JPH09151199A - Htlv−iペプチド抗原および分析法 - Google Patents

Htlv−iペプチド抗原および分析法

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JPH09151199A
JPH09151199A JP22224595A JP22224595A JPH09151199A JP H09151199 A JPH09151199 A JP H09151199A JP 22224595 A JP22224595 A JP 22224595A JP 22224595 A JP22224595 A JP 22224595A JP H09151199 A JPH09151199 A JP H09151199A
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R Reis Gregory
アール. レイズ グレゴリー
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JIINRABUZU TECHNOL Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】HTLV-Iの感染の診断に有用なペプチドを提供す
る。 【解決手段】 HTLV-Iエンベロープタンパク質gp46に由
来する、約80個を下まわるアミノ酸を有し、アミノ酸配
列:Leu-Leu-Val-Asp-Ala-Pro-Gly-Tyr-Asp-Pro-Ile-Tr
p-Phe-Leu-Asn-Thr-Glu-Pro-Ser-Gln-Leu-Pro-Pro-Thr-
Ala-Pro-Pro-Leu-Leu-Pro-His-Ser-Asn-Leu-Asp-His-Il
e-Leu-Glu-Pro-Serを含むペプチドからなる群から選択
される、ペプチド抗原。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般に、ヒトT細
胞白血病ウイルスI型(HTLV-I)に関し、さらに詳細に
は、HTLV-Iに感染した個体に存在する抗HTLV-I抗体に対
して免疫反応性を有する組換え体ペプチド抗原に関す
る。
【0002】(参考文献) Huynh,T.V.ら、”DNA Cloning.Volume1”D.M.Glover
編、ワシントンD.C.:IRLプレス、1985(チャプター2) Maniatis,T.ら、Molecular Cloning:A Laboratory Ma
nual,Cold Spring Harbor Laboratory(1982) Matsushita,S.ら、Proc Natl Acad Sci(USA),83:2
672(1986) Miyoshi,I.ら、Nature,294:770(1981) Poiesz,B.J.ら、Proc Natl Acad Sci(USA),77:741
5(1980) Popovic,M.ら、Science,219:856(1983) Seiki,M.ら、Proc Natl Acad Sci(USA),80:3618(1
983)
【0003】
【従来の技術】ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)は、
3種類の既知のメンバーの一群のT細胞レトロウイルス
である。HTLV I型(HTLV-I)は、インビトロで形質転換
活性を有し、病因論的に、成人T細胞白血病と関連があ
る。この成人T細胞白血病は、世界のいくつかの地域に
固有なものとして知られている。HTLV-IIはインビトロ
で形質転換能を有する、他のレトロウイスルであり、毛
様細胞性白血病にかかった患者のT細胞変種から単離さ
れている。HTLV-IIIは、リンパ節症関連ウイルスとも呼
ばれ、現在ではヒト免疫不全症ウイルス(HIV)として
知られ、ある種のT細胞に対して溶解性を有し、病因論
的には後天性免疫不全症候群(AIDS) に関連している。
HTLV-IおよびHTLV-IIとは異なり、HTLV-IIIは、インビ
トロでの形質転換活性を有していないことが知られてい
る。
【0004】HTLV-Iに対して反応性を有するモノクロー
ナル抗体(Mab)が、すでに報告されている(Matsushit
a)。0.5αと呼ばれるその抗体は、HTLV-Iに感染したT
細胞の細胞膜に結合し、補体の存在下で細胞溶解を起こ
すIgG1 Mabである。電気ブロット法による研究により、
このMabはHTLV-Iの主要エンベロープタンパクと反応す
ることが示されている(Matsushita)。このタンパクは
gp46と呼ばれており、env遺伝子産物の外膜の成分であ
る。プロウイルスHTLV-Iのゲノムが単離され、その全体
の配列が決定されている(Seiki)。競合阻害結合分析
法を用いると、成人T細胞白血病の15名の患者のうちの
15名が、粉砕されたHTLV-IビリオンにこのMabが結合す
るのを阻止する抗体を有することが観察された(Matsus
hita)。この抗体は、HTLV-IIもしくはHTLV-IIIのビリ
オン、または感染細胞には結合しないようである。
【0005】上記の研究は、HTLV-I感染症の診断に抗HT
LV-I抗体を用いる可能性を示しているが、この方法には
2つの大きな欠点がある。第1に、分析システムが比較
的面倒であり、HTLV-Iビリオン、感染細胞、もしくは分
画されたgp46タンパクの起源と;競合結合分析法フォー
マットに組み合わせた抗HTLV-I Mabとの両者が必要であ
る。第2に、全ビリオンまたはその分画されたタンパク
でさえも、1を超える数のエピトープ特異的抗HTLV-I抗
体と反応するようであり、そのため、この試験法の感度
と特異性とが低下する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、T細胞白血病
に感染した患者を含むHTLV-Iに感染したすべての患者に
存在することが知られている抗体と免疫反応性であり、
HTLV-I感染症のある段階の病状を特異的に示す1または
それ以上のHTLV-Iペプチド抗原を提供することは、HTLV
-I感染症を診断するのに有用である。このような抗原
は、HTLV-I感染症の病状を示す抗体を迅速に測定するた
めの、単純な固相抗体結合分析法もしくは均一系抗体結
合分析法に使用され得る。本発明のひとつの一般的な目
的は、HTLV-I関連T細胞白血病にかかっている患者に存
在する抗HTLV-I抗体に特異的なHTLV-Iペプチド抗原を提
