JPH09143448A - 赤外線吸収材料の製造方法 - Google Patents

赤外線吸収材料の製造方法

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JPH09143448A
JPH09143448A JP30097095A JP30097095A JPH09143448A JP H09143448 A JPH09143448 A JP H09143448A JP 30097095 A JP30097095 A JP 30097095A JP 30097095 A JP30097095 A JP 30097095A JP H09143448 A JPH09143448 A JP H09143448A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 近赤外領域での吸収特性に優れ、かつインキ
への馴染みが良好で、薄い印刷層にも対応できる、より
微細なYbPO4 粒子からなる赤外線吸収材料の製造方
法及び得られる赤外線吸収材料を用いたインキ及び不可
視パターンの提供。 【解決手段】 YbPO4 を加熱処理し、得られたYb
PO4 を界面活性剤の存在下、好ましくは平均粒子径が
0.5μm以下になるまで湿式粉砕し、次いで粉砕した
YbPO4 をカップリング剤、例えばシランカップリン
グ剤で処理することを特徴とする微細なYbPO4 粒子
からなる赤外線吸収材料の製造方法。得られた赤外線吸
収材料を含むインキ。得られた赤外線吸収材料を含む不
可視パターン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、肉眼で視認するこ
とは実質的にできないが、赤外線を吸収することによ
り、光学的に識別可能なコードパターン及び検知マーク
等のマークを形成するための素材として用いられる赤外
線吸収性に優れた材料であって、微細な粒子からなり、
インキ化特性にも優れた赤外線吸収材料及びその製造方
法に関する。特に本発明は、975nm付近の近赤外領
域における吸収特性が優れた赤外線吸収材料に関する。
さらに本発明は、前記赤外線吸収性の材料を用いたイン
キ及び不可視パターンに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光学読み取りを利用したコードパ
ターンとしてのバーコードが、主として物流管理システ
ムのために広く利用されている。例えば、POS(販売
時点管理)システム用のJANコードや配送伝票、荷分
け伝票、納品用のバーコードタグなどの光学的データキ
ャリアとして、バーコードは広く用いられている。
【0003】これら従来のバーコードの光学読み取り用
の光源光として650nm、800nm又は950nm
付近に発光波長を持つ半導体レーザー又は発光ダイオー
ドが主として用いられている。そのため、光源光の波長
域が制約されるために、バーコードは、可視光領域に吸
収帯のあるカーボンブラックを用いたインキ、又はシア
ン・グリーン系統の赤色/赤外波長域に吸収特性を持つ
インキにより印刷、又はプリントされている。
【0004】又、バーコードの印刷の方式は、活版、オ
フセット、フレキソ、グラビア又はシルク印刷等で、主
として、ソース・マーキングと呼ばれる大量印刷に適用
される。バーコードのプリントの方式は、ドットインパ
クト、熱転写、ダイレクトサーマル、電子写真、インク
ジェットプリント等で、主として、インストア・マーキ
ングと呼ばれる個別印刷、或いは、小ロットの情報コー
ドラベルの製造に適用されている。
【0005】しかし、こうした可視の情報コードはデザ
イン上の制約を印刷物にもたらすとしてこれを排除する
要求が強い。そこで、可視光領域に吸収帯を持たないイ
ンキを印刷又はプリントすることにより情報コードを透
明化し、目視での判定を困難にしようとする試みがなさ
れている。
【0006】こうした透明化の試みの1つとして、可視
光線領域外の赤外線を主に吸収するインキを用いて、赤
外線パターンを形成することが知られている〔例えば特
開昭60−260674、特開昭61−86752号、
特開昭63−116286号、特開平3−154187
号、特開平3−227378号、特開平3−27538
9号、特開平4−70349号、特開平5−93160
号、特開平6−297889号参照〕。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来用いられている赤
外線領域に吸収域をもつ色素は、シアニン色素、フタロ
シアニン系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン
系色素、ジルオール系色素、トリフェニルメタン系色素
などがある。しかし、これらは600nm以上の波長領
域に吸収帯を持つためにシアンカラーであるか、または
可視領域(380nm〜700nm)に30〜40%の
吸収があるために、若干赤みがかったクリーム色を呈し
ている。よって、完全に透明なバーコードを形成するこ
とができなかった。さらにはこれらの色素は染料である
為に、IDキャリアとしての耐光性が期待できないとい
う欠点もあった。また、赤外線吸収顔料としてシアンフ
ィルターガラスを用いるものもあるが、この場合、ガラ
スはCu2+イオンを含んでおり、550nmから吸収が
始まるためにシアンカラーを呈していた。このような現
状から、透明な不可視バーコードを提供するために、赤
外線は吸収するが、可視光線は吸収しない材料の提供が
望まれている。
【0008】ところで、赤外線吸収コードパターンとは
