JPH09151124A - 熱線遮蔽性粒子及びその製造方法 - Google Patents

熱線遮蔽性粒子及びその製造方法

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JPH09151124A
JPH09151124A JP33586995A JP33586995A JPH09151124A JP H09151124 A JPH09151124 A JP H09151124A JP 33586995 A JP33586995 A JP 33586995A JP 33586995 A JP33586995 A JP 33586995A JP H09151124 A JPH09151124 A JP H09151124A
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particles
heat ray
shielding
particle
child
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Toru Nishimura
徹 西村
Keiichi Den
慶一 傳
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】透明性及び熱線遮蔽性を有する子粒子と、
透明性を有する母粒子とで構成される複合粒子であっ
て、該複合粒子内で子粒子が分散状態で固定化されてな
る、透明性及び熱線遮蔽性を有することを特徴とする熱
線遮蔽性粒子、及び当該熱線遮蔽性粒子の製造方法。 【効果】本発明の熱線遮蔽性粒子は、液体又は固体の適
当な媒質中に分散すれば、可視光線域においては高い光
透過率を示し、熱線域においては子粒子による吸収及び
散乱能が現れて高い遮蔽性を発現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は透明性が高く、かつ
熱線を遮蔽する粒子及びその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】地上に届く太陽光線のうちの約4割が近
赤外線以上の波長領域の光であると言われている。この
領域の光は物質を構成する原子の振動準位を励起させ、
熱的効果が特に高いので熱線と呼ばれている。自動車や
商店等の透明性が要求される窓材は熱線をも良く透過す
るので、車内や室内の温度が上昇しやすいだけでなく、
肌への熱線の照射により熱感を受ける。このため夏期に
は冷房負荷が大いにかかる。また冬季には温度の高い車
内や室内から熱線の輻射により熱が室外に放出されるの
で、暖房効率も低下するという問題がある。このため、
高い透明性すなわち可視光線域での高い光透過率を有し
ながら熱線を遮蔽する材への要求が、近年特に高まる傾
向にある。
【0003】熱線遮蔽材には大きく分けて、基材表面に
薄膜コーティングを施すものと、熱線遮蔽フィラーをシ
ートやフィルムあるいは化粧品組成物等に分散させるも
のがある。薄膜コーティングを施すものは、熱線遮蔽性
を有する金属や金属酸化物を可視光線が透過するレベル
まで薄膜化し、あるいは薄膜を多層構造化して光干渉に
よる波長選択透過性を発現させるもので、膜厚及び表面
形態を厳密に制御して成膜する必要があり、真空蒸着法
やスパッタ法、CVD法等の高度な制御技術を用いる
と、製造プロセスが真空系となるので設備投資費用が高
く、かつ量産に向かない。またゾル−ゲル法や超微粒子
含有液のディップコーティングあるいはスピンコーティ
ング等を行う場合にも、基板と膜との密着性及び基板の
平滑性や清浄性が問題となって前処理工程が必要とな
り、製造プロセス上不利である。
【0004】一方、熱線遮蔽フィラーとしては主に、金
属粉末(例えば、特開昭49−33989号公報)、雲
母表面に金属あるいは金属酸化物をコーティングしたも
の(例えば、特開平6−192552号公報)、TiO
2 、SiO2 、ZrO2 、Al2 3 等の酸化物(例え
ば、特開平2−184618号公報)、SnO2 にSb
をドープしたSnO2 :Sb、In2 3 にSnをドー
プしたIn2 3 :Sn等のプラズマ波長が近赤外線領
域にあるもの(例えば、特開平6−316439号公
報)が用いられている。しかし、金属は熱線だけでなく
可視光線をも吸収もしくは散乱するので、これをフィラ
ーとして用いた場合、透明性に優れたものは得られな
い。また、雲母あるいはTiO2 等の金属酸化物を用い
る場合は、散乱によって熱線を遮蔽するので、透明性を
高めるために微粒子化して可視光線の散乱を抑えると熱
線遮蔽性そのものが失われてしまう。
【0005】SnO2 :SbやIn2 3 :Snをフィ
ラーに用いる場合は、散乱だけでなく吸収により熱線を
遮蔽するので、フィラーを超微粒子化及び高分散化して
透明性を得ることができる。しかし、樹脂等の一般の分
散媒に対しては超微粒子フィラーの高分散化処理が難し
いので、これを避けて高濃度フィラー系を薄膜化するの
が一般的であり、上述の薄膜コーティングと同じ問題点
があった。
【0006】超微粒子の光学的機能を安定して発現させ
る技術に関し、WO95/09895号公報において紫
外線遮蔽性複合微粒子及びその製造方法として、TiO
2 等の紫外線遮蔽性を有する超微粒子を子粒子とし、こ
れよりもバンドギャップエネルギーの大きなSiO2
の超微粒子が凝集してなる母粒子の中に分散・固定化し
た複合微粒子が開示されている。しかし物質の超微粒子
化により、紫外線の散乱能は向上するのに対して波長の
長い熱線の散乱能は低下するので、熱線遮蔽性を有する
物質を超微粒子化及び分散・固定化した複合微粒子につ
いての考えは示されていない。
【0007】SnO2 :Sb等を他の物質と複合化した
フィラーの例として、特開平3−215311号公報に
導電性無水ケイ酸微粉末及びその製造方法が開示されて
いる。これによると、無水ケイ酸粒子に対してその表面