供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、そのような抗原を用
いる、簡単かつ迅速で比較的安価な免疫分析法を提供す
ることにある。
【0008】
【発明を解決するための手段】本発明には、(a)HTLV-I
エンベロープタンパクgp46由来で、(b)T細胞白血病の
個体中に存在する抗HTLV-I抗体と免疫反応性の組換え体
ペプチド抗原が含まれる。この抗原はグリコシル化され
ておらず、そして、好ましくは、次のアミノ酸配列:Le
u-Leu-Val-Asp-Ala-Pro-Gly-Tyr-Asp-Pro-Ile-Trp-Phe-
Leu-Asn-Thr-Glu-Pro-Ser-Gln-Leu-Pro-Pro-Thr-Ala-Pr
o-Pro-Leu-Leu-Pro-His-Ser-Asn-Leu-Asp-His-Ile-Leu-
Glu-Pro-Serを含む。
【0009】本発明の他の態様では、この抗原は、好ま
しくは、T細胞白血病の個体を含むHTLV-Iに感染した個
体の血清中に存在する抗体と免疫反応性である。
【0010】本発明にはまた、被検個体中のHTLV-I感染
症を検出するシステムと方法とが含まれる。その方法を
実施する際には、上記のタイプの抗原を、被検個体由来
の血清と反応させ、次いで結合した抗体の存在が試験さ
れる。その分析システムは固相式であってもよく均一系
であってもよい。上記固相式においては、抗原が固体支
持体に保持されており、上記均一系においては、抗原が
レポーターと結合し、抗原に結合する抗体がレポーター
シグナル(これが検出される)を変化させる。さらに他
の態様においては、本発明には、T細胞白血病に対して
個体を免疫化するワクチンが含まれる。このワクチン
は、薬学的に受容され得るアジュバント中に上記のタイ
プの組換え体ペプチドを含有している。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の上記およびその他の目的
と特徴は、本発明の下記の詳細な説明を添付図面を参照
して読めばより充分に理解されるであろう。上記図面の
Aにおいては、HTLV-Iゲノムの一部分が示され、Bにお
いては、本発明の3種のペプチド抗原をコードするヌク
レオチド配列に対応するゲノムの拡大領域(expanded r
egions)が示され、そしてCにおいては、この3種のペ
プチド抗原の遺伝子配列とそれに対応するアミノ酸配列
とが示されている。
【0012】I.HTLV-Iペプチド抗原の調製 この項では、HTLV-I関連T細胞白血病の個体に見出され
る抗HTLV-I抗体と免疫反応性を有するHTLV-Iペプチド抗
原の調製について述べる。この抗原は、適切な発現ベク
ターにクローン化され次に免疫反応性ペプチドの発現に
ついて抗体で選択された、長さが100〜300塩基対のラン
ダムHTLV-I遺伝子配列を用いて調製される。
【0013】A.HTLV-Iゲノムライブラリー HTLV-Iのゲノムライブラリーは、HTLV-Iプロウイルスゲ
ノムを含有する細胞DNAから、従来の方法で調製され
る。二本鎖DNAは、HTLV-Iウイルスに感染していること
が知られている患者から単離されたT細胞または既知の
細胞系を含む、HTLV-I感染細胞から調製される。上記既
知の細胞系としては、例えば、HUT102-B2(Poiesz)、M
T-2(Miyoshi)、およびMJ-腫瘍(Popovic)細胞(これ
らはすべてHTLV-Iウイルスを産生することが知られてい
る。)がある。ウイルスのゲノムがこれらの細胞の宿主
DNAに組み込まれている。HTLV-Iゲノムを含有する細胞
系の調製法は前記文献に詳細に記載されている。
【0014】上記細胞系由来の全宿主ゲノムDNAは、15
〜20キロ塩基の大きさの範囲の部分消化断片を産生する
条件下で、HaeIIIまたはAluIのようなフリークエント
カッター(frequent cutter)で部分的に消化され、得
られた消化産物を、例えば、スクロース勾配遠心分離法
で分画して15〜20キロ塩基の断片が単離される。得られ
た断片は、次いで適切なクローニングベクター、好まし
くは15〜20キロ塩基の挿入物を有効に組み込むことがで
きるファージのクローニングベクターにクローン化され
る。好ましい方法においては、単離された断片は、EcoR
Iメチラーゼで処理され、次にそれらの末端に、標準条
件下(Maniatis)で、EcoRIリンカーが連結され、次い
で、唯一のEcoRI挿入部位を有するλシャロン4aのよう
なファージベクターにクローン化される。
【0015】得られたクローン化ゲノム断片は、全コピ
ーHTLV-Iゲノムの、選択された配列に相補的はプローブ
でスクリーニングされる。選択された配列のための、放
射能標識された合成オリゴヌクレオチドプローブの調製
法と同様に、HTLV-Iの配列も公知である(Seiki)。さ
らに、特定の配列の合成オリゴヌクレオチドは、Synthe
tic Genetics,Inc.(カリフォルニア州、サンジエゴ)
により提供されるような商業的サービスにより調製され
得る。このようなオリゴヌクレオチドプローブを用い
て、HTLV-I配列を含む分子クローンは、標準的なハイブ
リダイゼーション法(Maniatis,322頁)によって、上
記ライブラリーから単離される。このクローンは、ま
ず、制限部位分析法により分析され、全ウイルスゲノム
配列が存在することが確認される。その存在は、組み込
まれたウイルスゲノムに隣接する長い直接末端重複部分
の存在により示される。同定された分子クローンは、適
切なエンドヌクレアーゼで消化され、全コピーウイルス
ゲノムが放出される。この目的のために好ましいエンド
ヌクレアーゼはSacIであり、これは長い末端重複部分
(LTR)中のウイルスゲノムを、ウイルスのコード配列
のどちらかの末端を切断するが、内部切断を起こさな
い。クローンのHTLV-Iゲノムが、3番目の内部SacI部
位を有する変異体である場合には、適切な制限酵素を選
択することにより、全長のゲノムが単離される。精製し
た全コピー配列は、約9.5キロ塩基の断片である。ある
いは、env遺伝子配列だけを示すゲノムの断片を精製す
ることにより発現ライブラリーが調製され得る。
【0016】あるいは、全コピーHTLV-I二本鎖DNAを含
有するクローニングベクターが報告されており(Seik
i)、実施例Iに示すように、その研究者から直接入手
することができる。
【0017】所望のHTLV-Iゲノムライブラリーを調製す
るために、全コピーHTLV-I挿入物を、例えばSacIで完
全消化することによって、上記クローニングベクターか
ら切出して、実施例Iに述べるようにして、9.5キロ塩
