JPH09143633A - 耐熱ばね用ステンレス鋼及びその製造方法 - Google Patents
耐熱ばね用ステンレス鋼及びその製造方法Info
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- JPH09143633A JPH09143633A JP30605695A JP30605695A JPH09143633A JP H09143633 A JPH09143633 A JP H09143633A JP 30605695 A JP30605695 A JP 30605695A JP 30605695 A JP30605695 A JP 30605695A JP H09143633 A JPH09143633 A JP H09143633A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】少なくとも350〜550℃でも耐力が高く、
軽量化と低コスト化を実現することができる耐熱ばね用
ステンレス鋼を提供する。 【解決手段】重量%で、Cr:11〜14%と、 N
i:4.5〜7.0%と、Mo:1.0〜3.0%と、
Al:1.0〜3.0%と、 C:0.10〜0.2
0%と、 Nb:10×C%未満とFe及び不可避的不
純物からなり、残留オーステナイト量が50%以下で、
350℃〜550℃における0.2%耐力が120kg
f/mm2 以上である耐熱ばね用ステンレス鋼帯。
軽量化と低コスト化を実現することができる耐熱ばね用
ステンレス鋼を提供する。 【解決手段】重量%で、Cr:11〜14%と、 N
i:4.5〜7.0%と、Mo:1.0〜3.0%と、
Al:1.0〜3.0%と、 C:0.10〜0.2
0%と、 Nb:10×C%未満とFe及び不可避的不
純物からなり、残留オーステナイト量が50%以下で、
350℃〜550℃における0.2%耐力が120kg
f/mm2 以上である耐熱ばね用ステンレス鋼帯。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱ばね用ステン
レス鋼に係り、特に350℃から550℃の比較的高温
度に曝された部位、例えばエンジン出側のエキゾースト
・マニホールド・ガスケット部位に使用される耐熱ばね
用ステンレス鋼に関する。
レス鋼に係り、特に350℃から550℃の比較的高温
度に曝された部位、例えばエンジン出側のエキゾースト
・マニホールド・ガスケット部位に使用される耐熱ばね
用ステンレス鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、エンジンの高効率化にともないガ
スケット部位の温度は上昇傾向にある。このため、エン
ジン出側のエキゾースト・マニホールド・ガスケット部
位の基材は、通常、ばね特性を有するSUS301の冷
間圧延材(一号仕上)が使用されている。しかし、この
基材は、耐熱限界がせいぜい350℃程度であるため、
この用途にこのまま使用することはできない。このた
め、従来は熱遮蔽板を積層して基材が加熱されないよう
にしており、重量的及びコスト的に問題があった。
スケット部位の温度は上昇傾向にある。このため、エン
ジン出側のエキゾースト・マニホールド・ガスケット部
位の基材は、通常、ばね特性を有するSUS301の冷
間圧延材(一号仕上)が使用されている。しかし、この
基材は、耐熱限界がせいぜい350℃程度であるため、
この用途にこのまま使用することはできない。このた
め、従来は熱遮蔽板を積層して基材が加熱されないよう
にしており、重量的及びコスト的に問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記に鑑みて
なされたもので、耐熱限界が350〜550℃又はそれ
以上で、このような高温でも耐力が高く、その結果、熱
遮蔽板を積層する必要がなく、軽量化と低コスト化を実
現することができる耐熱ばね用ステンレス鋼を提供する
ことを目的とする。
なされたもので、耐熱限界が350〜550℃又はそれ
以上で、このような高温でも耐力が高く、その結果、熱
遮蔽板を積層する必要がなく、軽量化と低コスト化を実
現することができる耐熱ばね用ステンレス鋼を提供する
ことを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、重量%
