JPH09127221A - 地磁気方位センサ - Google Patents

地磁気方位センサ

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JPH09127221A
JPH09127221A JP7280678A JP28067895A JPH09127221A JP H09127221 A JPH09127221 A JP H09127221A JP 7280678 A JP7280678 A JP 7280678A JP 28067895 A JP28067895 A JP 28067895A JP H09127221 A JPH09127221 A JP H09127221A
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JP
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magnetoresistive effect
effect element
magnetic field
magnetoresistive
geomagnetic
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JP7280678A
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Tatsuo Hisamura
達雄 久村
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 繰り返し折り返すようにパターニングされた
磁気抵抗効果素子を用いた地磁気方位センサの精度の向
上を図る。 【解決手段】 繰り返し折り返すようにパターニングさ
れた磁気抵抗効果素子Mを用いた地磁気方位センサにお
いて、磁気抵抗効果素子Mの折り返し部Ma、Mbを円
弧状とする。これにより、磁気抵抗効果素子Mの内部に
おける磁壁の発生が抑制され、磁壁に起因するノイズが
軽減される。その結果、地磁気方位センサの精度が向上
し、高精度に地磁気の方位を検出することが可能とな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繰り返し折り返す
ようにパターニングされた磁気抵抗効果素子を用いた地
磁気方位センサに関するものであり、特に、磁気抵抗効
果素子の折り返し部を円弧状とすることにより、方位精
度の向上を図った新規な地磁気方位センサに関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、カラー陰極線管において、電子
銃から出射された電子ビームの軌道が地磁気によって曲
げられ、蛍光面上での電子ビーム到達位置、すなわち電
子ビームのランディングに変化が生じることがある。特
に高精細度陰極線管では、ランディングの変化に対する
余裕度が小さいために、地磁気によるランディングの変
化が色純度の劣化等の問題を引き起こしてしまうことが
ある。これを補正するために、通常、カラー陰極線管に
は、ランディング補正コイルが取り付けられている。そ
して、地磁気の方位に応じて自動的に、ランディング補
正コイルにランディング補正に必要な最適電流を流すこ
とにより、電子ビームの軌道を制御して、ランディング
の変化を防止するようにしている。ここで、ランディン
グ補正を行うには、地磁気の方位を正確に検出する必要
があり、この検出のために地磁気方位センサが使用され
ている。
【0003】このように、地磁気の影響を補正する必要
があるカラー陰極線管のような機器において、地磁気方
位センサは非常に重要なセンサとなっている。また、地
磁気方位センサは、従来から用いられてきた磁石式の方
位計、すなわち磁気コンパスの代替として、携帯型の方
位計としても使用されている。
【0004】このように地磁気方位センサは様々な用途
に使用されており、その代表的な構造としては、フラッ
クスゲート型のものや、磁気抵抗効果型のものが知られ
ている。そして、これらの地磁気方位センサの中でも、
