JPH09156937A - ガラス光学素子の成形方法及び成形装置及び成形シミュレーションにおける光学素子精度の予測システムならびにこれを用いた最適成形条件設定装置及び最適成形条件設定方法 - Google Patents
ガラス光学素子の成形方法及び成形装置及び成形シミュレーションにおける光学素子精度の予測システムならびにこれを用いた最適成形条件設定装置及び最適成形条件設定方法Info
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- JPH09156937A JPH09156937A JP8236390A JP23639096A JPH09156937A JP H09156937 A JPH09156937 A JP H09156937A JP 8236390 A JP8236390 A JP 8236390A JP 23639096 A JP23639096 A JP 23639096A JP H09156937 A JPH09156937 A JP H09156937A
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- optical element
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- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C03—GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
- C03B—MANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
- C03B11/00—Pressing molten glass or performed glass reheated to equivalent low viscosity without blowing
- C03B11/16—Gearing or controlling mechanisms specially adapted for glass presses
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Manufacturing & Machinery (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Re-Forming, After-Treatment, Cutting And Transporting Of Glass Products (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】ガラス光学素子を安定に成形するための最適成
形条件を高精度且つ高効率に設定する。 【解決手段】応力変形解析において、ガラス素材を型部
材によりプレスした後、冷却中にガラス素材と型部材が
固着しているか剥離しているかを判断し、剥離している
と判断された場合にはガラス素材と型部材とが滑りを生
じているものとして計算を進行させる光学素子精度予測
システムにより解析を行い、その解析結果に基づき光学
素子の光学機能面の精度を評価し、この評価において精
度不良と判定された場合には、光学素子に発生する精度
不良に対する各成形条件の影響度に基づき各成形条件を
改定し、改定された各成形条件に基づき光学素子精度予
測システムによる解析を行い、評価において精度不良な
しと判定された場合には、その際の各成形条件を最適成
形条件と設定する。
形条件を高精度且つ高効率に設定する。 【解決手段】応力変形解析において、ガラス素材を型部
材によりプレスした後、冷却中にガラス素材と型部材が
固着しているか剥離しているかを判断し、剥離している
と判断された場合にはガラス素材と型部材とが滑りを生
じているものとして計算を進行させる光学素子精度予測
システムにより解析を行い、その解析結果に基づき光学
素子の光学機能面の精度を評価し、この評価において精
度不良と判定された場合には、光学素子に発生する精度
不良に対する各成形条件の影響度に基づき各成形条件を
改定し、改定された各成形条件に基づき光学素子精度予
測システムによる解析を行い、評価において精度不良な
しと判定された場合には、その際の各成形条件を最適成
形条件と設定する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス成形とくに
ガラス光学素子成形のシミュレーション技術に属するも
のであり、なかでもガラス光学素子の成形方法及び成形
装置及び成形シミュレーションにおける光学素子精度の
予測システムならびにこれを用いた最適成形条件設定装
置及び最適成形条件設定方法に関する。
ガラス光学素子成形のシミュレーション技術に属するも
のであり、なかでもガラス光学素子の成形方法及び成形
装置及び成形シミュレーションにおける光学素子精度の
予測システムならびにこれを用いた最適成形条件設定装
置及び最適成形条件設定方法に関する。
【0002】本発明の技術は、例えば非球面レンズ等の
複雑な形状の光学素子を安定して成形するために最適な
成形条件を高精度且つ高効率にて設定するのに適用する
ことができる。
複雑な形状の光学素子を安定して成形するために最適な
成形条件を高精度且つ高効率にて設定するのに適用する
ことができる。
【0003】
【従来の技術】近年、光学機器の小型化及び軽量化の要
求が高まっており、これを実現するために、光学系を構
成する光学素子の光学機能面を非球面となすことにより
該光学系を構成する光学素子の数を低減することがなさ
れている。非球面の光学機能面を持つ光学素子を量産す
る場合は、所定の表面精度を有する成形用型内にガラス
素材を収容し、加熱及び加圧してプレス成形するのが好
ましい。
求が高まっており、これを実現するために、光学系を構
成する光学素子の光学機能面を非球面となすことにより
該光学系を構成する光学素子の数を低減することがなさ
れている。非球面の光学機能面を持つ光学素子を量産す
る場合は、所定の表面精度を有する成形用型内にガラス
素材を収容し、加熱及び加圧してプレス成形するのが好
ましい。
【0004】ところで、上記プレス成形において、精度
の高い光学素子を得るには、成形条件を適正に設定する
ことが必要であり、従来は熟練した作業者によって成形
条件の微妙な調整がなされている。これに対し、ガラス
と同様に粘弾性挙動を示すプラスチックの成形では、例
えば特開平2−128824号公報や特開平4−331
125号公報等に示される様に、数値解析を行ない、そ
の結果から成形不良が生ずる原因を推定し、不良を解消
する様に成形条件を移行させ、この様な成形不良解消手
段を講じた後、再度、計算を繰り返し、最適な成形条件
を数値解析によって決定する方法が提唱されている。
の高い光学素子を得るには、成形条件を適正に設定する
ことが必要であり、従来は熟練した作業者によって成形
条件の微妙な調整がなされている。これに対し、ガラス
と同様に粘弾性挙動を示すプラスチックの成形では、例
えば特開平2−128824号公報や特開平4−331
125号公報等に示される様に、数値解析を行ない、そ
の結果から成形不良が生ずる原因を推定し、不良を解消
する様に成形条件を移行させ、この様な成形不良解消手
段を講じた後、再度、計算を繰り返し、最適な成形条件
を数値解析によって決定する方法が提唱されている。
【0005】その他、特開昭62−34282号公報や
特開平4−152120号公報等には、プラスチックの
流動から固化といった相変化を考慮した数値解析手法も
提案されている。
特開平4−152120号公報等には、プラスチックの
流動から固化といった相変化を考慮した数値解析手法も
提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のようなプラスチ
ック成形の成形条件設定の技術をガラス成形に適用する
ことが考えられる。しかしながら、上記従来の数値解析
は、あくまで対象となる素材がプラスチックであって、
素材がガラスの場合には、異なる要因が存在するので、
異なった観点からの独自の解析手法が要求される。即
ち、ガラスの場合には、プラスチックの場合と比較し
て、プレス時の温度が非常に高く、この温度では型部材
の硬度も低下しており、熱による膨張量もガラス素材と
型部材とで大きく異なる。
ック成形の成形条件設定の技術をガラス成形に適用する
ことが考えられる。しかしながら、上記従来の数値解析
は、あくまで対象となる素材がプラスチックであって、
素材がガラスの場合には、異なる要因が存在するので、
異なった観点からの独自の解析手法が要求される。即
ち、ガラスの場合には、プラスチックの場合と比較し
て、プレス時の温度が非常に高く、この温度では型部材
の硬度も低下しており、熱による膨張量もガラス素材と
型部材とで大きく異なる。
【0007】例えば、光学素子の光学機能面の精度を数
値解析によって予測する際に、ガラス素材の粘弾性的挙
動によるガラス内熱応力のみではなく、型部材とガラス
素材とが固着することによってガラス素材の収縮が型部
材に抑制されるため、ガラス内に発生する応力が重要に
なる。更に、型部材とガラス素材とが剥離している状態
においても、完全に摩擦のない状態で両者間に滑りを生
じているわけではなく、型部材の表面状態、温度、光学
素子の形状等の要因に依存する摩擦を生じている。それ
によっても、ガラス素材内に応力が発生し、光学素子の
精度に影響を与えることがある。
値解析によって予測する際に、ガラス素材の粘弾性的挙
動によるガラス内熱応力のみではなく、型部材とガラス
素材とが固着することによってガラス素材の収縮が型部
材に抑制されるため、ガラス内に発生する応力が重要に
なる。更に、型部材とガラス素材とが剥離している状態
においても、完全に摩擦のない状態で両者間に滑りを生
じているわけではなく、型部材の表面状態、温度、光学
素子の形状等の要因に依存する摩擦を生じている。それ
によっても、ガラス素材内に応力が発生し、光学素子の
精度に影響を与えることがある。
【0008】そこで、本発明の目的は、ガラス素材の内
部に発生するトータルの応力及び変形量を把握し、的確
なガラス光学素子の光学機能面の精度予測を可能とする
ことになる。また、本発明の他の目的は、ガラス光学素
子を安定して成形するための最適な成形条件を、高精度
且つ高効率に設定することである。
部に発生するトータルの応力及び変形量を把握し、的確
なガラス光学素子の光学機能面の精度予測を可能とする
ことになる。また、本発明の他の目的は、ガラス光学素
子を安定して成形するための最適な成形条件を、高精度
且つ高効率に設定することである。
【0009】また、本発明の他の目的は、従来、熟練し
た作業者により行なわれていた成形条件の設定を容易且
つ効率的に行なうことを可能となすことである。また、
本発明の他の目的は、自動的に成形条件を設定し全自動
成形を可能となすことである。
た作業者により行なわれていた成形条件の設定を容易且
つ効率的に行なうことを可能となすことである。また、
本発明の他の目的は、自動的に成形条件を設定し全自動
成形を可能となすことである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決し、
目的を達成するために、本発明に係わる光学素子精度予
測システムは、軟化したガラス素材を成形用型部材でプ
レスし冷却してガラス光学素子を成形するシミュレーシ
ョンにおける光学素子精度予測システムであって、解析
用モデルによりガラス素材の変形と該ガラス素材内に生
ずる応力とを計算する応力変形解析において、ガラス素
材が軟化する温度域で該ガラス素材を型部材によりプレ
スした後、冷却中に前記ガラス素材と前記型部材とが固
着しているか剥離しているかを判断し、剥離していると
判断された場合には前記ガラス素材と前記型部材とが滑
りを生じているものとして計算を進行させることを特徴
としている。
目的を達成するために、本発明に係わる光学素子精度予
測システムは、軟化したガラス素材を成形用型部材でプ
レスし冷却してガラス光学素子を成形するシミュレーシ
ョンにおける光学素子精度予測システムであって、解析
用モデルによりガラス素材の変形と該ガラス素材内に生
ずる応力とを計算する応力変形解析において、ガラス素
材が軟化する温度域で該ガラス素材を型部材によりプレ
スした後、冷却中に前記ガラス素材と前記型部材とが固
着しているか剥離しているかを判断し、剥離していると
判断された場合には前記ガラス素材と前記型部材とが滑
りを生じているものとして計算を進行させることを特徴
としている。
【0011】また、この発明に係わる光学素子精度予測
システムにおいて、前記ガラス素材と前記型部材とが固
着しているか剥離しているかを判断する際には、計算値
と実測により得られた剥離限界応力値との比較を行ない
前記計算値が前記剥離限界応力値を越えた時に剥離して
いると判断することを特徴としている。また、この発明
に係わる光学素子精度予測システムにおいて、前記ガラ
ス素材と前記型部材とが滑りを生じているものとして計
算する際には、実測により得られた滑り抵抗値を用いて
計算を進めることを特徴としている。
システムにおいて、前記ガラス素材と前記型部材とが固
着しているか剥離しているかを判断する際には、計算値
と実測により得られた剥離限界応力値との比較を行ない
前記計算値が前記剥離限界応力値を越えた時に剥離して
いると判断することを特徴としている。また、この発明
に係わる光学素子精度予測システムにおいて、前記ガラ
ス素材と前記型部材とが滑りを生じているものとして計
算する際には、実測により得られた滑り抵抗値を用いて
計算を進めることを特徴としている。
【0012】また、本発明に係わるガラス光学素子の最
適成形条件設定装置は、請求項1乃至3のいずれかに記
載の光学素子精度予測システムと、該光学素子精度予測
