾燥
温度で設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は潜像転写方式に用いら
れ、特に高精細な画像出力用の潜像転写方式に好適な単
層型の(感光層が一層からなる)有機電子写真感光体に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真法の一方式であるカールソンプ
ロセスに用いられる感光体として多くの感光体方式と構
成材料が知られている。望まれる要求品質を達成するた
め、感光体の機能を分離し、組成や成分を変えたいくつ
かの層にそれらに機能を分担させた、いわゆる機能分離
方式が現在の感光体の主方式となっている。この方式に
より、帯電性、感度、機械的強度やこれらの繰り返し性
使用性が実用上十分な程度に満足されてきている。その
背景には数多くの材料の開発がある。とりわけ、有機材
料は材料種類が豊富であり、また電気絶縁性にも優れて
いることから多くの材料出願がなされている。電荷発生
物質としては、例えばフタロシアニンとして特公昭49
−4338にX型の無金属フタロシアニン、特開昭48
−724にはπ型の無金属フタロシアニン、特開昭58
−182639にはτ型の無金属フタロシアニン、特開
昭51−23738にはε型の銅フタロシアニン、特開
昭59−49544にはチタニルフタロシアニン結晶、
特開昭61〜239248にはα型チタニルフタロシア
ニン、特開昭62−67094にはβ型チタニルフタロ
シアニン、ジスアゾ顔料として特開昭47−3754
3、52−4241、53−95033、54−727
が開示されている。
【0003】正孔移動物質として、特開昭52−124
330、52−139064にオキサジアゾール化合
物、特開昭55−46760、55−46761にヒド
ラゾン化合物、特開昭56−119132にベンジジン
系のジアミン化合物、特開昭58−65440、58−
198043にスチリルトリアリールアミン化合物、特
開平3−107860にブタジエン系化合物が開示され
ている。また、感光体の構成としてよく知られている機
能分離型の積層構成のほか、特開昭54−1633では
電荷発生顔料を電荷輸送物質であるドナーとアクセプタ
とともに樹脂中に分散した単層感光体が、さらに特開平
3−256050ではアクセプタとしてジフェノキノン
誘導体を用いた上記と同様の構成の単層感光体の提案が
なされている。
【0004】一方、電子写真法の一方式である潜像転写
方式は、上記用いられるカールソン法と異なり、感光体
と静電潜像保持が可能な静電記録体の間に電圧を印加す
ることにより、感光体上に形成された静電潜像を静電記
録体上に転写し、しかる後に転写された静電潜像を現像
し可視化するものである。この方式は古くから知られて
いて、例えばR.M.シャファート著「電子写真」(共
立出版、昭和48年)、70頁にTESI(潜像転写)
法の記載がある。それによると、潜像転写法には、感光
体上に先ず静電潜像が作られ次に静電記録体上に該静電
像を転写する逐次法と、静電記録体と感光体を接触した
状態で静電製造を作る直接法がある。潜像転写法はカー
ルソン法と比べ、記録体として導電層と誘電層が必要で
あるため普通紙を用いることができない欠点があるが、
感光体上に静電潜像を直接現像する必要がないため、電
子写真プロセスに必要な各種ユニットを電子写真感光体
回りに配置する装置設計の余裕度が高いメリットがあ
る。このようなメリットを生かし、電子写真装置の創生
期の頃には逐次潜像転写法を採用した複写機が市販され
たこともあった。このような複写機に用いられた電子写
真感光体として、蒸着Se層を電荷発生層とし、ポリビ
ニルカルバゾールを電荷輸送層に用いた積層型感光体が
ある。しかしながら、このような逐次転写方式を用いた
複写機に適用可能な感光体は、特殊な特性を持つ必要は
なく、上記カールソン法用の電子写真用感光体をそのま
ま逐次転写方式の潜像転写プロセス用の感光体として用
いることが可能である。
【0005】これに対し、同時転写方式では感光体に対
する工夫が逐次転写以上に要求されるため、例えば特開
昭56−43665では高耐圧要請に対し絶縁性を設け
る出願がなされている。しかしながら最近では、このよ
うなカールソン法の適用範囲の中でカールソン法と対抗
するのではなく、カールソン法では困難な高品質な電子
写真画像出力用に潜像転写法を見直し検討がなされてい