地磁気を集束するための強磁性体コアを備えた磁気抵抗
効果型のものは非常に高感度であり、近年、従来の他の
タイプの地磁気方位センサに置き換わりつつある。
【0005】強磁性体コアを備えた磁気抵抗効果型の地
磁気方位センサは、例えば、ギャップを介して円環状に
組み合わされた4つの円弧状の強磁性体コアと、各強磁
性体コア間のギャップ内にそれぞれ配された4つの磁気
抵抗効果素子と、各磁気抵抗効果素子にそれぞれバイア
ス磁界を印加するための励磁用コイルとから構成され
る。ここで、磁気抵抗効果素子は、磁気抵抗効果を有す
る磁気抵抗効果膜を備えた、外部磁界の大きさによって
抵抗値が変化する素子である。そして、この地磁気方位
センサでは、各磁気抵抗効果素子によって各磁気抵抗効
果素子の長手方向に対して垂直に印加している地磁気の
強さを検出し、このように各磁気抵抗効果素子によって
検出された各方向における地磁気の強さに基づいて、地
磁気の方位を検出する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のような磁気抵抗
効果型の地磁気方位センサでは、使用される磁気抵抗効
果素子の特性が、センサの感度や精度を大きく左右す
る。そこで、磁気抵抗効果素子には、優れた磁気特性を
有するパーマロイ膜が多く用いられている。また、磁気
抵抗効果素子の膜厚は、磁気抵抗効果が最大となるよう
に、また、出力自体も大きくなるように、通常、数10
nm〜100nm程度とされている。
【0007】ここで、図7に示すように、磁気抵抗効果
素子10は、感磁部の長さを長くして感度を高めるため
に、通常、繰り返し直角に折り返すようにパターニング
され、いわゆるつづら折り構造とされている。しかしな
がら、磁気抵抗効果素子10をこのようなつづら折り構
造にすると、磁気抵抗効果素子10の折り返し部10A
を拡大した図8に示すように、磁気抵抗効果素子10の
折り返し部10Aの部分に90°磁壁11が生じ、磁化
を環流化させて磁気エネルギーを抑えるような磁区構造
が生じてしまう。なお、図8中の矢印は磁気抵抗効果素
子10の各磁区の磁化の方向を模式的に示している。そ
して、このように磁気抵抗効果素子10の折り返し部1
0Aの部分に生じた磁壁11は、外部磁界の変動によっ
て移動、発生、消滅等の挙動変化を示す。そして、この
ような磁壁11の挙動変化は、磁気抵抗曲線上におい
て、非対称なヒステリシスとなって現れて、ノイズとし
て作用する。この結果、このような磁気抵抗効果素子1
0を用いた地磁気方位センサでは、精度が低下してしま
うこととなる。
【0008】このように、つづら折り構造の磁気抵抗効
果素子を用いた地磁気方位センサでは、磁気抵抗効果素
子内に生じる磁壁に起因するノイズにより、高精度に地
磁気の方位を検出することが困難となっている。
【0009】そこで本発明は、このような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、つづら折り構造の磁気抵
抗効果素子の特性を向上し、地磁気方位センサの精度の
向上を図ることを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに完成された本発明に係る地磁気方位センサは、繰り
返し折り返すようにパターニングされた磁気抵抗効果素
子を用いた地磁気方位センサであって、上記磁気抵抗効
果素子の折り返し部が円弧状とされていることを特徴と
するものである。
【0011】上記磁気抵抗効果素子では、折り返し部を
円弧状としているので、磁気抵抗効果素子内における磁
壁の発生が抑制される。そのため、この磁気抵抗効果素
子では、対称性が良くヒステリシスの少ない磁気抵抗効
果特性が得られる。したがって、このような磁気抵抗効
果素子を用いた本発明に係る地磁気方位センサでは、磁
気抵抗効果素子内に生じる磁壁に起因するノイズが軽減
され、高精度に地磁気の方位を検出することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した具体的な
実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明す