別の分野においても、赤外線吸収性の材料を使用できる
分野がある。例えば、オーバー・ヘッド・プロジェクタ
ー(OHP)用の透明シートに、光学的検知方法を用い
た複写機にて画像を形成するに際して、この透明シート
の紙送りタイミング等の設定のために、透明シートの縁
端部に検知マークが設けられる。光学的検知は例えばL
EDとフォトトランジスタを組み合わせて行われ、検知
マークとして赤外線吸収性の材料を用いることができる
と考えられる。
【0009】ところが、従来は、例えば特開平3−99
878号公報に記載されているように、検知マークは不
透明な材料から形成されていた。しかし、不透明な検知
マークは、OHPで目的とする画像とともに映し出され
てしまい、映し出された画像を見にくくするという欠点
があった。そこで、透明ではあるが、光学的に検知し得
る検知マークが提供されれば、このような欠点は解消さ
れる。
【0010】そこで本発明者は、先に、赤外領域にのみ
吸収を持ち、可視光領域には吸収性がない新たな素材と
してYbPO4 (リン酸イッテルビウム)を見出し、特
許出願した〔特開平7−53946号〕。ところが、Y
bPO4 をインキ顔料とする場合、微細な粒子が必要で
ある。これは、顔料のインキへの馴染みを良くするため
やインキによる印刷層の厚みが薄いことによる。ところ
が、上記出願に記載の方法で得られるYbPO4 の粒子
径は数十μmであり、これを粉砕しても平均粒子径は約
1μmである。また、それ以上の粒子径になるように粉
砕することは事実上困難であった。さらに、YbPO4
は粉砕することにより、原因は明らかでないが、近赤外
領域での吸収特性が大幅に低下するという問題もあっ
た。
【0011】そこで本発明の目的は、近赤外領域での吸
収特性に優れ、かつインキへの馴染みが良好で、薄い印
刷層にも対応できる、より微細なYbPO4 粒子からな
る赤外線吸収材料の製造方法を提供することにある。
【0012】また、本発明の目的は、上記製造方法によ
り得られるYbPO4 を用いた肉眼では視認不可能であ
り、かつ赤外線吸収特性、耐候性、耐光性、インキ化特
性、印刷適性、プリント適性及び耐候性に優れたインキ
を提供することにある。
【0013】また、本発明の別の目的は、透明OHPシ
ートに付すことができる透明な検知マークを提供するた
めに、赤外線は吸収するが、可視光線は吸収しない材料
を提供することにある。即ち、赤外線を吸収することに
より光学的に検知可能であり、しかも可視光線を吸収し
ないことにより透明である検知マークを提供できる材料
及びこの材料を用いたインキを提供することを目的とす
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、YbPO4
加熱処理し、得られたYbPO4 を界面活性剤の存在下
湿式粉砕し、次いで粉砕したYbPO4 をカップリング
剤で処理することを特徴とする微細なYbPO4 粒子か
らなる赤外線吸収材料の製造方法に関する。さらに本発
明は、上記製造方法により得られた赤外線吸収材料を含
有するインキ、不可視パターン及び不可視情報パターン
に関する。以下本発明について説明する。
【0015】本発明の製造方法において用いるYbPO
4 は、従来から公知の方法により製造されたものである
ことができる。例えば、前記特開平7−53946号に
記載のYbPO4 を原料として、より高い赤外線吸収性
を有する微細なYbPO4 粒子を得ることができる。ま
た、市販のYbPO4 を本発明の製造方法の原料に用い
ることもできる。尚、原料であるYbPO4 粒子の赤外
線吸収性が高ければ、より高い赤外線吸収性を有するY
bPO4 粒子を得ることができる。
【0016】また、原料であるYbPO4 は、イッテル
ビウムアルコキシドとリン酸アルコキシドとを加水分解
して生成させることで製造したものであることもでき
る。イッテルビウムアルコキシドとしては、例えばトリ
ブトキシイッテルビウムを用いることができる。また、
リン酸アルコキシドとしては、例えばリン酸トリブトキ
シドを用いることができる。リン酸トリブトキシド〔P
4 (C4 9 O)3〕は市販(例えば、高純度化学研
究所製)され、容易に入手できる。
【0017】また、リン酸アルコキシドとしてオルトリ
ン酸(H3PO4)とアルコールとの反応生成物を用いること
もできる。オルトリン酸は通常約15%の水分を含み、
このようなオルトリン酸をアルコールに溶解してリン酸
アルコキシドを生成させ、得られる生成物をそのままY
bPO4 粒子生成反応に用いることができる。
【0018】また、トリブトキシイッテルビウム〔Yb
(C4 9 O)3 〕は、例えば、1モルの酸化イッテル
ビウム〔Yb2 3 〕微粉末(市販品、例えば信越化学
製)と6モルの酢酸とを真空脱水反応させて、酢酸イッ
テルビウム〔Yb(CH3 COO)3 〕を沈殿として
得、さらにこの酢酸イッテルビウムとトリブトキシバリ
ウム〔Ba(C4 9 O)2 〕(市販品もあるが、n−
ブタノールに金属バリウムを溶解することでも得られ
る)とを溶媒(例えば、n−ブタノール)中で還流する
ことで得られる。
【0019】本発明の製造方法におけるYbPO4 の加
熱処理の条件は、加熱処理されたYbPO4 の赤外線吸
収性の改善の程度により適宜決定することができる。但
し、実用的には、例えば、700℃〜1000℃の温
度、好ましくは800〜900℃の温度で行うことが適
当である。また加熱処理時間は、赤外線吸収性の改善に
十分な時間とすることができ、例えば、1〜6時間程度
である。加熱処理の雰囲気は、例えば空気中、常圧で行
うことが適当である。
