JP2003011199A - 射出成形プロセスシミュレーション装置および形状精度予測方法 - Google Patents

射出成形プロセスシミュレーション装置および形状精度予測方法

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JP2003011199A JP2001203574A JP2001203574A JP2003011199A JP 2003011199 A JP2003011199 A JP 2003011199A JP 2001203574 A JP2001203574 A JP 2001203574A JP 2001203574 A JP2001203574 A JP 2001203574A JP 2003011199 A JP2003011199 A JP 2003011199A
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Kaoru Okidaka
馨 沖高
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂の粘弾性的な性質、および成形品と金型
の型拘束の影響を考慮して、最終的な成形品形状を精度
よく予測する形状精度予測方法を提供する。 【解決手段】 形状定義およびメッシュ分割を行う(S
1)。樹脂と金型の物性データ、成形条件および解析条
件を定義して、流動解析用の入力データを作成する(S
2)。樹脂が金型内に充填する過程および保圧冷却過程
の流動解析を実施し(S3)、圧力、温度などの解析結
果を得る。流動解析から得られた温度、圧力の初期デー
タ、荷重、拘束などの各種境界条件を含む形状入力デー
タに基づき、樹脂の粘弾性的特性、および冷却時の樹脂
と金型の型拘束を考慮した構造解析を実施し(S6)、
変形量、応力、歪みなどの解析結果を得る(S7)。こ
の解析結果を評価し(S8)、要求される成形品の形状
精度が許容値内に収まるように、金型設計、成形条件パ
ラメータを変更して繰り返し解析を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、射出成形法におけ
る成形品の形状精度を高めるために、金型の設計、成形
条件などの最適な設定を支援する射出成形プロセスシミ
ュレーション装置および形状精度予測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、プラスチック射出成形における成
形品の形状精度を高めるために、金型の設計および成形
条件などの最適な設定を支援する各種解析システムが利
用されている。
【0003】例えば、金型内の溶融樹脂の最適な冷却を
予測するための伝熱解析システム、溶融樹脂の充填保圧
冷却過程における圧力、温度分布などを予測するための
流動解析システム、金型や成形品の強度、成形収縮に伴
う変形量を予測するための構造解析システムなどが知ら
れている。
【0004】これらの解析システムは、モデル化された
金型および樹脂流路形状についての有限要素法、境界要
素法などの数値解析法により、それぞれの状況に応じて
個別にあるいは組み合わせて使用される。これらの解析
システムに関する先行技術として、例えば、特公平6−
22840号公報に記載の「成形プロセスシミュレーシ
ョン」、特許第2540232号公報に記載の「金型の
統合解析システム」などが知られている。
【0005】特公平6−22840号公報の「成形プロ
セスシュミレーション」には、プラスチックレンズ成形
品を対象として、金型内における樹脂の溶融相の繋がり
が断たれる時点を特定し、この時点の樹脂の温度を初期
温度として成形品が一様に室温になるまでの冷却過程の
温度変化を熱荷重として熱応力解析を行い、形状精度を
得る方法が示されている。
【0006】また、特許第2540232号公報の「金
型の統合解析システム」には、伝熱解析、流動解析、構
造解析を組み合わせて実施することで金型内流路を最適
化する方法が示されている。
【0007】また、特開平5−169506号公報の
「成形過程シミュレーション方法およびその装置」、特
開平6−55597号公報の「射出成形プロセスシミュ
レーション方法およびその装置」では、充填解析手段、
保圧流動解析手段、冷却解析手段を順次行って射出成形
プロセス中の成形樹脂の圧力、温度変化、比容積変化を
計算することにより、樹脂圧力の大気圧あるいは離型時
の比容積と、室温時の比容積の差から収縮歪を算出し、
構造解析を実施することで成形品の反り、ヒケなどの形
状精度を予測する方法が示されている。
【0008】これらの従来から行われている解析方法を
まとめると以下のようになる。 1) 金型と成形品を同時に考慮した伝熱解析手段とし
て、成形サイクル、樹脂の供給熱量、水管や金型表面か
らの排出熱量を解析条件とした定常温度解析、および、
前記定常温度解析より求めたより求めた金型キャビティ
表面温度を必要に応じて用いて充填保圧冷却解析を行っ
ている。 2) 構造解析時に必要となる収縮歪は、充填保圧冷却
過程での溶融樹脂が熱変形温度、固化温度、流動停止温
度まで冷却された時点、あるいは体積収縮を補う樹脂の
補給が途絶えた時点を収縮開始点と定め、この収縮開始
点での成形品の温度分布と室温(成形品が一様に室温に
なる)での温度差と、成形品の線膨張係数とから決定す
る方法、また、PVT状態方程式を用いて前記収縮開始
点での温度分布と圧力分布から求まる比容積と、室温で
の比容積の差から決定する方法、また、収縮開始点を固
化温度として離型時までに生じる応力(残留応力)と、離
型時の温度・圧力から室温までの比容積差(線膨張係
数)から決定する方法を用いている。 3) 最終的な形状精度を得るための構造解析は、前記
比容積の差からの収縮歪を用いて線形弾性解析(熱応力
解析)を実施することで求めている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、プラス
チック成形品のより高精度な形状精度を解析により予測
するためには、前述した定常温度解析より求めた金型キ
ャビティ表面温度を用いた充填保圧冷却解析、収縮開始
点と室温間の収縮歪に基づく線形弾性解析(熱応力解
析)を行う方法では不十分である。
【0010】例えば、プラスチック成形品の形状精度は
成形開始時から成形品取出し時までの時間、およびその
間の冷却勾配により大きく変化することが知られてお
り、一般のプラスチック部品では、冷却時間が短い場合
よりも長い場合の方がそり変形精度がよいことが知られ
ている。
【0011】これは、周知のように、樹脂がクリープや
応力緩和に代表される粘弾性的な性質を持つ材料である
ことに起因しており、金型内でより高い温度でより長く
保持されることで、成形品内の内部応力が緩和されるこ
とによる。
【0012】さらに、樹脂が金型内で冷却固化する時、
成形品は金型に拘束されて自由収縮が妨げられ、内部応
力が蓄積された部分が多く存在する。
【0013】このような金型内の拘束された部分では、
他の拘束されない部分と比べ、応力レベルや時間変化の
程度が異なり、成形品が取り出された時点で、例えばス
プリングバックのような応力の解放に伴う変形が生じ
る。
【0014】このような要因を持つ成形品の形状精度を
より精度よく求めようとする場合、前述した溶融樹脂の
充填保圧冷却過程でのある時点を収縮開始点として、そ
れ以降、樹脂が常温に達するまでの温度変化を線膨張係
数に基づく熱荷重として線形弾性解析(熱応力解析)を
実施して求める方法、あるいは樹脂が常温に達するまで
の圧力、温度変化を熱収縮歪として線形弾性解析(熱応
力解析)を実施して求める方法では、形状精度が冷却時
間に依存して変化することなどの現象を説明できず、不
十分である。
【0015】本発明では、前述のような課題に対し以下
に示す3つの要因を考慮する。 1) 充填保圧冷却過程おいて成形品が離型するまでの