る。なお、本発明は以下の例に限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、形状や材質等を
任意に変更することが可能であることは言うまでもな
い。
【0013】まず、本発明を適用した地磁気方位センサ
に用いられる磁気抵抗効果素子の一例について説明す
る。
【0014】この磁気抵抗効果素子は、後述するように
強磁性体コア間に設けられるギャップ内に配される。こ
こで、通常、地磁気方位センサを小型化する必要性か
ら、強磁性体コア間のギャップの幅を大きくとることは
できない。そこで、磁気抵抗効果素子の感磁部の長さを
長くして感度を高めるために、図1に示すように、磁気
抵抗効果素子Mは、強磁性体コアKaと強磁性体コアK
bの間に、繰り返し折り返すようにパターニングされ、
いわゆるつづら折り構造とされる。なお、磁気抵抗効果
素子Mの折り返し回数は、特に限定されるものではな
く、所望する地磁気方位センサの大きさや感度等によっ
て、適宜定めることが可能である。
【0015】ここで、磁気抵抗効果素子Mは、磁気抵抗
効果素子Mの感磁部の長軸方向が強磁性体コアKaと強
磁性体コアKbとの間に生じる磁界Hに対して直交する
ように、すなわち、パターン幅方向がギャップに対して
垂直となるように配される。
【0016】そして、この磁気抵抗効果素子Mは、曲率
を持って丸みを帯びた形で折り返されている。すなわ
ち、この磁気抵抗効果素子Mの折り返し部Ma、Mb
は、図1に示すように、円弧状とされている。そして、
このように、折り返し部Ma、Mbが円弧状とされた磁
気抵抗効果素子Mでは、後述するように磁壁の発生が抑
制され、対称性が良くヒステリシスの少ない磁気抵抗効
果特性が得られる。したがって、このような磁気抵抗効
果素子Mを用いた本実施の形態に係る地磁気方位センサ
では、磁気抵抗効果素子Mの磁壁に起因するノイズが軽
減され、高精度に地磁気の方位を検出することができ
る。
【0017】このような磁気抵抗効果素子Mには、例え
ば、Ni−Fe合金、Co−Ni−Fe合金、又はこれ
らの合金に微少添加物を加えた軟磁性材料が用いられ
る。そして、このような材料から成る磁気抵抗効果素子
Mは、電子ビーム蒸着やスパッタ等のような真空薄膜形
成法や、電着法等によって基板上に成膜され、その後、
上述したように、フォトリソグラフィ技術によって、図
1に示したようなつづら折り構造となるようにパターニ
ングされて形成される。このとき、地磁気方位センサ内
に形成される各磁気抵抗効果素子を結ぶ配線や、外部回
路と電気的接触を図るために磁気抵抗効果素子の両端に
配される電極等も、同時にパターニングされ形成され
る。
【0018】つぎに、以上のような磁気抵抗効果素子を
備えた地磁気方位センサの一例について説明する。
【0019】この地磁気方位センサは、図2に示すよう
に、90度間隔でギャップG1、G2、G3、G4が形
成されるように、4つの円弧状の強磁性体コアK1、K
2、K3、K4が円環状に組み合わされると共に、これ
らギャップG1、G2、G3、G4内にそれぞれ上述の
ような地磁気検出用の磁気抵抗効果素子M1、M2、M
3、M4が配されて構成される。ここで、強磁性体コア
K1、K2、K3、K4の材料には、パーマロイ、セン
ダスト、アモルファス、フェライト等のような優れた軟
磁気特性を有するものが適している。
【0020】上記磁気抵抗効果素子M1、M2、M3、
M4は、X軸方向の磁界を検出するための2つの磁気抵
抗効果素子M1、M3と、X軸方向と直交するY軸方向
の磁界を検出するための2つの磁気抵抗効果素子M2、
M4とに分類される。そして、これらの磁気抵抗効果素
子M1、M2、M3、M4は、定電位電源Vccに接続
されており、この定電位電源Vccから、これらの磁気
抵抗効果素子M1、M2、M3、M4にセンス電流が供
給される。
【0021】一方、上記強磁性体コアK1、K2、K
3、K4には、それぞれ励磁用コイルC1、C2、C
3、C4が巻回されており、この励磁用コイルC1、C