【0020】加熱処理されたYbPO4 は、界面活性剤
の存在下湿式粉砕する。湿式粉砕することにより粒子径
を小さくして良好なインキ化特性が得られる。特に、加
熱処理により増大した粒子径を湿式粉砕することにより
微細化できる。湿式粉砕は、加熱処理されたYbPO4
を界面活性剤と共に有機溶剤と混合スラリー化したもの
を粉砕機を用いて行う。粉砕機としては、例えば、転動
ボールミル(例えば、チューブミル、コンパートメント
ミル、コニカルミル、ポットミル)、振動ボールミル
(円振動ミル、ジャイラトリー振動ミル)、遊星ミル
(ハイスイングボールミル)、遠心流動化ミル(CFミ
ル)、攪拌ミル(タワーミル、サンドグラインダ、パー
ルミル、アトライタ、アクアマイザ、コ・ボールミル)
等を挙げることができる。
【0021】上記有機溶剤としては、YbPO4 粒子の
凝集を防止しつつ粉砕できるという観点及びインキ溶剤
との相溶性という観点から、疎水性有機溶剤であること
が好ましい。疎水性有機溶剤としては、例えば、メチル
エチルケトン(MEK)、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、酢酸エチル等を挙げることができる。上記界面活性
剤としては、上記疎水性有機溶剤中に親水性のYbPO
4 粒子を良好に分散できるものであることが好ましい。
そのような界面活性剤として、陰イオン系界面活性剤で
ある、例えば、ポリカルボン酸型高分子活性剤を挙げる
ことができ、ホモゲノールL−18、ホモゲノールL−
95、ホモゲノールL−100(いずれも花王(株)
製)として市販されているものを挙げることができる。
【0022】湿式粉砕におけるスラリー濃度、即ちYb
PO4 濃度は、例えば、40〜60%(固形分比)の範
囲とすることができる。また、界面活性剤の濃度は、ス
ラリー濃度や界面活性剤及び有機溶剤の種類により適宜
決定されるが、通常1〜10%の範囲であることが、Y
bPO4 粒子の分散状態を良好に維持しつつ、粉砕でき
るという観点から、適当である。上記湿式粉砕は、Yb
PO4 粒子の平均粒子径が1μm以下、好ましくは0.
5μm以下、より好ましくは0.4μm以下になるまで
行うことが適当である。平均粒子径を1μm以下、好ま
しくは0.5μm以下とすることで、インキ化特性等に
優れたものとすることができる。
【0023】尚、加熱処理したYbPO4 を親水性有機
溶剤中で予め湿式粉砕し、次いで前記親水性有機溶剤を
除去した後、前記疎水性有機溶剤中での湿式粉砕を行う
ことが、良好に粉砕できるという観点から好ましい。前
記親水性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタ
ノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、
n−ブタノール等のアルコール類であることができる。
親水性有機溶剤中での湿式粉砕は、スラリー濃度、即ち
YbPO4 濃度は、例えば、40〜60%(固形分比)
の範囲とすることができる。親水性有機溶剤中での湿式
粉砕は、例えば、YbPO4 粒子の平均粒子径が10μ
m以下、好ましくは5μm以下となるまで行うことが好
ましい。親水性有機溶剤中での湿式粉砕後、遠心分離
法、蒸留法や加熱乾燥法等により親水性有機溶剤を除去
し、次いで疎水性有機溶剤中での湿式粉砕に供する。
【0024】上記湿式粉砕の後、粉砕したYbPO4
カップリング剤で処理する。この処理は、粉砕したYb
PO4 スラリーにカップリング剤又はカップリング剤を
溶剤で希釈したものとを混合することにより行うことが
できる。カップリング剤による処理は、加熱下、例えば
70〜120℃で行うことが好ましい。界面活性剤の存
在下分散状態を良好に維持しつつ十分に粉砕されたYb
PO4 粒子の表面をカップリング剤で処理することによ
り、より微細な粒子を得ることができる。さらに、上記
表面処理により粒子表面の溶媒や酸、塩基等に対する化
学的安定性や物理強度を向上することもできる。表面処
理して得られたYbPO4 粒子は遠心分離等により溶媒
中からウエットケーキとして容易に回収することができ
る。得られたウエットケーキは、そのままインキ製造に
用いることができる。但し、必要により乾燥することも
できる。
【0025】カップリング剤は、YbPO4 粒子及びイ
ンキビヒクルとなる樹脂と結合するものであれば特に限
定はない。例えば、シラン化合物、チタン化合物、ジル
コニウム化合物、アルミニウム化合物、金属キレート化
合物などを挙げることができる。特に、化学的特性が安
定(溶剤に対して強い耐性がある)であり、物理強度も
強く、さらにインキビヒクルとの接着性の良い官能基が
種々付加されており、選択の度合いが大きいという観点
からは、シランカップリング剤であることが好ましい。
【0026】シランカップリング剤としては以下のもの
を例示することができる。但し、これらに限定されるも
のではないことは勿論である。テトラメトキシシラン
(TMOS)、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミ
ノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノシラン、γ
−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β
−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン、アミノシラン、γ−メル
カプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキ
シシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセ
トシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、
ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメ
トキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシ
ルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕ア
ンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジメ
トキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキ
シシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロ
シラン、トリメチルクロロシラン。
【0027】さらにシランカップリング剤以外にも、ジ
ルコニウムカップリング剤、アルミニウムカップリング
剤、チタンカップリング剤を用いることができる。Yb
PO4 粒子に対するカップリング剤の量は、YbPO4
粒子の粒子径やカップリング剤の種類により適宜決定出
来るが、例えば一般にはYbPO4 粒子100重量部に
対してカップリング剤0.1〜10重量部の範囲である
ことが適当である。
【0028】上記本発明の製造方法により得られるYb
PO4 粒子は、熱処理前に比べて975nm近傍の近赤
外領域の吸収ピークが強くなる。例えば、図2に熱処理
前後のYbPO4 粒子の反射率スペクトルを示す。熱処
理により、975nm近傍の吸収ピークが倍増してい
る。YbPO4 粒子中のYb3+は、イオン状態で赤外領
域に、Yb3+ 27/2 35/2 の遷移に基づく吸収
帯を持つ。さらに、この吸収は、遷移金属イオンによる
着色と異なり、ブロードとならず可視領域吸収を有しな
いために着色しない。
【0029】本発明の製造方法により得られるYbPO
4 粒子は、図2に示すように約975nmをピークとす
る赤外領域の照射光に対する吸収が強く、かつ400〜
700nmの可視領域には吸収を有さない。従って、こ
のYbPO4 粒子を用いたインキ等によってバーコード
を形成すると、吸収を行うバーの部分(印刷部)と、反
射を行うスペースの部分(非印刷部)の間に、照射赤外
光の吸収/反射の反射光の濃淡が形成され、バーコード
のシグナルを読み取ることができるが、肉眼で視認する
ことはできない。さらに、本発明の赤外線吸収材料を用
いたインキ等によって検知マークを形成すると、吸収を
行う検知マーク(印刷部)と、反射を行う非印刷部の間
に、照射赤外光の吸収/反射の反射光の濃淡が形成さ
れ、検知マークが認識されるが、肉眼で視認することは
できない。
【0030】本発明のYbPO4 粒子を、マークのうち
でもコードパターンの印刷に適したプリント方式であ
る、オフセット印刷、熱転写プリント、インジェクトプ
リント、電子写真式プリント用の、オフセットインキ、
熱転写リボンインキ、インクジェットインキ、トナーイ
ンキの顔料として用いる場合には、上記本発明のYbP
4 粒子は、平均粒子径が0.01μm〜0.1μmで
あり、最大粒子径が0.5μm以下である粉末であるこ
とが好ましい。上記方式により得られる印刷膜厚もしく
はプリント膜厚が通常約1〜2μmであり、最大でも3
μm程度であることから、YbPO4 粒子の平均粒子径
を上記範囲のサブミクロンオーダーとすることにより、
印刷ムラを抑制することができるからである。また、検
知マークをグラビア印刷するためのグラビアインキにお
いても同様である。
【0031】さらに、インキ特性を考慮すると、バイン
ダー成分が無極性のオフセットインキ、熱転写リボンイ
ンキ、トナーインキに対しては、YbPO4 粒子の粉末
の表面に親油性コートを施して、インキバインダーへの
粒子の分散性を向上させることが好ましい。分散性を向
上させることにより、形成したマークの読み取りを良好
に行うことができる。
【0032】即ち、オフセット印刷においては印刷中に
インキからYbPO4 粒子粉末が析出したり、赤外光の
吸収部分が印刷されない抜けの状態の発生を防止するこ
とができる。また、熱転写リボンにおいては、均一なコ
ート層のリボンコーティングを得ることができ、プリン
ト時に転写不良が発生することを防止することができ
る。さらに、電子写真式プリントのトナーにおいても、
トナーインキのYbPO4 粒子粉末の含有状態を均一に
保つことができ、安定な吸収レベルを有するマークを得
ることができる。
【0033】又、YbPO4 の屈折率を測定したところ
1.505であった。このことから、本発明のYbPO
4 粒子をインキ化する際に用いるインキビヒクルは、Y
bPO4 との屈折率差がそれほど大きくならないものが
適当である。そのような観点から、上記インキビヒクル
としては屈折率が1.3〜1.7の範囲であるものが適
当である。
【0034】本発明のオフセット及び活版インキにおい
て、ビビクルを構成する樹脂としては、一般的には、蛋
白質、ゴム、セルロース類、シエラック、コパル、でん
粉、ロジン等などの天然樹脂、ビニル系樹脂、アクリル
系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ノボ
ラック型フェノール樹脂等の熱可塑性樹脂、レゾール型
フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタ
ン樹脂、エポキシ、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹
脂などがあげられる。さらにビヒクル中に、必要に応じ
て、印刷皮膜の柔軟性・強度安定化のための可塑剤、粘
度調整、乾燥性のための溶剤、さらに乾燥、粘度、分散
性、各種反応剤等の助剤を適宜添加することができる。
【0035】但し、形成されたマークが油脂成分により
汚染物質を吸着することが望ましくないことから、好適
には、常温で液体の油脂成分を用いない光重合硬化型も
しくは電子線硬化型インキを用いて形成する。これらイ
ンキの硬化物の主成分はアクリル系樹脂である。従っ
て、上記インキはアルキルモノマーを含有するものであ
り、具体的には、市販されている以下のアクリルモノマ
ーを挙げることができる。
【0036】単官能アクリレートとしては、2- エチル
ヘキシルアクリレート、2- エチルヘキシルEO付加物
アクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレ
ート、2- ヒドロキシエチルアクリレート、2- ヒドロ
キシプロピルアクリレート、2- ヒドロキシエチルアク
リレートのカプロラクトン付加物、2- フェノキシエチ
ルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアク
リレート、ノニルフェノールEO付加物アクリレート、
ノニルフェノールEO付加物にカプロラクトン付加した
アクリレート、2- ヒドロキシ- 3- フェノキシプロピ
ルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレー
ト、フルフリルアルコールのカプロラクトン付加物アク
リレート、アクリロイルモルホリン、ジシクロペンテニ
ルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジ
シクロペンテニルオキシエチルアクリレート、イソボル
ニルアクリレート、4,4- ジメチル- 1,3- ジオキ
ソランのカプロラクトン付加物のアクリレート、3- メ
チル- 5,5- ジメチル- 1,3- ジオキソランのカプ
ロラクトン付加物のアクリレートなどが用いられ得る。
【0037】一方、多官能アクリレートとしては、ヘキ
サンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコール
ジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレー
ト、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロ
キシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジアク
リレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコー
ルエステルのカプロラクトン付加物ジアクリレート、
1,6- ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルのア
クリル酸付加物、ヒドロキシピバルアルデヒドとトリメ
チロールプロパンのアセタール化合物のジアクリレー
ト、2,2- ビス〔4- (アクリロイロキシジエトキ
シ)フェニル〕プロパン、2,2- ビス〔4-(アクリ
ロイロキシジエトキシ,フェニル〕メタン、水添ビスフ
ェノールAエチレンオキサイド付加物のジアクリレー
ト、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ト
リメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリス
リトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンプ
ロピレンオキサイド付加物トリアクリレート、グリセリ
ンプロピレンオキサイド付加物トリアクリレート、ジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレート・ペンタアクリ
レート混合物、ジペンタエリスリトールの低級脂肪酸お
よびアクリル酸のエステル、ジペンタエリスリトールの
カプロラクトン付加物アクリレート、トリス(アクリロ
イロキシエチル)イソシアヌレート、2- アクリロイロ
キシエチルホスフェートなどが用いられ得る。
【0038】これらの樹脂又はモノマーからなるインキ
は無溶剤性で、電磁波や電子線照射により連鎖的重合反
応を起こして硬化する。このうち、紫外線照射型のもの
については、光重合開始剤と、必要に応じて増感剤およ
び助剤として、重合禁止剤、連鎖移動剤などを添加す
る。
【0039】光重合開始剤としては、1)直接光分解型
としてアリールアルキルケトン、オキシムケトン、アシ
ルホスフィンオキシド等、2)ラジカル重合反応型とし
てベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体等、
3)カチオン重合反応型としてアリールジアゾニウム
塩、アリールヨードニウム塩、アリールスルホニウム
塩、アリールアセトフェノン等があり、その他に4)エ
ネルギー移動型、5)光レドックス型、ならびに6)電
子移動型のものが用いられ得る。
【0040】また、電子線硬化型のものについては、前
述した紫外線照射型と同様な樹脂又はモノマーを用い
て、光重合開始剤を必要とせず、必要に応じて各種助剤
が添加され得る。
