JPH091462A - 内周刃砥石 - Google Patents

内周刃砥石

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JPH091462A
JPH091462A JP7147833A JP14783395A JPH091462A JP H091462 A JPH091462 A JP H091462A JP 7147833 A JP7147833 A JP 7147833A JP 14783395 A JP14783395 A JP 14783395A JP H091462 A JPH091462 A JP H091462A
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diameter
grains
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Tsutomu Takahashi
務 高橋
Noriyuki Takaoka
則幸 高岡
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 良好な切れ味を長期間維持できる内周刃砥石
を提供する。 【構成】 薄肉の円環板状をなす台金10と、台金10
の内周縁部の全周に亙って形成された電着砥粒層12と
を具備する。電着砥粒層12は金属めっき相18中に超
砥粒14,16を分散させたものであり、電着砥粒層1
2の少なくとも台金内周端面と対向する領域では超砥粒
14,16が多層状に分散されている。多層状領域内で
は、台金の表面に沿って大径超砥粒14が単層状に配置
されるとともに、それより上層には小径超砥粒16がラ
ンダムに配置されている。大径超砥粒14の平均粒径
は、小径超砥粒16の平均粒径の1.1〜1.4倍であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体インゴット等を
スライスしてウェーハを製造する用途に使用される内周
刃砥石に関し、特に、切れ味の連続性を高めるための改
良に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の内周刃砥石は、図5に示すよう
に、薄肉の円環板状をなす台金1の内周縁の全周に亙っ
て電着砥粒層2を形成するとともに、台金1の外周部に
多数の取付孔3を形成したものである。電着砥粒層2
は、図6に示すように、金属めっき相6によって、ダイ
ヤモンド等の超砥粒4を台金1の内周縁部の内周端面お
よび両側面に単層状または多層状に固着させたものであ
り、一般的なシリコンウェーハ用の内周刃砥石では、台
金1の肉厚が0.1〜0.2mm程度、超砥粒4の平均
粒径は30〜100μm程度、電着砥粒層2の両側面間
の厚さは0.2〜0.6mm程度とされているものが多
い。
【0003】このような内周刃砥石を使用するには、台
金1の外周部を円環状の治具に固定して張り上げ、この
治具を高速回転させつつ、半導体インゴット等の被削材
を内周刃砥石の中心孔に通して電着砥粒層2を被削材に
切り込ませる。これにより、被削材を薄く切断してウェ
ーハを切り出すことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図6に示す
ように台金10の内周端面に超砥粒4を多層状に固着さ
せた場合には、超砥粒を単層状に固着させた場合よりも
砥石寿命の延長が期待できる。しかし、従来の内周刃砥
石では、この刃先の多層状領域内において、超砥粒4が
1層ごとに面L1,L2を境として分かれた層構造をな
して配置される傾向が強いため、インゴット切断により
電着砥粒層2が摩耗していくと、表層部の超砥粒4が一
層分ほぼ同時期に脱落し、次の層の超砥粒4が切刃とし
て十分に突出するまでに時間を要し、その間に切刃密度
が低下して内周刃砥石の切れ味が大幅に低下することが
避けられなかった。このため、切刃密度低下期間には、
被削材にソーマーク(筋状の傷)や欠けが生じたり、内