で、Cr:11〜14%と、Ni:4.5〜7.0%
と、Mo:1.0〜3.0%と、Al:1.0〜3.0
%と、C:0.10〜0.20%と、Nb:10×C%
未満とFe及び不可避的不純物からなるマルテンサイト
系耐熱ばね用ステンレス鋼である。
で、Cr:11〜14%と、Ni:4.5〜7.0%
と、Mo:1.0〜3.0%と、Al:1.0〜3.0
%と、C:0.10〜0.20%と、Nb:10×C%
未満とFe及び不可避的不純物からなるマルテンサイト
系耐熱ばね用ステンレス鋼である。
【0005】第2の発明は、重量%で、Cr:11〜1
4%と、 Ni:4.5〜7.0%と、 Mo:1.0
〜3.0%と、 Al:1.0〜3.0%と、 C:
0.10〜0.20%と、 Nb:10×C%未満とF
e及び不可避的不純物からなる化学組成の鋼であって、
残留オーステナイト量が50%以下であるマルテンサイ
ト系耐熱ばね用ステンレス鋼である。
4%と、 Ni:4.5〜7.0%と、 Mo:1.0
〜3.0%と、 Al:1.0〜3.0%と、 C:
0.10〜0.20%と、 Nb:10×C%未満とF
e及び不可避的不純物からなる化学組成の鋼であって、
残留オーステナイト量が50%以下であるマルテンサイ
ト系耐熱ばね用ステンレス鋼である。
【0006】第3の発明は、重量%で、Cr:11〜1
4%と、 Ni:4.5〜7.0%と、 Mo:1.0
〜3.0%と、 Al:1.0〜3.0%と、 C:
0.10〜0.20%と、 Nb:10×C%未満とF
e及び不可避的不純物からなる化学組成の鋼であって、
残留オーステナイト量が50%以下で、350℃〜55
0℃における0.2%耐力が120kgf/mm2 以上
である耐熱ばね用ステンレス鋼帯である。
4%と、 Ni:4.5〜7.0%と、 Mo:1.0
〜3.0%と、 Al:1.0〜3.0%と、 C:
0.10〜0.20%と、 Nb:10×C%未満とF
e及び不可避的不純物からなる化学組成の鋼であって、
残留オーステナイト量が50%以下で、350℃〜55
0℃における0.2%耐力が120kgf/mm2 以上
である耐熱ばね用ステンレス鋼帯である。
【0007】第4の発明は、上記化学組成の鋼を、オー
ステナイト化温度900℃以上1100℃以下の温度範
囲で熱処理して、焼入れ状態の残留オーステナイト量を
制御することを特徴とする耐熱ばね用ステンレス鋼の製
造方法である。
ステナイト化温度900℃以上1100℃以下の温度範
囲で熱処理して、焼入れ状態の残留オーステナイト量を
制御することを特徴とする耐熱ばね用ステンレス鋼の製
造方法である。
【0008】第5の発明は、上記化学組成を有する鋼
を、オーステナイト化温度900℃以上1100℃以下
の温度範囲で熱処理した後、圧延率が70%以下の冷間
圧延することを特徴とする耐熱ばね用ステンレス鋼帯の
製造方法である。第6の発明は、上記鋼帯から製造され
たガスケット基材である。
を、オーステナイト化温度900℃以上1100℃以下
の温度範囲で熱処理した後、圧延率が70%以下の冷間
圧延することを特徴とする耐熱ばね用ステンレス鋼帯の
製造方法である。第6の発明は、上記鋼帯から製造され
たガスケット基材である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明者らは、耐熱限界の高い耐熱鋼に関して鋭
意研究した結果、以下の知見を見出だした。すなわち、
図1は、底辺幅3.5mm、高さ0.3mmの台形リブ
がリブ中心径φ90mmで配置された単ボアガスケット
を試料とし、種々の温度で260ks間5000kgf
を負荷した時の残留リブ高さの測定結果を示す。ここ
で、試料一は準安定オーステナイト系ステンレス鋼の代
表格であるSUS301のΗ仕上材(Hv460)、試
料二は同鋼のEΗ仕上材(Hv530)、試料三は析出
硬化型ステンレス鋼SUS631のC仕上材(Hv48
0)、試料四は試料三をさらに470℃で3.6Ks時
効処理したものである。板厚はともに0.2mmであ
る。図1から、残留リブ高さの許容限界を0.1mmと
すると、これら試料の耐熱限界は300℃〜350℃と
なる。
まず、本発明者らは、耐熱限界の高い耐熱鋼に関して鋭
意研究した結果、以下の知見を見出だした。すなわち、
図1は、底辺幅3.5mm、高さ0.3mmの台形リブ
がリブ中心径φ90mmで配置された単ボアガスケット