システムの解析結果に基づき光学素子の光学機能面の精
度を評価する評価手段と、光学素子に発生する精度不良
に対する各成形条件の影響度を特定した成形不良原因推
定知識データベース及び前記各成形条件を改定する際の
操作量レートを特定した成形不良修正評価データベース
を保持し、これらデータベースの内容と前記評価手段の
評価結果とに基づき前記精度不良を解消するために前記
各成形条件の操作量を算出する成形不良修正手段とを備
え、前記成形不良修正手段により改定された各成形条件
を前記光学素子精度予測システムに入力する様にしてな
ること特徴としている。
適成形条件設定装置は、請求項1乃至3のいずれかに記
載の光学素子精度予測システムと、該光学素子精度予測
システムの解析結果に基づき光学素子の光学機能面の精
度を評価する評価手段と、光学素子に発生する精度不良
に対する各成形条件の影響度を特定した成形不良原因推
定知識データベース及び前記各成形条件を改定する際の
操作量レートを特定した成形不良修正評価データベース
を保持し、これらデータベースの内容と前記評価手段の
評価結果とに基づき前記精度不良を解消するために前記
各成形条件の操作量を算出する成形不良修正手段とを備
え、前記成形不良修正手段により改定された各成形条件
を前記光学素子精度予測システムに入力する様にしてな
ること特徴としている。
【0013】また、この発明に係わるガラス光学素子の
最適成形条件設定装置において、前記成形不良修正評価
データベースは各成形条件の上限及び下限を設定してい
ることを特徴としている。また、本発明に係わるガラス
光学素子の最適成形条件設定方法は、請求項1〜3のい
ずれかに記載の光学素子精度予測システムにより解析を
行ない、該光学素子精度予測システムの解析結果に基づ
き光学素子の光学機能面の精度を評価し、該評価におい
て精度不良と判定された場合には、光学素子に発生する
精度不良に対する各成形条件の影響度に基づき前記各成
形条件を改定し、改定された各成形条件に基づき前記光
学素子精度予測システムによる解析を行ない、前記評価
において精度不良なしと判定された場合には、その際の
各成形条件を最適成形条件と設定することを特徴として
いる。
最適成形条件設定装置において、前記成形不良修正評価
データベースは各成形条件の上限及び下限を設定してい
ることを特徴としている。また、本発明に係わるガラス
光学素子の最適成形条件設定方法は、請求項1〜3のい
ずれかに記載の光学素子精度予測システムにより解析を
行ない、該光学素子精度予測システムの解析結果に基づ
き光学素子の光学機能面の精度を評価し、該評価におい
て精度不良と判定された場合には、光学素子に発生する
精度不良に対する各成形条件の影響度に基づき前記各成
形条件を改定し、改定された各成形条件に基づき前記光
学素子精度予測システムによる解析を行ない、前記評価
において精度不良なしと判定された場合には、その際の
各成形条件を最適成形条件と設定することを特徴として
いる。
【0014】また、本発明に係わるガラス光学素子の成
形方法は、軟化したガラス材料を成形用の型部材でプレ
スして所望の形状のガラス光学素子を成形するためのガ
ラス光学素子の成形方法であって、前記ガラス材料を成
形するための所定の成形条件を初期成形条件として設定
する初期成形条件設定工程と、前記初期成形条件で前記
ガラス材料を成形したときに得られる前記ガラス光学素
子の形状の、前記所望の形状からのズレ量を予測する第
1の精度予測工程と、前記予測されたズレ量に基づい
て、前記ガラス光学素子の形状が所望の形状により近く
なるように前記成形条件を調整する成形条件調整工程
と、該成形条件調整工程において調整した成形条件で前
記ガラス材料を成形したときに得られる前記ガラス光学
素子の形状の精度を予測する第2の精度予測工程と、該
第2の精度予測工程で予測された前記ガラス光学素子の
形状精度が所定の範囲に収まっていたときに、前記成形
条件調整工程において調整された成形条件で前記ガラス
材料を成形する成形工程とを具備することを特徴として
いる。
形方法は、軟化したガラス材料を成形用の型部材でプレ
スして所望の形状のガラス光学素子を成形するためのガ
ラス光学素子の成形方法であって、前記ガラス材料を成
形するための所定の成形条件を初期成形条件として設定
する初期成形条件設定工程と、前記初期成形条件で前記
ガラス材料を成形したときに得られる前記ガラス光学素
子の形状の、前記所望の形状からのズレ量を予測する第
1の精度予測工程と、前記予測されたズレ量に基づい
て、前記ガラス光学素子の形状が所望の形状により近く
なるように前記成形条件を調整する成形条件調整工程
と、該成形条件調整工程において調整した成形条件で前
記ガラス材料を成形したときに得られる前記ガラス光学
素子の形状の精度を予測する第2の精度予測工程と、該
第2の精度予測工程で予測された前記ガラス光学素子の
形状精度が所定の範囲に収まっていたときに、前記成形
条件調整工程において調整された成形条件で前記ガラス
材料を成形する成形工程とを具備することを特徴として
いる。
【0015】また、この発明に係わるガラス光学素子の
成形方法において、前記第1及び第2の精度予測工程に
おいては、前記型部材及び前記ガラス材料の中心線を通
る2次元断面の形状を、有限要素法を用いて解析して、
前記2次元断面の形状の所望の形状からのズレ量を算出
することを特徴としている。また、この発明に係わるガ
ラス光学素子の成形方法において、前記第1及び第2の
精度予測工程においては、前記型部材と前記ガラス材料
の接触条件を考慮して精度予測解析を行うことを特徴と
している。
成形方法において、前記第1及び第2の精度予測工程に
おいては、前記型部材及び前記ガラス材料の中心線を通
る2次元断面の形状を、有限要素法を用いて解析して、
前記2次元断面の形状の所望の形状からのズレ量を算出
することを特徴としている。また、この発明に係わるガ
ラス光学素子の成形方法において、前記第1及び第2の
精度予測工程においては、前記型部材と前記ガラス材料
の接触条件を考慮して精度予測解析を行うことを特徴と
している。
【0016】また、この発明に係わるガラス光学素子の
成形方法において、前記接触条件とは、前記ガラス材料
と前記型部材とが固着しているか剥離しているかの条件
であることを特徴としている。また、本発明に係わるガ
ラス光学素子の成形方法は、ガラス光学素子の成形方法
であって、ガラス材料を成形手段により所定形状に成形
するために成形条件を設定し、前記設定した成形条件を
前記成形手段を駆動するための駆動手段に入力し、前記
成形条件に基づいて成形されるべきガラス光学素子の成
形精度を予測し、該予測結果を評価して、該評価に応じ
て前記駆動手段を作動して成形操作を実行することを特
徴としている。
成形方法において、前記接触条件とは、前記ガラス材料
と前記型部材とが固着しているか剥離しているかの条件
であることを特徴としている。また、本発明に係わるガ
ラス光学素子の成形方法は、ガラス光学素子の成形方法
であって、ガラス材料を成形手段により所定形状に成形
するために成形条件を設定し、前記設定した成形条件を
前記成形手段を駆動するための駆動手段に入力し、前記
成形条件に基づいて成形されるべきガラス光学素子の成
形精度を予測し、該予測結果を評価して、該評価に応じ
て前記駆動手段を作動して成形操作を実行することを特
徴としている。
【0017】また、この発明に係わるガラス光学素子の
成形方法において、前記光学素子の成形精度の予測は、
前記成形手段及び前記ガラス材料を有限個の領域に分割
し、前記分割した各領域毎の応力状態を計算し、該応力
状態に基づいて前記成形手段と前記ガラス材料との接触
状態の判断を行い、前記ガラス材料の表面全体の接触状
態の判断により、前記成形手段と前記ガラス材料の固着
又は剥離の予測を実行することを特徴としている。
成形方法において、前記光学素子の成形精度の予測は、
前記成形手段及び前記ガラス材料を有限個の領域に分割
し、前記分割した各領域毎の応力状態を計算し、該応力
状態に基づいて前記成形手段と前記ガラス材料との接触
状態の判断を行い、前記ガラス材料の表面全体の接触状
態の判断により、前記成形手段と前記ガラス材料の固着
又は剥離の予測を実行することを特徴としている。
【0018】また、本発明に係わるガラス光学素子の成
形方法は、軟化したガラス材料を成形手段で成形して所
望の形状のガラス光学素子を成形するためのガラス光学
素子の成形方法であって、前記ガラス材料を前記成形手
段により所定形状に成形するための成形条件を設定し、
前記成形条件により前記ガラス材料が所定形状に成形さ
れる精度の予測を行い、前記予測された精度と前記成形
条件の精度との比較を実行し、前記比較結果に応じて前
記成形手段を駆動するための駆動手段を操作して成形を
実行することを特徴としている。
形方法は、軟化したガラス材料を成形手段で成形して所
望の形状のガラス光学素子を成形するためのガラス光学
素子の成形方法であって、前記ガラス材料を前記成形手
段により所定形状に成形するための成形条件を設定し、
前記成形条件により前記ガラス材料が所定形状に成形さ
れる精度の予測を行い、前記予測された精度と前記成形
条件の精度との比較を実行し、前記比較結果に応じて前
記成形手段を駆動するための駆動手段を操作して成形を
実行することを特徴としている。
【0019】また、本発明に係わるガラス光学素子の成
形方法は、軟化したガラス材料を成形手段で成形して所
望の形状のガラス光学素子を成形するためのガラス光学
素子の成形方法であって、前記成形手段を駆動する駆動
手段に成形条件を入力し、前記成形手段により前記成形
条件に基づいて成形を行った場合に成形される光学素子
の形状精度の予測を行い、該予測された形状精度の評価
を実行し、該評価結果に応じて、前記成形条件の修正を
行うことを特徴としている。
形方法は、軟化したガラス材料を成形手段で成形して所
望の形状のガラス光学素子を成形するためのガラス光学
素子の成形方法であって、前記成形手段を駆動する駆動
手段に成形条件を入力し、前記成形手段により前記成形
条件に基づいて成形を行った場合に成形される光学素子
の形状精度の予測を行い、該予測された形状精度の評価
を実行し、該評価結果に応じて、前記成形条件の修正を
行うことを特徴としている。
【0020】また、この発明に係わるガラス光学素子の
成形方法において、前記成形条件の修正は、該成形条件
を構成する各パラメータに重み付けを行い、該重み付け
に基づいて各パラメータを変更することにより行うこと
を特徴としている。また、この発明に係わるガラス光学
素子の成形方法において、前記成形条件を構成するパラ
メータには、少なくとも冷却中のプレス荷重と、冷却速
度とが含まれることを特徴としている。
成形方法において、前記成形条件の修正は、該成形条件
を構成する各パラメータに重み付けを行い、該重み付け
に基づいて各パラメータを変更することにより行うこと
を特徴としている。また、この発明に係わるガラス光学
素子の成形方法において、前記成形条件を構成するパラ
メータには、少なくとも冷却中のプレス荷重と、冷却速
度とが含まれることを特徴としている。
【0021】また、この発明に係わるガラス光学素子の
成形方法において、前記成形条件の重み付けは、前記光
学素子の形状の変化量に対する前記各パラメータの影響
度に応じて行うことを特徴としている。また、本発明に
係わるガラス光学素子の成形装置は、ガラス光学素子の
成形装置であって、加熱されたガラス材料をプレスして
所定形状に成形するための成形手段と、該成形手段を駆
動する駆動手段と、前記成形手段の成形条件を入力する
入力手段と、前記成形条件に基づいて成形される光学素
子の精度を予測する精度予測手段と、該精度予測手段の
予測結果に応じて前記駆動手段を作動させる作動手段と
を具備することを特徴としている。
成形方法において、前記成形条件の重み付けは、前記光
学素子の形状の変化量に対する前記各パラメータの影響
度に応じて行うことを特徴としている。また、本発明に
係わるガラス光学素子の成形装置は、ガラス光学素子の
成形装置であって、加熱されたガラス材料をプレスして
所定形状に成形するための成形手段と、該成形手段を駆
動する駆動手段と、前記成形手段の成形条件を入力する
入力手段と、前記成形条件に基づいて成形される光学素
子の精度を予測する精度予測手段と、該精度予測手段の
予測結果に応じて前記駆動手段を作動させる作動手段と
を具備することを特徴としている。
【0022】また、この発明に係わるガラス光学素子の
成形装置において、前記精度予測手段の結果を評価する
評価手段と、該評価手段の評価結果に応じて前記成形条
件を変更する変更手段とをさらに具備することを特徴と
している。また、この発明に係わるガラス光学素子の成
形装置において、前記精度予測手段は前記成形手段の成
形動作により生じる前記ガラス材料の各部の応力を計算
し、該計算結果に基づいて、成形されるガラス光学素子
の精度を予測することを特徴としている。
成形装置において、前記精度予測手段の結果を評価する
評価手段と、該評価手段の評価結果に応じて前記成形条
件を変更する変更手段とをさらに具備することを特徴と
している。また、この発明に係わるガラス光学素子の成
形装置において、前記精度予測手段は前記成形手段の成
形動作により生じる前記ガラス材料の各部の応力を計算
し、該計算結果に基づいて、成形されるガラス光学素子
の精度を予測することを特徴としている。
【0023】また、この発明に係わるガラス光学素子の
成形装置において、前記成形条件を構成する各パラメー
タの前記光学素子の形状精度への影響度を蓄積したデー
タをさらに具備し、前記変更手段は、前記データに基づ
いて前記成形条件を変更することを特徴としている。ま
た、本発明に係わるガラス光学素子は、軟化したガラス
材料を成形手段でプレスすることにより所望の形状に成
形されたガラス光学素子であって、前記成形手段による
