JPH09147431A - 光記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

光記録媒体およびその製造方法

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JPH09147431A
JPH09147431A JP7301423A JP30142395A JPH09147431A JP H09147431 A JPH09147431 A JP H09147431A JP 7301423 A JP7301423 A JP 7301423A JP 30142395 A JP30142395 A JP 30142395A JP H09147431 A JPH09147431 A JP H09147431A
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Japan
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optical recording
recording medium
substrate
transparent substrate
thickness
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JP7301423A
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Katsuhisa Araya
勝久 荒谷
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光記録媒体の反りや変形を防止し、収差の少
ない高品位の光記録再生を可能とする光記録媒体および
その製造方法を提供する。 【解決手段】 光記録層3が形成された薄い透明基板1
に、透明基板1よりさらに薄い高剛性基板9を貼り合わ
せ、固着する。 【効果】 光記録媒体全体としての曲げ剛性EIが向上
し、光記録媒体の全厚を低減しても反り等が低減され
る。高剛性基板9の厚さが薄いので、磁気ヘッドコ22
と光記録層3とのスペーシングdが小さく、磁界変調記
録にも有利である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光ディスクや光カー
ド等の光記録媒体に関し、さらに詳しくは、透明基板側
からレーザ光を光記録層に照射し、情報の再生あるいは
記録および再生をおこなう光記録媒体において、その全
厚を低減しうるとともに、反りをも軽減しうる光記録媒
体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】透明基板の一主面に光記録層を形成した
単板構造の光記録媒体は、貼り合わせ構造を採用して両
面に光記録層の形成を可能とした貼り合わせ構造の光記
録媒体に比較して、構造が簡単であり製造が容易であ
る。単板構造の光記録媒体のうち、CDやCD−ROM
等の呼称で知られる最も一般的な再生専用光記録媒体
は、厚さ1.2mm、直径12cmの樹脂性透明基板の
一主面にAl系金属等による光反射層を成膜し、さらに
紫外線硬化樹脂等で保護層を形成した構造を採用してい
る。
【0003】また透明基板の一主面に誘電体層、相変化
型記録層あるいは光磁気記録層、反射層および保護層等
からなる積層構造を形成したのが、追記型あるいは書き
換え可能型の光記録媒体である。これらの光記録媒体う
ち、光磁気記録媒体の一般的な概略断面図を図9に示
す。ランド部やグルーブ部等が予め形成されたポリカー
ボネート等の透明基板1の一主面側に、Si3 4 等の
誘電体層2、遷移金属−希土類非晶質合金(RE−T
M;Rare Earth−TransitionMe
tal)等からなり光磁気記録再生を担う光記録層3、
同じくSi3 4等からなるスペーサ誘電体層4および
Al系金属等の反射層5を順次スパッタリング等により
成膜し、紫外線硬化樹脂等による保護層6を塗布、硬化
して積層光記録層7とし、光磁気記録媒体が完成する。
記録再生のレーザ光は対物レンズ10により集光レーザ
ビーム11となって透明基板1側から光磁気記録層3に
入射する。なお図9を含めて以下に示す図においては、
図示した各層の厚さは実際の光記録媒体における厚さを
反映したものではない。