る。逐次転写方式では現像後の転写工程が必要でないた
め、カールソン法と比べ本来的に高精細な高品質画像が
得られる可能性を有しているからである。このような高
品質画像出力装置に用いられる潜像転写方式用の感光体
として、感度が高く、繰り返しによる電位の安定が重要
な要素であるが、とりわけ、高い転写電位が達成できる
ものを使用する必要がある。転写電位が低いと出力画像
の濃度が低くなる。転写電位を高めるには、潜像転写時
に感光体の電位と記録体導電層の電位の差を大きくする
よう転写電圧を印加すればよいが、転写電圧を高くし過
ぎると、画像ぬけのような異常画像が発生する問題が生
じる。また、記録体の誘電層を厚くすると記録体の電位
が向上するが、この場合でも転写された電荷量は増大し
ない。高画質化のためプロセス速度を遅くしたシステム
では、現像濃度は主として記録体の表面電荷量で決定さ
れるため、このような方策では画像濃度を高くすること
ができない。一方、従来用いられてきた電子写真感光体
を静電転写プロセスに用いた場合、直ちに高い転写電位
が得られるかどうかは不明であった。実際に積層型の感
光体を該プロセスに適用した場合、転写電位としては、
かなり低いものしか得られなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況に鑑みてなされたもので、潜像転写電位が高くとれ
る高画質の潜像転写用電子写真感光体を得ることを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、第一
に、導電性基体上に直接または下引き層を介して少なく
とも電荷発生顔料と正孔輸送物質が結着剤中に分散され
た単層の有機感光層を設けた電子写真感光体において、
前記有機感光層を該層に含有させる正孔輸送物質の表面
近傍における含有濃度と基体もしくは下引き層と接する
面近傍における含有濃度を4/5以上の比率で設けるこ
とを特徴とする潜像転写用電子写真感光体が提供され
る。第二に、導電性基体上に直接または下引き層を介し
て少なくとも電荷発生顔料と正孔輸送物質が結着剤中に
分散された単層の有機感光層を設けた電子写真感光体に
おいて、前記有機感光層を該層に含有させる正孔輸送物
質の融点の−5ないし+30℃の範囲の塗布後乾燥温度
で設けることを特徴とする潜像転写用電子写真感光体が
提供される。第三に、上記第一または第二に記載した潜
像転写用電子写真感光体において、前記有機感光層に有
機アクセプタ性化合物を含有させることを特徴とする潜
像転写用電子写真感光体が提供される。第四に、上記第
一、第二または第三に記載した潜像転写用電子写真感光
体において、前記正孔輸送物質が下記一般式(1)ない
し(7)で表される化合物の少なくとも1種であること
を特徴とする潜像転写用電子写真感光体が提供される。
【化1】 (ここで、Ar1、Ar2及びAr3は無置換の、または
アルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリー
ルオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基もしく
はアミノ基で置換されたアリール基、または複素環基を
表わす。)
【化2】 (ここで、R1及びR2は水素原子、アルキル基またはア
リール基を表わし、また、R1、R2の間で環を形成して
もよい。Ar1はアリーレン基または複素環基を表わ
す。Ar2及びAr3はアルキル基、アリール基、または
複素環基を表わす。)
【化3】 (ここで、Ar1、Ar2及びAr3は無置換の、または
アルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリー
ルオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基もしく
はアミノ基で置換されたアリール基、または複素環基を
表わす。)
【化4】 (ここで、Ar1、Ar2、Ar5及びAr6は無置換の、
またはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シア
ノ基、ニトロ基もしくはアミノ基で置換されたアリール
基を表わし、Ar3及びAr4は無置換または上記置換基
で置換されたアリーレン基を表わす。)
