JPH09145376A - 地磁気方位センサ - Google Patents

地磁気方位センサ

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Publication number
JPH09145376A
JPH09145376A JP7311422A JP31142295A JPH09145376A JP H09145376 A JPH09145376 A JP H09145376A JP 7311422 A JP7311422 A JP 7311422A JP 31142295 A JP31142295 A JP 31142295A JP H09145376 A JPH09145376 A JP H09145376A
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JP
Japan
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sensor
geomagnetism
ferromagnetic
magnetic field
geomagnetic
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Withdrawn
Application number
JP7311422A
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English (en)
Inventor
Kazuhiro Shinoda
和宏 篠田
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
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Publication of JPH09145376A publication Critical patent/JPH09145376A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実用的な感度及び高い方位精度を有し、しか
も小型化且つ精細化が可能である地磁気方位センサを提
供する。 【解決手段】 製造時において、各強磁性体コアK1
2 ,K3 ,K4 に、地磁気の入力により当該各強磁性
体コアK1 ,K2 ,K3 ,K4 内に誘起される磁界の向
きと同方向(各矢印で示す)の磁気異方性を与える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気抵抗効果素子
を用いた地磁気方位センサに関するものであり、特に強
磁性体コアと組み合わせて高感度化を図った新規な地磁
気方位センサに関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、カラー陰極線管では、電子銃か
ら出射された電子ビームの軌道が、地磁気により曲げら
れ、蛍光面上でのビーム到達位置(ランディング)が変
化することがある。特に高精細度陰極線管においては、
ランディング余裕度が小さいために、上記ランディング
の変化(位置ずれ)が色純度の劣化等の問題を引き起こ
す。
【0003】これを補正するために、通常、ランディン
グ補正コイルが陰極線管に取り付けられており、このラ
ンディング補正コイルに地磁気の方位に応じて自動的に
ランディング補正に必要な最適電流を流すことにより、
電子ビームの軌道を制御してミスランディングを防止す
るようにしている。
【0004】したがって、前記ランディング補正に際し
ては、地磁気の方位を正確に検出する必要があり、いわ
ゆる地磁気方位センサが使用されている。
【0005】あるいは、従来から用いられてきた磁石式
の方位計(磁気コンパス)の代替として、携帯型の方位
計としても地磁気方位センサが使用されている。
【0006】上述のように、地磁気方位センサは、様々
な用途に使用されるが、その代表的な構造としては、い
わゆるフラックスゲート型のものと、磁気抵抗効果型
(MR型)のものが知られている。
【0007】フラックスゲート型の地磁気方位センサ
は、図12に示すように、パーマロイコア101に電気
信号出力用コイル102と励磁用コイル103を巻回し
てなるもので、地磁気を前記パーマロイコアで集束し、