全過程で、金型と成形品の非定常的な熱移動を考慮した
充填保圧冷却解析を行う。 2) 樹脂のクリープや応力緩和に代表される粘弾性を
考慮した構造解析を行う。この際、樹脂の固化状態で得
られる粘弾性特性、あるいは樹脂の固化状態と溶融状態
のそれぞれから得られる動的粘弾性特性を1つに統合し
た粘弾性特性(マスターカーブ)を作成し使用する。 3) 金型内において成形品と金型表面での、接触挙動
が有る場合と無い場合いずれかの、型拘束の影響を考慮
した構造解析を行う。
【0016】すなわち、充填保圧冷却解析時に決定され
る収縮開始点における成形品の圧力分布と温度分布を、
樹脂のクリープや応力緩和に代表される粘弾性による構
造解析における初期値とし、その後成形品が型拘束され
ながら冷却が進み、金型から離型して、大気中への放熱
により室温にいたる各々の時間ステップにおいて、成形
品各部の圧力(静水圧)と温度からPVT状態方程式によ
り決定される収縮歪を逐次利用し、粘弾性理論に基づい
た構造解析を実施する。
【0017】これにより、例えばプラスチック光学素子
のような高精度な形状精度が要求される成形品に対し、
流動保圧冷却解析から構造解析に至る全過程で、金型お
よび成形品を同時に考慮した解析モデルを使用し、特に
成形時の温度・圧力因子の影響を考慮し、また樹脂の応
力緩和やクリープなどの粘弾性的な性質や、成形品と金
型の非定常的な熱移動並びに型拘束の影響を同時に考慮
して成形品の形状精度をより精度よく求めることができ
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1に記載の射出成形プロセスシミュ
レーション装置は、金型および成形品の伝熱解析を行う
伝熱解析手段と、金型内の溶融樹脂の充填保圧冷却挙動
の熱流体解析を行う流動解析手段と、成形品および金型
の構造解析を行う構造解析手段とを備え、成形品の形状
精度を予測する射出成形プロセスシミュレーション装置
であって、前記金型および成形品の伝熱解析と、成形品
の熱流体解析を、単独あるいは連成して行って、金型の
温度と成形品の圧力および温度を算出する圧力温度算出
手段を備え、前記構造解析手段は、前記算出された圧力
および温度を初期値として、金型と成形品を同時に考慮
して、金型と成形品との型拘束および樹脂の粘弾性特性
を考慮した構造解析を行い、熱収縮に伴って変形する成
形品の形状精度を算出することを特徴とする。
【0019】請求項2に記載の形状精度予測方法は、成
形品の形状精度を予測する形状精度予測方法において、
金型および成形品の伝熱解析および成形品の熱流体解析
を、単独あるいは連成して行って、金型の温度と成形品
の圧力および温度を算出する工程と、該算出された圧力
および温度を初期値として、金型と成形品を同時に考慮
して、金型と成形品との型拘束および樹脂の粘弾性特性
を考慮した構造解析を行い、熱収縮に伴って変形する成
形品の形状精度を算出する工程とを有することを特徴と
する。
【0020】請求項3に記載の射出成形プロセスシミュ
レーション装置は、金型および成形品の伝熱解析を行う
伝熱解析手段と、金型内の溶融樹脂の充填保圧冷却挙動
の熱流体解析を行う流動解析手段と、成形品および金型
の構造解析を行う構造解析手段とを備え、成形品の形状
精度を予測する射出成形プロセスシミュレーション装置
であって、金型および成形品の伝熱解析と、成形品の熱
流体解析を、単独あるいは達成して行って、金型の温度
と成形品の圧力および温度を算出する圧力温度算出手段
を備え、前記構造解析手段は、前記算出された圧力およ
び温度を初期条件として、樹脂の固化状態で得られる粘
弾性特性、あるいは樹脂の固化状態と溶融状態のそれぞ
れから得られる粘弾性特性を1つに統合した粘弾性特性
を作成し、該作成された粘弾性特性を考慮した構造解析
を行い、熱収縮に伴なって変形する成形品の形状精度を
算出することを特徴とする。
【0021】請求項4に記載の形状精度予測方法は、成
形品の形状精度を予測する形状精度予測方法において、
金型および成形品の伝熱解析と、成形品の熱流体解析
を、単独あるいは連成して行って、金型の温度と成形品
の圧力および温度を算出する工程と、該算出された圧力
および温度を初期条件として、樹脂の固化状態で得られ
る粘弾性特性、あるいは樹脂の固化状態と溶融状態のそ
れぞれから得られる粘弾性特性を1つに統合した粘弾性
特性を作成し、該作成された粘弾性特性を考慮した構造
解析を行い、熱収縮に伴なって変形する成形品の形状精
度を算出する工程とを有することを特徴とする。
【0022】請求項5に記載の射出成形プロセスシミュ
レーション装置は、金型および成形品の伝熱解析を行う
伝熱解析手段と、金型内の溶融樹脂の充填保圧冷却挙動
の熱流体解析を行う流動解析手段と、成形品および金型
の構造解析を行う構造解析手段とを備え、成形品の形状
精度を予測する射出成形プロセスシミュレーション装置
であって、前記金型および成形品の伝熱解析と、前記成
形品の熱流体解析を単独あるいは連成して行い、該金型
の温度と成形品の圧力および温度を算出する圧力温度算
出手段を備え、前記構造解析手段は、前記算出された圧
力および温度を初期条件として、金型と成形品の構造解
析を行う際、離型に至る直前まで、前記金型および前記
成形品間の接触摩擦挙動がある場合、あるいはない完全
密着の場合のどちらかの型拘束を考慮して計算する離型
前計算手段と、離型後、前記金型の部分を削除して前記
成形品だけをモデルとして計算する離型後計算手段とを
備え、室温まで熱収縮に伴なって変形する前記成形品の
形状精度を算出することを特徴とする。
【0023】請求項6に記載の形状精度予測方法は、成
形品の形状精度を予測する形状精度予測方法において、
金型および成形品の伝熱解析と、前記成形品の熱流体解
析を単独あるいは連成して行い、該金型の温度と成形品
の圧力および温度を算出する工程と、該算出された圧力
および温度を初期条件として、金型と成形品の構造解析
を行う際、離型に至る直前まで、前記金型および前記成
形品間の接触摩擦挙動がある場合、あるいはない完全密
着の場合のどちらかの型拘束を考慮して計算する工程
と、離型後、前記金型の部分を削除して前記成形品だけ
をモデルとして計算する工程とを有し、室温まで熱収縮
に伴なって変形する前記成形品の形状精度を算出するこ
とを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の射出成形プロセスシミュ
レーション装置および形状精度予測方法の実施の形態に
ついて説明する。第一の実施形態では、射出成形プロセ
スシミュレーション装置および形状精度予測方法の全体
の概要、および樹脂の固化状態で得られる粘弾性特性、
あるいは樹脂の固化状態と溶融状態のそれぞれから得ら
れる動的粘弾性特性を1つに統合した粘弾性特性(マス
ターカーブ)を作成し使用する方法について詳細に説明
する。さらに第二の実施形態では、実際のレンズ成形品
に適用するためのより具体的な方法について、実施例を
含め、詳細に説明する。
【0025】[第1の実施形態]図1は射出成形プロセ
スシミュレーション装置における全体の解析処理手順を
示すフローチャートである。射出成形プロセスシミュレ
ーション装置は、基本的に、形状を定義して有限要素法
などの解析で使用する要素分割を行って解析モデルを作
成する形状定義部1、金型と樹脂の伝熱解析を含み、充
填保圧冷却過程の解析を行う流動解析部2、および樹脂
のクリープ、応力緩和などの粘弾性的な性質と樹脂冷却
時の金型と成形品との間の型拘束を考慮した構造解析を
行う構造解析部3を有し、これらの各部の機能により全
体の解析処理を行う。
【0026】まず、形状定義およびメッシュ分割を行う
(ステップS1)。このステップS1の処理では、CA
Dシステムなどにより、解析対象となる金型と成形品の
形状を定義した後、要素分割プリプロセッサで有限要素
法などの要素分割を行い、解析モデルを作成する。尚、