基の断片が単離される。単離された全コピー断片は消化
されて、DNA断片、好ましくは主として約100から300塩
基対の間の大きさのランダム断片が調製される。実施例
は、このような断片のDNアーゼ消化法による調製が述べ
られている。約30から100の間のアミノ酸からなるペプ
チド抗原を得ることが望ましいので、消化断片はサイズ
分画を行うのが好ましく、例えば、ゲル電気泳動法によ
って約100から300塩基対の間の大きさの範囲の断片が選
択される。
【0018】ゲノム消化断片は、適切なクローニングベ
クターであって、好ましくは適切な宿主中でコードされ
たペプチドを発現できる発現ベクターに挿入される。1
つの好ましい発現ベクターはλgt11であり、このベクタ
ーは、β−ガラクトシダーゼ遺伝子の翻訳終止コドンの
53塩基対上流に、唯一のEcoRI挿入部位を有する。した
がって、この挿入された配列は、β−ガラクトシダーゼ
遺伝子のN末端部の大部分、その非相同ペプチド、およ
びβ−ガラクトシダーゼ遺伝子のC末端領域の少なくと
も一部分を含有するβ−ガラクトシダーゼ融合タンパク
として発現される。またこのベクターは、例えば32℃の
許容温度でウイルスの溶原化を起こし、例えば42℃の高
温ではウイルスが溶解するに至る、温度感受性レプレッ
サー(cI857) を産生する。このベクターの利点は次の通
りである:(1)高効率での組換え体の生成;(2)許容温度
では宿主細胞の増殖に基づいて溶原化した宿主細胞を選
択でき、非許容温度ではこのような選択ができないとい
う性能;および(3)組換え体融合タンパクの高レベルの
産生。さらに、非相同の挿入物を有するファージは、不
活性β−ガラクトシダーゼ酵素を産生するので、挿入物
を有するファージは、β−ガラクトシダーゼ呈色基質反
応で容易に同定することができる。
【0019】発現ベクターに挿入するために、ウイルス
消化断片は、従来の方法により、EcoRIリンカーのよう
な選択された制限部位リンカーを含むように、必要に応
じて修飾される。実施例Iは消化断片をλgt11中にクロ
ーン化する方法を例示しており、この方法には、断片の
平滑末端化、EcoRIリンカーの付加、およびこの断片をE
coRIで切断されたλgt11と連結させる工程が含まれる。
得られたウイルスゲノムライブラリーをチェックし、比
較的大きな(代表的な)ライブラリーが産生されている
ことが確認される。この確認は、λgt11ベクターの場合
には、適切な細菌宿主を感染させて、その細菌をプレー
トし、次いで、β−ガラクトシダーゼ活性の損失につい
てプラークを検査することによって実施され得る。実施
例Iに記載の方法を用いると、約60%のプラークが酵素
活性の損失を示した。酵素活性の損失を示すバックグラ
ウンドファージのレベルは、実施例Iに見られるように
比較的低い。
【0020】B.ペプチド抗原の発現 上記で形成されたゲノムライブラリーは、問題のヒト抗
HTLV-I抗体と免疫反応性を有するペプチド抗原(融合タ
ンパクとして発現される)を調製するためにスクリーニ
ングされる。HTLV-I感染症を診断するのに特に重要な1
つの抗体は、0.5α抗体であり、これは前記のようにHTL
V-I感染症に関連するT細胞白血病の患者に存在してい
る。この抗体は、EBVで形質転換されたBリンパ球細胞
系〔ATCC寄託番号HB8755(実施例II参照)〕で産生さ
れ、HTLV-Iのgp46エンベロープタンパクと反応すること
が示されている(Matsushita)。この細胞系は、HTLV-I
に感染した患者に由来するヒトB細胞クローンであり、
Epstein-Barrウイルスで永久増殖性となっている。この
細胞系は、メリーランド20852ロックビル、パークロー
ンドライブ12301のアメリカンタイプカルチャーコレク
ションに寄託されている。 好ましいスクリーニング法
では、ファージライブラリーベクターが感染した宿主細
胞を上記のようにプレートし、次にこのプレートをニト
ロセルロースフィルターでブロットし、細胞で産生され
た組換え体抗原をフィルターに転移させる。次にそのフ
ィルターを、抗HTLV-I抗体と反応させ、洗浄して未反応
の抗体を除去し、レポーターで標識された抗ヒト抗体と
反応させる。その結果この抗体は、抗HTLV-I抗体を介し
てサンドイッチ形でフィルターに結合する。
【0021】典型的には、問題の組換え体抗原の産生に
よって同定されるファージプラークは,抗体反応性タン
パクの産生について,比較的低密度で再試験される。実
施例IIに記載のスクリーニング法がその例である。免疫
反応性組換え体抗原を産生したいくつかの組換え体ファ
ージのクローンをこの方法で同定した。
【0022】上記のようにして同定された1種もしくは
それ以上のライブラリーベクターは、塩基対配列決定法
で分析して、HTLV-Iゲノム内のペプチドをコードする領
域の位置を決定するのが好ましい。非相同挿入物(必要
に応じて、融合タンパクの隣接コード配列を含む)を選
択されたライブラリーのベクターから切り出して、切り
出された断片を精製し配列決定する方法は、実施例III
に述べるような公知の方法で一般に行われる。0.5α抗
体に対して免疫反応性であることが見い出され、3種の
ペプチドのコード配列が図面に示されている。この3種
の非相同配列は、HTLV-Iの公知の配列(Seiki)と一致
した。実施例IIIにおいてより充分に考察されている
が、全配列が、HTLV-Iのエンベロープタンパクgp46をコ
ードする遺伝子中のHTLV-Iゲノムの5565〜5895の塩基対
(図のA部分)の範囲内に入り、5664および5790の塩基
対の間(図のB部分)に重複コード配列(図中、2つの
矢印で示す)を有する。図から分かるように、C部分の
重複配列が、下記のアミノ酸配列を有する41のアミノ酸
ペプチドの抗原をコードしている:Leu-Leu-Val-Asp-Al
a-Pro-Gly-Tyr-Asp-Pro-Ile-Trp-Phe-Leu-Asn-Thr-Glu-
Pro-Ser-Gln-Leu-Pro-Pro-Thr-Ala-Pro-Pro-Leu-Leu-Pr
o-His-Ser-Asn-Leu-Asp-His-Ile-Leu-Glu-Pro-Ser。
【0023】さらに一般的に、この発明のペプチドは、
(a)HTLV-Iエンベロープタンパクgp46から誘導され、か
つ(b)T細胞白血病の個体に存在する抗HTLV-I抗体と免
疫反応性である。ここで、“〜由来の”という用語は、
その組換え体ペプチドの合成が、ここで同定された5664
から5790の塩基対間の、HTLV-Iエンベロープタンパクgp