【0004】かかる積層構造の光記録媒体は、射出成形
等により形成された透明基板1そのものには変形がなく
ても、完成後に反り等が発生する場合がある。この原因
は、透明基板1と積層光記録層7との熱膨張係数の違
い、透明基板1の他の主面すなわち露出面側からの吸湿
量と保護層6側からの吸湿量のアンバランス、あるいは
保護層6の硬化収縮等が挙げられる。かかる光記録媒体
に磁界変調記録を採用する場合には、図8にその概略断
面図を示すように光磁気記録媒体の保護層側すなわち対
物レンズ10の反対側に変調磁界を与える磁気ヘッド1
2を近接して配置する。この際、保護層上に塵埃13等
が付着していると、磁気ヘッド12と塵埃13が衝突
し、光磁気記録媒体にパルス的な反りや変形、振動等が
発生する。
【0005】透明基板を介して信号の記録や再生をおこ
なう場合、上述したように透明基板の静的な変形および
動的な変形により反りが発生すると、反りによる集光レ
ーザビーム11の収差が発生する。この収差は、再生信
号の劣化や、記録可能の光記録媒体の場合であれば実効
的な記録パワーの減少等の問題が生じる。透明基板の反
りによる収差xは、透明基板の反りあるいは傾きを一定
とすると、次式(1)で与えれれる。 x=kt(NA)3 /λ (1) ここでkは定数、tは透明基板の厚さ、λはレーザ光の
波長λ、そしてNAは対物レンズの開口数である。
【0006】すなわち、収差を低減するためには透明基
板を薄く、レーザ光の波長は長く、また開口数は小さく
することが基本である。一方高密度記録再生の観点から
は、レーザ光の波長は短く、開口数は大きくすることが
要求される。したがって、透明基板の厚さは薄くしなが
らも、その反りは可及的に低減することが高密度の信号
を安定に記録再生するために望まれる。
【0007】光記録媒体の反りを低減する方法として
は、図7にその概略断面図を示すように比較的薄い透明
基板1に形成された光記録層3側に、機械特性改善を主
な機能とする補強樹脂基板8を張り合わせた積層光記録
媒体構造が提案されている。この貼り合わせ構造におい
ては、補強樹脂基板8の材料のヤング率は小さいため、
反り低減のためには補強樹脂基板8の厚さは比較的厚い
ことが必要条件となる。したがって、補強樹脂基板構造
を採用する場合には、光記録媒体としての全厚を薄くす
ることには限界があり、多数の光記録媒体を収容して使
用するシステム化への対応、例えばノンリニアシステム
等の小型化等への適用は不適切である。また磁界変調記
録の光磁気記録媒体においては、図8で示したように磁
気ヘッドを必要とするため、この磁気ヘッドを補強用樹
脂基板側に配置し、この補強用樹脂基板を介して変調磁
界を光磁気記録層に印加することとなる。このように磁
気ヘッド/光磁気記録層のスペーシングが拡がった場
合、所望の磁界強度を印加するためには磁気ヘッドコア
径を大径化する必要があり、したがって磁気ヘッドコイ
ルも大型化してインダクタンスも大きくなる。このた
め、MHzオーダの高周波で磁界変調する高密度記録は
困難となる。
【0008】さらに、光記録媒体がそれぞれ形成された
2枚の透明基板を張り合わせた積層構造の光記録媒体が
ある。この構造は、反りや記憶容量の点では有利とな
る。しかしながら、光記録媒体の取り扱いに注意が必要
なこと、ラベル表示領域が極端に狭くなること等の他
に、磁界変調記録において不利な点は改善されない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した従来
の光記録媒体の問題点を解決し、光記録媒体全体の厚さ
を低減しても反りや変形を発生することなく、収差の少
ない高品位の記録再生を可能とする光記録媒体およびそ
の製造方法を提供することを課題とする。
【0010】また本発明は、特に記録時の高密度化を達
成しうる磁界変調記録が容易に可能で、かつ薄型化され
た光記録媒体およびその製造方法を提供することを課題
とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の光記録媒体は、
上述した課題を達成することをその目的とするものであ
り、一主面に光記録層が形成された透明基板と、この透
明基板のヤング率より大きいヤング率を有するととも
に、この透明基板と略同一の平面形状を有し、かつこの
透明基板の前記光記録層側に固着された高剛性基板と、