必要に応じて、CADインターフェースを利用して形状
を取り込む。
【0027】本実施形態の解析では、流動解析に引き続
いて構造解析を行うので、形状定義およびメッシュ分割
を行う際、予め拘束条件などの構造解析用の境界条件を
付加しておく。
【0028】この後、解析を行うための樹脂と金型の物
性データ(粘性、比容積、熱伝導率、比熱など)、成形
条件(射出速度、樹脂温度、保圧値、保圧時間など)お
よび解析条件を定義して、流動解析用の入力データを作
成する(ステップS2)。
【0029】ステップS2で作成された入力データに基
づき、樹脂が金型内に充填する過程、およびその後の保
圧冷却過程での金型を含めた流動解析を実施し(ステッ
プS3)、圧力、温度などの解析結果を得る。
【0030】また、ステップS3における流動解析処理
の実行時、この流動解析プログラムに構造解析用のデー
タ変換プログラムを組み込んでおくことにより(ステッ
プS4)、ステップS1で付加された構造解析用の境界
条件の設定に基づき、構造解析で使用される圧力、温度
の初期データ、形状入力データを得る(ステップS
5)。これにより、流動解析を終了した後、すぐに構造
解析が実行される。
【0031】ステップS3における流動解析から得られ
た温度、圧力の初期データ、荷重、拘束などの各種境界
条件を含む形状入力データに基づき、樹脂の粘弾性的特
性(クリープ、応力緩和)および金型内での冷却時の樹
脂と金型間の型拘束(接触状態)を考慮した構造解析を
実施し(ステップS6)、変形量、応力、歪みなどの解
析結果を得る(ステップS7)。
【0032】この解析結果を評価し(ステップS8)、
成形品の形状精度が要求される許容値内に収まっている
場合、処理を終了する。一方、成形品の形状精度が要求
される許容値内に収まっていない場合、ステップS1の
処理に戻り、金型設計、成形条件パラメータを変更して
繰り返し解析を行うことにより、成形品の形状精度の最
適化を図ることが可能となる。
【0033】図2はステップS6における樹脂の粘弾性
的特性および金型内での冷却時の樹脂と金型と間の接触
状態、離型状態などの型拘束を考慮した構造解析処理手
順を示すフローチャートである。
【0034】ステップS3における流動解析により要素
節点データ、境界条件(温度、荷重、拘束データ)、解
析コントロールデータなどの構造解析用入力データ、お
よび温度、圧力の解析結果が既に作成されているので、
これらのデータを利用して(ステップS20、S2
1)、構造解析を行う。
【0035】まず、流動解析の結果として読み込んだ温
度データを基に、その後の金型と成形品全体が冷却され
て行く状態を、非定常温度解析を実施することで求めて
いく(ステップS22)。
【0036】この過程で、時間刻み毎の成形品の任意の
場所における温度変化が求まるので、樹脂の線膨張係
数、あるいはPVT状態方程式から熱収縮歪みが求ま
り、この値を考慮して粘弾性を考慮した構造解析を行う
(ステップS23)。
【0037】この構造解析では、用途に応じて金型の部
分を変形体(弾性体)として、あるいは剛体としても考
えられるようにする。前者は金型の熱歪みによる変形な
どが無視できない場合、後者は無視できる場合である。
樹脂である成形品部を熱レオロジー的に単純な材料と考
え、つまり時間−温度換算則が適用可能なモデルとして
考え、シフト関数とプロニー級数による緩和弾性係数の
関数近似が可能な線形粘弾性モデルを導入して解析を行
う。応力緩和関数(プロニー級数)、シフト関数とし
て、それぞれ数式(1)、(2)を用いる。なお、時間
−温度換算則とは、ある基準とする温度T0をとったと
き、それより高温での挙動はその基準温度上では短時間
の挙動に、低温での挙動はその基準上では長時間の挙動
に対応するという法則である。すなわち、時間と温度と
は等価に換算できることになる。
【0038】
【数1】 ここで、G∞:平衡弾性率、t’:緩和時間、λn:緩
和時間係数である。
【0039】 log10T(T)=C0+C1・T+C2・T2+C3・T3+C4・T4+・・・ ・・+Cn・Tn …… (2) ここで、log10T(T):温度シフトファクタ、
n:係数、T:温度である。
【0040】ステップS23における粘弾性を考慮した
構造解析を実施する際、成形品である樹脂の温度挙動
は、流動時には金型壁面近傍が固化状態であるが、成形
品の内部は溶融状態にあり、この2つの相が混在した状
態で徐々に冷却固化していく。したがって、樹脂の粘弾
性マスターカーブは固化状態のみならず溶融状態の両方
が必要である。よって、固化状態から溶融状態の全域に
わたって1つの粘弾性マスターカーブを作成して利用で
きると溶融状態での粘弾性特性も正確に考慮され、非常
に効率的で有効である。
【0041】そこで、ステップS23における粘弾性を
考慮した構造解析で用いる粘弾性物性値を求める方法に
ついて、ポリオレフィン系樹脂の場合を一例として詳し
く述べる。粘弾性試験方法としては、樹脂が固体領域に
おいて矩形型試験片(厚さ2.5mm、幅12mm、長
さ40mm)を用いる強制捩じり法(角周波数掃引)、
並びに樹脂溶融時、円錐/円板治具の間に挿入する円板
試験片(厚さ2.5mm、直径25mm)を用いるせん
断法(角周波数掃引)を適用した。
【0042】図3は矩形型試験片を用いる強制捩じり法
による動的粘弾性の測定装置の概略を示す図である。こ
の方法は、試験片下端が振動モータに、上端がトルク検
出用トランスデューサに連結されており、矩形型試験片
の両端をチャックで固定した後、その一端を固定した状
態で他端に角周波数の正弦的な捻り変位を印加する。こ
の時に発生するトルクを測定する粘弾性測定法である。
【0043】矩形型試験片の厚さ、幅、チャック間距離
から試験片に発生する捩じり歪み振幅が求められ、試験
片が変形する際に弾性的に貯えられたエネルギーに関係
する貯蔵弾性率G’と粘性的に損失したエネルギーに関
連する損失弾性率G''を求めることができる。
【0044】図4は円板試験片を用いるせん断法による
動的粘弾性の測定装置の概略を示す図である。この方法
は、モータ、トランスデューサにそれぞれ連結した円
錐、円板状金属製治具の間に試験片を挿入し、円錐から
試料に角周波数、回転振幅の正弦的な変形を印加した時
に発生するトルクを測定する方法である。
【0045】円板の半径、円錐と円板とのなす角度か
ら、歪み振幅が求められ、試験片が変形する際に弾性的
に貯えられたエネルギーに関係する貯蔵弾性率G’と粘
性的に損失したエネルギーに関連する損失弾性率G''を
求めることができる。
【0046】測定装置としては、レオメトリック社の粘
弾性スペクトロメータを使用し、固体領域から溶融遷移
領域である23℃から190℃の温度範囲においては強
制捩じり法を、溶融遷移領域から溶融領域である130
℃から300℃の温度範囲においてはせん断法により測
定を行った。尚、角周波数は、0.1〜100rad/
s、歪み振幅は、0.1〜10%の範囲で与えた。
【0047】図5は固体領域から溶融遷移領域の各温度
での捩じり法による動的粘弾性測定により得られた貯蔵
弾性率G’の角周波数依存性の測定結果を示すグラフで
ある。図6は固体領域から溶融遷移領域の各温度での捩
じり法による動的粘弾性測定により得られた損失弾性率
G''の角周波数依存性の測定結果を示すグラフである。
図7は溶融遷移領域から溶融領域の各温度でのせん断法
による動的粘弾性測定により得られた貯蔵弾性率G’の
角周波数依存性の測定結果を示すグラフである。図8は
溶融遷移領域から溶融領域の各温度でのせん断法による
動的粘弾性測定により得られた損失弾性率G''の角周波
数依存性の測定結果を示すグラフである。 これらの測
定結果より、温度−時間換算則を適用することにより、
基準温度(今回の樹脂の場合、固体領域から溶融遷移領
域での捩じり法においては138℃、溶融遷移領域から
溶融領域でのせん断法においては190℃)に対し、捩