2、C3、C4に電流を流すことにより、ギャップG
1、G2、G3、G4内に配された各磁気抵抗効果素子
M1、M2、M3、M4にバイアス磁界が印加される。
すなわち、励磁用コイルC1、C2、C3、C4に供給
される交流バイアス電流IBにより、X軸方向の磁界を
検出するための磁気抵抗効果素子M1及び磁気抵抗効果
素子M2に、それぞれ互いに逆方向のバイアス磁界が印
加され、同様に、Y軸方向の磁界を検出するための磁気
抵抗効果素子M2及び磁気抵抗効果素子M4にも、それ
ぞれ互いに逆方向のバイアス磁界が印加される。
【0022】ここで、各磁気抵抗効果素子M1、M2、
M3、M4は、図3に示すように、それぞれギャップに
対応するように形成されており、したがって、磁気抵抗
効果素子M1及び磁気抵抗効果素子M2には、その膜面
に対して略平行にバイアス磁界HBが印加され、磁気抵
抗効果素子M3及び磁気抵抗効果素子M4には、その膜
面に対して略平行にバイアス磁界−HBが印加される。
そして、このように各磁気抵抗効果素子M1、M2、M
3、M4に印加されるバイアス磁界の大きさは、それぞ
れ磁気抵抗効果素子M1、M2、M3、M4の磁気抵抗
曲線の半値幅に対して0.45〜0.55となるように
設定される。
【0023】また、各磁気抵抗効果素子M1、M2、M
3、M4には、中点電位等の温度特性を補正するための
温度特性補正用磁気抵抗効果素子M5、M6、M7、M
8が接続されている。すなわち、磁気抵抗効果素子M1
には、温度特性補正用磁気抵抗効果素子M5が接続さ
れ、磁気抵抗効果素子M2には、温度特性補正用磁気抵
抗効果素子M6が接続され、磁気抵抗効果素子M3に
は、温度特性補正用磁気抵抗効果素子M7が接続され、
磁気抵抗効果素子M4には、温度特性補正用磁気抵抗効
果素子M8が接続されている。
【0024】ここで、各温度特性補正用磁気抵抗効果素
子M5、M6、M7、M8は、強磁性体コアK1、K
2、K3、K4を通る磁束に対して平行となるように、
それぞれ磁気抵抗効果素子M1、M2、M3、M4に対
して直交するように配される。すなわち、温度特性補正
用磁気抵抗効果素子M5は、ギャップG1の外部に、磁
気抵抗効果素子M1に対して直交するように配され、温
度特性補正用磁気抵抗効果素子M6は、ギャップG2の
外部に、磁気抵抗効果素子M2に対して直交するように
配され、温度特性補正用磁気抵抗効果素子M7は、ギャ
ップG3の外部に、磁気抵抗効果素子M3に対して直交
するように配され、温度特性補正用磁気抵抗効果素子M
8は、ギャップG4の外部に、磁気抵抗効果素子M4に
対して直交するように配される。
【0025】ここで、例えば、各温度特性補正用磁気抵
抗効果素子M5、M6、M7、M8を、それぞれ磁気抵
抗効果素子M1、M2、M3、M4に対して平行となる
ように配すると、ギャップG1、G2、G3、G4から
漏れた磁界が温度補正用磁気抵抗効果素子M5、M6、
M7、M8にもバイアス磁界として働いてしまう。そし
て、このバイアス磁界の方向は、地磁気検出用の磁気抵
抗効果素子M1、M2、M3、M4に印加されるバイア
ス磁界の方向と同方向であるので、後述するように磁気
抵抗効果素子M1及び磁気抵抗効果素子M3から得られ
る差動信号や、磁気抵抗効果素子M2及び磁気抵抗効果
素子M4から得られる差動信号が打ち消されて小さくな
ってしまう。その結果、S/Nが悪化し、方位精度が±
5度程度にまで悪くなってしまう。
【0026】これに対して、上述のように、各温度特性
補正用磁気抵抗効果素子M5、M6、M7、M8を、そ
れぞれ磁気抵抗効果素子M1、M2、M3、M4に対し
て直交するように配したときには、ギャップG1、G
2、G3、G4から漏れた磁界が温度補正用磁気抵抗効
果素子M5、M6、M7、M8にバイアス磁界として働
くようなことが殆どない。これは、磁気抵抗効果素子の
感度が、磁界に対して直交するように配置した場合に比
べて、平行に配置した場合は1/100以下となるため
である。したがって、上述の地磁気方位センサでは、温
度特性補正用磁気抵抗効果素子M5、M6、M7、M8
が、強磁性体コアK1、K2、K3、K4中の磁気信号