前記ガラス材料の成形条件を設定し、前記成形条件によ
り成形される光学素子の精度を予測し、前記精度を評価
して、その結果に応じて成形条件を修正し、前記成形手
段により、前記修正された成形条件で成形を行うことに
より製造されたことを特徴としている。
成形装置において、前記成形条件を構成する各パラメー
タの前記光学素子の形状精度への影響度を蓄積したデー
タをさらに具備し、前記変更手段は、前記データに基づ
いて前記成形条件を変更することを特徴としている。ま
た、本発明に係わるガラス光学素子は、軟化したガラス
材料を成形手段でプレスすることにより所望の形状に成
形されたガラス光学素子であって、前記成形手段による
前記ガラス材料の成形条件を設定し、前記成形条件によ
り成形される光学素子の精度を予測し、前記精度を評価
して、その結果に応じて成形条件を修正し、前記成形手
段により、前記修正された成形条件で成形を行うことに
より製造されたことを特徴としている。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な一実施形態
について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。。
図1は、一実施形態のガラス光学素子の最適成形条件設
定装置の構成を示すブロック図である。
について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。。
図1は、一実施形態のガラス光学素子の最適成形条件設
定装置の構成を示すブロック図である。
【0025】精度予測システムによって、光学素子の成
形後の精度を、実際の成形を行なうことなく、予測す
る。そして、その結果を評価手段で判断する。評価手段
で精度不良なし(即ち、製品の品質許容範囲内である)
と判断された場合には、その時の精度予測システムで入
力された成形条件を最適成形条件として出力する。この
出力は成形機へと入力される。評価手段で精度不良と判
断された場合には、その内容を成形不良修正手段へと出
力する。
形後の精度を、実際の成形を行なうことなく、予測す
る。そして、その結果を評価手段で判断する。評価手段
で精度不良なし(即ち、製品の品質許容範囲内である)
と判断された場合には、その時の精度予測システムで入
力された成形条件を最適成形条件として出力する。この
出力は成形機へと入力される。評価手段で精度不良と判
断された場合には、その内容を成形不良修正手段へと出
力する。
【0026】成形不良修正手段は、成形不良原因推定知
識データベース及び成形不良修正評価データベースの2
つのデータベースを所有しており、評価手段より出力さ
れた不良点を解消するために各成形条件を改定し、この
改定成形条件を精度予測システムへと出力する。以上の
工程を、精度不良なしと評価手段で判断されるまで、繰
り返し行なう。そして、精度不良なしと判断された時の
成形条件を最適成形条件として設定する。
識データベース及び成形不良修正評価データベースの2
つのデータベースを所有しており、評価手段より出力さ
れた不良点を解消するために各成形条件を改定し、この
改定成形条件を精度予測システムへと出力する。以上の
工程を、精度不良なしと評価手段で判断されるまで、繰
り返し行なう。そして、精度不良なしと判断された時の
成形条件を最適成形条件として設定する。
【0027】ここで、精度予測システムにおける解析用
モデルの作成、及び、物性値、基本境界条件及び成形条
件(初期値のみ)の入力は、オペレータによって行なわ
れるが、その他の入出力及び判断は、すべてコンピュー
タにより自動的に行なわれる。以下の説明では、フロー
チャートやデータベース表等を図示しているが、それら
は、すべて説明のためコンピュータ内のプログラムやメ
モリの内容をイメージ化したものであり、実際に表やグ
ラフをオペレータが見て入出力や判断を行なっているの
ではない。また、上記評価手段での成形不良の有無の判
断も成形不良の情報を蓄積したデータベースを用いてコ
ンピュータが行なっている。
モデルの作成、及び、物性値、基本境界条件及び成形条
件(初期値のみ)の入力は、オペレータによって行なわ
れるが、その他の入出力及び判断は、すべてコンピュー
タにより自動的に行なわれる。以下の説明では、フロー
チャートやデータベース表等を図示しているが、それら
は、すべて説明のためコンピュータ内のプログラムやメ
モリの内容をイメージ化したものであり、実際に表やグ
ラフをオペレータが見て入出力や判断を行なっているの
ではない。また、上記評価手段での成形不良の有無の判
断も成形不良の情報を蓄積したデータベースを用いてコ
ンピュータが行なっている。
【0028】次に、本装置の個々の構成要素について説
明する。 (1)精度予測システム 図2に、精度予測システムの動作のフローチャートを示
す。まず、ステップS1において、シミュレーションを
行なうための初期値データとして、モデル、物性値、基
本境界条件、及び初期成形条件のデータを入力する。
明する。 (1)精度予測システム 図2に、精度予測システムの動作のフローチャートを示
す。まず、ステップS1において、シミュレーションを
行なうための初期値データとして、モデル、物性値、基
本境界条件、及び初期成形条件のデータを入力する。
【0029】ここでは、図3に示すような両凹面のガラ
スレンズ302についてシミュレーションを行なう場合
につき説明する。このレンズは、上側の光学機能面の設
定曲率半径(R)が5mmで直径(φ)が9mm、下側
の光学機能面の設定曲率半径が12.3mmで直径が1
2mm、中心部の肉厚が0.6mmの両凹形状のレンズ
である。
スレンズ302についてシミュレーションを行なう場合
につき説明する。このレンズは、上側の光学機能面の設
定曲率半径(R)が5mmで直径(φ)が9mm、下側
の光学機能面の設定曲率半径が12.3mmで直径が1
2mm、中心部の肉厚が0.6mmの両凹形状のレンズ
である。
【0030】図4に解析用のモデルを示す。図中、30
2は上記のガラスレンズを示し、304はガラスレンズ
302の上側の光学機能面を成形するための上型部材を
示し、306はガラスレンズ302の下側の光学機能面
を成形するための下型部材を示している。ガラスレンズ
302の外側面は、図3に示すように所定の曲率を有す
る球面に形成されているが、この部分の形状は光学機能
面の形状解析を行う上ではあまり影響を及ぼさないた
め、解析用のモデルにおいては、直線状の円筒面として
近似した。なお、本実施形態では、型部材とガラス素材
との接触状態が重要なポイントとなるため、型部材とガ
ラス素材とを、それぞれ別のモデルで表現している。
2は上記のガラスレンズを示し、304はガラスレンズ
302の上側の光学機能面を成形するための上型部材を
示し、306はガラスレンズ302の下側の光学機能面
を成形するための下型部材を示している。ガラスレンズ
302の外側面は、図3に示すように所定の曲率を有す
る球面に形成されているが、この部分の形状は光学機能
面の形状解析を行う上ではあまり影響を及ぼさないた
め、解析用のモデルにおいては、直線状の円筒面として
近似した。なお、本実施形態では、型部材とガラス素材
との接触状態が重要なポイントとなるため、型部材とガ
ラス素材とを、それぞれ別のモデルで表現している。
【0031】ここで、本実施形態では、解析に有限要素
法を用いたソフトである、日本マーク社製MARCを使
用したため、モデルは1つの物体を有限個の領域に分割
したものとして作成した。これらのモデルにおいては、
解析対象物が回転軸を中心とする軸対称構造をなしてい
るため、上型部材、下型部材、及びガラス素材を回転軸
を通る2次元断面で表わし、これらを有限個の領域に分
割している。また、この2次元断面も回転軸に対して対
称であるため、図4に示すような回転軸を境とする半断
面の解析だけで充分である。分割領域数は、細かくする
ほど解析精度は向上するが、演算処理に時間がかかるよ
うになるため、解析に必要とされる所望の精度に合わせ
て決定する。特に本実施形態では、上型部材304及び
下型部材306の成形面近傍の熱膨張等に起因する変位
及び応力がガラスレンズ302の成形精度を解析する上
できわめて重要であるため、この成形面近傍を細かく分
割し、成形面から離れるにつれて粗い分割としている。
また、ガラスレンズ部分302については、解析を行う
上で、その光学機能面だけでなく、内部の応力状態及び
変位状態の詳しいデータが必要となるため、全体を細か
く分割したモデルとしている。具体的には、プリプロセ
ッサーソフトとして日本マーク社製MENTATを使用
して、型部材部分を約2000個の要素に分割し、ガラ
スレンズ部分を約1000個の要素に分割した。なお、
上記のように本実施形態では、解析のために基本的には
有限要素解析ソフトMARCを使用しているが、実際上
は図2にA部として示すMARCの機能部分に、図2に
B部として示す本願発明者等が独自に開発したソフト部
分を付加することにより、本願独自のシミュレーション
システムを構築している。
法を用いたソフトである、日本マーク社製MARCを使
用したため、モデルは1つの物体を有限個の領域に分割
したものとして作成した。これらのモデルにおいては、
解析対象物が回転軸を中心とする軸対称構造をなしてい
るため、上型部材、下型部材、及びガラス素材を回転軸
を通る2次元断面で表わし、これらを有限個の領域に分
割している。また、この2次元断面も回転軸に対して対
称であるため、図4に示すような回転軸を境とする半断
面の解析だけで充分である。分割領域数は、細かくする
ほど解析精度は向上するが、演算処理に時間がかかるよ
うになるため、解析に必要とされる所望の精度に合わせ
て決定する。特に本実施形態では、上型部材304及び
下型部材306の成形面近傍の熱膨張等に起因する変位
及び応力がガラスレンズ302の成形精度を解析する上
できわめて重要であるため、この成形面近傍を細かく分
割し、成形面から離れるにつれて粗い分割としている。
また、ガラスレンズ部分302については、解析を行う
上で、その光学機能面だけでなく、内部の応力状態及び
変位状態の詳しいデータが必要となるため、全体を細か
く分割したモデルとしている。具体的には、プリプロセ
ッサーソフトとして日本マーク社製MENTATを使用
して、型部材部分を約2000個の要素に分割し、ガラ
スレンズ部分を約1000個の要素に分割した。なお、
上記のように本実施形態では、解析のために基本的には
有限要素解析ソフトMARCを使用しているが、実際上
は図2にA部として示すMARCの機能部分に、図2に
B部として示す本願発明者等が独自に開発したソフト部
分を付加することにより、本願独自のシミュレーション
システムを構築している。
【0032】ガラス素材としては、例えば、重クラウン
系ガラスSK12(屈折率nd =1.58313、アッ
ベ数νd =59.4、ガラス転移点Tg =550℃、屈
伏点At =588℃)を使用した。なお、このガラス素
材の組成を図5に示し、ガラス素材及び型部材の物性値
を図6に示す。更に、境界条件として、図4に示すモデ
ル図において、上型部材304の上面及び下型部材30
6の下面には、温度規定条件として後に入力する成形サ
イクルの温度をそのままダイレクトに入力した。また、
それ以外の表面部については、断熱条件とした。
系ガラスSK12(屈折率nd =1.58313、アッ
ベ数νd =59.4、ガラス転移点Tg =550℃、屈
伏点At =588℃)を使用した。なお、このガラス素
材の組成を図5に示し、ガラス素材及び型部材の物性値
を図6に示す。更に、境界条件として、図4に示すモデ
ル図において、上型部材304の上面及び下型部材30
6の下面には、温度規定条件として後に入力する成形サ
イクルの温度をそのままダイレクトに入力した。また、
それ以外の表面部については、断熱条件とした。
【0033】変位拘束条件としては、本実施形態では、
モデルに使用した要素が軸対称2次元要素であるため、
半径方向(x方向)には剛体変位が生ずる心配がなく、
回転軸方向(y方向)に強制拘束ポイントを設けるだけ
で、x方向には強制拘束ポイントを設ける必要はない。
そこで、図4に示すモデル図において、下型部材の下面
全部に対して、回転軸方向(y方向)に変位を生じない
強制拘束ポイントを設けた。更に、上型部材及びガラス
素材が回転軸方向(y方向)に剛体変位を生じない様
に、上方部材の上面に対して微小加重(1N)を常に負
荷した状態とした。
モデルに使用した要素が軸対称2次元要素であるため、
半径方向(x方向)には剛体変位が生ずる心配がなく、
回転軸方向(y方向)に強制拘束ポイントを設けるだけ
で、x方向には強制拘束ポイントを設ける必要はない。
そこで、図4に示すモデル図において、下型部材の下面
全部に対して、回転軸方向(y方向)に変位を生じない
強制拘束ポイントを設けた。更に、上型部材及びガラス
素材が回転軸方向(y方向)に剛体変位を生じない様
に、上方部材の上面に対して微小加重(1N)を常に負
荷した状態とした。
【0034】更に、本実施形態では、型部材とガラス素
材との間に接触条件を設定している。この接触条件と
は、型部材とガラスとが完全に固着している状態にある
か、あるいは剥離している状態にあるかによって決定さ
れるものである。解析開始時の初期状態では、型部材と
ガラスとは完全に固着状態であり、互いに拘束しあい、
接触点では常に同等の変位を生じている状態にある。ま
た、解析が進むにつれて、型部材とガラス素材とが剥離
する場合が生じてくるため、その際には、接触部の境界
条件は変化し、型部材とガラス素材とは互いの要素領域
に入り込むことなく互いに滑りを生ずることが可能な境
界条件となる。
材との間に接触条件を設定している。この接触条件と
は、型部材とガラスとが完全に固着している状態にある
か、あるいは剥離している状態にあるかによって決定さ
れるものである。解析開始時の初期状態では、型部材と