【化5】 (ここで、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4は無置換の、
またはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シア
ノ基、ニトロ基もしくはアミノ基で置換されたアリール
基を表わし、Xはアルキレン基、硫黄、酸素または(C
H=CH)n(nは1以上の整数)を表わす。)
【化6】 (ここで、Ar1は無置換の、またはアルキル基、アル
コキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基もしくは
アミノ基で置換されたアリール基または複素環基を表わ
し、Ar2及びAr3はアルキル基、フェニル基、ナフチ
ル基を表わす。)
【化7】 (ここで、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4は無置換の、
またはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子もしく
はアミノ基で置換されたアリール基、または複素環基を
表わす。また、nは0または1の整数を表わす。)
【0008】以下に本発明を詳細に説明する。本発明者
らは上記課題について検討した結果、潜像転写方式の電
子写真法、すなわち、電子写真感光体を正帯電し、光照
射により静電潜像を形成した後に、該感光体の表面側に
静電記録体を接触させ、該感光体と該静電記録体の間に
電圧を印加して静電記録体上に感光体の低帯電部あるい
は非帯電部から静電潜像に対応する負電荷を転写し、し
かる後、該静電記録体上の静電潜像を可視化する潜像転
写方式の電子写真法、これに用いる感光体として、次の
ような構成によれば静電記録体の転写電位が大幅に向上
することを見い出し本発明に至った。
【0009】すなわち、該感光体は単層の有機感光層か
らなり、該感光層には少なくとも電荷発生顔料と正孔輸
送物質が結着剤中に分散され、かつ、該感光層における
正孔輸送物質の表面近傍における含有濃度と感光体基体
もしくは該基体と感光層の間に設けられる下引き層と接
する面近傍における含有濃度を4/5以上の比率で設け
る。また、このような感光層は、感光層塗布乾燥時の温
度を、使用する正孔輸送物質の融点の−5〜+30℃の
範囲とすることによって得られる。上記近傍とは、感光
層表面から、また、感光層が接する基体または下引き層
表面からそれぞれ厚さ1μmの領域をいう。また、本発
明における正孔輸送物質としては、発生した正孔が正孔
輸送物質が分子状に分散されたマトリックスに効率よく
注入され高速に移動するような高い正孔移動度を有する
ものであり、上記一般式(1)〜(7)で表される化合
物の少なくとも1種が選定される。また、感光層全体に
占める正孔輸送物質の量は、好ましくは20〜60重量
%が適当である。本発明における正孔輸送物質の具体例
を表1〜表7に示す。
【0010】
【表1−(1)】
【0011】
【表1−(2)】
【0012】
【表1−(3)】
【0013】
【表2−(1)】
【0014】
【表2−(2)】
【0015】
【表2−(3)】
【0016】
【表3−(1)】
【0017】
【表3−(2)】
【0018】
【表4−(1)】
【0019】
【表4−(2)】
【0020】
【表5−(1)】
【0021】
【表5−(2)】
【0022】
【表5−(3)】
【0023】
【表6−(1)】
【0024】
【表6−(2)】
【0025】
【表6−(3)】
【0026】
【表6−(4)】
【0027】
【表7−(1)】
【0028】
【表7−(2)】
【0029】本発明で用いることができる電荷発生顔料
としては、例えばX型の無金属フタロシアニン、π型の
無金属フタロシアニン、τ型の無金属フタロシアニン、
ε型の銅フタロシアニン、α型チタニルフタロシアニ
ン、β型チタニルフタロシアニン等のフタロシアニン顔
料やジスアゾ・トリスアゾ系顔料、アントラキノン系顔
料、多環キノン系顔料、インジゴ顔料、ジフェニルメタ
ン、トリメチルメタン系顔料、シアニン系顔料、キノリ
ン系顔料、ベンゾフェノン、ナフトキノン系顔料、ペリ
レン顔料、フルオレノン系顔料、スクアリリウム系顔
料、アズレニウム系顔料、ペリノン系顔料、キナクリド
ン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、ポルフィリン系顔