周刃砥石が暴れ(異常振動)を生じることが多いだけで
なく、目詰まりを生じ易く、バースト(砥石破断)の発
生率も上がる問題があった。
【0005】そこで従来では、切刃密度が低下した場
合、砥石の切れ味を回復させるため、一般砥石を用いて
電着砥粒層2にドレッシング(目立て)を施すことが行
われているが、稼働率が低下して手間がかかるのみなら
ず、ドレッシングによって台金を変形または摩耗させ、
修復不能に陥る場合も少なくなかった。本発明は上記事
情に鑑みてなされたもので、良好な切れ味を長期間維持
できる内周刃砥石を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係る第1の内周刃砥石は、薄肉の円環板状
をなす台金と、この台金の内周縁部の全周に亙って形成
された電着砥粒層とを具備し、前記電着砥粒層は金属め
っき相中に超砥粒を分散させたものであり、前記電着砥
粒層の少なくとも台金内周端面と対向する領域では前記
超砥粒が多層状に分散され、この多層状領域内では、前
記台金の近傍に大径超砥粒が配置されるとともに、これ
ら大径超砥粒より上層には小径超砥粒が配置され、前記
大径超砥粒の平均粒径は、前記小径超砥粒の平均粒径の
1.1〜1.4倍であることを特徴とする。
【0007】また、本発明に係る第2の内周刃砥石は、
薄肉の円環板状をなす台金と、この台金の内周縁部の全
周に亙って形成された電着砥粒層とを具備し、前記電着
砥粒層は金属めっき相中に超砥粒を分散させたものであ
り、前記電着砥粒層の少なくとも台金内周端面と対向す
る領域では前記超砥粒が多層状に分散されており、前記
超砥粒の平均粒径は40〜70μmであり、その粒度分
布は前記平均粒径から±20μmの範囲内に超砥粒の9
5%以上が含まれ、かつ前記平均粒径から±5μmの範
囲内に超砥粒の30〜60%が含まれる分布であること
を特徴とする。
【0008】
【作用】本発明に係る第1の内周刃砥石によれば、電着
砥粒層の多層状領域内において台金の近傍に大径超砥粒
を配置するとともに、これら大径超砥粒より上層に小径
超砥粒を配置しているので、大径超砥粒同士の間隙に小
径超砥粒の一部がはまりこんだ状態となり、小径超砥粒
の配置が乱れて層状に揃うことはない。したがって、表
層部の小径超砥粒が脱落しても様々な位置に配置された
他の小径超砥粒または大径超砥粒が次々と露出して切刃
となるため、切断経過に伴う切刃密度の変動が少なく、
切れ味の安定性および連続性を高めることができる。
【0009】また、本発明に係る第2の内周刃砥石によ
れば、電着砥粒層に含まれる超砥粒の平均粒径が40〜
70μm、その粒度分布は平均粒径から±20μmの範
囲内に超砥粒の95%以上が含まれ、かつ平均粒径から
±5μmの範囲内に超砥粒の30〜60%が含まれる分
布であるから、電着砥粒層中では大小さまざまな寸法の
超砥粒が入り乱れて乱雑に配置されている。このため、
超砥粒の配置が乱れて層状に揃うことはなく、表層部の
超砥粒が脱落しても様々な位置に配置された他の超砥粒
が次々と露出して切刃となるため、切断経過に伴う切刃
密度の変動が少なく、切れ味の安定性および連続性を高
めることができる。
【0010】
【実施例】図1は、本発明に係る内周刃砥石の電着砥粒
層を示す断面拡大図である。この内周刃砥石は、薄肉の
円環板状をなす台金10と、この台金10の内周縁部の
全周に亙って形成された電着砥粒層12とを具備してい
る。台金10の形状等は従来と同じでよい。電着砥粒層
12は、金属めっき相18中に超砥粒14,16を分散
させたもので、電着砥粒層12の少なくとも台金内周端
面と対向する領域(先端領域)では超砥粒14,16が
多層状に分散されている。この多層状領域内では、台金
10の表面に沿って大径超砥粒14がほぼ単層状に配置
されるとともに、これら単層状に配置された大径超砥粒
14の上には、乱雑な配置状態で小径超砥粒16が配置
されている。
【0011】大径超砥粒14の平均粒径は小径超砥粒1
6の平均粒径の1.1〜1.4倍、より好ましくは1.