じり法とせん断法で得られた各測定温度での貯蔵弾性率
G’と損失弾性率G''を時間軸上(水平移動)を順次移
動させて重ね合わせを行った。これらの結果を捩じり法
については図9、図10に、せん断法については図1
1、図12に示す。図9は図5の捩じり法による動的粘
弾性測定により得られた各温度での貯蔵弾性率G’をシ
フトして重ね合わせた後の貯蔵弾性率の周波数依存性を
示すグラフである。図10は図6の捩じり法による動的
粘弾性測定により得られた各温度での損失弾性率G''を
シフトして重ね合わせた後の損失弾性率の周波数依存性
を示すグラフである。図11は図7のせん断法による動
的粘弾性測定により得られた各温度での貯蔵弾性率G’
を重ね合わせた後の貯蔵弾性率の周波数依存性を示すグ
ラフである。図12は図8のせん断法による動的粘弾性
測定により得られた各温度での損失弾性率G''を重ね合
わせた後の損失弾性率の周波数依存性を示すグラフであ
る。
【0048】以上の図に示してきたように、各測定温度
での貯蔵弾性率G’と損失弾性率G''は、基準温度に対
して全て重ね合わせが可能であることがわかる。これ
は、樹脂が温度−時間換算則が成り立つ熱レオロジー的
に単純な材料であることを示している。この基準温度上
に全て重ね合わせられた貯蔵弾性率G’と損失弾性率
G''の曲線をマスターカーブと呼ぶ。図13は捩じり法
における重ね合わせ時の各曲線の移動量を移動因子(シ
フトファクタ)として表したグラフである。図14はせ
ん断法における重ね合わせ時の各曲線の移動量を移動因
子(シフトファクタ)として表したグラフである。
【0049】つぎに、上記捩じり法、せん断法の両者で
得られた貯蔵弾性率G’と損失弾性率G''のマスターカ
ーブを更に重ね合わせ、樹脂の固体領域から溶融領域の
全ての領域にわたって1本の最終マスターカーブが得ら
れるか否かの検討を行った。図15はせん断法での結果
を捩じり法での基準温度138℃上に重ね合わせた貯蔵
弾性率G’、損失弾性率G''の時間依存性に関するマス
ターカーブを示すグラフである。図16は図13および
図14をさらに重ね合わせ時の移動因子(logaT)
の温度依存性を示すグラフである。
【0050】この結果から、樹脂の固体領域から溶融領
域の全ての領域にわたって1本の粘弾性マスターカーブ
を作成できることがわかる。
【0051】尚、最終的に、この貯蔵弾性率G’と損失
弾性率G''のマスターカーブを線形粘弾性解析で使用で
きるようにするためには、貯蔵弾性率G’と損失弾性率
G''から緩和スペクトルへ変換し、これから緩和弾性係
数を求めてプロニー級数近似することが必要である。
【0052】図17は図15から得られた貯蔵弾性率
G’、損失弾性率G''を変換して数式(1)に示すプロ
ニー級数近似し、温度に対する緩和弾性係数G(t)の
関係を示したグラフである。図18は図16から得られ
た時間−温度移動因子を数式(2)に示す多項式により
近似し、両者を比較したグラフである。
【0053】以上、成形品部である樹脂の粘弾性特性を
動的粘弾性試験法により、固化状態(強制捩じり法)と
溶融状態(せん断法)についてそれぞれ測定し、両者を
重ね合わせることで、プロニー級数(緩和弾性係数)、
シフト関数(時間−温度換算則)を用いた1本のマスタ
ーカーブを作成でき、線形粘弾性モデルを適用すること
により解析可能であることを示した。
【0054】本発明においては、樹脂の固化状態で得ら
れる粘弾性マスターカーブのみならず、樹脂の固化状態
と溶融状態それぞれで得られる動的粘弾性特性を1つに
統合した粘弾性マスターカーブを作成し、この物性値を
使用して金型並びにプラスチック成形品形状の熱収縮に
伴う変形挙動を求めるための構造解析を行うことを特徴
とする。
【0055】さらに、上記粘弾性物性を考慮した構造解
析を実施するのと同時に、冷却固化に伴う成形品表面と
金型表面での接触、解離などの型拘束の影響も考慮す
る。具体的には、ステップ毎の応力解析(ステップS2
3)が終了した後、成形品表面と金型表面において両者
の接触距離(成形品と金型両者の接触面を構成する要素
節点の距離)と、接触面構成節点での反力とにより接触
/解離判定を行う(ステップS24)。
【0056】接触判定時には、成形品と金型の接触面に
おける熱通過率を設定し、解離判定時には、成形品表面
とキャビティ空間の間に熱伝達率を設定して、次のステ
ップの温度解析に反映する。
【0057】上記非定常温度解析(ステップS22)、
粘弾性を考慮した構造解析(ステップS23)、接触/
解離判定(ステップS24)の手順を、成形条件として
入力された成形品取り出し温度あるいは取り出し時間に
なるまで繰り返し(ステップS25)、この条件(温度
あるいは時間)になった時点で、離型処理(成形品が金
型による拘束から解放)に伴う成形品のスプリングバッ
ク(Spring Back)量の計算を実施し(ステ
ップS26)、その後、大気中で自然冷却されて室温に
至るまで引き続き粘弾性を考慮した構造解析を行って、
最終的に変形量、応力、歪みなどの計算結果を出力する
(ステップS27)。この後、解析処理を終了する。
【0058】[実施例1]つぎに、上記解析処理の具体
例を示す。図19は具体的な成形品形状を示す図であ
る。この成形品形状は、20mm×20mm(板厚6m
m)のゲート形状を有する、60mm×60mm(板厚
6mm)の単純な厚肉平板である。全体の解析処理は、
図1の手順にしたがって行う。
【0059】図20は図19の厚肉平板も含めた金型全
体モデルの形状を示す図である。この金型全体モデル1
1は左右対称であるので、図20にはその1/2のモデ
ル部分だけが示されている。この金型全体モデル11
は、固定側金型11aおよび可動側金型11bと成形品
11cから構成されるモデルである。
【0060】図21は5000要素に分割された金型全
体モデルを示す図である。要素分割プリプロセッサによ
り、図21に示すように、金型全体モデルを要素数50
00程度に分割した後、対称面、金型と成形品の材質領
域、流入境界などの各種境界条件を定義し、流動解析用
の入力データを作成する。尚、流動解析後に実施する拘
束条件などの構造解析用の境界条件も併せて付加する。
【0061】最初に、流動解析により、樹脂が金型内に
充填して保圧冷却される過程を解析する。この解析プロ
グラムとしては、市販されている汎用流体解析ソフトウ
ェアを使用し、これに樹脂の非ニュートン流体としての
性質である粘性が温度とせん断速度に依存する関係式、
すなわち粘性方程式と、保圧解析時に必要となる圧力と
温度と比容積の関係式であるPVT状態方程式とをソフ
トウェアに付属のユーザーサブルーチンを利用して定義
する。
【0062】またこれと同時に、このユーザーサブルー
チンを使用して流動解析のすぐ後に実行する構造解析用
入力データを作成するデータ変換プログラムを組み込ん
でおくことにより、構造解析で使用するための圧力、温
度データ、形状入力データが作成されるようにする。図
22は流動解析で得られた保圧冷却過程が終了した時点
(樹脂の流動が停止した時点)の成形品の温度分布を示
す図である。図中、濃淡で温度分布は表されており、ゲ
ート側のa点の温度が最も高く、b点の温度も高く、金
型に接する部分のc点の温度が最も低くなっている。こ
の場合の温度範囲は183℃〜93℃である。
【0063】つぎに、保圧過程が終了した後の成形品の
冷却中の熱収縮挙動を、流動解析での温度・圧力の最終
結果を初期データとして、構造解析に取り込み、型拘束
を考慮した粘弾性解析を行う。図23は金型全体モデル
の温度分布を示す図である。図中、濃淡で温度分布は表
されており、ゲート側のd点の温度が最も高く、e点の
温度も高く、金型部分のf点の温度が最も低くなってい
る。尚、この解析では、図23に示すように、温度解析
については金型と成形品の全体について解析を行ってい
るが、粘弾性解析については金型の部分を剛体として解