にSnO2 :Sbからなる被覆層を50〜300重量%
有する粉末が、樹脂に対する分散性がよく良好な透明性
を有するとともに、少量の充填量で良好な導電性が得ら
れるとしている。しかし熱線の遮蔽性については記述が
なく、粉末中でSnO2 :Sbが被覆層に集中している
ので、分散性が良好な程度の大きさの粉末の場合にはそ
の不均質性により可視光線が散乱され、熱線を遮蔽する
有効量を用いると透明性も損なわれてしまう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる課題
を解決するべく、任意の厚みをもつ媒質中に分散するこ
とにより、高い透明性を有しながら熱線を遮蔽する熱線
遮蔽性粒子及びその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、透明性及
び熱線遮蔽性を有する微粒子を子粒子とし、透明性を有
する母粒子を用いて子粒子を分散状態で固定化し、子粒
子と母粒子が複合化した複合粒子とした。これにより、
子粒子の分散状態を維持し、その結果高い透明性及び熱
線遮蔽性を発現させることができた。また複合粒子中に
占める子粒子の割合を高めることにより、複合粒子全体
が子粒子の性質に近づいて熱線遮蔽性がさらに高くなる
ことを見出した。かかる知見に基づき、本発明を完成さ
せた。
【0010】即ち、本発明の要旨は、 (1) 透明性及び熱線遮蔽性を有する子粒子と、透
明性を有する母粒子とで構成される複合粒子であって、
該複合粒子内で子粒子が分散状態で固定化されてなる、
透明性及び熱線遮蔽性を有することを特徴とする熱線遮
蔽性粒子、 (2) 複合粒子内で子粒子が互いの接触により実質
的に連続化しつつ分散状態で固定化されてなる、該複合
粒子の粒子径が0.5μm以上である前記(1)記載の
熱線遮蔽性粒子、 (3) 複合粒子中に占める子粒子の割合が15体積
%以上である前記(2)記載の熱線遮蔽性粒子、 (4) 複合粒子内で子粒子が実質的に互いに接触す
ることなく分散状態で固定化されてなる、該複合粒子の
粒子径が20μm以下である前記(1)記載の熱線遮蔽
性粒子、 (5) 複合粒子中に占める子粒子の割合が5体積%
以下である前記(4)記載の熱線遮蔽性粒子、 (6) 複合粒子の屈折率が1.3〜1.7である前
記(1)〜(5)いずれか記載の熱線遮蔽性粒子、 (7) 子粒子がSnO2 、In2 3 、Cd2 Sn
4 、及びこれらに異種元素をドープした化合物からな
る群より選ばれる1種類以上の物質からなる前記(1)
〜(6)いずれか記載の熱線遮蔽性粒子、
【0011】(8) 母粒子がSiO2 、MgF2
Al2 3 、MgO、BaSO4 からなる群より選択さ
れる1種類以上の物質からなる前記(1)〜(7)いず
れか記載の熱線遮蔽性粒子、 (9) 子粒子がSbをドープしたSnO2 及び/又
はSnをドープしたIn2 3 からなり、母粒子がSi
2 及び/又はMgF2 からなることを特徴とする前記
(1)〜(6)いずれか記載の熱線遮蔽性粒子、 (10) 子粒子の粒子径が0.2μm以下である前
記(1)〜(9)いずれか記載の熱線遮蔽性粒子、 (11) 工程(a):子粒子源及び母粒子源を均一
に混合して混合液を得る工程 工程(b):工程(a)で得られる混合液を乾燥及び/
又は熱分解して粒子固形物を得る工程 工程(c):工程(b)で得られる粒子固形物を粉砕及
び/又は分級して熱線遮蔽性粒子を得る工程 を有することを特徴とする前記(1)〜(10)いずれ
か記載の熱線遮蔽性粒子の製造方法、 (12) 工程(a):子粒子源及び母粒子源を均一
に混合して混合液を得る工程 工程(b):工程(a)で得られる混合液を噴霧して液
滴を得る工程 工程(c):工程(b)で得られる液滴を高温度場に導
入して乾燥及び/又は熱分解し、熱線遮蔽性粒子を得る
工程 を有することを特徴とする前記(1)〜(10)いずれ
か記載の熱線遮蔽性粒子の製造方法、に関するものであ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】
(1)熱線遮蔽性粒子について 本発明の熱線遮蔽性粒子は、透明性及び熱線遮蔽性を有
する子粒子と、透明性を有する母粒子とで構成される複
合粒子であり、透明性及び熱線遮蔽性を有することを特
徴とする。
【0013】本明細書において透明性とは、可視光線領
域の光を吸収も散乱もしない性質である。粒子が透明性
を有する場合、適当な媒質中にその有効量を分散させた
系について、対照として粒子を含まない媒質を用いて分
光光度計により波長550nmの光透過率を測定したと
き、50%以上となる。また、本明細書において熱線遮
蔽性とは、熱線領域の広い範囲で光の吸収もしくは散乱
を生じる性質である。粒子が熱線遮蔽性を有する場合、
上記の透明性の場合と同様の方法により測定される波長
1200〜2500nmの光透過率は20%以下とな
る。
【0014】また、当該複合粒子内では、子粒子は分散
状態で固定化されている必要がある。すなわち複合粒子
内での子粒子の分布に極端な偏りがない状態で保持され
ていなければならない。複合粒子内で子粒子の分布に極
端な偏りがある場合、子粒子の多い部分と少ない部分で
屈折率の差が生じ、可視光線の散乱が起こって透明性が
損なわれてしまうため、好ましくない。
【0015】本発明において用いられる子粒子は、透明
性及び熱線遮蔽性を有するものである。透明性は、子粒
子が可視光線領域の光を吸収も散乱もしないことにより
達成される。このうち吸収に関しては、価電子帯から伝
導帯への電子の励起を伴ういわゆる励起子吸収が起こら
ないように、両エネルギー準位間のバンドギャップエネ
ルギーが可視光線のエネルギーに比べて大きくなければ
ならない。この理由から子粒子はバンドギャップエネル
ギーが3.0eV以上の物質からなるものであることが
好ましい。また散乱に関しては、可視光線の波長に比べ
て子粒子が小さければ起こりにくくなるので、子粒子の
粒子径は0.2μm以下が好ましく、0.001〜0.