ガラスとは完全に固着状態であり、互いに拘束しあい、
接触点では常に同等の変位を生じている状態にある。ま
た、解析が進むにつれて、型部材とガラス素材とが剥離
する場合が生じてくるため、その際には、接触部の境界
条件は変化し、型部材とガラス素材とは互いの要素領域
に入り込むことなく互いに滑りを生ずることが可能な境
界条件となる。
【0035】次に、成形条件を決定する各パラメータの
値を入力する。ここで入力される各パラメータの値は、
第1回目の解析用のものであり、任意の値を入力するこ
とができる。これを用いて解析を行い、その結果成形不
良が発生すると予測された場合には、後述する成形不良
修正手段によって各パラメータの値を修正して再度解析
を行う。本実施形態では、初期成形条件として、同一の
ガラス素材SK12を用いて但し凸形状のレンズを成形
する際の成形条件をとりあえず入力した。この成形条件
での各パラメータの値は、成形時のプレス温度620
℃、荷重4000N、また冷却中600℃〜530℃の
間にガラス素材に負荷する荷重6000Nである。ま
た、冷却速度は、−40℃/minに設定し、冷却中の
上下の型部材間の温度差は10℃だけ上型部材が下型部
材よりも高温となる様に設定した。
値を入力する。ここで入力される各パラメータの値は、
第1回目の解析用のものであり、任意の値を入力するこ
とができる。これを用いて解析を行い、その結果成形不
良が発生すると予測された場合には、後述する成形不良
修正手段によって各パラメータの値を修正して再度解析
を行う。本実施形態では、初期成形条件として、同一の
ガラス素材SK12を用いて但し凸形状のレンズを成形
する際の成形条件をとりあえず入力した。この成形条件
での各パラメータの値は、成形時のプレス温度620
℃、荷重4000N、また冷却中600℃〜530℃の
間にガラス素材に負荷する荷重6000Nである。ま
た、冷却速度は、−40℃/minに設定し、冷却中の
上下の型部材間の温度差は10℃だけ上型部材が下型部
材よりも高温となる様に設定した。
【0036】次に、ステップS2において解析計算を開
始する。解析は微小時間Δtずつ進めていくが、先ず、
解析の現在の時間tnow が0である状態即ち初期状態の
計算を行なう。この初期状態とは、上型部材と下型部材
によるガラス素材のプレス工程が完全に終了して、これ
から冷却を行おうとする時点の状態を指す。本実施形態
では、tnow =0での全モデル内の応力σnow を0と仮
定した。これは、型部材によるガラス素材のプレスの段
階では、ガラス素材は軟化状態にあるため、型部材によ
りプレス成形されても変形中は内部応力が生ずるもの
の、プレスが終了して高温状態で所定時間放置されれ
ば、ガラス素材の内部応力はしだいに緩和されほとんど
0になるからである。また、それに応じて型部材にも外
力が働かなくなり、型部材内の応力も0となる。型部材
とガラス素材に応力が発生するのは、主に冷却工程にお
いて、型部材とガラス素材の熱膨張係数の違いにより型
部材とガラス素材の変位に差が生ずるからであり、この
応力こそが成形されるガラスレンズに歪みを与える原因
となる。従って、本解析システムでは、この冷却工程で
の型部材とガラス素材の変位及び応力の変化に主点を於
いて解析を行うものである。なお、温度分布に関して
も、プレスが終了した時点では型部材及びガラス素材の
温度はほとんど一様の温度(即ちプレス温度である62
0°C)になっているため、tnow =0ではモデル内に
温度分布はなく一様であり、全要素とも初期温度はプレ
ス温度である620℃と仮定した。
始する。解析は微小時間Δtずつ進めていくが、先ず、
解析の現在の時間tnow が0である状態即ち初期状態の
計算を行なう。この初期状態とは、上型部材と下型部材
によるガラス素材のプレス工程が完全に終了して、これ
から冷却を行おうとする時点の状態を指す。本実施形態
では、tnow =0での全モデル内の応力σnow を0と仮
定した。これは、型部材によるガラス素材のプレスの段
階では、ガラス素材は軟化状態にあるため、型部材によ
りプレス成形されても変形中は内部応力が生ずるもの
の、プレスが終了して高温状態で所定時間放置されれ
ば、ガラス素材の内部応力はしだいに緩和されほとんど
0になるからである。また、それに応じて型部材にも外
力が働かなくなり、型部材内の応力も0となる。型部材
とガラス素材に応力が発生するのは、主に冷却工程にお
いて、型部材とガラス素材の熱膨張係数の違いにより型
部材とガラス素材の変位に差が生ずるからであり、この
応力こそが成形されるガラスレンズに歪みを与える原因
となる。従って、本解析システムでは、この冷却工程で
の型部材とガラス素材の変位及び応力の変化に主点を於
いて解析を行うものである。なお、温度分布に関して
も、プレスが終了した時点では型部材及びガラス素材の
温度はほとんど一様の温度(即ちプレス温度である62
0°C)になっているため、tnow =0ではモデル内に
温度分布はなく一様であり、全要素とも初期温度はプレ
ス温度である620℃と仮定した。
【0037】次に、ステップS3から、冷却開始時点か
ら時間をΔtずつ進行させながら応力変形解析を行うル
ープに入るが、まず最初においては、tnow=Δtでの
応力変形解析を行う。この解析は解析用ソフトMARC
によって行われる。本実施形態では、非定常非線形の熱
伝導方程式 ρ・c(∂T/∂t)=k{(∂2 T/∂x2 )+(∂
2 T/∂y2 )+(∂2 T/∂z2 )}+Q を各節点につき全て解き、先ず、モデル内の温度分布を
求める熱伝導解析を行なう。ここで、Tは温度であり、
空間x,y,z及び時間tの関数である。ρは密度であ
り、cは比熱であり、kは熱伝導率であり、ρ、c及び
kはそれぞれ温度Tの関数である。また、Qは内部発熱
量であり、これは本実施形態の場合、型部材及びガラス
素材の内部には発熱部がないため0である。
ら時間をΔtずつ進行させながら応力変形解析を行うル
ープに入るが、まず最初においては、tnow=Δtでの
応力変形解析を行う。この解析は解析用ソフトMARC
によって行われる。本実施形態では、非定常非線形の熱
伝導方程式 ρ・c(∂T/∂t)=k{(∂2 T/∂x2 )+(∂
2 T/∂y2 )+(∂2 T/∂z2 )}+Q を各節点につき全て解き、先ず、モデル内の温度分布を
求める熱伝導解析を行なう。ここで、Tは温度であり、
空間x,y,z及び時間tの関数である。ρは密度であ
り、cは比熱であり、kは熱伝導率であり、ρ、c及び
kはそれぞれ温度Tの関数である。また、Qは内部発熱
量であり、これは本実施形態の場合、型部材及びガラス
素材の内部には発熱部がないため0である。
【0038】その後、力のつりあいの式 (∂σx/∂x)+(∂τyz/∂y)+(∂τzx/∂
z)+X=0 を、各節点ごとに、各x,y,z成分につき計算し、応
力変形解析を行なう。この計算により、各節点の座標も
求められる。ここで、σは応力、τは剪断応力、x,
y,zは各座標成分を表す。また、Xは外力のx成分で
ある。この式はx成分に対する式であり、y,z成分に
ついても同様である。
z)+X=0 を、各節点ごとに、各x,y,z成分につき計算し、応
力変形解析を行なう。この計算により、各節点の座標も
求められる。ここで、σは応力、τは剪断応力、x,
y,zは各座標成分を表す。また、Xは外力のx成分で
ある。この式はx成分に対する式であり、y,z成分に
ついても同様である。
【0039】以上の様にして、tnow=Δtでのモデル
内の応力分布が算出されたところで、ステップS6にお
いて、本願発明者等が開発した固着判断モジュールによ
って、型部材とガラス素材とが接触している界面での現
在の応力σnow を調べ、σnow が大きい節点から順に、
型部材とガラス素材とが剥離するか固着状態のままかの
判断を行なう。ガラス素材が型部材に完全に固着した状
態で冷却が進むか、あるいは剥離した状態で冷却が進む
かによって、完成したガラスレンズの形状精度は大きく
異なるため、このような固着か剥離かを判断し、それを
応力変形解析に反映させることは極めて重要である。
内の応力分布が算出されたところで、ステップS6にお
いて、本願発明者等が開発した固着判断モジュールによ
って、型部材とガラス素材とが接触している界面での現
在の応力σnow を調べ、σnow が大きい節点から順に、
型部材とガラス素材とが剥離するか固着状態のままかの
判断を行なう。ガラス素材が型部材に完全に固着した状
態で冷却が進むか、あるいは剥離した状態で冷却が進む
かによって、完成したガラスレンズの形状精度は大きく
異なるため、このような固着か剥離かを判断し、それを
応力変形解析に反映させることは極めて重要である。
【0040】ステップS6において、もし全ての節点に
剥離が生じていないと判断された場合には、ステップS
9に進み、tnow=ttotalとなったか否かを判断する。
本実施形態では、ttotalは、プレス温度(初期温度)
である620°Cから室温(20°C)まで型部材及び
ガラス素材が冷却される時間を表わし、具体的にはtto
tal=5分30秒である。
剥離が生じていないと判断された場合には、ステップS
9に進み、tnow=ttotalとなったか否かを判断する。
本実施形態では、ttotalは、プレス温度(初期温度)
である620°Cから室温(20°C)まで型部材及び
ガラス素材が冷却される時間を表わし、具体的にはtto
tal=5分30秒である。
【0041】ステップS9で、まだtnow=ttotalとな
っていない場合には、ステップS3に戻り、時間tnow
をΔtずつ進めてステップS3からステップS9を繰り
返し、ステップS9においてtnow=ttotalとなった時
点でステップS10に進み、応力変形解析の計算結果を
出力する。この結果は、図4に示したモデルの各節点の
XYZ座標値の形式で出力される。
っていない場合には、ステップS3に戻り、時間tnow
をΔtずつ進めてステップS3からステップS9を繰り
返し、ステップS9においてtnow=ttotalとなった時
点でステップS10に進み、応力変形解析の計算結果を
出力する。この結果は、図4に示したモデルの各節点の
XYZ座標値の形式で出力される。
【0042】なお、上記のステップS3からステップS
9のループにおいて、型部材及びガラス素材の冷却の開
始から終了までの間1つの節点も剥離を起こさなかった
場合(ステップS6において一度も剥離と判断されなか
った場合)には、型部材及びガラス素材は、冷却の開始
から終了まで、完全に固着した状態であったことを意味
する。
9のループにおいて、型部材及びガラス素材の冷却の開
始から終了までの間1つの節点も剥離を起こさなかった
場合(ステップS6において一度も剥離と判断されなか
った場合)には、型部材及びガラス素材は、冷却の開始
から終了まで、完全に固着した状態であったことを意味
する。
【0043】一方、ステップS6においてある節点が剥
離したと判断された場合について説明する。節点の固着
か剥離かの判断は、例えば、界面でのσnow と剥離する
限界の応力値σlimit との比較をすることによって行な
う。そして、σnow ≦σlimit の場合には両者は固着し
ていると判断し、σnow >σlimit の場合には両者は剥
離すると判断する。剥離の判断がなされた場合には、そ
の節点でのガラス素材と型部材との固着状態を解除す
る。これにより、両者は、接触面での法線方向には互い
に拘束しあい接線方向には拘束が解除された状態にな
る。すると、現在注目している節点が固着状態として計
算されていた応力は、その節点を剥離状態にすることに
よって、その節点の周囲の応力場に変化をもたらしてし
まう。そのため、現在注目している節点を剥離状態にし
た上で再度応力変形解析をし直す必要がある。この応力
変形解析をし直すときには、剥離した節点の界面におけ
る接線方向について、滑り抵抗μを入力し(ステップS
7)、再度滑り状態を考慮した状態でMARCにより応
力変形解析を行う(ステップS8)。なお、上記の滑り
抵抗μを入力するということは、今まで固着状態であっ
た境界条件、即ち型部材側とガラス素材側の節点が界面
において全く同じ変位をするという境界条件を、剥離し
た節点において型部材側の節点とガラス素材側の節点が
互いに界面の接線方向に相対変位可能であるが、ただし
それらの節点には界面の接線方向にプレス荷重×μの拘
束力が働くという境界条件に置き換えることを意味して
いる。そして、このやり直した応力変形解析により、モ
デル内の応力分布が算出されたところで、ステップS6
に戻り、界面のσnow を調べ、剥離か固着かの判断を再
び行なう。
離したと判断された場合について説明する。節点の固着
か剥離かの判断は、例えば、界面でのσnow と剥離する
限界の応力値σlimit との比較をすることによって行な
う。そして、σnow ≦σlimit の場合には両者は固着し
ていると判断し、σnow >σlimit の場合には両者は剥
離すると判断する。剥離の判断がなされた場合には、そ
の節点でのガラス素材と型部材との固着状態を解除す
る。これにより、両者は、接触面での法線方向には互い
に拘束しあい接線方向には拘束が解除された状態にな
る。すると、現在注目している節点が固着状態として計
算されていた応力は、その節点を剥離状態にすることに
よって、その節点の周囲の応力場に変化をもたらしてし
まう。そのため、現在注目している節点を剥離状態にし
た上で再度応力変形解析をし直す必要がある。この応力
変形解析をし直すときには、剥離した節点の界面におけ
る接線方向について、滑り抵抗μを入力し(ステップS
7)、再度滑り状態を考慮した状態でMARCにより応
力変形解析を行う(ステップS8)。なお、上記の滑り
抵抗μを入力するということは、今まで固着状態であっ
た境界条件、即ち型部材側とガラス素材側の節点が界面
において全く同じ変位をするという境界条件を、剥離し