1〜1.3倍とされている。大径超砥粒14と小径超砥
粒16との平均粒径差が大きい程、小径超砥粒16の配
置が乱雑になって好ましいが、小径超砥粒16の平均粒
径には一般的な下限があるため、その1.4倍以上にす
ると大径超砥粒14が大きすぎて被削材にチッピング、
割れ等の加工損傷が生じやすくなる。なお、この実施例
では、大径超砥粒14は小径超砥粒16が脱落した時点
で徐々に突出してくるので、小径超砥粒16の1.4倍
までに平均粒径を大きくした程度であれば、被削材に加
工損傷を生じることはない。
【0012】また、小径超砥粒16の粒径分布は、通常
の超砥粒の粒度分布(平均粒径±10μmに約95%が
含まれる)よりも広い分布とされていることが好まし
い。具体的には、前記平均粒径から±20μmの範囲内
に小径超砥粒16の総数の95%以上が含まれ、かつ前
記平均粒径から±5μmの範囲内に30〜60%が含ま
れる分布とされているとよい。このように小径超砥粒1
6の粒度分布を通常より広げた場合には、小径超砥粒1
6の配置の乱雑性をさらに向上でき、本発明の効果が一
層顕著になる。
【0013】金属めっき相18としては、Ni,Co,
Cuまたはこれらの合金などが使用でき、大径超砥粒1
4および小径超砥粒16としてはダイヤモンドまたはC
BN等が使用可能である。ただし、必要であればその他
の材質を使用してもよい。台金10の厚さは限定されな
いが、一般的には0.05〜0.2mm程度とされる。
超砥粒14,16の平均粒径は限定されないが、一般的
なシリコンウェーハ製造用では、大径超砥粒14の平均
粒径は50〜100μm、より好ましくは50〜70μ
m、小径超砥粒16の平均粒径は40〜70μm、より
好ましくは40〜60μmとされる。
【0014】このような内周刃砥石を製造するには、ま
ず図2に示すように、台金10と同程度の内径を有する
円環状のスペーサSを、複数の台金10と交互に同心状
に重ねたうえ、めっき装置(図示略)にセットし、台金
10の内周側に気密的な空間を形成する。スペーサSの
両側面の内周部には、全周に亙って切欠段部20が形成
されており、台金10の内周部の両側面と切欠段部20
の側面20Aとの間には、一定幅の間隙が開くようにな
っている。
【0015】次に、台金10およびスペーサSの内側に
形成された気密的な空間内に、大径超砥粒14のみが添
加された電解めっき液を注入し、台金10およびスペー
サS全体を低速で回転させながら、この空間の中央部に
配置された陽極(図示略)を電源陽極に接続するととも
に、各台金10を電源陰極に接続し、台金10の内周縁
部に第1金属めっき相18Aを析出させ、その中に大径
超砥粒14をほぼ単層状に取り込ませる。
【0016】図2に示すように大径超砥粒14を単層状
に固着できたら、台金10およびスペーサSの内側に形
成された気密的な空間から、電解めっき液とともに大径
超砥粒14を排出し、新たに小径超砥粒16が添加され
た電解めっき液を注入する。そして、前記同様に台金1
0およびスペーサS全体を低速で回転させながら、この
空間の中央部に配置された陽極(図示略)を電源陽極に
接続するとともに、各台金10を電源陰極に接続し、第
1金属めっき相18A上にさらに金属を析出させつつ小
径超砥粒16と取り込ませ、金属めっき相18を形成す
る。この場合、切欠段部20の側面20Aと台金10の
側面との離間量を小さくすると、金属めっき相18の析
出量は間隙の奥へ行くほど小さくなる傾向を増すから、
前記離間量の調整により金属めっき相18の断面形状を
コントロールすることが可能である。必要であれば、電
着砥粒層12を形成した後に、トルーイングまたはドレ
ッシング(目立て)を行ってもよい。
【0017】上記構成からなる内周刃砥石によれば、電
着砥粒層12の多層状領域内において台金10の近傍に
大径超砥粒14を配置するとともに、これら大径超砥粒
14より上層に小径超砥粒16を配置しているので、下
層の大径超砥粒14同士の間隙に小径超砥粒16の一部