46をコードする領域の大部分と、コドンの配列が実質的
に同一のコード配列によって行われることを意味する。
【0024】大規模生産用には、組換え体タンパクを精
製するために、選択されたクローンが用いられる。大規
模生産は、すでに報告されている次のような各種の方法
のうちのひとつを用いて実施される:(a)E.coliのよう
な適切な宿主を、選択されたλgt11組換え体で溶原化
し、(b)生成した形質導入細胞を高レベルの非相同ペプ
チドが得られる条件下で培養し、(c)溶解細胞から組換
え体抗原を生成する方法。
【0025】上記λgt11クローニングベクターを含む好
ましい方法では, 高産生性のE.coli宿主BNN103を、選択
されたライブラリーファージに感染させ、そして、2枚
のプレートにレプリカプレートする。これらプレートの
1枚を、32℃で培養すると、この温度ではウイルスの溶
原化が起こる。他方のプレートを42℃で培養すると、感
染しているファージが溶菌状態になるので細胞の増殖が
阻止される。従って、低温では増殖するが高温では増殖
しない細胞は、溶原化が成功していると考えられる。
【0026】溶原化された宿主細胞は、次に、ウイルス
挿入物を含有する融合タンパクを大量に生産するのに好
都合な液体培養条件下で培養され、次いで急速凍結によ
って溶菌して所望の融合タンパクを放出させる。これら
の方法は、以下の実施例IVおよびVで詳述する。
【0027】C.ペプチドの精製 組換え体ペプチドは、示差沈澱法、分子ふるいクロマト
グラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、焦点電気
泳動法、ゲル電気泳動法およびアフィニティークロマト
グラフィーを含む標準的なタンパク精製法で精製され得
る。上記のようにして調製したβ−ガラクトシダーゼ融
合タンパクのような融合タンパクの場合には、タンパク
単離法は、天然タンパクの単離に用いる方法のなかから
選択して適用され得る。したがって、β−ガラクトシダ
ーゼ融合タンパクを単離するには、そのタンパクは、そ
の表面に抗β−ガラクトシダーゼ抗体を結合させて有す
る固体支持体上を、細胞溶解物質を通過させることによ
る、簡単なアフィニティークロマトグラフィーによって
容易に単離され得る。この方法は、そのウイルスペプチ
ドの配列を図面に示してあるMTA4/Bβ−ガラクトシダー
ゼ融合タンパクの精製を行う実施例VIで用いられてい
る。
【0028】II. 有用性 この項では、本発明の抗原ペプチドの、HTLV-I感染症を
診断する用途, およびHTLV-I感染症に対する強力なワク
チンとしての用途について述べる。
【0029】A.診断上の用途 ペプチド抗原の3種の基本的な診断上の用途について述
べる。第1図の用途は、ペプチドによる、補体を介する
抗体依存性細胞溶解の阻害に基づくものである。この方
法では、被検個体由来の血清が、補体の保存(preserv
e)下でHTLV-Iに感染したT細胞クローンと反応する。
抗HTLV-I抗体の存在は、例えばトリパンブルー色素排除
法で判断する細胞溶解によって証明される。細胞溶解が
観察された場合には、HTLV-Iペプチドに対する抗HTLV-I
抗体の特異性が、まず血清を過剰のペプチドと反応さ
せ、次にその血清を補体の存在下で細胞と混合すること
によって証明される。抗体の特異性は、細胞溶解が顕著
に減少することによって示される。この方法は実施例VI
Iに記載されている。またこの方法は、血清をペプチド
の増加量について滴定し、次に、細胞溶解の程度につい
て顕著な効果が最初に観察された場合にそのペプチドの
濃度を測定することにより、被分析物である血清中の抗
体力価を定量するのに利用できる。
【0030】第2の一般的分析法は固相免疫分析法であ
る。この方法では、表面に結合したペプチドを有する固
相試薬を、抗体を試薬上のペプチドの結合させる条件下
で、被分析物である血清と反応させる。固相試薬を洗浄
して未結合の血清成分を除いた後、この試薬をレポータ
ーで標識した抗ヒト抗体と反応させて、リポーターを、
固相支持体に結合した抗HTLV-I抗体の量に比例して該試
薬に結合させる。この試薬を再び洗浄して、未結合の標
識抗体を除き、そして、試薬と結合したレポーターの量
を測定する。典型的には、実施例VIIIに記載した系のよ
うに、レポーターは、適切な螢光分析もしくは比色分析
用基質の存在下で固相試薬をインキュベートすることに
よって検出される酵素である。
【0031】上記分析法で用いられる固相面を有する試
薬は、タンパク物質を、ポリマービーズ、浸漬スティッ
クまたはフィルター材のような固体支持材料に結合させ
る公知の方法で製造される。一般にこれらの結合法に
は、タンパクを支持体(例えば、実施例VIIIに述べるフ
ィルター支持体) に非特異的に吸着させる方法、または
タンパクを、代表的には遊離のアミン基を介して固体支
持体上の化学反応性基、例えば活性化されたカルボキシ
ル基、水酸基もしくはアルデヒド基に共有結合させる方
法がある。
【0032】第3の一般的な分析法は均一系分析法であ
る。この方法では、固体支持体に結合している抗体は、
反応媒体中である種の変化を起こし、その変化はその媒
体中で直接検出することができる。既知の一般のタイプ
の均一系分析法には次の方法が包含される:(a)スピン
標識レポーター法;この方法では、抗原に結合する抗体
が、レポーターの移動度の変化で検出される(スピン分
裂のピークの幅が広くなる);(b)螢光レポーター法;
この方法では、結合は螢光効率の変化で検出される;
(e)酵素レポーター法;この方法では、抗体の結合は酵
素/基質の相互作用で行われる;および(d)リポソーム
結合レポーター法;この方法では、結合によって、リポ
ソームが溶解して封入されたレポーターが放出される。
これらの方法をこの発明のペプチドに適用する際には、
均一系分析法の試薬の通常の製造法が利用される。
【0033】上記の3種の一般的な各分析法では、試験
個体由来の血清を抗体と反応させ、結合した抗体の存在
について抗原の試験が行われる。第1の分析法では、試
験は、抗体が、ペプチドに結合するときに、抗体を介す
る細胞溶解が減少するのを観察することによって行われ
る。固相分析法では、試験は、標識抗ヒト抗体を、被検
体に結合させ、そして、個体支持体に結合したレポータ
ーの量を測定して行われる。第3の検定法では、試験
は、均一系分析法の試薬に結合する抗体の作用を観察す
ることによって行われる。
【0034】B.ペプチドのワクチン 本発明のペプチド抗原は、ワクチンとしても用いられ
得、細胞毒性の抗HLTV-I抗体を誘発する。ここでは、0.