た節点において型部材側の節点とガラス素材側の節点が
互いに界面の接線方向に相対変位可能であるが、ただし
それらの節点には界面の接線方向にプレス荷重×μの拘
束力が働くという境界条件に置き換えることを意味して
いる。そして、このやり直した応力変形解析により、モ
デル内の応力分布が算出されたところで、ステップS6
に戻り、界面のσnow を調べ、剥離か固着かの判断を再
び行なう。
【0044】以上の様なループを、ガラス素材と型部材
との界面に位置する節点が全て剥離するまで、繰り返し
行なう。ここで、界面上のすべての節点が剥離するまで
ステップS6〜ステップS8のループを繰り返すのは、
実際上界面に位置する接点が一つでも剥離すると、既に
述べたようにこの剥離が周囲の応力場に影響を与え、剥
離がしだいに広がり、結果的には全ての節点が剥離する
ことになるからである。従って、少なくとも1つの節点
が剥離した場合には、すべての節点が剥離するまで応力
場は安定せず、応力場が安定するまで応力変形解析を繰
り返す必要がある。
との界面に位置する節点が全て剥離するまで、繰り返し
行なう。ここで、界面上のすべての節点が剥離するまで
ステップS6〜ステップS8のループを繰り返すのは、
実際上界面に位置する接点が一つでも剥離すると、既に
述べたようにこの剥離が周囲の応力場に影響を与え、剥
離がしだいに広がり、結果的には全ての節点が剥離する
ことになるからである。従って、少なくとも1つの節点
が剥離した場合には、すべての節点が剥離するまで応力
場は安定せず、応力場が安定するまで応力変形解析を繰
り返す必要がある。
【0045】そして、ステップS6〜ステップS8まで
のループにおいて、界面に位置する全ての節点が剥離状
態となると、ステップS9に進み、tnow=ttotalかを
判定し、まだtnowがttotalに達していない場合には、
時間tnowをΔtずつ進めてステップS3〜ステップS
9を繰り返す。このとき、すべての節点が剥離状態とな
った次のループからは、ステップS6において、すべて
の節点が剥離状態になっていると判断されるので、ステ
ップS7及びステップS8は行わず、すぐにステップS
9に進む。そして、ステップS9において、tnow=tt
otalとなった時点でステップS10に進み、応力変位解
析の計算結果を出力する。この結果は、図4に示したモ
デルの各節点のXYZ座標値の形式で出力される。
のループにおいて、界面に位置する全ての節点が剥離状
態となると、ステップS9に進み、tnow=ttotalかを
判定し、まだtnowがttotalに達していない場合には、
時間tnowをΔtずつ進めてステップS3〜ステップS
9を繰り返す。このとき、すべての節点が剥離状態とな
った次のループからは、ステップS6において、すべて
の節点が剥離状態になっていると判断されるので、ステ
ップS7及びステップS8は行わず、すぐにステップS
9に進む。そして、ステップS9において、tnow=tt
otalとなった時点でステップS10に進み、応力変位解
析の計算結果を出力する。この結果は、図4に示したモ
デルの各節点のXYZ座標値の形式で出力される。
【0046】なお、上記の滑り抵抗μは、接触面におけ
る型部材とガラス素材との表面層の種類、環境及び状態
によって定まる一義的な値である。この値は次の様にし
て求めることができる。即ち、予め1m四方の炉体中を
N2 雰囲気に置換し、ヒータによる昇温機能を備えた実
験装置内で、上記ガラス素材及び型部材の回転摩擦実験
を行ない、その際の回転トルクと回転抵抗力により、滑
り抵抗μを算出することができる。この滑り抵抗値は例
えば、0.01である。
る型部材とガラス素材との表面層の種類、環境及び状態
によって定まる一義的な値である。この値は次の様にし
て求めることができる。即ち、予め1m四方の炉体中を
N2 雰囲気に置換し、ヒータによる昇温機能を備えた実
験装置内で、上記ガラス素材及び型部材の回転摩擦実験
を行ない、その際の回転トルクと回転抵抗力により、滑
り抵抗μを算出することができる。この滑り抵抗値は例
えば、0.01である。
【0047】また、σlimit については、以下の方法で
測定された実験値を用いることができる。即ち、同一ガ
ラス素材からなる平板ブランクを、同一素材からなる型
部材によってプレス実験を行ない、冷却中に型部材から
ガラス素材が剥離する瞬間を超音波深傷機によって見極
める(ステップS10a)。そして、この剥離した瞬間
の温度をTlimitとする。次に、この実験に用いた型部
材及びガラス素材を図4と同様にモデル化し、MARC
を用いて応力変形解析を行う(ステップS11)。この
解析は、型部材とガラス素材とが完全に固着している条
件で行ない、冷却工程中に温度がTlimit になった時の
型部材とガラス素材との界面における応力をσlimit と
する(ステップS12)。本実施形態では、Tlimit は
550℃であり、σlimit は50.2MN/m2 であっ
た。上記のステップS10a〜ステップS12を行い、
上記の限界剥離応力σlimitを予めメモリに記憶してお
く。そして、実際のガラスレンズの形状精度予測解析
(ステップS1〜ステップS10)では、ステップS6
において、ステップS13に示すようなσnowとσlimit
の比較を行い、固着と剥離の判断を行う。
測定された実験値を用いることができる。即ち、同一ガ
ラス素材からなる平板ブランクを、同一素材からなる型
部材によってプレス実験を行ない、冷却中に型部材から
ガラス素材が剥離する瞬間を超音波深傷機によって見極
める(ステップS10a)。そして、この剥離した瞬間
の温度をTlimitとする。次に、この実験に用いた型部
材及びガラス素材を図4と同様にモデル化し、MARC
を用いて応力変形解析を行う(ステップS11)。この
解析は、型部材とガラス素材とが完全に固着している条
件で行ない、冷却工程中に温度がTlimit になった時の
型部材とガラス素材との界面における応力をσlimit と
する(ステップS12)。本実施形態では、Tlimit は
550℃であり、σlimit は50.2MN/m2 であっ
た。上記のステップS10a〜ステップS12を行い、
上記の限界剥離応力σlimitを予めメモリに記憶してお
く。そして、実際のガラスレンズの形状精度予測解析
(ステップS1〜ステップS10)では、ステップS6
において、ステップS13に示すようなσnowとσlimit
の比較を行い、固着と剥離の判断を行う。
【0048】(2)評価手段 ここでは、精度予測システムの解析結果として出力され
る予測値に精度不良が発生していないか否かを判定す
る。ここで、精度不良がなければ、精度予測システムに
入力した成形条件を最適成形条件として実際の成形機へ
と出力する。逆に、精度不良が発生していると判定され
た場合には、その評価結果の情報(不良点)が成形不良
修正手段へと送られる。
る予測値に精度不良が発生していないか否かを判定す
る。ここで、精度不良がなければ、精度予測システムに
入力した成形条件を最適成形条件として実際の成形機へ
と出力する。逆に、精度不良が発生していると判定され
た場合には、その評価結果の情報(不良点)が成形不良
修正手段へと送られる。
【0049】本実施形態で対象としている図3のガラス
レンズでは、光学機能面の設計値Rからのずれの許容範
囲(製品の品質許容範囲)を、局所的ズレ量ΔZがニュ
ートン縞2本(約0.6μm)以内と設定している。こ
こで、上記光学機能面のRと精度予測システムの結果
(最初に設定した成形条件で計算を行なった解析結果で
あり、成形不良修正手段は未だ関与していない)の光学
機能面の設計値からのズレ量ΔZを図4に示す。実際に
は、ΔZは光学素子の大きさに対して微小な値になるた
め、図はあくまで説明のため誇張されているのであり、
実際の比率を示すものではない。図から分かる様に、Δ
Zは、設計値Rの曲率中心から半径方向(面法線方向)
に、設計値と解析値とがズレている量を示している。
レンズでは、光学機能面の設計値Rからのずれの許容範
囲(製品の品質許容範囲)を、局所的ズレ量ΔZがニュ
ートン縞2本(約0.6μm)以内と設定している。こ
こで、上記光学機能面のRと精度予測システムの結果
(最初に設定した成形条件で計算を行なった解析結果で
あり、成形不良修正手段は未だ関与していない)の光学
機能面の設計値からのズレ量ΔZを図4に示す。実際に
は、ΔZは光学素子の大きさに対して微小な値になるた
め、図はあくまで説明のため誇張されているのであり、
実際の比率を示すものではない。図から分かる様に、Δ
Zは、設計値Rの曲率中心から半径方向(面法線方向)
に、設計値と解析値とがズレている量を示している。
【0050】具体的には、ΔZは、光学機能面の設計上
の点Aの座標を(xa,ya,za)、精度予測システムの
解析結果による点Bの座標を(xb,yb,zb)とする
と、次の式によりもとめられる。 ΔZ={(xa−xb)2+(ya−yb)2}1/2 ここで、本実施形態の解析モデルは、軸対称2次元モデ
ルであるため、x−y平面について考えれば良いので、
A点のza及びB点のzbは共に0である。
の点Aの座標を(xa,ya,za)、精度予測システムの
解析結果による点Bの座標を(xb,yb,zb)とする
と、次の式によりもとめられる。 ΔZ={(xa−xb)2+(ya−yb)2}1/2 ここで、本実施形態の解析モデルは、軸対称2次元モデ
ルであるため、x−y平面について考えれば良いので、
A点のza及びB点のzbは共に0である。
【0051】本評価手段では、上記の式により図7にお
けるΔZが、精度予測システムの解析結果のうち光学機
能面上にある全ての節点について計算され、R=5mm
の面で最大0.626μm、R=12.3mmの面で最
大5.890μmのズレ量を生じていた。これは、図3
のガラスレンズの品質許容範囲(約0.6μm)を越え
てしまっているため、精度不良を発生していると判断
し、成形不良修正手段へとその情報を伝達した。
けるΔZが、精度予測システムの解析結果のうち光学機
能面上にある全ての節点について計算され、R=5mm
の面で最大0.626μm、R=12.3mmの面で最
大5.890μmのズレ量を生じていた。これは、図3
のガラスレンズの品質許容範囲(約0.6μm)を越え
てしまっているため、精度不良を発生していると判断
し、成形不良修正手段へとその情報を伝達した。
【0052】なお、ここで、上記第1回目の精度予測シ
ステムの解析結果(最初に設定した成形条件で計算を行
なった解析結果であり、成形不良修正手段は未だ関与し
ていない)を、視覚的に認識しやすい様にフィゾー式レ
ーザ干渉計の干渉縞の形で画像化した結果を図6に示
す。この図より、R=5mmの光学機能面はニュートン
縞2本程度、R=12.3mmの光学機能面はニュート
ン縞9〜10本程度、局所的に設計値からずれているこ
とが確認できた。
ステムの解析結果(最初に設定した成形条件で計算を行
なった解析結果であり、成形不良修正手段は未だ関与し
ていない)を、視覚的に認識しやすい様にフィゾー式レ
ーザ干渉計の干渉縞の形で画像化した結果を図6に示
す。この図より、R=5mmの光学機能面はニュートン
縞2本程度、R=12.3mmの光学機能面はニュート
ン縞9〜10本程度、局所的に設計値からずれているこ
とが確認できた。
【0053】(3)成形不良修正手段 図9に、成形不良修正手段の動作のフローチャートを示
す。先ず、評価手段より入力される精度不良(不良点)
の情報に対して、成形条件の影響度の判定を行なう。そ
の際、精度不良と各成形条件との関係を経験的にデータ
として蓄積した精度不良原因推定知識データベースを用
いる。このデータベースのデータの一例を図10に示
す。精度不良原因推定知識データベースのデータには、
精度不良と各成形条件との関係が0.0〜10.0の影
響度数で表されている。数字が大きいほど、精度不良に
対して影響が大きい成形条件であるということになる。
また、影響度数の合計は10.0となる。このデータベ
ースでは、光学素子の形状及びガラス素材の種類によっ
て、それぞれデータが準備されており、その時の状況に
あったデータを用いる。本実施形態では、図3に示され
ているガラスレンズに対応して、図10に示されている
様な、両凹形状でガラス素材の種類SK12のデータを
使用する。ここでは、冷却中のプレス荷重の影響度数が
4.2、冷却速度の影響度数が3.9、冷却中の上下型
部材間の温度差の影響度数が1.9である。また、冷却
中プレスの開始温度及び終了温度は、成形不良に対して
ほぼ影響しないため、影響度数は0となっている。
す。先ず、評価手段より入力される精度不良(不良点)
の情報に対して、成形条件の影響度の判定を行なう。そ
の際、精度不良と各成形条件との関係を経験的にデータ
として蓄積した精度不良原因推定知識データベースを用
いる。このデータベースのデータの一例を図10に示
す。精度不良原因推定知識データベースのデータには、
精度不良と各成形条件との関係が0.0〜10.0の影
響度数で表されている。数字が大きいほど、精度不良に
対して影響が大きい成形条件であるということになる。
また、影響度数の合計は10.0となる。このデータベ
ースでは、光学素子の形状及びガラス素材の種類によっ
て、それぞれデータが準備されており、その時の状況に
あったデータを用いる。本実施形態では、図3に示され
ているガラスレンズに対応して、図10に示されている
様な、両凹形状でガラス素材の種類SK12のデータを
使用する。ここでは、冷却中のプレス荷重の影響度数が
4.2、冷却速度の影響度数が3.9、冷却中の上下型
部材間の温度差の影響度数が1.9である。また、冷却
中プレスの開始温度及び終了温度は、成形不良に対して
ほぼ影響しないため、影響度数は0となっている。
【0054】次に、上記精度不良原因推定知識データベ
ースを用いて決定された各成形条件の影響度数を用い
て、各成形条件の操作量を決定する。その際用いる成形