1μmがさらに好ましく、0.01〜0.05μmが特
に好ましい。
【0016】熱線遮蔽性は、子粒子が熱線領域の広い範
囲で光の吸収もしくは散乱を生じることにより達成され
る。そのためには、子粒子は、伝導電子の数や動き易さ
によって決まるプラズマ波長が近赤外線領域にあって、
この波長近傍から長波長領域の光に対しては導電体的に
振る舞いこれを吸収もしくは反射するいわゆるプラズモ
ン吸収やプラズマ反射が起こる物質からなることが望ま
しい。具体的にはプラズマ波長が700〜2500nm
の範囲にある物質からなることが好ましい。
【0017】子粒子として用いるための上述の条件を満
足する物質としては、例えば、SnO2 やIn2 3
Cd2 SnO4 、あるいはこれらに異種元素をドープし
た化合物等、例えばSnO2 にSbをドープしたSnO
2 :Sb、SnO2 にFをドープしたSnO2 :F、I
2 3 にSnをドープしたIn2 3 :Sn等の化合
物が挙げられる。その中でも透明性と熱線遮蔽性に特に
優れた化合物として、SnO2 :Sb及びIn2 3
Snが挙げられる。これらの物質は単独で用いても良
く、2種以上を混合して用いても良い。なお、これらの
化合物における異種元素のドープ量は、SnO2 :Sb
においてはSb/(Sn+Sb)が10原子/原子%以
下が好ましく、1〜7原子/原子%がより好ましい。ま
た、In2 3 :SnにおいてはSn/(In+Sn)
が15原子/原子%以下が好ましく、5〜15原子/原
子%がより好ましい。
【0018】子粒子の形状は球状、板状あるいは針状
等、特に限定されない。また熱線遮蔽性粒子内での分散
性や安定性を向上させるために、子粒子の表面は他の物
質で被覆されていても良い。被覆に用いられる他の物質
としては、例えばSiO2 やAl2 3 が用いられる。
【0019】本発明の熱線遮蔽粒子の屈折率は、一般に
用いられる媒質の屈折率と同程度、即ち1.3〜1.7
であるものが好ましい。さらに、上記屈折率は1.4〜
1.7がより好ましく、1.45〜1.65が特に好ま
しい。これは、複合粒子の分散系において、複合粒子と
媒質で屈折率が異なると、両者の界面において可視光線
の屈折や反射が起こって透明性が損なわれるからであ
る。なお、本明細書において屈折率とは、熱線遮蔽性粒
子の場合、液浸法による測定(例えば、田幸敏治ら「光
学的測定ハンドブック」p.475、1981年、朝倉書
店刊)によって波長589.3nmの光の透過率が最も
高くなる媒質の屈折率nD 20と等しいと定義され、媒質
の場合、例えばアッベ屈折計を用いて測定することがで
きる。本発明において子粒子として用いられる、高い熱
線遮蔽性を有するSnO2 :SbやIn2 3 :Sn等
の化合物の多くは屈折率nD 20が2.0に近いので、用
いる母粒子は低屈折率物質からなるものが好適である。
【0020】本発明に用いられる母粒子は透明性を有す
るものであるが、上記の観点から、母粒子は低屈折率物
質からなるものが好適である。かかる母粒子を用いるこ
とにより、複合化した粒子の屈折率を媒質の値に近づけ
る、即ち熱線遮蔽性粒子の屈折率を上記好適な範囲に制
御することが可能となるからである。
【0021】したがって、かかる透明性及び屈折率の観
点から、母粒子に用いられる物質としては、例えばSi
2 、MgF2 、Al2 3 、MgO、BaSO4 等が
挙げられるが、その中でも特にSiO2 及びMgF2
低屈折率化の観点から好ましい。これらの物質は単独で
用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。ま
た、母粒子内部での可視光線の散乱を防ぐために、内部
に0.2μmを超えるようなドメインを持たないことが
望ましい。従って、例えば微細な粒子が凝集した凝集体
として形成されたものを母粒子として用いれば良い。か
かる微細な粒子としては、好ましくは粒子径0.001
〜0.2μmの、より好ましくは0.005〜0.05
μmの上記物質からなる超微粒子等が挙げられる。
【0022】本発明において、子粒子を構成する物質と
母粒子を構成する物質との好ましい組み合わせとして
は、例えば子粒子がSbをドープしたSnO2 及び/又
はSnをドープしたIn2 3 からなり、母粒子がSi
2 及び/又はMgF2 からなる態様が挙げられる。
【0023】本発明の熱線遮蔽性粒子中の子粒子の割合
は特に限定されるものではなく、熱線遮蔽性粒子の屈折
率を所望の値に制御するために任意の割合にて複合化す
ることができる。ここで、子粒子の割合を高くすると、
複合粒子内、即ち熱線遮蔽性粒子内で、子粒子が互いの
接触により実質的に連続化する現象が見られるが、本発
明ではこのような子粒子の連続化を図る場合と、連続化
の生じない範囲で用いる場合との態様がある。前者の場
合、かかる子粒子の連続化により、子粒子としてプラズ
マ波長が近赤外線領域にある物質を用いる場合、熱線遮
蔽性粒子全体の熱線遮蔽性を高めることができるため、
好適である。
【0024】熱線遮蔽フィラーとしてプラズマ波長が近
赤外線領域にある物質を用いる場合、その熱線領域の光
の遮蔽性、言い換えると導電体として光を吸収もしくは
散乱する性質は、微粒化によって低下することが理論的