がはまりこんだ状態となり、小径超砥粒16の配置状態
が乱れて層状に揃うことはない。したがって、表層部の
小径超砥粒16が脱落しても様々な位置に配置された他
の小径超砥粒16または大径超砥粒14が次々とランダ
ムに露出して切刃となるため、切断経過に伴う切刃密度
の変動が少なく、切れ味の安定性および連続性を高める
ことができる。
【0018】また、台金10の表面に沿って配置された
大径超砥粒14は金属めっき相18により強く保持され
て脱落しにくいため、小径超砥粒16が脱落して大径超
砥粒14が切断に関与し始めると、その時点からは刃痩
せのスピードが遅くなり、インゴットと台金とのクリア
ランスの減少速度が鈍る。したがって、ある程度刃痩せ
が進行した状態でも目詰まりが生じにくく、切り粉排出
性が高く、インゴットとの接触も起こりにくいから、こ
の点からも切断安定および砥石寿命の増大が図れる。
【0019】[第2実施例]図4は本発明の第2実施例
を示している。第1実施例では下層に大径超砥粒14、
上層に小径超砥粒16を分別して配置していたが、この
実施例では、使用する超砥粒24,26の粒度分布を極
めて広くすることにより、相対的に大きい超砥粒24と
相対的に小さい超砥粒26とを混在させ、超砥粒配置の
乱雑さを増大させたことを特徴としている。第1実施例
と同様の構成要素には同一符号を伏して説明を省略す
る。
【0020】この実施例の電着砥粒層12では、少なく
とも台金内周端面と対向する領域で超砥粒24,26が
多層状かつランダムに分散されている。超砥粒24,2
6は相対的に大きい超砥粒24と相対的に小さい超砥粒
26との2種類を混合したものであっても良いが、これ
らの中間のさまざまな粒径を有する超砥粒を含むもので
あってもよい。
【0021】超砥粒24,26を混合した状態での平均
粒径は40〜70μmとされ、その粒度分布は、前記平
均粒径から±20μmの範囲内に超砥粒24,26の総
数の95%以上が含まれ、かつ前記平均粒径から±5μ
mの範囲内に超砥粒24,26の30〜60%が含まれ
る分布とされている。平均粒径が40μmより小さいと
超砥粒が小さすぎて切断性能が低下し、70μmより大
きいと被削材にチッピングやソーマークが生じやすくな
る。平均粒径から±20μmの範囲内に超砥粒24,2
6の総数の95%以上が含まれていない場合には、極端
に小さい超砥粒や極端に大きい超砥粒が混在することに
なり、切断に関与しない極端に小さい超砥粒が増えて超
砥粒の活用度が低下したり、極端に大きい超砥粒によっ
て被削材にチッピングやソーマークが生じるなどの弊害
が起きる。平均粒径から±5μmの範囲内に超砥粒2
4,26の30%未満しか含まれない場合にも、切断に
関与しない極端に小さい超砥粒が増えて超砥粒の活用度
が低下したり、極端に大きい超砥粒によって被削材にチ
ッピングやソーマークが生じるなどの弊害が起きる。さ
らに、平均粒径から±5μmの範囲内に超砥粒24,2
6の60%より多くが含まれる場合には、超砥粒24,
26をランダムにする効果が得られ難くなる。
【0022】このような内周刃砥石を製造するには、先
の図2に示した状態において、台金10およびスペーサ
Sの内側に形成された気密的な空間内に、超砥粒24,
26が添加された電解めっき液を注入し、台金10およ
びスペーサS全体を低速で回転させながら、この空間の
中央部に配置された陽極を電源陽極に接続するととも
に、各台金10を電源陰極に接続し、台金10の内周縁
部に金属めっき相18を析出させ、その中に超砥粒2
4,26をランダムに取り込ませればよい。この場合に
も、切欠段部20の側面20Aと台金10の側面との離
間量を小さくすると、金属めっき相18の析出量は間隙
の奥へ行くほど小さくなる傾向を増すから、前記離間量
の調整により金属めっき相18の断面形状をコントロー
ルすることが可能である。必要であれば、電着砥粒層1
2を形成した後に、トルーイングまたはドレッシングを
行ってもよい。
【0023】上記構成からなる内周刃砥石によれば、電