を有することを特徴とするものである。
【0012】また本発明の光記録媒体の製造方法は、透
明基板の一主面に光記録層を形成する工程と、この透明
基板のヤング率より大きいヤング率を有するとともに、
この透明基板と略同一の平面形状を有する高剛性基板
を、この透明基板の前記光記録層側に固着する工程と、
を有することを特徴とするものである。
【0013】本発明の光記録媒体およびその製造方法に
おいては、上述した透明基板の厚さは、0.05mm以
上1.0mm以下であることが望ましく、0.3mm以
上0.6mm以下であることがさらに望ましい。
【0014】一方、高剛性基板の厚さは、透明基板の厚
さ未満であることが望ましく、0.02mm以上0.3
mm以下であることがさらに望ましい。
【0015】また高剛性基板のヤング率は、20GPa
以上であることが望ましい。
【0016】さらに高剛性基板は、非磁性材料からなる
ことをが望ましい。
【0017】つぎに作用の説明に移る。本発明は、一主
面に光記録層が形成された樹脂等の薄い透明基板と、こ
れよりさらに薄い高剛性基板とを貼り合わせた構造を採
用した点に特徴を有する。貼り合わせ構造の光記録媒体
の反り量を計算により求めるため、光記録媒体を図6で
示されるような透明基板1と高剛性基板9との合成梁の
集合体と考える。ここで、透明基板1の厚さとヤング率
をt1 およびE1 、高剛性基板9の厚さとヤング率をt
2 およびE2 、とすると、合成梁の単位幅あたりの断面
2次モーメントIt は次式(2)により与えられる。 It =t1 3/12 + t1(tn - t1/2)2 + E2/E1 ・ t2 3/12 + E2/E1 ・ t2(tn -t1-t2/2)2 (2) ここで、 tn ≡〔t1 2/2 + E2/E1 ・ t2(t1+ t2/2)〕/ (t1+ E2/E1
・ t2) である。かかる合成梁に荷重あるいは外力が印加された
場合の反り量は、断面2次モーメントIt と、透明基板
1のヤング率E1 の積、すなわち曲げ剛性 E1 ・It
に反比例する。したがって、透明基板のヤング率E1
よび厚さt1 を一定とした場合、光記録媒体の反りを低
減するためには、光記録媒体の断面2次モーメントIt
を大きくすることが望ましい。このためには高剛性基板
の厚さとヤング率をt2 およびE2 を大きくすることが
望まれるが、t2 は発明の趣旨からして大きくしたくは
ない。このために、厚さt2 は薄く、可及的に大きなヤ
ング率E2を有する高剛性基板を採用することが本発明
の基本的技術思想となる。
【0018】先述したように、従来の光記録媒体の厚さ
はCDやビデオディスクに代表されるように1.2mm
であった。しかし高密度に記録された信号を安定に再生
するためには透明基板の厚さは薄いことが望ましい。こ
の観点から、透明基板の厚さは1.0mm以下、さらに
は従来の半分の0.6mm以下が望ましい。透明基板の
厚さの下限は、この透明基板上にスパッタリングや蒸着
等により光記録層等を形成するプロセスの安定性やハン
ドリング等を考えると、0.3mmが望ましいが、最低
限の厚さとしては、現行の磁気記録媒体であるフロッピ
ディスクのベースフィルムの厚さである50μmすなわ
ち、0.05mmまでは可能である。
【0019】透明基板は、常法に準拠して射出成形ある
いは押し出し成形等により形成する。光記録媒体として
必要なデータ信号、アドレス信号、トラッキングサーボ
用信号を与えるピット、あるいはランド部、グルーブ部
等は透明基板成形時にスタンパあるいは金型から同時に
転写して差し支えない。またはこれらは透明基板成形後
に、いわゆる2P法により形成してもよい。透明基板の
材料としては、ポリカーボネート、ポリメチルメタアク
リレートあるいはポリオレフィン等通常の樹脂を用いて
よい。
【0020】一方、高剛性基板は可及的に薄い厚さで反
り防止の効果を達成できることが望ましい。そこで高剛
性基板の厚さは透明基板の厚さ以下、すなわち0.3m
m以下に設定する。ただし後述するように極端に薄い場
合には反り防止の効果が薄いので、下限は0.02mm
とする。
【0021】高剛性基板のヤング率は、透明基板のヤン
グ率よりも大きいものを採用すれば本発明の効果が達成
されるが、透明基板のヤング率の1オーダ以上大きな値
であることが望ましい。すなわち、透明樹脂材料のヤン