にも知られている(例えば、H.C.Van de Hulst著、"Lig
ht Scattering By Small Particles" John Wiley & Son
s 刊、14章)。
【0025】また金属微粒子の分散系は、その割合を増
やしていくと金属微粒子同士の接触による連続化が起こ
り、系全体が導電体的な性質になることがわかっている
(例えば、I. Webman ら、Physical Review B.15, 5712
(1977))。接触により連続化の起こる微粒子の体積割合
のしきい値は、単一粒子径の球状微粒子が均一に分散し
ている場合で15体積%であると言われている(H. Sch
erら、Journal of Chemical Physics,53, 3759 (197
0))。即ち、複合粒子内の子粒子の割合を増やしていく
ことで子粒子同士の接触による連続化が起こり、熱線領
域において複合粒子全体が導電体的な性質になる。従っ
て、子粒子単独の分散系に比べて大きな粒子にとって熱
線を吸収もしくは散乱することになり、熱線遮蔽性を高
めることができる。
【0026】以上より、複合粒子、即ち本発明の熱線遮
蔽性粒子中に占める子粒子の割合は、子粒子の連続化の
観点から15体積%以上が好ましく、より好ましくは2
0体積%以上であり、特に好ましくは30体積%以上で
ある。このときの、熱線遮蔽性粒子の粒子径は特に限定
されるものではないが、熱線遮蔽性が有効に発現するた
めに、熱線遮蔽性粒子の大きさは熱線の波長に比して小
さ過ぎないことが望ましいため、0.5μm以上が好ま
しく、1μm以上が特に好ましい。なお、ここでいう連
続化とは、複合粒子中において、子粒子同士が互いに実
質的に接触し合うことにより、鎖状で網目状に連なった
構造が複合粒子全体に形成されることで、例えば電子顕
微鏡で観察することにより確認できる。
【0027】一方、熱線遮蔽性粒子内で連続化が生じな
い態様においては、即ち複合粒子内で子粒子が実質的に
互いに接触することなく分散状態で固定化されている場
合、熱線遮蔽性粒子中の子粒子の割合が高いほど、当該
分散系における子粒子の局在化が生じることになる。か
かる子粒子の局在化により、系全体において熱線遮蔽性
が発揮されないという問題が生ずる。従って、上記の態
様において、子粒子の局在化を避ける観点からは、複合
粒子、即ち熱線遮蔽性粒子中に占める子粒子の割合は5
体積%以下が好ましく、0.5〜3体積%がさらに好ま
しい。また、この場合において、熱線遮蔽性粒子の粒子
径は特に限定されるものではないが、熱線遮蔽性粒子を
大きくすると、熱線遮蔽性粒子を分散させた系全体の中
で熱線遮蔽性を有する子粒子が局在化することになり、
より局在化の程度が強まることから、粒子径は20μm
以下が好ましい。また、粒子径は0.2〜10μmがよ
り好ましく、0.5〜5μmが特に好ましい。
【0028】また、熱線遮蔽性粒子の形状は特に限定さ
れない。使用場面に応じて球状、板状あるいは針状のも
の等が用いられる。
【0029】(2)熱線遮蔽性粒子の製造方法について 本発明の熱線遮蔽性粒子の製造方法については特に限定
されないが、熱線遮蔽性粒子中で子粒子が均一に分散し
たものを得るためには、例えば以下のような方法を用い
ることができる。
【0030】例えば、 態様1: 工程(a):子粒子源及び母粒子源を均一に混合して混
合液を得る工程 工程(b):工程(a)で得られる混合液を乾燥及び/
又は熱分解して粒子固形物を得る工程 工程(c):工程(b)で得られる粒子固形物を粉砕及
び/又は分級して熱線遮蔽性粒子を得る工程 を有することを特徴とする製造方法。
【0031】態様2: 工程(a):子粒子源及び母粒子源を均一に混合して混
合液を得る工程 工程(b):工程(a)で得られる混合液を噴霧して液
滴を得る工程 工程(c):工程(b)で得られる液滴を高温度場に導
入して乾燥及び/又は熱分解し、熱線遮蔽性粒子を得る
工程 を有することを特徴とする製造方法。の二つの態様が挙
げられる。
【0032】本明細書において子粒子源とは、子粒子そ
のもの、当該子粒子の溶液、当該子粒子の分散液、子粒
子の前駆体となる物質、当該前駆体物質の溶液、及び当
該前駆体微粒子の分散液からなる群より選ばれる1種以
上のものである。また母粒子源とは、母粒子を構成し得
る物質の微粒子、当該物質の溶液、当該微粒子の分散
液、母粒子を構成し得る物質の前駆体となる物質、当該
前駆体物質の溶液、及び当該前駆体微粒子の分散液から
なる群より選ばれる1種以上のものである。
【0033】子粒子は製造した熱線遮蔽性粒子中で均一
に分散した状態で存在していることが好ましいので、子
粒子源と母粒子源を混合する液中での子粒子又は子粒子
の前駆体微粒子の分散性を高めることが好ましい。その
ためには子粒子又は子粒子の前駆体微粒子の表面を他の
物質で被覆したり、又は微粒子の分散状態を維持する安
定化剤を混合してもよい。例えば、SnO2 :Sb超微
粒子を子粒子に用いる場合、超微粒子の表面をSiO2
やAl2 3 等で被覆して分散性を高めたり、分散状態
の安定化のために塩基性あるいは酸性の安定化剤を混合
したりするのもよい。また、子粒子の前駆体微粒子の粒
子径は子粒子の粒子径と同様である。