着砥粒層12に含まれる超砥粒24,26の平均粒径お
よび粒度分布が前記のように設定されているから、電着
砥粒層12中では大小さまざまな寸法の超砥粒24,2
6が入り乱れて乱雑に配置されている。このため、超砥
粒24,26が層状に揃うことはなく、表層部の超砥粒
24,26が脱落しても様々な位置に配置された他の超
砥粒24,26が次々と露出して切刃となるため、切断
経過に伴う切刃密度の変動が少なく、切れ味の安定性お
よび連続性を高めることができる。
【0024】なお、本発明に係る内周刃砥石は、図示の
例のみに限定されるものではなく、電着砥粒層12の断
面形状などは適宜変更して良い。また、必要に応じては
電着砥粒層12内に他の潤滑性粒子や硬質粒子等のフィ
ラーを添加し、それに応じた効果を得るようにしても良
い。
【0025】
【実験例】本発明の効果を実証するため、図1(実験例
1)、図4(実験例2)および図6(比較例)に示す構
造の内周刃砥石をそれぞれ10枚づつ作製して、外径6
インチのシリコンインゴットの切断試験を行い、400
〜600枚切断時のソリ、ソーマーク、欠け、台金破断
の発生率を比較した。各砥石の寸法等および実験条件は
以下の通りである。
【0026】 (共通寸法等) 台金外径:690mm 台金内径:240mm 砥粒層の台金半径方向の幅:3mm 台金厚さ:0.130mm 砥粒:ダイヤモンド(平均粒径:58μm) 砥粒集中度:160 金属めっき相材質:Ni 電着砥粒層の両側面間の最大厚さ(刃厚):0.300mm
【0027】(比較例)前記台金の内周縁に、スルファ
ミン酸ニッケルめっき液(中濃度液)と、平均粒径(5
8μm)±10μmに98%の砥粒が含まれる粒度分布
を有するダイヤモンド砥粒を用いて、電着砥粒層を形成
した。電着終了時点での砥粒層の側面厚さT1=0.1
10mmとした。この電着砥粒層の両側面をWA#40
0の砥石でツルーイングし、刃厚0.300mm、砥粒
層の側面厚さT1=0.085mmとした。金属結合材
相の硬さはHv250であった。
【0028】(実験例1)前記台金の内周縁に、比較例
と同じめっき液を使用し、平均粒径が65μmで平均粒
径±10μmに97%の砥粒が含まれる粒度分布を有す
るダイヤモンド砥粒を用いて、下層となる電着砥粒層を
単層状に形成した。次に、Niめっき液を交換し、平均
粒径55μmで、平均粒径±10μmに97.5%の砥
粒が含まれる粒度分布を有するダイヤモンド砥粒を用い
て、前記下層電着層上に、上層となる電着砥粒層を形成
した。電着終了時点での砥粒層の側面厚さT1=0.1
12mmとした。この砥石の両側面をWA#400の砥
石でツルーイングし、刃厚0.301mm、側面での砥
粒層の厚さが0.086mmとした。金属結合材相の硬
さはHv250であり、砥粒層全体の平均粒径は58μ
mである。
【0029】(実験例2)前記台金の内周縁に、平均粒
径(58μm)±20μmに99%の砥粒が含まれ、か
つ平均粒径±5μmに50%の砥粒が含まれる粒度分布
を有するダイヤモンド砥粒層を用いた点以外は、比較例
と同じ工程で、比較例と同寸法の内周刃砥石を得た。
【0030】 (切断条件) 周速:1150m/min 被削材:6インチ径シリコンインゴット 切り込み速度:50mm/min 切断ピッチ:1100μm 切削水:純水 初期張り上げ量:1400μm 得られた結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】表1から明らかなように、実施例1,2の
砥石では比較例の砥石に比して、反り発生率、ソーマー
ク発生率、シリコンウェハの欠け発生率、および砥石破
断率がいずれも低く、安定した切断が行えた。
【0033】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明に係る第1
の内周刃砥石においては、電着砥粒層の多層状領域内に
おいて台金の近傍に大径超砥粒を配置するとともに、こ
れら大径超砥粒より上層に小径超砥粒を配置しているの