料が使用できる。これら電荷発生顔料の感光層全体に占
める量は0.1〜40wt%、好ましくは0.3〜25
重量%が適当である。
【0030】以下に、本発明を添付の図面に従いながら
さらに詳細に説明する。本発明により得られる感光体の
感光層の構成としては、感光層が1層からなる単層構成
が望ましい。図1において、1は導電性基体、2は感光
層、21は電荷発生顔料、22、24はそれぞれ結着剤
23に分子状に分散された有機アクセプタ性化合物、有
機正孔輸送物質を表している。
【0031】また、図2は逐次転写方式における静電潜
像の転写を表している。図中、3は静電記録体、31は
静電記録体の誘電層、32は静電記録体の導電層、4は
導電ローラ、5は転写時の印加電圧を示している。
【0032】本発明のこのような感光体は、感光体を正
帯電させた場合の非帯電部あるいは低帯電部が転写され
る(ネガ転写)プロセスに用いると、同じ転写条件で静
電潜像を転写した場合、用いる正孔輸送物質の融点に対
して10℃以上低い温度で加熱乾燥した感光体に比べ転
写電位が大幅に向上する。したがって、画像部と非画像
部の電位コントラストが増大し、より高い画像濃度が得
られる。また、実用化において使用できる材料の選択肢
が広がるという利点がある。ただし、融点よりも極端に
高い温度で加熱乾燥した場合には正孔輸送物質が熱分解
してしまうなどの問題が生じる。転写電位の向上の理由
について、本発明者らは上記プロセスにおいて高い転写
電位を得るためのモデルを以下のように考え、これを検
証した。このプロセスにおける静電記録体上への負電荷
の転写は、静電記録体と感光体との間の放電現象による
電荷の誘起によるが、この時感光体側には正電荷が誘起
され、これらの電荷量は通常バイアス印加電圧、感光体
および静電記録体の静電容量によって決定される。放電
がある程度継続し、感光体表層と静電記録体表層にそれ
ぞれ所定の電荷量が誘起されると、感光体と静電記録体
の間の電界強度はこの間の空気層の絶縁破壊電圧を下回
り、放電は停止し電荷の転写は行われなくなる。
【0033】ここで、感光体表層に誘起された正電荷の
一部が感光層内部へ注入された場合、上記と同様に感光
体と静電記録体の間の電界強度が空気層の絶縁破壊電圧
を下回った時放電が停止するのであるが、この時正電荷
の注入がない場合と比較し更なる放電の継続が行われる
ものと考えられる。この場合、より大きな電荷が静電記
録体上に誘起されるものと考えられる。この正電荷の注
入は感光体表層の誘起正孔輸送物質濃度が高いほど効率
が高くなると考えられる。本発明のように感光体作製時
の乾燥温度を、用いる正孔輸送物質の融点の−5〜+3
0℃とすることで感光体表層の正孔輸送物質濃度が増加
することが確かめられているが、これは塗布時に感光体
の導電性基体付近に遍在していた正孔輸送物質が熱的な
マイグレートにより感光層中にほぼ均一に分布するよう
になったためと思われる。
【0034】本発明者らは、この転写モデルの検証のた
め、感光層の代わりに正孔輸送物質とバインダーからな
る膜を用いて転写を行ったところ、膜の乾燥温度により
転写電位が異なり、高温で乾燥した方が高い転写電位が
得られることが判明した。この結果は上記モデルを裏付
けるものであると考えられる。
【0035】また、本発明では必要により有機アクセプ
タ性化合物を感光層に添加することができる。有機アク
セプタ性化合物を使用した場合の利点は、正孔輸送物質
と有機アクセプタ性化合物の組成を変えることで、正負
両方の帯電極性に対応できることである。また、有機ア
クセプタ性化合物の使用は、残留電位の低下と感光体の
静電的特性の長寿命化と転写電位の繰り返し安定化をも
たらす。これらの改良の原因は明確ではないが、その1
つとして光照射により電荷発生顔料で発生した正孔と電
子のうち電子を引き抜くことで電荷発生顔料の内部電界
の低減の防止と電気抵抗の低下を防止することが考えら
れる。
【0036】本発明で用いることができる有機アクセプ
タ性化合物としては公知の化合物が使用でき、例えば、
キノン化合物、ニトリル基を有するπ電子化合物、ニト
ロ基を有するπ電子化合物等が挙げられ、さらに具体的
にはフルオレノンまたはベンゾフルオレノン系化合物、
インデノン系化合物、インデノキノキサリン系化合物、
ペンタジエン系化合物およびこれらの誘導体等が例示さ
れる。
【0037】有機アクセプタ性化合物を使用した場合、