5αモノクローナル抗体が、補体の存在下で、HTLV-Iウ
イルスに感染したT細胞に対して細胞毒性になることに
留意することが大切である。このペプチドは、適切な担
体/アジュバンドによって製剤化され、細胞毒性抗HTLV
-I抗体の有意な力価が血清中に検出されるまで、所定の
間隔をおいて注射される。このワクチンは、初期のHTLV
-I感染症に対して、抗体を介する細胞毒性によって防御
を行う。
【0035】上記の説明から、本発明により、いかに種
々の目的と特徴が達成されるかが理解されるであろう。
本発明のペプチド抗原は、成人のT細胞白血病の症状を
示す抗HTLV-I抗体と特異的に反応するので、T細胞白血
病の迅速で安価な分析法に用いられる。同時に、このペ
プチド抗原は、既存の0.5αモノクローナル抗体によっ
て行われる細胞毒性抗体反応を誘発する。
【0036】下記の実施例は、本発明の種々の態様を例
示するが、本発明の範囲を限定するものではない。
【0037】
【実施例】
(材料)以下の実施例で使用された材料は、次の通りで
あった。
【0038】酵素:DNアーゼIおよびアルカリホスファ
ターゼをBoehringer Mannheim Biochemicals(BMB、イ
ンディアナ州、インディアナポリス)より得た。EcoR
I、EcoRIメチラーゼ、DNAリガーゼおよびポリメラーゼ
IをNew England Biolabs(NEB、マサチューセッツ州、
ベヴァリー)より得た。RNアーゼをSigma(ミズーリ
州、セントルイス)より得た。
【0039】他の試薬:EcoRIリンカーをNEBより得た。
そしてニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、5-ブロモ-
4-クロロ-3-インドリルホスフェート(BCIP)、5-ブロ
モ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトピラノシド
(X-gal)、およびイソプロピルβ-D-チオガラクトピラ
ノシド(IPTG)をSigmaから得た。
【0040】(実施例I) (HTLV-Iゲノムライブラリーの調製) (ゲノム材料のライブラリーソース):HTLV-Iゲノムに
由来する全コピーDNA挿入物を含有するバクテリオファ
ージを合衆国国立衛生研究所のthe Laboratoryof Tumor
Cell Biology(メリーランド州、ベテスダ)のDr.R.C.
GalloおよびDr.F.Wong-Staalより得た。バクテリオファ
ージをSacIで完全に消化し、ウイルスゲノム挿入物を放
出させた。消化された材料を標準10%アガロースゲルで
電気泳動にかけ、電気溶離によって得られた9.5キロ塩
基の断片をエタノール沈澱前に、フェノール/クロロホ
ルムで抽出した。
【0041】DNA消化:精製ゲノムDNAを標準消化バッフ
ァー(0.5M Tris HCl,pH7.5;1mg/ml BSA;l0mM MnCl
2)に懸濁し、約1mg/mlの濃度とし、室温で約5分間DN
アーゼIで消化した。これらの反応条件は、較正のため
に前もって研究で決定され、主として100〜300塩基対の
断片を製造するのに必要なインキュベートの時間が決定
された。上記消化物を、エタノール沈澱前に、フェノー
ル/クロロホルムで抽出した。
【0042】EcoRIリンカーの付加:上記のゲノム断片
を、標準条件(Huynh)下でDNA PolIで平滑末端にし、
次いでフェノール/クロロホルムで抽出し、エタノール
で沈澱させた。平滑末端にされた材料を標準条件下でEc
oRIリンカーで連結し(Maniatis,pp396,397)、その
後、EcoRIで消化し、余剰のリンカー末端を取り除い
た。これをその後、アガロースゲル分画し、非連結リン
カーを取り除き、サイズ選択を行った(以下を参照)。
【0043】(サイズ選択):上記の工程で得られた断
片をΦX174/HaeIIIおよびλ/HindIIIサイズマーカーを
用いて、1.2%アガロースゲル電気泳動(5〜10V/cm)
で分析した。l00〜300bpの画分をNA45ストリップ(Schl
eicherおよびSchuell)に溶出し、その後、溶離溶液
(1M NaCl,50mM アルギニン,pH9.0)で1.5mlマイク
ロチューブに入れ、30〜60分間67℃でインキュベートし
た。DNA(溶液中に存在する)を、フェノール/クロロ
ホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた。ペレット
を、20μl TE(0.01M Tris HCl,pH7.5,0.001M EDTA)
中に再び懸濁させた。
【0044】(λgtllへの連結およびインビトロでのパ
ッケージ)λgtllファージベクター(Huynh)を、Prome
ga Biotec(ウィスコンシン州マジソン)より得た。こ
のクローニングベクターは、β−ガラクトシダーゼ翻訳
終止コドンの53塩基対上流に唯一のEcoRIクローニング
部位を持つ。上記のゲノム断片を、0.5〜1.0μgのEcoRI
-切断gtll、0.5〜3μlの上記HTLV-Iゲノム断片、0.5μ
lのリガーゼ(200単位)および蒸留水5μlを混合する
ことで、EcoRI部位に導入した。混合物を、標準方法(M
aniatis,pp.256-268)により、一晩、14℃でインキュ
ベートし、インビトロパッケージを行った。
【0045】パッケージされたファージは、DNAX(カリ
フォルニア州パロアルト)のDr.Kevin Mooreより得たE.