析を行っている。解析入力データは、既に流動解析の実
行時に作成されているので、すぐに実行が可能である。
【0064】解析プログラムとして、市販されている汎
用非線形構造解析プログラムを使用し、樹脂である成形
品部については時間−温度換算則が適用可能な熱レオロ
ジー的に単純な材料と考え、前述したプロニー級数(数
式(1))による緩和弾性係数の定義が可能な線形粘弾
性モデルを用い、シフト関数(数式(2))については
ユーザーサブルーチンを使用して定義することにより解
析を行う。
【0065】また、冷却固化に伴う成形品表面と金型表
面での接触、解離などの型拘束の影響も考慮する。尚、
接触判定時には成形品と金型の接触面温度が同じになる
ように熱通過率を設定し、解離判定時には、成形品表面
とキャビティ空間の間が断熱となるように熱伝達率を設
定する。
【0066】図24は冷却に伴う樹脂の体積収縮により
キャビティ内で成形品が金型から解離している成形品表
面部分(樹脂流入口側)で断熱作用により温度が高く、
金型に接している成形品表面部分で温度低下を生じてい
る例を示す図である。図中、濃淡で温度分布は表されて
おり、ゲート側(樹脂流入口側)のg点の温度が最も高
く、金型に接している表面部分のh点の温度が低くなっ
ている。
【0067】最終的に成形条件として設定した取り出し
時間になった時点で、離型時の成形品のスプリングバッ
ク挙動を解析するために、金型による成形品の型拘束の
影響を除く処理を行い、その後、大気中で自然冷却され
て室温に至るまで解析を行って、最終的な変形量、応力
などの結果を得る。図25は本解析で得られた金型から
成形品を取り出した時点の成形品の変形を示す図であ
る。なお、図中の変形状態を分かり易くするために、表
示倍率を大きくした状態で結果を示している。
【0068】[第2の実施形態]次に、第2の実施形態
の射出成形プロセスシミュレーション装置について示
す。全体の解析処理手順と構造解析部における処理手順
を示すフローチャートは、前記第1の実施形態で示した
図1、図2と同じである。
【0069】したがって、ここでは図26に示す熱収縮
歪みの計算処理手順を示すフローチャートを用いて、熱
構造連成解析の各ステップで求まる温度と、応力の値か
ら計算される静水圧とから、樹脂のPVT状態方程式に
より比容積を計算する手段、得られた比容積から線膨張
係数を計算して次ステップでの熱歪増分を計算する具体
的な手段について詳細に説明する。
【0070】図1のステップS3に示す流動解析の実施
により、要素節点データ、境界条件、解析コントロール
データなどの構造解析入力データを読み込み(ステップ
S20)、流動解析により温度、圧力の解析結果が既に
作成されているので、これらのデータを初期値として入
力し(ステップS21)、構造解析(S6)を開始す
る。
【0071】まず最初に、流動解析結果として読み込ん
だ圧力データP0、温度データT0を基に、PVT状態方
程式により比容積V0を計算しておく(図26のステッ
プS31、S32)。図26の処理では、初期値として
要素番号n、時間tを値0に設定しておく(ステップS
30)。尚、樹脂のPVT状態方程式には、一般に数式
(3)で表わされるスペンサーギルモア式、あるいは数
式(4)で表されるTait式を用いる。
【0072】 V(T,P)=(Z(P+W)+RT)/(P+W) ・・・ (3) ここで、W:定数、R:定数、Z:定数である。
【0073】 V(T,P)=Z(T)[1−C・ln(1+P/B(T)) ・・・ (4 ) ここで、B(T):圧力依存定数、C:定数、Z
(T):定数 つぎに、解析時間刻みΔt毎に成形品の任意の場所にお
ける温度Tnが求まると(ステップS33、S34)、
PVT状態方程式から時刻t=t+Δtでの比容積Vn
を得る(ステップS35)。図27はPVT状態方程式
から計算される比容積、温度、圧力の関係を示すグラフ
である。ただし、この時点では、PVT状態方程式での
圧力Pは流動解析結果から初期値として読み込んだ圧力
0である。
【0074】樹脂の等方性収縮を仮定した場合、時間刻
みΔtでの比容積(Vn−V0)と温度変化ΔTから、数
式(5)にしたがって線膨張係数αnを計算する(ステ
ップS36)。
【0075】 αn=((Vn/V0)1/3−1)/ΔT ・・・ (5) このαnにより、解析の第1ステップでの温度変化ΔT
に対する熱収縮歪ΔeVが求まるので(ステップS3
7)、これによりステップS22、S23での型拘束を
考慮した粘弾性解析を実施して応力分布を求める(ステ
ップS38)。
【0076】尚、薄肉成形品などでは、本出願人等の過
去の実験により、流れ方向(面内方向)と板厚方向とで
異方性収縮挙動を示すことが確かめられている。この異
方性収縮の取り扱い方法については、特開平7−186
228号公報、特開平8−23008号公報において既
に開示しており、数式(6)により異方性収縮歪Δε P
を計算することができる。
【0077】 ΔεZ=A+B・ΔeV ΔεP=(ΔeV−ΔεZ)/2 ・・・ (6) ここで、ΔεZ:板厚方向の収縮率、ΔεP:面内方向の
収縮率、A、B:収縮係数、ΔeV:体積収縮率 ここで、PVT状態方程式から求まる比容積を基に、線
膨張係数あるいは熱収縮歪を求め、プラスチック成形品
の形状精度を求める従来の構造解析手法は、充填保圧冷
却過程での熱変形温度、固化温度あるいは流動停止温度
などの収縮開始点における圧力温度分布と、常圧室温間
での線膨張係数あるいは熱収縮歪を算出して線形弾性解
析(熱応力解析)を行う方法である。したがって、前記
収縮開始点から室温に至る間の、成形品の型拘束に伴な
う応力緩和やクリープなど負荷経路(時間)依存性につ
いては考慮していない。
【0078】本実施形態では、金型と成形品全体が冷却
されていく過程を非定常温度解析(ステップS22)と
負荷経路(時間)依存性を考慮できる粘弾性を考慮した
構造解析(ステップS23)を実施することで求めてい
く。この際、時間刻みΔt毎に成形品の任意の場所にお
ける温度Tn、圧力(静水圧)Pnを求め、ステップS3
5に示すPVT状態方程式から比容積Vnを算出して、
熱収縮歪Δεを求める。
【0079】この粘弾性を考慮した構造解析(S23)
の具体的手法は、すでに述べたように、時間−温度換算
則が適用可能な熱レオロジー的に単純な材料と考え、時
間−温度換算則にシフト関数、緩和弾性係数にプロニー
級数を用いてマスターカーブ近似した線形粘弾性モデル
を適用する。
【0080】なお、本発明では、樹脂の固化状態で得ら
れる粘弾性マスターカーブではなく、前記第1の実施形
態で述べたように樹脂の固化状態と溶融状態でそれぞれ
で得られる動的粘弾性特性を1つに統合した粘弾性マス
ターカーブを作成し、緩和弾性係数、シフト関数にそれ
ぞれ前述した数式(1)、(2)を適用して用いる。
【0081】つぎに、成形品表面と金型表面での型拘束
の影響をより正確に取り扱う方法として、前述した第1
の実施形態では、ステップ毎の粘弾性を考慮した応力解
析(S23)を終了後、成形品表面および金型表面にお
いて両者の接触距離(成形品と金型両方の接触面を構成
する要素節点の距離)と接触面構成節点での反力により
接触/解離判定を行う(ステップS24)。そして、接
触判定時には成形品と金型の接触面に熱通過率を設定
し、解離判定時には成形品表面とキャビティ空間の間に
熱伝導率を設定して次回ステップの温度解析に反映して
いく解析方法について示した。しかし、この方法は、解
析的に非線形性の非常に強い問題となる場合があり、解
析モデル形状によっては安定した解析結果が得られな
い、あるいは計算コストが非常にかかるなどの問題があ
り、効率的ではない。
【0082】そこで、本実施例では、通常の適正な成形
品が得られる成形条件範囲では、成形品および金型間の
接触摩擦、すべり、解離などの要因が成形品の変形に与
える影響は小さいと考え、保圧時の圧力による金型の変