を試料とし、種々の温度で260ks間5000kgf
を負荷した時の残留リブ高さの測定結果を示す。ここ
で、試料一は準安定オーステナイト系ステンレス鋼の代
表格であるSUS301のΗ仕上材(Hv460)、試
料二は同鋼のEΗ仕上材(Hv530)、試料三は析出
硬化型ステンレス鋼SUS631のC仕上材(Hv48
0)、試料四は試料三をさらに470℃で3.6Ks時
効処理したものである。板厚はともに0.2mmであ
る。図1から、残留リブ高さの許容限界を0.1mmと
すると、これら試料の耐熱限界は300℃〜350℃と
なる。
【0010】図2は、これら試料一〜試料四を0.2%
耐力で評価したものであるが、この図からもこれら試料
一〜試料四の耐熱限界は300℃〜350℃であること
がわかる。
耐力で評価したものであるが、この図からもこれら試料
一〜試料四の耐熱限界は300℃〜350℃であること
がわかる。
【0011】このように、従来の耐熱鋼は300℃〜3
50℃が耐熱限界であるが、本発明では、350〜55
0℃でも耐力を維持できる、すなわち0.2%耐力≧1
20kgf/mm2 の耐熱鋼を研究した。
50℃が耐熱限界であるが、本発明では、350〜55
0℃でも耐力を維持できる、すなわち0.2%耐力≧1
20kgf/mm2 の耐熱鋼を研究した。
【0012】ここで、30Ο℃〜35Ο℃までの緩やか
な強度低下はマルテンサイトの歪緩和に基づき、400
℃近傍の急激な強度低下はマルテンサイト相がオーステ
ナイト相に逆変態することに基づいていた。後者の変態
点をΑs点といい、マルテンサイト系ステンレス鋼では
Αcl点が対応する。準安定オーステナイト系ステンレ
ス鋼を対象としたとき、As点は(1) 式となる。 As(℃)=800 重量%C+2.2 重量%Cr+43重量%Ni+35.5重量%Mo+ 69重量%Α1…(1) また、12重量%Crマルテンサイト系ステンレス鋼の
Aclは(2) 式となる。 Acl(℃)=740 +25重量%Mo+25(重量%Si−0.25)+30重量%Al+ 50重量%Vー30重量%Ni−25重量%Mn−5Co…(2) (1) 、(2) 式からマルテンサイト相の逆変態温度を高温
側にシフトさせるにはいずれもMoとAlの添加が有効
であることがわかる。ただし、両元素ともに炭・窒化物
形成元素であり、(1) 式の準安定オーステナイト系では
オーステナイト相のフエライト相化が促進され、高温に
おける絶対強度を落とす。従って、本発明者は、(2) 式
に基づき、Cr11〜14%含有するマルテンサイト系
ステンレス鋼について、その耐熱限界を高めるようにし
た。
な強度低下はマルテンサイトの歪緩和に基づき、400
℃近傍の急激な強度低下はマルテンサイト相がオーステ
ナイト相に逆変態することに基づいていた。後者の変態
点をΑs点といい、マルテンサイト系ステンレス鋼では
Αcl点が対応する。準安定オーステナイト系ステンレ
ス鋼を対象としたとき、As点は(1) 式となる。 As(℃)=800 重量%C+2.2 重量%Cr+43重量%Ni+35.5重量%Mo+ 69重量%Α1…(1) また、12重量%Crマルテンサイト系ステンレス鋼の
Aclは(2) 式となる。 Acl(℃)=740 +25重量%Mo+25(重量%Si−0.25)+30重量%Al+ 50重量%Vー30重量%Ni−25重量%Mn−5Co…(2) (1) 、(2) 式からマルテンサイト相の逆変態温度を高温
側にシフトさせるにはいずれもMoとAlの添加が有効
であることがわかる。ただし、両元素ともに炭・窒化物
形成元素であり、(1) 式の準安定オーステナイト系では
オーステナイト相のフエライト相化が促進され、高温に
おける絶対強度を落とす。従って、本発明者は、(2) 式
に基づき、Cr11〜14%含有するマルテンサイト系
ステンレス鋼について、その耐熱限界を高めるようにし
た。
【0013】そこで、1050℃溶体化後の空冷処理で
マルテンサイト変態が完了する12.5%Cr−5.5
%NiーO.9%Si−0.9%Mn−0.03%P−
0.003%S−0.02%N系(重量%)を基本組成
とし、1050℃の溶体化処理後に50%の冷間圧延処
理を施した試料の500℃における0.2%耐力におよ
ぼすΑ1、ΜoそれにCおよびNbの影響を調べた。そ
の結果を図3に示す。なお、常温強度は500℃×3.