正孔輸送物質と有機アクセプタ性化合物の量比は50/
1〜1/5である。有機アクセプタ性化合物の含有量が
これよりも少ない場合には静電特性の繰り返しが低下
し、これよりも多い場合には帯電性が劣化する。
【0038】感光体における結着剤の役割は電荷発生顔
料の良好な分散と、輸送材料の分子状の分散ばかりでな
く、複写プロセスで必要とされる感光体の機械的強度も
担っている。しかしながら本感光体が用いられるプロセ
スは感光体上での現像が必要でないため、クリーニング
もカールソンプロセスと比べはるかに弱いものでよい。
従って、カールソンプロセス用感光体と比べ、本発明の
感光体では結着剤の組成を低くすることができる。
【0039】本発明で用いることができる結着剤として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、メ
タクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポ
キシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエ
ステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、
シリコーン樹脂、メラミン樹脂等の付加重合型樹脂、重
付加型樹脂、重縮合型樹脂、並びにこれらの繰り返し単
位のうち2つ以上を含む共重合体樹脂、例えば塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無
水マレイン酸共重合体樹脂を挙げることができる。これ
ら結着剤の感光層全体に占める量は20〜90%、好ま
しくは30〜70重量%である。
【0040】本発明の感光層の厚さは5〜30μmが好
ましい。これより薄いと帯電性が低下し、厚いと感光体
の静電容量が低下して転写電位の低下を来す。
【0041】本発明で用いることができる導電性基体と
しては、アルミニウム、ニッケル、銅、ステンレス等の
金属板、金属ドラムまたは金属箔、アルミニウム、酸化
スズ、ヨウ化銅の薄膜を塗布したプラスチックフィルム
あるいはガラス等が挙げられる。本発明の感光体では帯
電性を改良する目的で感光層と導電性基体の間に下引き
層を設けることができる。これらの材料としては前記結
着剤材料の他に、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコー
ル、カゼイン、ポリビニルピロリドン等を用いることが
できる。本発明の感光体における感光層の塗布方法とし
ては、前記の材料を有機溶媒中に溶解、または、ボール
ミル、超音波等で分散して調整した感光層形成液を浸漬
法やブレード塗布、スプレー塗布等の公知の方法で基体
上に塗布し感光層を形成すればよい。
【0042】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、こ
れにより本発明の態様が限定されるものではない。
【0043】A.膜厚方向における正孔輸送物質の濃度
分布 本発明の感光体は単層構成であるため、直接、感光層の
膜厚方向における正孔輸送物質濃度を評価することは困
難である。従って、便宜的に正孔輸送物質と結着樹脂の
みからなる膜を作製し、膜厚方向における正孔輸送物質
の濃度を評価する。表2記載のNo.D2−20で示さ
れる正孔輸送物質(融点:138℃)の組成が50wt
%、ポリカーボネート(PC)組成が50wt%となる
ように正孔輸送物質と15wt%のPCテトラヒドロフ
ラン溶液より塗布液を作製した。この液を基体上にブレ
ードコート法にて塗布し、80℃で5分間1次乾燥した
後、2次乾燥として150℃あるいは110℃でそれぞ
れ20分間加熱乾燥して2種類の約13μmの膜を作製
した。次に、膜を基体から剥離し、それぞれ表面側と基
体に接していた側、約1μmの部分を削り取り、赤外吸
収スペクトルを測定した。正孔輸送物質に起因する吸収
ピーク(1323cm-1)とPCに起因する吸収ピーク
(1775cm-1)の強度比[Abs(1323c
-1)/Abs(1775cm-1)]を基に膜厚方向に
おける正孔輸送物質の濃度分布を評価した。結果を表8
に示す。
【表8】
【0044】B.静電記録紙上の転写電位 〔実施例1および比較例1〕アルミニウム基体上に上記
Aの項と同じ条件で2種類の膜をブレードコート法にて