グ率は2GPa程度であるから、20GPa以上のヤン
グ率を有する材料を用いた場合に、反り防止の顕著な効
果が得られる。この条件を満たす材料としては、金属あ
るいはセラミックスがある。金属材料のうち、加工性や
コストの点ではスチール鋼板等の高剛性鉄基合金がまず
挙げられるが、磁界変調記録等、記録や再生時に磁界を
印加する方式の光記録媒体の場合には、非磁性のSUS
304等のステンレス合金の使用が好ましい。またAl
系金属やTi系金属、Mg系金属も好適な材料である。
【0022】高剛性基板は、透明基板とほぼ同一平面形
状に圧延材料からプレス等で打ち抜くか、カッター等で
切り出すか、あるいはエッチング等により形成される。
高剛性基板と透明基板とは、熱硬化型樹脂、熱硬化型接
着剤、熱可塑性樹脂、熱可塑性接着剤、あるいは感圧性
両面接着フィルム等により貼り合わせて固着し、所望の
光記録媒体が得られる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的実施形態例
につき、添付図面を参照して説明する。以下の各実施の
形態例で作成された光記録媒体は、図1で示されるよう
に、一主面に光記録層3が形成された透明基板1と高剛
性基板9とを、光記録層3を中間に介して固着した構造
を有する。
【0024】実施の形態例1 本形態例は透明基板1としてt1 =0.6mmのポリカ
ーボネートを、高剛性基板9として各種厚さt2 のSU
S304ステンレスを採用して、光記録媒体を作成した
例である。ポリカーボネートのヤング率E1 は2GP
a、SUS304ステンレスのヤング率E2 は200G
Paである。
【0025】作成された光記録媒体の断面2次モーメン
トとヤング率の積、すなわち曲げ剛性EIの値を図2に
示す。同図は高剛性基板9の厚さt2 をパラメータと
し、標準的な1.2mm厚さのポリカーボネート単板の
断面2次モーメントとヤング率の積EIref でEIをノ
ーマライズした値、すなわち比曲げ剛性を示すものであ
る。図2から明らかなように、t2 =0、すなわち高剛
性基板が無い場合には比曲げ剛性は0.125に減少す
る。したがって、同一荷重に対する反り量は略8倍とな
り、実用に耐える光記録媒体を得ることはできない。
【0026】これに対し、高剛性基板9を固着した場合
にはt2 の増加とともに比曲げ剛性は急激に増加し、t
2 =0.05mm(50μm)のときには高剛性基板9
がない場合の4倍以上、すなわち標準的な1.2mm厚
さのポリカーボネート単板の約半分となり、反り量は2
倍程度に抑制され、ほぼ実用に耐える光記録媒体とな
る。光記録媒体の全厚は、接着材層の厚さは非常に薄い
ので無視すると、0.65mmである。
【0027】さらに高剛性基板9の厚さを増加してゆく
とt2 =0.17mmで比曲げ剛性は1となり、標準的
な1.2mm厚さのポリカーボネート単板とほぼ同等の
反り量にまで抑えられる。この場合の光記録媒体の全厚
は0.77mmであり、標準的な1.2mm厚さのポリ
カーボネート単板と比較して約35%の厚さ低減が可能
となり、光記録システムの小型化の可能性が高まる。
【0028】さらに高剛性基板9の厚さを増加してt2
=0.27mmで比曲げ剛性は標準的な1.2mm厚さ
のポリカーボネート単板の2倍が達成される。この場合
の全厚は0.87mmであり、約25%の厚さ低減とな
るとともに、反り量は半減し、高信頼性の光記録媒体が
得られる。
【0029】つぎに本実施の形態例の光記録媒体の製造
方法に移る。射出成形等により、直径12cm、厚さ
0.6mmの透明基板1をポリカーボネート樹脂等によ
り形成する。このとき透明基板の一主面側にはランド部
やグルーブ部等を同時に転写する。この一主面側に反応
性スパッタリングやスパッタリング等によりSi3 4
等からなる誘電体層、およびTb−Fe−Co等の磁気
光学効果を有する垂直磁化膜からなる記録層3を常法に
準じて形成する。この後同じくSi3 4 等からなるス
ペーサ層、Al金属からなる反射層および紫外線硬化樹
脂等による保護層を順次形成する。本実施の形態例にお
いては、紫外線硬化樹脂等による保護層は形成しなくて
もよい。
【0030】つぎに透明基板1と同一の形状にプレス打
ち抜き形成した高剛性基板9を用意する。高剛性基板9
は、0.02mmから0.3mmまでの各種厚さのもの
を用いた。高剛性基板9は成形後、熱アニールにより残
