JPH09157104A - ジベレリンを含む切り花の鮮度保持剤組成物 - Google Patents

ジベレリンを含む切り花の鮮度保持剤組成物

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JPH09157104A
JPH09157104A JP32260495A JP32260495A JPH09157104A JP H09157104 A JPH09157104 A JP H09157104A JP 32260495 A JP32260495 A JP 32260495A JP 32260495 A JP32260495 A JP 32260495A JP H09157104 A JPH09157104 A JP H09157104A
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直樹 御堂
Michiaki Iwata
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 切り花に対して優れた効果を有する鮮度保持
剤を提供する。 【解決手段】 一般式(I) 具体的には、例えば1,1-ジメチル-4- (フェニルスルホ
ニル)セミカルバジドで示されるスルホニルセミカルバ
ジド誘導体またはその塩と、少なくとも1種のジベレリ
ンとを有効成分とする切り花の鮮度保持剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも2成分
の混合により相乗的に増強された作用を有する切り花の
鮮度保持剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】切り花の鮮度が低下する原因としては、
生け水中の茎の腐敗や導管の閉塞、栄養分の枯渇、内因
性のエチレンの増加などがあげらる。茎の腐敗や導管の
閉塞に対しては、8−ヒドロキシキノリンなどの殺菌剤
や水中汚物を沈澱させるための硫酸アルミニウム、水揚
げを良くするための各種界面活性剤が用いられており、
栄養分の枯渇に対しては、ショ糖などの糖類が用いられ
ている。しかし、その効果には、ばらつきがあり明確で
はない。一方、内因性のエチレンの増加に対しては、19
78年にオランダのVeenらにより発見されたSTS(Ag(S
2O3)2 3-)〔プランタ(Planta)140, 93〜96, 1978〕が
エチレンの作用を抑制し、カーネーション、宿根カスミ
ソウ等のエチレンが花の萎凋の主要因となる切り花に対
しては明確な効果を示すことが知られている。
【0003】現在では、生産者は、多くの切り花に対し
てSTSを使用している。しかし、STSはその有効成分とし
て、重金属である銀を含んでいるため、環境汚染が懸念
されており、重金属を含まない安全な鮮度保持剤の実用
化が望まれている。
【0004】一般式(I)
【化2】 〔式中、R1は炭素原子数3〜4の直鎖状または分岐鎖
状の低級アルキル基を表すか、ハロゲン原子、C1-4
ルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、カルボキ
シル基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、アミノ基
またはベンジルオキシ基により置換されてもよいフェニ
ル基を表すか、あるいはピリジル基を表すか、もしくは
1はカルボキシル基またはアルコキシカルボニル基に
より置換されてもよいチエニル基を表し、R2およびR3
はそれぞれに水素原子、C1-4アルキル基、アルコキサ
リル基、アルコキシアルキル基、または式−C(=X)
−X−R4(ただし、Xは酸素原子または硫黄原子を、
4はC1-4アルキル基を表す)で示されるアルコキシカ
ルボニル基またはアルキルチオ−チオカルボニル基を表
すか、あるいはR2およびR3はR2とR3が結合している
窒素原子と共に合して炭素数4〜5の複素環、例えばモ
ルホリノ基またはピペリジノ基を形成してもよく、もし
くはR2およびR3が結合している窒素原子と共に式−N
=CR5(R6)(ただし、R5とR6はそれぞれにC1-4
アルキル基を表す)の基を形成してもよい〕で示される
スルホニルセミカルバジド誘導体またはその塩は、本発
明者らにより切り花の鮮度保持剤として有効であること
が発見されている(WO95/05326)。一方、ジ
ベレリン(GAと略す)も切り花の鮮度保持効果を示すこ
とが知られている〔ジャーナルオブプラントフィジオロ
ジー(Journal of Plant Physiology)139, 484〜488,
1992〕。しかしながら、一般式(I)で示されるスルホ
ニルセミカルバジド誘導体とジベレリンとの混合時の効
果については検討されていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、切り