【0034】母粒子源として微粒子状の物質を用いる場
合、この微粒子の凝集体が母粒子を構成することになる
ので、母粒子の要件を満たすためには、前述のように微
粒子の粒子径は0.001〜0.2μmが好ましく、
0.005〜0.05μmがより好ましい。例えば、母
粒子をSiO2 とする場合、粒子径0.02μmのシリ
カゾル等が母粒子源として好適に用いられる。また、子
粒子の場合と同じ理由で、母粒子源として用いる微粒子
の表面を他の物質で被覆したり、分散状態の安定化剤を
混合しても良い。被覆に用いる物質や安定化剤は、子粒
子に用いるものと同様のものが挙げられる。
【0035】前駆体とは、混合液の乾燥過程における脱
水あるいは熱分解過程における熱分解等によって目的と
する物質に変化する物質を指す。例えば、子粒子をSn
2:Sbとする場合、SnCl4 とSbCl3 の混合
物水溶液やSn(OH)4 とSb(OH)3 の混合物微
粒子が前駆体として挙げられる。また母粒子をSiO2
とする場合、Si(OC2 5 4 のエタノール溶液が
前駆体として挙げられる。
【0036】工程(a)は、子粒子源及び母粒子源を液
体中で均一に混合して混合液を得る工程である。ここで
用いる液体は特に限定されるものではなく、例えば水や
エタノール等が挙げられる。子粒子源と母粒子源を液体
中で均一に混合する具体的な方法としては特に限定され
るものではなく、例えばサンドミル等による機械的分散
処理が挙げられる。混合の条件や程度は特に限定される
ものではなく、公知の条件、程度で良い。
【0037】態様1においては、工程(b)は、工程
(a)で得られる混合液を乾燥及び/又は熱分解して粒
子固形物を得る工程である。混合液を乾燥及び/又は熱
分解する方法としては、例えばニーダー乾燥、バンド型
通気乾燥装置、電気炉加熱、熱風と接触させる方法等を
用いれば良い。乾燥及び/又は熱分解の条件や程度は特
に限定されるものではなく、公知の条件、程度で良い。
工程(c)は、工程(b)で得られる粒子固形物を粉砕
及び/又は分級して熱線遮蔽性粒子を得る工程である。
粒子固形物を粉砕及び/又は分級する方法としては、例
えば湿式あるいは乾式ミルによるものが挙げられる。粉
砕及び/又は分級の条件や程度は特に限定されるもので
はなく、公知の条件、程度で良い。
【0038】態様2においては、工程(b)は、工程
(a)で得られる混合液を噴霧して液滴を得る工程であ
る。混合液を噴霧する方法としては特に限定されるもの
ではなく、例えば超音波式噴霧器や二流体ノズル方式に
よるものが挙げられる。噴霧の条件、液滴の粒径等は特
に限定されるものではなく、目的とする粒径の熱線遮蔽
性粒子を得るための液滴径に制御すれば良い。工程
(c)は、工程(b)で得られる液滴を高温度場に導入
して乾燥及び/又は熱分解し、熱線遮蔽性粒子を得る工
程である。液滴を乾燥及び/又は熱分解する条件、程度
は特に限定されるものではなく、公知の条件、程度で良
い。なお、態様2においては、例えば公知の噴霧乾燥機
等を用いれば、工程(b)と工程(c)を同時に行うこ
とができるため、好ましい。
【0039】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によ
りなんら限定されるものではない。 実施例1SnO2 :Sb/SiO2 複合粒子の製造 SnO2 :Sb超微粒子(富士チタン工業(株)製ST
F−10、平均一次粒子径0.02μm)5g、SiO
2 ゾル(日産化学工業(株)製ST−C)73g及び水
を混合して200mLとした。この液175gにガラス
ビーズ(平均径0.1mm)325gを加え、ビーズミ
ル(IGARASHI KIKAI製TSG-6H)を用いて、翼回転数20
00rpm、6時間の分散処理を行った。その後、ガラ
スビーズを分離し、さらにSiO2 ゾル及び水を加えて
SnO2 :Sb及びSiO2 の濃度がそれぞれ1.0g
/L及び15g/Lとなるように混合液を調製した。
【0040】上記の混合液を超音波式ネブライザ(オム
ロン(株)製 NE-U12 )によって噴霧し、平均径約5μ
mの微小な液滴とした。これを流量が4リットル/分に
制御された窒素キャリアーガスに同伴させ、外部から電
気炉によって500℃に加熱したセラミックチューブ
(ニッカトー(株)製ムライトチューブ、内径60m
m、長さ750mm)内を通過させて乾燥し、粒子を生
成させた。窒素キャリアーガス中に分散した状態の粒子
は、拡散荷電型静電捕集器により捕集した。
【0041】得られた白色の粒子を走査型電子顕微鏡に
より観察した結果、平均粒子径約1μmの真球状粒子で
あり、透過型電子顕微鏡を用いた超薄切片法によりその
断面を観察した結果、SiO2 超微粒子(粒子径約0.
01μm)の凝集体の中にSnO2 :Sb超微粒子(粒
子径約0.02μm)が実質的に互いに接触することな
く分散して存在していることがわかった。すなわちこの
粒子は、SiO2 (屈折率1.46)の凝集体が母粒子
であり、SnO2 :Sb(屈折率1.85)が子粒子で
あるSnO2 :Sb/SiO2 複合粒子であった。上記
複合粒子中での子粒子の割合は、SnO2 :Sb及びS
iO2 の粒子密度をそれぞれ6.6g/cm3 及び2.