留歪を除去することが望ましい。また打ち抜きバリが発
生した場合には、予めこれを除去しておくことが望まし
い。
【0031】光記録媒体1の一主面側、あるいは高剛性
基板9の片面にエポキシ樹脂溶液等を薄くスピンコーテ
イング等で塗布し、溶剤を蒸発後、透明基板1と高剛性
基板9を熱圧着し、同時にあるいは熱圧着後に熱硬化す
ることにより、光記録媒体を完成する。エポキシ樹脂の
塗布としてはスピンコーテイングの他にスクリーン印刷
による塗布や、Bステージのプリリレグを用いてもよ
い。貼り合わせした後に残留応力が発生する場合には、
この段階で熱処理を施して平坦性を改善する。高剛性基
板の露出表面には、ラベル印刷等を施してもよい。
【0032】実施の形態例2 本形態例は透明基板1としてt1 =0.6mmのポリカ
ーボネートを、高剛性基板9として各種厚さt2 のAl
系金属を採用して、光記録媒体を作成した例である。A
l系金属はヤング率E2 が70GPaのものを用いた。
形成された光記録媒体の比曲げ剛性を図3に示す。Al
系金属は、SUS304に比較し、ヤング率が約1/3
であるので同じ曲げ剛性値を得るには厚さt2を増加す
る必要がある。例えば比曲げ剛性が1、すなわち標準的
な1.2mm厚さのポリカーボネート単板とほぼ同等の
反り量とするためにはAl系金属の厚さを0.22mm
程度とする必要がある。この場合の光記録媒体の全厚は
0.82mm、標準的な1.2mm厚さのポリカーボネ
ート単板の光記録媒体と比較して約32%の厚さ低減効
果が得られる。
【0033】高剛性基板としてAl系金属を用いた場合
にも、透明基板との貼り合わせはステンレス板と同様で
よい。この場合には、高剛性基板の露出表面の腐食を防
止するためにラベル印刷等を兼ねた樹脂被膜等を形成す
ることが望ましい。Al系金属は、その比重が約2.7
とステンレスの1/3程度である。したがって、光記録
媒体の重量が問題となるような用途、例えば小型低トル
クのモータで光記録媒体を回転駆動する場合、あるいは
回転速度を速やかに切り替える場合等の用途には特に適
した光記録媒体構造である。このような効果は、他の軽
量高剛性金属、例えば比重が約4.5のTi系金属にお
いても同様に得ることができる。
【0034】実施の形態例3 本形態例は透明基板1としてt1 =0.3mmのポリカ
ーボネートを、高剛性基板9として各種厚さt2 のステ
ンレスSUS304を採用して、光記録媒体を作成した
例である。ステンレスSUS304のヤング率E2 は2
00GPaである。
【0035】形成された光記録媒体の比曲げ剛性を図4
に示す。本実施の形態例のように、透明基板の厚さが
0.3mm以下の場合においては、透明基板に由来する
曲げ剛性の値は非常に小さく、貼り合わせ光記録媒体の
曲げ剛性EIの値は、高剛性基板単体の曲げ剛性の値に
近似される。したがって、標準的な1.2mm厚さのポ
リカーボネート単板とほぼ同等の反り量とするために
は、SUS304からなる高剛性基板の厚さを0.24
mm程度とする必要がある。この場合の光記録媒体の全
厚は0.54mm、標準的な1.2mm厚さのポリカー
ボネート単板の光記録媒体と比較して実に55%の厚さ
低減効果が得られる。
【0036】実施の形態例4 本形態例は、透明基板1としてt1 =0.6mmのポリ
カーボネートを採用し、これに各種厚さt2 の高剛性基
板を貼り合わせた場合の光記録媒体の比曲げ剛性(EI
/EIref )を、高剛性基板のヤング率をパラメータと
して検討した。この結果を図5に示す。
【0037】同図から明らかなように、高剛性基板の厚
さの上限としたt2 =0.3mmの高剛性基板を採用し
た場合、標準的な1.2mm厚さのポリカーボネート単
板の光記録媒体と同様の曲げ剛性を得るためには、最低
限20GPa以上のヤング率E2 があればよいことが判
る。
【0038】実施の形態例5 本実施の形態例においては、上述した各実施の形態例に
より形成された光記録媒体に磁界変調記録をおこなう方
法について考察する。
【0039】図1に示される貼り合わせ構造の光記録媒
体に磁界変調記録層をおこなう場合には、光記録媒体の
高剛性基板9側に磁気ヘッドコア12を近接して設ける
とともに、透明基板1側から集光レーザビーム11を光
記録層3に照射する。この場合、磁気ヘッドコア22と
光記録層3との距離、すなわちスペーシングdが拡がる