これを電気信号出力用コイル102に伝えるような構造
とされている。
【0008】そして、このフラックスゲート型の地磁気
方位センサでは、励磁コイル103により交流バイアス
磁界HBをパーマロイコア101中に発生させ、バイア
ス磁界が反転したときに発生するパルス状の電圧を信号
として検出する。このパルス状電圧の電圧値は、地磁気
の方位によって変化するので、地磁気センサとして利用
することができる。
【0009】しかしながら、このフラックスゲート型の
地磁気方位センサは、コイルにより地磁気を電気信号に
変換するため、感度を上げるためには電気信号出力用コ
イル102の巻き数を極めて多くしたり、集束効果を高
めるためにパーマロイコア101の形状を大きくする必
要がある。したがって、小型化や低価格化は難しい。
【0010】一方、MR型の地磁気方位センサは、図1
3に示すように、磁気抵抗効果素子(MRセンサ)11
1を備えたMRセンサチップ110を空心コイル112
の中に入れ、これらMRセンサチップ110に対して4
5゜方向の交流バイアス磁界HBを印加してなるもので
ある。等価回路を図14に示す。地磁気方位センサとし
て使用する場合には、図13に示す構造のものを空心コ
イルの巻回方向が直交するするように1組使用する。
【0011】このMR型の地磁気方位センサは、磁気抵
抗効果素子を使用しているため、フラックスゲート型の
地磁気方位センサに比べて感度が高いが、MRセンサチ
ップ110のみで地磁気を感知しているため、0.3ガ
ウス程度の地磁気の方位を検出するには不十分である。
【0012】また、このMR型の地磁気方位センサで
は、MRセンサチップ110に対して45゜方向のバイ
アス磁界HB を加えていること、感度向上のためにMR
カーブを無理に急峻なものとしていることから、MR特
性にヒステリシスを持っており、これを解消するために
信号処理用回路が複雑なものとなったり、方位精度が±
10゜と悪い等の不都合を有する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来知
られる地磁気方位センサでは、感度の点で不満を残して
おり、また小型化、低価格化も難しい。
【0014】そこで本発明は、かかる従来の実情に鑑み
て提案されたもので、実用的な感度及び高い方位精度を
効率よく実現することができ、しかも小型化且つ精細化
が可能である地磁気方位センサを提供することを目的と
する。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の地磁気方位セン
サは、地磁気を強磁性体コアで集束することにより大き
な磁束密度に変換し、これをコア間のギャップ内に配置
した磁気抵抗効果型素子(以下、単にMRセンサと記
す。)で検出するものである。
【0016】本発明の地磁気方位センサは、所定のギャ
ップをもって周方向に配列されてなる地磁気を集束する
複数の強磁性体コアと、上記ギャップにおける磁界方向
に対して略直交するようにギャップ内に配されてなるM
Rセンサと、上記強磁性体コアに巻回されてバイアス電
流の供給により上記MRセンサにバイアス磁界を印加す
る励磁用コイルとを有し、これら強磁性体コア、MRセ
ンサ及び励磁用コイルが薄膜形成技術により基板上に形
成されてなるとともに、各強磁性体コアがそれぞれ地磁
気の入力により当該各強磁性体コア内に誘起される磁界
の向きと同方向の磁気異方性を有して構成される。
【0017】この地磁気方位センサにおいては、強磁性
体コアに巻回された励磁用コイルにバイアス電流IB
流すことによってバイアス磁界HB を発生させ、MRセ
ンサを磁界感度が高く且つ直線性(リニアリティ)の良
いところで使用する。なお、バイアス電流IB は、交流
電流であってもよいし、直流電流であってもよい。
【0018】上記MRセンサを交流バイアスで使用した
場合、方位信号(低周波数)を交流信号(高周波数)に
重畳した電気信号として取り出すことができるため、M
Rセンサにより発生するオフセット及び温度ドリフト等
のノイズ成分をハイパスフィルタ(HPF)等による回
路処理で取り除くことができ、高方位精度を得ることが
できる。
【0019】本発明においては、上記MRセンサは、互
いに直交するX軸方向とY軸方向での出力を得るため、
少なくとも2箇所に互いに直交するように成膜する。好