花に対して優れた効果を有する鮮度保持剤を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく鋭意検討した結果、一般式(I)で示さ
れるスルホニルセミカルバジド誘導体またはその塩とジ
ベレリンとを混合することにより、それぞれの単独処理
に比べて鮮度保持効果が相乗的に増強されることを見出
し本発明に至った。
【0007】即ち本発明は、一般式(I)で示されるス
ルホニルセミカルバジド誘導体またはその塩とジベレリ
ンとを有効成分として含有する切り花の鮮度保持剤組成
物に関する。一般式(I)で示されるスルホニルセミカ
ルバジド誘導体の塩としては、例えばナトリウム塩、カ
リウム塩、アンモニウム塩、エタノールアミン塩、およ
びイソプロピルアミン塩などがある。ジベレリンとして
は、例えばGA1、GA3、GA7、GA12、GA14などが用いられ
るが、特にこれらに限定されない。
【0008】これらの有効成分は、各種濃度の水溶液と
して用いられ、その濃度は対象とする切り花の種類によ
り最適値が異なるため、特に限定されない。一般式
(I)で示されるスルホニルセミカルバジド誘導体また
はその塩は、1×10-4〜0.1重量%の濃度範囲で、また、
好ましくは1×10-4〜0.001重量%の濃度範囲で用いら
れ、ジベレリンは、1×10-5〜0.01重量%の濃度範囲
で、好ましくは1×10-5〜1×10-4重量%の濃度範囲で用
いられる。組成物中の混合割合としてはスルホニルセミ
カルバジド誘導体:ジベレリン=1:0.001〜10、好まし
くはスルホニルセミカルバジド誘導体:ジベレリン=
1:0.01〜1である。
【0009】本発明の鮮度保持剤組成物の使用法として
は、前処理、後処理あるいは植物体への散布などがあげ
られる。前処理の方法としては、切り花の切り口を薬液
に、1〜24時間浸せきすれば良い。後処理の方法として
は、切り花を薬液の入った花瓶などに生けておけば良
い。散布処理の方法としては、スプレーなどで、切り花
全体に薬液を散布すれば良い。
【0010】本発明の鮮度保持剤組成物は、添加剤(殺
菌剤、界面活性剤など)や、市販されている他の鮮度保
持剤と混合して用いても良く、本発明品を用いた後に添
加剤や市販されている他の鮮度保持剤を用いても良い。
【0011】本発明の鮮度保持剤を適用できる花として
は、カーネーション、デルフィニウム、スイートピー、
宿根カスミソウ、ユリ、フリージア、チューリップ、洋
ラン等の切り花、あるいは鉢物などがあげられる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の有効成分として用いられ
る一般式(I)で示されるスルホニルセミカルバジド誘
導体またはその塩とジベレリンは水溶液として使用す
る。その濃度は対象とする切り花の種類により最適値が
異なるため、特に限定されない。例えば、スルホニルセ
ミカルバジド誘導体としては1,1-ジメチル-4-(フェニ
ルスルホニル)セミカルバジドを1×10-4〜0.001重量
%の濃度範囲で、ジベレリンとしてはGA3を1×10-5〜1
×10-4重量%の濃度範囲で用いられる。また、組成物中
の混合割合はスルホニルセミカルバジド誘導体:ジベレ
リン=1:0.001〜10、好ましくはスルホニルセミカルバ
ジド誘導体:ジベレリン=1:0.01〜1で用いられる。
【0013】本発明の鮮度保持剤組成物の使用法として
は、前処理法、後処理法あるいは散布処理法などがあげ
られる。前処理法では、切り花を出荷する前に切り花の
切り口を薬液に、1〜24時間浸せきして使用する。後処
理法では、切り花を花瓶などに生ける際に花瓶に薬液を
入れて使用する。散布処理法では、スプレーなどで、切
り花全体に薬液を散布して使用する。
【0014】本発明の鮮度保持剤組成物は、添加剤(殺
菌剤、界面活性剤など)や、市販されている他の鮮度保
持剤と混合して使用することもでき、本発明品を前処理
法で用いた後に添加剤や市販されている他の鮮度保持剤
と組み合わせても使用できる。
【0015】本発明の鮮度保持剤はカーネーション、デ
ルフィニウム、スイートピー、宿根カスミソウ、ユリ、
フリージア、チューリップ、洋ラン等の切り花、あるい
は鉢物などに適用できる。
【実施例】試験例1 カーネーション切り花の鮮度保持効果 神奈川県秦野市の農家において栽培されたカーネーショ
ン(品種;フランシスコ)を10 cmの長さに切り、50 ml
の薬液の入った管ビン(φ3×12 cm)に、切り花を1本
ずつ入れ、その後、気温が25〜28℃であり、湿度が5
0〜60%であり、照度が1000〜2000ルクスの
恒温室にて切り花の状態を観察した。各試験区とも5反
復とした。結果を第1表に示す。花の萎凋が見られるま
での日数を花持ち日数として表し、さらに対照区(水の
み)と比較したときの花持ち延長日数とそれぞれ単独処
理の花持ち延長日数を相加した日数も併せて示した。ま