に対して感度を示すようなことは殆どなく、そのため、
上述の地磁気方位センサでは、磁気抵抗効果素子M1及
び磁気抵抗効果素子M3から得られる差動信号や、磁気
抵抗効果素子M2及び磁気抵抗効果素子M4から得られ
る差動信号を大きく取ることが可能となる。その結果、
S/Nが向上し、方位精度が±1度程度と非常に優れた
ものとなる。
【0027】以上のような構成を有する地磁気方位セン
サの等価回路を図4に示す。すなわち、この地磁気方位
センサにおいて、X軸方向の磁界を検出するための2つ
の磁気抵抗効果素子M1、M3は、温度特性補正用磁気
抵抗効果素子M5、M7と共にブリッジを構成してお
り、このブリッジに定電位電源Vccからセンス電流が
供給される。そして、このブリッジからの出力が差動ア
ンプA1に供給され、この差動アンプA1によって差動
が取られ、その結果、外部磁界HEのうちX軸方向の磁
界成分の大きさを示す差動信号(X出力)が出力され
る。このとき、励磁用コイルC1、C2、C3、C4に
より、磁気抵抗効果素子M1には、バイアス磁界HBが
印加され、磁気抵抗効果素子M3には、磁気抵抗効果素
子M1に印加されるバイアス磁界HBに対して180度
方位が異なるバイアス磁界−HBが印加される。
【0028】同様に、Y軸方向の磁界を検出するための
2つの磁気抵抗効果素子M2、M4も、温度特性補正用
磁気抵抗効果素子M6、M8と共にブリッジを構成して
おり、このブリッジに定電位電源Vccからセンス電流
が供給される。そして、このブリッジからの出力が差動
アンプA2に供給され、この差動アンプA2によって差
動が取られ、その結果、外部磁界HEのうちY軸方向の
磁界成分の大きさを示す差動信号(Y出力)が出力され
る。このとき、励磁用コイルC1、C2、C3、C4に
より、磁気抵抗効果素子M2には、バイアス磁界HBが
印加され、磁気抵抗効果素子M4には、磁気抵抗効果素
子M2に印加されるバイアス磁界HBに対して180度
方位が異なるバイアス磁界−HBが印加される。
【0029】以上のような地磁気方位センサに使用され
る磁気抵抗効果素子M1、M2、M3、M4は、次のよ
うな特徴を持っている。
【0030】(1)磁界の強度により抵抗値が変化す
る。
【0031】(2)弱い磁界を感知する能力に優れてい
る。
【0032】(3)抵抗値変化を電気信号として取り出
すことができる。
【0033】そして、上記地磁気方位センサでは、この
ような磁気抵抗効果素子M1、M2、M3、M4の特徴
を利用して地磁気による磁気信号を電気信号に変換し
て、地磁気の方位を検出している。以下、このような地
磁気の方位の検出の原理について説明する。
【0034】図5に磁気抵抗効果素子の磁気抵抗曲線を
示す。図5において、横軸は磁気抵抗効果素子に垂直に
加わる磁界H、縦軸は磁気抵抗効果素子の抵抗値Rを示
している。ここで、縦軸は磁気抵抗効果素子の抵抗値を
示しているので、縦軸の値は磁気抵抗効果素子に直流電
流を流したときの出力電圧に相当する。
【0035】図5に示すように、磁気抵抗効果素子の抵
抗値Rは、磁界Hがゼロのときに最大となり、大きな磁
界、具体的には、磁気抵抗効果素子のパターン形状等に
もよるが、50〜200Oe程度の磁界Hを印加したと
きに、約3%小さくなる。そこで、地磁気方位センサで
は、このような特性を有する磁気抵抗効果素子によって
磁界Hの変化を抵抗値Rの変化として検出する。そし
て、磁気抵抗効果素子には、上述したように、強磁性体
コアK1、K2、K3、K4に巻回された励磁用コイル
C1、C2、C3、C4に交流バイアス電流IBを流す
ことにより、交流のバイアス磁界が印加される。このよ
うにバイアス磁界を印加することにより、磁気抵抗曲線
の傾きが大きい部分を外部磁界の検出に利用することが
可能となり、磁気抵抗効果素子からの出力のS/N、す
なわち出力電圧の振幅の向上、及び歪率の向上が図られ
る。
【0036】ここで、バイアス磁界は、上述したよう
に、X軸方向の磁界を検出するための磁気抵抗効果素子
M1、M3のうち、磁気抵抗効果素子M1にはバイアス
磁界HBが印加され、磁気抵抗効果素子M3には、磁気