Coli,KM392株を感染させるのに、使用された。また
は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC#
37197)より入手可能なE.Coli,Y1090株も使用され得
る。感染したバクテリアをプレートし、生じたコロニー
を、標準X-gal基質プラークアッセイ方法(Maniatis)
を用いて、X-galの存在下でβ−ガラクトシダーゼ活性-
-(クリアープラーク)の欠失を検査した。下記の表1
に、EcoRI末端HTLV-I断片(列1)の挿入で得られた組
換え体(クリアー)プラークの数を示す。EcoRIリンカ
ーの対照(列2)およびバックグラウンドを持たない対
照(列3)も、実施された。
【0046】
【表1】
【0047】表1からわかるように、約50%のファージ
プラークが、酵素(組換え体)の欠失を示した。EcoRI
リンカーが存在するもしくはしないバックグラウンドレ
ベルは、15%未満であった。
【0048】プラークの約60%が、酵素活性の欠失を示
した。ファージ材料は、約106プラーク形成ユニット(p
fu)/mlを含有していた。
【0049】(実施例II) (gp46コード挿入物のスクリーニング) モノクローナル抗体:ヒト細胞系(ATCC HB8755)に由
来する精製した0.5α抗体を、合衆国国立衛生研究所のt
he National cancer Institute(メリーランド州、ベテ
スダ)のDr.Samuel Broaderより得た。アルカリホスフ
ァターゼと結合した状態で誘導された(covalently der
ivatized with alkaline phosphatase)マウス抗ヒトIg
G抗体を、Promega Biotec(ウィスコンシン州、マジソ
ン)から得た。
【0050】組換え体gp46の同定:実施例1からの約10
4pfuのファージストックで感染したKM392細胞の一面の
コロニー(lawn of KM392 cells)を、150mmプレートで
調製し、37℃で約5〜8時間にわたりインキュベート
し、表返した。ローンに、ニトロセルロースシートを敷
き、プラークから紙へ分泌されたHTLV-I組換え体タンパ
クを転移させた。プレートおよびフィルターは、対応す
るプレートおよびフィルター位置にあわせるために、印
を付けた。
【0051】フィルターを、TBSTバッファー(l0mM Tri
s,pH8.0,150mM NaCl,0.05% Tween20)で2回洗浄
し、AIB(1%ゼラチンを含むTBSTバッファー)でブロ
ックし、TBSTで再び洗浄し、0.5αモノクローナル抗体
(AIBで1〜2μg/mlに希釈;12〜15ml/プレート)を加
えた後、一晩、インキュベートした。TBSTでシートを2
回洗浄し、その後、酵素標識抗ヒト抗体と接触させ、0.
5α抗体で認識される抗原を含むフィルター部位に標識
抗体を付着させた。最終洗浄の後、フィルターを、5ml
のアルカリホスファターゼバッファー(l00mM Tris,pH
9.5,l00mM NaCl,5mM MgCl2)中の16μl BCIP(5℃に
維持された50mg/mlのストック溶液)と混合した33μl N
BT(5℃に維持された50mg/mlのストック溶液)を含有
する基質媒体中で発色させた。抗原産生点(0.5x抗体
で認識される)では、紫色が現れた。
【0052】二次プレーティング:前記工程で決定され
た抗原産生領域を、82mmプレートに、約100〜200pfuで
再びプレートした。上記工程、つまり、まず、5〜8時
間インキュベートし、NBT/BCIPによる発色の工程を、0.
5α抗体と反応し得る抗原を分泌するプラークを同定す
るために、繰り返した。同定されたプラークを、取り上
げ、ファージバッファーで溶出した(Maniatis,p.44
3)。抗体反応性ペプチドを分泌する組換え体ファージ
プラークのうちの3つを、実施例IIIの方法による配列
決定のために選択した。対応する感染したファージは、
MTA4、MTA1およびMTA5と命名された。
【0053】(実施例III) (ファージ精製およびDNA抽出)ファージMTA4、MTA1お
よびMTA5を、感染したE.coli Y1088バクテリアのプレー
ト培養物より単離した。これらの細胞は、ATCC(ATCC#
31195)より入手可能である。プレートで生産された物
質を、低速遠心分離法によりバクテリア破砕物より精製
し、上清をSW27チューブに注いだ。RNアーゼおよびDNア
ーゼを1mg/mlのストック溶液から各1mg/mlの濃度でそ
れぞれ加えた。試料を37℃で30分間インキュベートし、
20% m.w.8000 PEG,5.8g NaCl,2.0g MgS04・7H2O,1
M TrisCl,pH7.5,および2%ゼラチンを含むポリエチ
レングリコール(PEG)溶液を等容量加えた。試料を1
時間水浴に置き、ファージ粒子を沈澱させ、その後、4
℃で約20分間10kで遠心分離により単離した。
【0054】上清をデカンテーションによって除き、ペ
レットを0.6ml PDBバッファー(5.8g NaCl,2.0g MgS04
・7H2O,50ml 1M TrisCl,pH7.5,および5ml 2%ゼ
ラチン)中に再び懸濁させ、1.5mlのポリプロピレンマ
イクロチューブに移した。5μl l0% SDS,5μl 0.5M
EDTA,および2.5μlプロティナーゼK(20mg/ml)を加
え、試料を15分間50℃でインキュベートした。
【0055】洗浄剤および酵素処理された材料を、等量
のフェノール/クロロホルムで抽出し、遠心分離して相
の分離を確実にした。水相を新しいチューブに移し、抽
出/遠心分離工程をクロロホルムとイソアミルアルコー
ルとの混合物を用いて繰り返した。等容量のイソプロパ
ノールを加え、試料を数回逆にして混合し、-70℃で20
分間冷却した。試料を5分間遠心分離にかけ、上清をデ
カンテショーンで除いた。ペレットを70%エタノール中
で洗浄し、37℃ヒートブロックで簡単に乾燥し、l00μl
TEバッファー,pH7.5に再び懸濁させた。
【0056】単離したファージDNAをKpnIおよびSacIで
消化し、その後、KpnI/SacIで切断したプラスミドベク
ターpGEM-3(Promega Biotec)と結合させ、所望の挿入
物を有するプラスミド組換え体を単離した。HTLV-I挿入
物を、その後、標準ジデオキシ配列決定法を用い、EcoR