3g/cm3 とし、混合液の組成比から計算して、約
2.3体積%であった。また、子粒子/母粒子の体積比
から、得られた複合粒子の屈折率は1.47であると算
出された。
【0042】粒子の分散媒としてグリセリン(屈折率
1.47)を選び、グリセリン中にこの粒子を懸濁して
粒子が20重量%分散したグリセリン懸濁液を調製し
た。これについて紫外可視近赤外分光光度計((株)島
津製作所製UV-3100 )により、グリセリンを対照とし、
光路長1mmの石英セルを用いて光透過率を測定した。
結果を図1に示す。可視光線領域の特に比視感度の高い
波長550nmにおいて光透過率が69%と高い値にな
っていると同時に、1200nmで17%と熱線の広い
波長領域において光透過率が極めて低い値になってい
る。すなわちこの粒子懸濁液は、高い透明性を有しなが
ら熱線を遮蔽している。
【0043】実施例2SnO2 :Sb/SiO2 複合粒子の製造 SnO2 :Sb超微粒子(石原産業(株)製SN−10
0P)15g、SiO2 ゾル(日産化学工業(株)製S
T−C)23.7g、及び水を混合した液(200m
L)について、実施例1の方法で分散処理を行った後、
ガラスビーズを分離し、さらにSiO2 ゾル18gを加
えて、SnO2 :Sb及びSiO2 の濃度がそれぞれ6
4g/L及び36g/Lとなるように混合液を調製し
た。上記の混合液10gを径20cmのシャーレに入
れ、80℃にて10時間乾燥させた後、乾燥固形物を乳
鉢で粉砕し、標準篩(IIDA MANUFACTURING CO. LTD.、
篩径38μm)を用いて分級し、粒子を得た。
【0044】得られた粒子は白色でやや青みがかった外
観を呈しており、光学顕微鏡により観察した結果、平均
粒子径約10μmの不定形粒子であり、透過型電子顕微
鏡を用いた超薄切片法によりその断面を観察した結果、
SiO2 超微粒子(粒子径約0.01μm)の凝集体の
中にSnO2 :Sb超微粒子(粒子径約0.02μm)
が、互いの接触により実質的に連続化しつつ分散して存
在していることがわかった。すなわちこの粒子は、Si
2 (屈折率1.46)の凝集体が母粒子であり、Sn
2 :Sbが子粒子であるSnO2 :Sb/SiO2
合粒子であった。上記複合粒子中での子粒子の割合は、
SnO2 :Sb及びSiO2 の粒子密度をそれぞれ6.
6g/cm3 及び2.3g/cm3 とし、混合液の組成
比から計算して、約38体積%であった。また、子粒子
/母粒子の体積比から、得られた複合粒子の屈折率は
1.60であると算出された。
【0045】粒子の分散媒としてポリスチレン(屈折率
1.60)を選び、ポリスチレンを20重量%含むテト
ラヒドロフラン溶液中にこの粒子を分散させたものを径
9cmのシャーレに入れて溶媒蒸発させ、粒子が10重
量%分散したポリスチレンシート(厚さ0.3mm)を
作成した。これについて実施例1の方法に倣い、波長3
00〜2500nmの光透過率を測定した結果を図2に
示す。対照としては、同様に作成した、本発明の粒子が
含まれていないポリスチレンシート(厚さ0.3mm)
を用いた。可視光線領域内の比視感度の高い波長550
nmにおいて光透過率が62%と高い値になっていると
同時に、1200nmで9%と熱線の広い波長領域にお
いて光透過率が極めて低い値になっている。すなわちこ
の粒子分散シートは、高い透明性を有しながら熱線を遮
蔽している。
【0046】実施例3SnO2 :Sb/MgF2 複合粒子の製造 SnO2 :Sb超微粒子(石原産業(株)製SN−10
0P)5g、MgF2ゾル(日産化学工業(株)製MF
S−10、MgF2 平均一次粒子径0.02μm、濃度
10.5重量%)23.7g及び水を混合した液(20
0mL)について、実施例1の方法で分散処理を行った
後、水を加えながらガラスビーズを分離し、さらにMg
2 ゾル0.96gを加えて、SnO2 :Sb及びMg
2 の濃度がそれぞれ10g/L及び5.2g/Lとな
るように混合液を調製した。上記の混合液50gを径2
0cmのシャーレに入れ、80℃にて10時間乾燥さ
せ、次いで乾燥固形物を200℃で2時間焼成した後、
乳鉢で粉砕し、標準篩(IIDA MANUFACTURING CO. LTD.
、篩径38μm)を用いて分級し、粒子を得た。
【0047】得られた粒子は白色でやや青みがかった外
観を呈しており、光学顕微鏡により観察した結果、平均
粒子径約10μmの不定形粒子であり、透過型電子顕微
鏡を用いた超薄切片法によりその断面を観察した結果、
MgF2 超微粒子(粒子径約0.02μm)の凝集体の
中にSnO2 :Sb超微粒子(粒子径約0.02μm)
が、互いの接触により実質的に連続化しつつ分散して存
在していることがわかった。すなわちこの粒子は、Mg
2 (屈折率1.38)の凝集体が母粒子であり、Sn
2 :Sbが子粒子であるSnO2 :Sb/MgF2
合粒子であった。上記複合粒子中での子粒子の割合は、
SnO2 :Sb及びMgF2 の粒子密度をそれぞれ6.