で、大径超砥粒同士の間隙に小径超砥粒の一部がはまり
こんだ状態となり、小径超砥粒の配置が乱れて層状に揃
うことはない。したがって、表層部の小径超砥粒が脱落
しても様々な位置に配置された他の小径超砥粒または大
径超砥粒が次々と露出して切刃となるため、切断経過に
伴う切刃密度の変動が少なく、切れ味の安定性および連
続性を高めることができる。
【0034】また、本発明に係る第2の内周刃砥石にお
いては、電着砥粒層に含まれる超砥粒の平均粒径が40
〜70μm、その粒度分布は平均粒径から±20μmの
範囲内に超砥粒の95%以上が含まれ、かつ平均粒径か
ら±5μmの範囲内に超砥粒の30〜60%が含まれる
分布であるから、電着砥粒層中では大小さまざまな寸法
の超砥粒が入り乱れて乱雑に配置されている。このた
め、超砥粒が層状に揃うことはなく、表層部の超砥粒が
脱落しても様々な位置に配置された他の超砥粒が次々と
露出して切刃となるため、切断経過に伴う切刃密度の変
動が少なく、切れ味の安定性および連続性を高めること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内周刃砥石の第1実施例の断面拡
大図である。
【図2】第1実施例の内周刃砥石の製造方法を示す断面
拡大図である。
【図3】第1実施例の内周刃砥石の製造方法を示す断面
拡大図である。
【図4】本発明の第2実施例の断面拡大図である。
【図5】一般的な内周刃砥石の正面図である。
【図6】従来の内周刃砥石の断面拡大図である。
【符号の説明】
10 台金 12 電着砥粒層 14 大径超砥粒 16 小径超砥粒 18 金属めっき相 18A 第1金属めっき相 20 切欠段部 20A 側面 24,26 超砥粒 S スペーサ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】薄肉の円環板状をなす台金と、この台金の
    内周縁部の全周に亙って形成された電着砥粒層とを具備
    し、前記電着砥粒層は金属めっき相中に超砥粒を分散さ
    せたものであり、前記電着砥粒層の少なくとも台金内周
    端面と対向する領域では前記超砥粒が多層状に分散さ
    れ、この多層状領域内では、前記台金の近傍に大径超砥
    粒が配置されるとともに、これら大径超砥粒より上層に
    は小径超砥粒が配置され、前記大径超砥粒の平均粒径
    は、前記小径超砥粒の平均粒径の1.1〜1.4倍であ
    ることを特徴とする内周刃砥石。
  2. 【請求項2】前記小径超砥粒の粒径分布は、前記平均粒
    径から±20μmの範囲内に小径超砥粒の95%以上が
    含まれ、かつ前記平均粒径から±5μmの範囲内に小径
    超砥粒の30〜60%が含まれる分布であることを特徴
    とする請求項1記載の内周刃砥石。
  3. 【請求項3】薄肉の円環板状をなす台金と、この台金の
    内周縁部の全周に亙って形成された電着砥粒層とを具備
    し、前記電着砥粒層は金属めっき相中に超砥粒を分散さ
    せたものであり、前記電着砥粒層の少なくとも台金内周
    端面と対向する領域では前記超砥粒が多層状に分散され
    ており、前記超砥粒の平均粒径は40〜70μmであ
    り、その粒度分布は前記平均粒径から±20μmの範囲
    内に超砥粒の95%以上が含まれ、かつ前記平均粒径か
    ら±5μmの範囲内に超砥粒の30〜60%が含まれる
    分布であることを特徴とする内周刃砥石。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS51100390A (ja) * 1975-03-01 1976-09-04 Ogura Jewel Industry Co Ltd Setsudantoishi
JPS53133288U (ja) * 1977-03-29 1978-10-21

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