形と冷却固化に伴う成形品表面と金型表面での型拘束の
影響を、成形品および金型間の接触挙動がない一体型モ
デルとして考慮する。
【0083】具体的には、成形品が取出し可能温度(離
型温度)の金型から取り出されるまでは、成形品表面と
金型表面において両者は完全に密着(固着)していると
仮定し、接触問題としての解析を省略する。
【0084】そして、成形品が取り出された(離型)後
は、解析モデルの金型の部分を削除して成形品のみを対
象にした粘弾性応力解析を実施し、離型直後の型拘束解
放に伴うスプリングバック変形量、および成形品表面と
キャビティ空間の間に熱伝導率を設定し、最終的に成形
品の温度が室温になるまでの熱変形量を解析する。
【0085】前述した非定常温度解析(S22)、粘弾
性を考慮した応力解析(S23)の手順を、成形条件と
して入力された成形品の取り出し温度あるいは時間にな
るまで繰り返す(ステップS25)。なお、ステップ2
4の接触/解離判定は本実施形態では省略する。そし
て、取り出し条件になった時点で、離型処理(成形品が
金型による拘束から解放)を行うが、前述したように、
解析モデル上では金型と成形品は連続した一体モデルと
して解析を行っているので、金型部分についてだけ無剛
性として後の解析対象から除外することで、成形品の離
型時のSpring Back量を計算する(ステップ
S26)。
【0086】この後、これまで解析してきた成形品およ
び金型間での熱伝導条件を、成形品から大気への熱伝達
境界条件に変更し、引き続き、大気中での自然放冷に伴
う自由収縮挙動を、成形品が室温になるまで、非定常温
度解析(ステップS26A)および粘弾性を考慮した応
力解析(ステップS26B)を繰り返すことで計算し
(ステップS26C)、最終的に変形量、応力、歪など
の計算結果を出力する(ステップS27)。
【0087】[実施例2]図28は成形品形状を示す図
である。図28に示すように、上記解析手順を、外形の
長さ102mm、幅11.6mmの矩形形状に半径R1
=259.2mm、半径R2=156.12mmの光学
面形状を有するトーリックレンズ形状を例として、光学
面の母線方向(レンズ長手方向)の変形量(ベンディン
グ量)を解析により求める場合を示す。解析全体の流れ
は、既に詳述した図1および図26の解析手順に従って
進める。
【0088】図29はレンズ形状の金型も含めた金型全
体モデルを示す図である。但し、レンズ幅の中心で長手
方向に左右対称であるので、1/2のモデルとなってい
る。この金型全体モデルは、固定側、可動側それぞれの
金型および成形品から構成されるモデルである。
【0089】そして、要素分割プリプロセッサによりモ
デル全体を、図30に示すように、7000程度の要素
数に分割した後、対称面、金型および成形品の材質領
域、流入境界などの各種境界条件を定義し、流動解析用
の入力データを作成する。図30は要素分割された解析
モデル全体を示す図である。図31は要素分割された成
形品部だけを示す図である。尚、流動解析後に実施する
拘束条件などの構造解析用の境界条件も併せて付加す
る。解析で用いた成形条件は以下に示す通りである。
【0090】・使用樹脂 ポリオレフィン系樹脂 ・樹脂温度 270℃ ・充填時間 3.0sec ・金型温度 120℃(一定) ・保圧圧力 設定値 1060Kgf/cm2(金型内
実測値848Kgf/cm2) ・保圧時間 30sec ・冷却時間 120sec 最初に、樹脂が金型内に充填して保圧冷却される過程を
流動解析により行うが、成形品および金型間の熱移動を
考慮するために、充填から保圧冷却過程全体に対して非
定常熱伝導解析も同時に行う。解析プログラムは、市販
されている汎用流体解析ソフトウェアを使用し、これに
樹脂の非ニュートン流体としての性質である粘性が温度
およびせん断速度に依存する関係式、すなわち、数式
(7)に示すように、べき指数則に基づく粘性方程式
と、前述した数式(3)に示すように、保圧解析時に必
要となる圧力、温度、比容積の関係式であるスペンサー
ギルモアのPVT状態方程式をソフトウェアに付属のユ
ーザーサブルーチンを利用して定義する。
【0091】 μ=A・γB・exp(C・T) …… (7) ここで、A、B、Cは樹脂によって定まる定数である。
【0092】 V(T,P)=(Z0(P+W)+RT)/(P+W) ・・・ (3) ここで、W:定数、R:定数、Z0:定数である。
【0093】またこれと同時に、このユーザーサブルー
チンを使用して流動解析のすぐ後に実行する構造解析入
力データを作成するデータ変換プログラムを組み込んで
おくことにより、構造解析で使用するための圧力、温度
データ、形状入力データが作成されるようにする。
【0094】図32は本解析で得られた充填解析時のメ
ルトフロントの進行状況を示す図である。図33は保圧
開始後の圧力分布を示す図である。図34は保圧冷却過
程中における樹脂の流動が停止した時点(本解析例で
は、保圧開始後、20sec後)の成形品の温度分布を
示す図である。
【0095】つぎに、保圧冷却過程が終了した後の成形
品の冷却中の熱収縮挙動に関する解析は、流動解析時に
使用した要素分割モデルをそのまま用い、流動解析時で
の樹脂の流動が停止した時点での温度・圧力の最終結果
を初期データとして構造解析に取り込む。
【0096】図35は樹脂の流動が停止した時点での金
型・成形品全体の温度分布を示す図である。図36は成
形品部の温度分布を示す図である。図37は流動解析の
圧力分布を構造解析での初期応力(圧縮応力)に変換し
た後の圧力分布を示す図である。
【0097】引き続き離型時まで成形品および金型間の
非定常温度解析と、型拘束を考慮した構造解析を熱解析
と連成しながら行っていく。なお、本解析では、金型お
よび成形品の部分を共に変形体として解析を行うが、成
形品について粘弾性を考慮した熱応力解析を行う。
【0098】この際、本来の解析では、金型と成形品の
界面は、接触解析問題として考え、冷却固化に伴う成形
品表面と金型表面での接触、解離などの型拘束の影響を
考慮する。これは例えば、接触判定時には成形品と金型
間熱通過率を設定し、解離判定時には成形品表面とキャ
ビティ空間の間が断熱となるような熱伝達率の設定を行
いながら解析を進めていくことが望ましい。しかし、通
常の良品が得られる適正な成形条件下では、離型するま
で金型と成形品の界面は固着(密着)しており、金型お
よび成形品間の解離は生じないと考えられるので、本解
析では、この接触解析を除外して離型まで金型と成形品
は一体であるとみなして計算を簡略化する。これによ
り、解析時間は短縮され、解析業務の効率化が図れるメ
リットがある。
【0099】解析プログラムは、市販されている汎用非
線形構造解析プログラムを使用し、樹脂である成形品部
について、時間−温度換算則が適用可能な熱レオロジー
的に単純な材料と考え、前述したプロニー級数による応
力緩和関数の近似が可能な線形粘弾性構成式(数式
(1))とシフト関数(数式(2))を、解析入力デー
タおよびユーザーサブルーチンを用いて定義して解析を
行う。
【0100】一方、この過程では、同時に時間刻み毎に
おける成形品の任意の場所における温度、圧力(静水
圧)を求め、前述したPVT状態方程式(数式(3))
から比容積を取得し、熱収縮歪を計算することで、圧力
(静水圧)の影響を考慮した解析を行う。なお、本解析
で使用した粘弾性物性値は、前述の第1の実施形態で示
したポリオレフィン系樹脂と同じものである。
【0101】解析入力データは、既に流動解析の実行時
に作成されているので、すぐに構造解析の実行が可能で
ある。以上の計算を成形品取り出し時間である離型時
(本解析では、冷却時間120sec)まで行う。
【0102】離型時に達した時点で、離型処理(成形品
が金型による拘束から解放)を行うが、前述したよう
に、解析モデル上では金型と成形品は連続した一体モデ