ましくは、等角度間隔(90゜間隔)で4つのMRセン
サを成膜する。
【0020】一方、強磁性体コアは、上記MRセンサの
配置に応じて等角度間隔(例えば90゜間隔)でギャッ
プを有し、且つ閉磁路を構成するように、閉ループ形状
に成膜する。このとき、強磁性体コアの配列状態は、9
0゜回転させても対称となる構造とすることが好まし
く、具体的には、正方形状、或は円環状に成膜する。
【0021】また、上記強磁性体コアにはパーマロイ等
の、高透磁率、高飽和磁束密度を有する軟磁性材(いわ
ゆるソフト材)を用い、バイアス磁界の印加と地磁気の
集束に利用する。
【0022】本発明においては、薄膜成膜工程(真空蒸
着、スパッタリング等)とフォトエッチング工程とから
なる薄膜形成技術により強磁性体コア、MRセンサ、励
磁用コイル、及び層間絶縁層を形成することが好適であ
る。
【0023】上記地磁気方位センサを作製するに際し
て、また、各強磁性体コアに地磁気の入力により当該各
強磁性体コア内に誘起される磁界の向きと平行な方向の
磁気異方性を与える場合には、閉ループ形状に強磁性体
コア薄膜を成膜形成した後に、この強磁性体コア薄膜に
上記磁気異方性を与える。そして、当該強磁性体コア薄
膜に各ギャップを形成して各強磁性体コアを分離形成
し、各強磁性体コア間に形成されたギャップ内にMRセ
ンサを成形成膜する。
【0024】また他の手法としては以下に示すものが好
適である。すなわち、先ず、非磁性基板上にそれぞれ各
種層間絶縁層を介して各強磁性体コアを各ギャップをも
って成膜形成し、ギャップ内にMRセンサを成形成膜す
る。そして、各強磁性体コアに地磁気の入力により当該
各強磁性体コア内に誘起される磁界の向きと直交する方
向に所定の強い電流を供給する。
【0025】本発明の地磁気方位センサにおいて、強磁
性体コアは、バイアス磁界の磁路を構成するとともに、
地磁気を集束するいわゆる集束ホーンとして機能する。
その結果、互いに直交するMRセンサに加わる地磁気の
総量は、それぞれ地磁気とMRセンサのなす角度に応じ
て決まり、各MRセンサから強磁性体コアにより構成さ
れる閉磁路の中心を通る地磁気線に直角に引いた線に比
例する。
【0026】さらに、上記地磁気方位センサにおいて
は、強磁性体コア、MRセンサ、及び励磁用コイル、並
びに層間絶縁層がそれぞれ薄膜形成技術により基板上に
形成されている。この場合、例えば基板上に成膜された
MRセンサに対し、強磁性体コアに巻線を施して励磁用
コイルを巻回したバルク部を組み合わせて作製される地
磁気方位センサ等と比較して、調整点が少なく、動作特
性が極めて安定化する。
【0027】それに加えて、上記地磁気方位センサにお
いては、上述のように、各強磁性体コアがそれぞれ地磁
気の入力により当該各強磁性体コア内に誘起される磁界
の向きと同方向の磁気異方性を有するために、各強磁性
体コアが磁気異方性を有しない場合のように地磁気の入
力時に当該各強磁性体コア内の磁界方向を揃える必要が
なく、各強磁性体コアによる各MRセンサへの地磁気の
印加効率が向上するとともに、駆動電力を低減化させる
ことが可能となる。
【0028】したがって、上記地磁気方位センサにおい
ては、高精度をもって小型化することが可能となるとと
もに、地磁気が効率よくMRセンサへ磁気信号として供
給されて高方位精度が得られることになる。
【0029】
【発明に実施の形態】以下、本発明を適用した具体的な
実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明す
る。
【0030】図1は、本発明を適用した地磁気方位セン
サの基本構造の一例を示すものである。本実施例の地磁
気方位センサは、パーマロイ等の軟磁性材からなる4つ
の円弧状の強磁性体コアK1 ,K2 ,K3 ,K4 を円環
状に組み合わせ、90゜間隔でギャップG1 ,G2 ,G
3 ,G4 を形成するように配するとともに、これらギャ
ップG1 ,G2 ,G3 ,G4 内にそれぞれMRセンサM
1 ,M2 ,M3 ,M4を配置してなるものである。
【0031】前記各強磁性体コアK1 ,K2 ,K3 ,K
4 には、それぞれ励磁用コイルC1,C2 ,C3 ,C4
が巻回され、ギャップG1 ,G2 ,G3 ,G4 中に配置
される各MRセンサM1 ,M2 ,M3 ,M4 に対してバ