【0041】インクジェットインキは、本発明のYbP
4 粒子粉末及び上記ビビクル以外に水及び水性有機溶
媒を含有するものであることができる。水は、イオン交
換水以上の純度であればよい。
【0042】水溶性有機溶媒は、インキの乾燥防止及び
浸透性付与を目的とし、例えば、エチレングリコール、
ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリ
セリンの如き多価アルコール類:N−アルキルピロリド
ン類:酢酸エチル、酢酸アミルの如きエステル類:メタ
ノール、エタノール、プロパノール、ブタノールの如き
低級アルコール類:メタノール、ブタノール、フェノー
ルのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加
物の如きグリコールエーテル類等が挙げられる。これら
の水溶性有機溶媒は、上記溶媒例に限定されるものでは
なく、溶媒の吸湿性、保湿性、染料溶解性や浸透性、イ
ンキの粘度や氷点などを考慮して、適宜、単独もしくは
複数で使用される。これらの水溶性有機溶媒の使用料
は、インキの0.1〜70重量%の範囲が好ましい。
【0043】インクジェット記録装置のシステムに要求
される諸条件を満たすために、必要に応じて、インキの
成分として従来から知られている添加物を添加すること
も可能である。これらの添加物としては、pH調製剤とし
てのアルコールアミン類、アンモニウム塩類、金属水酸
化物:比抵抗調製剤としての有機塩類、無機塩類:酸化
防止剤:防腐剤:防カビ剤:金属封鎖剤としてのキレー
ト剤等が挙げられる。
【0044】上記組成に加えて、噴封ノズル部の閉塞や
インキ吐出方向の変化などが生じない程度に、ポリビニ
ルアルコール、ポリビニルビロリドン、カルボキシメチ
ルセルロース、スチレンアクリル酸樹脂、スチレンマレ
イン酸樹脂等の水溶性樹脂を添加することもできる。
【0045】熱転写リボンインキ並びに検知マークを印
刷するためのグラビアインキ及びスクリーンインキに
は、本発明のYbPO4 粒子粉末以外に、ビビクルとし
て合成樹脂、ワックス、および必要に応じて溶剤や着色
剤を配合して調製する。合成樹脂は、サーマルヘッドの
電圧、融点などを考慮した上で適当なものを単独または
混合して用いる。具体例をあげれば、ポリエチレン、ポ
リスチレン、ポリプロピレン、ポリブチン、石油樹脂、
塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデ
ン樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネー
ト、フッ素樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブ
チラール、アセチルセルロースプラスチック、ニトロセ
ルロース、ポリアセタールなどである。ワックスは、ミ
ツロウ、触ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワク
ス、カルナバワックス、モンタンワックス、パラフィン
ワックス、キャンデリラワックス、ベトロラクタム、マ
イクロクリスタリンワックスなどから適宜選択して用い
ることができる。
【0046】溶剤は、熱転写リボンインキ組成物を通常
の印刷方法で塗布できるインキとする場合に用いる。ベ
ンゼン、キシレン、トルエン、トリクレン、ホワイトス
ピリット、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、メタノール、
エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチ
ルシクロヘキサン、メチルエチルケトン、エチルセロソ
ルブ、ブチルセロソルブ、シクロヘキサノンなどがその
例である。特に、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メ
タノール、エタノール、キシレンおよびトルエンが用い
られることが好ましい。
【0047】上記熱転写リボンインキをベースフィルム
上に設けた熱転写シートとすることができる。ベースフ
ィルムの材料には、常用のものを使用すればよい。具体
的には、ポリエスチル、ポリプロピレン、セロファン、
アセテート、ポリカーボネートなどのプラスチックのフ
ィルム、およびコンデンサー紙、パラフィン紙などの紙
類を使用することができる。
【0048】電子写真方式の場合のトナーインキの構成
成分は本発明のYbPO4 粒子粉末、ビビクル、必要に
応じて帯電制御剤、オフセット防止剤、外添剤(流動化
剤)からなる。ビビクルはポリスチレン樹脂、スチレン
−アクリル系共重合体、スチレン−ブタジェン系共重合
体、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィ
ン系樹脂などの熱可塑性樹脂を挙げることができる。接
触帯電性は、アミノ基などの電子供与性の置換基を含む
ものは正帯電を帯びやすく、フッ素、カルボキシル基な
どの電子受容性置換基を有するものは負帯電を帯びやす
い。
【0049】帯電制御剤は正帯電用にはニグロシン系染
料、第4級アンモニウム系化合物など、負帯電トナーに
はアルキルサルチル酸の金属錯体、アゾ系含金属錯体な
どが用いられる。その他添加剤として、熱ロール定着の
オフセット防止剤として低分子量ポリエチレン、低分子
量ポリプロピレンなどが用いられる。
【0050】さらに本発明のインキには、組成物中に非
可逆性を有する消色性着色剤を含有させることができ
る。この場合の消色性着色剤は、可視光域において可視