6ksの時効処理後のO.2%耐力とした。
マルテンサイト変態が完了する12.5%Cr−5.5
%NiーO.9%Si−0.9%Mn−0.03%P−
0.003%S−0.02%N系(重量%)を基本組成
とし、1050℃の溶体化処理後に50%の冷間圧延処
理を施した試料の500℃における0.2%耐力におよ
ぼすΑ1、ΜoそれにCおよびNbの影響を調べた。そ
の結果を図3に示す。なお、常温強度は500℃×3.
6ksの時効処理後のO.2%耐力とした。
【0014】12.5%Cr−1〜2%Mo系の500
℃、0.2%耐力は、図3のΑ領域で約100kgf/
mm2 のレべルである。Mo添加量を2%に増やしても
105kgf/mm2 が限界となる。この系にA1をl
〜2%添加すると目標強度レベルであるB領域に移行す
る。B領域でもO.14%C未満の炭素量では強度不足
となり、強力な炭化物形成元素であるNbの添加は同様
な効果を生むので避けなければならない。Moも炭化物
形成元素であり、3.0%以上の添加は強度低下を招
き、Α領域に近いC領域に移行する。これらの挙動はδ
フエライトの形成量に依存したものである。以上のこと
から、1050℃溶体化処理後に50%の冷間圧延を施
すことを前提に、500℃におけるO.2%耐力が12
0kgf/mm2 以上となる化学組成範囲は以下のよう
になることを見出だし、本発明を完成した。
℃、0.2%耐力は、図3のΑ領域で約100kgf/
mm2 のレべルである。Mo添加量を2%に増やしても
105kgf/mm2 が限界となる。この系にA1をl
〜2%添加すると目標強度レベルであるB領域に移行す
る。B領域でもO.14%C未満の炭素量では強度不足
となり、強力な炭化物形成元素であるNbの添加は同様
な効果を生むので避けなければならない。Moも炭化物
形成元素であり、3.0%以上の添加は強度低下を招
き、Α領域に近いC領域に移行する。これらの挙動はδ
フエライトの形成量に依存したものである。以上のこと
から、1050℃溶体化処理後に50%の冷間圧延を施
すことを前提に、500℃におけるO.2%耐力が12
0kgf/mm2 以上となる化学組成範囲は以下のよう
になることを見出だし、本発明を完成した。
【0015】すなわち、本発明鋼は、上述のように、重
量%で、Cr:11〜14%と、Ni:4.5〜7.0
%と、 Mo:1.0〜3.0%と、 Al:1.0〜
3.0%と、 C:0.10〜0.20%と、 Nb:
10×C%未満とFe及び不可避的不純物からなるマル
テンサイト系耐熱ばね用ステンレス鋼である。
量%で、Cr:11〜14%と、Ni:4.5〜7.0
%と、 Mo:1.0〜3.0%と、 Al:1.0〜
3.0%と、 C:0.10〜0.20%と、 Nb:
10×C%未満とFe及び不可避的不純物からなるマル
テンサイト系耐熱ばね用ステンレス鋼である。
【0016】以下、添加元素の添加理由及び範囲の限定
理由を説明する。 (1) 11〜14%Cr この範囲内でCrを添加することにより、空冷処理で焼
入れ硬化可能で、基本の金属組織がマルテンサイトとな
る。この範囲から外れると基本の金属組織をマルテンサ
イトとすることができない。従って、Crは11〜14
%とする。
理由を説明する。 (1) 11〜14%Cr この範囲内でCrを添加することにより、空冷処理で焼
入れ硬化可能で、基本の金属組織がマルテンサイトとな
る。この範囲から外れると基本の金属組織をマルテンサ
イトとすることができない。従って、Crは11〜14
%とする。
【0017】(2) 4.5〜7.0%Ni Niは固溶体硬化と二次硬化に効果がある。4.5%未
満では、この効果を十分に発揮できない。また、7.0
%をこえると、Ms点の低下とΑcl点の低下が著し
い。従って、Niは4.5〜7.0%とする。
満では、この効果を十分に発揮できない。また、7.0
%をこえると、Ms点の低下とΑcl点の低下が著し
い。従って、Niは4.5〜7.0%とする。
【0018】(3) 0.10〜0.20%C Cはマルテンサイトの強度向上および二次硬化に効果が
大きい。O.10%未満ではこの効果を発揮できない。
また、O.20%を越えるとΑcl点の低下と靭性の低
下が著しい。従って、Cは0.10〜0.20%とす
る。