不良修正評価データベースのデータの一例を図11に示
す。このデータベースのデータには、各成形条件の操作
量レート及び各成形条件の上限値と下限値が入力されて
いる。これらの操作量レート及び各成形条件の上限値と
下限値の値は、本願発明者等の経験に基づいて決定され
ている。成形不良修正評価データベースでは、光学素子
の形状及びガラス素材の種類によって、それぞれデータ
が準備されており、その時の状況にあったデータを用い
る。本実施形態では、図3に示されているガラスレンズ
に対応して、図11に示されている様な、両凹形状でガ
ラス素材の種類SK12のデータを使用する。それによ
って、操作量レートに上記影響度数を乗じた値を当該成
形条件の操作量とし、現在の成形条件値に加えて改定後
の成形条件値を作成する。但し、その際、各成形条件の
上限値及び下限値が定められているので、その値を越え
ることはできない。
ースを用いて決定された各成形条件の影響度数を用い
て、各成形条件の操作量を決定する。その際用いる成形
不良修正評価データベースのデータの一例を図11に示
す。このデータベースのデータには、各成形条件の操作
量レート及び各成形条件の上限値と下限値が入力されて
いる。これらの操作量レート及び各成形条件の上限値と
下限値の値は、本願発明者等の経験に基づいて決定され
ている。成形不良修正評価データベースでは、光学素子
の形状及びガラス素材の種類によって、それぞれデータ
が準備されており、その時の状況にあったデータを用い
る。本実施形態では、図3に示されているガラスレンズ
に対応して、図11に示されている様な、両凹形状でガ
ラス素材の種類SK12のデータを使用する。それによ
って、操作量レートに上記影響度数を乗じた値を当該成
形条件の操作量とし、現在の成形条件値に加えて改定後
の成形条件値を作成する。但し、その際、各成形条件の
上限値及び下限値が定められているので、その値を越え
ることはできない。
【0055】本実施形態では、成形不良原因推定知識デ
ータベースからのデータで、冷却中のプレス荷重(影響
度数4.2)、冷却速度(影響度数3.9)及び冷却中
の上下型部材間の温度差(影響度数1.9)が、精度不
良に影響しているとしているので、上記3条件に対して
それぞれの影響度数と操作量レートを乗じた値を現在の
成形条件の値から差し引いて、改定成形条件として、 冷却中のプレス荷重=5800N(現在6000N) 冷却速度=30℃/min(現在40℃/min) 冷却中の上下型部材の温度差=+8℃(現在+10℃) を算出した。この様にして得られた改定成形条件を、精
度予測システムに向けて出力する。ここで、本実施形態
では、改定前の初期成形条件の各パラメータを、本願発
明者等の経験に基づいて略最大値に設定し、この値から
各パラメータの操作量を順次差し引いていくようにして
いる。ただし、これは、各パラメータの改定方法の一例
であり、初期成形条件の各パラメータを経験に基づく略
最小値とし、この値に各パラメータの操作量を順次加え
ていくなど、他の改定方法を用いても良いことは言うま
でもない。
ータベースからのデータで、冷却中のプレス荷重(影響
度数4.2)、冷却速度(影響度数3.9)及び冷却中
の上下型部材間の温度差(影響度数1.9)が、精度不
良に影響しているとしているので、上記3条件に対して
それぞれの影響度数と操作量レートを乗じた値を現在の
成形条件の値から差し引いて、改定成形条件として、 冷却中のプレス荷重=5800N(現在6000N) 冷却速度=30℃/min(現在40℃/min) 冷却中の上下型部材の温度差=+8℃(現在+10℃) を算出した。この様にして得られた改定成形条件を、精
度予測システムに向けて出力する。ここで、本実施形態
では、改定前の初期成形条件の各パラメータを、本願発
明者等の経験に基づいて略最大値に設定し、この値から
各パラメータの操作量を順次差し引いていくようにして
いる。ただし、これは、各パラメータの改定方法の一例
であり、初期成形条件の各パラメータを経験に基づく略
最小値とし、この値に各パラメータの操作量を順次加え
ていくなど、他の改定方法を用いても良いことは言うま
でもない。
【0056】なお、実際の成形機の改良や型部材とガラ
ス素材との間の界面状態の変化等によって精度不良と成
形条件との関係は変化していくため、上記2つのデータ
ベースは、随時見直して、新たなデータに交換するのが
好ましい。このため、入出力用のインターフェースを備
えるのが好ましい。以上、精度予測システムで得られる
結果から、評価手段によって精度不良の有無を判断し、
成形不良修正手段によって成形条件を改定し、再度、精
度予測システムへと改定成形条件を出力するまでの流れ
を説明した。以後は、評価手段で「精度不良なし」の判
定がなされる(即ち製品の品質許容範囲内におさまる)
まで、上記サイクルを繰り返し、最適な成形条件を決定
する。
ス素材との間の界面状態の変化等によって精度不良と成
形条件との関係は変化していくため、上記2つのデータ
ベースは、随時見直して、新たなデータに交換するのが
好ましい。このため、入出力用のインターフェースを備
えるのが好ましい。以上、精度予測システムで得られる
結果から、評価手段によって精度不良の有無を判断し、
成形不良修正手段によって成形条件を改定し、再度、精
度予測システムへと改定成形条件を出力するまでの流れ
を説明した。以後は、評価手段で「精度不良なし」の判
定がなされる(即ち製品の品質許容範囲内におさまる)
まで、上記サイクルを繰り返し、最適な成形条件を決定
する。
【0057】以上の様にして、本実施形態で最終的に決
定した最適成形条件の温度及び負荷加重のプロセスを図
12に示す。ただし、冷却温度カーブの折れ曲がり点、
及び冷却中のプレス荷重の開始点と終了点は、本願発明
者等が経験に基づいて予め設定したものである。また、
図12に示される最適成形条件で精度予測を行なった結
果を画像表示したものを、図13に示す。初期の精度予
測システムの結果(図86)と比較して、精度不良が格
段に改善されており、光学機能面のR=5mmの面でニ
ュートン縞約1/4本、R=12.3mmの面でニュー
トン縞約1本しか精度不良が生じていないことが判る。
図3のガラスレンズは、許容範囲ニュートン縞2本以内
と設定しているため、図13で示されるものは十分に許
容範囲内であることが判る。
定した最適成形条件の温度及び負荷加重のプロセスを図
12に示す。ただし、冷却温度カーブの折れ曲がり点、
及び冷却中のプレス荷重の開始点と終了点は、本願発明
者等が経験に基づいて予め設定したものである。また、
図12に示される最適成形条件で精度予測を行なった結
果を画像表示したものを、図13に示す。初期の精度予
測システムの結果(図86)と比較して、精度不良が格
段に改善されており、光学機能面のR=5mmの面でニ
ュートン縞約1/4本、R=12.3mmの面でニュー
トン縞約1本しか精度不良が生じていないことが判る。
図3のガラスレンズは、許容範囲ニュートン縞2本以内
と設定しているため、図13で示されるものは十分に許
容範囲内であることが判る。
【0058】本実施形態の装置は、通信ケーブルにより
成形機と接続されており、上記評価手段で最終的に「精
度不良なし」と判定された際の成形条件(図12で示さ
れている)が、自動的に成形機に入力され、成形機にお
いて、その成形条件に従って、自動的に成形が行われ
る。次に、成形機の型部分の概略構成を図14に示す。
図において、胴型部材1は、支持基板801を介して光
学素子の成形機本体上に載置されている。胴型部材1
は、上面視正方形の角柱状に形成されており、その中心
軸上には、この胴型部材1を上下に貫通した状態で、貫
通穴1a,1bが形成されている。これらの貫通穴のう
ちの上側の貫通穴1aには円柱状に形成されえた上型部
材201が上下方向に摺動可能に挿入されている。上型
部材201の上端部には円盤状のフランジ部201aが
形成されており、このフランジ部201aの下面が胴型
部材1の上面1cに上方から当接することにより、上型
部材201はそれ以上下方へと移動するのを阻止されて
おり、これにより上型部材201の下方へのストローク
が規定されている。また、上型部材201の下面には、
ガラス素材8を押圧して、その表面に所望の形状を転写
して光学機能面を形成するための成形面201bが形成
されている。
成形機と接続されており、上記評価手段で最終的に「精
度不良なし」と判定された際の成形条件(図12で示さ
れている)が、自動的に成形機に入力され、成形機にお
いて、その成形条件に従って、自動的に成形が行われ
る。次に、成形機の型部分の概略構成を図14に示す。
図において、胴型部材1は、支持基板801を介して光
学素子の成形機本体上に載置されている。胴型部材1
は、上面視正方形の角柱状に形成されており、その中心
軸上には、この胴型部材1を上下に貫通した状態で、貫
通穴1a,1bが形成されている。これらの貫通穴のう
ちの上側の貫通穴1aには円柱状に形成されえた上型部
材201が上下方向に摺動可能に挿入されている。上型
部材201の上端部には円盤状のフランジ部201aが
形成されており、このフランジ部201aの下面が胴型
部材1の上面1cに上方から当接することにより、上型
部材201はそれ以上下方へと移動するのを阻止されて
おり、これにより上型部材201の下方へのストローク
が規定されている。また、上型部材201の下面には、
ガラス素材8を押圧して、その表面に所望の形状を転写
して光学機能面を形成するための成形面201bが形成
されている。
【0059】一方、下側の貫通穴1bには、上型部材2
01と同様に円柱状に形成された下型部材202が、上
下方向に摺動可能に挿入されている。下型部材202の
下部には円盤状のフランジ部202aが形成されてお
り、このフランジ部202aの下面202cは、胴型部
材1が載置されている支持基板801の上面に当接して
いる。そして、この支持基板801により上型部材20
1からガラス素材8を介して下型部材202に加えられ
る下方へのプレス圧力を受ける様に構成されている。下
型部材202の上端面には、ガラス素材8の下面に所望
の形状を転写して光学機能面を形成するための成形面2
02bが形成されている。
01と同様に円柱状に形成された下型部材202が、上
下方向に摺動可能に挿入されている。下型部材202の
下部には円盤状のフランジ部202aが形成されてお
り、このフランジ部202aの下面202cは、胴型部
材1が載置されている支持基板801の上面に当接して
いる。そして、この支持基板801により上型部材20
1からガラス素材8を介して下型部材202に加えられ
る下方へのプレス圧力を受ける様に構成されている。下
型部材202の上端面には、ガラス素材8の下面に所望
の形状を転写して光学機能面を形成するための成形面2
02bが形成されている。
【0060】従って、ガラス素材8には、その上面に、
上型部材201の成形面201bの表面形状が転写され
た光学機能面8aが形成され、下面には、下型部材20
2の成形面202bの表面形状が転写された光学機能面
8bが形成されることになる。また、成形された光学素
子(ガラス素材8)の厚みは、上述の様に上型部材20
1のフランジ部201aの下面が胴型部材1の上面1c
に当接することにより規定され、加工する毎に光学素子
(8)の厚みが変化しない様になされている。
上型部材201の成形面201bの表面形状が転写され
た光学機能面8aが形成され、下面には、下型部材20
2の成形面202bの表面形状が転写された光学機能面
8bが形成されることになる。また、成形された光学素
子(ガラス素材8)の厚みは、上述の様に上型部材20
1のフランジ部201aの下面が胴型部材1の上面1c
に当接することにより規定され、加工する毎に光学素子
(8)の厚みが変化しない様になされている。
【0061】なお、胴型部材1内には、その4隅に位置
した状態で、この胴型部材1、上型部材201及び下型
部材202を加熱するとともに、これら胴型部材1、上
型部材201及び下型部材202を介してガラス素材8
を加熱するためのヒータ802が配置されている。な
お、型部材の熱伝導率はガラス素材の熱伝導率より十分
大きいので、ヒータの配置をこのようにしても、上記シ
ミュレーションにおける熱的境界条件との合致性は良好
である。
した状態で、この胴型部材1、上型部材201及び下型
部材202を加熱するとともに、これら胴型部材1、上
型部材201及び下型部材202を介してガラス素材8
を加熱するためのヒータ802が配置されている。な
お、型部材の熱伝導率はガラス素材の熱伝導率より十分
大きいので、ヒータの配置をこのようにしても、上記シ
ミュレーションにおける熱的境界条件との合致性は良好
である。
【0062】次に、以上の様に構成された成形用型を用
いて光学素子を成形する手順について説明する。先ず、
上型部材201を胴型部材1に対して上方にスライドさ
せておく。この状態において、胴型部材1の開口1dを
介して、所定の温度に加熱されたガラス素材8を下型部
材202の成形面202b上に供給する。また、胴型部
材1、上型部材201及び下型部材202は、所定の成
形条件に対応した温度に加熱されている。この温度は、
本実施形態では、ガラス素材8の粘度で109.5 dPa
・Sに相当する温度である620℃である。
いて光学素子を成形する手順について説明する。先ず、
上型部材201を胴型部材1に対して上方にスライドさ
せておく。この状態において、胴型部材1の開口1dを
介して、所定の温度に加熱されたガラス素材8を下型部
材202の成形面202b上に供給する。また、胴型部
材1、上型部材201及び下型部材202は、所定の成
形条件に対応した温度に加熱されている。この温度は、
本実施形態では、ガラス素材8の粘度で109.5 dPa
・Sに相当する温度である620℃である。
【0063】ガラス素材8が、下型部材202の成形面
202b上に供給された後、ガラス素材8の上面に上型