6g/cm3 及び3.1g/cm3 とし、混合液の組成
比から計算して、約48体積%であった。また、子粒子
/母粒子の体積比から、得られた複合粒子の屈折率は
1.59であると算出された。
【0048】粒子の分散媒としてポリスチレンを選び、
ポリスチレンを20重量%含むテトラヒドロフラン溶液
中にこの粒子を分散させたものを径9cmのシャーレに
入れて溶媒蒸発させ、粒子が10重量%分散したポリス
チレンシート(厚さ0.3mm)を作成した。これにつ
いて実施例1の方法に倣い、波長300〜2500nm
の光透過率を測定した結果を図3に示す。対照として
は、同様に作成した、本発明の粒子が含まれていないポ
リスチレンシート(厚さ0.3mm)を用いた。可視光
線領域内の比視感度の高い波長550nmにおいて光透
過率が56%と高い値になっていると同時に、1200
nmで11%と熱線の広い波長領域において光透過率が
極めて低い値になっている。すなわちこの粒子分散シー
トは、高い透明性を有しながら熱線を遮蔽している。
【0049】比較例1SnO2 :Sb超微粒子 SnO2 :Sb超微粒子(石原産業(株)製SN−10
0P)を用いて、実施例2と同様の方法により、粒子が
3.2重量%分散したポリスチレンシート(厚さ0.3
mm)を作成した。これについて実施例1の方法に倣
い、波長300〜2500nmの光透過率を測定した結
果を図4に示す。対照としては、同様に作成した、本比
較例における粒子が含まれていないポリスチレンシート
(厚さ0.3mm)を用いた。可視光線領域内の比視感
度の高い波長550nmにおいて光透過率が8%と低い
値になっており、透明性が得られていない。
【0050】比較例2SnO2 :Sb/SiO2 複合粒子の製造 SnO2 :Sb超微粒子(石原産業(株)製SN−10
0P、Sb/(Sn+Sb)5原子/原子%、平均一次
粒子径0.02μm)12.5g及びSiO2ゾル(日
産化学工業(株)製ST−C)183gを混合した液に
ついて、実施例1の方法で分散処理を行った後、水を加
えながらガラスビーズを分離して、SnO2 :Sb及び
SiO2 の濃度がそれぞれ5.0g/L及び15g/L
となるように混合液を調製した。
【0051】上記の混合液を実施例1に倣って噴霧乾燥
し、粒子を生成した。得られた白色の粒子を走査型電子
顕微鏡により観察した結果、平均粒子径約1μmの真球
状粒子であり、透過型電子顕微鏡を用いた超薄切片法に
よりその断面を観察した結果、SiO2 超微粒子(粒子
径約0.01μm)の凝集体の中にSnO2 :Sb超微
粒子(粒子径約0.02μm)が実質的に互いに接触す
ることなく分散して存在していることがわかった。すな
わちこの粒子は、SiO2 (屈折率1.46)の凝集体
が母粒子であり、SnO2 :Sb(屈折率1.85)が
子粒子であるSnO2 :Sb/SiO2 複合粒子であっ
た。上記複合粒子中での子粒子の割合は、SnO2 :S
b及びSiO2 の粒子密度をそれぞれ6.6g/cm3
及び2.3g/cm3 とし、混合液の組成比から計算し
て、約10体積%であった。また、子粒子/母粒子の体
積比から、得られた複合粒子の屈折率は1.49である
と算出された。
【0052】粒子の分散媒としてポリビニルブチラール
樹脂(屈折率1.49)を選び、ポリビニルブチラール
(積水化学工業(株)製BM−S)を10重量%含むト
ルエン−エタノール(等重量混合物)溶液中にこの粒子
を分散させたものを130℃にて溶媒蒸発の後、200
℃で加圧成型して、粒子が5重量%分散したポリビニル
ブチラールシート(厚さ1mm)を作成した。これにつ
いて紫外可視近赤外分光光度計((株)島津製作所製U
V−3100)により波長300〜2500nmの光透
過率を測定した結果を図5に示す。なお、対照として
は、同様に作成した、本比較例の粒子が含まれていない
ポリビニルブチラールシート(厚さ1mm)を用いた。
可視光線領域内の比視感度の高い波長550nmにおい
て光透過率が52%になっているものの、1200nm
で24%と熱線の広い波長領域において充分な熱線遮蔽
性を示していない。すなわちこの粒子分散シートは、高
い透明性と熱線遮蔽性を同時に有しているとは言いがた
いものであった。これは、シート内で子粒子が局在化し
たことによるものと考えられる。
【0053】比較例3SnO2 :Sb/SiO2 複合粒子の製造 SnO2 :Sb超微粒子(石原産業(株)製SN−10
0P、Sb/(Sn+Sb)5原子/原子%、平均一次
粒子径0.02μm)17.0g及びSiO2ゾル(日
産化学工業(株)製ST−C)183gを混合した液に
ついて、実施例1の方法で分散処理を行った後、水を加
えながらガラスビーズを分離して、SnO2 :Sb及び
SiO2 の濃度がそれぞれ6.8g/L及び15g/L
となるように混合液を調製した。
【0054】上記の混合液を実施例1にならって噴霧乾
燥し、粒子を生成した。得られた白色の粒子を走査型電
子顕微鏡により観察した結果、平均粒子径約1μmの真
球状粒子であり、透過型電子顕微鏡を用いた超薄切片法
によりその断面を観察した結果、SiO2 超微粒子(粒
子径約0.01μm)の凝集体の中にSnO2 :Sb超
微粒子(粒子径約0.02μm)が実質的に互いに接触
することなく分散して存在していることがわかった。す
なわちこの粒子は、SiO2 (屈折率1.46)の凝集
体が母粒子であり、SnO2 :Sbが子粒子であるSn
2 :Sb/SiO2 複合粒子であった。
【0055】上記複合粒子中での子粒子の割合は、Sn
2 :Sb及びSiO2 の粒子密度をそれぞれ6.6g
/cm3 及び2.3g/cm3 とし、混合液の組成比か
ら計算して、約13体積%であった。また、子粒子/母