た、花持ち延長日数および相加日数は以下のように定義
する。花持ち延長日数=各処理群の花持ち日数−対照区
の花持ち日数相加した日数=各濃度のスルホニルセミカ
ルバジド誘導体処理群の花持ち延長日数+各濃度のジベ
レリン処理群の花持ち延長日数
【0016】
【表1】 第1表 ─────────────────────────────────── 処理 花持ち日数 花持ち延長 相加した (日) 日数(日) 日数(日) ─────────────────────────────────── 対照区 7.0 − − 1 ppm 1,1-ジメチル-4-(フェニル 7.6 0.6 − スルホニル)セミカルバジド 10 ppm 1,1-ジメチル-4-(フェニル 9.0 2.0 − スルホニル)セミカルバジド 0.1 ppm GA3 7.2 0.2 − 1 ppm GA3 8.0 1.0 − 1 ppm 1,1-ジメチル-4-(フェニル 9.0 2.0 0.8 スルホニル)セミカルバジド+ 0.1 ppm GA3 1 ppm 1,1-ジメチル-4-(フェニル 9.6 2.6 1.6 スルホニル)セミカルバジド+ 1 ppm GA3 10 ppm 1,1-ジメチル-4-(フェニル 10.2 3.2 2.2 スルホニル)セミカルバジド+ 0.1 ppm GA3 10 ppm 1,1-ジメチル-4-(フェニル 11.0 4.0 3.0 スルホニル)セミカルバジド+ 1 ppm GA3 ───────────────────────────────────
【0017】第1表から明らかなように、1,1-ジメチル
-4-(フェニルスルホニル)セミカルバジドとGA3とを混
合したときの効果は、それぞれの単独使用の花持ち延長
日数の相加以上の効果を示した。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、切り花の鮮度を良好な
状態で長期に保つ鮮度保持剤を提供することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 〔式中、R1は炭素原子数3〜4の直鎖状または分岐鎖
    状の低級アルキル基を表すか、ハロゲン原子、C1-4
    ルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、カルボキ
    シル基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、アミノ基
    またはベンジルオキシ基により置換されてもよいフェニ
    ル基を表すか、あるいはピリジル基を表すか、もしくは
    1はカルボキシル基またはアルコキシカルボニル基に
    より置換されてもよいチエニル基を表し、R2およびR3
    はそれぞれに水素原子、C1-4アルキル基、アルコキサ
    リル基、アルコキシアルキル基、または式−C(=X)
    −X−R4(ただし、Xは酸素原子または硫黄原子を、
    4はC1-4アルキル基を表す)で示されるアルコキシカ
    ルボニル基またはアルキルチオ−チオカルボニル基を表
    すか、あるいはR2およびR3はR2とR3が結合している
    窒素原子と共に合して炭素数4〜5の複素環、例えばモ
    ルホリノ基またはピペリジノ基を形成してもよく、もし
    くはR2およびR3が結合している窒素原子と共に式−N
    =CR5(R6)(ただし、R5とR6はそれぞれにC1-4
    アルキル基を表す)の基を形成してもよい〕で示される
    スルホニルセミカルバジド誘導体またはその塩と、少な
    くとも1種のジベレリンとを有効成分とする切り花の鮮
    度保持剤組成物。
  2. 【請求項2】スルホニルセミカルバジド誘導体が、1,1-
    ジメチル-4-(フェニルスルホニル)セミカルバジドで
    ある請求項1記載の切り花の鮮度保持剤組成物。
  3. 【請求項3】ジベレリンが、ジベレリンA3である請求
    項1記載の切り花の鮮度保持剤組成物。
  4. 【請求項4】ジベレリンが、ジベレリンA3である請求
    項2記載の切り花の鮮度保持剤組成物。
  5. 【請求項5】スルホニルセミカルバジド誘導体またはそ
    の塩とジベレリンとの混合割合がスルホニルセミカルバ
    ジド誘導体またはその塩:ジベレリン=1:0.001
    〜10である請求項1〜4記載の切り花の鮮度保持剤組
    成物。
  6. 【請求項6】スルホニルセミカルバジド誘導体またはそ
    の塩とジベレリンとの混合割合がスルホニルセミカルバ
    ジド誘導体またはその塩:ジベレリン=1:0.01〜
    1である請求項1〜4記載の切り花の鮮度保持剤組成
    物。
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