部材201の成形面201bを当接させ、ガラス素材8
にプレス圧P1を印加する。このプレス圧は、本実施形
態では4000Nである。このプレス圧P1が印加され
て、上型部材201が徐々に下方に移動すると、ガラス
素材8は、次第に水平方向に押し潰されて、最終的に
は、図14に示した様な状態となる。この状態において
は、ガラス素材8の上下には、上型部材201の成形面
201bと下型部材202の成形面202bの形状が転
写された光学機能面8a,8bが形成されており、また
ガラス素材8の厚みは、所望の厚みに成形されている。
202b上に供給された後、ガラス素材8の上面に上型
部材201の成形面201bを当接させ、ガラス素材8
にプレス圧P1を印加する。このプレス圧は、本実施形
態では4000Nである。このプレス圧P1が印加され
て、上型部材201が徐々に下方に移動すると、ガラス
素材8は、次第に水平方向に押し潰されて、最終的に
は、図14に示した様な状態となる。この状態において
は、ガラス素材8の上下には、上型部材201の成形面
201bと下型部材202の成形面202bの形状が転
写された光学機能面8a,8bが形成されており、また
ガラス素材8の厚みは、所望の厚みに成形されている。
【0064】その後、成形された光学素子(ガラス素材
8)は徐々に冷却される。この冷却過程においては、成
形された光学素子(8)の形状が崩れない様に、本実施
形態では、光学素子(8)の温度がガラス素材8の粘度
で1010.5dPa・Sに相当する温度である600℃に
なった時点で、下型部材202が押し上げられ、光学素
子(8)に圧力P2が印加される。この圧力は、本実施
形態では、3200Nである。そして、更に冷却を行な
い、所定の温度まで温度が低下した時に、上型部材20
1が上方へと移動され、光学素子は型外に取り出され
る。この取り出しの際の温度は、本実施形態では、ガラ
ス素材8の粘度で1012dPa・Sに相当する温度であ
る530℃とした。
8)は徐々に冷却される。この冷却過程においては、成
形された光学素子(8)の形状が崩れない様に、本実施
形態では、光学素子(8)の温度がガラス素材8の粘度
で1010.5dPa・Sに相当する温度である600℃に
なった時点で、下型部材202が押し上げられ、光学素
子(8)に圧力P2が印加される。この圧力は、本実施
形態では、3200Nである。そして、更に冷却を行な
い、所定の温度まで温度が低下した時に、上型部材20
1が上方へと移動され、光学素子は型外に取り出され
る。この取り出しの際の温度は、本実施形態では、ガラ
ス素材8の粘度で1012dPa・Sに相当する温度であ
る530℃とした。
【0065】以上の手順によって実際に成形された光学
素子の光学機能面をフィゾー式レーザ干渉計を用いて測
定した結果を図15に示す。上記精度予測システムの解
析結果を示す図13と比較してみると、ほぼ一致してお
り、所望の光学素子の光学機能面が得られていることが
判る。また、図12の成形条件で連続的に100個の光
学素子を成形した結果、全ての光学素子が図13とほぼ
一致した光学機能面に形成されていた。
素子の光学機能面をフィゾー式レーザ干渉計を用いて測
定した結果を図15に示す。上記精度予測システムの解
析結果を示す図13と比較してみると、ほぼ一致してお
り、所望の光学素子の光学機能面が得られていることが
判る。また、図12の成形条件で連続的に100個の光
学素子を成形した結果、全ての光学素子が図13とほぼ
一致した光学機能面に形成されていた。
【0066】また、比較検討のために、本実施形態の装
置を使用せず、即ち1度も成形不良修正手段が関与して
いない前述した初期成形条件を実際に成形機に入力して
成形を行なった。これにより成形された光学素子の光学
機能面をフィゾー式レーザ干渉計を用いて測定した結果
を図16に示す。上記精度予測システムの解析結果を示
す図8と比較してみると、ほぼ一致しており、R=5m
mの光学機能面はニュートン縞約2本で、R=12.3
mmの光学機能面はニュートン縞約9〜10本の精度で
あり、精度不良を生じていることがわかる。
置を使用せず、即ち1度も成形不良修正手段が関与して
いない前述した初期成形条件を実際に成形機に入力して
成形を行なった。これにより成形された光学素子の光学
機能面をフィゾー式レーザ干渉計を用いて測定した結果
を図16に示す。上記精度予測システムの解析結果を示
す図8と比較してみると、ほぼ一致しており、R=5m
mの光学機能面はニュートン縞約2本で、R=12.3
mmの光学機能面はニュートン縞約9〜10本の精度で
あり、精度不良を生じていることがわかる。
【0067】従って、本実施形態の装置は、実際のプレ
ス成形を良好にシミュレーションしており、これを使用
することによって、容易、高効率且つ正確に精度良好な
ガラス光学素子の成形を可能とした。上記の一実施形態
のものと異なる図17のメニスカス形状の光学素子のプ
レス成形に関する他の実施形態を以下に示す。
ス成形を良好にシミュレーションしており、これを使用
することによって、容易、高効率且つ正確に精度良好な
ガラス光学素子の成形を可能とした。上記の一実施形態
のものと異なる図17のメニスカス形状の光学素子のプ
レス成形に関する他の実施形態を以下に示す。
【0068】ガラス素材として、ランタン系ガラスVC
78(屈折率nd =1.66910、アッベ数νd =5
5.4、ガラス転移点Tg =530℃、屈伏点At =5
62℃)を使用した。なお、型部材については、一実施
形態のものと同様のものを使用した。このガラス素材の
組成を図18に示し、ガラス素材及び型部材の物性値を
図19に示す。
78(屈折率nd =1.66910、アッベ数νd =5
5.4、ガラス転移点Tg =530℃、屈伏点At =5
62℃)を使用した。なお、型部材については、一実施
形態のものと同様のものを使用した。このガラス素材の
組成を図18に示し、ガラス素材及び型部材の物性値を
図19に示す。
【0069】以上の物性値を精度予測システムに入力
し、図20のモデルを作成し、解析を行なった。その際
の、第1回目の精度予測システムの結果(最初に設定し
た成形条件で計算を行なった解析結果であり、成形不良
修正手段は未だ関与していない)をフィゾー式レーザ干
渉計の干渉縞の形で画像化した結果を図21に示す。図
17の光学素子は、許容範囲として、光学機能面Rから
の局所的なズレ量ΔZがニュートン縞2本(約0.6μ
m)以内と設定している。図21より、やはり、ニュー
トン縞2本を越える精度不良が発生していることが確認
できる。
し、図20のモデルを作成し、解析を行なった。その際
の、第1回目の精度予測システムの結果(最初に設定し
た成形条件で計算を行なった解析結果であり、成形不良
修正手段は未だ関与していない)をフィゾー式レーザ干
渉計の干渉縞の形で画像化した結果を図21に示す。図
17の光学素子は、許容範囲として、光学機能面Rから
の局所的なズレ量ΔZがニュートン縞2本(約0.6μ
m)以内と設定している。図21より、やはり、ニュー
トン縞2本を越える精度不良が発生していることが確認
できる。
【0070】この他の実施形態でも、評価手段において
解析結果をフィゾー式レーザ干渉計で干渉縞の形で画像
化しているが、それはあくまでオペレータに対して確認
の意味で出力しているに過ぎず、実際の成形不良の有無
の判断はコンピュータによって行なわれる。更に、成形
不良修正手段による成形条件の改定、その改定された成
形条件を用いた精度予測システムの再解析といった一連
のサイクルは、一実施形態と同様に、コンピュータによ
り行なわれる。
解析結果をフィゾー式レーザ干渉計で干渉縞の形で画像
化しているが、それはあくまでオペレータに対して確認
の意味で出力しているに過ぎず、実際の成形不良の有無
の判断はコンピュータによって行なわれる。更に、成形
不良修正手段による成形条件の改定、その改定された成
形条件を用いた精度予測システムの再解析といった一連
のサイクルは、一実施形態と同様に、コンピュータによ
り行なわれる。
【0071】そして、最終的に、評価手段で品質許容範
囲内と判断された時の精度予測システムの結果を、フィ
ゾー式レーザ干渉計の干渉縞の形で画像化した結果を図
22に示す。明らかに、図21に比較して精度不良が改
善され、非常に良好な光学機能面が示されている。ま
た、その時の精度予測システムの温度と負荷荷重の成形
条件(最適成形条件)を図23に示す。
囲内と判断された時の精度予測システムの結果を、フィ
ゾー式レーザ干渉計の干渉縞の形で画像化した結果を図
22に示す。明らかに、図21に比較して精度不良が改
善され、非常に良好な光学機能面が示されている。ま
た、その時の精度予測システムの温度と負荷荷重の成形
条件(最適成形条件)を図23に示す。
【0072】そして、図23の成形条件を実際の成形機
に入力して成形を行なった。ここで、成形機は上記の図
14に関し説明したものと同様のものを使用している
が、図24に示されている様に、成形される光学素子
(8’)の形状が異なることに基づき、上型部材20
1’の成形面201b’の形状と下型部材202’の成
形面202b’の形状とが、一実施形態のものと異な
る。
に入力して成形を行なった。ここで、成形機は上記の図
14に関し説明したものと同様のものを使用している
が、図24に示されている様に、成形される光学素子
(8’)の形状が異なることに基づき、上型部材20
1’の成形面201b’の形状と下型部材202’の成
形面202b’の形状とが、一実施形態のものと異な
る。
【0073】以上の様にして実際の成形により得られた
光学素子の光学機能面をフィゾー式レーザ干渉計で測定
した結果を図25に示す。図22の精度予測システムの
解析結果と、図25の実際の成形により得られた光学素
子の光学機能面とを比較してみると、ほぼ一致してお
り、所望の光学機能面が得られていることが判る。ま
た、図23の成形条件で、連続的に100個の光学素子
を成形した結果、やはり、全ての光学素子が図22とほ
ぼ一致した光学機能面に成形されていた。
光学素子の光学機能面をフィゾー式レーザ干渉計で測定
した結果を図25に示す。図22の精度予測システムの
解析結果と、図25の実際の成形により得られた光学素
子の光学機能面とを比較してみると、ほぼ一致してお
り、所望の光学機能面が得られていることが判る。ま
た、図23の成形条件で、連続的に100個の光学素子
を成形した結果、やはり、全ての光学素子が図22とほ
ぼ一致した光学機能面に成形されていた。
【0074】以上説明した様に、上記の実施形態に示し
た光学素子の成形方法によれば、従来のものと同等な成
形機を用いて、従来良好な精度での成形が困難であった
光学素子の成形を精度よく高効率にて実現することが可
能となる。なお、本発明はその趣旨を逸脱しない限り、
上記実施形態を修正または変形して実施することができ
る。例えば、上記実施形態では両凹レンズ及びメニスカ
スレンズの成形が示されているが、本発明がその他の形
状の光学素子たとえば両凸レンズやほぼ平板状の光学素
子の成形にも同様に適用できることは言うまでもない。
また、以上の実施形態では、測定の簡便さのために球面
の光学機能面を有する光学素子に関し説明されている
が、本発明は、非球面の光学機能面を有する光学素子を
成形する場合にも同様に適用することができる。
た光学素子の成形方法によれば、従来のものと同等な成
形機を用いて、従来良好な精度での成形が困難であった
光学素子の成形を精度よく高効率にて実現することが可
能となる。なお、本発明はその趣旨を逸脱しない限り、
上記実施形態を修正または変形して実施することができ
る。例えば、上記実施形態では両凹レンズ及びメニスカ
スレンズの成形が示されているが、本発明がその他の形
状の光学素子たとえば両凸レンズやほぼ平板状の光学素
子の成形にも同様に適用できることは言うまでもない。
また、以上の実施形態では、測定の簡便さのために球面
の光学機能面を有する光学素子に関し説明されている
が、本発明は、非球面の光学機能面を有する光学素子を
成形する場合にも同様に適用することができる。
【0075】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、ガ
ラス素材の内部に発生する全応力及び変形量を考慮して
ガラス光学素子成形の際の挙動を的確にシミュレーショ
ンすることができる。そして、これに基づき、実際に光
学素子を成形する際の最適な成形条件を容易、高精度且
つ高効率にて見出すことができ、かくして、熟練した作
業者の勘に頼ることなく、安定してガラス光学素子の工
業的生産を実施することが可能となる。特に、本発明装
置と成形機とを接続することで、自動的に成形条件を設
定し、これに基づき自動的にプレス成形を行なうことも
可能となる。
ラス素材の内部に発生する全応力及び変形量を考慮して
ガラス光学素子成形の際の挙動を的確にシミュレーショ
ンすることができる。そして、これに基づき、実際に光
学素子を成形する際の最適な成形条件を容易、高精度且
つ高効率にて見出すことができ、かくして、熟練した作
業者の勘に頼ることなく、安定してガラス光学素子の工
業的生産を実施することが可能となる。特に、本発明装
置と成形機とを接続することで、自動的に成形条件を設
定し、これに基づき自動的にプレス成形を行なうことも
可能となる。
【図1】一実施例のガラス光学素子の最適成形条件設定
装置の構成を示すブロック図である。
装置の構成を示すブロック図である。
【図2】精度予測システムの動作のフローチャートであ
る。
る。
【図3】ガラスレンズの形状を示す図である。
【図4】精度予測システムでの解析用のモデルを示す図
である。
である。
【図5】ガラス素材の組成を示す図である。
【図6】ガラス素材及び型部材の物性値を示す図であ
る。
る。
【図7】光学機能面の設計値からのズレ量ΔZの説明図
である。
である。
【図8】精度予測システムでの解析結果を示す図であ