大きい。O.10%未満ではこの効果を発揮できない。
また、O.20%を越えるとΑcl点の低下と靭性の低
下が著しい。従って、Cは0.10〜0.20%とす
る。
【0019】(4) 1.O〜3.0%Mo Moは焼戻し軟化抵抗を増加させ、析出硬化に効果があ
る。1.0%未満ではその効果を発揮せず、3.0%を
越えるとMs点の低下とδフエライト量の増加をもたら
す。従って、Moは1.O〜3.0%とする。
る。1.0%未満ではその効果を発揮せず、3.0%を
越えるとMs点の低下とδフエライト量の増加をもたら
す。従って、Moは1.O〜3.0%とする。
【0020】(5) 1.0〜3.0%Al Alは析出硬化、固溶体強化、及びAc1点の上昇に有効
である。ただし、1.0%未満では所望の効果を発揮せ
ず、3.0%を越えるとδフェライト量の増加を伴う。
従って、Alは1.0〜3.0%とする。
である。ただし、1.0%未満では所望の効果を発揮せ
ず、3.0%を越えるとδフェライト量の増加を伴う。
従って、Alは1.0〜3.0%とする。
【0021】(6) Nb<10×%C Nbは、焼戻し軟化抵抗を大きく改善する元素である。
10×%C以上では、炭素およぴ窒素の安定化し、Ms点
の低下とδフェライトの形成に顕著に影響する。従っ
て、Nb<10×%Cとする。
10×%C以上では、炭素およぴ窒素の安定化し、Ms点
の低下とδフェライトの形成に顕著に影響する。従っ
て、Nb<10×%Cとする。
【0022】本発明では、この組成の鋼をオーステナイ
ト化温度(溶体化温度)900℃以上1100℃以下で
熱処理して焼入れ状態の残留オーステナイト量を制御す
る。900℃未満では、焼鈍不足となり、1100℃を
越えると、残留オーステナイト量が50%超となり、冷
間圧延による強度向上をおこなう次工程を含め、強度が
低下し、いずれも不適当である。この熱処理により鋼の
残留オーステナイト量を50%以下とすることができ
る。
ト化温度(溶体化温度)900℃以上1100℃以下で
熱処理して焼入れ状態の残留オーステナイト量を制御す
る。900℃未満では、焼鈍不足となり、1100℃を
越えると、残留オーステナイト量が50%超となり、冷
間圧延による強度向上をおこなう次工程を含め、強度が
低下し、いずれも不適当である。この熱処理により鋼の
残留オーステナイト量を50%以下とすることができ
る。
【0023】次に、この化学組成及び金属組織の鋼を圧
延して鋼帯を製造する。この場合、その冷間圧延率は7
0%以下として350℃〜550℃における0.2%耐
力が120kgf/mm2 以上とする。ここで、70%
を越えると、冷間圧延効果が飽和するので、不適当であ
る。
延して鋼帯を製造する。この場合、その冷間圧延率は7
0%以下として350℃〜550℃における0.2%耐
力が120kgf/mm2 以上とする。ここで、70%
を越えると、冷間圧延効果が飽和するので、不適当であ
る。
【0024】そして、この鋼帯から、所望の製品、例え
ばガスケット基材を製造する。その例を図4に示す。こ
こで、図中1はシリンダーヘッド、2は本発明鋼帯から
製造されたシリンダガスケット、3は本発明鋼帯から製
造されたインテークマニホールドガスケット、4は本発
明鋼帯から製造されたエキゾーストマニホールドガスケ
ットを示す。5はシリンダーブロックである。
ばガスケット基材を製造する。その例を図4に示す。こ
こで、図中1はシリンダーヘッド、2は本発明鋼帯から
製造されたシリンダガスケット、3は本発明鋼帯から製
造されたインテークマニホールドガスケット、4は本発
明鋼帯から製造されたエキゾーストマニホールドガスケ
ットを示す。5はシリンダーブロックである。
【0025】
【実施例】次に本発明の実施例を説明する。表1に本発
明の実施例の化学組成を従来例(SUS301,SUS
631)、比較例(No.1,2)とともに示し、表2
にその特性を示す。表2によれば、従来のステンレス鋼
は残留オーステナイト(γ)が100,93%,500
℃の0.2%耐力は54kgf/mm2 ,65kgf/
mm2 、比較例では残留オーステナイト(γ)が4,5
%,500℃の0.2%耐力は93.3kgf/mm
2 ,104,0kgf/mm2 であるが、本発明では残
留オーステナイト(γ)が0〜40%,500℃の0.