I挿入部位に隣接するλgtll配列の前後のプライマーを
用いて配列決定した。
【0057】図は、試験された3つの融合ペプチドのそ
れぞれについて、コード配列、および上記の方法によっ
て形成された融合タンパクの一部分であり、上記コード
配列に対応するアミノ酸配列を示す。3つの各挿入配列
で与えられたβ-gal遺伝子の末端G塩基および隣接する
env遺伝子のCC塩基は、GCC(Ala)コドンを生じ、通
常、3つの全てのHTLV-I env挿入物においてそのコドン
位置で生じるSerコドンを置換する。示されるように、M
TA4の挿入物は、HTLV-Iコード領域の5565塩基から5790
塩基まで延びている225塩基対配列を含み、これは、gp4
6配列の129から203位のアミノ酸(74個のアミノ酸)に
対応する。MTA1挿入物は、HTLV-1コード領域の5664塩基
から5807塩基まで延びている143塩基対配列を含み、こ
れは、gp46配列の162から209位のアミノ酸(47個のアミ
ノ酸)に対応する。MTA5ファージの挿人物もまた、5664
塩基で始まり、5895塩基まで延びている。この231塩基
対配列は、gp46タンパクの162から239位のアミノ酸(77
個のアミノ酸)をカバーする。
【0058】5664から5790の挿入物の重なりの領域は、
天然のgp46タンパクの161から203位のアミノ酸の41アミ
ノ酸配列を含む。3つのペプチドのアミノ酸の数は、中
断された5'末端Serコドン(転写された組換え体コード
配列においては、Alaコドンによって置換されている)
を含むが、3'末端の中和されたコドン(組換え体ペプチ
ドにおいては、翻訳されない)を含まずに計算される。
従って、ここに開示されるペプチドは、(a)長さが約80
個を下まわるアミノ酸であり、そして(b)ATCC番号HB875
5で特徴つけられる細胞系によって製造される抗ヒトHTL
V-I抗体と免疫反応性のアミノ酸配列: Leu-Leu-Val-A
sp-Ala-Pro-Gly-Tyr-Asp-Pro-Ile-Trp-Phe-Leu-Asn-Thr
-Glu-Pro-Ser-Gln-Leu-Pro-Pro-Thr-Ala-Pro-Pro-Leu-L
eu-Pro-His-Ser-Asn-Leu-Asp-His-Ile-Leu-Glu-Pro-Ser
によって形成される免疫原性の領域を含む。
【0059】(実施例IV) (溶原菌の構築)E.coli C600株を、スタンフォード大
学(カリフォルニア州、スタンフォード)のDr.R.Davis
より得た。または、E.coli Y1089(ATCC#37196)も使
用し得る。一晩培養し、飽和した1mlの細胞培養物を、
実施例IIIの3つのファージのひとつで感染させた。上
記感染は、一晩培養したバクテリア培養物50μlに、溶
出したプラークストックを10μl吸着させることにより
行った。感染バクテリアを、LB寒天プレート(Maniati
s,p.440)にまき、32℃でインキュベートした。個々の
コロニーを、無菌つまようじでつまみ上げ、2つの別々
のプレートの対応するグリッドに付与した。プレートの
一方を32℃でインキュベートし、他方を42℃でインキュ
ベートした。低い方の温度で増殖した(ファージレプレ
ッサータンパクの存在で産生された溶原状態を示した)
が、高い方の温度では(細胞溶解のため)増殖しなかっ
た細胞は、溶原性であると推定された。3つの各ファー
ジのタイプから多くの溶原性のコロニーが見い出され
た。
【0060】(実施例V) (溶原菌からの組換え体抗原の誘導)本実施例は、MTA4
ファージを用いて実施例IVで調製されたλgtll溶原菌か
らHTLV-Iエピトープを含む組換え体タンパクの誘導を説
明する。上記で示されるように、抗原は、ファージβ-g
alタンパクのN末端部分を含むβ−ガラクトシダーゼ融
合タンパクの形で製造される。
【0061】スーパーブロスを、35gバクトトリプト
ン、2gバクトイーストエクストラクト、5g NaClおよ
び5ml 1N NaOHを、1lの蒸留水中に含有させて調製
した。500mlのスーパーブロスに、上記の実施例で調製
された一晩培養したE.coli λgtll溶原菌の飽和培養物
を1:100で接種した。この培養物を、激しくエアレー
ションを行ないながらA600が、約0.4〜0.5となるまで
培養した。
【0062】タンパクの製造を最大にするために、培養
物の温度を43〜44℃に上げた。そのことにより、温度感
受性のβ−ガラクトシダーゼリプレッサー遺伝子が不活
性化された。温度を、65℃の水槽中でエアレーションを
行いながら15分間にわたり43℃に維持した。さらにタン
パクの製造を増加させるために、IPTGをブロスに加え
た。このIPTGは、拮抗的にβ-galリプレッサーに結合す
ることでβ−ガラクトシダーゼ発現を誘発する。培養物
を、約1時間38℃のシェーカーに戻した。細胞をその
後、37℃で15分間6,000xgでペレット化し、溶解バッフ
ァー(10mM Tris,pH7.4,2% TritonX-100,1% apr
otinin,50μg PMSF)中に再懸濁し、そして、その後す
ぐに、液体N2に投入した。溶解は、冷凍試料の解凍で
完了した。
【0063】(実施例VI) (融合タンパクの精製)前記実施例で得られた細胞溶解
物を解凍し、37℃に暖めた。10μlのDNアーゼ(1μg/m
l)を加え、混合物を粘性が減少するまでインキュベー
トした。溶解物を氷で急冷し、マイクロフュージ中で5
分間4℃にて清澄化し、Sepharose 4B(Pharmacia)に
結合した抗β−ガラクトシダーゼの6mlのカラムに負荷
した。カラムを1〜2時間平衡化し、7容量(カラム容
積量)のTXバッファー(10mM Tris,pH8.0,2% Trito
n X-100,50μg/ml PMSF)で洗浄し、5mM 3.5−ジヨー
ドサリチル酸を含むTXバッファー2容量で洗浄した。融
合タンパクをその後、35mM3.5−ジヨードサリチル酸を
含むTXバッファーでカラムから溶離した。タンパクの大
部分は、最初の3〜4容量で溶離され、除去は、実質的
に7容量で完了した。
【0064】溶離試料を脱塩し、Amiconフィルター(マ
サチューセッツ州Danvers)を用いて濃縮した。
【0065】(実施例VII) (補体を媒介する細胞溶解の阻害)HUT102-B2細胞をDr.