る。
る。
【図9】成形不良修正手段の動作のフローチャートであ
る。
る。
【図10】精度不良原因推定知識データを示す図であ
る。
る。
【図11】成形不良修正評価データを示す図である。
【図12】成形条件を示す図である。
【図13】精度予測システムでの解析結果を示す図であ
る。
る。
【図14】成形機の型部分の概略構成図である。
【図15】光学素子の光学機能面の精度測定結果を示す
図である。
図である。
【図16】光学素子の光学機能面の精度測定結果を示す
図である。
図である。
【図17】ガラス光学素子の図である。
【図18】ガラス素材の組成を示す図である。
【図19】ガラス素材及び型部材の物性値を示す図であ
る。
る。
【図20】精度予測システムでの解析用のモデルを示す
図である。
図である。
【図21】精度予測システムでの解析結果を示す図であ
る。
る。
【図22】精度予測システムでの解析結果を示す図であ
る。
る。
【図23】成形条件を示す図である。
【図24】成形機の型部分の概略構成図である。
【図25】光学素子の光学機能面の精度測定結果を示す
図である。
図である。
1 胴型部材 8 成形用素材(光学素子) 8a,8b 光学機能面 201 上型部材 201b 成形面 202 下型部材 202b 成形面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中川 伸行 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内
Claims (22)
- 【請求項1】 軟化したガラス素材を成形用型部材でプ
レスし冷却してガラス光学素子を成形するシミュレーシ
ョンにおける光学素子精度予測システムであって、 解析用モデルによりガラス素材の変形と該ガラス素材内
に生ずる応力とを計算する応力変形解析において、ガラ
ス素材が軟化する温度域で該ガラス素材を型部材により
プレスした後、冷却中に前記ガラス素材と前記型部材と
が固着しているか剥離しているかを判断し、剥離してい
ると判断された場合には前記ガラス素材と前記型部材と
が滑りを生じているものとして計算を進行させることを
特徴とする、ガラス光学素子の成形シミュレーションに
おける光学素子精度予測システム。 - 【請求項2】 前記ガラス素材と前記型部材とが固着し
ているか剥離しているかを判断する際には、計算値と実
測により得られた剥離限界応力値との比較を行ない前記
計算値が前記剥離限界応力値を越えた時に剥離している
と判断することを特徴とする、請求項1に記載の光学素
子精度予測システム。 - 【請求項3】 前記ガラス素材と前記型部材とが滑りを
生じているものとして計算する際には、実測により得ら
れた滑り抵抗値を用いて計算を進めることを特徴とす
る、請求項1または2に記載の光学素子精度予測システ
ム。 - 【請求項4】 ガラス光学素子の最適成形条件設定装置
であって、 請求項1乃至3のいずれかに記載の光学素子精度予測シ
ステムと、 該光学素子精度予測システムの解析結果に基づき光学素
子の光学機能面の精度を評価する評価手段と、 光学素子に発生する精度不良に対する各成形条件の影響
度を特定した成形不良原因推定知識データベース及び前
記各成形条件を改定する際の操作量レートを特定した成
形不良修正評価データベースを保持し、これらデータベ
ースの内容と前記評価手段の評価結果とに基づき前記精
度不良を解消するために前記各成形条件の操作量を算出
する成形不良修正手段とを備え、 前記成形不良修正手段により改定された各成形条件を前
記光学素子精度予測システムに入力する様にしてなるこ
と特徴とする、ガラス光学素子の最適成形条件設定装
置。 - 【請求項5】 前記成形不良修正評価データベースは各
成形条件の上限及び下限を設定していることを特徴とす
る、請求項4に記載のガラス光学素子の最適成形条件設
定装置。 - 【請求項6】 ガラス光学素子の最適成形条件設定方法
であって、 請求項1〜3のいずれかに記載の光学素子精度予測シス
テムにより解析を行ない、 該光学素子精度予測システムの解析結果に基づき光学素
子の光学機能面の精度を評価し、該評価において精度不
良と判定された場合には、光学素子に発生する精度不良
に対する各成形条件の影響度に基づき前記各成形条件を
改定し、改定された各成形条件に基づき前記光学素子精
度予測システムによる解析を行ない、前記評価において
精度不良なしと判定された場合には、その際の各成形条
件を最適成形条件と設定することを特徴とする、ガラス
光学素子の最適成形条件設定方法。 - 【請求項7】 軟化したガラス材料を成形用の型部材で
プレスして所望の形状のガラス光学素子を成形するため
のガラス光学素子の成形方法であって、 前記ガラス材料を成形するための所定の成形条件を初期
成形条件として設定する初期成形条件設定工程と、 前記初期成形条件で前記ガラス材料を成形したときに得
られる前記ガラス光学素子の形状の、前記所望の形状か
らのズレ量を予測する第1の精度予測工程と、 前記予測されたズレ量に基づいて、前記ガラス光学素子
の形状が所望の形状により近くなるように前記成形条件
を調整する成形条件調整工程と、 該成形条件調整工程において調整した成形条件で前記ガ
ラス材料を成形したときに得られる前記ガラス光学素子
の形状の精度を予測する第2の精度予測工程と、 該第2の精度予測工程で予測された前記ガラス光学素子
の形状精度が所定の範囲に収まっていたときに、前記成
形条件調整工程において調整された成形条件で前記ガラ
ス材料を成形する成形工程とを具備することを特徴とす
るガラス光学素子の成形方法。 - 【請求項8】 前記第1及び第2の精度予測工程におい
ては、前記型部材及び前記ガラス材料の中心線を通る2
次元断面の形状を、有限要素法を用いて解析して、前記
2次元断面の形状の所望の形状からのズレ量を算出する
ことを特徴とする請求項7に記載のガラス光学素子の成
形方法。 - 【請求項9】 前記第1及び第2の精度予測工程におい
ては、前記型部材と前記ガラス材料の接触条件を考慮し
て精度予測解析を行うことを特徴とする請求項8に記載
のガラス光学素子の成形方法。 - 【請求項10】 前記接触条件とは、前記ガラス材料と
前記型部材とが固着しているか剥離しているかの条件で
あることを特徴とする請求項9に記載のガラス光学素子
の成形方法。 - 【請求項11】 ガラス光学素子の成形方法であって、 ガラス材料を成形手段により所定形状に成形するために
成形条件を設定し、 前記設定した成形条件を前記成形手段を駆動するための
駆動手段に入力し、 前記成形条件に基づいて成形されるべきガラス光学素子
の成形精度を予測し、 該予測結果を評価して、該評価に応じて前記駆動手段を
作動して成形操作を実行することを特徴とするガラス光
学素子の成形方法。 - 【請求項12】 前記光学素子の成形精度の予測は、前
記成形手段及び前記ガラス材料を有限個の領域に分割
し、前記分割した各領域毎の応力状態を計算し、該応力
状態に基づいて前記成形手段と前記ガラス材料との接触
状態の判断を行い、前記ガラス材料の表面全体の接触状
態の判断により、前記成形手段と前記ガラス材料の固着
又は剥離の予測を実行することを特徴とする請求項11
に記載のガラス光学素子の成形方法。 - 【請求項13】 軟化したガラス材料を成形手段で成形
して所望の形状のガラス光学素子を成形するためのガラ
ス光学素子の成形方法であって、 前記ガラス材料を前記成形手段により所定形状に成形す
るための成形条件を設定し、 前記成形条件により前記ガラス材料が所定形状に成形さ
れる精度の予測を行い、 前記予測された精度と前記成形条件の精度との比較を実
行し、 前記比較結果に応じて前記成形手段を駆動するための駆
動手段を操作して成形を実行することを特徴とするガラ
ス光学素子の成形方法。 - 【請求項14】 軟化したガラス材料を成形手段で成形
して所望の形状のガラス光学素子を成形するためのガラ
ス光学素子の成形方法であって、 前記成形手段を駆動する駆動手段に成形条件を入力し、 前記成形手段により前記成形条件に基づいて成形を行っ
た場合に成形される光学素子の形状精度の予測を行い、 該予測された形状精度の評価を実行し、 該評価結果に応じて、前記成形条件の修正を行うことを
特徴とするガラス光学素子の成形方法。 - 【請求項15】 前記成形条件の修正は、該成形条件を
構成する各パラメータに重み付けを行い、該重み付けに
基づいて各パラメータを変更することにより行うことを
特徴とする請求項14に記載のガラス光学素子の成形方
法。 - 【請求項16】 前記成形条件を構成するパラメータに
は、少なくとも冷却中のプレス荷重と、冷却速度とが含
まれることを特徴とする請求項15に記載のガラス光学
素子の成形方法。 - 【請求項17】 前記成形条件の重み付けは、前記光学
素子の形状の変化量に対する前記各パラメータの影響度
に応じて行うことを特徴とする請求項15に記載のガラ
ス光学素子の成形方法。 - 【請求項18】 ガラス光学素子の成形装置であって、 加熱されたガラス材料をプレスして所定形状に成形する
ための成形手段と、 該成形手段を駆動する駆動手段と、 前記成形手段の成形条件を入力する入力手段と、 前記成形条件に基づいて成形される光学素子の精度を予
測する精度予測手段と、 該精度予測手段の予測結果に応じて前記駆動手段を作動
させる作動手段とを具備することを特徴とするガラス光
学素子の成形装置。 - 【請求項19】 前記精度予測手段の結果を評価する評
価手段と、 該評価手段の評価結果に応じて前記成形条件を変更する
変更手段とをさらに具備することを特徴とする請求項1
8に記載のガラス光学素子の成形装置。 - 【請求項20】 前記精度予測手段は前記成形手段の成
形動作により生じる前記ガラス材料の各部の応力を計算
し、該計算結果に基づいて、成形されるガラス光学素子
の精度を予測することを特徴とする請求項18に記載の
ガラス光学素子の成形装置。 - 【請求項21】 前記成形条件を構成する各パラメータ
の前記光学素子の形状精度への影響度を蓄積したデータ
をさらに具備し、 前記変更手段は、前記データに基づいて前記成形条件を
変更することを特徴とする請求項19に記載のガラス光
学素子の成形装置。 - 【請求項22】 軟化したガラス材料を成形手段でプレ
スすることにより所望の形状に成形されたガラス光学素
子であって、 前記成形手段による前記ガラス材料の成形条件を設定
し、 前記成形条件により成形される光学素子の精度を予測
し、 前記精度を評価して、その結果に応じて成形条件を修正
し、 前記成形手段により、前記修正された成形条件で成形を
行うことにより製造されたことを特徴とするガラス光学
素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8236390A JPH09156937A (ja) | 1995-10-05 | 1996-09-06 | ガラス光学素子の成形方法及び成形装置及び成形シミュレーションにおける光学素子精度の予測システムならびにこれを用いた最適成形条件設定装置及び最適成形条件設定方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7-258646 | 1995-10-05 | ||
JP25864695 | 1995-10-05 | ||
JP8236390A JPH09156937A (ja) | 1995-10-05 | 1996-09-06 | ガラス光学素子の成形方法及び成形装置及び成形シミュレーションにおける光学素子精度の予測システムならびにこれを用いた最適成形条件設定装置及び最適成形条件設定方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09156937A true JPH09156937A (ja) | 1997-06-17 |
Family
ID=26532652
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8236390A Pending JPH09156937A (ja) | 1995-10-05 | 1996-09-06 | ガラス光学素子の成形方法及び成形装置及び成形シミュレーションにおける光学素子精度の予測システムならびにこれを用いた最適成形条件設定装置及び最適成形条件設定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09156937A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008012814A (ja) * | 2006-07-06 | 2008-01-24 | Denso Corp | 成形プロセスシミュレーション装置、成形プロセスシミュレーションプログラム及び成形品の変形解析方法 |
JP2008273796A (ja) * | 2007-05-01 | 2008-11-13 | Osaka Prefecture | 光学素子のプレス成形シミュレーション方法及びプログラム |
-
1996
- 1996-09-06 JP JP8236390A patent/JPH09156937A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008012814A (ja) * | 2006-07-06 | 2008-01-24 | Denso Corp | 成形プロセスシミュレーション装置、成形プロセスシミュレーションプログラム及び成形品の変形解析方法 |
JP2008273796A (ja) * | 2007-05-01 | 2008-11-13 | Osaka Prefecture | 光学素子のプレス成形シミュレーション方法及びプログラム |
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20031205 |