塗布、乾燥した。これらの表面に静電記録紙を張り付
け、導電ローラにより+800Vの電圧を静電記録紙の
導電層に印加しながら記録紙を剥離した。静電記録紙上
の表面電位を測定した。結果を表9に示す。
【表9】
【0045】〔実施例2〜6および比較例2〜6〕下記
構造式(A)のフタロシアニン顔料1gをポリカーボネ
ート(PC)溶液10g(テトラヒドロフラン中に10
wt%溶解したもの)、テトラヒドロフラン9gととも
にボールミリングした後、顔料組成10wt%、PC組
成が50wt%、表10に示される有機アクセプタ性化
合物が20wt%、表2記載のNo.D2−20で示さ
れる正孔輸送物質(融点:138℃)が20wt%とな
るよう15wt%のPC溶液、アクセプタ性化合物、正
孔輸送物質を加え感光体の塗布液を作製した。この液を
アルミニウム基体上にブレードコート法にて塗布し80
℃で5分間1次乾燥した後、2次乾燥として実施例2〜
6については150℃で、比較例2〜6については11
0℃でそれぞれ20分間加熱乾燥して約13μmの単層
型感光体を作製した。
【化8】 この感光体を暗中で+6.5KVでコロナ帯電し、暗減
衰後の表面電位が600Vになったところで、30lu
xのタングステン光を1秒間照射した。光照射後静電記
録紙を感光体の表面に張り付け、導電ローラにより+8
00Vの電圧を静電記録紙の導電層に印加しながら記録
紙を感光体から剥離した。静電記録紙上の表面電位を測
定した。結果を表10に示す。
【0046】
【表10】
【0047】〔実施例7〜11および比較例7〜11〕
実施例2〜6の顔料(A)を下記構造式(B)で表され
るビスアゾ顔料系に代えた以外は実施例2〜6と同様に
して、また、顔料(A)を顔料(B)に代えた以外は比
較例2〜6と同様にして感光体を作製し転写電位を測定
した。結果を表11に示す。
【化9】
【0048】
【表11】
【0049】〔実施例12〜17および比較例12〜1
7〕実施例2の正孔移動物質を代えた以外は、実施例2
と同様にして、また、比較例2との正孔移動物質を代え
た以外は、比較例2と同様にして感光体を作製し、転写
電位を測定した。結果を表12に示す。
【0050】
【表12】
【0052】
【発明の効果】以上のように、上記第一に記載した本発
明の構成によれば、正孔注入現象を利用し感光体を正帯
電させた場合、非帯電部あるいは低帯電部が転写される
(ネガ転写)プロセスにおいて、静電記録体の転写電位
を大幅に向上させる潜像転写用電子写真感光体が得られ
る。また、上記第二に記載した構成によれば、上記第一
に記載した構成の潜像転写用電子写真感光体が得られ
る。また、上記第三に記載した構成によれば、正孔移動
物質と有機アクセプタ性化合物の量比を変えることで正
負両方の帯電極性に対応でき、また、有機アクセプタ性
化合物の使用の使用により残留電位の低下と感光体の静
電特性の長寿命化と転写電位の繰り返し安定性化をもた
らす。また、上記第四に記載した構成によれば、正孔注
入現象を利用する本発明の感光体において高い正孔移動
度を有する潜像転写用電子写真感光体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の感光体の一例を示す概略構成図であ
る。
【図2】本発明がかかわる潜像転写方式を示す説明図で
ある。
【符号の説明】
1 導電性基体 2 感光層 21 電荷発生顔料 22 有機オクセプタ性化合物 23 結着剤 24 正孔移動物質 3 静電記録体 4 導電ローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03G 5/06 315 G03G 5/06 315 319 319 322 322 (72)発明者 山口 剛男 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 吉川 雅夫 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体上に直接または下引き層を介
    して少なくとも電荷発生顔料と正孔輸送物質が結着剤中
    に分散された単層の有機感光層を設けた電子写真感光体
    において、前記有機感光層を該層に含有させる正孔輸送
    物質の表面近傍における含有濃度と基体もしくは下引き
    層と接する面近傍における含有濃度を4/5以上の比率