イアス磁界HB をほぼ直角に印加するように形成されて
いる。なお、各MRセンサM1 ,M2 ,M3 ,M4 は、
各ギャップG1 ,G2 ,G3 ,G4 内に成膜する形で形
成されており、したがって、各MRセンサM1 ,M2
3 ,M4 の膜面に対してほぼ平行にバイアス磁界HB
が印加される。
【0032】そして特に、本実施例においては、Si、
セラミック,或はガラス等の非磁性材料よりなる基板1
上に、MRセンサM1 ,M2 ,M3 ,M4 、強磁性体コ
アK1 ,K2 ,K3 ,K4 、及び励磁用コイルC1 ,C
2 ,C3 ,C4 等が全てそれぞれ薄膜形成技術により成
膜形成されている。
【0033】具体的には、図2(図1に示す線分A−
A’による断面図)に示すように、上記基板1上に層間
絶縁層2が形成され、この層間絶縁層2上に幅狭の下層
導体層3が略々等間隔をもって放射状に形成されてい
る。
【0034】この下層導体層3上には層間絶縁層4及び
平坦化層5が順次形成され、この平坦化層5上に各強磁
性体コアK1 ,K2 ,K3 ,K4 (ここでは強磁性体コ
アK1 ,K2 )が形成されている。
【0035】そして、各強磁性体コアK1 ,K2
3 ,K4 から下層の層間絶縁層4,平坦化層5,及び
下層導体層3にかけて当該下層導体層3の両端部を除い
て層間絶縁・平坦化層6が形成され、この層間絶縁・平
坦化層6上に幅狭の上層導体層7が下層導体層3の両端
部と接続されるように形成されている。
【0036】すなわち、上層導体層7は、その各端部が
それぞれ隣接する下層導体層3の一方の前端部及び他方
の後端部と接続され、これら各下層導体層3と各上層導
体層7とが一体化されて励磁用コイルC1 ,C2
3 ,C4 が一体形成されている。なお、励磁用コイル
1 ,C2 ,C3 ,C4 の各端部はそれぞれ端子12,
13と接続されている。
【0037】ここで特に、本実施の形態においては、各
強磁性体コアK1 ,K2 ,K3 ,K4 に、図3に示すよ
うに、地磁気の入力により当該各強磁性体コアK1 ,K
2 ,K3 ,K4 内に誘起される磁界の向きと同方向(各
矢印で示す)の磁気異方性が与えられている。
【0038】例えば図4に示すように、各強磁性体コア
1 ,K2 ,K3 ,K4 が各矢印で示すように上記磁気
異方性を有しない場合、地磁気の入力により各強磁性体
コアK1 ,K2 ,K3 ,K4 内における磁界の向きが同
方向に揃い、その後に各強磁性体コアK1 ,K2
3 ,K4 から各MRセンサM1 ,M2 ,M3 ,M4
対して地磁気を集束した磁界が印加される。したがっ
て、ヒステリシスが生じ、地磁気の印加効率の点で問題
がある。
【0039】それに対して、上記地磁気方位センサにお
いては、予め各強磁性体コアK1 ,K2 ,K3 ,K4
上記磁気異方性が与えられているために、各強磁性体コ
アK1 ,K2 ,K3 ,K4 内における磁界の向きを同方
向に揃わせる必要がない。そのため、当該各強磁性体コ
アK1 ,K2 ,K3 ,K4 の地磁気の印加効率が向上し
各強磁性体コアK1 ,K2 ,K3 ,K4 の飽和磁界Hc
が低減するとともに、駆動電力を低減化させることが可
能となる。
【0040】したがって、上記地磁気方位センサにおい
ては、高精度をもって小型化することが可能となるとと
もに、地磁気が効率よくMRセンサM1 ,M2 ,M3
4へ磁気信号として供給されて高方位精度が得られる
ことになる。
【0041】また、当該地磁気方位センサの製造時にお
いて、フォトエッチング工程の際に所望のパターニング
を正確に行うことを考慮して、各強磁性体コアK1 ,K
2 ,K3 ,K4 の内周縁部Cin及び外周縁部Cout の近
傍において当該各強磁性体コアK1 ,K2 ,K3
4 、上層導体層7、及び各層間絶縁層(層間絶縁層
4,平坦化層5,及び層間絶縁・平坦化層6)が内周縁
部Cin及び外周縁部Cout に向かうにつれて徐々に膜厚
が減少するように、ここではテーパ状に形成することが
好ましい。
【0042】ここでは、ギャップG1 ,G2 ,G3 ,G
4 に臨む強磁性体コアK1 ,K2 ,K3 ,K4 の各端部
の近傍である対向面aの形状がそれぞれ当該端部に向か
うにつれて徐々に膜厚が減少するように、ここではテー
パ状に形成されている。
【0043】そして、各強磁性体コアK1 ,K2