に従い、光記録層3に印加される磁界は減少する。スペ
ーシングdがある程度大きくなっても充分な磁界を印加
するためには、磁気ヘッドコア12のコア径を大きくす
る必要がある。しかしながら、磁気ヘッドコア12のコ
ア径を大きくするにともない、コイルインダクタンスも
大きくなるので、高周波でのインピーダンスが上昇し、
一般的な磁気ヘッド駆動回路では充分な磁界変調スイッ
チング動作が不可能となる。現在市販されている民生用
の光磁気記録システムであるミニディスク(MD)を例
にとると、最高使用周波数が720kHzと比較的低い
ので、コア径の大きな磁気ヘッドが使用でき、0.5m
m程度のスペーシングでも使用可能である。
【0040】しかし、1MHz以上10MHz程度まで
の高周波での磁界変調記録をおこなうためには、スペー
シングをより狭くする必要がある。このため高剛性基板
の厚さもこの制約を受ける。言うまでもなく、高剛性基
板を磁束が貫くために、非磁性の高剛性基板材料の選択
も必要である。
【0041】一例として、厚さ0.3mmのガラス基板
の一主面に光記録層を形成し、再生面側すなわちガラス
基板の露出側から0.05mm離間した位置に磁気ヘッ
ドコアを配置し、磁気ヘッドコアに0.6Aの電流を印
加した場合、光記録層位置での磁界強度が80(Oe)
であり、実際に945kHzの信号の記録がおこなわれ
ることが報告されている(Technical Dig
est of International Symp
osium on Optical Memory(1
991)、p.53)。この文献中の磁気ヘッドコア
は、コアの中央部に記録再生のレーザビーム光が透過す
るように空隙が設けられているため、電磁変換効率は良
くない。図1に示した各実施の形態例においては、磁気
ヘッドコアは空隙を持たず、電磁変換効率は空隙コアよ
り遙かに良い。したがって、スペーシングdが0.3m
m程度であれば充分に1MHz以上の高周波磁界変調記
録が可能である。
【0042】以上4つの実施の形態例により本発明を説
明したが本発明はこれら実施の形態例になんら限定され
ることはない。例えば、高剛性基板として非磁性のステ
ンレスSUS304とAl系金属を例示したが、他の軽
量高剛性材料、例えばTi合金やMg合金等を使用する
ことができる。Al2 3 やSiC等のセラミックス材
料は、ヤング率と比重の比、すなわち比ヤング率の点か
らは好ましい材料であるが、耐衝撃性の点で取り扱いに
注意が必要である。この場合には、ジルコニア強化セラ
ミックス等、靱性の大きなセラミックスの使用が好まし
い。CD等の再生専用光記録媒体や、相変化追記型等の
光記録媒体では、磁性高剛性基板の使用が可能である。
【0043】透明基板はポリカーボネート樹脂を例示し
たが、PMMAやポリオレフィン等の樹脂を適宜使用可
能である。カー効果やファラデー効果等偏光角の変化を
利用する光磁気記録層を使用する場合には、複屈折の少
ない材料や射出成形法の選択が必要である。ガラス基板
を透明基板として用いる場合には、金属材料からなる高
剛性基板を貼り合わせて使用することは、耐衝撃性向上
の観点からも好ましい。
【0044】本発明は円板状の光ディスクに限らず、矩
形状の薄型光カード等への適用も可能である。
【0045】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の光記録媒体およびその製造方法によれば、光記録媒体
の全厚を低減した上で曲げ剛性を確保できるので、光記
録媒体の反りや変形の発生を防止でき、収差の少ない高
品位の光記録再生が可能となる。また多数の光記録媒体
から構築する光記録システムの小型化にも寄与する。
【0046】また本発明を光磁気記録媒体に適用すれ
ば、特に記録時の高密度化に有利な磁界変調記録が容易
に可能となる。
【0047】さらに光記録媒体の記録層側に高剛性基板
を固着するので、光記録層の保護効果に優れる。また光
記録媒体の片面は高剛性基板の露出表面となるので、こ
こに各種ラベル表示等を施すことも可能で、取り扱い上
や光記録媒体の個別認識等での使い勝手にも優れる。
【0048】透明基板の片面に高剛性基板を貼り合わせ
て固着するだけで製造でき、製造工程は極めて簡単であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態例を適用した光記録媒体