ルとして解析を行っているので、本実施例では金型部分
についてのみ無剛性として解析対象から除外すること
で、成形品の離型時のSpring Back量を計算
する。
【0103】この後、これまで解析してきた成形品およ
び金型間での熱伝導条件を、成形品から大気への熱伝導
境界条件に変更し、引き続き大気中での自然放冷に伴う
自由収縮挙動を成形品が室温になるまで非定常温度解析
と粘弾性を考慮した構造解析を繰り返すことで、さらに
計算を進め、最終的な変形量、応力、歪等の計算結果を
出力する。
【0104】図38はレンズ成形品の中央部の節点番号
575、638、701において、解析開始時の金型に
よる拘束下での冷却状態から離型時を経て、大気中での
自然放冷で室温に至るまでの温度履歴を示す図である。
【0105】図39は金型から成形品を取り出し、室温
に至った時点におけるレンズ成形品のR1光学面、R2
光学面それぞれの母線方向の変形状態を、実測値と解析
値で比較した図である。R1光学面では、レンズ成形品
の変形量は実測値約40μmであるのに対して解析値は
25μmであり、R2光学面では、実測値約16μmで
あるのに対して解析値15μmという結果である。
【0106】また、図40は、他の複数のレンズ部品
(A、B、C、Dの4部品)について同じく母線方向ベ
ンディング量について検証を行った結果を示した図であ
る。図中に示すレンズ部品A、Bは、レンズ長さがそれ
ぞれ260mm、240mm程度の長尺トーリックレン
ズであり、レンズ部品C、Dは、レンズ長さがそれぞれ
90mm、50mm程度のトーリックレンズである。図
中の母線方向ベンディング量は、レンズ有効範囲内での
実測値と解析値を比較して示している。さらに、図41
は、レンズ部品(D部品)について母線方向ベンディン
グ(R1面)について、形状プロファイルの比較検証を
行った結果を示した図であり、両者はよく一致してい
る。
【0107】このように、レンズ成形品の変形量を本解
析手法によりほぼ定量的に予測することが可能であり、
過去の類似レンズ部品の実測値も参考にすれば、あらか
じめ変形量を補正したイニシャルの金型を作成すること
が可能であり、金型製作費用とコストを大幅に削減可能
である。
【0108】以上、本実施形態の射出成形プロセスのシ
ミュレーション装置を示した。各々の実施形態で示され
た解析処理を行う射出成形プロセスのシミュレーション
装置は、例えば、周知のCPU、ROM、RAM、I/
Oインターフェースを有するコンピュータ本体、キーボ
ード、CRTディスプレイ、外部メモリおよびプリンタ
などのコンピュータシステムから構成することが可能で
あり、CPUが外部メモリに記憶された各種プログラム
モジュールを実行することにより、形状定義部1、流動
解析部2および構造解析部3の各機能が具体的に実現さ
れる。
【0109】
【発明の効果】本発明によれば、成形時の成形品および
金型の温度因子と成形品の圧力因子の影響を考慮し、ま
た、樹脂の応力緩和やクリープなどの粘弾性的な性質
や、成形品と金型間の熱移動並びに接触面での型拘束な
どの影響を同時に考慮して、最終的な成形品の形状精度
を精度よく求めることができる。
【0110】さらに、コンピュータを使用して金型を製
作する前に検討することができるので、最適な形状を決
定するまでの検討時間を短縮することができ、金型製
作、修正などのコストを大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】射出成形プロセスシミュレーション装置におけ
る全体の解析処理手順を示すフローチャートである。
【図2】ステップS6における樹脂の粘弾性的特性およ
び金型内での冷却時の樹脂と金型と間の接触状態、離型
状態などの型拘束を考慮した構造解析処理手順を示すフ
ローチャートである。
【図3】矩形型試験片を用いる強制捩じり法による動的
粘弾性の測定装置の概略を示す図である。
【図4】円板試験片を用いるせん断法による動的粘弾性
の測定装置の概略を示す図である。
【図5】固体領域から溶融遷移領域の各温度での捩じり
法による動的粘弾性測定により得られた貯蔵弾性率G’
の角周波数依存性の測定結果を示すグラフである。
【図6】固体領域から溶融遷移領域の各温度での捩じり
法による動的粘弾性測定により得られた損失弾性率G''
の角周波数依存性の測定結果を示すグラフである。
【図7】溶融遷移領域から溶融領域の各温度でのせん断
法による動的粘弾性測定により得られた貯蔵弾性率G’
の角周波数依存性の測定結果を示すグラフである。
【図8】溶融遷移領域から溶融領域の各温度でのせん断
法による動的粘弾性測定により得られた損失弾性率G''
の角周波数依存性の測定結果を示すグラフである。
【図9】図5の捩じり法による動的粘弾性測定により得
られた各温度での貯蔵弾性率G’をシフトして重ね合わ
せた後の貯蔵弾性率の周波数依存性を示すグラフであ
る。
【図10】図6の捩じり法による動的粘弾性測定により
得られた各温度での損失弾性率G''をシフトして重ね合
わせた後の損失弾性率の周波数依存性を示すグラフであ
る。
【図11】図7のせん断法による動的粘弾性測定により
得られた各温度での貯蔵弾性率G’を重ね合わせた後の
貯蔵弾性率の周波数依存性を示すグラフである。
【図12】図8のせん断法による動的粘弾性測定により
得られた各温度での損失弾性率G''を重ね合わせた後の
損失弾性率の周波数依存性を示すグラフである。
【図13】図9および図10で重ね合わせ時にシフトし
た移動因子(シフトファクタ)の温度依存性を示すグラ
フである。
【図14】図11および図12で重ね合わせ時にシフト
した移動因子(シフトファクタ)の温度依存性を示すグ
ラフである。
【図15】せん断法での結果を捩じり法での基準温度1
38℃上に重ね合わせた貯蔵弾性率G’、損失弾性率
G''の時間依存性に関するマスターカーブを示すグラフ
である。
【図16】図13および図14をさらに重ね合わせ時の
移動因子(logaT)の温度依存性を示すグラフであ
る。
【図17】図15から得られた貯蔵弾性率G’、損失弾
性率G''を変換して数式(1)に示すプロニー級数近似
し、温度に対する緩和弾性係数G(t)の関係を示すグ
ラフである。
【図18】図16から得られた時間−温度移動因子を数
式(2)に示す多項式により近似し、両者を比較したグ
ラフである。
【図19】具体的な成形品形状を示す図である。
【図20】図19の厚肉平板も含めた金型全体モデルの
形状を示す図である。
【図21】5000要素に分割された金型全体モデルを
示す図である。
【図22】流動解析で得られた保圧冷却過程が終了した
時点(樹脂の流動が停止した時点)の成形品の温度分布
を示す図である。
【図23】金型全体モデルの温度分布を示す図である。
【図24】冷却に伴う樹脂の体積収縮によりキャビティ
内で成形品が金型から解離している成形品表面部分(樹
脂流入口側)で断熱作用により温度が高く、金型に接し
ている成形品表面部分で温度低下を生じている例を示す
図である。
【図25】本解析で得られた金型から成形品を取り出し
た時点の成形品の変形を示す図である。
【図26】熱収縮歪みの計算処理手順を示すフローチャ
ートである。
【図27】PVT状態方程式から計算される比容積、温
度、圧力の関係を示すグラフである。
【図28】成形品形状を示す図である。
【図29】レンズ形状の金型も含めた金型全体モデルを
示す図である。
【図30】要素分割された解析モデル全体を示す図であ
る。
【図31】要素分割された成形品部だけを示す図であ
る。
【図32】本解析で得られた充填解析時のメルトフロン
トの進行状況を示す図である。
【図33】保圧開始後の圧力分布を示す図である。
【図34】保圧冷却過程中における樹脂の流動が停止し
た時点(本解析例では、保圧開始後、20sec後)の
成形品の温度分布を示す図である。
【図35】樹脂の流動が停止した時点での金型・成形品
全体の温度分布を示す図である。