R.C.Gallo,LTCB,NIHから得た。これは、HTLV-Iを製造
することが知られている長期培養T−細胞系である。
【0066】0.5α抗体(約5μg/ml IgG)もしくはア
イソタイプの、適合したヒトIgGの対照を、MTA4組換え
体ペプチドもしくは無関係な組換え体とともに30分間、
室温でプレインキュベートした。50μlのこれらの混合
物を、その後、96ウェルマイクロタイタープレート中の
5x105のHUT102B2に加え、室温で30分間インキュベート
した。ウェル当り、30μlのウサギの補体を加え、37℃
で1時間インキュベートした。細胞の生存を、顕微鏡観
察で決定した。細胞溶解は、MTA4ペプチド抗原の添加で
明らかに阻止されたが、無関係な組換え体ペプチド抗原
とのプレインキュベーションでは、阻止されなかった。
組換え体抗原もしくは無関係な組換え体ペプチド抗原と
のプレインキュベーション後の、アイソタイプの対応ヒ
トIgGは、HUT102-82生存に効果はなかった。
【0067】(実施例VIII) (固相アッセイ)精製MTA4ペプチド抗原を実施例IVの様
に調製し、ニトロセルロースフィルターにドットブロッ
トした。次いで、これをT細胞白血病の患者(HTLV-I感
染の6人の患者)の血清抗体のアッセイに用いた。各場
合とも、被検個体からの0.1mlの様々な血清希釈溶液
を、1:100から1:50,000の範囲で、フィルターに加
え、30分間室温で反応させた。フィルターをその後、TB
STバッファー(実施例II)で2回洗浄し、実施例IIの様
にアルカリホスファターゼと結合した抗ヒト抗体ととも
にインキュベートした。抗体の存在は、実施例IIと同様
に、NBTおよびBCIPでの発色で決定された。
【0068】本発明を、特定の実施態様、構築方法およ
び使用について説明してきたが、本発明から逸脱するこ
となく、様々な変化および改変がなされ得ることは、当
業者には明らかである。
【0069】
【発明の効果】
(a)HTLV-Iエンベロープタンパクgp46由来で、(b)T細胞
白血病の個体中に存在する抗HTLV-I抗体と免疫反応性の
組換え体ペプチド抗原が提供される。この抗原はグリコ
シル化されておらず、HTLV-Iに感染した個体の血清中に
存在する抗体と免疫反応性であり、診断薬として優れて
いる。
【図面の簡単な説明】
【図1】3つの融合ペプチドのそれぞれについて、コー
ド配列、および対応するアミノ酸配列を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C12N 15/09 C12P 21/02 C C12P 21/02 9162−4B C12N 15/00 A (C12P 21/02 C12R 1:19) (71)出願人 595124907 505 Penobscot Drive, Redwood City,Califo rnia 94063 United Sta tes of America

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 HTLV-Iエンベロープタンパク質gp46に由
    来する、約80個を下まわるアミノ酸を有し、アミノ酸配
    列:Leu-Leu-Val-Asp-Ala-Pro-Gly-Tyr-Asp-Pro-Ile-Tr
    p-Phe-Leu-Asn-Thr-Glu-Pro-Ser-Gln-Leu-Pro-Pro-Thr-
    Ala-Pro-Pro-Leu-Leu-Pro-His-Ser-Asn-Leu-Asp-His-Il
    e-Leu-Glu-Pro-Serを含むペプチドからなる群から選択
    される、ペプチド抗原。
  2. 【請求項2】 前記アミノ酸配列の41個のアミノ酸を有
    する、請求項1に記載のペプチド抗原。
  3. 【請求項3】 組換え融合タンパク質の一部である、請
    求項1に記載のペプチド抗原。
  4. 【請求項4】 被検個体のHTLV-I感染症を検出する方法
    であって、該方法は次の工程を包含する:被検個体由来
    の血清と、HTLV-Iエンベロープタンパク質gp46に由来す
    る、約80個を下まわるアミノ酸を有し、アミノ酸配列:
    Leu-Leu-Val-Asp-Ala-Pro-Gly-Tyr-Asp-Pro-Ile-Trp-Ph
    e-Leu-Asn-Thr-Glu-Pro-Ser-Gln-Leu-Pro-Pro-Thr-Ala-
    Pro-Pro-Leu-Leu-Pro-His-Ser-Asn-Leu-Asp-His-Ile-Le
    u-Glu-Pro-Serを含むペプチドからなる群から選択され
    る、ペプチド抗原と反応させる工程、および結合した抗
    体の存在について抗原を試験する工程。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の方法であって、前記提
    供された抗原が固体支持体に付着し、前記反応がそのよ
    うな血清と支持体との接触を包含し、前記試験が支持体
    および結合した抗体とレポーター標識抗ヒト抗体との反
    応を包含する、方法。
  6. 【請求項6】 HTLV-Iに対する抗体の存在を確かめるた
    めのキットであって、該キットは、その表面にペプチド
    抗原が結合した固体支持体、およびレポーター標識抗ヒ
    ト抗体とを含有し、 該ペプチド抗原は、HTLV-Iエンベロープタンパク質gp46
    に由来する、約80個を下まわるアミノ酸を有し、アミノ
    酸配列:Leu-Leu-Val-Asp-Ala-Pro-Gly-Tyr-Asp-Pro-Il
    e-Trp-Phe-Leu-Asn-Thr-Glu-Pro-Ser-Gln-Leu-Pro-Pro-
    Thr-Ala-Pro-Pro-Leu-Leu-Pro-His-Ser-Asn-Leu-Asp-Hi
    s-Ile-Leu-Glu-Pro-Serを含むペプチドからなる群から
    選択される。
  7. 【請求項7】 T細胞白血病に対して個体を免疫化する
    ワクチンであって、該ワクチンは、薬理学的に受容され
    得るアジュバンド中に組換え体ペプチドを有し、該ペプ
    チドは、HTLV-Iエンベロープタンパク質gp46に由来し、
    約80個を下まわるアミノ酸を有する、アミノ酸配列:Le
    u-Leu-Val-Asp-Ala-Pro-Gly-Tyr-Asp-Pro-Ile-Trp-Phe-
    Leu-Asn-Thr-Glu-Pro-Ser-Gln-Leu-Pro-Pro-Thr-Ala-Pr
    o-Pro-Leu-Leu-Pro-His-Ser-Asn-Leu-Asp-His-Ile-Leu-
    Glu-Pro-Serを含むペプチドからなる群から選択され
    る。
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Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03501722A (ja) * 1988-01-12 1991-04-18 ジーンラブズ テクノロジーズ,インコーポレイテッド Htlv‐iペプチド抗原および分析法

Patent Citations (1)

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JPH03501722A (ja) * 1988-01-12 1991-04-18 ジーンラブズ テクノロジーズ,インコーポレイテッド Htlv‐iペプチド抗原および分析法

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