状態を維持し、消色のための操作、たとえば近赤外線の
照射などの操作によって非可逆的に不可視状態に変化す
る着色剤である。このような消色性着色剤を含有するイ
ンキ組成物でコードパターンを形成すると、印刷画像を
肉眼で識別することが可能であり、印刷精度を向上させ
ることができる。その後、消色操作を行うことによっ
て、コードパターンを不可視状態に変化させることがで
きる。
【0051】具体例としては、下記構造式、で示される
消色性着色剤IR820B(昭和電工製)やシアニン系
色素とテトラブチルアンモニウム・ブチルトリフェニル
ボレートなどの有機ホウ素アンモニウム塩を共存するこ
とにより近赤外光を吸収して両者がカップリングし、不
可逆的に透明になるものがある。
【0052】
【化1】
【0053】本発明のYbPO4 粒子は、図2に示すよ
うに約975nmに鋭い吸収を示す。そこで、このYb
PO4 粒子を用いて形成したコードパターン又は検知マ
ークに、照射光源として、例えば半導体レーザーのパル
ス状の赤外光又は発光ダイオードの赤外発光に対して9
00nm以下の光及び1000nm以上の光を吸収する
バンドパスフィルターをコーティングしたレンズ等を受
光センサー側に取り付けて赤外線を照射すると、鋭い吸
収シグナルとして識別できる。
【0054】本発明は、前記YbPO4 粒子を用いた不
可視パターン及び不可視情報パターンを包含する。ここ
で、パターンは非情報パターン及び情報パターンを包含
する。非情報パターンとしては検知マーク等を挙げるこ
とができる。また、情報パターンとしては、コードパタ
ーンを挙げることができる。コードパターンとしては、
バーコードを例示でき、バーコードは1次元のバーコー
ド以外に2次元コード等であってもよい。特に本発明で
は、高い解像度が得られることから、2次元コードに有
効である。
【0055】又、検知マークとは、光学的検知方法を用
いた複写機にて画像を形成する際に、光学的に検知され
ない透明シートの紙送りタイミング等の設定のために設
けられるマークである。検知マークの形状や検知マーク
を設ける透明シート上の位置については、特に制限はな
い。例えば、特開昭58−106550号、同58−1
05157号、同59−7367号及び特開平3−99
878号公報に記載されているような、検知マークが挙
げられる。
【0056】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに説明
する。
【0057】実施例1 市販のリン酸イッテルビウム〔信越化学製〕微粉末10
0重量部を800℃の電気炉(雰囲気:空気、常圧)中
で2時間加熱焼成した。次いで、加熱焼成したリン酸イ
ッテルビウムに100重量部のイソプロピルアルコール
を添加してスラリー状とし、遊星ボールミルによって1
000rpm、100分間湿式粉砕した。得られたスラ
リーを80℃3時間乾燥させることによりイソプロピル
アルコールを除去した。次いで、得られた乾燥物に10
0重量部のトルエンを添加してスラリー状とし、さらに
界面活性剤であるホモゲールL−18(花王製)を5重
量部添加した。このスラリーを遊星ボールミルにより1
000rpm、100分間湿式粉砕した。次いで、得ら
れたスラリーにシランカップリング剤(KBM503:
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越
化学製)を0.2重量部を添加して、80℃でビーカー
内で攪拌して表面処理した。表面処理されたリン酸イッ
テルビウムは、遠心分離(3500rpm、30分間)
することによりウエットケーキ(固形分60%)として
回収された。
【0058】上記で得られたYbPO4 のウエットケー
キ中の結晶のX線回折パターンを測定し(測定装置:リ
ガク,RINT−1500)、図1に示す。その結果、
この結晶は極めて結晶性が高いことが分かる。さらに、
上記で得られたYbPO4 のウエットケーキの分光反射
率を測定した結果を図2に示す。また、原料に用いたY
bPO4 の分光反射率も同様に測定したところ、図示し
ないが、975nmの吸収が、図2の約1/2であっ
た。尚、測定は、島津製作所製自記分光光度計UV31
01PCを用い、硫酸バリウムの反射率を100%とし
て行った。また、上記で得られたYbPO4 のウエット
ケーキ中の結晶の粒子径を粒度分布計(Photal粒
度分布測定装置PAR−III)により測定した。その
結果を図3に示す。その結果、上記ウエットケーキには
平均粒子径が0.40μmのYbPO4 結晶が含まれて
いる事が分かる。
【0059】参考例 実施例1と同様にして得た、加熱焼成したリン酸イッテ
ルビウムに100重量部のトルエンを添加してスラリー
状とし、得られたスラリーにシランカップリング剤(γ
−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化
学製)を1重量部を添加した。このスラリーをボールミ
ルにより1000rpm、100分間湿式粉砕した。得
られた表面処理されたリン酸イッテルビウムは、遠心分
離(3500rpm、30分間)することによりウエッ
トケーキ(固形分72%)として回収された。得られた
YbPO4 のウエットケーキ中の結晶の粒子径を実施例
1と同様にして測定した。その結果を図4に示す。その
結果、上記ウエットケーキには平均粒子径が0.83μ
mのYbPO4 結晶が含まれている事が分かる。
【0060】実施例2 実施例1で得たウエットケーキ(固形分60%)30重
量部を、アクリレートモノマー2重量部、アクリレート
オリゴマー4重量部、ワックス3重量部及び増感剤0.