抵抗効果素子M1に印加されるバイアス磁界HBに対し
て180度方位が異なるバイアス磁界−HBが印加され
る。同様に、Y軸方向の磁界を検出するための磁気抵抗
効果素子M2、M4のうち、磁気抵抗効果素子M2には
バイアス磁界HBが印加され、磁気抵抗効果素子M4に
は、磁気抵抗効果素子M2に印加されるバイアス磁界H
Bに対して180度方位が異なるバイアス磁界−HBが
印加される。
【0037】このとき、地磁気による磁界HEが入って
くると、例えば、X軸方向の磁界を検出するための磁気
抵抗効果素子M1、M3に加わる磁界は、磁気抵抗効果
素子M1に加わる磁界が(HB+HE)となり、磁気抵
抗効果素子M3に加わる磁界が(−HB+HE)とな
る。
【0038】このとき、磁気抵抗効果素子M1には、交
流のバイアス磁界HBが印加されているので、磁気抵抗
効果素子M1に印加される磁界は図5中実線Aで示すよ
うに変化し、この磁界の変化が図5中実線Bで示すよう
な電圧変化として出力される。一方、磁気抵抗効果素子
M3には、交流のバイアス磁界−HBが印加されている
ので、磁気抵抗効果素子M3に印加される磁界は図5中
実線Cで示すように変化し、この磁界の変化が図5中実
線Dで示すような電圧変化として出力される。
【0039】そして、図5中実線Bで示したような磁気
抵抗効果素子M1からの出力と、図5中実線Dで示した
ような磁気抵抗効果素子M3からの出力との差が、差動
アンプA1によってX軸方向の磁界についての差動信
号、すなわちX出力として取り出される。同様に、Y軸
方向の磁界を検出するための磁気抵抗効果素子M2及び
磁気抵抗効果素子M3からも、磁界の変化が電圧変化と
して出力され、Y軸方向の磁界についての差動信号、す
なわちY出力が取り出される。
【0040】そして、これらの差動信号は地磁気HEの
方位によって変化し、それぞれHE・sinθ、HE・
cosθに比例している。したがって、横軸に地磁気の
方位θをとって、X出力及びY出力の電圧をプロットす
ると、図6に示すようになる。したがって、X軸方向の
磁界についての差動信号であるX出力と、Y軸方向の磁
界についての差動信号であるY出力とから、地磁気の方
位θを算出することができる。
【0041】すなわち、X出力とY出力の比Vx/Vy
は、これらの出力がそれぞれHE・sinθ、HE・c
osθに比例することから、下記式(1)に示すよう
に、tanθで表すことができる。
【0042】 Vx/Vy=sinθ/cosθ=tanθ ・・・(1) したがって、地磁気の方位θは、下記式(2)で表され
る。
【0043】 θ=tan-1(Vx/Vy) ・・・(2) ただし、上記式(2)において、Vx≧0のときは、0
°≦θ≦180°であり、Vx<0のときは、180°
<θ<360°である。
【0044】以上のようにして、本実施の形態に係る地
磁気方位センサでは、地磁気HEの方位θを知ることが
できる。
【0045】つぎに、以上のような地磁気方位センサに
使用される磁気抵抗効果素子の特性を評価した結果につ
いて説明する。ここで、磁気抵抗効果素子の特性は、折
り返し部が円弧状とされたつづら折り構造の第1の磁気
抵抗効果素子と、折り返し部が直角とされたつづら折り
構造の第2の磁気抵抗効果素子とを比較して調べた。
【0046】上記第1の磁気抵抗効果素子は、ガラス基
板上に電子ビーム蒸着によって膜厚が70nmの磁気抵
抗効果膜を成膜し、この磁気抵抗効果膜に対して、フォ
トリソグラフィ技術を用いてパターニング処理を施した
上で、これらの膜の両端に測定用電極を形成して作製し
た。ここで、パターニング処理は、磁気抵抗効果素子の
ストライプ幅が20μm、ストライプ長が20mm、折
り返し回数が20回、折り返し部が円弧状となるように
施した。
【0047】一方、上記第2の磁気抵抗効果素子は、ガ
ラス基板上に電子ビーム蒸着によって膜厚が70nmの
磁気抵抗効果膜を成膜し、この磁気抵抗効果膜に対し
て、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニング処理
を施した上で、これらの膜の両端に測定用電極を形成し