3 ,K4 が成膜されることにより形成された所定幅の
各ギャップG1 ,G2 ,G3 ,G4 内(ここではギャッ
プG2 内)に各MRセンサM1 ,M2 ,M3 ,M4 (こ
こではMRセンサM2 )が成膜されている。すなわち、
各MRセンサM1 ,M2 ,M3 ,M4 が層間絶縁層2中
に埋設されて上記地磁気方位センサが構成されている。
【0044】ここで、上記地磁気方位センサを作製する
に際しては、MRセンサM1 ,M2,M3 ,M4 、強磁
性体コアK1 ,K2 ,K3 ,K4 、及び励磁用コイルC
1 ,C2 ,C3 ,C4 、及び各層間絶縁層(層間絶縁層
4,平坦化層5,及び層間絶縁・平坦化層6)を全て薄
膜成膜工程(真空蒸着、スパッタリング等)とフォトエ
ッチング工程とからなる薄膜形成技術により積層形成す
る。
【0045】すなわち、先ず薄膜成膜工程において、例
えばスパッタ法により所定の材料を用いて薄膜を成膜す
る。
【0046】続いて、フォトエッチング工程において、
先ずこの薄膜上にフォトレジストを塗布してレジスト層
を形成し、このレジスト層上に光を照射して所望のパタ
ーンを有するフォトマスクに倣った露光を施す。その
後、上記レジスト層に現像を施すことにより、所望のパ
ターンを有するレジストマスクが上記薄膜上に形成され
る。
【0047】そして、上記薄膜にエッチングを施すこと
により、このレジストマスクのパターンに倣った形状を
もつ上記各薄膜層が形成されることになる。
【0048】ここで特に、各強磁性体コアK1 ,K2
3 ,K4 を形成するに際しては、先ず、図5に示すよ
うに、所定の閉ループ形状、ここでは略々ドーナツ形状
に強磁性体コア薄膜21を上述の手法により成膜形成す
る。
【0049】次いで、この強磁性体コア薄膜21に図5
中の各矢印で示すように上記磁気異方性を与えた後に、
当該強磁性体コア薄膜21に各ギャップG1 ,G2 ,G
3 ,G4 を形成して各強磁性体コアK1 ,K2 ,K3
4 を分離形成する。
【0050】ここで、各ギャップG1 ,G2 ,G3 ,G
4 を、各強磁性体コアK1 ,K2 ,K3 ,K4 の内周縁
部から外周縁部にかけて徐々に幅狭となるように形成し
てもよい。このようにギャップG1 ,G2 ,G3 ,G4
を形成することによって、各ギャップ内の磁界分布が相
殺されて、磁界がギャップ内の位置によらず均一とな
る。
【0051】上記MRセンサM1 ,M2 ,M3 ,M
4 は、例えばX軸方向検出用の2つのMRセンサM1
3 と、これと直交するY軸方向検出用の2つのMRセ
ンサM2,M4 に分類される。
【0052】上述の構成を有する地磁気方位センサの等
価回路は、図6に示す通りである。すなわち、X軸方向
検出用の2つのMRセンサM1 ,M3 からの信号は差動
アンプA1 よりX出力として出力され、同様に、Y軸方
向検出用の2つのMRセンサM2 ,M4 からの信号は差
動アンプA2 よりY出力として出力される。
【0053】地磁気検出用のMRセンサM1 ,M2 ,M
3 ,M4 においては、定電位電源VCCが定電位電源とさ
れて端子11を介してセンス電流が供給される。
【0054】また、X軸方向検出用のMRセンサM1
MRセンサM3 には、180゜方位の異なるバイアス磁
界(HB及び−HB)が印加され、同様にY軸方向検出用
のMRセンサM2 とMRセンサM4 にも180゜方位の
異なるバイアス磁界(HB及び−HB)が印加される。
【0055】上記構成の地磁気方位センサにおいて、M
RセンサM1 ,M2 ,M3 ,M4 は、次のような特徴を
持っている。
【0056】(1)磁界の強度により抵抗値が変化する
(磁気抵抗効果)。 (2)弱い磁界を感知する能力に優れている。 (3)抵抗値変化を電気信号として取り出すことができ
る。
【0057】本発明の地磁気方位センサにおいては、こ
の特徴を利用して地磁気による磁気信号を電気信号に変
換する。
【0058】図7は、MRセンサの特性曲線を示すもの
である。この図7において、横軸はMRセンサに垂直に
加わる磁界の強さ、縦軸はMRセンサの抵抗値の変化、
あるいは出力電圧変化(MRセンサに直流電流を流した
場合)である。
【0059】MRセンサの抵抗値は、磁界零で最大とな
り、大きな磁界(MRセンサのパターン形状等にもよる
が100〜200ガウス程度)を印加したときに約3%