2%耐力は120.6〜128.5kgf/mm2 であ
ることが分かる。なお、いずれの試料もオーステナイト
化温度は1050℃、圧延率は50%とした。
明の実施例の化学組成を従来例(SUS301,SUS
631)、比較例(No.1,2)とともに示し、表2
にその特性を示す。表2によれば、従来のステンレス鋼
は残留オーステナイト(γ)が100,93%,500
℃の0.2%耐力は54kgf/mm2 ,65kgf/
mm2 、比較例では残留オーステナイト(γ)が4,5
%,500℃の0.2%耐力は93.3kgf/mm
2 ,104,0kgf/mm2 であるが、本発明では残
留オーステナイト(γ)が0〜40%,500℃の0.
2%耐力は120.6〜128.5kgf/mm2 であ
ることが分かる。なお、いずれの試料もオーステナイト
化温度は1050℃、圧延率は50%とした。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
少なくとも350〜550℃温度での耐力を向上するこ
とができるので、加熱状態でばね性を必要とするステン
レス鋼の用途、特にガスケットにそのまま適用でき、重
量的及びコスト的に有利となる。
少なくとも350〜550℃温度での耐力を向上するこ
とができるので、加熱状態でばね性を必要とするステン
レス鋼の用途、特にガスケットにそのまま適用でき、重
量的及びコスト的に有利となる。
【図1】従来試料による温度による残留リブ高さを調べ
た図。
た図。
【図2】従来試料を0.2%耐力で評価した高温強度を
示す図。
示す図。
【図3】各実施例の時効処理後の常温強度と高温強度を
示す図。
示す図。
【図4】本発明の耐熱性ステンレス鋼帯で製造される各
種ガスケットの斜視図。
種ガスケットの斜視図。
1…シリンダーヘッド、2…シリンダガスケット、3…
インテークマニホールドガスケット、4…エキゾースト
マニホールドガスケット、5…シリンダーブロック。
インテークマニホールドガスケット、4…エキゾースト
マニホールドガスケット、5…シリンダーブロック。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 麿 優 岐阜県可児市谷迫間姫ヶ丘2番地48 日本 金属株式会社岐阜工場内
Claims (6)
- 【請求項1】 重量%で、Cr:11〜14%と、 N
i:4.5〜7.0%と、 Mo:1.0〜3.0%
と、 Al:1.0〜3.0%と、 C:0.10〜
0.20%と、 Nb:10×C%未満とFe及び不可
避的不純物からなるマルテンサイト系耐熱ばね用ステン
レス鋼。 - 【請求項2】 重量%で、Cr:11〜14%と、 N
i:4.5〜7.0%と、 Mo:1.0〜3.0%
と、 Al:1.0〜3.0%と、 C:0.10〜
0.20%と、 Nb:10×C%未満とFe及び不可
避的不純物からなる化学組成の鋼であって、残留オース
テナイト量が50%以下であるマルテンサイト系耐熱ば
ね用ステンレス鋼。 - 【請求項3】 重量%で、Cr:11〜14%と、 N
i:4.5〜7.0%と、 Mo:1.0〜3.0%
と、 Al:1.0〜3.0%と、 C:0.10〜
0.20%と、 Nb:10×C%未満とFe及び不可
避的不純物からなる化学組成の鋼であって、残留オース
テナイト量が50%以下で、350℃〜550℃におけ
る0.2%耐力が120kgf/mm2 以上である耐熱
ばね用ステンレス鋼帯。 - 【請求項4】 請求項1の化学組成の鋼を、オーステナ
イト化温度900℃以上1100℃以下の温度範囲で熱
処理して、焼入れ状態の残留オーステナイト量を制御す
ることを特徴とする耐熱ばね用ステンレス鋼の製造方
法。 - 【請求項5】 請求項1の化学組成を有する鋼を、オー
ステナイト化温度900℃以上1100℃以下の温度範
囲で熱処理した後、圧延率が70%以下の冷間圧延する
ことを特徴とする耐熱ばね用ステンレス鋼帯の製造方
法。 - 【請求項6】 請求項3の鋼帯から製造されたガスケッ
ト基材。
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EP2460904A3 (de) * | 2010-12-03 | 2012-11-28 | Bayerische Motoren Werke AG | Austenitischer Stahl für die Wasserstofftechnik |
CN112126868A (zh) * | 2020-09-14 | 2020-12-25 | 高燕仪 | 一种减少废料的发条制作加工用生产方法 |
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- 1995-11-24 JP JP30605695A patent/JP3482053B2/ja not_active Expired - Fee Related
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