て作製した。ここで、パターニング処理は、磁気抵抗効
果素子のストライプ幅が20μm、ストライプ長が20
mm、折り返し回数が20回、折り返し部が直角となる
ように施した。
【0048】そして、これらの磁気抵抗効果素子につい
て、磁気抵抗効果素子の幅方向に交流消磁処理を施した
後、磁性コロイドを磁気抵抗効果素子に滴下して磁壁の
状態を調べた。このとき、磁気抵抗効果素子に磁壁が生
じているならば、磁性コロイドが磁壁に集まるため、磁
性コロイドの様子を観察することにより、磁壁の状態を
知ることができる。
【0049】そして、このように各磁気抵抗効果素子の
磁壁の状態を調べた結果、直角に折り返された第2の磁
気抵抗効果素子では、その折り返し部に90°磁壁が現
れたのに対し、丸く折り返された第1の磁気抵抗効果素
子では、明確な磁壁の発生は認められなかった。
【0050】すなわち、折り返し部が円弧状とされた磁
気抵抗効果素子では、磁気抵抗効果素子内における磁壁
の発生が抑制されている。したがって、このような磁気
抵抗効果素子では、磁壁の影響を受けることがなく、対
称性が良くヒステリシスの少ない磁気抵抗効果特性が得
られる。
【0051】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に係る地磁気方位センサに用いられる磁気抵抗効果素子
は、折り返し部が円弧状とされているので、磁壁の発生
が抑制される。そのため、この磁気抵抗効果素子では、
対称性が良くヒステリシスの少ない磁気抵抗効果特性が
得られる。したがって、このような磁気抵抗効果素子を
用いた本発明に係る地磁気方位センサでは、磁気抵抗効
果素子の磁壁に起因するノイズが軽減され、高精度に地
磁気の方位を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した地磁気方位センサの一構成例
について、磁気抵抗効果素子近傍を拡大して示す平面図
である。
【図2】本発明を適用した地磁気方位センサの一構成例
を模式的に示す平面図である。
【図3】本発明を適用した地磁気方位センサの一構成例
を模式的に示す正面図である。
【図4】図2に示した地磁気方位センサの等価回路を示
す回路図である。
【図5】磁気抵抗効果素子による磁界検出の原理を説明
するための図である。
【図6】磁気抵抗効果素子からの出力の電圧Vと、地磁
気の方位θとの関係を示す図である。
【図7】従来の地磁気方位センサに使用される磁気抵抗
効果素子を示す平面図である。
【図8】図7に示す磁気抵抗効果素子を拡大して示す平
面図である。
【符号の説明】
M、M1、M2、M3、M4 磁気抵抗効果素子 M5、M6、M7、M8 温度特性補正用磁気抵抗効果
素子 Ma、Mb 折り返し部 Ka、Kb、K1、K2、K3、K4 強磁性体コア C1、C2、C3、C4 励磁用コイル G1、G2、G3、G4 ギャップ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繰り返し折り返すようにパターニングさ
    れた磁気抵抗効果素子を用いた地磁気方位センサにおい
    て、 上記磁気抵抗効果素子の折り返し部が円弧状とされてい
    ることを特徴とする地磁気方位センサ。
JP7280678A 1995-10-27 1995-10-27 地磁気方位センサ Withdrawn JPH09127221A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005183614A (ja) * 2003-12-18 2005-07-07 Yamaha Corp 磁気センサ
JPWO2013171977A1 (ja) * 2012-05-16 2016-01-12 株式会社村田製作所 ブリッジ回路、及びこれを有する磁気センサ
CN108072851A (zh) * 2016-11-16 2018-05-25 Tdk株式会社 磁传感器用电感元件以及具备其的磁传感器

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