【図36】成形品部の温度分布を示す図である。
【図37】流動解析の圧力分布を構造解析での初期応力
(圧縮応力)に変換した後の圧力分布を示す図である。
【図38】レンズ成形品の中央部の節点番号575、6
38、701において、解析開始時の金型による拘束下
での冷却状態から離型時を経て、大気中での自然放冷で
室温に至るまでの温度履歴を示す図である。
【図39】金型から成形品を取り出し、室温に至った時
点におけるレンズ成形品のR1光学面、R2光学面それ
ぞれの母線方向の変形状態を、実測値と解析値で比較し
た図である。
【図40】各種レンズ部品(A、B、C、Dの4部品)
での母線方向ベンディング量について検証を行った結果
を示した図である。
【図41】レンズ部品(D部品)での母線方向ベンディ
ング(R1面)について、形状プロファイルの検証を行
った結果を示した図である。
【符号の説明】
1 形状定義部 2 流動解析部 3 構造解析部 11 金型全体モデル 11a 固定側金型 11b 可動側金型 11c 成形品

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金型および成形品の伝熱解析を行う伝熱
    解析手段と、金型内の溶融樹脂の充填保圧冷却挙動の熱
    流体解析を行う流動解析手段と、成形品および金型の構
    造解析を行う構造解析手段とを備え、成形品の形状精度
    を予測する射出成形プロセスシミュレーション装置であ
    って、 前記金型および成形品の伝熱解析と、成形品の熱流体解
    析を、単独あるいは連成して行って、金型の温度と成形
    品の圧力および温度を算出する圧力温度算出手段を備
    え、 前記構造解析手段は、 前記算出された圧力および温度を初期値として、金型と
    成形品を同時に考慮して、金型と成形品との型拘束およ
    び樹脂の粘弾性特性を考慮した構造解析を行い、熱収縮
    に伴って変形する成形品の形状精度を算出することを特
    徴とする射出成形プロセスシミュレーション装置。
  2. 【請求項2】 成形品の形状精度を予測する形状精度予
    測方法において、 金型および成形品の伝熱解析および成形品の熱流体解析
    を、単独あるいは連成して行って、金型の温度と成形品
    の圧力および温度を算出する工程と、 該算出された圧力および温度を初期値として、金型と成
    形品を同時に考慮して、金型と成形品との型拘束および
    樹脂の粘弾性特性を考慮した構造解析を行い、熱収縮に
    伴って変形する成形品の形状精度を算出する工程とを有
    することを特徴とする形状精度予測方法。
  3. 【請求項3】 金型および成形品の伝熱解析を行う伝熱
    解析手段と、金型内の溶融樹脂の充填保圧冷却挙動の熱
    流体解析を行う流動解析手段と、成形品および金型の構
    造解析を行う構造解析手段とを備え、成形品の形状精度
    を予測する射出成形プロセスシミュレーション装置であ
    って、 金型および成形品の伝熱解析と、成形品の熱流体解析
    を、単独あるいは連成して行って、金型の温度と成形品
    の圧力および温度を算出する圧力温度算出手段を備え、 前記構造解析手段は、 前記算出された圧力および温度を初期条件として、樹脂
    の固化状態で得られる粘弾性特性、あるいは樹脂の固化
    状態と溶融状態のそれぞれから得られる粘弾性特性を1
    つに統合した粘弾性特性を作成し、該作成された粘弾性
    特性を考慮した構造解析を行い、熱収縮に伴なって変形
    する成形品の形状精度を算出することを特徴とする射出
    成形プロセスシミュレーション装置。
  4. 【請求項4】 成形品の形状精度を予測する形状精度予
    測方法において、 金型および成形品の伝熱解析と、成形品の熱流体解析
    を、単独あるいは練成して行って、金型の温度と成形品
    の圧力および温度を算出する工程と、 該算出された圧力および温度を初期条件として、樹脂の
    固化状態で得られる粘弾性特性、あるいは樹脂の固化状
    態と溶融状態のそれぞれから得られる粘弾性特性を1つ
    に統合した粘弾性特性を作成し、該作成された粘弾性特
    性を考慮した構造解析を行い、熱収縮に伴なって変形す
    る成形品の形状精度を算出する工程とを有することを特
    徴とする形状精度予測方法。
  5. 【請求項5】 金型および成形品の伝熱解析を行う伝熱
    解析手段と、金型内の溶融樹脂の充填保圧冷却挙動の熱
    流体解析を行う流動解析手段と、成形品および金型の構
    造解析を行う構造解析手段とを備え、成形品の形状精度
    を予測する射出成形プロセスシミュレーション装置であ
    って、 前記金型および成形品の伝熱解析と、および前記成形品
    の熱流体解析を単独あるいは練成して行い、該金型の温
    度と成形品の圧力および温度を算出する圧力温度算出手
    段を備え、 前記構造解析手段は、 前記算出された圧力および温度を初期条件として、金型
    と成形品の構造解析を行う際、離型に至る直前まで、前
    記金型および前記成形品間の接触摩擦挙動がある場合、
    あるいはない完全密着の場合のどちらかの型拘束を考慮
    して計算する離型前計算手段と、離型後、前記金型の部
    分を削除して前記成形品だけをモデルとして計算する離
    型後計算手段とを備え、 室温まで熱収縮に伴なって変形する前記成形品の形状精
    度を算出することを特徴とする射出成形プロセスシミュ
    レーション装置。
  6. 【請求項6】 成形品の形状精度を予測する形状精度予
    測方法において、 金型および成形品の伝熱解析と、および前記成形品の熱
    流体解析を単独あるいは練成して行い、該金型の温度と
    成形品の圧力および温度を算出する工程と、 該算出された圧力および温度を初期条件として、金型と
    成形品の構造解析を行う際、離型に至る直前まで、前記
    金型および前記成形品間の接触摩擦挙動がある場合、あ
    るいはない完全密着の場合のどちらかの型拘束を考慮し
    て計算する工程と、 離型後、前記金型の部分を削除して前記成形品だけをモ
    デルとして計算する工程とを有し、 室温まで熱収縮に伴なって変形する前記成形品の形状精
    度を算出することを特徴とする形状精度予測方法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007190827A (ja) * 2006-01-19 2007-08-02 Toyo Tire & Rubber Co Ltd 粘弾性流体の流動シミュレーション方法
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DE102007026525B4 (de) 2006-07-06 2019-08-08 Denso Corporation Formverfahrensimulator, Verfahren zum Analysieren einer Verformung eines geformten Erzeugnisses, computerlesbares Speichermedium, das ein darauf gespeichertes Computerprogramm für eine Formverfahrenssimulation aufweist, sowie Eingabedatenerzeuger, der eine vorbestimmte Beschränkungsbedingung erzeugt, die in einen Formverfahrensimulator einzugeben ist

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