の概略断面および光記録装置の概略構成を示す図であ
る。
【図2】本発明の一実施の形態例を適用した光記録媒体
の、比曲げ剛性を示すグラフである。
【図3】本発明の一実施の形態例を適用した光記録媒体
の、比曲げ剛性を示すグラフである。
【図4】本発明の一実施の形態例を適用した光記録媒体
の、比曲げ剛性を示すグラフである。
【図5】本発明の一実施の形態例を適用した光記録媒体
の、比曲げ剛性を示すグラフである。
【図6】透明基板と高剛性基板との合成梁を示す概略斜
視図である。
【図7】透明基板と補強用樹脂基板を貼り合わせた、従
来例の光記録媒体の概略断面図である。
【図8】磁界変調記録の問題点を示す、光記録媒体の概
略断面および光記録装置の概略構成を示す図である。
【図9】一般的な光磁気記録媒体の概略断面図である。
【符号の説明】
1 透明基板 2 誘電体層 3 光記録層 4 スペーサ誘電体層 5 反射層 6 保護層 7 積層光記録層 8 補強樹脂基板 9 高剛性基板 10 対物レンズ 11 集光レーザビーム 12 磁気ヘッドコア 13 塵埃 d スペーシング

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一主面に光記録層が形成された透明基板
    と、 前記透明基板のヤング率より大きいヤング率を有すると
    ともに、前記透明基板と略同一の平面形状を有し、かつ
    前記透明基板の前記光記録層側に固着された高剛性基板
    と、 を有することを特徴とする、光記録媒体。
  2. 【請求項2】 透明基板の厚さは、0.05mm以上
    1.0mm以下であることを特徴とする、請求項1記載
    の光記録媒体。
  3. 【請求項3】 透明基板の厚さは、0.3mm以上0.
    6mm以下であることを特徴とする、請求項1記載の光
    記録媒体。
  4. 【請求項4】 高剛性基板の厚さは、透明基板の厚さ未
    満であることを特徴とする、請求項1記載の光記録媒
    体。
  5. 【請求項5】 高剛性基板の厚さは、0.02mm以上
    0.3mm未満であることを特徴とする、請求項1記載
    の光記録媒体。
  6. 【請求項6】 高剛性基板のヤング率は、20GPa以
    上であることを特徴とする、請求項1記載の光記録媒
    体。
  7. 【請求項7】 高剛性基板は、非磁性材料からなること
    を特徴とする、請求項1記載の光記録媒体。
  8. 【請求項8】 透明基板の一主面に光記録層を形成する
    工程と、 前記透明基板のヤング率より大きいヤング率を有すると
    ともに、前記透明基板と略同一の平面形状を有する高剛
    性基板を、前記透明基板の前記光記録層側に固着する工
    程と、 を有することを特徴とする、光記録媒体の製造方法。
  9. 【請求項9】 透明基板の厚さは、0.05mm以上
    1.0mm以下であることを特徴とする、請求項8記載
    の光記録媒体の製造方法。
  10. 【請求項10】 透明基板の厚さは、0.3mm以上
    0.6mm以下であることを特徴とする、請求項8記載
    の光記録媒体の製造方法。
  11. 【請求項11】 高剛性基板の厚さは、透明基板の厚さ
    未満であることを特徴とする、請求項8記載の光記録媒
    体の製造方法。
  12. 【請求項12】 高剛性基板の厚さは、0.02mm以
    上0.3mm未満であることを特徴とする、請求項8記
    載の光記録媒体の製造方法。
  13. 【請求項13】 高剛性基板のヤング率は、20GPa
    以上であることを特徴とする、請求項8記載の光記録媒
    体の製造方法。
  14. 【請求項14】 高剛性基板は、非磁性材料からなるこ
    とを特徴とする、請求項8記載の光記録媒体の製造方
    法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6657948B1 (en) * 1999-02-24 2003-12-02 Sharp Kabushiki Kaisha Optical information recording medium

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