粒子の体積比から、得られた複合粒子の屈折率は1.5
0であると算出された。
【0056】粒子の分散媒としてポリビニルホルマール
樹脂(屈折率1.50)を選び、ポリビニルホルマール
(東京化成工業(株)製試薬)を20重量%含むテトラ
ヒドロフラン溶液中にこの粒子を分散させたものを径9
cmのシャーレに入れて溶媒蒸発させ、粒子が10重量
%分散したポリビニルホルマールシート(厚さ0.35
mm)を作成した。これについて実施例1の方法になら
い、波長300〜2500nmの光透過率を測定した結
果を図6に示す。対照としては、同様に作成した、本比
較例における粒子が含まれていないポリビニルホルマー
ルシート(厚さ0.3mm)を用いた。可視光線領域内
の比視感度の高い波長550nmにおいて光透過率が5
1%でありながら、1200nmで21%となってお
り、高い透明性と熱線遮蔽性を同時に有しているとは言
い難いものであった。これは、シート内で子粒子が局在
化したことによるものと考えられる。
【0057】
【発明の効果】本発明の熱線遮蔽性粒子は、液体又は固
体の適当な媒質中に分散すれば、可視光線域においては
高い光透過率を示し、熱線域においては子粒子による吸
収及び散乱能が現れて高い遮蔽性を発現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1における熱線遮蔽性粒子の紫
外可視近赤外分光光度計による光透過率の測定結果を示
す図である。
【図2】図2は、実施例2における熱線遮蔽性粒子の紫
外可視近赤外分光光度計による光透過率の測定結果を示
す図である。
【図3】図3は、実施例3における熱線遮蔽性粒子の紫
外可視近赤外分光光度計による光透過率の測定結果を示
す図である。
【図4】図4は、比較例1における粒子の紫外可視近赤
外分光光度計による光透過率の測定結果を示す図であ
る。
【図5】図5は、比較例2における粒子の紫外可視近赤
外分光光度計による光透過率の測定結果を示す図であ
る。
【図6】図6は、比較例3における粒子の紫外可視近赤
外分光光度計による光透過率の測定結果を示す図であ
る。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明性及び熱線遮蔽性を有する子粒子
    と、透明性を有する母粒子とで構成される複合粒子であ
    って、該複合粒子内で子粒子が分散状態で固定化されて
    なる、透明性及び熱線遮蔽性を有することを特徴とする
    熱線遮蔽性粒子。
  2. 【請求項2】 複合粒子内で子粒子が互いの接触により
    実質的に連続化しつつ分散状態で固定化されてなる、該
    複合粒子の粒子径が0.5μm以上である請求項1記載
    の熱線遮蔽性粒子。
  3. 【請求項3】 複合粒子中に占める子粒子の割合が15
    体積%以上である請求項2記載の熱線遮蔽性粒子。
  4. 【請求項4】 複合粒子内で子粒子が実質的に互いに接
    触することなく分散状態で固定化されてなる、該複合粒
    子の粒子径が20μm以下である請求項1記載の熱線遮
    蔽性粒子。
  5. 【請求項5】 複合粒子中に占める子粒子の割合が5体
    積%以下である請求項4記載の熱線遮蔽性粒子。
  6. 【請求項6】 複合粒子の屈折率が1.3〜1.7であ
    る請求項1〜5いずれか記載の熱線遮蔽性粒子。
  7. 【請求項7】 子粒子がSnO2 、In2 3 、Cd2
    SnO4 、及びこれらに異種元素をドープした化合物か
    らなる群より選ばれる1種類以上の物質からなる請求項
    1〜6いずれか記載の熱線遮蔽性粒子。
  8. 【請求項8】 母粒子がSiO2 、MgF2 、Al2
    3 、MgO、BaSO4 からなる群より選択される1種
    類以上の物質からなる請求項1〜7いずれか記載の熱線
    遮蔽性粒子。
  9. 【請求項9】 子粒子がSbをドープしたSnO2 及び
    /又はSnをドープしたIn2 3 からなり、母粒子が
    SiO2 及び/又はMgF2 からなることを特徴とする
    請求項1〜6いずれか記載の熱線遮蔽性粒子。
  10. 【請求項10】 子粒子の粒子径が0.2μm以下であ
    る請求項1〜9いずれか記載の熱線遮蔽性粒子。
  11. 【請求項11】 工程(a):子粒子源及び母粒子源を
    均一に混合して混合液を得る工程 工程(b):工程(a)で得られる混合液を乾燥及び/
    又は熱分解して粒子固形物を得る工程 工程(c):工程(b)で得られる粒子固形物を粉砕及
    び/又は分級して熱線遮蔽性粒子を得る工程 を有することを特徴とする請求項1〜10いずれか記載
    の熱線遮蔽性粒子の製造方法。
  12. 【請求項12】 工程(a):子粒子源及び母粒子源を
    均一に混合して混合液を得る工程 工程(b):工程(a)で得られる混合液を噴霧して液
    滴を得る工程 工程(c):工程(b)で得られる液滴を高温度場に導
    入して乾燥及び/又は熱分解し、熱線遮蔽性粒子を得る
    工程 を有することを特徴とする請求項1〜10いずれか記載
    の熱線遮蔽性粒子の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005119909A (ja) * 2003-10-17 2005-05-12 Catalysts & Chem Ind Co Ltd 酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子、該微粒子の製造方法および該微粒子を含む被膜付基材
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