5重量部からなるオフセットビヒクルに添加混合して、
真空ブレンダー中にてフラッシングし、溶媒成分を除去
し、オフセット用インキを調製した。このインキを用い
て、白PETフィルム(厚さ188μm)上にバーコー
ドをオフセット印刷した。得られた印刷層の分光反射率
を測定し、結果を図5に示す。
【0061】得られたバーコードは、肉眼では認識でき
なかった。このバーコードを光源として赤外発光ダイオ
ード(SHARP、GL480Q、ピーク発光波長95
0nm)を用い、受光部としてフォトダイオード(SH
ARP、PD413PI、ピーク限度波長960nm)
を用いて、読み取り試験を行った。その結果、バーコー
ド情報を読み取ることができた。
【0062】実施例3 実施例1で得たウエットケーキ(固形分60%)100
重量部を、MMA(メチルメタクリレート)30重量
部、シクロヘキサノン28重量部、イソホロン28重量
部およびスワゾール1000 14重量部を加えて作製
したビヒクルと混合し、シルクスクリーンインキを得
た。このインキを白PETフィルム(厚さ188μm)
上に200メッシュのバーコードスクリーン版を用いて
シルク印刷した。得られた印刷層の分光反射率測定結果
を図6に示す。
【0063】得られたバーコードは、実施例2と同様
に、肉眼では認識できなかった。さらに、このバーコー
ドを実施例2と同様の光源および受光部を用いて、読み
取り試験を行った。その結果、バーコード情報を読み取
ることができた。
【0064】実施例4 実施例1で得たウエットケーキ(固形分60%)70重
量部を、アクリル樹脂14重量部、トルエン27.5重
量部及び沈降防止剤3重量部と攪拌してグラビアインキ
を得た。得られたインキを、PETシート(厚さ100
μm)の縁端部にグラビア印刷して、光学的検知マーク
を有する透明OHPシートを得た。このOHPシートの
グラビア印刷した検知マークの部分も透明であった。こ
の検知マークの分光反射率測定結果を図7に示す。
【0065】得られた透明OHPシートを光感応型シー
ト検知装置付の複写機でプリントテストを行った。その
結果、シートの検知性及び紙送り性ともに良好であっ
た。さらに、画像を形成したシートは、検知マークの部
分が透明であることから、OHPでの使用時の画像も見
やすいものであった。
【0066】実施例5 実施例1で得たウエットケーキ(固形分60%)100
重量部を、ガラスビーズアトライターにEVA(エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体)10重量部、エステルワック
ス35重量部、パラフィンワックス49重量部、分散剤
2.4重量部及び酸化防止剤0.2重量部と共に加えて
分散させ、リボンインキを得た。得られたインキを10
0℃で溶融し、PETフィルム(厚さ6μm)にリボン
コーターによって塗布することで、透明インクリボンを
作製した。得られたインクリボンは、バーコードプリン
ター(オートニックス製:BC−12W)によってミラ
ーコート紙上にバーコードを熱転写プリントした。この
ときの分光反射率測定結果を図8に示す。得られたバー
コードは、実施例2と同様に、肉眼では認識できなかっ
た。さらに、このバーコードを実施例2と同様の光源お
よび受光部を用いて、読み取り試験を行った。その結
果、バーコード情報を読み取ることができた。
【0067】
【発明の効果】本発明によれば、975nm付近の近赤
外領域の吸収ピークの強度が改善され、かつインキ特性
に優れた微細なYbPO4 粒子を製造することができ
る。このYbPO4 粒子は、赤外線吸収コードパターン
や赤外線吸収検知マーク等の赤外線吸収マークの形成用
として優れた材料である。特に本発明の製造方法により
得られたYbPO4 粒子は、光源として赤外発光ダイオ
ードやガリウム・砒素半導体レーザーを用いた場合、吸
収ピーク付近の波長が光源光のピーク波長に大変近く、
さらに受光素子であるフォトダイオードの分光感度特性
が吸収特性とほぼ一致することから、近赤外吸収特性を
信号として利用し易いという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得たYbPO4 の結晶のX線回折
パターンを示す。
【図2】 実施例1で得たYbPO4 粉末の分光反射率
のスペクトルを示す。
【図3】 実施例1で得たYbPO4 の結晶の粒度分布
を示す。
【図4】 参考例で得たYbPO4 の結晶の粒度分布を
示す。
【図5】 実施例2で得た印刷層の分光反射率のスペク
トルを示す。
【図6】 実施例3で得た印刷層の分光反射率のスペク
トルを示す。
【図7】 実施例4で得た検知マークの分光反射率のス
ペクトルを示す。
【図8】 実施例5で得たバーコードの分光反射率のス
ペクトルを示す。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 YbPO4 を加熱処理し、得られたYb
    PO4 を界面活性剤の存在下湿式粉砕し、次いで粉砕し
    たYbPO4 をカップリング剤で処理することを特徴と
    する微細なYbPO4 粒子からなる赤外線吸収材料の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 加熱処理が700℃〜1000℃の温度
    で、YbPO4 の赤外線吸収性が改善されるに十分な時
    間行われる請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 YbPO4 の平均粒子径が0.5μm以
    下になるまで湿式粉砕する請求項1または2記載の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 湿式粉砕を界面活性剤の存在下、疎水性
    有機溶剤中で行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 界面活性剤が陰イオン系界面活性剤であ
    る請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 加熱処理したYbPO4 を親水性有機溶
    剤中で湿式粉砕し、次いで前記親水性有機溶剤を除去し
    た後、疎水性有機溶剤中での湿式粉砕を行う請求項4記
    載の製造方法。
  7. 【請求項7】 カップリング剤がシランカップリング剤
    である請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製
    造方法により得た赤外線吸収材料及びビヒクルを含有す
    ることを特徴とするインキ。
  9. 【請求項9】 ビヒクルの屈折率が1.3〜1.7の範
    囲である請求項8記載のインキ。
  10. 【請求項10】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の
    製造方法により得た赤外線吸収材料を含有することを特
    徴とする不可視パターン。
  11. 【請求項11】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の
    製造方法により得た赤外線吸収材料を含有することを特
    徴とする不可視情報パターン。
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