    で設けることを特徴とする潜像転写用電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 導電性基体上に直接または下引き層を介
    して少なくとも電荷発生顔料と正孔輸送物質が結着剤中
    に分散された単層の有機感光層を設けた電子写真感光体
    において、前記有機感光層を該層に含有させる正孔輸送
    物質の融点の−5ないし+30℃の範囲の塗布後乾燥温
    度で設けることを特徴とする請求項1記載の潜像転写用
    電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 前記有機感光層に有機アクセプタ性化合
    物を含有させることを特徴とする請求項1または請求項
    2記載の潜像転写用電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 前記正孔輸送物質が下記一般式(1)な
    いし(7)で表される化合物の少なくとも1種であるこ
    とを特徴とする請求項1、2または請求項3記載の潜像
    転写用電子写真感光体。 【化1】 (式中、Ar1、Ar2及びAr3は無置換の、またはア
    ルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリール
    オキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基もしくは
    アミノ基で置換されたアリール基、または複素環基を表
    わす。) 【化2】 (式中、R1及びR2は水素原子、アルキル基又はアリー
    ル基を表わし、また、R1とR2の間で環を形成してもよ
    い。Ar1はアリーレン基または複素環基を表わす。A
    2及びAr3はアルキル基、アリール基、又は複素環基
    を表わす。) 【化3】 (式中、Ar1、Ar2及びAr3は無置換の、またはア
    ルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリール
    オキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基もしくは
    アミノ基で置換されたアリール基、または複素環基を表
    わす。) 【化4】 (式中、Ar1、Ar2、Ar5及びAr6は無置換の、ま
    たはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ
    基、ニトロ基もしくはアミノ基で置換されたアリール基
    を表わし、Ar3及びAr4は無置換または上記置換基で
    置換されたアリーレン基を表わす。) 【化5】 (式中、ここでAr1、Ar2、Ar3及びAr4は無置換
    の、またはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、
    シアノ基、ニトロ基もしくはアミノ基で置換されたアリ
    ール基を表わし、Xはアルキレン基、硫黄、酸素または
    (CH=CH)n(nは1以上の整数)を表わす。) 【化6】 (式中、ここでAr1は無置換の、またはアルキル基、
    アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基もし
    くはアミノ基で置換されたアリール基または複素環基を
    表わし、Ar2及びAr3はアルキル基、フェニル基また
    はナフチル基を表わす。) 【化7】 (式中、ここでAr1、Ar2、Ar3及びAr4は無置換
    の、またはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子も
    しくはアミノ基で置換されたアリール基、または複素環
    基を表わす。また、nは0または1の整数を表わす。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013029777A (ja) * 2011-07-29 2013-02-07 Kyocera Document Solutions Inc 正帯電単層型電子写真感光体、及び画像形成装置

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