小さくなる。
【0060】MRセンサ出力のS/N(出力電圧振幅)
及び歪率向上のためには、図7に示すように、バイアス
磁界HB が必要となる。このバイアス磁界HBは、先に
も述べたように、第2の強磁性体コアK1 ,K2
3 ,K4 に励磁用コイルC1 ,C2 ,C3 ,C4 を巻
回し、これにバイアス電流IB を流すことによって与え
られる。
【0061】このとき、X軸方向検出用のMRセンサM
1 に印加されるバイアス磁界の方向とMRセンサM3
印加されるバイアス磁界の方向は、互いに180゜反転
している。同様に、Y軸方向検出用のMRセンサM2
印加されるバイアス磁界の方向とMRセンサM4 に印加
されるバイアス磁界の方向も、互いに180゜反転して
いる。
【0062】ここで、地磁気信号HE が入ってくると、
例えばX軸方向検出用のMRセンサM1 及びM3 に加わ
る磁界の強さは以下のようになる。
【0063】 MRセンサM1 : HB +HE MRセンサM3 : −HB +HE 交流バイアス磁界を印加とすると、MRセンサM1 に印
加される磁界は図7中線Aで示すように変化し、この磁
界の変化が図7中線Bで示すように電圧変化として出力
される。一方、MRセンサM3 に印加される磁界は図7
中線Cで示すように変化し、この磁界の変化が図7中線
Dで示すように電圧変化として出力される。
【0064】このMRセンサM1 からの出力(線B)と
MRセンサM3 からの出力(線D)の出力差Lが、差動
信号(X出力)として取り出される。Y軸方向検出用の
MRセンサM2 ,M4 についても同様であり、差動信号
(Y出力)が取り出される。
【0065】これら差動信号は地磁気HE の方位により
変化し、それぞれHE sinθ、HE cosθに比例す
る。したがって、横軸に方位θをとって出力電位をプロ
ットすると、X出力及びY出力は図8に示すようなもの
となる。
【0066】したがって、これらX出力及びY出力か
ら、地磁気に対する方位θを算出することができる。
【0067】すなわち、X出力とY出力の比X/Yは、
これら出力がHE sinθ、HE cosθに比例するこ
とから、sinθ/cosθで表わすことができる。
【0068】X/Y=sinθ/cosθ=tanθ したがって、 θ=tan-1(X/Y) (ただし、0≦θ≦180゜のときX≧0、180゜<
θ<360゜のときX<0である。) 以上によって地磁気HE の方位θを知ることができる。
次いで、強磁性体コアK1 ,K2 ,K3 ,K4 による地
磁気集束原理について説明する。
【0069】先ず、図9に、フェライト、パーマロイ等
からなる強磁性体コアKが地磁気にどのような影響を与
えるのかを模式的に図示した。
【0070】強磁性体は空気中に比べて磁気抵抗が小さ
いため、地磁気が吸い寄せられるように曲げられ、強磁
性体コアK中を通って再び外へ出る。
【0071】したがって、上記強磁性体コアKは、地磁
気を集束し、大きな磁束密度に変換する(実際は、地磁
気は強磁性体コアKを磁化し、ギャップに大きな磁界を
発生する。)。
【0072】図10は、円形の強磁性体コアKを用いた
場合に地磁気がどのように各MRセンサM1 ,M2 ,M
3 ,M4 に伝わるのかを示したものであり、各MRセン
サM1 ,M2 ,M3 ,M4 に磁気信号として印加される
地磁気の総量は、各MRセンサM1 ,M2 ,M3 ,M4
から強磁性体コアKの中心を通る地磁気線HEOに垂直に
引いた線の長さに相当する。
【0073】X軸方向検出用MRセンサM1,M3に印加
される地磁気の総量:rsinθ Y軸方向検出用MRセンサM2,M4に印加される地磁気
の総量:rcosθ したがって、これら地磁気の総量に基づいて出力される
地磁気方位センサ出力(X出力,Y出力)より、先の計
算式に従って地磁気HE の方位θが算出される。
【0074】図11に示すように強磁性体コアKが正方
形の場合も同様であり、強磁性体コアKの中心点を回転
中心として90゜回転させたときに対称となる形状であ
れば、いずれの場合にも同様の出力を得ることができ
る。
【0075】前述のように、励磁用コイルC1 ,C2
3 ,C4 のコアとして機能する強磁性体コアK1 ,K
2 ,K3 ,K4 を軟磁性体とし、地磁気の集束ホーンと
して使用すると、空心コイルやマグネットを使用したと
きに比べて出力が大きくなり、感度が向上する。
【0076】さらに、上記地磁気方位センサにおいて
は、強磁性体コアK1 ,K2 ,K3 ,K4 、MRセンサ
1 ,M2 ,M3 ,M4 及び励磁用コイルC1 ,C2
3 ,C4 が薄膜形成技術により基板上に一体形成され
ている。この場合、例えば基板上に成膜されたMRセン
サに対し、強磁性体コアに巻線を施して励磁用コイルを
巻回したバルク部を組み合わせて作製される地磁気方位
センサ等と比較して、調整点が少なく、製品動作特性が
極めて安定化する。
【0077】したがって、地磁気が効率的に各MRセン
サM1 ,M2 ,M3 ,M4 へ磁気信号として供給され、
高方位精度が得られるとともに、高精度且つ所望の小型
形状に作製することが可能となる。
【0078】以上、本発明を適用した実施の形態につい
て説明してきたが、本発明がこの実施の形態に限定され
るわけではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で形
状、材質、寸法等、任意に変更することが可能である。
【0079】
【発明の効果】本発明に係る地磁気方位センサによれ
ば、実用的な感度及び高い方位精度を効率よく実現する
ことができ、しかも小型化且つ精細化の実現が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係る地磁気方位センサの主要部を模
式的に示す平面図である。
【図2】図1に示す線分A−A’による断面図である。
【図3】各強磁性体コアに磁気異方性が与えられた様子
を当該各強磁性体コアのみを取り出して模式的に示す平
面図である。
【図4】各強磁性体コアが磁気異方性を有しない場合の
様子を当該各強磁性体コアのみを取り出して模式的に示
す平面図である。
【図5】成膜形成された強磁性体コア薄膜のみを模式的
に示す平面図である。
【図6】図1に示す地磁気方位センサの等価回路図であ
る。
【図7】MRセンサの特性曲線を示す特性図である。
【図8】出力電圧と方位との関係を示す特性図である。
【図9】強磁性体コアによる地磁気の集束状態を示す模
式図である。
【図10】円形コアを用いた場合に各MRセンサに印加
される地磁気の総量を示す模式図である。
【図11】正方形コアを用いた場合に各MRセンサに印
加される地磁気の総量を示す模式図である。
【図12】従来のフラックスゲート型の地磁気方位セン
サの一例を模式的に示す概略平面図である。
【図13】従来のMR型の地磁気方位センサの一例を模
式的に示す概略平面図である。
【図14】図13に示す地磁気方位センサの等価回路図
である。
【符号の説明】 1 基板 2,4 層間絶縁層 3 下層導体層 5 平坦化層 6 層間絶縁・平坦化層 7 上層導体層 21 強磁性体コア薄膜 M1 ,M2 ,M3 ,M4 MRセンサ K1 ,K2 ,K3 ,K4 強磁性体コア G1 ,G2 ,G3 ,G4 ギャップ C1 ,C2 ,C3 ,C4 励磁用コイル

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定のギャップをもって周方向に配列さ
    れてなる地磁気を集束する複数の強磁性体コアと、 上記ギャップにおける磁界方向に対して略直交するよう
    に当該ギャップ内に配されてなる磁気抵抗効果素子と、 上記強磁性体コアに層間絶縁層を介して巻回され、電流
    の供給により上記磁気抵抗効果素子にバイアス磁界を印
    加する励磁用コイルとを有し、 これら強磁性体コア、磁気抵抗効果素子、励磁用コイ
    ル、及び層間絶縁層が薄膜形成技術により基板上に形成
    されてなるとともに、各強磁性体コアがそれぞれ地磁気
    の入力により当該各強磁性体コア内に誘起される磁界の
    向きと同方向の磁気異方性を有することを特徴とする地
    磁気方位センサ。
  2. 【請求項2】 各磁気抵抗効果素子にそれぞれ長手方向
    と略々直交する方向に着磁が施されていることを特徴と
    する請求項1記載の地磁気方位センサ。
JP7311422A 1995-11-29 1995-11-29 地磁気方位センサ Withdrawn JPH09145376A (ja)

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